関連ワード | 包装 / 指定商品 / 差止 / 継続 / |
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事件 |
平成
15年
(ワ)
2570号
商標権侵害差止等請求事件
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原告 日新化工株式会社 訴訟代理人弁護士 田中章雅 同 松本裕之 訴訟復代理人弁護士 鈴木英之 被告 株式会社エービーシー・マート 訴訟代理人弁護士 藤田謹也 同 小林豊 |
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裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2004/07/21 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1 被告は,別紙標章目録記載の標章を付した紳士靴,その包装箱その他の印刷物を販売し又は販売のために展示してはならない。 2 被告は,その占有する前項記載の製品に付した別紙標章目録記載の標章を抹消せよ。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,被告の負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り仮に執行することができる。 |
事実及び理由 | |
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請求
1 主文第1項と同旨 2 被告は,その占有する別紙標章目録記載の標章を付した紳士靴,その包装箱その他の印刷物を廃棄せよ。 |
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事案の概要
原告は被告に対し,別紙標章目録記載の標章(以下「被告標章」という。)を付して紳士靴等を販売等する被告の行為が原告の有する商標権を侵害すると主張して,被告標章を付した紳士靴の販売等の差止め及び同紳士靴等の廃棄を求めた。 1 争いのない事実等(認定の根拠を掲げない事実は当事者間に争いがない。) (1)当事者 原告は,靴の製造,販売等を目的とする株式会社である。 被告は,衣料用繊維製品,皮革製品及び靴の製造,販売並びに輸出入等を目的とする株式会社であり,「ABC-MART」の店舗名で,全国で約100店舗の靴専門販売店を経営している。 (2)原告の商標権 原告は,以下の商標権(以下「原告商標権」といい,その登録商標を「原告商標」という。)を有している(甲13,争いのない事実)。 登録番号 第3154851号 登録年月日 平成8年5月31日 商品区分及び指定商品 第25類 履物 登録商標 HYDROSTOPPER (3)原,被告間の契約締結 原告と被告は,平成12年6月ころ,下記の内容を含む本件商標権使用及び技術供与・顧問契約を締結した(以下「本件契約」という。)。 ア 被告は,原告が所有する原告商標等を,被告の製品を販売する通常の過程において使用することができる(第1条)。 イ 原告は,被告に対して,必要となる技術内容を開示し,指導を行う(第2条)。 ウ 原告は,被告に対し,技術・ノウハウを指導提案する(第3条)。 エ 原告は被告に対し,本契約の契約期間における契約料として1000万円を支払う。ただし,契約が更新される場合は,平成13年5月31日以降の契約料は4半期ごとに支払われるものとする(第7条)。 オ 本契約は平成12年6月1日より発効し,平成13年5月31日失効するものとし,一方当事者が継続又は更新することを希望する場合には,本契約満了の2か月前までに協議する。原告は,被告に対して,契約期間中は,要求に応じて原材料を供給する(第8条)。 (4)本件契約の終了 原告は,本件契約の契約期間経過後も,被告の要求に応じて,被告に対し,原材料の供給を行い,また,靴底材に関する問い合わせにも応じていた。そして被告は,被告標章をその製造委託する紳士靴に付して販売を継続していた。 そこで,原告は,被告に対し,平成14年5月17日到達の内容証明郵便により,本件契約に基づく契約料の支払を求めた。 これに対し,被告は,平成14年11月11日付内容証明郵便にて,本件契約は平成13年5月31日に終了している旨を回答した。 以上のとおり,本件契約は,同日の経過をもって終了した。 (5)被告の行為 被告は,本件契約終了後も,紳士靴を委託製造の上輸入し,その紳士靴及びその包装物に,原告の許諾を受けることなく,被告標章を付して販売した。なお,被告標章の付された紳士靴及びその包装物は,現在,被告が保管している。 (6)原告商標と被告標章の類否 原告商標と被告標章は類似している。 2 当事者の主張 (原告の主張) 前記1のとおり,被告が被告標章を付した紳士靴,その包装箱その他の印刷物を販売し又は販売のために展示する行為は,原告商標権を侵害する行為である。 したがって,被告標章を付した紳士靴,その包装箱その他の印刷物の廃棄が必要である。 (被告の反論) 被告標章を付した紳士靴,その包装箱その他の印刷物から,被告標章のみを研磨,塗りつぶし等の方法により抹消することが技術的に可能であるから,被告標章を付した紳士靴,その包装箱その他の印刷物のすべてを廃棄する必要はない。 |
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当裁判所の判断
1 差止請求について 前記第2,1の「争いのない事実等」によれば,被告が,紳士靴及びその包装箱等に被告標章を付して販売し又は販売のために展示する行為は,原告商標権の侵害に該当する。 そして,被告が被告標章を付した紳士靴等を占有している以上,なお原告商標権が侵害されるおそれがあるというべきであるから,被告に対し上記行為の差止めを求める原告の請求は理由がある。 2 廃棄請求について 原告は,被告標章を付した紳士靴等の廃棄が必要である旨主張する。 しかし,証拠(甲6の1ないし6,甲8の1ないし6,乙5の1ないし乙10の2)及び弁論の全趣旨によれば,被告標章の付された紳士靴,包装箱その他の印刷物から研磨,塗りつぶし等の方法により被告標章を抹消することは,技術的に可能かつ容易であって,被告標章を抹消したとしても,同紳士靴等は,取引上,その価値を減ずることなく,支障なく流通し得るものであることが認められる。 以上によれば,被告の占有する被告標章を付した紳士靴等の廃棄が必要であるとまでは認められず,原告の廃棄請求は,同物件から被告標章の抹消を求める限度で理由があると解するのが相当である。 3 結論 よって,原告の請求は,主文掲記の限度で理由がある。なお,民訴法64条ただし書を適用し,訴訟費用は全部被告の負担とする。 |
裁判長裁判官 | 飯村敏明 |
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裁判官 | 榎戸道也 |
裁判官 | 神谷厚毅 |