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事件 平成 26年 (行ケ) 10056号 審決取消請求事件
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裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2014/08/06
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
判例全文
判例全文
平成26年8月6日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成26年(行ケ)第10056号 審決取消請求事件

口頭弁論終結日 平成26年7月16日

判 決

原 告 関 彰 商 事 株 式 会 社

訴訟代理人弁理士 中 川 邦 雄

被 告 特 許 庁 長 官

指 定 代 理 人 内 藤 順 子

同 井 出 英 一 郎

同 山 田 和 彦

主 文

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1 請求

1 特許庁が不服2013−14191号事件について平成26年1月20

日にした審決を取り消す。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

第2 事案の概要

1 特許庁における手続の経緯等

原告は,平成24年9月4日,下記の商標(以下「本願商標」という。)

について,指定役務を第37類「事務用機械器具の修理又は保守,電子応

用機械器具の修理又は保守,電話機械器具の修理又は保守,ラジオ受信機

又はテレビジョン受信機の修理,電気通信機械器具(「電話機械器具・ラ

ジオ受信機及びテレビジョン受信機」を除く。)の修理又は保守,民生用

電気機械器具の修理又は保守,電動機の修理又は保守,配電用機械器具の




修理又は保守,発電機の修理又は保守」(平成25年3月15日提出の手

補正書により補正されたもの。以下「本件指定役務」という。)として,

商標登録出願をした(商願2012−71381号)。

記(本願商標)




原告は,上記商標登録出願に対して,平成25年5月10日付けで拒絶

査定を受けたので,同年7月24日,拒絶査定に対する不服の審判を請求

した。

これに対し,特許庁は,原告の請求を不服2013−14191号事件

として審理し,平成26年1月20日,「本件審判の請求は,成り立たな

い。」とする審決(以下「本件審決」という。)をし,同年1月30日,

その謄本は原告に送達された。

原告は,平成26年3月1日,本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提

起した。

2 本件審決の理由の要旨

本件審決の理由は,別紙審決書の写しのとおりである。要するに,「ネッ

トワークおまかせサポート」の文字からなる本願商標は,「コンピューター

ネットワークに関する相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択

せず,他人にまかせてサポートしてもらうサービス」という程の意味合いを

表すものとして理解されるものであり,本願商標を,指定役務に使用しても,

その役務の質を表示したものと認識・理解するにとどまるものであって,自




他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであるから,

商標法3条1項3号に該当し,登録を受けることができない,というもので

ある。

3 取消事由

本願商標の商標法3条1項3号該当性の判断の誤り

第3 当事者の主張

〔原告の主張〕

1 本件審決は,本願商標の構成中「ネットワーク」の文字は,「複数のコン

ピューターを通信回線を介して接続し,データのやりとりを行えるようにし

たもの」を意味する「コンピューターネットワーク」の略語としてよく知ら

れているものであること,本願商標の指定役務を取り扱う分野においては,

インターネットなどのコンピューターネットワークに接続する電子応用機械

器具や電気通信機械器具等の修理又は保守のサービスも含まれるところ,当

該分野において,コンピューターネットワークの障害箇所や問題点について

サポートするサービスを「ネットワークサポート」と一般的に称しているこ

と,「おまかせサポート」の文字についても,コンピューターネットワーク

に関する相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人に

任せてサポートしてもらうサービスを表すものとして普通に使用されている

ことが認められ,このように,「ネットワークサポート」及び「おまかせサ

ポート」の文字が普通に使用されていることからすると,「ネットワークお

まかせサポート」の文字からなる本願商標は,「コンピューターネットワー

クに関する相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人

にまかせてサポートしてもらうサービス」という程の意味合いを表すものと

して理解されるものであって,本願商標を,その指定役務中,例えば,「コ

ンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電話機械器具・ラ

ジオ受信機又はテレビジョン受信機・電気通信機械器具(「電話機械器具・




ラジオ受信機又はテレビジョン受信機」を除く。)の修理又は保守」に使用

しても,これに接する取引者,需要者は,「コンピューターネットワークに

関連する電子応用機械器具や電気通信機械器具等について,顧客が自分で判

断・選択せず,他人にまかせてサポートしてもらう修理及び保守の役務」で

あること,すなわち,役務の質を表示したものと認識・理解するにとどまる

ものであって,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものという

べきであるから,商標法3条1項3号に該当し,登録を受けることができな

い,と認定・判断した。

2 しかし,本願商標の外観は,「ネットワーク」の片仮名6文字,「おまか

せ」の平仮名4文字及び「サポート」の片仮名4文字が,一体不可分に接合

されて一連一体に横書きされ,全体として太文字体で,各文字の周囲全体が

白色で囲まれ,文字の背後に薄暗い影が存在し,本願商標を構成する14文

字は全て赤色に彩られ,本願商標全体が立体的に見えるようにデザインされ

ている。本願商標の称呼は,「ネットワークオマカセサポート」の14音数

からなり,「ネットワーク」と「おまかせ」間,及び「おまかせ」と「サポー

ト」間にスペースもなく,一連一体として称呼し得る造語である。そして,

「ネットワークおまかせサポート」の外観又は称呼によって,本件指定役務

の品質を表示するものは存在せず,インターネットで検索しても見当たらな

い。また,一体不可分の造語である「ネットワークおまかせサポート」から

は特定の観念が生じることはない。

したがって,本願商標は,外観称呼及び観念において,自他役務の識別

力を有するものであるから,本件審決が本願商標に自他役務の識別力がない

と判断したことは誤りである。

3 本願商標は,前記のとおり,一連一体に横書きされ一体不可分に構成され

た造語であって,造語である「ネットワークおまかせサポート」からは特定

観念が生じることはない。また,商標の識別力の有無は,商標の全体を観




察して判断すべきである。それにもかかわらず,本件審決が,本願商標をあ

えて「ネットワーク」の構成,「ネットワークサポート」の構成及び「おま

かせサポート」の構成に分離させた上で,それぞれの語から生じる意味合い

から全体の意味合いを認定して,本願商標は自他役務の識別力がないと判断

したことは誤りである。

4 本件審決は,本願商標は,ネットワークに関する内容について顧客をサ

ポートする役務の提供であるという,単に役務の質(内容)を普通に用いら

れる方法で表示したにすぎない標章であると判断した。

しかし,本件指定役務は,「インターネット用にのみ使用する電子応用機

械器具の修理又は保守」ではないし,「インターネット用にのみ使用する電

気通信機械器具の修理又は保守」でもない。このような指定役務が本願商標

指定役務であれば,本願商標は単に役務の質(内容)を普通に用いられる

方法で表示したにすぎないと認定されることもあろう。しかるに,本件指定

「ネットワークおまかせ

サポート」の文字が,本件指定役務の質(内容)を表示するものとして取引

上普通に使用されている事実はなく,インターネットで検索してもかかる使

用の事実は見当たらないのであって,取引者,需要者に認識されているとも

いい得ない。そうすると,本願商標である「ネットワークおまかせサポート」

が,本件指定役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示した標章であ

るとの本件審決の判断は誤りである。

5 被告は,本願商標

て,いずれも指定役務を第37類等として,商標登録を認めているにもかか

わらず,本件審決が本願商標の登録を認めないのは,審査の統一性の観点か

ら逸脱し不当であり,また,被告が,以下の の商標についても,い

ずれも指定役務を第37類等として商標登録を認めていることからすれば,





「おまかせ」の文字部分に自他役務の識別力が存在することは明らかである。

したがって,本件審決は違法であり,取り消されるべきである。

商標「ナイスネットサポート」,登録番号第4574354号

商標「スピードサポート」,登録番号第4666078号

商標「ネット de サポート」,登録番号第4691906号

商標「ホテルクリーンサポート」,登録番号第4856076号

商標「マルチサポート」,登録番号第4924389号

商標「株式会社水道サポート」,登録番号第5093696号

商標「リハウスサポート」,登録番号第5100677号

商標「安心ケイタイサポート」,登録番号第5146909号

商標「安心サポート」,登録番号第5362459号

商標「オフィスまるごとサポート」,登録番号第5375332号

商標「オフィス/まるごと/サポート」,登録番号第5375333号

商標「ITまるごとサポート」,登録番号第5459319号

商標「あんしんケアサポート」,登録番号第5484097号

商標「スマートフォンあんしん遠隔サポート」,登録番号第54993

97号

商標「おまかせ工房/omakase-factory」,登録番号第4790195号

商標「おまかせさん」,登録番号第4928602号

〔被告の主張〕

1 本願商標は,「ネットワークおまかせサポート」の文字を書してなるとこ

ろ,これは,「複数のコンピューターを通信回線を介して接続し,データの

やりとりを行えるようにしたもの。 を意味する
」 「コンピューターネットワー

ク」の略語としてよく知られている「ネットワーク」の文字と,「自分で判

断・選択せず,他人にまかせること。」を意味する「おまかせ」の文字と,

「支えること。支持。支援。助け。」を意味する「サポート」の文字を組み




合わせたものと理解される。

そして,本願商標の態様は,赤色の文字を白色で縁取りし,これに陰影を

付したものであるところ,これらの表現方法は,該文字を目立たせ,これに

接する需要者等の注目を引くために用いられるありふれた表現方法であっ

て,格別に特異な態様ではなく,本願商標は,普通に用いられる方法で表示

する標章である。

本願商標の指定役務に関連するコンピューターやモバイルといった電子

応用機械器具・電気通信機械器具などを取り扱う業界においては,本願商標

を構成する文字のうち,「ネットワークサポート」及び「おまかせサポート」

の文字が,それぞれ「コンピューターネットワークの障害箇所や問題点につ

いてサポートするサービス」及び「コンピューターネットワークに関する相

談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人にまかせてサ

ポートしてもらうサービス」を表すものとして,使用されている実情にある。

また,本願商標の指定役務には,「コンピューターネットワークに関連す

る電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」の役務が含まれ

るところ,上記役務については,近時のコンピューターネットワーク技術の

急速な進歩と複雑化に伴い,コンピューターネットワークに接続される関連

機器を一括して修理又は保守するサービスが一般的に提供されている。

以上によれば,取引者,需要者は,「ネットワークおまかせサポート」の

文字からなる本願商標を「コンピューターネットワークに関する相談や接続

設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人にまかせてサポートし

てもらうサービス」という程の意味合いを表すものとして,認識し,理解す

るものというべきであるから,本願商標を,その指定役務中,例えば,「コ

ンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電話機械器具・ラ

ジオ受信機又はテレビジョン受信機・電気通信機械器具(「電話機械器具・

ラジオ受信機又はテレビジョン受信機」を除く。)の修理又は保守」に使用




した場合,これに接する取引者,需要者は,「コンピューターネットワーク

に関連する電子応用機械器具や電気通信機械器具等について,顧客が自分で

判断・選択せず,他人にまかせてサポートしてもらう修理及び保守の役務」

であることを理解し,役務の質を表示したものとして認識するにとどまると

みるべきである。そして,本願商標の態様は,格別に特異な態様ではなく,

普通に用いられる方法で表示されたものといい得る。

したがって,本願商標は,自他役務の識別標識としての機能を果たし得な

いものであって,役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみから

なる商標というべきであり,商標法3条1項3号に該当する。

2 原告は,本願商標は,一体不可分に接合されて一連のものとして構成した

造語であり,このような本願商標の外観及び称呼によって,本件指定役務

質(内容)を表示するものは存在せず,本願商標は,称呼外観及び観念

いずれにおいても自他役務の識別力を有するものであるから,本願商標が商

標法3条1項3号に該当すると判断した本件審決は,違法なものとして取り

消されるべきである旨主張する。

しかし,「ネットワークオマカセサポート」と称呼される「ネットワーク

おまかせサポート」の文字が,現に使用されていないとしても,本願商標は,

前記1のとおり,その指定役務中,例えば,「コンピューターネットワーク

に関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」に使用

した場合,これに接する需要者が,「コンピューターネットワークに関連す

る電子応用機械器具や電気通信機械器具等について,顧客が自分で判断・選

択せず,他人にまかせてサポートしてもらう修理及び保守の役務」という程

の意味合いを表すものであると無理なく理解することができるものである

から,役務の質を表示したものというべきである。

したがって,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとした本件審決に

誤りはなく,原告の上記主張は失当である。




3 原告は,本願商標が,一連一体に横書きされた一体不可分の造語であって,

特定の観念が生じることのない商標であり,かつ,商標の識別力の存否は商

標の全体を観察して判断すべきであるにもかかわらず,本件審決があえて本

願商標を各構成に分離させた上で識別力がないと認定していることは,妥当

な判断ではない旨主張する。

しかし,複数の語を結合した商標については,その組合せが意味合いと

して不自然でない場合は,構成全体から,各語の意味合いに相応する特定

の意味合いを生ずるというべきである。そして,本願商標を構成する「ネッ

トワーク」,「おまかせ」及び「サポート」の各語が日常的な語であり,

前記1のとおりの本件指定役務の分野における取引の実情からすると,本

願商標は,外観上一体的な態様であるとしても,上記各語を組み合わせた

ものと容易に理解されるから,構成全体から,その各語の意味合いに相応

して,「コンピューターネットワークに関する相談や接続設定の代行など,

顧客が自分で判断・選択せず,他人にまかせてサポートしてもらうサービ

ス」程の意味合いを無理なく自然に理解できるものである。

したがって,本件審決は,上記事実に基づいて,本願商標の構成全体か

ら上記意味合いが認識されると判断したものであるから,原告の上記主張

は失当である。

4 原告は,本件指定役務は,各種機械器具の修理又は保守であり,また,

本件指定役務の分野において,「ネットワークおまかせサポート」の文字

が,取引上普通に使用されている実例がないので,本願商標が,直ちに本

指定役務の質を直接的かつ具体的に表示したものとはいえず,本願商標

は,「普通に用いられる方法で表示する標章」ではない旨主張する。

しかし,本願商標の指定役務には,前記1のとおり,例えば,
「コンピュー

ターネットワークに関連する電子応用機械器具 電気通信機械器具の修理又


は保守」を含む。そして,本願商標の指定役務を取り扱う業界において,




「ネットワークおまかせサポート」の一連の文字が使用されていないとして

も,前記1のとおり,「ネットワークサポート」及び「おまかせサポート」

の文字の使用例からすれば,本願商標は,「コンピューターネットワークに

関する相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人にま

かせてサポートしてもらうサービス」程の意味合いを無理なく理解させるも

のであって,本願商標の指定役務中,例えば,「コンピューターネットワー

クに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」に使

用された場合には,需要者等は,「コンピューターネットワークに関連する

電子応用機械器具や電気通信機械器具等について,顧客が自分で判断・選択

せず,他人にまかせてサポートしてもらう修理及び保守の役務」であること

を理解,認識するにとどまるものであるから,本願商標は,役務の質を表示

したものというべきである。そして,商標法3条1項3号は,取引者,需要

者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につ

き,それ故に登録を受けることができないとしたものであって,該表示態様

が,商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか,現実に使

用されている等の事実は,同号の適用において必ずしも要求されない。

したがって,本願商標は,役務の質を普通に用いられる方法で表示する標

章のみからなる商標ということができるから,原告の上記主張は失当であ

る。

5 原告は,「サポート」の文字を含む登録例を挙げ,本件審決は,過去の

審査判断を逸脱しており,「審査の統一性」を無視したものであって不当

であること,また,「おまかせ」の文字を含む登録例を挙げ,これらの商

標が登録されていることは,被告がその登録商標の構成中の「おまかせ」

の文字部分に識別力があると認めたものであるから,本願商標も識別力

具備するものであるとして,本願商標は登録されるべきである旨主張する。

しかし,本願商標が商標法3条1項3号に該当するかどうかは,当該商




標の全体の構成に基づいて,これを構成する「ネットワーク」,「おまか

せ」及び「サポート」の文字が有する語義並びに本願商標の指定役務を取

り扱う業界における一般的な取引の実情を考慮して,個別具体的に検討,

判断されるべきものである。

したがって,原告提出の登録例がその構成中に「サポート」又は「おま

かせ」の文字を有し,指定役務を共通にするとしても,本願商標とは全体

の構成や個々の事情が異なるものであるから,それらの登録例を本願商標

の判断において参考にすることは妥当でない。原告の上記主張は失当であ

る。

第4 当裁判所の判断

1 商標法3条1項3号が,その役務の提供の場所,質,提供の用に供する

物,効能,用途,数量,態様,価格又は提供の方法若しくは時期を普通に

用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録の要

件を欠くと規定しているのは,このような商標は,指定役務との関係で,

その役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途その他の特

性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人も

その使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるの

は公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,多くの

場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。

そうすると,本願商標が商標法3条1項3号に該当するというためには,

本件審決時である平成26年1月20日の時点において,本願商標がその

指定役務との関係で役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,

用途その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示

であり,本願商標がその指定役務に使用された場合に,将来を含め,指定

役務の取引者,需要者によって役務の上記特性を表示したものと一般に認

識されるものであれば足りると解される。




2 本願商標について

本願商標は, 「ネットワークおまかせサポー

ト」の文字を,赤色の文字を白色で縁取りした太文字体で,これに陰影

を付してなる商標であり,「ネットワーク」の片仮名6字と,「おまか

せ」の平仮名4字と,「サポート」の片仮名4字とを結合して一連表記

した結合商標である。本願商標からは「ネットワークオマカセサポート」

称呼が自然に生じる。

そして,乙1(広辞苑第六版)には,本願商標を構成する「ネットワー

ク【net work】」の語義については,「コンピューター・ネットワークの

略。」と,その「コンピューター・ネットワーク【computer network】」

の語義については,「複数のコンピューターを通信回線を介して接続し,

データのやりとりを行えるようにしたもの。」と,また本願商標を構成

する「おまかせ【御任せ】」の語義については,「自分で判断・選択せ

ず,他人にまかせること。一任すること。」と,さらに本願商標を構成

する「サポート【support】」の語義については,「支えること。支持。

支援。助け。」と,それぞれ記載されていることが認められる。

とおりであるところ,本件指定役務

中には,コンピューターやモバイル等の「電子応用機械器具の修理又は

保守,電気通信機械器具の修理又は保守」が含まれると解されるから,

本件指定役務には「コンピューターネットワークに関連する電子応用機

械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」が含まれるということが

できる。

ア そして,上記「コンピューターネットワークに関連する電子応用機

械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」の役務と関連の深いコ

ンピューターやモバイル等の電子応用機械器具・電気通信機械器具な

どを取り扱う業界分野においては,本件審決時(平成26年1月20




日)までに,インターネットのホームページにおいて,本願商標を構

成する文字のうち,「ネットワーク」と「サポート」の文字からなる

「ネットワークサポート」の語について,コンピューターネットワー

クシステムの障害箇所や問題点を解決するサポートサービス(乙7),

コンピューターネットワークの構築やトラブルなど情報システムの幅

広い問題に対応するサポートサービス(乙11)等の意味合いを有す

るものとして用いられていることが認められる。

具体的には,

「ネットワークサポートサービス ネットワークサポートは,ネッ

トワークの監視,診断,ヘルプ,性能管理などのサービスから構成

されています。これらのサービスによりお客様のネットワークシス

テムの障害箇所や問題点を早期に発見し,迅速な障害復旧・問題を

解決するサポートサービスを提供いたします。」(乙7)

「ネットワークサポート すでに利用されているネットワーク機

器の不具合に際し,その原因究明と復旧に努めます。」(乙8)

「ネットワークサポート お客様の業務ニーズにお答えし,イン

フラ系〜業務系,各工程に於いては運用設計から構築,企画提案,

改善サポート業務等,幅広い業務を一貫して行っています。ネット

ワークサーバーに関する業務を一貫して行うのが「ネットワークサ

ポート部」。当部は「システムグループ」と「カスタマーグループ」

に分かれており,「システムグループ」では,ネットワークサーバー

の改善や新規導入におけるコンサルタント業務,さらにはネット

ワークサーバーの設計,構築,運用に携わっています。カスタムグ

ループでは,PC・ネットワーク利用者に対するサポート・ヘルプ

業務等を行っています。…ネットワークサポートから構築まで,幅

広くサービス提供をしています。」(乙9)




「ネットワークサポート保守のご案内…弊社ではより安全で快適

なコンピュータ・ネットワーク環境構築のお手伝いをいたします。」

「【主なサービス内容】パソコン診断サービス…修理・クレーム出

向サービス…業務改善相談サービス…修理一括相談サービス」(乙

10)

「PC・ネットワークサポート ネットワークの構築やパソコン

のトラブルなど,情報システムの幅広い問題に対応いたします。」

「サポート内容 PCトラブルアドバイス…インターネットに接続

できない,メールが受信できない等のトラブルに際し,設定の方法

をサポート。

ネットワーク構築アドバイス お客さまのネットワーク環境を確

認し,必要なハードウェア,ソフトウェア,PC等の選定及びアド

バイス。」(乙11)

「PCネットワークサポート」「ITコンシェルジュ パソコン

の導入支援・メールの管理・ファイルの共有など,「貴社のサービ

ス」に「+WEB(プラスウェブ)」でITを活用するためのサー

ビスです。ITスキルの高い専門のスタッフがトラブルを事前に回

避出来るように,社内のITインフラを整備し,強力にバックアッ

プします」 (乙12)

など,「ネットワークサポート」の語が前記意味合いを有するものと

して用いられている。

イ また,前記アと同じく「コンピューターネットワークに関連する電子

応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」の役務と関連の深

いコンピューターやモバイル等の電子応用機械器具・電気通信機械器具

などを取り扱う業界分野においては,本件審決時(平成26年1月20

日)までに,平成22年の技術情報誌や,インターネットのホームペー




ジにおいて,本願商標を構成する文字のうち,「おまかせ」と「サポー

ト」の文字からなる「おまかせサポート」の語については,顧客のコン

ピューターネットワーク接続等を遠隔(リモート)サポートや出張サポ

ートにより解決するサポートサービス(乙13),サポートスタッフが

顧客のパソコンを直接操作して問題解決するインターネットを通した

遠隔サポートサービス(乙14),操作方法の問い合わせ対応,障害発

生の原因究明・対処,その他付随する相談等のサービス(乙16),コ

ンピューターネットワークにおける顧客の困りごとにワンストップで

対応するサービス(乙18)など,コンピューターネットワークに関す

る相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人にま

かせてサポートしてもらうサービスの意味合いを有するものとして用

いられていることが認められる。

具体的には,

「おまかせサポート トラブルの時も安心!リモートでもサポート

が受けられるオプションサービスです。」「サポート内容 トラブル

の時にお客様宅に訪問することなく,遠隔(リモート)でサポートが

受けられるサービスです。また,遠隔サポートでトラブルが解決でき

ない場合には,お客様宅へお伺いする「出張サポートサービス」…も

ございます。WiMAX機器だけでなく,周辺機器(プリンター,デ

ジタルカメラ等)やインターネットの設定までサポートします。 「お


まかせサポート(遠隔サポート)の対応範囲…パソコンの設定,パソ

コンの初期化等…スマートフォン・スマートパッドの初期設定等…イ

ンターネット接続サービスの初期設定等」(乙13)

「おまかせサポート おまかせサポートはインターネットを通した

遠隔サポートサービスです。…サポートスタッフはお客様のパソコン

を直接操作して問題解決いたします。」(乙14)




「おまかせサポート」「遠隔サポート 電話をしながらパソコンの

遠隔操作で解決」「訪問サポート 専門スタッフが無料…で訪問対

応」「NET訪問サポート詳細 作業内容 …PC基本設定(以下5

点★のセット)PCとモデムの有線/無線接続★,市販無線LAN

ルーター(親機/子機)設定★,ブラウザ設定★,メールソフト設定

★,セキュリティソフトのインストール★…スマホ・タブレットの設

定…パソコンのテレビチューナー接続…Windows Updat

e(30分毎) Windowsリカバリー…トラブル調査 (30

分毎) ウイルス駆除」(乙15)

「おまかせサポートの内容 @操作方法がわからない場合の問い合

わせ対応,A障害発生の原因究明・対処(メーカーへの保守依頼*),

Bデータ破損,システム停止等の原因究明・対処,Cデータ量増加に

よる記憶容量調査・助言,Dコンピュータ関連情報の提供・助言,E

上記各項に付随した相談,Fシステムレベルアップに対する相談」 乙


16)

「充実のサポート体制でおまかせ・安心! おまかせサポート〈マ

ンションコース〉」「おまかせ1 おたすけマンの「かけつけ設定サ

ポート」…初心者の方でも,専門スタッフがお宅におうかがいして,

モデム接続からパソコン設定まで行いますので心配はご無用。」「お

まかせ2 「おたすけ電話サポート」 設定中に疑問が発生しても…

疑問・質問に電話でお答えします。」(乙17)

「家庭内のICT環境は,PC単体でのインターネット利用から,

複数のPCや,TV,ゲーム機などの情報家電をネットワークに接続

し利用する環境に進展しており,お客様のサポートニーズもさらに複

雑化してきます。…お客様のお困りごとに対して互いに情報を引き継

ぎワンストップで対応するサポート連携を実施しており,…加えて,




2009年12月からは…TVのインターネット接続設定サービス

をトライアルで実施しており,「ホームネットおまかせサポートサー

ビス(仮称)」の本格実施に向けて取り組んでいます。」「2009

年9月からフレッツ光と接続しているLAN配線からPC・ルータな

どのネットワーク機器までの定期点検やトラブルなどに対応する「オ

フィスネットおまかせサポートサービス」を展開し,ホームネットワ

ークとオフィスネットワークの両面において「お客さまのお困りごと

にワンストップで対応する」ことをテーマに宅内サポートビジネスの

拡大に取り組んできました。」(乙18)

など,「おまかせサポート」の語が前記意味合いを有するものとして用

いられている。

また,本願商標 ところ,赤色の文字

を白色で縁取りした太文字体で表した文字に陰影を付するデザインは,

当該文字を目立たせ,これに接する需要者等の注目を引くためのもので

あるが,かかるデザインは,ごく普通に用いられる一般的な表現方法で

あって,特殊な態様で表示されているものというほどの特徴はない。そ

して,白色で縁取りした文字に陰影を付したデザインについては,コン

ピューターやモバイル等の電子応用機械器具・電気通信機械器具のサポ

ートサービスを行う業界分野においても,かかるデザインを使用した例

が,インターネットのホームページ(乙2〜6)においても存在し,格

別特殊なものということはできない。

したがって,本願商標の態様は,普通に用いられる形態であるというこ

とができる。

3 本願商標の商標法3条1項3号の該当性

前記2で認定した事実によれば,本願商標を構成する「ネットワーク

おまかせサポート」の語は,本件審決当時,「コンピューターネット




ワークに関する相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択

せず,他人にまかせてサポートしてもらうサービス」程の意味合いを

有する語として,本件指定役務のうち「コンピューターネットワーク

に関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」

に係る事業の取引者,需要者によって一般に認識されるものであった

ことが認められる。したがって,本件審決当時,本願商標は,本件指

定役務のうち「コンピューターネットワークに関連する電子応用機械

器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」の役務に使用されたとき

は,「コンピューターネットワークに関する相談や接続設定の代行な

ど,顧客が自分で判断・選択せず,他人にまかせてサポートしてもら

うサービス」といった役務の質(内容)を表示するものとして,取引

者,需要者によって一般に認識されるものであって,取引に際し必要

適切な表示として何人もその使用を欲するものであったと認められる

から,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとと

もに,自他役務の識別力を欠くものというべきである。



ポート」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる

ものであるということができる。

以上によれば,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものと認

められる。

原告の主張について

ア 原告は,本願商標は,一体不可分に接合されて一連一体に横書き

された造語であり,このような本願商標の外観及び称呼によって,

本件指定役務の質(内容)を表示するものは存在せず,インターネッ

トで検索しても見当たらないのであって,一体不可分の造語である

「ネットワークおまかせサポート」からは特定の観念が生じること




はなく,本願商標は,称呼外観及び観念のいずれにおいても自他

役務の識別力を有するものであるから,本願商標が商標法3条1項

3号に該当すると判断した本件審決は,違法なものとして取り消さ

れるべきである旨主張する。

しかし,前記1で説示したとおり,本願商標が商標法3条1項

号に該当するというためには,本件審決時において,本願商標がそ

指定役務との関係で役務の提供の場所, 提供の用に供する物,
質,

効能,用途その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要

適切な表示であり,その指定役務に使用された場合に,将来を含め,

指定役務の取引者,需要者によって役務の上記特性を表示したもの

と一般に認識されるものであれば足り,それが取引上現実に使用さ

れていた事実があったことまで必要とするものではないというべき

である。

また,本願商標が自他役務の識別力を欠くものであることは,前

ある。

したがって,原告の上記主張は採用することができない。

イ 原告は,本願商標が,一連一体に横書きされ一体不可分に構成さ

れた造語であって,造語である「ネットワークおまかせサポート」

からは特定の観念が生じることはなく,かつ,商標の識別力の存否

は商標の全体を観察して判断すべきであるにもかかわらず,本件審

決が本願商標をあえて「ネットワーク」の構成,「ネットワークサ

ポート」の構成及び「おまかせサポート」の構成に分離させた上で,

それぞれの語から生じる意味合いから全体の意味合いを認定して,

本願商標は自他役務の識別力がないと判断したことは誤りである旨

主張する。

しかし,本願商標の「ネットワークおまかせサポート」の語は,




仮にそれ自体としては一体不可分の造語であるとしても,それを構

成する各単語の語義並びに本件指定役務に関連するコンピューター

やモバイル等の電子応用機械器具・電気通信機械器具などを取り扱

う業界分野における「ネットワークサポート」及び「おまかせサポー

ト」の文字の使用状況などを勘案すれば,前記 の意味合いを有す

る複合語として認識されるものである。

したがって,原告の上記主張は採用することができない。

ウ 原告は,本件指定役務は,前記第2の1 ,各種機械器

具の修理又は保守であり,「インターネット用にのみ使用する電子

応用機械器具・電気通信機械器具の修理又は保守」ではなく,本件

指定役務の分野において,「ネットワークおまかせサポート」の文

字が,取引上普通に使用されている事実もないから,本願商標であ

る「ネットワークおまかせサポート」が,本件指定役務の質(内容)

普通に用いられる方法で表示した標章であるとした本件審決の判

断は誤りである旨主張する。

しかし,商標法3条1項3号の「普通に用いられる方法で表示す

る標章」かどうかは,標章の書体や全体の構成等が特殊な態様のも

のかどうかという問題であって,当該商標が取引上現実に使用され

ている事実があるかどうかによって判断されるものではない。そし

て,前記2 のとおり,本願商標においてみられる赤色の文字を白

色で縁取りした太文字体で表した文字に陰影を付するデザインは,

ごく普通に用いられる一般的な表現方法であって,格別特殊な態様

で表示されているものというほどの特徴はないのであるから,本願

商標は,普通に用いられる方法で表示する標章に当たるということ

ができる。

また,商標登録出願に係る指定商品又は指定役務のうちの一部の




指定商品又は指定役務について拒絶の理由があれば,その商標登録

出願全体が拒絶されることになる(商標法15条)。本件指定役務

は,前記第2の1 「コン

ピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機

械器具等の修理又は保守」

るから,本願商標は,これを本件指定役務のうち「コンピューター

ネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の

修理又は保守」の役務に使用しても,これに接する取引者,需要者

によって,単に役務の質(内容)を表示したものと認識・理解され

るにとどまるものであるから,商標法3条1項3号に該当し,商標

登録を受けることができない。

したがって,原告の上記主張は採用することができない。

エ 原告は,「サポート」の文字を含む指定役務を第37類等とする

商標登録の例を挙げ,本件審決が本願商標の登録を認めないのは,

審査の統一性の観点から逸脱し不当であること,また,「おまかせ」

の文字を含む指定役務を第37類とする商標登録の例を挙げ,被告

がこれらの商標登録を認めていることからすれば,「おまかせ」の

文字部分に自他役務の識別力があることは明らかであることから,

本件審決は違法であり取り消されるべきである旨主張する。

しかし,登録出願に係る商標が商標法3条1項3号に該当するも

のであるかどうかの判断は,当該商標の構成態様と指定商品又は指

定役務とに基づいて,個別具体的に検討・判断されるべきもので

あって,原告主張に係る各商標登録例が存在するからといって,前



ことはできず,また,本願商標についての同号該当性の判断が,こ

れらの各商標登録例によって左右されるものでもない。




したがって,原告の上記主張は採用することができない。

4 結論

以上の次第であるから,本件審決は相当であって,原告主張の取消事由は

理由がなく,原告の本訴請求は棄却されるべきものである。

よって,主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第4部



裁判長裁判官 富 田 善 範




裁判官 田 中 芳 樹




裁判官 柵 木 澄 子






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