運営:アスタミューゼ株式会社
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 不服2014-20686
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 27年 (行ケ) 10079号 審決取消請求事件

原告 X1
原告 X2
上記両名訴訟代理人弁護士 名和田茂生
被告特許庁長官
指定代理人原田信彦
同 内山進
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2015/09/16
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告らの請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2014-20686号事件について平成27年3月6日にし た審決を取り消す。
事案の概要
1 特許庁における手続の経緯等 (1) 原告X1は,平成21年6月16日,別紙本願商標目録記載の構成からな る商標(以下「本願商標」という。)について,第31類「いちご」を指定 商品として,商標登録出願(商願2009-49396号)をした。
その後,原告X1は,原告X2に対し,本願商標について商標登録を受け る権利のうち,持分2分の1を譲渡し,平成25年4月22日付けで,その 旨の出願名義人変更届がされ,その結果,原告らが共同出願人となった。
(2) 原告らは,平成26年7月10日付けの拒絶査定(甲6)を受けたので,同 年9月23日,拒絶査定不服審判を請求した。
特許庁は,上記請求を不服2014-20686号事件として審理を行 い,平成27年3月6日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決 (以下「本件審決」という。)をし,同月31日,その謄本は,原告らに送 達された。
(3) 原告らは,平成27年4月29日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を 提起した。
2 本件審決の理由の要旨 本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。要するに,本 願商標と別紙引用商標目録記載の商標(以下「引用商標」という。)とは,外 観上相違する点があるとしても,「モモイチゴ」の称呼及び「桃と苺」の観念 を共通にし,さらには,それぞれの指定商品との関係を踏まえて生じる「桃の ような苺」及び「桃色の苺」の観念を共通にするから,相紛れるおそれのある 類似の商標であって,しかも,両者の指定商品は同一のものであるから,本願 商標は,商標法4条1項11号に該当し,商標登録を受けることができないと いうものである。
3 取消事由 本願商標の商標法4条1項11号該当性の判断の誤り
当事者の主張
1 原告らの主張 (1) 本件審決は,本願商標から,「モモイチゴ」の称呼が生じ,「桃と苺」の 観念,さらには,「桃のような苺」及び「桃色の苺」の観念が生じる旨認定 した。
しかしながら,本願商標は,「桃苺」の漢字部分と図形部分とで構成され るが,「桃苺」の漢字部分は,後記(2)のとおり,平仮名の「ももいちご」が 識別力を欠くことの当然の帰結として識別力を欠くから,上記漢字部分のみ から出所識別標識としての称呼又は観念が生じることはない。
むしろ,本願商標は,図形部分を含めた構成全体から,「イチゴノズノア ルトーマイ」,「イチゴノズノアルトウマイ」の称呼が生じ,「いちごの図 のある桃と苺」の観念が生じるというべきである。仮に本願商標中の「桃苺」の 漢字部分を「モモイチゴ」と読むとしても,本願商標の構成全体から「イチ ゴノズノアルモモイチゴ」の称呼が生じ,「いちごの図のある桃苺」の観念 が生じるというべきである。
したがって,本件審決の上記認定は誤りである。
(2) 本件審決は,引用商標から,「モモイチゴ」の称呼が生じ,「桃と苺」の 観念,さらには,「桃のような苺」及び「桃色の苺」の観念が生じる旨認定 した。
しかしながら,引用商標の出願経過によれば,平仮名の「ももいちご」だ けの商標では商標登録が認められなかったため,平仮名の「ももいちご」に 漢字の「百壱五」を併記した引用商標の構成とすることにより商標登録が認 められたのであるから(甲2,9ないし14),引用商標の構成中,「もも いちご」の平仮名部分は識別力を欠くものである。
また,「ももいちご」は,いちごの品種の「あかねっ娘」を表す普通名称 であり(甲17ないし31),「いちご」の指定商品に使用しても,商品の 品質を表示するにすぎないものと理解されるから,識別力を欠くものである。
そうすると,引用商標の構成中,「ももいちご」の平仮名部分は識別力を 欠くから,上記平仮名部分のみから出所識別標識としての称呼又は観念が生 じることはない。
むしろ,引用商標は,その構成全体から「ヒャクイチゴノカンジノアルモ モイチゴ」の称呼が生じ,「百壱五の漢字のあるももいちご」の観念が生じ るというべきである。
したがって,本件審決の上記認定は誤りである。
(3) 以上によれば,本願商標と引用商標は,外観,称呼及び観念がいずれも相 違するから,混同を生じるおそれがない非類似の商標である。
したがって,本願商標が引用商標と類似の商標であるとして商標法4条1 項11号に該当するとした本件審決の判断は誤りである。
2 被告の主張(1)ア 本願商標は,始点を二重の渦巻きにし,手書きで一筆書きされた逆さの ハート様の図形と,その頂点部の上方に4本の手書きの短い線をハート様 図形に向かうように配してなる図形を中央部に配し,その左右に「桃」の 文字と「苺」の文字を同じ大きさ及び同じ手書き風の書体で配してなるも のである。
「桃」と「苺」の文字は,同じ大きさ及び同じ手書き風の書体で,図形 部分の左右にまとまりよく表されているのに対し,図形部分は,特定のも のを具体的に表すものではなく,特段の観念が生じるものとはいえないこ とからすると,文字部分も独立して自他商品の識別機能を発揮するものと いえる。そして,「桃苺」の文字は,その全体が一般の辞書に収録されて いる成語であるとはいえないが,これを構成する「桃」及び「苺」の文字 は,果実の一種を表す語として,広く親しまれた漢字であり,それぞれの 読みも,「モモ」及び「イチゴ」として親しまれている。
そうすると,本願商標は,その「桃」と「苺」の構成文字に相応して「 モモイチゴ」の称呼が生じ,「桃と苺」の観念,さらに,そこから,その 指定商品との関係において,「桃のような苺」,「桃色の苺」の観念が生 じるというべきである。
イ 引用商標は,「ももいちご」の平仮名及び「百壱五」の漢字を,二段に 横書きしてなるものである。そして,平仮名1字は漢字の約7割の大きさ であるが,上段の平仮名5字部分と下段の漢字3字部分の左右の幅は同一 であり,外観上,平仮名部分と漢字部分のどちらか一方のみが強い印象を 与えるものではなく,引用商標の指定商品が「いちご」であることをも考 慮すると,取引者,需要者は,「百壱五」の漢字を「ももいちご」の平仮 名に対する当て字として構成されたものと認識することが自然である。
そうすると,引用商標の漢字部分と図形部分は一体的に把握され,「も もいちご」の平仮名から「モモイチゴ」の称呼が生じるものといえる。
そして,「もも」と「いちご」が,いずれも広く親しまれている果実で あることから,引用商標に接する者は,「モモイチゴ」の称呼に応じて,「 桃」と「苺」の文字を連想し,「桃と苺」の観念,さらに,そこから,指 定商品との関係において,「桃のような苺」及び「桃色の苺」の観念が生 じるというべきである。
ウ 前記ア及びイによれば,本願商標と引用商標は,外観は異なるが,共に, 「 モモイチゴ」の称呼が生じ,「桃と苺」,「桃のような苺」及び「桃色の 苺」の観念が生じることからすると,同一の商品に使用したときは,その 商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあるから,互いに類似の商 標であるといえる。
したがって,本願商標は,引用商標に類似する商標であり,かつ,引用 商標の指定商品「いちご」と同一の商品に使用するものであるから,商標 法4条1項11号に該当する。
(2) これに対し原告らは,@本願商標の構成中の「桃苺」の漢字部分及び引用 商標の「ももいちご」の平仮名部分は,いずれも識別力を欠くから,本願商 標及び引用商標から,上記漢字部分及び平仮名部分から出所識別標識として の称呼又は観念が生じることはない,A本願商標は,その構成全体から,「 イチゴノズノアルトーマイ」「イチゴノズノアルトウマイ」 , の称呼が生じ, 「 いちごの図のある桃と苺」の観念が生じるのに対し,引用商標は,その構成全体から「ヒャクイチゴノカンジノアルモモイチゴ」の称呼が生じ,「百壱五の漢字のあるももいちご」の観念が生じるものであり,両商標は,外観,称呼及び観念がいずれも相違するから,非類似の商標である旨主張する。
ア しかしながら,本願商標の構成中の「桃苺」の漢字部分及び引用商標の 「ももいちご」の平仮名部分が識別力を欠くとする事情はない。
原告らが指摘する引用商標の出願経過は,「ももいちご」の部分が商品 「いちご」との関係において識別力がないものと認定したものではない。
また,原告ら作成の審判請求書に添付された書証中には,ももいちご」 「 に ついて徳島県の特定地域で生産されたものについて品種名とは別にネーミ ングがされ,販売されている内容の記事もあるが,上記記事をもって取引 者,需要者が「ももいちご」をいちごの普通名称(品種)として認識して いるとはいえない。
そして,「桃(もも)」及び「苺(いちご)」がそれぞれ果物の名称と して広く知られていることからすると,本願商標及び引用商標に接する取 引者,需要者は,いずれの商標についても「モモイチゴ」の称呼,「桃と 苺」,「桃のような苺」及び「桃色の苺」の観念を看取するものといえる。
イ 本願商標の構成中の「桃苺」の文字を「トーマイ」,「トウマイ」のよ うに読むことが一般的に行われていることを示す事情はなく,かえって, 「 桃苺」の構成各文字は,いずれも,果実を表すものとして,「モモ」及び 「イチゴ」と読まれて親しまれている。
加えて,「苺」の漢字について,その音読みである「マイ」と読む一般 的に親しまれた語は見当たらず,むしろ,「苺」の文字を含む熟語には,当 該文字部分を「イチゴ」と読むものが多いこと(例えば,「木苺(キイチ ゴ)」,「野苺(ノイチゴ)」,「蛇苺(ヘビイチゴ)」),指定商品「 いちご」の需要者層は,一般の消費者であることを考慮すると,本願商標 は,構成各文字について親しまれた読みに照らして,「モモイチゴ」と称 呼されるとみるのが,極めて自然である。
したがって,本願商標から「イチゴノズノアルトーマイ」,「イチゴノ ズノアルトウマイ」の称呼が生じることはない。
ウ 以上によれば,原告らの上記主張は,その前提を欠くものであり,失当 である。
(3) したがって,本願商標は商標法4条1項11号に該当するから,本件審決 の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は理由がない。
当裁判所の判断
1 本願商標の商標法4条1項11号該当性について 複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,その構成部分全体によ って他人の商標と識別されるから,その構成部分の一部を抽出し,この部分だ けを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許 されないが,取引の実際においては,商標の各構成部分がそれを分離して観察 することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと 認められない商標は,必ずしも常に構成部分全体によって称呼,観念されると は限らず,その構成部分の一部だけによって称呼,観念されることがあること に鑑みると,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出 所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以 外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合な どには,商標の構成部分の一部を要部として取り出し,これと他人の商標とを 比較して商標そのものの類否を判断することも,許されると解するのが相当で ある(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決 ・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9 月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行 ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561 頁参照)。
そこで,以下においては,上記の観点を踏まえて,本願商標が引用商標に類似する商標(商標法4条1項11号)に該当するかどうかについて判断する。
(1) 本願商標について ア 本願商標は,別紙本願商標目録記載のとおり,頂点部の上方に4本の短 い線を配した逆さハート様の図形部分と,その図形部分の左側に「桃」の 漢字1字を,右側に「苺」の漢字1字を配した文字部分とからなる結合商 標である。本願商標の中央に配された図形部分とその左右に配された文字 部分との間には空白があり,図形部分と文字部分とがそれを分離して観察 することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているも のとは認められない。
そして,本願商標の文字部分を構成する「桃」の文字及び「苺」の文字 は,同じ大きさ及び同じ手書き風の書体で,図形部分の左右の対称的な位 置にまとまりよく配されており,しかも,それぞれが果実の「もも」及び 「いちご」を表す漢字として広く親しまれていることからすると,本願商 標の文字部分は本願商標に接した取引者,需要者の注意を強く惹きつける 部分であるといえるから,本願商標の文字部分から「モモイチゴ」の一連 の称呼が自然に生じるものと認められる。また,この称呼及び本願商標の 文字部分の構成文字から「桃と苺」の観念が自然に生じるものと認められ る。
他方で,本願商標の図形部分は,一見して特定の物の形状を表している ものと認識することは困難であり,それ自体から特定の称呼観念を生じ るものとは直ちに言い難いから,出所識別標識としての称呼又は観念は生 じないものと認められる。
そうすると,本願商標の構成中,「桃」及び「苺」の文字部分を要部と して取り出し,これと引用商標とを比較して商標そのものの類否を判断す ることも,許されるというべきである。
イ 前記アのとおり,本願商標の文字部分から「モモイチゴ」の一連の称呼 が生じ,「桃と苺」の観念が生じるものと認められる。さらに,本願商標 が指定商品の「いちご」に使用される場合には,本願商標が「いちご」を 表したものであるとの印象を受けるから,本願商標の文字部分から「桃の ような苺」の観念が生じるものと認められる。
ウ(ア) これに対し原告らは,本願商標の「桃苺」の漢字部分は,平仮名の 「ももいちご」が識別力を欠くことの当然の帰結として識別力を欠くか ら,上記漢字部分のみから出所識別標識としての称呼又は観念が生じる ことはない旨主張する。
しかしながら,前記ア認定のとおり,本願商標の文字部分(漢字部 分)は,本願商標に接した取引者,需要者の注意を強く惹きつける部分 であるから,識別力を欠くものとはいえない。
また,「桃苺」の文字と「ももいちご」の文字は,文字種及び構成が 異なるから, 「ももいちご」が識別力を欠くからといって当然に「桃苺」が 識別力を欠くものとはいえない。
したがって,原告らの上記主張は,その前提を欠くものであり,採用 することができない。
(イ) 原告らは,@本願商標は,図形部分を含めた構成全体から,「イチ ゴノズノアルトーマイ」「イチゴノズノアルトウマイ」 , の称呼が生じ, 「 いちごの図のある桃と苺」の観念が生じる,A仮に本願商標中の「桃苺」の 漢字部分を「モモイチゴ」と読むとしても,本願商標の構成全体から「 イチゴノズノアルモモイチゴ」の称呼が生じ,いちごの図のある桃苺」 「 の 観念が生じる旨主張する。
しかしながら,前記ア認定のとおり,本願商標の図形部分は,一見し て特定の物の形状を表しているものと認識することは困難であり,上記 図形部分から出所識別標識としての称呼又は観念は生じないものと認め られる。
また,原告X1作成の本願商標の商標登録出願の願書(甲3)記載の 「商標登録を受けようとする商標」の「称呼」欄には,「トーマイ,ト ウマイ」との記載があるが,上記記載から直ちに取引者,需要者におい て「桃苺」の文字が「トーマイ」又は「トウマイ」と一般的に読まれて いることを認めることはできないし,他にこれを認めるに足りる証拠は ない。
したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。
(2) 引用商標について ア 引用商標は,別紙引用商標目録のとおり,上段に「ももいちご」の平仮 名5字と下段に「百壱五」の漢字3字を二段に横書きしてなる結合商標で ある。
引用商標の平仮名1文字の大きさは漢字1文字の7割程度の大きさであ るが,上段の「ももいちご」の平仮名と下段の「百壱五」の漢字の左右の 幅はほぼ同一であり,「もも」の文字は「百」の文字の真上に,「いち」の 文字は「壱」の文字の真上に,「ご」の文字は「五」の文字の真上にそれ ぞれ配されている。
引用商標の上記構成に加えて,「百壱五」の文字が引用商標の指定商品 の「いちご」との関係において特段の意味合いを持つ語であるとはいえな いことからすると,引用商標の「百壱五」の文字は,「ももいちご」の平 仮名に対する漢字の当て字であることを自然に認識することができる。
そうすると,引用商標の上段の「ももいちご」の文字と下段の「百壱五」の 文字は,その配置上は不可分的に結合しているものとまではいえないとし ても,引用商標の「百壱五」の文字は「ももいちご」の平仮名に対する漢 字の当て字であるものと認識されるから,引用商標に接した取引者,需要 者においては,両者を一体的なものとして把握するものと認められる。
そして,引用商標全体から「モモイチゴ」の称呼が生じるものと認めら れる。
また,「もも」と「いちご」がいずれも広く親しまれている果実である ことからすると,引用商標の上記称呼に対応して「桃と苺」の観念が自然 に生じるものと認められ,さらには,引用商標が指定商品の「いちご」に 使用される場合には,引用商標が「いちご」を表したものであるとの印象 を受けるから,引用商標全体から「桃のような苺」の観念が生じるものと 認められる。
イ これに対し原告らは,@引用商標の出願経過によれば,平仮名の「もも いちご」だけの商標では商標登録が認められなかったため,平仮名の「も もいちご」に漢字の「百壱五」を併記した引用商標の構成とすることによ り商標登録が認められたこと,A「ももいちご」は,いちごの品種の「あ かねっ娘」を表す普通名称であり,「いちご」の指定商品に使用しても,商 品の品質を表示するにすぎないものと理解されることからすると,引用商 標の構成中,「ももいちご」の平仮名部分は識別力を欠くから,引用商標 は,その構成全体から「ヒャクイチゴノカンジノアルモモイチゴ」の称呼 が生じ,「百壱五の漢字のあるももいちご」の観念が生じる旨主張する。
しかしながら,前記ア認定のとおり,引用商標の構成中の下段の「百壱 五」の文字は上段の「ももいちご」の平仮名に対する漢字の当て字である ものと認識され,両者は一体的なものとして把握されるから,本願商標と 引用商標との類否判断を行うに当たっては,引用商標の構成全体を比較の 対象とすべきであるが,「百壱五」の文字が引用商標の指定商品の「いち ご」との関係において特段の意味合いを持つ語であるとはいえないことか らすると,引用商標の構成全体から「ヒャクイチゴノカンジノアルモモイ チゴ」の称呼が生じ,「百壱五の漢字のあるももいちご」の観念が生じる ものと認めることはできない。この認定は,引用商標の構成中の「ももい ちご」の部分のみに識別力があるかどうかによって左右されるものではな い。
したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。
(3) 本願商標と引用商標の類否について ア 本願商標の要部である「桃」及び「苺」の文字部分と引用商標の構成全 体は,その文字数,文字の構成及び配置が異なり,外観が相違するものと いえる。
しかしながら,本願商標の要部である上記文字部分と引用商標の構成全 体は,「モモイチゴ」の称呼,「桃と苺」,「桃のような苺」の観念が生 じる点で共通すること(前記(1)イ及び(2)ア)からすると,本願商標及び 引用商標が本願商標の指定商品の「いちご」に使用された場合には,その 商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあるものといえるから,本 願商標と引用商標とは全体として類似しているものと認められる。
したがって,本願商標は引用商標に類似する商標であるものと認められ る。
イ 以上のとおり,本願商標は引用商標に類似する商標であって,かつ,そ の指定商品は同一であるから,本願商標は,商標法4条1項11号に該当 すると認めるのが相当である。これと同旨の本件審決の判断に誤りはない。
2 結論 以上の次第であるから,原告ら主張の取消事由は理由がなく,本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。
したがって,原告らの請求は棄却されるべきものである。