関連審決 | 取消2002-31357 |
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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成16行ケ150審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成17行ケ10096審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成18行ケ10105審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成18行ケ10043審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成17行ケ10095審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
関連ワード | 包装 / 指定商品 / 通常使用権 / 国内 / 正当な理由 / 商号 / |
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事件 |
平成
15年
(行ケ)
438号
審決取消請求事件
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原告 アクセス(エイチ・ケー)カンパニー・リミテッド 訴訟代理人弁理士 清原義博 同 坂戸敦 被告 オットゲー エム ベーハー ウント コー カー ゲー 訴訟代理人弁護士 関根秀太 同 酒井剛毅 同 新村文子 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2004/06/30 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 |
事実及び理由 | |
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請求
特許庁が取消2002-31357号事件について平成15年5月27日にした審決を取り消す。 |
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当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告は,別紙記載のとおり,黒地の四角の中に白抜きで中央に四分音符の図形を配し,右下に同じく白抜きで小振りの「otto 」の文字とその下の波形図形を書してなり,指定商品を第25類「履物,運動用特殊靴」(以下「本件指定商品」という。)とする商標登録第4332669号商標(平成10年12月15日登録出願,平成11年11月5日設定登録,以下「本件商標」という。)の商標権者である。 被告は,本件商標について,平成14年11月19日,商標法50条の規定による商標登録の取消しの審判(以下「本件審判」という。)の請求をし,その予告登録が同年12月11日(以下「予告登録日」という。)にされた。 特許庁は,同請求を取消2002-31357事件として審理した結果,平成15年5月27日,「登録第4332669号商標の登録を取り消す。」との審決をし,その謄本は,同年6月6日,原告に送達された。 2 審決の理由 審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,本件審判の請求に対して原告(被請求人)は答弁していないから,原告において,本件審判請求の予告登録日前3年以内において本件指定商品のいずれかについて本件商標を使用していることを証明し,又は使用をしていないことについて正当な理由のあることを明らかにしたとはいえず,本件商標の登録は,商標法50条の規定により取り消すべきものであるとした。 |
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原告主張の審決取消事由
1 原告及び日本における本件商標の通常使用権者である株式会社クエスチョンマーク(平成15年3月18日に「有限会社クエスチョン・マーク」から組織変更。以下「クエスチョンマーク社」という。)は,予告登録日前3年以内に,日本国内において,本件商標を本件指定商品について使用していたものであるから(取消事由),本件商標の使用の事実の証明がないとした審決の認定判断は誤りであり,違法として取り消されるべきである。 2 本件商標が上記のとおり本件指定商品について使用された事実は,原告からクエスチョンマーク社に宛てた2002年(平成14年)8月16日付けインボイス(甲7),同年9月17日付けパッキングリスト(甲8),同日付けインボイス(甲9)(以下,それぞれ「甲7インボイス」,「甲8パッキングリスト」,「甲9インボイス」といい,併せて「本件インボイス等」という。),原告が日本の取引先である大阪ケミカル工業株式会社(以下「大阪ケミカル工業」という。)と共同で作成し頒布したカレンダー(甲10,以下「本件カレンダー」という。)及び本件カレンダーの頒布の事実を示す証明書(甲13〜16-各1),クエスチョンマーク社が作成した商品カタログ(甲11,以下「本件カタログ」という。)及びその受領の事実を示す証明書(甲18〜21)並びに原告代表者Aの平成16年4月20日付け陳述書(甲17-1,以下「原告代表者陳述書」という。)から明らかである。本件カレンダーが平成13年に印刷されたことは,ウィング リー プリンティング カンパニー作成の2004年(平成16年)3月3日付け「作成証明書」(甲12)により,また,本件パンフレットが平成13年11月に作成されたことは,株式会社ビイケイケイ作成の平成16年4月3日付け「作成証明書」(甲22)により,それぞれ示されている。 なお,原告が,本件商標の使用の事実を本件審判の手続中で立証することができなかったのは,本件に関与した日本側の代理人又は香港側代理人のいずれかの手違いによりその機会がなかったことによるものであり,本訴において,改めて,本件商標が原告及びその通常使用権者によって本件指定商品に使用されていたことの立証をする。 |
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被告の反論
1 審決の認定判断に誤りはない。 2 本件カレンダー及び本件カタログは,それらが頒布されたと主張される時期に真実存在したとは考えられない。また,本件インボイス等も,原告と代表者を共通にする系列企業間の文書であり,商品の輸入について必ず存在するはずの税関関係書類等の公的書類が書証として提出されていないことに照らすと,信用性に全く欠けるものである。 のみならず,本件インボイス,本件カレンダー,本件カタログのいずれを見ても,本件商標と本件指定商品との関連性を示すものはない。 原告が本件審判の段階で本件商標の使用の事実を明らかにしなかったのは,代理人の手続ミスによるものではなく,当時,本件商標の使用の事実を示す証拠が存在しなかったからにほかならない。 |
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当裁判所の判断
1 商標法2条によれば,商品に係る商標の「使用」とは,@商品又は商品の包装に商標を付する行為(「付する」ことには,商品若しくは商品の包装,商品に関する広告を商標の形状とすることを含む)(3項1号,4項参照),A商品又は商品の包装に商標を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,又は輸入する行為(3項2号参照),B商品に関する広告,定価表又は取引書類に商標を付して展示し,又は頒布する行為(3項8号参照)のいずれかに該当する行為をいうものである。しかしながら,本件において,以下の2ないし4に説示するとおり,原告提出の証拠によっては,本件商標の商標権者である原告又はその商標権について原告から日本における通常使用権の許諾を受けていたクエスチョンマーク社(甲17-1)により,予告登録日前3年以内に,日本国内において,本件指定商品である「履物,運動用特殊靴」のいずれかについて,上記@ないしBのいずれかに該当する行為が行われたことを認めることはできない。 2 まず,本件インボイス等のうち,甲7インボイスは,本件商標と原告の商号及び住所を左上部に印刷したレターヘッドの用紙を用い,日付けを2002年(平成14年)8月16日,売主及び作成人を原告,買主及び宛先を「QUESTION MARK CO.LTD」と表示し,商品として3種の婦人靴(品番1101,1130,1667)とそれらの数量,単価,価格総額等を記載したものと認められる。甲8パッキングリストは,甲7インボイスと同一レターヘッドの用紙を用い,2002年(平成14年)9月17日の日付けを記載したクエスチョンマーク社宛ての梱包明細書であって,甲7インボイスに記載された商品を出荷地香港から仕向け地大阪に向けて搬送する内容のものと認められる。また,甲9インボイスは,甲7インボイスと同一レターヘッドの用紙を用い,2002年9月17日の日付けを記載し,作成名義を原告としたものであって,甲7インボイスと同品種,同数量,同価格の商品を記載したクエスチョンマーク社宛ての請求書と認められる。 ところで,甲7インボイスには,数量,梱包形態,船積日等の取引条件を記載した中に,「LOGO:“QUESTION MARK”」と記載されているから,本件インボイス等に記載された商品の婦人靴は,クエスチョンマーク社の「QUESTION MARK」のロゴを付したものと推認される。したがって,本件インボイス等からは,本件商標を付した商品の婦人靴がクエスチョンマーク社によって日本国内に輸入され,日本国内で譲渡,引渡し等された事実(商標法2条3項2号)を認めることはできない。 また,取引書類という観点からみると,本件インボイス等は,外見上,平成14年8月から9月にかけて原告とクエスチョンマーク社との間に行われた婦人靴の取引に関する取引書類(同法2条3項8号)であるかのように見える。しかしながら,本件インボイス等については,被告から,本件口頭弁論期日において,その成立の真正につき強い疑義が提起され,クエスチョンマーク社が原告から婦人靴を輸入したのであれば,税関関係書類等の公的書類を所持しているはずであり,それらの提出がないこと自体不自然であるとの指摘がされたにもかかわらず,原告は,本件インボイス等に記載された取引が実際に存在したならば保管しているはずの通関関係書類や送金に関する書類その他の取引の存在及び時期を客観的に確定し得る証拠を何ら提出しておらず,被告の提起した疑義にこたえる合理的な説明もしていない。このような経過と,香港の法人である原告のレターヘッドに原告の商号とは関係のない「otto 」の文字の入った日本の登録商標が印刷されていることや,本件インボイス等については,いずれもその原本が証拠として提出されていないこと,原告とクエスチョンマーク社とは代表者を共通にしていること(甲6,17,乙1)を併せ考えると,本件インボイス等は,真実,それらの日付けの時期に作成されたとはにわかに信じ難いものであり,その信用性は極めて低いといわざるを得ない。したがって,本件インボイス等によっては,それらの日付けの時期に婦人靴に関する取引書類に本件商標を付したものが日本国内において展示され又は頒布された事実を認めることはできない。 3 次に,本件カレンダー(甲10)について検討すると,本件カレンダーは,上下見開き頁の上側頁に本件商標の四分音符の図形と「otto 」の文字のみを色刷りで大きく表示し,下側頁をカレンダーとしたものであり,カレンダー部分の下方に,大阪ケミカル工業の社名と住所(英文及び日本語表記)及び原告の社名と住所(英文及び中国語表記)を表示したものと認められる。しかし,本件カレンダーには,本件指定商品との関連をうかがわせる記載は何ら存在しないから,本件カレンダーの存在自体をもってしては,商品に関する広告等に標章を付して展示し,若しくは頒布する行為(商標法2条3項8号)があったと認めることはできない。また,原告が本件カレンダーの頒布の事実を証明するものとして提出したキング商事株式会社(以下「キング商事」という。)外3社の代表者の各作成に係る受領証明書(甲13〜16-各1,いずれも作成時期は平成16年3月)には,平成13年末に本件カレンダーをクエスチョンマーク社から受領した旨の記述があり,また,原告代表者陳述書(甲17-1)にも,本件カレンダーを平成13年末に取引先に頒布した旨の記述があるが,いずれも,本件カレンダーが本件指定商品に関して頒布されたことを述べるものではないから,これらの証拠をもってしても,本件カレンダーと本件指定商品との関連については,依然として,不明というほかなく,本件カレンダーが本件指定商品に関する広告として用いられたことを認めるに足りない。 なお,本件カレンダーの作成時期を示すものとして提出された香港のウィング リー プリンティング カンパニー代表者作成の2004年(平成16年)3月3日付け作成証明書(甲12)には,同社が原告から注文を受けて本件カレンダーを平成13年11月に100部作成し,原告に納品した旨の記載があるが,本件カレンダーに関する発注書,納品書その他の客観的な取引書類は証拠として提出されておらず,また,日本国内の取引先に対して配布する日本暦のカレンダーに原告と大阪ケミカル工業の名前を表示したものを香港で100部印刷したという経緯も不自然であって,本件カレンダーに関しては,その作成時期が予告登録日前であったことについて,合理的な疑いを差し挟まざるを得ない。 4 本件カタログ(甲11)は,A4版大の一枚紙のものであって,紙面に種々の淡色で四分音符の図形と「otto 」の文字を地模様風に配し,その上に重ねて,十数品種のカラフルな婦人用サンダルの写真を,品番,サイズ,値段等と共に表示している(ただし,掲載された写真の中に,婦人用サンダルに本件商標が付されていることを示すものはない。)。紙面の下段には,「Question mark co.,ltd.」,「株式会社クエスチョンマーク」との表示及びウェブ表示がされ,右下隅に「広告有効期限2002年4月1日まで」と小さな印刷文字がある。また,紙面右下部分に,「Question markの姉妹ブランド」との赤文字の直下に,約3.5センチメートル四方の大きさで本件商標が赤と青の色使いで表示されている。以上のような本件カタログの表示態様からすると,本件カタログは,一応,クエスチョンマーク社の婦人用サンダルに関する広告物と認めることができる。 しかしながら,本件カタログが原告の主張する平成13年11月に印刷され,その後平成14年4月1日前にクエスチョンマーク社の取引先に配布されたとの原告主張事実を証するものとして提出された作成証明書(甲22),受領証明書(甲18〜21)及び原告代表者陳述書(甲17-1)は,以下に示すとおり,いずれも信用性に乏しいものであって,原告主張事実を認めることはできない。 まず,本件カタログについては,本件口頭弁論期日において,その作成時期につき,予告登録日後に作成された疑いが濃いとの指摘が被告からされたにもかかわらず,原告は,本件カタログの作成に関して,通常であれば存在するはずの注文書,納品書,代金支払伝票等の本件カタログの作成時期を客観的に示す証拠を何ら提出しておらず,また,本件カタログが配布されたなら通常存在するはずの本件カタログに基づいて注文された商品の注文書,納品書等の本件カタログの頒布時期を客観的に示す証拠も提出していない。しかも,本件カタログに表示された「株式会社クエスチョンマーク」は,カタログの印刷時期と主張される平成13年11月には,まだ「有限会社クエスチョンマーク」であり,当時,「株式会社クエスチョンマーク」は存在しなかった(甲6,乙1)。これらの点に照らすと,本件カタログは,原告がその作成,頒布の時期と主張する平成13年から平成14年4月前にかけての時期に存在したものではない可能性が高いというべきである。 原告は,本件カタログの作成,頒布に関する証拠として,平成16年4月3日付け株式会社ビイケイケイ代表者作成の「作成証明書」(甲22),原告代表者陳述書(甲17-1)及びクエスチョンマーク社の取引先であるというキング商事外3社の代表者の「受領証明書」(甲18〜21,いずれも平成16年3月から4月にかけて作成のもの)を提出している。しかし,甲22の作成証明書は,遡ること2年以上前のカタログの作成について証明する内容のものであって,カタログの数量,納品日,代金等の記載はなく,単に「株式会社クエスチョン・マークから依頼を受け,平成13年11月に作成した」というだけの具体性を欠くものであるから,信用性が低いものといわざるを得ない。また,甲18〜21の受領証明書は,あらかじめ用意された書式に各社の代表者の記名及び押印がされたものであることが記載態様から明らかであるから,クエスチョンマーク社の依頼により,事実を確認することなく発行された可能性を否定することができず,やはり信用性が低いものというほかなく,原告代表者陳述書(甲17-1)も,同様に,信用するに足りない。 5 以上によれば,本件審判の請求の予告登録日前3年以内に原告又は本件商標の使用権者が日本国内において本件商標を本件指定商品について使用した事実は,証拠上,これを認めることができず,また,本件商標を本件指定商品に使用していないことについて正当な理由があることの主張立証もないから,本件商標の登録は,商標法50条の規定による取消しを免れない。これと同旨の審決の認定判断に誤りはなく,原告の取消事由の主張は理由がない。 よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 篠原勝美 |
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裁判官 | 古城春実 |
裁判官 | 岡本岳 |