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事件 |
平成
25年
(ワ)
23293号
契約無効確認等請求事件
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当事者の表示 別紙当事者目録のとおり | |
裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2015/08/31 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1 原告マイケル・ジョセフ・ジャクソン遺産財団と被告らとの間で,別紙1の契約書が真正に成立したものではないことを確認する。 2 原告マイケル・ジョセフ・ジャクソン遺産財団と被告らとの間で,別紙2の契約書が真正に成立したものではないことを確認する。 3 被告Aは,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙表示目録1記載の各表示を,自身の役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信に表示し,又はその表示をして役務を提供してはならない。 4 被告Michael・Jackson Asian Rights株式会社は,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙表示目録2記載の各表示を,自身の役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信に表示し,又はその表示をして役務を提供してはならない。 5 被告Michael・Jackson Asian Rights株式会社は,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙ウェブサイト目録記載1のウェブサイトから,別紙表示目録2記載(1)及び(2)の各表示を削除せよ。 6 被告Michael Jackson Enterprise株式会社は,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙表示目録3記載の各表示を,自身の役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信に表示し,又はその表示をして役務を提供してはならない。 17 被告Michael Jackson Enterprise株式会社は,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙ウェブサイト目録記載2のウェブサイトから,別紙表示目録3記載(1)ないし(6)の各表示を削除せよ。 8 被告Michael Jackson Enterprise株式会社は,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙ウェブサイト目録記載3のウェブサイトから,別紙表示目録3記載(6)の表示を削除せよ。 9 被告Michael Jackson Enterprise株式会社は,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙ウェブサイト目録記載4のウェブサイトから,別紙表示目録3記載(7)ないし(13)の各表示を削除せよ。 10 被告マイケル・ジャクソン・ワールド株式会社は,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙表示目録4記載の各表示を,自身の役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信に表示し,又はその表示をして役務を提供してはならない。 11 被告マイケル・ジャクソン・ワールド株式会社は,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙ウェブサイト目録記載5のウェブサイトから,別紙表示目録4記載(1)の表示を削除せよ。 12 被告Michael・Jackson Asian Rights株式会社は,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙標章目録記載2の各商品又はその包装に同目録記載1の各標章を付し,同目録記載2の各商品又はその包装に同目録記載1の各標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,若しくは輸入し,又は同目録記載1の各商品に関する広告,価格表若しくは取引書類に同目録記載1の各標章を付して展示し,若しくは頒布し,若しくはこれらを内容とする情報に同目録記載1の各標章を付して電磁的方法により提供してはならない。 213 被告Michael・Jackson Asian Rights株式会社は,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙廃棄品目録記載の各商品を廃棄せよ。 14 被告Michael・Jackson Asian Rights株式会社は,原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッドに対し,別紙ウェブサイト目録記載6のウェブサイトから,別紙表示目録5記載の表示を削除せよ。 15 訴訟費用は被告らの負担とする。 16 この判決は,第3項ないし第15項に限り,仮に執行することができる。 |
事実及び理由 | |
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請求
主文第1項ないし第14項と同旨 |
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事案の概要
1 事案の要旨(以下,日本国外の事実や外国語文書に係る日付については,西暦を用いて表記し,和暦を付記することがある。) 本件は,(1) 2009年(平成21年)6月25日に死亡した亡マイケル・ジャクソン(以下「亡マイケル」という。)の遺産が帰属すると主張する原告マイケル・ジョセフ・ジャクソン遺産財団(以下「原告遺産財団」という。)が,被告らに対し,亡マイケルと被告A(以下「被告A」という。)を当事者とする2通の「POWER OF ATTORNEY」と題する証書がいずれも真正に成立したものでないことの確認を求め(請求の趣旨第1項及び第2項),(2) 亡マイケルの氏名及び肖像の使用を第三者に許諾する業務を営む原告トライアンフ インターナショナル インコーポレイテッド(以下「原告トライアンフ」という。)が,各被告らの使用等に係る別紙表示目録1ないし5記載の各表示は,役務の品質又は内容について誤認させるような表示(不正競争防止法2条1項13号)に当たるとして,各被告らに対し,同法3条1項,2項に基づき,同各表示の使用の差止め及び表示の削 3除を求め(請求の趣旨第3項ないし第11項,同第14項),(3) 亡マイケルに関連する別紙商標権目録記載1及び2の各商標権(以下,これらを併せて,「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)の商標権者である原告トライアンフが,被告Michael・Jackson Asian Rights株式会社(以下「被告MJAR」という。)が「MICHAEL JACKSON」との欧文字からなる標章を付した別紙廃棄品目録記載の各商品(以下「被告商品」という。)を販売することは,原告トライアンフの有する本件商標権を侵害するとして,被告MJARに対し,商標法36条1項,2項に基づき,別紙標章目録記載の各標章の使用の差止め及び被告商品の廃棄を求めた(請求の趣旨第12項及び第13項)事案である。 2 前提事実(当事者に争いがないか,掲記の証拠等により容易に認められる事実。なお,書証の枝番の表記は,省略することがある。) (1) 当事者等 ア 亡マイケルは,2009年(平成21年)6月25日当時,アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡に居住していたところ,同日死亡した。 イ 原告遺産財団は,カリフォルニア州相続法に基づく遺産管理手続において管理されるべき亡マイケルの財産全てを指すと称する法人である。アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡上級裁判所は,2009年(平成21年)11月10日,B(以下「B」という。)及びC(以下「C」という。)を原告遺産財団の共同執行人(executors)として選任した(甲4,5,25)。 ウ 原告トライアンフは,本件商標権の商標権者として登録されている法人であり,原告遺産財団からの許諾を受けて,日本を含む全世界において,第三者に対し,亡マイケルの氏名及び肖像を使用した商品の製造販売等を行う権利を許諾している(甲6ないし9,23,24)。 エ 被告Aは,自身を「A2」とも称し,亡マイケルから,1998年(平成10年)7月27日付け「POWER OF ATTORNEY」と題する2通の契 4約書(別紙1及び同2。以下,両者を併せて,「本件各POA」といい,個別には,「別紙1のPOA」などという。)により,日本及びアジア地域内における亡マイケルの氏名及び肖像の使用について独占的な許諾を受けたと主張する者である。 なお,原告らは,本件各POAにつき,いずれも亡マイケルが署名したものではないとして,その成立を争っている。 オ 被告MJARは,平成22年6月18日に設立された株式会社である(甲10)。 カ 被告Michael Jackson Enterprise株式会社(以下「被告MJE」という。)は,平成20年7月3日に設立された株式会社であり,平成22年9月1日,商号を「株式会社CORDA Thailand」から現在のものに変更した(甲14)。 キ 被告マイケル・ジャクソン・ワールド株式会社(以下「被告MJW」という。)は,平成22年8月11日に設立された株式会社である(甲19の3)。 (2) 被告らの行為 ア 被告Aの行為 (ア) 被告Aは,平成22年2月18日,Dとの間で,次の表示(以下「被告A表示1」という。)のある委任契約書(甲11)を取り交わして,同人に対し,亡マイケルの名称等を使用する事業等を委任した。 「A2(A。以下,「甲」という。 は, ) 本契約書に添付された甲とMichael Jackson(マイケル・ジャクソン。以下,「MJ」という)間で締結された契約(以下,「原契約」という)に基づいて,MJから甲に付与・許諾された名称使用権等を含む一切の権利・権限を行使して事業を行うについて,D(以下,「乙」という)に以下の通り委任し,乙はこれを受任した。」 (イ) 被告Aは,平成22年9月17日,Eとの間で,次の表示(以下「被告A表示2」という。)のある契約書(甲15)を取り交わした。 「A(以下,「甲」という)とE(以下,「乙 という」とは別紙添付の契約書『以 5下,当該契約書という』に基づく全ての権利(以下,「当該権利」という)並びに同権利の行使に関し,両者間にて次のとおり契約した。」 「『別添当該契約目録名』 1.契約書 契約の名称:POWER OF ATTORNEY AN AGREEMENT SETWEEN: MR.MICHEL JOSEPH JACKSON &MR.A 契約締結日:1998.7.27」 イ 被告MJARの行為 (ア) 被告MJARは,別紙ウェブサイト目録記載1のウェブサイト上に別紙被告表示目録2記載(1)及び(2)の各表示を,別紙ウェブサイト目録記載6のウェブサイト上に別紙被告目録5記載の表示を,それぞれ掲載している(以下,上記各表示を併せて,「被告MJAR表示」という。)(甲12,32)。 (イ) 被告MJARは,「MICHAEL JACKSON」との欧文字を配してなる標章を付した別紙廃棄品目録記載の各商品(被告商品)を販売している。上記標章は,本件商標と同一又は類似しており,また,被告商品は,本件商標権の指定商品又はこれに類似する商品に属する(甲12の11)。 ウ 被告MJEの行為 被告MJEは,別紙ウェブサイト目録記載2のウェブサイト上に別紙被告表示目録3記載(1)ないし(6)の各表示を,別紙ウェブサイト目録記載3のウェブサイト上に別紙被告表示目録3記載(6)の表示を,別紙ウェブサイト目録記載4のウェブサイト上に別紙被告表示目録3記載(7)ないし(13)の各表示を,それぞれ掲載している(以下,上記各表示を併せて「被告MJE表示」という。)(甲16ないし18)。 エ 被告MJWの行為 被告MJWは,別紙ウェブサイト目録記載5のウェブサイト上に別紙被告表示目 6録4記載(1)の表示を掲載している(以下「被告MJW表示」という。)(甲19)。 3 本件の争点 (1) 原告遺産財団の地位に関する争点 原告遺産財団に,亡マイケルが生前有していた財産が帰属しているか(争点1) (2) 証書が不真正であることの確認を求める請求(請求の趣旨第1項及び第2項)に関する争点 ア 原告遺産財団は,被告らに対し,本件各POAが真正に成立したものでないことの確認を求める利益を有するか(争点2-1) イ 本件各POAは,真正に成立したものか(争点2-2) (3) 不正競争防止法3条1項及び同条2項に基づく表示の使用の差止め及び削除を求める請求(請求の趣旨第3項ないし第11項,同第14項)に関する争点 ア 被告A表示1及び同2は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」(不正競争防止法2条1項13号)にあたるか(争点3-1) イ 被告A表示1及び同2によって,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるか(争点3-2) ウ 被告MJAR表示は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」にあたるか(争点3-3) エ 被告MJAR表示によって,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるか(争点3-4) オ 被告MJE表示は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」にあたるか(争点3-5) カ 被告MJE表示によって,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるか(争点3-6) キ 被告MJW表示は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」にあたるか(争点3-7) ク 被告MJW表示によって,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又 7は侵害されるおそれがあるか(争点3-8) (4) 商標法36条1項及び同条2項に基づく被告標章の使用の差止め及び被告商品の廃棄を求める請求(請求の趣旨第12項及び第13項)に関する争点 ア 被告MJARが被告商品に「MICHAEL JACKSON」との欧文字からなる標章を付することにつき,商標権者からの許諾があったといえるか(争点4-1) イ 被告標章の差止め及び被告商品の廃棄の必要性があるか(争点4-2) 4 争点に対する当事者の主張 (1) 争点1(原告遺産財団に,亡マイケルが生前有していた財産が帰属しているか)について(原告らの主張) ア 米国における相続は,一般に,被相続人が死亡時に居住していた州の法律に準拠するところ,亡マイケルは,死亡時,カリフォルニア州に在住していたため,同人の相続は,同州の法律に準拠する。そして,カリフォルニア州相続法によれば,被相続人が死亡時において同州に居住していた場合は,死亡地にかかわらず,当該居住地の郡(county)を管轄する同州の裁判所が相続手続の管轄裁判所となるから(甲26),亡マイケルの相続手続については,ロサンゼルス郡上級裁判所が管轄裁判所となる(甲4,5)。 カリフォルニア州相続法によれば,被相続人の財産は,相続開始と同時に,遺産財団(estate)を構成し,相続財産分配手続によって受遺者又は相続人に分配されるまでの間,当該遺産財団の代表者によって管理される。亡マイケルの財産については,いまだ相続財産分配手続が完了していないから,相続開始(亡マイケルの死亡)と同時に構成された遺産財団,すなわち,原告遺産財団に全て帰属している。 なお,ロサンゼルス郡上級裁判所は,原告遺産財団の代表者執行人(executors)として,B及びCを選任している。同選任については,亡マイケルの父親であるF氏から異議が出たことがあるが,同異議は控訴審裁判所により排斥されているから, 8同選任は有効であり,B及びCは,有効に原告遺産財団を代表している。 イ 被告らは,亡マイケルの遺言書が証拠として提出されていないとか,同遺言が撤回されたなどと主張するが,カリフォルニア州相続法において,被相続人の財産が,相続開始と同時に遺産財団を構成し,分配が行われるまでの間は受遺者又は相続人に帰属しないことは,遺言の有無及び内容に左右されるものではないから,同主張は失当である。 (被告A,被告MJAR及び被告MJWの主張) 原告遺産財団が,亡マイケルが生前有していた種々の権利を承継したとの前提に疑義がある。 原告遺産財団の代表者とされるBは,米国弁護士であり,亡マイケルや同人が保有する会社の顧問弁護士をつとめていた人物である。しかしながら,亡マイケルは,2003年(平成15年)2月,「Re: Discontinuance of Services」(業務の終了)と題する文書(乙5)をBに手渡して,同人を解任した。 原告遺産財団の主張する権利は,亡マイケルの遺言書が有効であることを前提とするものと解される。原告らは,本件訴訟に同遺言書を証拠として提出しておらず,上記のとおり,亡マイケルがBを解任したこと,遺言書の作成日とされる2002年(平成14年)7月7日にはニューヨークに滞在していたことなどからすれば,Bを遺産財団の代表者に選任するような遺言書の成立に疑義があり,また,仮に真正に成立したものであるとしても,その後撤回されたものと評価されるべきである。 原告らが提出する宣誓供述書(甲25の2)によっても,「遺言書を遺した被相続人の遺産の管理に対する管轄権は,…当該裁判所に遺言を提出することによって,当該上級裁判所に生じる。」というのであるから,前提となる亡マイケルの遺言書が偽造であれば,原告遺産財団の存立の前提が崩れることとなるはずである。 (2) 争点2-1(原告遺産財団は,被告らに対し,本件各POAが真正に成立したものでないことの確認を求める利益を有するか)について (原告遺産財団の主張) 9 既に主張したとおり,原告遺産財団には,亡マイケルが死亡時に有していた財産が帰属しているところ,被告Aは,亡マイケルとの間で本件各POAを取り交わしたと主張して,その余の被告らに対し,亡マイケルの氏名及び肖像の使用権を許諾するなどしているのであるから,他方当事者とされている亡マイケルの財産が帰属する原告遺産財団の法律上の地位に不安ないし危険が生じている。したがって,原告遺産財団は,被告Aとの関係で,本件各POAが真正に成立したものでないことの確認を求める利益がある。 また,被告Aを除くその余の被告らとの関係においても,同被告らが,本件各POAが真正に成立したものであることを前提に事業活動を展開しており,同被告らにより究極的なライセンサーと表示されている亡マイケルの法律上の地位が帰属している原告遺産財団には,同被告らとの関係においても,その法律上の地位に不安ないし危険が生じている。そして,同被告らの活動の根本的なよりどころは,本件各POAに求められるのであるから,原告遺産財団の法律上の地位の不安ないし危険を除去するには,本件各POAが真正に成立したものでないことの確認を求めることが必要かつ適切である。したがって,原告遺産財団は,被告Aを除くその余の被告らとの関係においても,本件各POAが真正に成立したものでないことの確認を求める利益がある。 (被告A,被告MJAR及び被告MJWの主張) 争う。 (3) 争点2-2(本件各POAは,真正に成立したものか)について(被告A,被告MJAR及び被告MJWの主張) ア 本件各POAは,いずれも,亡マイケルが署名して作成したものであり,真正に成立している。 すなわち,被告Aは,亡マイケルに対して多額の資金を提供し,また,亡マイケルが世界的にバッシングを受けた際には,自らが主催するキックボクシングのチャンピオンカーニバルに招聘するなどして,亡マイケルと親密な関係にあった。 10 亡マイケルは,自らを経済的苦境から救った被告Aに感謝し,日本を含むアジアにおける興行権を同人に与える意向を持ち,G弁護士(以下「G弁護士」という。)を代理人として,被告Aとの交渉を始めた。被告Aも,複数の弁護士に相談して,亡マイケルとの契約締結の準備を進めた。 このような準備がされた後,亡マイケルは,1998年(平成10年)7月,空手オリンピックイベントのために来日した際,本件各POAに署名したものである(なお,亡マイケルの代理人であったG弁護士が来日しなかったため,亡マイケルが直接本件POAに署名した。)。 イ 原告らは,2通の筆跡鑑定書(甲27,28)により,本件POAにされた署名が亡マイケルによりされたものではないと主張するが,次のとおり,誤りである。 (ア) 一般に,筆跡鑑定は,科学的な検証を経ていないという性質上,その証明力には限界がある。鑑定資料からの筆跡個性の抽出,個々の筆跡個性の異同の判断,筆跡個性にどの程度の異同があれば同筆又は異筆とするかの判断の各段階において,慎重な検討が必要である。 (イ) 原告らが提出する2通の筆跡鑑定書は,それぞれ,米国の鑑定人による筆跡鑑定書(甲27。以下「米国側鑑定書」という。)及び日本の鑑定人による筆跡鑑定書(甲28。以下「日本側鑑定書」という。)であるが,いずれも,鑑定の対象たる本件各POAの原本ではなく,写しから鑑定を行っており,筆勢,筆圧等の判別が十分に行われていない。このことから,いずれの鑑定書も,写しから筆跡鑑定を実施する限界を自認し,留保的判断にとどまっているところである。 (ウ) また,比較の対象として供された文書は,亡マイケルが公の舞台で署名したとされる文書がほとんどで,ファンの求めに応じてしたサインなどの資料が供されていない。また,日本側鑑定書では,比較の対象として供された文書も原本ではなく写しであり,この点からも十分な判断ができるとは考えがたい。 (エ) さらに,両鑑定書とも,署名部分のみを鑑定の対象としているに過ぎないほ 11か,筆跡個性の抽出が恣意的であり,相違点を指摘するばかりで符合一致点を検討しないなど,十分な検討判断が行われているとは評価しがたく,信用できない。 (原告らの主張) 次に述べる各事実からすれば,本件各POAは,亡マイケルにより署名されたものではなく,何者かにより偽造されたものというべきである。 ア 本件各POAは,亡マイケルが,被告Aに対して,25年間にわたり,日本及びアジア全域において,商興業を目的とした亡マイケルの名前及びイメージの独占的な使用権を与えるものであるが,これが取り交わされたとする1998年(平成10年)当時,既に亡マイケルは世界的に著名な存在であったことから,本件各POAは,被告Aに莫大な経済的利益をもたらすものである。ところが,本件各POAには,被告Aが支払うべき対価について何ら記載されていない。この点,被告Aは,「契約金として…5億円を支払った」旨の記載のある同人の供述書(乙7)を書証として提出したが,当該5億円の支払の趣旨,支払時期,支払義務を定めた書面の有無,支払の事実を証する証拠の有無等については,釈明を求められながら何らの回答をしないのであって,5億円を支払ったという事実自体疑わしい。 このように,本件各POAは,対価という契約の重要な要素において極めて不自然であり,このことは,本件各POAが真正に成立したものでないことを強くうかがわせる事実である。 イ 亡マイケルは,平成10年7月頃には,既にG弁護士をリーガル・アドバイザーとしており,G弁護士は,亡マイケルが締結する契約のうち被告Aに関連する取引のものは,全て事前に目を通し,条項の修正その他のアドバイスを行っていた。 しかし,G弁護士は,亡マイケルの生前,本件各POAについて見たことも聞いたこともなかった。 他方,被告らは,本件各POAの作成経緯について何ら具体的に主張,立証しない。すなわち,被告A,被告MJAR及び被告MJWは,本件各POAがどのように作成されたかについて,G弁護士が「知っていたはず」と主張するのみで,具体 12的な経緯については「追って主張する。」と述べるにとどまっている。被告らは,ほぼ同一の内容が記載された2種類の書類(本件各POA)を作成する必要があった理由や,本件各POAを取り交わしたことの公表やこれに基づく商業活動等,本件各POAが真正に成立したのであれば当然に主張すべき事実関係について具体的に主張し,またこれを裏付ける書証を提出しようとしない。 このように,本件各POAが作成された経緯が具体的に明らかにならないということは,本件各POAが真正に成立したものではないことを強くうかがわせる事実である。 ウ 亡マイケルが本件各POAに署名したものではないことは,原告らが提出する2通の筆跡鑑定書(甲27,28)からも明らかである。 米国側鑑定書(甲27)は,本件各POA中の署名について,署名の自然さ,大きさ,文字間の間隔,傾き,ペンの動き,傾斜度,文字の構造,動きの方向性,スキル水準など各種要素を検討し,亡マイケルが当該署名の作成者ではない可能性が高いと結論づけた。 日本側鑑定書(甲28)も,本件各POA中の署名について,亡マイケルの真正な署名との比較において多くの相違点が認められ,わずかに認められる類似性は筆勢に乏しく模倣的とみられることなどから,別人によって書かれた可能性が極めて高いと結論づけた。 この点,被告A,被告MJAR及び被告MJWは,筆跡鑑定人が鑑定対象文書である本件各POAの原本から鑑定を行っていない点を論難するが,筆跡鑑定人が用いた本件各POAの写しは,十分に鮮明な複写であって,鑑定に耐えうるものである。被告らは,本件各POAの原本を提出し得る立場にあるのにこれを提出せず,また自ら筆跡鑑定を実施するなどして本件各POAの真正を立証しうる立場にあるのにこれを行っていないのであって,極めて不誠実な訴訟追行態度というべきである。 エ 本件各POAの内容は,次のとおり,亡マイケルが関与した既存の契約と矛 13盾しているから,亡マイケルが,本件各POAに署名するとは考えがたい。 (ア) 原告トライアンフは,亡マイケルが生前及び死亡時に全ての株式を保有していた法人であるが,亡マイケルから委任を受けて,1997年(平成9年)5月1日,ソニー シグナチュアズ インコーポレイテッド(以下「シグナチュアズ」という。)との間で,商品化許諾契約を締結している(以下「シグナチュアズ契約」という。)。シグナチュアズ契約は,原告トライアンフが,シグナチュアズに対し,契約締結日から最短でも1999年(平成11年)12月31日まで,全世界において,テーマパークに関する事業等を除く全てのタイプの商品に亡マイケルの氏名及び肖像等を利用することを独占的に許諾するものである。本件各POAが作成された時点においても,シグナチュアズ契約は効力を有していたところ,本件各POAの記載とシグナチュアズ契約は,許諾の対象(亡マイケルの氏名及び肖像等),許諾する事業のカテゴリー(全てのタイプの商品),許諾地域(共に日本及びアジアを含む。)の諸点において矛盾抵触している。 (イ) また,亡マイケルは,1998年(平成10年)6月25日,被告A及びマイケル・ジャクソン・ジャパン株式会社(当時は設立中の会社であった。以下,設立の前後を通じて,「MJJ」という。)との間で,契約書(以下,この契約書に基づく契約を「MJJ契約」という。)を取り交わした。MJJ契約は,亡マイケルが,MJJに対し,全世界において,署名日から10年間,トイパビリオンの開発・運営,日本におけるテーマパークの運営等の事業において亡マイケルの氏名を利用することを許諾するものである。MJJ契約は,本件各POAが作成されたとされる1998年(平成10年)7月27日の約1か月前に締結されたものであるが,本件各POAの記載とは,許諾の対象(亡マイケルの氏名),許諾する事業のカテゴリー(共にテーマパークの運営を含む。),許諾地域(共に日本及びアジアを含む。),契約期間の諸点において矛盾抵触している。 (ウ) なお,シグナチュアズ契約ではテーマパークに関する事業が許諾の対象から除外されているほか,MJJ契約には,亡マイケルと第三者との間の既存の契約関 14係を尊重する規定があることから,シグナチュアズ契約とMJJ契約は論理的に両立しうるものである。これに対し,本件各POAに記載された権利関係は,シグナチュアズ契約及びMJJ契約のいずれとも論理的に両立し得ないものである。 オ そもそも,本件訴訟において,本件各POAの成立の真正は,最も重要な争点というべきところ,被告Aは,その当事者でありながら,本件各POAの原本を提出しようとせず,裁判所からの釈明の求めに対して,本件各POAの原本を所持しているのは被告A本人ではなくMJJであると陳述した。ところが,MJJは,本件訴訟における調査嘱託に対し,本件各POAの原本を所持していないと回答した。被告Aは,本件各POAの原本を所持していないのみならず,その所在まで把握していないのである。 また,MJJは,上記調査嘱託に対し,本件各POAを見たのは亡マイケルの死後であるなどと回答しており,本件各POAが,亡マイケルの死後に何者かにより偽造されたことがうかがわれるところである。 (4) 争点3-1(被告A表示1及び同2は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」〔不正競争防止法2条1項13号〕にあたるか)について(原告トライアンフの主張) 被告A表示1及び同2は,要するに,被告Aが亡マイケルから許諾を得て,亡マイケルの氏名及び肖像について使用権及び使用許諾権を取得したことを前提とした表示である。それは,被告Aが一体となって事業を展開しているその余の被告らにおいて,亡マイケルからの許諾に基づく氏名及び肖像を使用した「正規品」を扱っており,被告らから使用許諾を得ることにより,亡マイケルからの許諾に基づく「正規品」を扱うことができる旨の表示といえる。 しかしながら,既に主張したとおり,本件各POAはいずれも偽造されたものであって,それ以外に亡マイケル又は原告らから被告Aに対して亡マイケルの氏名及び肖像の使用に関する許諾は存在しないから,被告Aは,亡マイケルの氏名及び肖像について使用権及び使用許諾権を取得していない。 15 したがって,被告A表示1及び同2は,亡マイケル(又は原告遺産財団)からの許諾に基づく「正規品」のライセンスの取得を希望する需要者との関係において,被告Aから許諾を受けることによって同「正規品」を扱うことができるとの誤認を与えるものであるといえ,同誤認は,亡マイケルの氏名及び肖像を使用した商品化の許諾という役務(以下「本件許諾役務」という。)に関するもので,同役務の品質又は内容に関するものであるから,不正競争防止法2条1項13号にいう「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」に該当する。 (被告Aの主張) 争う。本件各POAは真正に成立しているから,被告Aが被告A表示1及び同2を用いることは,正当な行為である。 (5) 争点3-2(被告A表示1及び同2によって,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるか)について(原告トライアンフの主張) 原告トライアンフは,亡マイケルの氏名及び肖像について独占的な使用権及び使用許諾権を付与されたものであり,亡マイケル又は原告遺産財団からの許諾に基づき亡マイケルの氏名及び肖像を使用した「正規品」を扱う唯一の法人である。 これに対し,被告A表示1及び同2は,被告らが亡マイケルからの許諾に基づく氏名及び肖像を使用した「正規品」を取り扱っており,また,被告らから許諾を得ることによって当該「正規品」を扱うことができる旨を表示するものある。現に,被告MJAR,被告MJE及び被告MJWによって,亡マイケルの氏名及び肖像を用いた商品及び役務の提供が行われており,これらの事業は,原告トライアンフの事業と競合するものである。 よって,被告A表示1及び2により,原告トライアンフの営業上の利益が侵害されているということができる。 したがって,不正競争防止法3条1項により,被告A表示1及び同2の要旨である別紙表示目録1記載(1)の表示の使用は差し止められるべきである。 16 また,被告Aは,今後,亡マイケルのみならず,原告らから同様の許諾を受けた旨の表示をするおそれがあるから,別紙表示目録1記載(2)の表示の使用も同時に差し止められる必要がある。 (被告Aの主張) 争う。 (6) 争点3-3(被告MJAR表示は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」にあたるか)について(原告トライアンフの主張) 被告MJARは,亡マイケルの死後である平成22年6月18日に設立されたところ,その管理するウェブサイト(別紙ウェブサイト目録記載1及び6)上に被告MJAR表示を掲載して,公開を継続している。 被告MJAR表示は,被告MJARが,亡マイケルからの許諾に基づき,亡マイケルの氏名及び肖像を使用した「正規品」の事業を展開しているかのような外観を作出している。 ここで,被告Aは,Dに対して,被告A表示1のある委任契約書を取り交わして,同人に対し,亡マイケルの名称等を使用する事業等を委任しているが(甲11),Dは,被告MJARの代表者の実兄であるから,被告MJARは,被告AとDとの上記委任契約を根拠として,被告MJAR表示を行っているものと思われる。 しかしながら,上記委任契約は,同契約書に本件各POAのうち1通が添付されているとうかがわれることからして,本件各POAにより,被告Aが有効に亡マイケルの氏名及び肖像の使用について許諾を受けていることが前提となっているところ,既に主張したとおり,本件各POAはいずれも偽造されたものであって,それ以外に亡マイケル又は原告らから被告Aに対して亡マイケルの氏名及び肖像の使用に関する許諾は存在しないから,被告Aは,亡マイケルの氏名及び肖像について使用権及び使用許諾権を取得しておらず,ひいては,被告MJARも,亡マイケルの氏名及び肖像について何らの使用権及び使用許諾権を有していないことになる。 17 そうすると,被告MJAR表示は,被告MJARが,亡マイケル(又は原告遺産財団)からの許諾に基づく「正規品」を扱っているとの誤認を与えるものであるといえ,同誤認は,本件許諾役務に関し,同役務の品質又は内容に関するものであるから,不正競争防止法2条1項13号にいう「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」に該当する。 (被告MJARの主張) 争う。本件各POAは真正に成立しているから,被告MJARが被告MJAR表示を用いることは,正当な行為である。 (7) 争点3-4(被告MJAR表示によって,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるか)について(原告トライアンフの主張) 既に主張したとおり,原告トライアンフは,亡マイケル又は原告遺産財団からの許諾に基づき亡マイケルの氏名及び肖像を使用した「正規品」を扱う唯一の法人である。 これに対し,被告MJAR表示は,被告MJARが,亡マイケルからの許諾に基づく氏名及び肖像を使用した「正規品」を取り扱うことができる旨を表示するものある。現に,被告MJARは,第三者に対し,亡マイケルの氏名及び肖像を使用した商品販売及び役務提供に関する許諾を行っており,これらの事業は,原告トライアンフの事業と競合するものである。 よって,被告MJAR表示により,原告トライアンフの営業上の利益が侵害されているということができる。 したがって,不正競争防止法3条1項により,被告MJAR表示(別紙表示目録2記載(1)及び(2),同表示目録記載5の各表示)の使用は差し止められるべきである。 また,被告MJARは,今後,亡マイケルのみならず,原告らから同様の許諾を受けた旨の表示をするおそれがあるから,別紙表示目録記載2(3)の表示の使用も同 18時に差し止められる必要がある。 さらに,不正競争防止法3条2項により,被告MJARが管理する別紙ウェブサイト目録記載1及び6の各ウェブサイト上から,被告MJAR表示(別紙表示目録記載2(1)及び(2),同表示目録5記載の各表示)は削除されるべきである。 (被告MJARの主張) 争う。 (8) 争点3-5(被告MJE表示は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」にあたるか)について(原告トライアンフの主張) 被告MJEは,亡マイケルの死後である平成22年9月1日に現在の商号に変更したところ,その管理するウェブサイト(別紙ウェブサイト目録記載2ないし4の各ウェブサイト)上に被告MJE表示を掲載して,公開を継続している。 被告MJE表示は,被告MJEが,亡マイケルからの許諾に基づき,亡マイケルの氏名及び肖像を使用した「正規品」の事業を展開し,また,被告MJEから使用許諾を得ることにより,亡マイケルからの許諾に基づく「正規品」を扱うことができるかのような外観を作出している。 ここで,被告Aは,Eに対して,被告A表示2のある契約書を取り交わして,同人に対し,亡マイケルの名称等の使用を許諾しているが(甲15),同契約書において,「甲・乙は本契約につき,本来は甲と乙の契約であることを承認の上,第三者に対し甲とMichael Jackson Enterprise 株式会社との契約と称することを合意する。」(甲は被告A,乙はEを指す。)との記載があることから,被告MJEは,被告AとEとの上記契約を根拠として,被告MJE表示を行っているものと思われる。 しかしながら,上記契約は,「別添当該契約目録名」として本件各POAのうち1通が明示されていることから,本件各POAにより,被告Aが有効に亡マイケルの氏名及び肖像の使用について許諾を受けていることが前提となっているところ, 19既に主張したとおり,本件各POAはいずれも偽造されたものであって,それ以外に亡マイケル又は原告らから被告Aに対して亡マイケルの氏名及び肖像の使用に関する許諾は存在しないから,被告Aは,亡マイケルの氏名及び肖像について使用権及び使用許諾権を取得しておらず,ひいては,被告MJEも,亡マイケルの氏名及び肖像について何らの使用権及び使用許諾権を有していないことになる。 そうすると,被告MJE表示は,被告MJEが,亡マイケル(又は原告遺産財団)からの許諾に基づく「正規品」を扱っているとの誤認を与えるものであるといえ,同誤認は,本件許諾役務に関し,同役務の品質又は内容に関するものであるから,不正競争防止法2条1項13号にいう「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」に該当する。 (9) 争点3-6(被告MJE表示によって,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるか)について(原告トライアンフの主張) 既に主張したとおり,原告トライアンフは,亡マイケル又は原告遺産財団からの許諾に基づき亡マイケルの氏名及び肖像を使用した「正規品」を扱う唯一の法人である。 これに対し,被告MJE表示は,被告MJEが,亡マイケルからの許諾に基づく氏名及び肖像を使用した「正規品」を取り扱うことができ,また,第三者において,被告MJEから使用許諾を得ることにより「正規品」を取り扱うことができる旨を表示するものある。このような「正規品」の取扱いやその許諾は,原告トライアンフの事業と競合するものである。 よって,被告MJE表示により,原告トライアンフの営業上の利益が侵害されているということができる。 したがって,不正競争防止法3条1項により,被告MJE表示(別紙表示目録3記載(1)ないし(13)の各表示)の使用は差し止められるべきである。 また,被告MJEは,今後,亡マイケルのみならず,原告らから同様の許諾を受 20けた旨の表示をするおそれがあるから,別紙表示目録3記載(14)の表示の使用も同時に差し止められる必要がある。 さらに,不正競争防止法3条2項により,被告MJARが管理する別紙ウェブサイト目録記載2ないし4の各ウェブサイト上から,被告MJAR表示(別紙表示目録3記載(1)ないし(13)の各表示)は削除されるべきである。 (10) 争点3-7(被告MJW表示は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」にあたるか)について(原告トライアンフの主張) 被告MJWは,亡マイケルの死後である平成22年8月11日に設立されたところ,その管理するウェブサイト(別紙ウェブサイト目録記載5のウェブサイト)上に被告MJW表示を掲載して,公開を継続している。 被告MJW表示は,被告MJWが,亡マイケルからの許諾に基づき,亡マイケルの氏名及び肖像を使用した「正規品」の事業を展開し,また,被告MJWから使用許諾を得ることにより,亡マイケルからの許諾に基づく「正規品」を扱うことができるかのような外観を作出している。 ここで,被告MJWの管理するウェブサイトのうち,「カテゴリー別権利行使項目」と題するページの記載内容(甲19の4)は,本件各POAのうち「権利の利用が可能なカテゴリー」と題する部分と同一であることから,被告MJWは,本件各POAにより,被告Aが有効に亡マイケルの氏名及び肖像の使用について許諾を受けていることを前提に,被告Aから何らかの許諾を受けて,被告MJW表示を行っているものと思われる。 しかし,既に主張したとおり,本件各POAはいずれも偽造されたものであって,それ以外に亡マイケル又は原告らから被告Aに対して亡マイケルの氏名及び肖像の使用に関する許諾は存在しないから,被告Aは,亡マイケルの氏名及び肖像について使用権及び使用許諾権を取得しておらず,ひいては,被告MJWも,亡マイケルの氏名及び肖像について何らの使用権及び使用許諾権を有していないことになる。 21 そうすると,被告MJW表示は,被告MJWが,亡マイケル(又は原告遺産財団)からの許諾に基づく「正規品」を扱っているとの誤認を与えるものであるといえ,同誤認は,本件許諾役務に関し,同役務の品質又は内容に関するものであるから,不正競争防止法2条1項13号にいう「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」に該当する。 (被告MJWの主張) 争う。本件各POAは真正に成立しているから,被告MJWが被告MJW表示を用いることは,正当な行為である。 (11) 争点3-8(被告MJW表示によって,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるか)について(原告トライアンフの主張) 既に主張したとおり,原告トライアンフは,亡マイケル又は原告遺産財団からの許諾に基づき亡マイケルの氏名及び肖像を使用した「正規品」を扱う唯一の法人である。 これに対し,被告MJW表示は,被告MJWが,亡マイケルからの許諾に基づく氏名及び肖像を使用した「正規品」を取り扱うことができ,また,第三者において,被告MJWから使用許諾を得ることにより「正規品」を取り扱うことができる旨を表示するものある。このような「正規品」の取扱いやその許諾は,原告トライアンフの事業と競合するものである。 よって,被告MJW表示により,原告トライアンフの営業上の利益が侵害されているということができる。 したがって,不正競争防止法3条1項により,被告MJW表示(別紙表示目録4記載(1)の表示)の使用は差し止められるべきである。 また,被告MJWは,今後,亡マイケルのみならず,原告らから同様の許諾を受けた旨の表示をするおそれがあるから,別紙表示目録4記載(2)の表示の使用も同時に差し止められる必要がある。 22 さらに,不正競争防止法3条2項により,被告MJWが管理する別紙ウェブサイト目録記載5のウェブサイト上から,被告MJW表示(別紙表示目録4記載(1)の表示)は削除されるべきである。 (被告MJWの主張) 争う。 (12) 争点4-1(被告MJARが被告商品に「MICHAEL JACKSON」との欧文字からなる標章を付することにつき,商標権者からの許諾があったといえるか)について(被告MJARの主張) 既に主張したとおり,本件各POAは真正に成立しており,亡マイケルは,本件各POAが許諾する限度において,被告Aに対し,「MICHAEL JACKSON」との標章を利用することを許諾していたというべきである。 被告MJARは,被告Aから再許諾を受けたものである。 (原告トライアンフの主張) 既に主張したとおり,本件各POAはいずれも偽造されたものであって,それ以外に亡マイケル又は原告らから被告A又は被告MJARに対して,本件商標の使用を許諾した事実はない。 (13) 争点4-2(被告標章の差止め及び被告商品の廃棄の必要性があるか)について(原告トライアンフの主張) 被告商品は,いずれも本件商標権の指定商品又はこれに類似する商品に属し,かつ,被告商品に付された「MICHAEL JACKSON」との欧文字からなる標章は,本件商標と同一又は類似するから,商標法36条1項により,同標章の使用は差し止められるべきであり,同条2項により,被告商品は廃棄されるべきである。 そして,被告MJARが被告商品を販売していることからすれば,被告MJAR 23は,本件商標権の指定商品又はこれに類似する商品である別紙標章目録記載2の各商品に,本件商標に類似する同目録1各記載の各標章を使用するおそれがあるから,商標法36条1項により,これらの標章の使用も差し止められる必要がある。 (被告MJARの主張) 争う。 |
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当裁判所の判断
1 争点1(原告遺産財団に,亡マイケルが生前有していた財産が帰属しているか)について (1) 前記前提事実,証拠(甲4,5,25,26)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア 一般に,アメリカ合衆国では,被相続人の遺産の管理は,当該被相続人が死亡時に居住していた州の法律に準拠して行われるところ,亡マイケルは,死亡時,カリフォルニア州に居住していた。 カリフォルニア州相続法によれば,被相続人の財産に対する権原は,当該被相続人の死亡により,受遺者又は法定相続人に移転するとされるものの(7000条),その財産は,「遺産(estate)」と呼ばれて,被相続人が死亡時に定めていた住所が存する郡の上級裁判所が管轄を有する管理手続に服する(7001条,7050条,7051条)。 同管理手続において,裁判所は,「遺産」の代表者を指名するが,ここにいう代表者には,特別遺産管理人(special administrator)(8545条a項)や,執行人(executor)(8420条)が含まれる。指名された代表者は,「遺産」が最終的に分配されるまでの間,「遺産」に含まれる財産の保存,保護や,債務の弁済等を行い,また,「遺産」の利益となる訴訟及び法的手続を開始し,継続することができる(8400条a項,9820条a項,10501条,11640条)。ここで,同州相続法9820条b項の規定によれば,「遺産」は,訴訟の当事者としての適格を有する法的主体として観念されている。 24 イ ロサンゼルス郡上級裁判所は,亡マイケルの「遺産」の管理手続につき,2009年(平成21年)7月6日,B及びCの両名を亡マイケルの「遺産」の共同特別遺産管理人に任命し,同年10月2日,両名に対してカリフォルニア州相続法8545条a項に基づく包括的権限を付与した。さらに,同裁判所は,同年11月10日,亡マイケルによる2002年(平成14年)7月7日付け遺言が真正であると証明されたことを受け,B及びCの両名を,亡マイケルの「遺産」の共同執行人として任命した。 (2) 上記(1)の認定事実によれば,亡マイケルが死亡持に有していた財産は,カリフォルニア州相続法に基づき,ロサンゼルス郡上級裁判所による管理手続に服する「遺産」を構成し,同裁判所は,B及びCの両名を,同「遺産」の代表者共同執行人として選任したことが認められる。ここで,原告遺産財団は,自らを「The Estateof Michael Joseph Jackson」(日本語訳:マイケル・ジョセフ・ジャクソン遺産財団)と称し,上記ロサンゼルス郡上級裁判所による共同執行人選任書状を本件訴訟の資格証明書として添付し,同選任書状により選任されたB及びCを代表者とした上で,本件訴訟の原告として訴えを提起しているのであるから(当裁判所に顕著である。),原告遺産財団は,カリフォルニア州相続法による管理に服する亡マイケルが死亡時に有していた財産,すなわち,「遺産(estate)」と同一の法的主体と認められる。 したがって,原告遺産財団には,亡マイケルが生前に有していた財産が帰属しているものと認められる。 (3) これに対し,被告A,被告MJAR及び被告MJWは,亡マイケルがBを顧問弁護士から解任する旨を記載した2003年(平成15年)2月付けの「Re:Discontinuance of Services」と題する文書(乙5。以下「本件解任文書」という。)が存在していることから,Bを遺産財団の代表者に選任するような遺言の成立には疑義があるし,仮に,同遺言が真正に成立したものであるとしても,その後撤回されたと評価されるべきであるとして,亡マイケルの遺言が無効であれば, 25原告遺産財団の存立の前提が崩れることになる旨主張する。 しかしながら,前記認定事実のとおり,カリフォルニア州相続法によれば,被相続人の財産は,相続開始と同時に,「遺産(estate)」として,被相続人の住所が存する郡の上級裁判所による管理に服するところ,ロサンゼルス郡上級裁判所は,亡マイケルによる2002年(平成14年)7月7日付け遺言が真正であると証明されたとして,2009年(平成21年)同年11月10日,B及びCの両名を,同「遺産」の共同執行人として任命しており,前記のとおり,同「遺産」と原告遺産財団は同一の法的主体と認められるところ,本件全証拠をもっても,同裁判所より上記共同執行人の任命が取り消されたり変更されたりしたなどの事情はうかがわれないから,上記主張は失当というほかない。 また,仮に,本件解任文書が亡マイケルにより作成されたものであったとしても,本件解任文書の作成日が遺言作成日より後の日であることからすれば,その存在をもって亡マイケルの遺言が偽造されたものとまで認めることは困難であるし,本件解任文書は,遺言については何らの言及もないから,これをもって亡マイケルが遺言を撤回したと評価することもまた困難というほかない。 したがって,被告A,被告MJAR及び被告MJWの主張は,採用することができない。 2 争点2-1(原告遺産財団は,被告らに対し,本件各POAが真正に成立したものでないことの確認を求める利益を有するか)について 前記1において認定説示したとおり,原告遺産財団には,亡マイケルが死亡時に有していた財産が帰属しているものと認められる。 そして,被告Aは,亡マイケルとの間で本件各POAを取り交わしたとして,本件各POAにより,日本及びアジア地域内における亡マイケルの氏名及び肖像の使用につき独占的な許諾を受けたと主張しているのであるから,本件各POAにより,被告Aに対して法律上の義務を負担することとなる原告遺産財団としては,本件各POAが真正に成立したものでないことの確認を求めることにより,被告Aとの間 26で争いがある法的地位を安定させることができるのであるから,原告遺産財団は,被告Aとの関係において,本件各POAが真正に成立したものでないことの確認を求める利益があるというべきである。 また,後述するように,被告Aを除くその余の被告らは,いずれも,亡マイケルからの許諾を受けて同人の氏名及び肖像を用いた商品の販売等や役務の提供をしているとの趣旨の表示をしており,これらの表示は,本件各POAが真正に成立したものであることを前提として,被告Aの委任等を受けてされているものと認められるから,原告遺産財団には,被告Aとの関係のみならず,同被告を除くその余の被告らとの間でも,本件各POAが真正に成立したものでないことを確認する利益を有しているというべきである。 3 争点2-2(本件各POAは,真正に成立したものか)について (1) 被告A,被告MJAR及び被告MJWは,本件各POAにつき,いずれも亡マイケルが署名したものであり,真正に成立している旨主張する。 (2) しかしながら,次の理由により,本件各POAが真正に成立したものとは認められない。 ア まず,本件各POAが作成されるに至った具体的経緯が明らかではない。 すなわち,被告A,被告MJAR及び被告MJWは,亡マイケルが,自身を経済的苦境から救った被告Aに感謝し,日本を含むアジアにおける興行権を同人に与える意向を持ち,亡マイケルの代理人であったG弁護士を通じて,被告Aとの交渉を開始し,被告Aの側でも,複数の弁護士に相談して契約の準備を進めた旨主張するが,かかる交渉があったことを裏付けるような契約書案や連絡文書等,通常,契約の締結に至るまでの過程において作成されるような文書類は,本件訴訟に一切証拠として提出されていない。なお,本件弁論準備手続において,受命裁判官が複数回にわたって被告らに本件各POAが作成された具体的状況について主張するよう求めたが,被告らはこれに応じなかった。 被告らのうち,被告Aは本件各POAの当事者の一方とされている者であり,本 27来であれば,その作成経緯を具体的に明らかにすることが容易にできるはずであるのに,これを一向に明らかにしないことからすれば,本件各POAの成立の真正には重大な疑義があるというべきである。 イ 次に,亡マイケルは,原告トライアンフに対し,原告トライアンフが,1997年(平成9年)5月1日,シグナチュアズとの間で,商品化許諾契約(シグナチュアズ契約)を締結することを承認しており(甲29の1・2),また,1998年(平成10年)6月25日,被告A及びMJJとの間で,テーマパークの運営に関する契約(MJJ契約)を締結しているところ(甲30),本件各POAには,上記2件の契約と内容面で抵触する記載があるのに,その抵触については何らの処理もされていない。 すなわち,シグナチュアズ契約は,原告トライアンフが,シグナチュアズに対し,全世界において,売買又は販売用の全ての商品(ただし,亡マイケルが設立したテーマパークに関する商品等が除外されている)の製造及び販売に関連して亡マイケルの名前,シンボル,ロゴ,商標,意匠,似顔絵及び/又は肖像を利用する唯一かつ排他的な権利及び使用許諾権を付与することを主たる内容とするもので,最短でも1999年(平成11年)12月31日までその効力を有するものである。他方,1998年(平成10年)7月27日に取り交わしたとされる本件各POAは,亡マイケルが,被告Aに対し,日本及びアジア地域において亡マイケルの氏名及び肖像を全てのタイプの商品に使用する権利を付与することを主たる内容とするものであり,その内容において,シグナチュアズ契約と抵触していることが明らかである。 同様に,被告Aが関与したMJJ契約は,亡マイケルが,MJJに対し,同人の考案したコンセプトによるおもちゃパビリオンの総合的開発や,日本におけるテーマパークの事業運営等の事業を行うことを認め,同事業に際し,亡マイケルの氏名を使用する権利を付与することを主たる内容とするものである。他方,本件各POAは,亡マイケルが被告Aに対し,亡マイケルの氏名及び肖像を使用する権利を付与することを主たる内容とするものであるが,被告Aが扱うことのできる商品及び 28役務には,「テーマパークのプロモーション」が含まれており,この点において,MJJ契約と抵触していると認められる。 このように,亡マイケルの氏名及び肖像の使用については,本件各POAと内容面で抵触する2件の契約が既に締結されていたのであるから,本件各POAを取り交わそうとするのであれば,既に存在している契約の存在を確認した上で,これらの契約をどう扱うのかが共に約定されるのが通常である(現に,シグナチュアズ契約においては,亡マイケルとシグナチュアズとの間で過去に締結された契約が具体的に特定された上で,これを変更する趣旨でシグナチュアズ契約が締結されたことが明記してある。)。被告A,被告MJAR及び被告MJWの主張によれば,本件各POAの取り交わしに至る交渉段階において,亡マイケルの代理人としてG弁護士が交渉に当たっていたというのであるから,なおさらこの点への言及がされるのが自然である。 ところが,本件各POAは,既存の2件の契約(シグナチュアズ契約及びMJJ契約)には何らの言及もなく,これらの契約との抵触関係を回避しようとした形跡もうかがわれないのであるから,その成立過程には重大な疑義があるというべきである。 ウ また,本件各POAは,亡マイケルが,被告Aに対し,日本及びアジア地域において独占的に亡マイケルの氏名及び肖像を使用する権利を付与することを内容とするものであるが,その対価として被告Aが亡マイケルに支払うべき金銭等については,何らの記載も見られない。シグナチュアズ契約においても,被告Aも当事者として関与しているMJJ契約においても,対価について約定されていることが明らかであるところ,何らの対価の定めのないまま一方的に被告Aに権利を付与する契約は,それ自体極めて不自然というべきであるから,この点においても,本件各POAの成立過程には重大な疑義があるというべきである。 この点,被告Aは,供述書(乙7)の中で,亡マイケルに対して5億円を支払った旨陳述しているものの,これを裏付ける客観的な証拠は本件に提出されていない 29し,本件各POAにより被告Aに付与された権利の対価として支払われた趣旨であるかも判然としないから,被告Aが,本件各POAにより付与される権利の対価として,亡マイケルに対して5億円を支払ったとは認め難い。 エ さらに,本件各POAには,亡マイケルのものとされる署名があるが,これらの署名は,次のとおり,亡マイケルの著名な署名と類似している点がなくはないものの,全体として,亡マイケルが署名したものと認めることは,困難である。 すなわち,G弁護士の陳述書(甲31)により亡マイケルがしたものと認められる各署名(甲27〔米国側鑑定書〕のExhibitB及び同C記載の各署名)は,いずれも,署名中最初の文字である「M」字の右側「∧」部分,「Jackson」の最初の「J」字の縦線及び最終文字の「n」字の右側「∧」部分がいずれも上下方向に顕著に長い点,「Michael」の「l」字が大きく円弧を描いている点,しばしば,上記「J」字の縦線が,上記「l」字の円弧のほぼ中央を貫通するように配置されている点において顕著な特徴を有するところ,本件各POAに存する署名も,概ねこれらの特徴を有しているとはいえる。 しかしながら,別紙1のPOA中の署名は,「J」字の縦線が,「l」字の円弧の左側に接するように書かれ,同円弧を貫通していないなど,上記に指摘した特徴的部分においても差異が見られる上に,日本側鑑定書(甲28)が指摘するように,上記特徴的部分以外の配字状況やストロークの形状にも差異があり,また,全体的に滑らかさや筆勢に乏しいことも勘案すると,亡マイケルの署名を模して何者かが署名した可能性が相当程度うかがわれるのであって,直ちに亡マイケル本人がした署名と認めることは困難であるといわざるを得ない。 また,別紙2のPOA中の署名についても,「l」字の円弧のストロークに滑らかさを欠くほか,日本側鑑定書が指摘するように,上記特徴的部分以外の配字状況やストロークの形状にも差異があり,また,全体的に滑らかさや筆勢に乏しいことも勘案すると,亡マイケルの署名を模して何者かが署名した可能性が相当程度うかがわれるのであって,直ちに亡マイケル本人がした署名と認めることは困難である 30といわざるを得ない。 オ 以上の各事情を総合すると,本件各POAは,亡マイケルが作成したものと認めることはできず,かえって,何者かにより偽造されたものと推認するのが相当である。 (3) 以上のとおり,本件各POAは,亡マイケルにより作成されたものとは認められないから,被告らとの関係で,本件各POAが真正に成立したものでないことの確認を求める原告遺産財団の請求には理由がある。 4 争点3-1(被告A表示1及び同2は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」〔不正競争防止法2条1項13号〕にあたるか)について 被告A表示1は,被告AとDとの間で取り交わされた委任契約書に記載されたものであり,被告A表示2は,被告AとEとの間で取り交わされた契約書に記載されたものであるから,被告A表示1及び同2は,いずれも,「取引に用いる書類」に該当する。 次に,被告A表示1は,要旨,被告Aが,亡マイケルから付与,許諾された名称使用権を含む一切の権利,権限を行使して事業を行うについて,その一部をDに委任する旨の表示であるところ,同表示からは,被告Aが,亡マイケルから適法に「名称使用権」等の許諾を受けており,被告Aと契約を締結することにより,亡マイケルの氏名等を用いた何らかの事業を展開することができるとの趣旨を読み込むことができる。したがって,被告A表示1は,亡マイケルの「名称使用権」等を第三者に許諾するという「役務」の「質,内容」についてされたものと認められる。 同様に,被告A表示2は,被告Aが,本件各POAのうち1通に基づく被告Aの権利について,Eとの間で契約を締結する旨の表示であるところ,同表示からは,被告Aが,本件各POAのうち1通により,亡マイケルから氏名及び肖像の使用権を付与されており,被告Aと契約を締結することにより,亡マイケルの氏名及び肖像を用いた何らかの事業を展開することができるとの趣旨を読み込むことができる。 したがって,被告A表示2は,亡マイケルの氏名及び肖像を使用する権利を第三者 31に付与するという「役務」の「質,内容」についてされたものと認められる。 ここで,被告A表示2のある契約書(甲15)には,明示的に本件各POAのうち1通が特定して記載されているから,被告A表示は,本件各POAにより被告Aが有効に亡マイケルから権利を付与されていることが前提とされているものと認められる。また,被告A表示1のある委任契約書(甲11)では,必ずしも本件各POAが標題等により特定されているわけではないが,被告Aは,本件各POA以外に,亡マイケルから「名称使用権等」を付与された契約等を具体的に特定して主張するところがないから,委任契約書上に記載された「原契約」とは,本件各POAのうち1通又は全部を指すものと認めるのが相当である。 しかるところ,既に認定説示したとおり,本件各POAは,亡マイケルが署名したものとは認められず,何者かによって偽造されたものと推認するのが相当であるから,第三者が,被告Aと契約を締結して同人から亡マイケルの「名称使用権等」や氏名及び肖像を使用する権利を付与されたとしても,少なくとも亡マイケルの遺産が帰属する原告遺産財団との関係では,当該第三者は,亡マイケルの「名称使用権等」や氏名及び肖像を使用する権利を有することにはならないことが明らかである。 そうすると,被告A表示1及び同2は,亡マイケルの「名称使用権等」又は氏名及び肖像を使用する権利を付与するという「役務」の「質,内容」について「誤認させるような表示」に該当するというべきである。 以上によれば,被告A表示1及び同2は,いずれも,「取引に用いる書類」に表示された,「役務」の「質,内容」について「誤認させるような表示」(不正競争防止法2条1項13号)に該当するものと認められる。 5 争点3-2(被告A表示1及び同2によって,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるか)について 前記前提事実(第2,2(1)ウ)のとおり,原告トライアンフは,原告遺産財団からの許諾を受けて,日本を含む全世界において,第三者に対し,亡マイケルの氏名 32及び肖像を使用した商品の製造販売等を行う権利を許諾していることが認められるから,被告Aが,被告Aと契約を締結することにより,亡マイケルの「名称使用権等」又は氏名及び肖像を使用する権利の付与を受けられる旨の「誤認されるような表示」をしていることにより,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるものと認められる。 したがって,原告トライアンフは,不正競争防止法2条1項13号,3条1項に基づき,被告Aに対し,被告A表示1及び同2の要旨である別紙表示目録1記載(1)の表示の使用の差止めを求めることができるというべきである。 また,本件訴訟において,被告Aが,亡マイケルの氏名及び肖像を使用する権利を有すると主張していることからすれば,被告Aは,今後,被告A表示1及び同2のほかにも,亡マイケルの氏名及び肖像の使用について,亡マイケル又は原告らから何らかの許諾を受けている旨を表示するおそれがあることは否定できないものと認められるから,原告トライアンフは,被告Aに対し,別紙表示目録1記載(2)の表示の使用の差止めをも求める必要性があるというべきである。 6 争点3-3(被告MJAR表示は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」にあたるか)について 被告MJARは,同被告が管理しているものと認められる別紙ウェブサイト目録記載1及び同6記載の各ウェブサイト上に,被告MJAR表示を掲載しているところ,証拠(甲12,32)によれば,被告MJARは,これらのウェブサイトにおいて,被告MJARが,第三者に対して,亡マイケルの氏名及び肖像の使用を許諾したことや,亡マイケルの氏名及び肖像を使用した商品等を販売していることが認められるから,被告MJAR表示は,「広告」に該当する。 次に,被告MJAR表示は,要旨,被告MJARが,亡マイケルの氏名及び肖像を使用する正当な権限を保有している趣旨の表示であるところ,同表示からは,被告MJARが第三者に対してした許諾や,被告MJARが販売している商品は,亡マイケルから正規に許諾を受けて展開している事業である旨を読み込むことができ 33る。したがって,被告MJAR表示は,亡マイケルの氏名及び肖像の使用権を第三者に許諾する「役務」の「質,内容」についてされたものと認められる。 ここで,被告MJARの代表者は清武修一であって(甲10),被告Aとの間で委任契約書(甲11)を取り交わしたDの兄であること(弁論の全趣旨)からすれば,被告MJARは,被告AとDとの上記委任契約書を根拠として,被告MJAR表示を行っているものと推認できる。そして,既に認定説示したとおり,委任契約書上に記載された「原契約」とは,本件各POAのうち1通又は全部を指すものと認めるのが相当であるから,上記委任契約は,本件各POAにより,被告Aが亡マイケルからその氏名及び肖像の使用権を有効に付与されていることを前提とするものである。 しかるところ,既に認定説示したとおり,本件各POAは,亡マイケルが署名したものとは認められず,何者かによって偽造されたものと推認するのが相当であるから,被告MJARは,上記委任契約をもっても,亡マイケルの氏名及び肖像を使用する権利を有することにはならないことが明らかである。 そうすると,被告MJAR表示は,亡マイケルの氏名及び肖像の使用権を第三者に許諾する「役務」の「質,内容」について「誤認させるような表示」に該当するというべきである。 以上によれば,被告MJAR表示は,いずれも,「広告」に表示された,「役務」の「質,内容」について「誤認させるような表示」(不正競争防止法2条1項13号)に該当するものと認められる。 7 争点3-4(被告MJAR表示によって,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるか)について 前記前提事実(第2,2(1)ウ)のとおり,原告トライアンフは,原告遺産財団からの許諾を受けて,日本を含む全世界において,第三者に対し,亡マイケルの氏名及び肖像を使用した商品の製造販売等を行う権利を許諾していることが認められるから,被告MJARが第三者に対してした許諾や,被告MJARが販売している商 34品は,亡マイケルから正規に許諾を受けて展開している事業である旨を読み込むことができる被告MJAR表示により,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるものと認められる。 したがって,原告トライアンフは,不正競争防止法2条1項13号,3条1項に基づき,被告MJARに対し,被告MJAR表示(別紙表示目録2記載(1)及び(2),同表示目録5記載の各表示)の表示の使用の差止めを求めることができ,また,同法3条2項に基づき,被告MJAR表示の削除を求めることができるというべきである。 また,本件訴訟において,被告MJARが,亡マイケルの氏名及び肖像を使用する権利を有すると主張していることからすれば,被告MJARは,今後,被告MJAR表示のほかにも,亡マイケルの氏名及び肖像の使用について,亡マイケル又は原告らから何らかの許諾を受けている旨を表示するおそれがあることは否定できないものと認められるから,原告トライアンフは,被告MJARに対し,別紙表示目録2記載(3)の表示の使用の差止めをも求める必要性があるというべきである。 8 争点3-5(被告MJE表示は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」にあたるか)について 被告MJEは,同被告が管理しているものと認められる別紙ウェブサイト目録記載2ないし4記載の各ウェブサイト上に,被告MJE表示を掲載しているところ,証拠(甲16ないし18)によれば,被告MJEは,これらのウェブサイトにおいて,亡マイケルの氏名及び肖像を用いたビジネスアイディアを募集するなどしていることが認められるから,被告MJE表示は,「広告」に該当する。 次に,被告MJE表示は,要旨,被告MJEが,亡マイケルの氏名及び肖像を使用する正当な権限を保有している趣旨の表示であるところ,同表示からは,被告MJEが亡マイケルから正規に許諾を受けており,被告MJEと契約することにより,亡マイケルの氏名及び肖像を用いた事業を正規に展開することができる旨を読み込むことができる。したがって,被告MJE表示は,亡マイケルの氏名及び肖像の使 35用権を第三者に許諾する「役務」の「質,内容」についてされたものと認められる。 ここで,被告AとEとの間の契約書(甲15)には,「甲・乙は本契約につき,本来は甲と乙の契約であることを承認の上,第三者に対し甲と Michael JacksonEnterprise 株式会社との契約と称することを合意する。」(甲は被告A,乙はEを指す。)との記載があることからすれば,被告MJEは,被告AとEとの間の上記契約書を根拠として,被告MJE表示を行っているものと推認できる。そして,既に認定説示したとおり,上記契約書には,明示的に本件各POAのうち1通が特定して記載されているから,上記契約は,本件各POAにより,被告Aが亡マイケルからその氏名及び肖像の使用権を有効に付与されていることを前提とするものである。 しかるところ,既に認定説示したとおり,本件各POAは,亡マイケルが署名したものとは認められず,何者かによって偽造されたものと推認するのが相当であるから,被告MJEは,上記契約をもっても,亡マイケルの氏名及び肖像を使用する権利を有することにはならないことが明らかである。 そうすると,被告MJE表示は,亡マイケルの氏名及び肖像の使用権を第三者に許諾する「役務」の「質,内容」について「誤認させるような表示」に該当するというべきである。 以上によれば,被告MJE表示は,いずれも,「広告」に表示された,「役務」の「質,内容」について「誤認させるような表示」(不正競争防止法2条1項13号)に該当するものと認められる。 9 争点3-6(被告MJE表示により,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるか)について 前記前提事実(第2,2(1)ウ)のとおり,原告トライアンフは,原告遺産財団からの許諾を受けて,日本を含む全世界において,第三者に対し,亡マイケルの氏名及び肖像を使用した商品の製造販売等を行う権利を許諾していることが認められるから,被告MJEが亡マイケルから正規に許諾を受けており,被告MJEと契約す 36ることにより,亡マイケルの氏名及び肖像を用いた事業を正規に展開することができる旨を読み込むことができる被告MJE表示により,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるものと認められる。 したがって,原告トライアンフは,不正競争防止法2条1項13号,3条1項に基づき,被告MJEに対し,被告MJE表示(別紙表示目録3記載(1)ないし(13)の各表示)の表示の使用の差止めを求めることができ,また,同法3条2項に基づき,被告MJE表示の削除を求めることができるというべきである。 また,本件の事実経過からすれば,被告MJEは,今後,被告MJE表示のほかにも,亡マイケルの氏名及び肖像の使用について,亡マイケル又は原告らから何らかの許諾を受けている旨を表示するおそれがあることは否定できないものと認められるから,原告トライアンフは,被告MJEに対し,別紙表示目録3記載(14)の表示の使用の差止めをも求める必要性があるというべきである。 10 争点3-7(被告MJW表示は,「役務の品質又は内容について誤認させるような表示」にあたるか)について 被告MJWは,同被告が管理しているものと認められる別紙ウェブサイト目録記載5記載のウェブサイト上に,被告MJW表示を掲載しているところ,証拠(甲19)によれば,被告MJWは,同ウェブサイトにおいて,亡マイケルの氏名及び肖像を用いたライセンス商品を展開する「ライセンシー」を募集していることが認められるから,被告MJW表示は,「広告」に該当する。 次に,被告MJW表示は,要旨,被告MJWが,亡マイケルの氏名及び肖像を使用する正当な権限を保有している趣旨の表示であるところ,同表示からは,被告MJWが亡マイケルから正規に許諾を受けており,被告MJWと契約することにより,亡マイケルの氏名及び肖像を用いた事業を正規に展開することができる旨を読み込むことができる。したがって,被告MJW表示は,亡マイケルの氏名及び肖像の使用権を第三者に許諾する「役務」の「質,内容」についてされたものと認められる。 ここで,被告MJWが管理していると認められる上記ウェブサイトのうち,「カ 37テゴリー別権利行使項目」と記載されているページに列挙された,被告MJWが取得しているという亡マイケルに関する「使用権利」は,いずれも,本件各POAによって被告Aが付与された「権利項目」又は「権利使用のカテゴリー」と一字一句異なることがないから,被告MJWは,被告Aが亡マイケルからその氏名及び肖像の使用権を有効に付与されていることを前提として,被告Aから何らかの許諾を得て,被告MJW表示を行っているものと認めるのが相当である。 しかるところ,既に認定説示したとおり,本件各POAは,亡マイケルが署名したものとは認められず,何者かによって偽造されたものと推認するのが相当であるから,被告MJWは,本件各POAによっては,亡マイケルの氏名及び肖像を使用する権利を有することにはならないことが明らかである。 そうすると,被告MJW表示は,亡マイケルの氏名及び肖像の使用権を第三者に許諾する「役務」の「質,内容」について「誤認させるような表示」に該当するというべきである。 以上によれば,被告MJW表示は,いずれも,「広告」に表示された,「役務」の「質,内容」について「誤認させるような表示」(不正競争防止法2条1項13号)に該当するものと認められる。 11 争点3-8(被告MJW表示により,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるか)について 前記前提事実(第2,2(1)ウ)のとおり,原告トライアンフは,原告遺産財団からの許諾を受けて,日本を含む全世界において,第三者に対し,亡マイケルの氏名及び肖像を使用した商品の製造販売等を行う権利を許諾していることが認められるから,被告MJWが亡マイケルから正規に許諾を受けており,被告MJWと契約することにより,亡マイケルの氏名及び肖像を用いた事業を正規に展開することができる旨を読み込むことができる被告MJW表示により,原告トライアンフの営業上の利益が侵害され,又は侵害されるおそれがあるものと認められる。 したがって,原告トライアンフは,不正競争防止法2条1項13号,3条1項に 38基づき,被告MJWに対し,被告MJW表示(別紙表示目録4記載(1)の表示)の表示の使用の差止めを求めることができ,また,同法3条2項に基づき,被告MJW表示の削除を求めることができるというべきである。 また,本件訴訟において,被告MJWが,亡マイケルの氏名及び肖像を使用する権利を有すると主張していることからすれば,被告MJWは,今後,被告MJW表示のほかにも,亡マイケルの氏名及び肖像の使用について,亡マイケル又は原告らから何らかの許諾を受けている旨を表示するおそれがあることは否定できないものと認められるから,原告トライアンフは,被告MJWに対し,別紙表示目録4記載(2)の表示の使用の差止めをも求める必要性があるというべきである。 12 争点4-1(被告MJARが被告商品に「MICHAEL JACKSON」との欧文字からなる標章を付することにつき,商標権者からの許諾があったといえるか)について 被告MJARは,亡マイケルが,被告Aに対し,本件各POAが許諾する限度において,被告Aが「MICHAEL JACKSON」との欧文字からなる標章を付することを許諾しており,被告MJARは,被告Aから再許諾を受けた旨主張する。 しかしながら,既に認定説示したとおり,本件各POAが真正に成立したものとは認められない。そして,ほかに,被告A又は被告MJARが,「MICHAELJACKSON」との欧文字からなる標章を付することにつき許諾を受けた事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって,被告MJARの主張は採用できない。 13 争点4-2(被告標章の差止め及び被告商品の廃棄の必要性があるか)について 前記前提事実(第2,2(2)イ)のとおり,被告MJARは,「MICHAEL JACKSON」との欧文字を配してなる標章を付した被告商品を販売しているところ,同標章は,本件商標と同一又は類似しており,また,被告商品は,本件商標権 39の指定商品又はこれに類似する商品である。また,既に認定説示したとおり,被告A又は被告MJARが,「MICHAEL JACKSON」との欧文字からなる標章を付することにつき許諾を受けた事実は認められない。 したがって,被告MJARは,被告商品を販売することにより,原告トライアンフが有する本件商標権を侵害していると認められるから,原告トライアンフは,商標法36条1項に基づき,被告MJARに対し,「MICHAEL JACKSON」との欧文字からなる標章(別紙標章目録記載1(1)の標章)の使用の差止めを求めることができるほか,同条2項に基づき,被告商品の廃棄を求めることができる。 また,本件訴訟において,被告MJARが,亡マイケルの氏名を使用する権利を有すると主張していることからすれば,被告MJARは,今後,「MICHEALJACKSON」との欧文字からなる標章のほかにも,別紙標章目録記載2の各商品に,本件商標と類似する別紙標章目録記載1(2)ないし(5)の各標章を付して販売等を行うおそれがあると認められるから,原告トライアンフは,商標法36条1項に基づき,被告MJARに対し,別紙標章目録記載1(2)ないし(5)の各標章の使用の差止めを求めることができるというべきである。 14 結語 以上によれば,原告らの請求はいずれも理由があるから,これらをいずれも認容することとして,主文のとおり判決する。 |
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鈴木千帆裁判官天野研司41(別紙)当事者目録アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス市<以下略>原告マイケル・ジョセフ・ジャクソン遺産財団アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス市<以下略>原告トライアンフインターナショナルインコーポレーテッド上記2名訴訟代理人弁護士山元裕子同安部健介同関戸麦同佐々木奏同増田雅史東京都港区<以下略>被告A東京都中央区<以下略>被告Michael・JacksonAsianRights株式会社東京都中央区<以下略>被告MichaelJacksonEnterprise株式会社東京都港区<以下略>被告マイケル・ジャクソン・ワールド株式会社以上42(別紙)商標権目録1商標登録第3016886号出願日平成4年7月28日登録日平成6年12月22日登録商標MICHAELJACKSON(標準文字)商品及び役務の区分並びに指定商品第41類図書及び記録の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与2商標登録第5484318号出願日平成21年11月5日登録日平成24年4月6日登録商標MICHAELJACKSON(標準文字)商品又は役務の区分並びに指定商品第9類携帯電話機用のコンピューターアプリケーションソフトウエア,ダウンロード可能な壁紙用画像データ・コンピュータプログラム・アイコン及び写真,音楽及び娯楽の分野における書籍・雑誌・ニューズレター・パンフレット・小冊子及びその他のダウンロード可能な電子出版物,コンピューター用ゲームプログラム,業43務用テレビゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,ビデオゲーム用ソフトウエア,コンパクトディスク及びDVDの保管用ケース,携帯電話用ケース及びカバー,装飾用の電気スイッチプレート,ネオンサイン,コンピューター用のマウスパッド,眼鏡,着用した眼鏡を固定するための眼鏡用ストラップ・ネックストラップ・ヘッドストラップを含む眼鏡の部品及び附属品,永久磁石第14類身飾品,宝飾品,キーホルダー,時計,貴金属,宝石箱,記念たて第16類ポスターを含む印刷物,子供用書籍,音楽及び娯楽に関する書籍,シリーズになった空想小説本,漫画本,カーバンパーステッカー,ステッカー,カレンダー,筆箱,アクティビティーブック,バインダー,ノートブック,文房具,ノートパッド,便せん,鉛筆,マーカー,消しゴム,筆記用具,目盛りのついていない定規,文鎮,紙製コースター,しおり,ブックカバー及びホルダー,紙製ランチョンマット,写真アルバム,アドレス帳,ファンクラブのニューズレター,葉書,グリーティングカード,版画,複製画,子供向けのアクティビティーブック及び絵本,写真,イベント用プログラム,歌集,楽譜集,絵本,転写紙,音楽及び娯楽の分野に関する雑誌・ニューズレター・小冊子・パンフレット,リトグラフ,貴金属製のレターオープナー,貴金属製のしおり,紙製包装用容器第18類かばん類,袋物,札入れ,財布,かさ,携帯用化粧道具入れ第21類食器類,カップ,ジョッキ,ワイングラス,くし,コンパクト,その他の化粧用具,コースター,アイスペール,べんとう箱,こしょう入れ,塩振出し容器,鉢,盆,水筒,ろうそく立て,貯金箱(金属製のものを除く。),香炉第25類ワイシャツ類及びシャツ,ジャケット,セーター,ズボン及びパンツ,ベルト,ソックス,スウェットシャツ,ジャージー製被服,ショーツ及び半ズボン,ジョギングスーツ,スウェットパンツ,その他の被服,帽子,スカーフ,手袋,コート,メリヤス下着,メリヤス靴下,ネクタイ,雨衣,水泳着,寝巻き類,バスローブ,保温用下着,ヘッドバンド,リストバンド,履物,子供用の仮装用衣服,ロールプレイングゲームに使用する仮装用衣服,ダンス靴,ダンスに使用する衣服,44仮装用衣服,幼児用被服,幼児靴,アームバンド第26類頭飾品,衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,ワッペン,装飾用バッジ(ボタン),衣類装飾用布パッチ,靴ひも,かつら以上45(別紙)ウェブサイト目録1<省略>2<省略>3<省略>4<省略>5<省略>6<省略>以上46 |
裁判長裁判官 | 嶋末和秀 |
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裁判官 | 40 |