関連審決 | 不服2004-8054 |
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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成18行ケ10280審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成20行ケ10100審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成19行ケ10090審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成19行ケ10291審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成17行ケ10840審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
関連ワード | 指定商品 / 周知性 / 混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) / 4条1項11号 / 類似性(類否判断) / 外観(外観類似) / 称呼(称呼類似) / 観念(観念類似) / 取引の実情 / 出所の混同 / 警告 / 類似商標 / 非類似 / |
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事件 |
平成
17年
(行ケ)
10529号
審決取消請求事件
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原告 リコーエレメックス株式会社 代表者代表取締役 訴訟代理人弁理士 菅原正倫 同 河原純一 被告 特許庁長官 中嶋 誠 指定代理人 田中亨子 同 伊藤三男 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2005/12/22 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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請求
特許庁が不服2004-8054号事件について平成17年5月9日にした審決を取り消す。 |
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事案の概要
本件は,後記商標の出願人である原告が,特許庁から拒絶査定を受けたので,これを不服として審判請求をしたところ,同庁が審判請求は成り立たないとの審決をしたことから,その取消しを求めた事案である。 |
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当事者の主張
1 請求の原因 (1) 特許庁における手続の経緯 原告は,平成15年7月25日,下記の構成からなる商標(以下「本願商標」という。)について,指定商品を第21類「家庭用口腔洗浄器,化粧用具」として,商標登録出願(以下「本願」という。甲22)をした。 記 特許庁は,平成16年3月31日に本願について拒絶査定をしたため,原告は,これを不服として審判請求をした。そこで特許庁は,これを不服2004-8054号事件として審理した上,平成17年5月9日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その審決謄本は平成17年5月18日原告に送達された。 (2) 審決の内容 審決の内容は,別紙審決写し記載のとおりである。 その理由の要旨は,本願商標は,下記の商標(登録第4674320号。 平成14年7月2日出願・平成15年5月23日登録。甲23。以下「引用商標」という。)と称呼上類似の商標であり,かつ,指定商品も類似の商品を含むものであるから,商標法4条1項11号に該当する等としたものである。 記 (商標) (商標権者) 東京都文京区湯島4丁目1番11号 サンシステム株式会社 (指定商品) 第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,自動車用バッテリー,その他の電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,携帯電話機のストラップ,その他の電気通信機械器具,レコード,コンピュータプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・マイクロフィルム・CD-ROM・光ディスク・その他の記憶媒体,ダウンロード可能なコンピュータプログラム,ダウンロード可能な電子出版物,ダウンロード可能な音楽,ダウンロード可能な映像,電算機プリンター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・CVD-ROM・DVD-ROM・光ディスク・その他の録画済み記録媒体,メトロノーム,電算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,業務用テレビゲーム機,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,ゴルフボール自動集球ロボット,乗物運転技能訓練用シミュレーター,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,消防艇,スプリンクラー消火装置,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,電子出版物,録画済みビデオディスク・ビデオテープ・CD-ROM・CVD-ROM・DVD-ROM・光ディスク・その他の録画済み記録媒体,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮き袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,家庭用テレビゲームおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,耳栓」 (3) 審決の取消事由 ア 審決の認定のうち,本願商標と引用商標は,いずれも構成各文字が特定の語義を有しない造語であって,本願商標は構成文字に相応して「デントレックス」の称呼を,引用商標は構成文字に相応して「デントレック」の称呼をそれぞれ生じ,両商標の称呼は,語頭から続く「デントレック」の音を共通にし,語尾における「ス」の有無という差を有するものであること(審決2頁26行〜36行),本願商標の指定商品中「化粧用具」と引用商標の指定商品中「電気式ヘアカーラー」が,主に,顔や髪など外見を美しく粧うための商品であって,それぞれ販売場所及び需要者層を共通にする互いに類似の商品であること(審決3頁8行〜15行)は,認める。 イ しかしながら,審決には,以下のとおり,本願商標と引用商標の類否判断に誤りがあり,本願商標は商標法4条1項11号に該当しないから,違法として取り消されるべきである。 (ア) 称呼上の非類似 本願商標の称呼「デントレックス」における「・・・レックス(ks)」と引用商標の称呼「デントレック」における「・・・レック(k)」とでは,前者(本願商標)の摩擦音が後者(引用商標)に比べてかなり強く,聴者の印象が,後者では詰まる窮屈な感じであるのに対し,前者では強い摩擦音で広がりを有するものとなり,印象を相当異にする。 また,称呼上,本願商標は「デント」に「レックス」(REX)が合体したものであり,引用商標は「デント」に「レック」(REC)が合体したものであって,「レックス」と「レック」では,それぞれ馴染みのある個性ある音構成であるため,聴者をして「デントレックス」と「デントレック」とは互いに相紛れることなく聴別可能である。このことは,「・・・レックス」と「・・・レック」の両商標が互いに同一又は類似の商品(役務)において,非類似の商標として登録が認められている先例(甲1ないし3の各1・2)からも明らかである。 したがって,本願商標と引用商標とは,称呼上類似するものではない。 (イ) 出所混同のおそれがないこと a 原告のホームページ上(甲4)において,原告の商品である口腔洗浄器「デントレックス」が,その称呼と商品の写真とを対応させた形で広く公開されているとともに,その他多数のインターネットショッピングサイトにおいて,写真付きで商品が紹介され,その販売が行われている。 また,原告は,本願商標(「デントレックス/DENTREX」)が付された原告の口腔洗浄器について,新聞の広告記事に多数掲載する等広く宣伝・広告活動を行いながら(甲5,6,8ないし12,14ないし20),家電量販店等においても全国的な販売を実施し,更には,通信販売のカタログ(甲7)や原告会社案内(甲13)にも掲載している。 この結果,原告は,口腔洗浄器「デントレックス」に関して既に多くの販売実績を残すに至っており,本願商標は,社会に広く認識されて,既に大きな信用を化体している。 したがって,少なくとも口腔洗浄器の分野において,本願商標は周知性を獲得している。 b 一方,引用商標の商標権者であるサンシステム株式会社は,主に歯科医院向けのコンピュータシステム(ソフトウェア)の開発及び販売を行っている会社であり(甲21),少なくとも電気式ヘアカーラー,電気式歯ブラシ及び家庭用口腔洗浄器の製造・販売等の取扱いをしていないし,これに関して「デントレック/DENTREC」の商標(引用商標)が使用されている事実もない。 c したがって,引用商標の商標権者の商品と原告の商品(口腔洗浄器)等との間で現実の出所の混同が生ずるおそれはなく,換言すると,口腔洗浄器の分野において「デントレックス」と言えば,原告の口腔洗浄器を想起し,引用商標の「デントレック」の指定商品と混同されるおそれはない。 (ウ) まとめ 以上のとおり,本願商標と引用商標とは,称呼上類似するものではなく,また,観念についても特定の意味をもつものではなく,かつ,外観においても類似せず,更に引用商標の商標権者の商品と原告の商品(口腔洗浄器)等との間で現実の出所の混同が生ずるおそれはないから,本願商標は,引用商標の類似商標(商標法4条1項11号)に当たらないというべきである。 2 請求原因に対する認否 請求原因(1)及び(2)の事実はいずれも認めるが,同(3)は争う。 3 被告の反論 (1) 称呼上の非類似の主張に対し ア 本願商標より生ずる「デントレックス」の称呼と,引用商標から生ずる「デントレック」の称呼とを比較すると,両者は,語頭から続く「デントレック」の音を共通にし,語尾における「ス」の有無という差異を有するものであるが,差異音の「ス」は,舌端を前硬口蓋に寄せて発する無声摩擦音の一つである[s]と母音[u]との結合した音節であり,比較的弱く響く音といえるものである。 そして,「ス」の音は,「デントレックス」の称呼のように「ク」に続いて発音される場合,前音の「ク」の音が明瞭に発音される破裂音であることから,「ク」の音に吸収されて弱く発音されるばかりでなく,称呼識別上,印象の薄い末尾に位置するものであるから,必ずしも明確に聴取されるものではない。 また,そもそも,本願商標及び引用商標の構成各文字は,同じ書体,同じ大きさ,同じ間隔で,まとまりよく一体的に表されているものであり,構成各文字より生ずる「デントレックス」及び「デントレック」の称呼も淀みなく一連に称呼できるものであって,これらを「デント/DENT」と,「レックス/REX」又は「レック/REC]とに,常に分離して把握しなければならない格別の事情は存しない。 したがって,両商標に接する取引者,需要者が,殊更「デント」と,「レックス」又は「レック」とで区切り,それらが合体したものと認識し,かつ,他の称呼と聴別するために,常に「デントレックス」の「レックス」又は「デントレック」の「レック」をあえて意識し,取引に当たるとは考え難い。 そして,本願商標及び引用商標は,上記両称呼を時と所を異にして一連に称呼するときは,その語韻,語調が近似し,互いに聴き誤るおそれがあるから,称呼上類似の商標である。 イ また,原告主張の登録先例と本願商標とは,構成する文字数や称呼の長さにおいて相違する。本願商標の登録の適否は,引用商標との類否判断をもって決せられるべきであって,本件について他の判断事例を画一的に当てはめて判断するのは妥当ではない。 (2) 出所混同のおそれがないとの主張に対し ア 本願商標の「デントレックス」,「DENTREX」を付した商品である口腔洗浄器は,平成14年(2002年)11月8日に発売(予定)され,原告のインターネットホームページや日本経済新聞に広告が掲載されている。しかし,原告の会社案内(甲13)には,原告会社全体の平成15年(2003年)3月期の売上高が583億円であったとの記載があるものの,本願商標の「デントレックス」,「DENTREX」を付した口腔洗浄器の生産,販売,譲渡等の数量及び売上高等が具体的に示されていないばかりか,その立証がないから,本願商標が,我が国において一般需要者に広く知られるに至っているとまではいえない。 イ 一方,商標法4条1項11号は,商品又は役務の出所の混同を防止し,先願で,かつ,先登録の商標権が設定されている場合にこれと抵触する商標の登録を認めない旨を規定したものであり,同号は,上記商標権に係る登録商標の使用の有無とは関係なく適用されるべきである。 したがって,引用商標の商標権が有効に存続している以上,引用商標の商標権者が「電気式ヘアカーラー」に「デントレック/DENTREC」の商標を使用している事実がないことや,原告が本願商標「デントレックス」,「DENTREX」を付して「口腔洗浄器」を販売している等の事情があったとしても,本願商標の類否判断に何らの影響を及ぼすものではない。 また,引用商標が,現在「電気式ヘアカーラー」等に使用されていないとしても,今後も使用されないということはできず,引用商標の商標権者の事業の展開によって,引用商標が上記商品に使用されたときは,本願商標との間において商品の出所の混同が生ずるおそれがある。 (3) 「まとめ」の主張に対し ア 本願商標と引用商標は,いずれも,上段に片仮名文字及び下段に欧文字を表している点において共通するばかりでなく,片仮名文字における「デントレック」及び欧文字における「DENTRE」を同じくするものであり,相違点といえば,末尾における片仮名文字の「ス」の有無及び欧文字部分の「X」と「C」の文字のみである。そして,6文字あるいは7文字からなる文字構成において,一文字の有無や違いは,構成文字全体からすれば微差というべきものであり,かつ,その有無あるいは違いが,文字の外観識別上印象の薄い末尾にあることからすれば,時と所を異にして両商標に接した場合,取引者,需要者に外観上近似した印象を与え,互いに連想等を生じさせるといえるものであるから,両商標は,外観上類似する。 なお,本願商標を構成する「デントレックス」及び「DENTREX」の各文字と,引用商標を構成する「デントレック」及び「DENTREC」の各文字は,それぞれ特定の語義を有しない造語であり,観念については比較することができないから,本件においては,観念が,外観及び称呼の類否判断に影響を及ぼすことはない。 イ そして,本願商標と引用商標とは,外観及び称呼において類似し,かつ,本願指定商品中,「化粧用具」に含まれる「電気式歯ブラシ」と引用商標の指定商品中「電気式ヘアカーラー」とは互いに類似し,また,当該指定商品の取引の実情等において商品の出所の混同を生ずるおそれはないとする特別の事情は存在しないから,両商標は類似するというべきである。 |
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当裁判所の判断
1 請求原因(1)(特許庁における手続の経緯), (2)(審決の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。 2 本願商標と引用商標の類否の有無(請求原因(3)) (1) 商標の類似は,対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるのか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり,その具体的取引状況に基づいて判断すべきものである(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。 そこで,以上の見地に立って,本件商標と引用商標の類否について判断する。 (2) 称呼上の類似性について ア 前記のとおり,本願商標は,「デントレックス」の片仮名文字と「DENTREX」の欧文字を上下二段に表してなる商標であり,引用商標は「デントレック」の片仮名文字と「DENTREC」の欧文字を上下二段に表してなる商標であって,その構成上,末尾における片仮名文字「ス」の有無及び欧文字の「X」又は「C」に差異があるが,他の部分は共通している。そして,本願商標と引用商標は,いずれも構成各文字が特定の語義を有しない造語であって,本願商標は構成文字に相応して「デントレックス」の称呼を,引用商標は構成文字に相応して「デントレック」の称呼をそれぞれ生じ,両商標の称呼は,語頭から続く「デントレック」の音を共通にし,語尾における「ス」音の有無という差を有するものである。 そこで,本願商標から生ずる「デントレックス」の称呼と引用商標から生ずる「デントレック」の称呼を対比すると,両称呼は,「デントレック」の6音が共通し,相違する音は語尾の摩擦音「ス」の1音のみであり,本願商標及び引用商標を,それぞれ一連に称呼する場合,両商標は全体の語感,語調が近似した紛らわしいものであることが認められるから,両商標は,称呼において類似するというべきである。 イ これに対し原告は,本願商標の称呼「デントレックス」における「・・・レックス(ks)」の摩擦音が,引用商標の称呼「デントレック」における「・・・レック(k)」に比べてかなり強く,聴者の印象が,後者(引用商標)では詰まる窮屈な感じであるのに対し,前者(本願商標)では強い摩擦音で広がりを有するものとなり,印象を相当異にし,また,称呼上,本願商標は「デント」に「レックス」(REX)が,引用商標は「デント」に「レック」(REC)がそれぞれ合体したものであって,「レックス」と「レック」では,それぞれ馴染みのある個性ある音構成であるため,聴者をして「デントレックス」と「デントレック」とは互いに相紛れることなく聴別可能であるから,本願商標と引用商標は,称呼上類似しない旨主張する。 しかし,本願商標と引用商標は,いずれも構成各文字が特定の語義を有しない造語であって,それぞれを一連に称呼する場合,特定の構成文字に着目したり,原告が主張するように「デント」と「レックス」又は「レック」が合体したものであることを特に意識するものとは認めることはできないし,また,語尾の摩擦音「ス」の違いが聴衆に強い印象を与えるものと認めることもできないから,原告の上記主張は採用することができない。 なお,原告主張の登録先例に係る各商標(甲1ないし3の各1・2)は,本願商標及び引用商標と構成,称呼又は指定商品等を異にするのみならず,使用される取引の実情も定かでないから,上記登録先例をもって,本願商標と引用商標が称呼上類似するとの前記認定を覆すことはできない。 (3) 出所混同のおそれについて ア 本願商標の指定商品中「化粧用具」と引用商標の指定商品中「電気式ヘアカーラー」が,主に,顔や髪など外見を美しく粧うための商品であって,それぞれ販売場所及び需要者層を共通にする互いに類似の商品であること(審決3頁8行〜15行)は,当事者間に争いがない。 イ 証拠(甲4ないし20)によれば,@ 原告のホームページ(2002年(平成14年)掲載のもの。甲4)上に,「商品名 デントレックス」,「発売予定日 2002年11月8日(いい歯の日)」,「標準価格(税別)13,800円」,「年間販売予定数 30,000台/年」,「リコーエレメックス販売窓口」などとして,原告が口腔洗浄器「デントレックス」を発売する旨の記事が掲載されたこと,A 原告は,平成15年12月19日付け(甲5),平成16年8月14日付け(甲6),平成17年4月30日付け(甲9),同年5月4日付け(甲10),同年5月7日付け(甲11),同年5月12日付け(甲12),同年5月23日付け(甲14),同年5月31日付け(甲15),同年6月3日付け(甲16),同年6月4日付け(甲17),同年6月14日付け(甲18),同年6月15日付け(甲19),同年6月19日付け(甲20)の各日本経済新聞,全日空(ANA)の機内誌(ANA SKY SHOP 2004 vol.100。甲7)等に,「デントレックス」,「DENTREX」の商品名で,原告の口腔洗浄器の宣伝広告を出したこと,B 原告の会社案内(甲13)に,原告が企画開発した製品の一つとして,口腔洗浄器「デントレックス」の紹介がされていることが認められる。 上記認定事実によれば,原告は,その販売する上記口腔洗浄器に本願商標を使用していることが認められるが,上記口腔洗浄器の販売実数等の立証がされていないことに照らすと,上記認定事実によっても,本願商標が需要者,取引者の中で周知性を獲得したものとまで認めることはできない。 したがって,本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との間で出所の混同が生ずるおそれがない旨の原告の主張は,その前提を欠くものと して,採用することができない。 (4) 小括 以上に説示したところによれば,本願商標と引用商標は,称呼上類似し,共に特定の語義を有しない造語であって,特定の観念を生じさせるものではないこと,その構成上,末尾における片仮名文字「ス」の有無,及び欧文字の「X」又は「C」に差異があるが他の構成文字は共通し外観上近似した印象を与えるものであることが認められ,これらの事実と取引における本願商標の使用状況等(前記(3)イ)を総合して全体的に考察すると,本願商標は,引用商標の類似商標であると認めるのが相当である。 そして,本願商標の指定商品中に引用商標の指定商品と類似のものがあることは先に説示したとおりであるから,本願商標が商標法4条1項11号に該当するとした審決の判断に誤りはないというべきである。 3 結論 以上によれば,原告の本訴請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 中野哲弘 |
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裁判官 | 大鷹一郎 |
裁判官 | 長谷川浩二 |