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関連審決 無効2013-890078
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事件 平成 27年 (行ケ) 10134号 審決取消請求事件

原告 オムロンヘルスケア株式会社
訴訟代理人弁護士深井俊至 木村剛大 弁理士青木博通
被告株式会社タニタ
訴訟代理人弁護士飯田圭 奥村直樹 弁理士藤倉大作 苫米地正啓
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2016/02/17
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 特許庁が無効2013−890078号事件について平成27年6月5日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
主文同旨。
事案の概要
本件は,商標登録無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,商標法4条1項11号該当性(指定商品の類似性)である。
1 本件商標及び特許庁における手続の経緯等 被告は,下記のとおり,「デュアルスキャン」の片仮名と「Dual Scan」の欧文字とを2段に書した商標(本件商標。指定商品:商標法施行令1条別表の第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」。以下,商標法施行令1条別表の分類については,単に分類の数字だけを列挙する。)を,平成24年11月16日に登録出願し,平成25年3月21日に登録査定を受け(本件査定),同年4月19日に設定登録された(登録5576127号。甲17)。
(本件商標) 原告は,平成25年11月14日,無効審判請求をしたところ(無効2013-890078号),特許庁は,平成27年6月5日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,同審決謄本は,同月16日に原告に送達された。
2 審決の要旨 審決は,本件商標は, 「DualScan」の欧文字を標準文字により表してなる登録第5160747号商標(引用商標。指定商品:第10類「体脂肪測定器,体組成計」。平成19年12月7日登録出願,平成20年8月22日設定登録。甲1)と類似するといえるが,その指定商品が引用商標に係る指定商品と類似するとはいえないから,商標法4条1項11号に該当しないと判断した。
理由の要旨は,以下のとおりである。
(1) 原告の主張 本件商標は,引用商標と同一又は類似商標であり,引用商標の指定商品と類似の商品について使用するものであるから,商標法4条1項11号に該当する。
(2) 審決の判断 ア 商標の類否について 本件商標の欧文字部分と引用商標とは,いずれも「Dual」の英語と「Scan」の英語とを組み合わせてなるものであって,両語間における間隔の有無という差異はあるものの,その綴りをすべて同じくするものであるから,この点において,両商標は,外観上,近似した印象を与える場合があるといえる。
また,本件商標と引用商標とは,いずれも「デュアルスキャン」の称呼を生じ,「二重の走査」ほどの意味合いを想起するものであるから,称呼上及び観念上,互いに紛れるおそれがある。
してみれば,本件商標と引用商標とは,外観において近似した印象を与える場合があり,かつ,称呼及び観念において相紛れるおそれのあるものであるから,これらを総合勘案すれば,両者は,互いに類似する商標というべきである。
指定商品の類否について (ア) 本件商標の指定商品 本件商標の指定商品の1つである「脂肪計付き体重計」についてみるに,該商品が第9類の商品として登録されていることから,第10類「医療用機械器具及び医療用品」には含まれない商品というのが相当である。そして,第9類に属する「脂肪計付き体重計」は,医療目的でなく,体内に蓄積した脂肪分を測定する「脂肪計」の機能が付いた「体重計」をいうものと解される。
本件商標の指定商品の1つである「体組成計付き体重計」についても同様であり,第9類に属する「体組成計付き体重計」とは,医療目的ではなく,体脂肪,筋肉量,基礎代謝量などの体の組成に関する諸数値を測る「体組成計」の機能が付いた「体重計」をいうものと解される。
本件商標の指定商品の1つである「体重計」についても同様であり,第9類に属 する「体重計」とは,医療目的ではなく,専ら「体重を測る秤(はかり)」 。(広辞苑第六版)をいうものと解される。
(イ) 引用商標の指定商品 引用商標の指定商品の1つである「体脂肪測定器」は,第10類の商品として登録されていることから,第9類「科学用,航海用,測量用,写真用,音響用,映像用,計量用,信号用,検査用,救命用,教育用,計算用又は情報処理用の機械器具,光学式の機械器具及び電気の伝導用,電気回路の開閉用,変圧用,蓄電用,電圧調整用又は電気制御用の機械器具」には含まれないというのが相当である。そして,第10類に属する「体脂肪測定器」とは,医療行為を目的として,体内に蓄積した脂肪分を測定する機器をいうものと解される。
引用商標の指定商品の1つである「体組成計」についても同様であり,第10類に属する「体組成計」は,医療行為を目的として,内蔵/皮下組織などの脂肪成分,臓器や筋肉などの除脂肪成分,胃・膀胱などにある水分量や体全体の水分量などを測定したり,細胞内水分,細胞外水分,体脂肪量,骨格筋量,筋肉量などを測定する医療用の機械器具をいうものと解される。
(ウ) 本件商標と引用商標の各指定商品に係る取引の実情(品質,用途,生産部門,販売部門,需要者の範囲)について a 前提 本件商標の指定商品である「脂肪計付き体重計」及び「体組成計付き体重計」は,体内に蓄積した脂肪分や脂肪率等を測定するものであり,該商品は,医療目的で使用されるものではなく,いずれも「体重計」に脂肪分や脂肪率等を表示する機能を付加させたものであって,「体重計」の範ちゅうに属する商品であると認められる。
これに対し,引用商標の指定商品である「体脂肪測定器」及び「体組成計」は,体内に蓄積した脂肪分,脂肪成分,体全体の水分量及び筋肉量等を測定するものであり,該商品は,専ら病院等において医療目的で使用されるものであって, 「医療用機械器具」の範ちゅうに属する商品であると認められる。
b 両商品の生産部門について 被告は,家庭用の健康機器と医療用の内臓脂肪測定装置の双方を生産しており,原告も家庭用の健康機器と医療用の腹部脂肪計の双方を生産していることが認められる。
他方,家庭用の「脂肪計付き体重計」や「体組成計付き体重計」の生産者の多くが,医療用の脂肪測定器や体組成計を生産しているとの証左はなく,その逆も同様である。家庭用と医療用の両方を製造する例は少なく,いずれかを専業するというのが,一般的な取引の実情と認められる。
そうすると,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは,その生産部門が必ずしも共通するものとはいえない。
c 両商品の販売部門について 原告が提出した証拠からは,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが,その販売部門を共通にするとの事実や取引の実情を認めることはできない。
d 両商品の需要者について 本件商標の指定商品の需要者は,一般の消費者ということができる。
他方,引用商標の需要者は,医療従事者というべきものである。
e 結論 したがって,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは,体内に蓄積した脂肪分や体組成を計測するという機能を共通にするものの,互いの品質や用途を異にし,その生産部門,販売部門及び需要者の範囲を異にする商品というべきである。
してみれば,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品に同一又は類似の商標が使用されたとしても,それが,同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるということはできない。
(3) 結語 したがって,本件商標は,引用商標と類似するといえるが,その指定商品が引用商標に係る指定商品と類似するとはいえないから,商標法4条1項11号に該当し ない。
原告の主張
1 取消事由1-引用商標の指定商品の解釈の誤り 引用商標の指定商品である第10類「体脂肪測定器」及び「体組成計」は,病院等で医療従事者が使用する用,家庭用,業務用いずれのものも含むと解されるにもかかわらず,審決が,専ら病院等で医療従事者が使用するものであると認定したのは,誤りである。
(1) 審決は,引用商標の指定商品が第10類の商品として登録されていることから,第9類には含まれないとして,第10類と第9類の商品を択一関係にあり,第10類と第9類とは重なることがないという前提に立つと考えられるが,当該解釈は誤りである。
ア そもそも, 「商品及び役務の区分」は,主として先行(登録)商標の調査ないし管理(出願料の計算を含む。)の便宜のために定められたものであって,商品又は役務の類否の範囲を定めるものではないことは,商標法上も明確に規定されている(商標法6条3項)。
また,ある区分に属するとされた商品は,その区分のカテゴリーに専ら使用される商品であるという意味で分類され,規定されているものでもない。その区分の商品として使用されるという前提で,その区分に一応分類されているだけで,「専ら」との限定はなく,他の区分の商品としての使用があり得る商品もある。
およそ,市場に存在するあらゆる商品を網羅することは不可能であるし,市場に存在するあらゆる商品を1つの区分のみに分類できるような極めて詳細な区分を設けた表を作成することも不可能である。複数の区分を有する表が作成されたとしても,市場に存在する商品は,ある種類の1つの機能や構成のみを有する商品だけが存在するわけでもないし,他の区分の商品としての使用が排除されているわけでもない。また,市場では次々と新商品が生まれるし,ある種の商品の内容・品質も一 様ではない。しかも,商標法施行令2条を受けて商標法施行規則6条で規定された別表(省令別表)自体が,頻繁に改正されているが,それでもなお,省令別表の備考は,省令別表に明記されていない商品があることを予定している。
イ 一般的に,ある区分と他の区分が択一関係にあるとの前提はない。また,省令別表に明記された商品であっても,その区分のカテゴリーに専ら使用される商品であるという意味で規定されているものではなく,その区分の商品として使用されるという意味であって,他の区分の商品としての使用を排除されているわけでもなく,他の区分の商品にも該当する商品もある。しかも,複合的性格を有していたり,複数の用途を有していたりする商品については,2つの区分の異なる指定商品に該当することがあり得る。本件で問題となる第9類と第10類についても同様である。
本件において, 「体脂肪測定器」は,省令別表において第10類の中の「一 医療用機械器具」の中の「(一)診断用機械器具」に明記された商品であるから,第10類として出願され登録された。ここで,「体脂肪測定器」とは,「体脂肪」を測る機械のことであり,体脂肪の量や率は,人の健康維持や病気の予防に有用な情報であるから,「医療用」機械器具に分類された。「体脂肪測定器」は,体脂肪の量を測ることができる機器であるから,第9類「測量用…の機械器具」中の省令別表中の「二測定機械器具」にも該当する商品であるが,一応の分類として,第10類の中の「一医療用機械器具」の中の (一) 「 診断用機械器具」に該当する商品として分類された。
機器の機能・用途としては,体脂肪を計測するということであり,「測定機械器具」であるということが否定されているのではない。得られた情報を更に何の目的で使用するかは,その機器から得られた情報の二次的な使用目的であり, 「医療用」に使用することも, 「非医療用」に使用することもあり得る。しかし,得られた情報をある時に「医療用」に使用し,ある時には「非医療用」に使用することがあっても,商品としては同じであり,商品から得られた情報の二次的な使用目的が異なることによって,別の商品になるわけではない。
また,本件において,「体組成計」は,省令別表に明記されている商品ではない。
引用商標の出願時において, 「体組成計」とは,体脂肪,筋肉量,基礎代謝量,体重などを測る機能を有する機器であるが,完成品について,省令別表に明記されていない商品の場合,その機能又は用途に従って,別表に掲げられている比較の可能な他の完成品から「類推」してどの区分の商品とするかを出願人が判断すればよく,「体組成計」は,体脂肪,筋肉量,基礎代謝量,体重等を計測する機器であるから,第9類の「測定機械器具」にも該当するし,これらの情報は,人の健康維持や病気の予防に有用な情報であるから,第10類の「医療用機械器具」にも該当するといえる。本件において,原告は, 「体組成計」を第10類の商品として出願したが, 「体組成計」が第9類の「測定機械器具」に該当する商品でもあることが否定されるわけではない。
(2) 審決は,第10類「医療用機械器具」の「医療用」との文言を,専ら病院等で医療従事者が行う行為用と解釈したが,当該解釈は誤りである。
ア 第10類の「体脂肪測定器」及び「体組成計」は,専ら病院等において医療従事者が使用するものに限定されない。
省令別表第10類「一 医療用機械器具」中の「(一)診断用機械器具」には, 「血圧計」及び「体温計」が規定されているが, 「血圧計」及び「体温計」は,家庭でも使用されるものである。
イ 省令別表第10類の「一 医療用機械器具」には,その下位概念として,「(四)病院用機械器具」が規定され,(四)病院用機械器具」とは別に「 「 (一)診断用機械器具」が規定されている。「診断用機械器具」のうち,例えば,「血圧計」であれば「血圧」「体温計」であれば「体温」「体脂肪測定器」であれば「体脂肪」 , ,が診断できるのであり,これらの情報は,家庭において一般消費者が健康維持や病気の予防用に有用な情報として使用できる。家庭において一般消費者が使用する機器を, 「診断用機械器具」から排除する理由はない。(四)病院用機械器具」が別途 「規定されており, 「病院用」との限定がなく,さらに,家庭で一般消費者が使用する 機器も明記されている「(一)診断用機械器具」を,専ら病院等において医療従事者が使用する機器と,限定的に解釈する理由はない。
ウ 第10類の「医療用機械器具」の「医療用」の意味は,旧薬事法(現「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」。薬事法等の一部を改正する法律(平成25年11月27日法律第84号)1条により題名の改正。
平成26年11月25日施行。)上の「医療機器」の定義が参考になる。旧薬事法では, 「この法律で『医療機器』とは,人若しくは動物の疾病の診断,治療若しくは予防に使用されること,又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって,政令で定めるものをいう。(旧薬 」事法2条4項)と定義されており,人の疾病の予防に使用されることを目的とする機器も含まれている。
「医療機器」は,専ら病院等において医療従事者が使用する機器に限定されていない。
エ 「商品・役務名リスト」(国際分類第9版)に,「医療用機械器具」の類似群コード「10D01」に属する商品として, 「イオンを利用した家庭用電位治療器」「家庭用の鼻腔洗浄器」「家庭用ブラシ型低周波治療器」などの家庭用の機器 , ,が多数列挙されており,第10類の「体脂肪測定器」及び「体組成計」を,専ら病院等において医療従事者が使用するものと解する必然性はない。家庭において一般消費者が使用するものも,フィットネスクラブ,エステサロン等で業務用に使用されるものも,これに含まれるというべきである。
2 取消事由2-本件商標の指定商品の解釈の誤り 本件商標の指定商品である第9類「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体重計」 ,及び「体重計」は,病院等で医療従事者が使用する用,家庭用,業務用いずれのものも含むと解されるにもかかわらず,審決が家庭用のものと認定したのは,誤りである。
(1) 審決は,本件商標の指定商品が第9類の商品として登録されていることから,第10類には含まれないとして,第9類と第10類の商品を択一関係にあり, 第9類と第10類とは重なることがないという前提に立つと考えられるが,当該解釈が誤りであることは,上記1(1)で述べたとおりである。
(2) また,審決は,第9類の「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体重計」及 ,び「体重計」とは,「医療目的ではない」ものであり,「家庭用」のものと解釈したが,第9類の「測定機械器具」には「医療目的ではない」とか「家庭用」との限定は何ら付されていない。第9類の「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体重計」及 ,び「体重計」は, 「家庭用」に限定されず,病院等において医療従事者が使用するものも,フィットネスクラブ等で業務用に使用されるものも含まれる。
「脂肪計付き体重計」は,人の体内に蓄積した脂肪分を測定する「脂肪計」が付いた「体重計」であるが,これを「体重計付き脂肪計」と記載しようと, 「脂肪計・体重計一体型装置」と記載しようと同じ機器であり,体脂肪と体重を測定する機能を有する機器であることに変わりがない。
「体組成計付き体重計」は,体脂肪,筋肉量,基礎代謝量などの体の組成に関する諸数値及び体重を測る機能を有する機器であるが, 「体組成計」とは,体脂肪,筋肉量,基礎代謝量等以外に,「体重」を計測する機能を含んでいるものも多く,「体組成計付き体重計」と記載された機器は,従前から「体組成計」と呼ばれていた機器と同じである。
「体重計」は,体重を測る機能を有する機器である。
体脂肪,筋肉量,基礎代謝量及び体重という情報は,人の健康維持や病気の予防に有用な情報であるから,これらの情報を得ることができる「脂肪計付き体重計」及び「体組成計付き体重計」は,「医療用機械器具」でもある。また,「体重」という情報も,人の健康維持や病気の予防に有用な情報であるから「医療用機械器具」でもある。また,体脂肪,筋肉量,基礎代謝量及び体重を測定するということに着目すると,「測定機械器具」でもある。したがって,「脂肪計付き体重計」「体組成 ,計付き体重計」及び「体重計」は,第9類に属する機器として出願されたとしても,第10類「医療用機械器具」にも属する機器である。
3 取消事由3-本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否判断の誤り (1) 本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と類似するにもかかわらず,審決は,上記1,2の誤りを犯した結果,非類似と誤って判断した。
引用商標の第10類の「体脂肪測定器」及び「体組成計」並びに第9類の「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体重計」及び「体重計」は,病院等で医療従事者が ,使用するもの,家庭で一般消費者が使用するもの及びフィットネスクラブ等で業務用に使用するものを含むから,両商品は類似する。
また,引用商標の第10類の「体脂肪測定器」及び「体組成計」は,家庭用のものも含むから,仮に,本件商標の第9類の「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体 ,重計」及び「体重計」が, 「医療目的ではない」ないし「家庭用」のものに限定されると解したとしても,類似することになる。
さらに,本件商標の第9類の「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体重計」及び ,「体重計」は,「医療目的」ないし病院等で医療従事者が使用するものも含むから,仮に,引用商標の第10類の「体脂肪測定器」及び「体組成計」は病院等で医療従事者が使用するものに限定されると解したとしても,類似することになる。
ア 商品の類否の判断基準について,最高裁判決に従えば, 「指定商品が類似するものであるかどうかは,商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく,それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがある場合には,たとえ,商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても,商標法第4条第1項第11号にいう類似の商品にあたると解するのが相当である」。
上記最高裁判決を受け,特許庁の商標審査基準では,生産部門,販売部門,原材料・品質,用途,需要者の範囲が一致するか,完成品と部品との関係にあるかを総合的に考慮するという指針が示されている。もっとも,一般的な考慮要素が列挙されているにすぎず,これら以外の要素を考慮することもできる。
さらに,商標の類否と商品の類否とは,商品の出所の誤認混同が生じるか否かを判断するために相互に密接に関連しているから,商品の類否を判断するに当たっては,商標の類似の程度も勘案すべきであるところ,本件では,両商標の類似性は極めて高い。
イ 「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体重計」及び「体重計」と「体組 ,成計」は,同一のメーカーによって製造,販売されることも多い。また, 「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体重計」及び「体重計」と「体組成計」は, , 「ヘルスメーター」とされる商品であり,市場において同一又は類似のカテゴリーに属する商品として扱われている。加えて,家電量販店で販売されている体組成計及び体脂肪計についての調査によれば,被告はトップシェアを占め(49.9%),原告も被告に次ぐ44.3%のシェアを有し,原被告のシェアの合計は89.2%にも上るため,引用商標と類似する本件商標が,「脂肪計付き体重計」, 「体組成計付き体重計」及び「体重計」に使用された場合には,商品の出所につき,引用商標の営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同を生じるおそれがある。
ウ なお,被告が,指定商品を第9類「体重計,睡眠状態分析のための測定機械器具,その他の測定機械器具」とした出願(商願2014-1016号。別件出願)では,被告の出願する商標「Dual Scan」 (標準文字)は,原告の登録第5160746号商標(商標「デュアルスキャン」(標準文字),指定商品:第10類「体脂肪測定器,体組成計」)及び登録第5160747号商標(商標「DualScan」 (標準文字),指定商品:第10類「体脂肪測定器,体組成計」)と同一又は類似であって,指定商品についても同一又は類似の商品について使用するものであるから,商標法4条1項11号に該当するとして拒絶理由通知が発せられた。
このように,別件では,特許庁も,引用商標の指定商品である第10類「体脂肪測定器」「体組成計」は,第9類の「体重計,睡眠状態分析のための測定機械器具, ,その他の測定機械器具」と同一又は類似すると判断した。
(2) 仮に,引用商標の指定商品及び本件商標の指定商品についての審決の認定 を前提としても,類似商品と判断されるにもかかわらず,審決は,非類似と誤って判断した。
ア 仮に,第10類「体脂肪測定器」及び「体組成計」は,家庭用のものを含まず,専ら病院等で医療従事者が使用するものと解釈しても,第9類「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体重計」及び「体重計」には,病院等で医療従事者が使 ,用するものが含まれるとすると,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は,同一又は類似することになる。
第9類の「脂肪計付き体重計」と第10類の「体組成計」及び「体脂肪測定器」は,主要な機能である「体脂肪」及び「体重」を測るという機能において共通する。
第9類「体組成計付き体重計」と第10類「体組成計」及び「体脂肪測定器」は,体脂肪,筋肉量,基礎代謝量,体重などを測る機能を有する機器として同一の機器であり,少なくとも,体脂肪,筋肉量,基礎代謝量,体重などを測る機能において共通する。第9類「体重計」と第10類「体組成計」及び「体脂肪測定器」は,主要な機能である「体重」を測るという機能において共通する。
そして, 「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体重計」及び「体重計」と「体組成 ,計」及び「体脂肪測定器」は,同一のメーカーによって製造,販売されることも多い。
そのため,引用商標と類似する本件商標が,「脂肪計付き体重計」, 「体組成計付き体重計」及び「体重計」に使用された場合,商品の出所につき,引用商標の営業主の製造又は販売に係る商品との誤認混同を生じるおそれがある。
したがって,本件商標の指定商品である第9類「脂肪計付き体重計」, 「体組成計付き体重計」及び「体重計」は,引用商標の指定商品である第10類「体組成計」及び「体脂肪測定器」と類似する。
イ 仮に,第10類「体脂肪測定器」及び「体組成計」は, 「家庭用」のものを含まず,専ら病院等で医療従事者が使用するものと解釈し,第9類「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体重計」及び「体重計」には,病院等で医療従事者が使用 , するものは含まれず, 「家庭用」のものを意味すると解釈しても,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は,少なくとも類似する。
(ア) 生産者の共通性 被告は,体重を測る機能も有する家庭用の体脂肪計を製造,販売し,業務用の体組成計も製造,販売している。そして,被告は,業務用・家庭用の体組成計及び体脂肪計について世界トップシェアを誇っている。
また,家電量販店で販売されている体組成計及び体脂肪計についての調査によれば,被告はトップシェアを占め(49.9%),原告も被告に次ぐ44.3%のシェアを有し,原被告の合計シェアは89.2%にも上る。
このように,世界トップシェア,国内トップシェアの被告が,双方を製造,販売しているから,市場における「体組成計」と「脂肪計付き体重計」の生産者は,同一であることが多いと評価すべきである。
(イ) ヘルスケア業界の開発の実情 ヘルスケア業界において,当初,業務用として開発された技術や商品が,後に,一般消費者向け商品に活用されることが多いという開発の実情がある。
例えば,電子体温計は,当初,病院向けに開発され,その後,一般消費者向けに販売された。原告の家庭用血圧計についても,医学界において, 「血圧測定は病院で行うもの」との考えが一般的であった昭和53年に,販売が開始された。被告の体脂肪計も,業務用が発売されてから2年後に,家庭用が発売された。体組成計も,医療機関向けの体組成計を家庭用に応用し,広く販売されるに至った。また,被告は,医療分野や研究施設で使われるプロフェッショナル体組成計の先進技術を家庭用体組成計に取り入れた体組成計も,製造,販売している。さらに,被告の睡眠計についても,平成19年に業務用が発売された後,平成22年に一般家庭向け製品「スリープスキャン」が発売された。
このようなヘルスケア業界における開発の実情を前提とすると,ヘルスケア業界においては,業務用の商品と家庭用の商品との間で混同が生じやすい。
(ウ) 機能の共通性 本件商標と引用商標の指定商品は,体脂肪を測るという主要な機能が同一である。
また,主要な機能である「体重」を測るという機能においても共通する。
(エ) 商標の高い類似性 本件商標と引用商標の類似性は,極めて高い。
(オ) 小括 以上のとおり,ヘルスケア業界において業務用商品が一般消費者用に応用されるという開発の実情がある上,トップシェアを誇る被告が主要な機能を同一にする双方の商品を実際に製造,販売しているから,引用商標との類似性が極めて高い本件商標を「脂肪計付き体重計」「体組成計付き体重計」及び「体重計」に使用すると ,き,引用商標の営業主と同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがある。よって,本件商標の指定商品である第9類「脂肪計付き体重計」「体 ,組成計付き体重計」及び「体重計」は,引用商標の指定商品である第10類「体組成計」及び「体脂肪測定器」と類似するというべきである。
被告の反論
1 商標の類否判断の規範 近時の裁判例も,原告が指摘した最高裁判決の示した基準を用いて,指定商品類否判断を行っていることは,原告の主張するとおりである。そして,特許庁も,最高裁判決の示した基準を踏まえ,「類似商品・役務審査基準」を公表しているが,「類似商品・役務審査基準」は,大量の出願を迅速に処理しつつ,個々の審査官による判断が出願人ごとに区々となることを回避できるようにするものであり,しかも,取引の実情を踏まえた適宜の改訂により,実情にあった処理を可能にしており,肯定的な評価が与えられている。そして,本件商標の登録出願審査当時における商標審査基準では,「第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)」に関し,「商品の類否を判断するに際しては,次の基準を総合的に考慮するものとする。こ の場合には,原則として,類似商品・役務審査基準によるものとする。(イ) 生産部門が一致するかどうか (ロ) 販売部門が一致するかどうか (ハ) 原材料及び品質が一致するかどうか (ニ) 用途が一致するかどうか (ホ) 需要者の範囲が一致するかどうか (ヘ) 完成品と部品との関係にあるかどうか」とされ,かかる審査基準は,引用商標の出願審査で用いられたものと変わりはない。したがって,指定商品又は役務の類似性判断に当たっては,類似商品・役務審査基準における類似群の同一性が充分に尊重されるべきである。
「類似商品・役務審査基準」は,省令別表の包括見出し又はそれを更にある程度具体的に表示した見出しの名称を四角括弧で囲っており(実務上,これを「短冊」と呼ぶ。,この概念に含まれるものとして例示されている商品又は役務は,互いに )類似商品又は類似役務と推定され,他方で,異なる短冊に属する商品又は役務については,原則として非類似と推定されている。また,例外的に,短冊内の特定の個別商品が,他の短冊(同一又は別の区分も含め)の商品に類似すると推定される場合,これを備考として表示している。さらに, 「類似商品・役務審査基準」では,類を超えた類似についても定められており,各短冊の右側に記された類似群コードが同一のものは,他類に属する商品であっても類似商品とされている。かかる「類似商品・役務審査基準」は,専門的知見を有する特許庁が,取引の実情等を踏まえて適宜改訂するものであり,当該時点における取引の実情を踏まえたものとして,相応の信頼が与えられるべきものである。
本件についてみると, 「類似商品・役務審査基準」は,測定機械器具一般について,「第10類」「医療用機械器具 10D01」と「第9類」「測定機械器具 10C01」とにより,その用途に応じて「医療用」の測定機械器具と非「医療用」の「測定機械器具」として択一的に区分している。そして,本件商標の指定商品が属する「第9類」「測定機械器具」と,引用商標の指定商品が属する「第10類」「医療用機械器具」とは,短冊が相違し,類似群コードが相違する(前者は「10C01」であるのに対し,後者は「10D01」である。)ため,両者は商品として類似しな いものと推定されるべきである。
2 取消事由1に対し (1) 商品区分についての考え方 引用商標に係る商標出願審査の際に用いられた「商品及び役務の区分解説〔国際分類第8版対応〕」では, 「第10類 医療用機械器具及び医療用品」について, 「この類には,主として,医療用機器及び医療用品を含む。」とした上で,「解釈」として, 「医療用機械器具」については「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する。」とし,さらに,「診断用機械器具」については「診断の性質上,測定を目的とする機械器具が多いが,医院又は病院で用いられるので,この概念に属することになる。」としている。
これに対して, 「商品及び役務の区分解説〔国際分類第10版対応〕」は, 「第9類 測定機械器具」について, 「この商品は, 『はかり』 『照度計』等,ある量の大きさを,ある単位を基準として直接測定する装置・器械のほとんどが該当します。」としつつも,その用途に応じて, 「専ら医療用に使用する測定機械器具については,第10類『医療用機械器具』に属します。」としている。
(2) 出願経緯の斟酌 原告は,引用商標の指定商品について, 「第9類」ではなく, 「第10類」 「体脂肪測定器,体組成計,その他の医療用機械器具」として,商標登録出願した。類似商品・役務審査基準(改訂第8版)には「体脂肪測定器」が「第10類」 「医療用機械器具 10D01」中の「診断用機械器具」の一例として明記されており,特許庁も,かかる審査基準及び出願人である原告自身の上記商品指定に基づき,上記指定商品「体脂肪測定器,体組成計」を,「第9類」「測定機械器具 10C01」ではなく,「第10類」「医療用機械器具 10D01」として,その用途にて短冊に分類し,類似群コードを付与し,「第9類」「測定機械器具 10C01」の範ちゅうには属さず,「第10類」「医療用機械器具 10D01」に属するものとして,審査した。そして,特許庁審査官が,かかる出願に対して,平成20年6月2日付け で,商標法3条1項3号及び4条1項16号該当との拒絶理由通知を出したのに対し,原告は, 「,その他の医療用機械器具」を削除するという補正を行った結果,引用商標に係る登録出願は,登録査定に至った。このように,当該登録査定は,引用商標の指定商品が, 「第10類」に属する医療用の「体脂肪測定器,体組成計」であることを前提として,なされたものである。出願当初において「その他の医療用機械器具」と並列されていたことに鑑みると,引用商標の指定商品である「体脂肪測定器」及び「体組成計」は,いずれも,原告によって, 「医療用機械器具」の一種として指定されていたことは明らかである。特に,原告が,当該出願によって「内臓脂肪測定装置 HDS-2000」(商品名「DUALSCAN(デュアルスキャン))を保護しようとしていた事実を考慮すると,原告は,明らかに,引用商標に 」係る商標登録出願により,非医療用の商品について保護を求めることを念頭においていなかった。
原告は,引用商標の指定商品を,あえて, 「第10類」 「体脂肪測定器,体組成計,その他の医療用機械器具」として,商標登録出願したのであるから,引用商標の「体脂肪測定器,体組成計」の意義については,かかる指定商品の分類の経緯及び出願経緯も踏まえた上で,解釈されるべきである。
(3) 第10類と第9類の択一性 ア 商標法における指定商品としての測定機械器具一般については,第10 「類」「医療用機械器具 10D01」と「第9類」「測定機械器具 10C01」とで,その用途に応じて「医療用」の「測定機械器具」と非「医療用」の「測定機械器具」とに択一的に区分される。
イ 上記(2)のとおりの原告の出願経緯から見ても,両者は別のものである。
ウ 第10類の省令別表に「(一)診断用機械器具」に加えて「(四)病院用機械器具」が規定されていることは, 「医療用機械器具」の解釈に影響しない。ある指定商品が第9類に属する商品であるか,第10類に属する商品であるかは,病院か家庭用かといった使用場所のみならず,医療目的かそれ以外の目的であるかとい った使用目的によって区分されるのであって,医療目的を判断するに当たり,その一要素として,使用される場所が病院か家庭かが検討されるにすぎない。
エ 旧薬事法の規定等は,商標法上の「医療用機械器具」とそれに属する指定商品の意義の解釈に直接関係しない。
オ 第10類「医療用機械器具及び医療用品」に属する商品として,省令別表第10類の中の「五」中に「家庭用電気マッサージ器」が規定されている。第10類の分類は,医療用」 「 か否かによって区別されているが,医療用機器であっても,家庭で用いられることはあり得る。
「家庭用マッサージ器」は,人体への「マッサージ」という施術の性質上,医師ではなく患者自身によって家庭で用いられても,治療目的で行う場合に該当するから,広い意味では医療用といえ,省令別表第10類の中に「家庭用電気マッサージ器」が規定されていることと,第10類が医療用であることは,矛盾するものではない。
カ 「商品・役務名リスト」 (国際分類第9版)の「医療用機械器具」の類似群コード「10D01」に属する商品として「イオンを利用した家庭用電位治療器」等が挙げられているが,これらの商品は,名称に「家庭用」と付されているものの,人体への「電位治療」という施術の性質上, 「医療用」のものとして分類がなされたのであり,現に区分欄には全て「10」として記載されている。
「家庭用」の機器に「医療用機械器具」と同じ類似群コードが付されている記載をもって,引用商標の指定商品が「医療用」という範囲を超えて,非「医療用」の商品に類似するということにはならない。
3 取消事由2に対し (1) 出願経緯の斟酌 被告は,本件商標の指定商品を,「第10類」ではなく,あえて「第9類」「脂肪計付き体重計 体組成計付き体重計 体重計」として,登録出願した。被告の上記商品指定に基づき,特許庁は,上記指定商品「脂肪計付き体重計 体組成計付き体重計 体重計」に対して,「第10類」「医療用機械器具 10D01」ではなく, 「第9類」測定機械器具 「 10C01」として短冊分類して類似群コードを付与し,「第10類」 「医療用機械器具 10D01」の範ちゅうではなく, 「第9類」 「測定機械器具 10C01」に属するとして,審査を行った。上記指定商品「脂肪計付き体重計 体組成計付き体重計 体重計」は,「第10類」「医療用機械器具 10D01」の範ちゅうには属さず,「第9類」「測定機械器具 10C01」の範ちゅうに属する,非「医療用」のものである。
したがって,審決が,本件商標の指定商品について「医療目的でない」と認定したことに,誤りはない。
(2) 第9類と第10類の択一性 原告が主張するように,医療用とそれ以外の用途を併用する商品が存在するのであれば,そのような商品に用いられる商標の保護を求める者は,第9類及び第10類の双方の商品について,指定商品として指定すればよい。それにもかかわらず,本件商標の指定商品について,被告は「第9類」と指定したのであるから,医療用の「第10類」とは重ならないと解すべきである。
4 取消事由3に対し (1) 審決の指定商品に関する認定が誤っていることを前提とした主張に対し ア 原告は,本件商標と引用商標の指定商品が,単に,機能として共通するから類似であると主張するが,かかる主張は,類否判断に当たって取引の実情に係る諸々の要素を考慮すべきという,最高裁判決の基準を無視するものである。
イ 原告は,商標の類否と商品の類否とは,商品の出所の誤認混同が生じるか否かを判断するために相互に密接に関連しているから,商品の類否を判断するに当たって,商標の類似の程度も勘案すべきであると主張する。しかしながら,これは,個別具体的に現実の商品に使用されている商標と登録に係る商標権との関係で,権利侵害の成否が問題となっている場面における商品の類否判断について当てはまるとしても,本件のように,登録阻却事由の存否が問題となっている場合については当てはまらない。
ウ 別件出願において,担当審査官は, 「引用商標権者であるオムロンヘルスケア株式会社が,引用各商標の存在を理由として,出願人保有の登録第5576127号商標…に対して請求した無効審判…が現在も係属中であり,本願の審理は前記無効審判の結果に影響を受ける可能性がある」ために,商標法4条1項11号該当との拒絶理由通知を出したにすぎず,上記拒絶理由通知は,特許庁における,類似商品・役務審査基準及び類似群コードに基づく実務が,変更されたことの根拠となるものではない。
(2) 審決の指定商品に関する認定が誤っていないことを前提とした主張に対し ア 「類似商品・役務審査基準」により非類似が推定されること 「類似商品・役務審査基準」に基づき,短冊が相違し,類似群コードが相違すれば,備考類似等の例外的な場合を除き,原則として,問題となっている商品は非類似と推定されるべきものである。無効審判請求手続やその審決取消訴訟で,事後的に,無効事由の存否を判断する場面においても,かかる審査基準等の取扱いは,法規そのものではないとしても,出願人の公平や取引の実情を踏まえたものであることを充分に尊重し,類似群コードが相違するものについては非類似として推定されるべきである。よって,本件でも,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは非類似と推定されるべきである。
イ 個別具体的な要素を検討しても両者は非類似とされるべきこと 「類似商品・役務審査基準」及び「商品及び役務の区分解説」は,取引の実情等を踏まえて,類似群コード「10C01」の「測定機械器具」(第9類)と,「10D01」の「医療用機械器具(『歩行補助器・松葉づえ』を除く。」を非類似として )分類した。そして,商標法上の商品として, 「医療用」と非「医療用」の商品を非類似としてしゅん別することは,実際の取引実情に鑑みても,合理的理由がある。
(ア) 用途の相違 本件商標の指定商品である「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」は,区分として第9類に属している。「商品及び役務の区分解説」において,「測定 機械器具」に関し, 「専ら医療用に使用する測定機械器具については,第10類『医療用機械器具』に属します。」とされているとおり,第9類に属する本件商標の指定商品は,非「医療」用のものである。
これに対して,引用商標の指定商品である「体脂肪測定器,体組成計」は,区分として第10類に属し,医療目的に耐えうるだけの高機能・高品質のものであることが想定されている。
このように,両者の用途は,非医療用と医療用という点で一致しない。
これに対して,原告は,体重や体脂肪の測定という抽象的・概括的な機能レベルで,両商標の各指定商品が共通していることを指摘するが,取引の実情において,「医療用」として求められる機能の品質やレベルと,非「医療用」として求められるそれとの間では,必然的に相違が生じるにもかかわらず,これらの相違を踏まえないものであって理由がない。例えば, 「医療用」製品である原告の「内臓脂肪測定装置 HDS-2000」は,検査結果が,専用シートにその場で出力され,内臓脂肪面積が数値とグラフで表示されるほか,腹部の状態の断面イメージ図も表示されるなど,高機能を備えたハイスペックなものである。これに対して,非「医療用」の製品では,例えば,パナソニック株式会社製品のように, 「かんたん」「のるだけ ,測定!」といった手軽さを特徴とするだけである。両者の間に品質や機能レベルに差異が存在することは明らかである。
なお, 「医療用」とは,多義的な概念であって,医療機関における受診の場合のみならず,例えば,フィットネスクラブやジム等の業務において専門家の指導の下に,不特定・多数人が,測定結果に基づき,健康に係わるアドバイスを受けることが想定されるような場合も,ここでいう「医療」の概念には含まれる。これに対し,家庭用製品は,安全性の観点から病院その他の医療用として用いることができず,かつ,市場において「家庭用計量器(測定機械器具)」の範ちゅうに属するものとして扱われている。仮に,家庭用製品が,何らかの理由で医療機関やフィットネスクラブ等で用いられたとしても,本来の用途にそぐわない用途で,使用されていること を意味するにすぎない。
(イ) 需要者の範囲の相違 家庭用製品は,基本的に,一般家庭での個人的な使用を前提としている。このことは,パナソニック株式会社やシチズン・システム株式会社などの製品カタログの記載から明らかである。
他方,病院その他の医療用の体組成計等は,家庭用等に比べてより正確な体組成の測定を可能にするという性質上,医師・看護師等の医療機関の関係者やジム・フィットネスクラブ等で利用することが想定されている。このことは,体組成計等に医療機器承認番号が取得され,一見して明らかに医療機関での使用を前提としていることからも理解される。
本件商標の指定商品に係る非医療用の「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」の需要者は,主として一般消費者であって,非「医療」業務関係者が含まれるのに対して,引用商標の指定商品に係る医療用「体脂肪測定器,体組成計」の需要者は,医師を初めとする「医療」業務関係者である。そもそも,医療用の「体脂肪測定器,体組成計」を紹介するようなウェブサイトでは,医療関係者のみに閲覧を限っている場合も多い上に,例えば, 「除脂肪成分」「遊離水分量」「患者デー , ,タの解析と管理」といった専門用語や医療用での使用を前提とした用語が多く用いられている。被告のウェブサイトにおいても, 「個人向け」「法人向け」というタブ ,があることや価格帯が異なることから,需要者が異なることは明らかである。
したがって,需要者に関する審決の認定に誤りはない。
これに対して,原告は,電子体温計や家庭用血圧計などの例を挙げて,ヘルスケア業界における開発の実情として,当初,業務用として開発された技術や商品が,後に一般消費者向け商品に活用されることが多いと主張する。しかしながら,医療目的に開発された製品が,そのままの品質・機能(更には価格)で非医療目的へと直ちに転用されるものでないことはいうに及ばず,医療用とそれ以外の目的で,主たる需要者が異なることに変わりはない。
(ウ) 品質・性質・形状等の相違 a 機能,形状 家庭用製品は,安全性の観点から,病院その他の医療用として用いることができず,かつ,市場において「家庭用計量器(測定機械器具)」の範ちゅうに属するものとして扱われている。このことは,原告や被告,エレコム株式会社,シチズン・システム株式会社を初めとする各社が販売している家庭用製品の取扱説明書や仕様書において,業務用(病院等での測定)での使用を禁止する記載がなされていることからも明らかである。また,その取扱説明書の多くには, 「家庭用特定計量器」であることを示す標章が付されているところである。家庭用製品の製造事業者は, 「体組成計」や「体重体組成計」等の名称で家庭用製品を販売しているが,計量法の規制により, 「家庭用特定計量器」として製造・販売されている点で,体組成測定の機能を有さない「体重計」と同等のものとして取り扱われている。このように,家庭用製品については,病院その他の医療用の体組成計等に求められるレベルの高性能・高品質までは求められず,原則として,一般人が日々の暮らしの中で健康を手軽にチェックするという目的が充たされれば足りるものである。体脂肪測定法についても,家庭用製品においては,通常,生体インピーダンス法(身体に微弱な電流を流し,その電気抵抗から,メーカー独自に蓄積した統計データを元に,体脂肪率を推定する方法。)が採用されているが,この方法のみでは,体組成計等のメーカーごとに,測定結果が区々となることも多く,そのまま病院その他の医療用に用いるのは,精度として必ずしも十分ではない。家庭用製品は,一般家庭の風呂場の脱衣場に置かれることを想定したレベルの小型なものであり,一般的には,「家庭用計量器」,つまり,「体重計」と同等のものとして扱われているものである。
これに対し,病院その他の医療用の体組成計等は,その性質上,高機能かつ高品質であり,多彩な機能と高い精度とが求められるものである。特に,病院その他の医療用の体組成計では,家庭用等とは異なり,体脂肪を測定する際に,測定法として,DXA法(二重X線吸収測定法)等の高精度な方法を用いることが多い。また, 被験者に測定結果を持ち帰ってもらうためのプリント機能や,不特定多数の人間を測定対象とすることに起因する操作性の問題に対処するための大きなディスプレイやタッチパネル,多数の入力ボタンといった構成上の特徴もある。病院その他の医療用製品では,正確な測定を目指すために,全身計測や大きな電極の使用が必要とされることから,必然的に,機器は家庭用製品と比して,通常,極めて大型のものとなる。また,業務用では,不特定多数の人間による使用にも耐え得るだけの耐久性を確保するため,家庭用製品と比して,極めて頑丈な構造となっている。
確かに,被告の医療用製品であるWB-260Aについて,ウェブサイト上,ごく小さな目立たない文字で「もちろん家庭用にもお使いいただけます」と説明されているが,このことは,家庭用製品としての体組成計等を病院その他の医療業務用製品として用いることができることを示すものではない。原告の家庭用製品であるHBF-362の取扱説明書には,業務用 「 (病院など)では使用しないでください。 , 」「業務用に要求されている機能は備えていません。」と明記されている。
b 価格 家庭用製品は,一般個人が,その給与の範囲内で購入できることを想定した価格であり,価格帯としても数千円から数万円以下のものが大半である。
これに対して,病院その他の医療用の体組成計等は,一般的に病院やフィットネスクラブ等で法人として購入されるものである上に,医療機器の承認が取られていることも多く,また,不特定多数の人間による使用にも耐えるだけの耐久性が要求されるから,家庭用製品に比して極めて高価であり,100万円以上するような製品が,多々存在する。
(エ) 薬事法上の届出・認証・承認の要否の相違 引用商標の指定商品である医療用の「体脂肪測定器」や「体組成計」は,その多くが,医療機器として扱われており,旧薬事法上の認証や,管理医療機器としての医療機器承認が取得され, 「管理医療機器」「薬事法認証番号」「型式承認番号」が , ,付されているという実態が存在する。
これに対して,本件商標が指定商品とする非医療用の「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」については,そのような行政上の届出や認証等は,一般的に,必要とはされていない。
(オ) 販売部門・販売過程の相違 家庭用製品は,専ら,オンラインや家電量販店その他家庭用を取り扱う販売会社や代理店を通して,一般顧客へと販売されている。カタログ類が,専ら家庭で使用する個人を念頭において作成されていることも,家庭用等の体組成計の市場が,病院その他の医療用の体組成計等の市場とは異なることを裏付けている。
本件商標の指定商品である,非医療用の「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」は,通常,一般消費者を対象として,家電量販店やディスカウントストア,更には,オンラインストアといった一般的な経路を通して販売されるものであり,購入に対して,購入希望者の属性等による制限はなされていない。
これに対して,病院その他の医療用の体組成計等については,医療関係者専用のウェブサイトや専門の業者・会社等を通し,主として医療業務関係者やフィットネスクラブ・ジム等の関係者に向けて販売されている。実際,被告は,病院その他の医療用の体組成計等については,取扱いに専門知識が必要となることと,旧薬事法や計量法等の法規制の問題もからむことから,家庭用製品の場合と異なり,医療機器を専門的に取り扱う販売会社や商社を用いている。さらに,被告は,家庭用・個人用と病院その他の医療用(フィットネスクラブやジム等の業務用を含む。 のカタ )ログを,分けて作成している。病院用や医療用のカタログ等で家庭用の体組成計等も販売されている場合があるが,一部の会社において,しかも,販売過程で,そのような扱いがされることもあるという程度の意味を有するにすぎない。医療用製品のカタログで取り扱われている家庭用製品は限られており,一般的に,第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」と第10類「体脂肪測定器,体組成計」の市場が異なるという結論に,影響するレベルのものではない。
引用商標の指定商品である,医療用の「体脂肪測定器,体組成計」は,通常,一 般的に「医療関係者」のみが購入できるようになっており,メーカー側として医療関係者以外の者に対して販売することは安全面の問題等からも想定していない。日立アロカメディカル株式会社のウェブサイトやフレゼニウス メディカルケア ジャパン株式会社のパンフレット等の内容も,医療関係者を対象とすることが明らかである。
したがって,販売部門や販売課程の共通性を否定した審決の認定判断に誤りはない。
(カ) 生産部門・生産過程の不一致 生産部門や生産過程という観点からみても,家庭用と医療用の両方を製造する例は少ないというのが,一般的な取引の実情であるとした,審決の認定に,特段の誤りはない。
確かに,家庭用の体組成計等について,原告及び被告が日本国内市場においてシェアの大きな部分を占めていることは,原告自身が主張するとおりである。
しかしながら,病院その他の医療用の体組成計等の市場は,全体として少なくとも50億円以上あると推察されるが,被告の売上高はそのうちの数億円程度であって,被告のシェアは小さなものにすぎない。
原告と被告の家電量販店で販売されている体組成計及び体脂肪計についてのシェアに関する原告の主張は,医療用と家庭用の商品を区別せずになされているが,これは,引用商標の指定商品が「第10類」に属する「医療用機械器具」としての「体脂肪測定器,体組成計」であることを無視するものである。ここで対比されるべきは,商標法上の指定商品としての医療用の「体組成計」 (第10類)等と非医療用の「脂肪計付き体重計」 (第9類)等のメーカーが,通常,一致するとまでいえるかどうかということであるが,そのような事実を証明する証拠は,一切ない。医療用の「体組成計」等のメーカーは,原被告以外に多数のメーカーが存在し,かかるメーカーの占めるシェアが大きいと推定されることに鑑みると,第9類「測定機械器具」と第10類の「医療用機械器具」との間で,生産部門が一致することは少ないと見 るのが相当である。
結局,非医療用の分野において,原告と被告がある程度のシェアを誇っていること自体は事実であるとしても,そのことが,医療用の分野において,原告被告以外の多数のメーカーが存在する事実を否定するものではない。
我が国における家庭用体組成計メーカーとしては,原告及び被告以外に,パナソニック株式会社,株式会社ドリテック,アイリスオーヤマ株式会社,シチズン・システム株式会社,株式会社ケンコー・トキナー,株式会社エー・アンド・デイ,株式会社オーム電機,株式会社東芝,SIS株式会社等が存在するが,これらの企業は,家庭用の体組成計を製造・販売しているものの,医療用の体組成計は製造・販売していない。
これに対して,医療用の体組成計を販売している主なメーカーとしては,国内では,COSMED SRL 社,プレゼニウス メディカルケア ジャパン株式会社,GE ヘルスケア・ジャパン株式会社,MALTRON 社,ホロジックジャパン株式会社,BODYSTAT 社及び株式会社インボディ・ジャパン(商品名 InBody770,InbodyS10 など)等が存在するが,これらの企業は,医療用の体組成計を製造・販売しているものの,家庭用の体組成計は製造・販売していない。
当裁判所の判断
1 商標の類否 (1) 本件商標 本件商標の構成は,上記第2の1のとおりである。上段と下段の文字の大きさにそれほど違いはないが,その位置関係からして,上段の「デュアルスキャン」という片仮名は,下段の「Dual Scan」の読みを記載したものと看取される。そして,下段は,「二重の」を意味する英語である「Dual」と,「走査」を意味する英語である「Scan」を組み合わせたものとして, 「二重の走査」という観念を有すると理解される。
(2) 引用商標 引用商標は, 「DualScan」の欧文字を標準文字により表してなり,構成自体から特定の意味を有する語句とは理解されない。
「Dual」と「Scan」の間に空白はないものの,「S」が大文字で記載されていることから,「二重の」を意味する英語である「Dual」と, 「走査」を意味する英語である「Scan」を組み合わせたものとして,「デュアルスキャン」という称呼をもって,「二重の走査」という観念を有するものと理解される。
(3) 本件商標と引用商標の類否 本件商標の下段と引用商標は,構成文字において共通し, 「Dual」と「Scan」との間の空白は1文字分もなく,前後が必ず分離して観察されるようなものではないから,外観において類似する。そして,称呼観念は一致する。
したがって,本件商標と引用商標は類似する商標というべきである。
このこと自体は,当事者間に争いがない。
2 商品の類否 (1) 本件商標と引用商標の指定商品 本件商標の指定商品は,第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」である。
引用商標の指定商品は,第10類「体脂肪測定器,体組成計」である。
(2) 判断基準 商標法4条1項11号は,当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の 「登録商標又はこれに類似する商標であって,その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(中略)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」の商標登録を禁じている。そして,経済の発展に伴う産業の多様化や多角化,商品流通過程の複雑化等の事情を踏まえると,使用者の業務上信用の維持を図るという商標の目的(商標法1条)を達成するためには,商品の属性と近似する商品についての商標の使用を禁止するだけでは足りず,同一の営業主の提供した商品であると いう誤解を生じさせる商標の使用をも禁止する必要があるというべきである。
そうすると,指定商品の類似性の有無については, 「それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞がある認められる関係にある」か否かにより判断されるべきであり(最高裁昭和36年6月27日第三小法廷判決・民集15巻6号1730頁) 「商品の品質,形状,用 ,途が同一であるかどうかを基準とするだけではなく,さらに,その用途において密接な関連を有するかどうかとか,同一の店舗で販売されるのが通常であるかどうかというような取引の実情をも考慮すべき」である(最高裁昭和39年6月16日第三小法廷判決・民集18巻5号774頁)。そして,「商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは,同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがある場合」には, 「類似の商品」に当たると解すべきである(最高裁昭和43年11月15日第二小法廷判決・民集22巻12号2559頁)。なお,上記判断は,誤認混同のおそれの判断は,商標の類似性商品の類似性の両方が要素となり,これらの要素を総合的に考慮して行うことを示すものであるが,商品の類似性は,商標の類似性とは独立した要素であり,登録に係る商標や引用商標の具体的な構成を離れて,判断すべきである。
ところで,指定商品に関し,商標法6条1項,2項は,商標登録出願について,商標の使用をする商品又は役務を,政令で定める商品及び役務の区分に従って指定してしなければならないとしている。商標法施行令は,上記条項を受け,同区分を,「千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴで改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定」1条に規定する国際分類(国際分類)に従って定めるとともに,各区分に,その属する商品又は役務の内容を理解するための目安となる名称を付し(商標法施行 令1条,政令別表),商標法施行規則は,上記各区分に属する商品又は役務を,国際分類に即し,かつ,各区分内において更に細分類をして定めている(商標法施行令1条,商標法施行規則6条,省令別表)。特許庁は,商標登録出願の審査などに当たり,指針とすべき「商標審査基準」を定めているが,本件商標の登録出願審査時における「商標審査基準」は,商品の類否判断について,@生産部門の一致,A販売部門の一致,B原材料及び品質の一致,C用途の一致,D需要者の一致,E完成品と部品との関係該当性といった点を総合考慮することとし,この場合,原則として,「類似商品・役務基準」によるものとしている(乙1。引用商標の登録出願審査時も,商品の類否判断に関する部分の内容は同じ。 。
)「類似商品・役務審査基準」では,省令別表の包括的見出し又はそれを更にある程度具体的にした見出しの名称を,短冊と呼ばれる四角括弧でくくり,同一短冊に含まれる商品は,原則として,互いに類似商品であり,同一短冊に含まれない商品は,原則として,互いに非類似であるとしているものの,商品の個別的・具体的な審査結果によっては,上記推定は絶対的なものではないとして,例外を許容している(甲64)。このような特許庁の定めた枠組み自体は,上記に示した最高裁判例の示す判断基準に沿うものということができるし,商標法6条3項が,同条2項の商品及び役務の区分が,類似の範囲を定めるものではないと規定していることとも,整合的である。
3 本件についての検討 (1) 本件商標と引用商標の指定商品 ア 本件商標の指定商品は,第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」であり,引用商標の指定商品は,第10類「体脂肪測定器,体組成計」であるから,政令別表では異なる分類になる。
イ 商標法施行令は,商標法6条2項に係る区分を定める政令別表において,第10類として「医療用機械器具及び医療用品」を挙げているところ,省令別表では,第10類の項目において,「医療用機械器具」が,「手術用キャットガット」や「人工鼓膜用材料」, 「医療用手袋」等とともに列挙されているから,第10類の「医 療用機械器具」とは,本来,医療行為に供することが予定されている商品を指すものと解される。
そうすると,引用商標の指定商品である「体脂肪測定器,体組成計」とは,医療行為に供する程度の品質,性能を保有することが予定されている体脂肪率,筋肉量,基礎代謝量等の体組成の測定機器を指すものというべきである。
確かに,省令別表の第10類には, 「おしゃぶり」「哺乳用具」「綿棒」「指サッ , , ,ク」「業務用美容マッサージ器」「家庭用電気マッサージ器」や「耳かき」なども , ,列挙されており,医師による診断,治療の場面以外での使用が想定されているものや,小型で安価で個人でも入手可能であり,病院以外に家庭での使用が想定されているもの,機能的に高度とはいえないものが含まれている。しかしながら,これらの物品は,いずれも美容,健康に関連する商品という意味において,医療行為の範ちゅうに属する行為ないし医療行為に関連する行為に供されるものと認められるし,高度な機能が不要であるとしても,医療行為に供されること,そのために必要な品質,性能が求められていることは同様であるから,当該物品に関する省令別表の分類は,上記判断を左右しない。
ウ これに対し,政令別表では,第9類として「科学用,航海用,測量用,写真用,音響用,映像用,計量用,信号用,検査用,救命用,教育用,計算用又は情報処理用の機械器具,光学式の機械器具及び電気の伝導用,電気回路の開閉用,変圧用,蓄電用,電圧調整用又は電気制御用の機械器具」が列挙されているところ,省令別表では,第9類の項目において,「測定機械器具」として,温度計,圧力計,金属材料圧縮試験機,気象観測用機械等の種々のものが列挙されているものの,いずれも,医療行為に供することを予定したものではないから,省令別表の「測定機械器具」が属する第9類の「測量用・・・の機械器具」は,元々,医療行為に供することが予定されていない商品を指すものと解される。
そうすると,本件商標の指定商品である「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」とは,体脂肪率,筋肉量,基礎代謝量等の体組成や体重の測定機器を 指すというべきである。そして,測定の対象自体は引用商標の指定商品と重なる部分があるが,医療行為に供することが予定されていないという意味において,医療行為に供する場合よりも,品質や性能が劣るものを予定しているというべきである。
エ なお,原告は,第9類への帰属と第10類への帰属が択一関係にあることを否定すべき旨主張する。しかしながら,商標法6条1項及び2項が,商標登録出願の際に商品の指定をすること,同商品の指定は,政令で定めた区分に従って行うことを要求し,これに基づいて政令別表が作成されていること,政令別表はニース協定の規定した国際分類に即して作成されているが,国際分類でも類別表又はアルファベット順の一覧表において,多数の多種多様な商品及びサービスが概括的,網羅的に記載されていること,政令別表を再区分化した省令別表では,別表に商品名の記載がない場合を例外的な場合と取り扱っていることからすると,政令別表は,指定商品を指定するに当たって,可能な限りその中から選択できるように,世上存する多数の商品を全て列挙することを目指すものであり,そのうち,同種企業が取り扱う可能性のある商品の類型ごとに1つの区分を設けたと考えられる。
したがって,省令別表は,特定の商品が多数の類型に同時に属することを,本来,予定していないと解するのが相当というべきである。商品及び役務の区分解説」乙 「 (3,4)においても,医院又は病院で専ら使用される電子応用の機械器具は,例外的に,第9類の電子応用機械器具及びその部品に含まれないこと,第9類の「測定機械器具」に該当する器具でも,専ら医療用に使用する測定機械器具については,第10類の「医療用機械器具」に含まれることが記載されており,第9類と第10類の商品を区別し,いずれかに分類できることを前提としている。
確かに,特定の商品がどの分類に属するかが不明な場合があることや,特定の分類に属していた商品が,品質向上に伴って他の分類の属すると評価するのが相当なことはあり得るといえるが,上記の指定商品の区分を設けた趣旨からして,同時に複数の類型に帰属することは予定されていないとの前記解釈が左右されるものではない。よって,本件商標の指定商品は,第9類に属するとされている以上,第10 類にも属するとの前提に立つことはできない。
なお,「商品・サービス国際分類表」(甲27)では,完成品が複数の用途を有する複合物である場合は,各機能又は各用途に対応するいずれにも分類することができるとされているが,それは,どの分類に属させるかについて,出願人の意思に委ねる趣旨にすぎず,その結果,いずれかの分類を選択した場合において,なお,他の分類にも属することを前提としたものと,解すべきではない。
オ 「類似商品・役務審査基準」では,類似商品コードは,引用商標の指定用品の属する第10類「医療用機械器具」が「10D01」であり,本件商標の指定商品の属する第9類「測定機械器具」が「10C01」であって(甲14,18,乙2),両指定商品は,同一短冊に含まれておらず,同基準上,原則として商品として類似しないことが推定されるという取扱いがなされている。
もっとも,「類似商品・役務審査基準」上,第10類の「医療用機械器具」には,@核磁気共鳴CT装置,血圧計,体温計といった診断用機械器具,A鉗子,電気メスといった手術用機械器具,B酸素吸入器,心臓ペースメーカ,注射針といった治療用器具,C解剖台,担架といった病院用機械器具,D矯正機械器具,穿削器具といった歯科用機械器具,E去勢器具,蹄鉄機械器具といった獣医科用機械器具,F義眼,義肢,補聴器といった医療用の補助器具(歩行補助器・松葉づえを除く。, )G医療用X線装置など,多種多様なものが含まれており(甲14,18,乙2),@診断用機械器具を見ても,核磁気共鳴CT装置のような大型で高額なもので,性質上医師等の専門家以外に使用が不可能なものから,血圧計や体温計のような比較的小型で,値段や性能の点で,個人でも入手して使用し,その結果を利用することが可能なものまで,幅広く示されており,引用商品の指定商品である「体脂肪測定器」も後者に含まれる。
確かに, 「医療用機械器具」に属する具体的な商品では,大型で高額であり,医師等の専門家でなければ入手し,使用することができないようなものが多く,このような商品については,一般的な消費者が自ら購入することは考えにくく,上記推定 が及ぶものと解される。もっとも, 「医療用機械器具」に属する具体的な商品の中には,上記のような多種多様なものが含まれ,必ずしも一般消費者には入手困難とはいえない類型のものも存在するし,今後,技術革新や取引形態の変化によって,高性能の低価格帯の製品が普及し,一般消費者も,医療用として使用されている機械器具を購入し,使用するようになれば,事後的に,出所について誤認混同するおそれが生じ得ることになるから,実際に商標が使用されている具体的な商品の使用状況,取引の実情等によっては,上記推定を及ぼすことが相当でない場合もあるというべきである。
「類似商品・役務審査基準」において,商取引,経済界等の実情の推移から,類似と推定した場合でも非類似と認められること,基準上は類似とならない場合であっても類似と認められることがあると注記しているのも(甲64) 例外 ,を許容する趣旨と解され,上記見解と整合するものである。
(2) 体脂肪計,体組成計,体重計の取引状況 そこで,以下,本件商標の指定商品とこれに関連した引用商標の指定商品取引の実情を,具体的に検討することにする。
本件商標の指定商品は,医療行為に供する性能を有しない体重計で,体脂肪率の測定機能やそれ以外の体組成の測定機能の付いたものと,それらの機能が付加していないものを全て含む。本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との違いは,医療行為に供する性能の有無と,体重測定機能のみを有する機器を含むか否かという点にあり,測定対象自体は共通する部分があるところ,家庭用として販売されている体重計であっても,体脂肪率やそれ以外の体組成の測定機能を有する機種も多く,このような機種は体脂肪計や体組成計でもあるといえるし,医療用として販売される製品の中にも体重測定機能しかない機種も存在する。そして,体脂肪率の測定機能が付加した体重計につき,体脂肪計と区別するために体重体組成計と称する場合もあれば,単に体組成計や体脂肪計と称する場合もあり,その呼称はメーカーや商品により異なり,体重測定機能しかない機器を特にヘルスメーターと称することもあるが,呼称自体に特に意味はない。内臓脂肪などの体脂肪の測定機能を有した大 型機器の呼称も,内臓脂肪測定装置,腹部脂肪計などと様々であるが,いずれも体脂肪率を測定する機能を有するものである。機器の性能や機能の有無,内容,精度は必ずしも外観だけではしゅん別できないから,需要者に対する誤認混同が生じるおそれがある商品といえるか否かを判断するためには,性能や測定対象の内容いかんにかかわらず,体脂肪率を測定する機能を有する機器である体脂肪計,それ以外の体組成の測定機能を有する機器である体組成計,体重を測定する機能を有する機器である体重計(当然,複数の属性を兼ねる場合があるが,必要がない限り,以下,明示しない。)全てを対象として,取引状況を見ていくこととする。
ア 生産部門 (ア) 被告は,家庭用の体脂肪計,体組成計,体重計といった健康機器と医療用の体脂肪計の双方を生産しており(甲8,9),平成4年以降に販売した,医療用,家庭用の体脂肪計,体組成計,体重計の販売数は1500万台を超える(甲34)。
(イ) 原告も,家庭用の体脂肪計,体組成計,体重計といった健康機器と医療用の体脂肪計の双方を生産しており(甲6,7),オムロンコーリン株式会社の販売する生態情報モニタ,患者情報伝送システムといった医療機器の製造販売元でもある(甲46)。
(ウ) 株式会社インボディ・ジャパンは,医療用の体組成計と,非医療用の体組成計を製造しているが,InBodyシリーズは日本のみならず世界のトップシェアを誇る(甲65〜67)。
(エ) その他,医療用の体組成計は,株式会社オーワメディカル,フレゼニウス メディカル ケア株式会社,東洋メディック株式会社などで製造されている(甲19の2,19の3,乙12の2,12の3)。
イ 販売部門 (ア) カタログ販売 a 本件査定前の事情 (a) 原告の平成19年版及び平成25年版の健康機器総合カタログには,小型の体脂肪計,体組成計(Karada Scanシリーズ),体重計が掲載され,販売されたが(甲6,35。それ以外に,血圧計,歩数計,体温計,電動歯ブラシ,治療機器,マッサージ機器等の掲載もある。 ,業務用の大型内臓脂肪測定 )装置(DUALSCAN HDS-2000)は掲載されていない(甲7)。医療機器,医療システムの企画,開発,販売を事業内容とする,原告の関連会社であるオムロンコーリン株式会社の総合カタログでは,手術室,病棟,外来,検査室等で使用される生体情報モニタ,患者情報伝送システム,自動血圧計等,医療用の血圧計,心電計,体温計等と並んで,原告の上記カタログに掲載されている体脂肪計,体組成計(Karada Scanシリーズ)が掲載され,共に販売された(甲46)。
(b) 被告の平成25年版の健康機器総合カタログには,小型の体脂肪計,体組成計(Inner Scanシリーズ) 体重計が掲載され, , 販売された(甲8。それ以外に,血圧計,睡眠計,活動量計・歩数計,アルコールセンサー,クッキングスケール,タイマー,温湿度計等の掲載もある。。被告の平成22年版の総 )合カタログには,業務用の大型の体組成計,体重計(MC-180,190,DC-320,450)と,小型の体組成計(Inner Scanシリーズ),体重計の両方が掲載され,販売された(甲34)。平成24年版の計量計測機器総合カタログには,業務用の大型の体組成計,体重計(MC-980A,180,190,DC-320)が掲載され,販売された(甲37)。被告は,一般向け商品カタログと施設向けカタログを分けており,一般向け商品カタログには,小型の体組成計(Inner Scanシリーズ)体重計のみを掲載し, , 他方,施設向けカタログには,大型の体組成計,体重計(MC-980A,180,190,DC-320,450)と業務用の小型の体重計(WB-260A)を掲載するほか,一般向け商品カタログと同じ製品も一部掲載している(乙60。体重計に関連する商品としては,デジタルベビースケールBD-585,586。。
) (c) パナソニック株式会社の平成25年春夏版の計測機器総合カタロ グにおいて,体重や体脂肪等の測定が可能な小型の体組成計(EW-FA43,23)が掲載され,販売された(甲10。それ以外に活動量計や血圧計,乗馬フィットネス機器の掲載もある。 。
) (d) シチズン・システムズ株式会社の平成18年版及び平成25年版のシチズン健康機器総合カタログにおいて,体重や体脂肪等の測定が可能な小型の体組成計(HM-7000,3000)が掲載され,販売された(甲11,36。
それ以外に,血圧計,体温計,活動量計・歩数計,温湿度計,超音波洗浄器等の掲載もある。。
) (e) テルモ株式会社の平成19年版のテルモヘルスケア商品カタログでは,生活習慣予防のための体重管理の必要性が言及されているが,体脂肪計,体組成計,体重計の掲載はなく,販売はされなかった(甲38。同カタログでは,家庭での血圧測定や日々の体調管理の重要性が指摘され,アームイン」 「 が付された「血圧計」及び「Woman℃\ウーマンドシー」が付された体温計が掲載されたが(甲38〜40),テルモ社が商標登録した商標「アームイン」及び「Woman℃\ウーマンドシー」は,指定商品が第10類「医療用機械器具」である。。
) (f) 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会の平成19年10月版の盲人用具カタログにも,被告の家庭用の体組成計(Inner Scan BC-200)が掲載され,販売された(甲32)。
(g) 株式会社メディセオの平成25年版の医療機器カタログにおいて,原告の大型の業務用体脂肪測定器「DUALSCAN HDS-2000」と共に,被告の小型の業務用体重計(WB-260A)が掲載され,販売された(甲70の1)。
(h) 株式会社アズワンのナビス看護・医療用品総合カタログ2010-2012において,高精度体組成計(被告の業務用のDC-320,インボディ社のInbody370)と共に,小型の体組成計,体重計(原告の家庭用のHBF-371,701,370,202や被告の家庭用のBC-305)が掲載され, 販売された(甲71)。
(i) 株式会社栗原医療器械店のムラナカ総合カタログ〔診察・看護〕’11-’12において,小型の体脂肪計,体組成計,体重計(パナソニック社の家庭用のEW-FA21,EW-FA31,被告の家庭用のBC-305,原告の家庭用のHBF-202,373,701)が掲載され,販売された(甲72)。
(j) 松吉医科器械株式会社の松吉医療総合カタログ2012-13において,高精度体組成計(原告の業務用のMC-980A,180,190)と共に,小型の体脂肪計,体組成計,体重計(被告の業務用WB-260A,原告の家庭用のHBF-375,207,212,被告の家庭用のBC-717)が掲載され,販売された(甲73)。
(k) 株式会社三和製作所の「サンワ保健福祉カタログ SQUIL」(平成24年9月1日以降用)において,大型の精密体組成計や医療用体重計とともに,小型の体脂肪計,体組成計,体重計(原告の業務用のWB-150,WB-260A,家庭用のHBF-214,373,375,被告の家庭用のHS-302,BC-621)が掲載され,販売された(甲77)。
(l) 理化学系医療関係の物流部門を担っている株式会社三商の作成した,三商研究実験用ガラス製品・機器総合カタログ2011-2012において,小型の体組成計,体重計(被告の家庭用のBC-715,309)が掲載され,販売された(甲78の1,78の2)。
b 本件査定後の事情 (a) 株式会社インボディ・ジャパンの総合カタログ(平成27年印刷)には,医療用体組成計のInBody770と,非医療用体組成計のInBody570(専門家用),InBody370(業務用)が,共に掲載され,販売された(甲68)。
(b) アスクル株式会社の医療材料カタログ2014-2015号において,小型の体組成計,体重計(原告の家庭用のHBF-217,被告の家庭用の HS-302)が掲載され,販売された(甲74)。
(c) 日陶科学株式会社の保健福祉カタログ平成27・28年版において,高精度体組成計(被告の業務用のDC-320,原告の業務用のMC-780A,WB-150)と共に,小型の体組成計,体重計(被告の業務用のWB-260A,家庭用のHBF-217,被告の家庭用のHS-302,BC-202,567)が掲載され,販売された(甲75)。
(d) 株式会社フロンティアの医療総合カタログNo.025(平成27年用)において,高精度体組成計(被告の業務用のDC-320)と共に,小型の体組成計,体重計(原告の業務用のWB-110,150,260A,被告の家庭用のHS-302,BC-751,312,309)が掲載され,販売された(甲79)。
これらは,いずれも本件査定後の事情であるが,本件査定後に販売対象等に変化をもたらす要因があったとはうかがわれず,本件査定時における事情と同様と推認される。
(イ) 小売店での販売 a 家電量販店である株式会社ヨドバシカメラの秋葉原店において,平成25年11月当時,体重計,体脂肪計及び体組成計は,ドライヤー,ヘアケア用品,血圧計,低周波治療器,歩数計,体温計,電動歯ブラシ等と共に, 「理美容・化粧品」コーナーで販売された(甲12の1,12の2)。
b 家電量販店やスーパーの家電売り場では,平成25年11月当時,家庭用の体重計や体組成計が陳列販売された(乙60)。
(ウ) ネットショッピング a 本件査定前,当時の事情 楽天市場では,平成25年の時点で,体重計,体脂肪計(体重測定機能を有しないものを含む。)及び体組成計は,いずれも,「ダイエット・健康」のカテゴリーの中の「計測器,健康管理」の中に含まれていた(甲13の1,13の2)。
b 本件査定後の事情 (a) 株式会社ドリテック,株式会社マキノトレーディング,株式会社マクロス,株式会社オーム電機,株式会社阪和のウェブサイトにおいて,平成26年1月当時,小型の体組成計,体重計のみが販売された(乙13の1〜13の5)。
(b) 原告のウェブサイトにおいて,小型の体組成計,体重計(家庭用のHBFシリーズ)が販売されている(甲92の1〜92の5)。なお,原告は,体重測定機能のない内臓脂肪測定装置HDS-2000も製造,販売しているが(甲7) 同装置が掲載された医療関係者用のページでは, , 一般消費者のログインを控えてほしいとの依頼文言が掲載され,医療関係者であることを示す「はい」というボタンを押さない限り,アクセスできない(甲20,乙14)。もっとも,販売の制限まで行っているか否かは不明である。
(c) 被告のウェブサイトにおいて,大型の体組成計,体重計(業務用のMC-980A,MC-190,DC-320,WB-260A)と共に小型の体組成計,体重計(家庭用のBC-759,RD-501,BF-047等)が販売されている(甲9,93の1〜93の5)。ここでは, 「個人向け」と「法人向け」で製品を振り分けている(乙63,64)。
(d) パナソニック株式会社のウェブサイトにおいて,小型の家庭用体組成計,体重計(EW-FA43,23)が販売されている(甲94)。
(e) アスクル株式会社のウェブサイトにおいて,大型の体組成計,体重計と共に,小型の体組成計,体重計(被告の業務用のWB-260A,家庭用のBC-754)が販売されている(甲95の1,95の2)。
(f) 楽天市場において,バスリエ株式会社の開設した「お風呂のソムリエShop」で,被告の小型の業務用体重計(WB-260A)が,一般消費者向けに販売されている。ウェブサイト上は, 「業務用デジタル体重計」であることを明記しつつも, 「病院や移動検診,体重の証明用におすすめ。もちろん家庭用にもお使いいただけます。」として,対象者を,病院関係者に限らず,一般消費者も含めて いる。(甲70の2,70の3) (g) ヤフーショッピングサイトにおいて,Aが開設した「Beauty.net」で,被告の小型の業務用体重計(WB-260A)が,一般消費者向けに販売されている(甲70の4,70の5)。
(h) ヤフーショッピングサイトにおいて,Neonが開設した「ショップneon」で,被告の小型の業務用体重計(WB-260A)が,一般消費者向けに販売されている(甲70の6,70の7)。
(i) アマゾンのウェブサイトにおいて,被告の小型の業務用体重計(WB-260A)が,一般消費者向けに販売されている(甲70の8)。
(j) 日進医療器株式会社が開設したアクトロイヤルネットにおいて,原告の小型の体組成計(HBF212)と共に,被告の小型の体組成計(BC-751WH),体重計(HA851,HD661)が販売されている(甲76の1,76の2) (k) 医療機器販売を業とする有限会社ワイズメディカルのウェブサイトにおいて,被告の小型の体組成計(インナースキャン)が販売されている(甲80の1,80の2)。
(l) OCT医薬品の予約・サポートサービス,健康関連商品の通信販売サービスを提供する株式会社e健康ショップのウェブサイトにおいて,小型の体組成計(原告の家庭用のHBF-254,被告の家庭用のHS-313)が販売されている(甲81の1,81の2)。
(m) 医療機器の製造・販売・修理及び卸売を業とする星盛堂医療器工業株式会社のウェブサイトにおいて,小型の体組成計(原告の家庭用のHBF-701,601,371,361)が販売されている(甲82の1,82の2)。
(n) 有限会社ジョイパルが開設した「JOYPALSHOP」という医療器具・衛生材料専門販売ウェブサイトにおいて,高精度体組成計と共に,小型の体組成計,体重計(被告の家庭用のBC-305)が販売されている(甲83の 1,83の2)。
(o) 株式会社フロンティアが開設した「アスリートトライブ」という医療器具販売ウェブサイトにおいて,身障者用の大型の体重計,業務用デジタル体重計(被告のWB-110,150)と共に,小型の体組成計,体重計(被告のRD-900)が販売されている(甲84の1,84の2)。
(p) メディエントランス株式会社が開設した「MEDICAL SUPPLY GooDs」という医療器具販売ウェブサイトにおいて,精密体重計,業務用デジタル体重計と共に,小型の体組成計,体重計(被告の業務用のWB-260A,150,家庭用のBC-753,757,原告の家庭用のHBF-216,217)が販売されている(甲85の1,85の2)。
(q) ブティックス株式会社が開設した「医療の王様」という医療器具販売ウェブサイトにおいて,大型の体組成計,体重計(被告の業務用のDC-320,MC-190)と共に,小型の体組成計,体重計(家庭用のBC-717,307,原告の家庭用のHBF-375)が販売されている(甲86の1〜86の4)。
(r) 東洋メディック株式会社,フレゼニウス メディカルケア ジャパンの医療用体組成計を取り扱うウェブサイトでは,個別の製品紹介ページに入る前に,ユーザの医療関係者該当性の有無について確認の欄がある(乙54,55)。
(s) 医療用の体組成分析装置は,日立アロカメディカル株式会社,株式会社オーワメディカル,フレゼニウス メディカル ケア株式会社,東洋メディック株式会社,株式会社神戸メディケアなどのウェブサイトで紹介されているが(甲19の1〜19の5,乙12の1〜12の5)GEヘルスケア ジャパン株式会社, , ・東洋メディック株式会社,Bodystat社,Maltron International Limitedのウェブサイトでは,家庭用の体組成計の取扱いはない(乙56〜59)。
(t) 株式会社大塚商会のウェブサイト「たのめーる」において,大型の体組成計,体重計と共に,小型の体組成計,体重計が販売されている(甲96の 1〜96の5)。
(u) フィットネスクラブやエステサロン等に向けて販売される製品は,ソフィア株式会社,エステジャパン株式会社,神戸メディケア株式会社,エムインターナショナル株式会社,アリオス株式会社,ワールドジャパン株式会社,株式会社ヴィジーン・トレーニングといった美容機器専門業者でも取り扱われており,そこでは家庭用品の取扱いはない(乙46〜52)。
これらは,いずれも本件査定後の事情であるところ,本件査定後に,ネットショッピングの普及が進んだことは否定できないものの,販売対象等に変化をもたらす要因があったとはうかがわれず,本件査定時における事情をほぼ反映するものと推認される。
ウ 価格及び性能 (ア) 体脂肪の測定方法 遅くとも平成16年ころには,健康のバロメータとして,体重以外に,体脂肪が着目されるようになり(乙6の1),体脂肪の測定方法として,@CTによる測定以外にも,A水中体重計を用いて,空気中の体重と水中の体重から体密度を求め,体脂肪量を計算する水中体重秤量法,BDXA法(Dual energy X-ray Absorptiometry)という波長の異なる2種類の放射線の透過量から人体の組成を求める方法,C生体インピーダンス法(Bio Impedance Analysis)という体脂肪が電流を流しにくい性質を利用し,身体に微弱電流を流して推定する方法,D特定波長帯の近赤外線を照射し,反射エネルギーから体脂肪量を推定する近赤外分光法,Eつまみ上げた皮膚の厚さを測定するキャリパー法等が示されている(甲28,29,乙6,7〔枝番のあるものは,各枝番を含む。) CTによる測定やDXAの測定には, 〕。 大型の医療機械が必要であり(乙7の4,7の5,7の7〜7の11,7の14,7の15,7の17〜7の19,7の21) DXA法では, , 骨密度も測定可能である(乙7の28〜7の32)。
家庭用の体脂肪計では,比較的簡便なインピーダンス法,近赤外分光法,キャリパ ー法が採用されているが,インピーダンス法が採用する推定法則は,水中体重秤量法で測定されたデータを基にしていることが多い(甲28)。
しかしながら,生体インピーダンス法は,身体状態の差によるインピーダンスの差が大きい,生体電気インピーダンスから体脂肪率を推定するノウハウが,測定機器メーカーごとでばらつきがあるといった欠点がある。そこで,被告は,測定精度を高めるため,細胞の抵抗成分(レジスタンス)を容量成分(リアクタンス)とは別に計測するリアクタンステクノロジーや,複数の周波数を使い分けるマルチ周波数測定という方法を用いて,筋肉内電解質の電気特性の個人差を反映させることができるようにし,平成23年当時の時点で,DXA法との差を縮小していた。
(甲31,49,54,55,乙6の5,29) (イ) 体脂肪計の機能や値段等の変遷 体脂肪計は,被告が平成4年に業務用の販売を開始し,平成6年に家庭用の販売が開始したが,その後,平成8年に1万円台のモデルが販売され,急速に売上げを伸ばした(甲49)。
また,平成15年以降,体重計の機能が急速に多様化した。すなわち,体重だけを測定するものから,内臓脂肪や筋肉量,基礎代謝量,骨量など体の組成を測定するものへと機能が多様化した。原告が,平成15年6月に体重と体脂肪率,基礎代謝量等を測定できる家庭用の「カラダスキャンチェック HBF-352」を発売し,その後も体年齢がわかる「HBF-353」や筋肉率を測定できる「HBF-354」を追加投入した。これに対し,被告は,平成15年10月,体重,体脂肪,内臓脂肪以外に,基礎代謝量等を測定できる「インナースキャンBC-51」を投入し,骨量を推定できる「BC-52」を追加投入した。その後も高機能化が進み,平成17年の時点で,原告は,骨格筋レベル表示やメモリー機能の付いた「HBF-359」を,被告は,体重を50g単位で測定できる機種を追加販売するなど,多項目の測定が可能となった。他方,一般消費者が多機能製品を使いこなすことには限界があることから,体重精度を落とし,筋肉量や体年齢計の計測機能を省いた 1万円以下の価格帯の機能を絞った機種が投入された。(以上,甲33) (ウ) 各種製品の性能 a 原告の健康機器総合カタログ(甲6,35)では,家庭用の小型の「体重体組成計,体脂肪計」として,両足測定タイプと両手両足測定タイプの体組成計と,両手測定タイプの体脂肪計が掲載されているが,いずれも50g単位又は100g単位での体重測定が可能であり,測定レベルが異なるが,内臓脂肪(0.5レベル又は1レベル単位),体脂肪率(0.1%単位)等の測定が可能であり,骨格筋量(0.1%単位) 基礎代謝量, , 体年齢(1歳単位)が測定できるものもある。
他方,原告の業務用の内蔵脂肪測定装置「DUAL SCAN HDS-2000」は,本体が314mm(横)×269mm(奥行き)×142mm(高さ)で3.6kg,専用架台セット時には585mm(横)×772mm(奥行き)×1035mm(高さ)で42kgという大型の医療用機器であり,専用架台とプリントを標準装備したメーカー希望小売価格が350万円(税抜き)であるが,原告独自のデュアルインピーダンス法(両手から両足に微弱な電流を流し,腹部でインピーダンスを測定することにより,除脂肪面積を算出すると共に,腹部の表皮から微弱な電流を流し,腹部でインピーダンスを測定することにより腹部皮下脂肪面積を算出し,事前に「腹部測定ユニット」で算出した腹部全断面積から除脂肪面積と皮下脂肪面積を引くことで,内蔵脂肪面積を算出する。2つの経路から電流を流すことで内臓脂肪と腹部皮下脂肪を識別し,X線CTと相関の高い内臓脂肪面積の算出が可能となる。)が採用され,検査結果はレポートで出力される(甲7,20)。
原告の家庭用体組成計であるカラダスキャンHBF-701,HBF-251,HBF-362の取扱説明書では,家庭用計量器の基準に適合しているが,業務用に要求される機能は備えていないとして,業務用(病院など)での使用が否定されている(乙31,32,62)。
ただし,小型の家庭用体組成計である原告のHBF-362及びHBF-353が,多数の医療関係の研究論文で使用されている(甲87,88の1,88の2, 89〜91,92の4)。
b 被告の健康機器カタログでは,家庭用の小型の両足測定タイプと両手両足測定タイプの体組成計が掲載されているが,いずれも50g単位又は100g単位での体重測定が可能であり,いずれも,6歳以上の対象者の体脂肪率,内臓脂肪レベル,左右部位別測定,6歳以上の対象者の筋肉量,基礎代謝量,体内年齢,6歳以上の対象者の推定骨量等を測定できる。体内の水分の異動や量変化に対応したリアクタンステクノロジーが搭載されている。体組成を測定しないタイプの体重計も掲載されている。被告の腹部脂肪計「AB-140」は,本体2.6kg,インピーダンス計0.5kgであり,仰向け姿勢で測定できる腹部インピーダンス法を採用し,18歳以上の対象者の体幹部脂肪率(0.1%単位)内臓脂肪レベル , (0.5レベル単位),体幹部脂肪率判定(9段階),内臓脂肪レベル判定(6段階)を測定できる。(甲8) 被告の大型の業務用体組成計MC-190は,標準小売価格が157万5000円であるが,全身についての50g単位の体重,脂肪量,除脂肪量,筋肉量と基礎代謝量,0.1%単位の体脂肪率,右腕,左腕,右足,左足,体幹の部位単位についての0.1%単位の体脂肪率,50g単位の脂肪量,筋肉量につき,非侵襲,簡便で短時間での測定が可能である。被告の業務用体組成計,体重計は,基準適合証印が付され,商店での計量販売,薬局,病院での調査剤,医療機関での記録等での使用が可能であり,医療,運動関連施設,学校,旅館での使用が可能である。
(甲34) 被告の小型の業務用デジタル体重計WB-260Aは,標準小売価格が3万8000円(税抜き)であり,使用場所の地域設定を行った上で,100g単位の体重計を測定できる製品であり,取っ手が付いているため持ち運び可能で,バックライト付きで暗いところでも見やすく,表示方向の切替えも可能である(甲70の2,70の4,70の6,乙60)。
被告の小型の家庭用体組成計BC-303について採用された生体インピーダン ス法は,DXA法で求めた体脂肪と筋肉量との相関関係が,0.94と高精度であり,家庭で簡便かつ客観的な肥満評価が可能であると評されている(甲31,34)。
また,被告の小型の家庭用innerscandual RD-904,905や家庭用「体脂肪計付ヘルスメーター」BF-700〜702の取扱説明書では,業務用として病院等で使用するための機能を備えていないとして,病院等での使用を禁じている(乙29,30)。
なお,被告において,業務用機器とは,医療・運動関連施設から学校,旅館までで利用できるものを想定しており,医療用に用いることができるものを指す(甲34)。
c 他の健康機器メーカーの小型の家庭用体組成計,体重計の性能も,原告や被告の同種品と,概ね同様である(甲10,11)。家庭用体組成計,体重計の取扱説明書では,業務用(病院など)での使用が禁止又は否定されている(乙33〜45)。
d(a) 医療用の体組成分析装置については,日立アロカメディカル株式会社のEchoMRIシリーズは,ラット等の動物用のものであるが,脂肪成分,除脂肪成分,遊離水分量,全水分量をグラム測定でき,61mm又は121mm(横)×71mm(奥行き)×140mm前後(高さ)で,250kg又は500kgと大型である(甲19の1)。
(b) 株式会社オーワメディカルのX-SCAN PLISは,全身と部位別測定が可能であり,重水希釈法との比較で高い正確度(0.97)と再現度(0.99)が検証されたものであり,496mm(横)×836mm(奥行き)×1150mm(高さ)で,大型である(甲19の2)。
(c) フレゼニウス メディカル ケア株式会社のBCM○体組成分析 R装置は,5kHzから1000kHzまでの異なる50の周波数で総体液量と細胞外液量に相当する電気抵抗を算出し,体液過剰・不足量を分離算出するところに特徴があるが,本体は,168mm(横)×272mm(奥行き)×112mm(高 さ)で,2kgである(甲19の3)。
(d) 東洋メディック株式会社のBOD POD体脂肪測定装置は,体重と空気置換法により計測した体積から体脂肪を計算で求める方式を採用しており,人がBOD POD内に入って計測するほど大型なものである(甲19の4)。
(e) 株式会社神戸メディケアのインボディ720は医療機器であり,4極8点接触型電極により30個のインピーダンス値と15個のリアクタンス値を測定し,0.1kg単位で細胞内水分,細胞外水分,タンパク質,ミネラル,体脂肪量,骨格筋量,筋肉量,除脂肪量,体重等を分析できる装置で,高い精密度(0.98)と再現度(0.99)が検証されたものであって,520mm(横)×870mm(奥行き)×1200mm(高さ)と大型である(甲19の5)。
(f) 株式会社インボディ ジャパンの医療用のInBody770は, ・526mm(横)×854mm(奥行き)×1175mm(高さ)であり,体水分量(細胞内・外水分量),タンパク質量,ミネラル量,除脂肪量,体重,筋肉量,体脂肪量を測定し,評価できる。非医療用のInBody570は,医療用として販売されていないが,専門家の利用が予定されている。InBody570は,522mm(横)×893mm(奥行き)×1113mm(高さ)で大きさに違いはなく,測定項目も共通しており,いずれも,部位別直接インピーダンス測定法を採用しつつ,多周波数測定による正確性と,8点接触型電極法による再現性を実現し,わずかな体成分変化も感知するものである。(甲68) (エ) 各種製品の価格 製品に備え付けられた機能の内容や精度に応じて,種々の価格帯の製品が存在する。
a 平成19年当時における被告の小型の家庭用体組成計インナースキャンシリーズは,両足測定タイプで,体重,体脂肪率,推定骨量,筋肉量等が測定できるが,メーカー小売希望価格は1万円(税込み1万0500円)〜1万8000円(税込み1万8900円)であった(甲34。甲57によると,平成22年の 時点での後継機は約2万円である。。右腕,左腕,右足,左足という部位測定が可 )能なタイプのインナースキャンBC-600のメーカー小売希望価格は3万円(税込み3万1500円)であった(甲34)。内臓脂肪チェック機能の付いた体脂肪計であるTF-100のメーカー小売希望価格は1万2000円(税込み1万2600円)下肢筋肉量チェック機能の付いた体脂肪計であるLM-003のメーカー小 ,売希望価格は1万6000円(税込み1万6800円) 体脂肪計の付いた体重計の ,メーカー小売希望価格は5000円(税込み5250円)〜8000円(税込み8400円) 体組成を測定できない体重計のメーカー小売希望価格は2000円 , (税込み2100円)〜6000円(税込み6300円)であった(甲34。甲57によると,平成22年当時の後継機は若干値下がりした。 。被告の業務用体組成計や )体重計のうち,小型の体重計であるWB-260Aは,約3万5000円で販売されているが(甲70の2,70の4,70の6,70の8),受注生産品で,体重証明可能な体重計であるWB-110のメーカー小売希望価格はセパレートタイプで7万円(税込み7万3500円) 取引証明用ではない体組成計であるBC450の ,メーカー小売希望価格は12万円(税込み12万6000円)であり,大型の医療用で最も高価格帯の体組成計であるMC-180とMC-190のメーカー小売希望価格は170万円(税込み178万5000円),150万円(税込み157万5000円)であった(甲34)。6つの周波数で精度の高い測定が可能な医療用の大型の体組成計であるMC-980Aのメーカー小売希望価格は200万円(税込み210万円)であるが,重力補正をするデュアル周波数体組成計であるDC320のセパレートタイプのメーカー小売希望価格は24万円(税込み25万2000円)であった(甲34)。
b 原告の小型の家庭用体組成計であるカラダスキャンシリーズは,概ねオープン価格であり,両手測定タイプの体脂肪計のメーカー小売希望価格は6510円(税込み)であった(甲35)。
c シチズン・システムズ株式会社の200g単位での測定可能な小型 の家庭用体重計HM2000のメーカー小売希望価格は6825円(税込み) 肥満 ,度の表示も可能な小型の家庭用体重計HM3000のメーカー小売希望価格は8925円(税込み) 手のひらで体脂肪を測定する体脂肪計のメーカー小売希望価格は ,7350円(税込み)であった(甲36)。
d オムロンコーリン株式会社の販売する原告の小型の家庭用体組成計カラダスキャンシリーズはオープン価格であるが,両手測定タイプの体脂肪計のメーカー小売希望価格は6510円(税込み)であった(甲46)。
e 楽天市場における体脂肪計,体組成計,体重計の売れ筋は,原告のカラダスキャンシリーズと被告のインナースキャンシリーズという小型の家庭用体組成計付き体重計であり,価格帯は,1000円から1万円弱のものである(甲13の1,13の2)。原告と被告の各製品は,性能と価格帯が比較的近い。
f アマゾンにおける体脂肪計,体組成計,体重計の売れ筋は,原告のカラダスキャンシリーズと被告のインナースキャンシリーズという小型の家庭用体組成計付き体重計であり,価格帯は,1000円台から5000円弱のものである(甲58,59)。原告と被告の各製品は,性能と価格帯が比較的近い。
g ジャパネットタカタにおける体脂肪計,体組成計,体重計の売れ筋は,原告のカラダスキャンシリーズと被告のインナースキャンシリーズという小型の家庭用体組成計付き体重計であり,価格帯は,1000円台から5000円弱のものであるが,被告のデュアルスキャンシリーズは約2万5000円である(甲60)。原告と被告の各製品は,性能と価格帯が比較的近い。
h 株式会社インボディ・ジャパンの医療用のInBody770は245万円であり,非医療用のInBody570は185万円,InBody370は95万円である(甲69)。
i 被告の業務用デジタル体重計WB-260A(販売価格3万7346円(税込み))を販売しているウェブサイトでは,販売価格2280円(税込み)の株式会社マキノトレーディングの小型の家庭用デジタル体重計MT0194や, 販売価格1000円台から3万円台の被告のデジタル体重計,家庭用から業務用まで1000点以上の在庫があることを示す通販サイトなどに,それぞれリンクが貼られている(甲70の4,70の8)。
j 医療機器や医療用品が掲載されたカタログやウェブサイトは,医療機関向け,保健福祉機関向け,一般企業向けなど様々であり,これらのカタログに掲載された体脂肪計,体組成計,体重計の価格帯は,業務用体重計で10万円を超えるもの,体組成計として100万円を超えるものもあるが,5000円以下のものや,原告のカラダスキャンシリーズ,被告のインナースキャンシリーズ等1万円以下から2万円程度のものも掲載されている(甲71〜86,92〜96〔枝番のあるものは各枝番含む。) 〕。
エ 需要者に関する事情 (ア) アマゾンにおける体脂肪計,体組成計,体重計の売れ筋は,1000円台から5000円弱で,高額のものでも2万円台で,家庭用のものである(甲58,59)。
(イ) 健康関連商品のウェブサイトでの販売は,要指導医薬品と第1類医薬品については,自宅配送が不可能であるが(甲81の1)それ以外の商品について, ,個人での購入制限があることはうかがわれない(甲80〜86,92〜96〔枝番のあるものは各枝番含む。) 〕。
(ウ) 業務用体組成計は,病院以外にも,フィットネスクラブやエステサロン,研究施設(大学)でも使用されている(甲34,37,49,66)。被告のWB-260Aのように,業務用体重計であっても,わざわざ家庭での使用も可能と明記して販売されるものもあるし(甲70の2),家庭用製品や医療用・家庭用両方の製品のウェブサイトにリンクが貼られていることもある(甲70の4,70の8)。
(エ) ダイエットや健康器具の比較に関するウェブサイトであるフィッテウェブにおける2015年のアンケートの結果では, 「体重計,体組成計部門」で,原告のカラダスキャンシリーズと被告のインナースキャンシリーズという小型の家庭 用体組成計の人気が高い(甲61,62)。
これらの状況も,本件査定時から大きい変化はないと推認される。
オ 市場のシェア (ア) 家電量販店における平成15,16年当時における家庭用体組成計,体重計の販売シェアは,原告と被告の両社で90%を超える(甲33)。
(イ) 平成27年ころの時点において,日本国内の業務用体組成計の販売は,売上高ベースで10億円余りと推測され,そのうち被告の売上高が数億円に及ぶ(乙60)。
カ 行政機関における体脂肪計の取扱い 平成22年の時点において,経済産業省の技術戦略マップ2010の医療分野の欄では,体脂肪計が血圧計等と同じグループに整理された(甲48)。
(3) 検討 以上によれば,本件査定時において,本件商標と引用商標の指定商品に関連する体脂肪計,体組成計,体重計等の取引の実情に関し,次のことがいえる。
ア まず,業務用として販売されている体組成計及び体重計は,医療用として使用することを想定した機能や性能を有し,医療用製品に該当するといえるところ,家庭用の体組成計及び体重計のシェアが極めて高い原告と被告は,医療用製品の製造者でもある。また,医療用の体組成計しか製造していないメーカーが存在する一方,医療用の体組成計を製造していない家電メーカーも存在し,家庭用の製品と医療用の製品に関し,シェアが一致しているとは認められない。
イ 次に,メーカーによって,販売用のカタログの種類,掲載対象は異なるが,家庭用の体組成計や体重計のシェアが高い被告は,家庭用と業務用の両方を掲載したカタログを用意している。また,多数の医療機器販売メーカーのカタログにおいて,小型の体脂肪計,体組成計,体重計が掲載され,販売されているが,その中には,原告や被告の製品で,業務用のものと家庭用のものの両方が含まれているため,医療関係者は,医療用機器の購入時に家庭用機器も併せて購入対象として検 討することになる。
小売店における体脂肪計,体組成計,体重計の販売では,業務用の大型のものは展示されていないが,健康意識の向上に伴い,血圧計や体温計といったヘルスケアに関する製品と一緒に展示されており,一般消費者は,家庭用体組成計,体脂肪計及び体重計を,健康維持や病気予防の目的で使用できる製品と近い性質のものと認識し得る。
また,近時は,ネット販売の増加もうかがわれるところ,体脂肪計,体組成計,体重計のネット販売は,家電メーカー,医療機器メーカーに限られず,オフィス用品取扱会社などにおいても取り扱われており,医療関係者の購入を前提とし,医療用製品を主に取り扱うウェブサイトもあれば,一般消費者の購入を前提とし,家庭用製品を主に取り扱うウェブサイトもある。前者では,医療用機器として大型の体重計,体組成計以外に小型の製品も掲載され,医療用に限定されず,家庭用の体組成計,体重計が販売されていることが多いため,主たる需要者である医療関係者にとって,医療用機器と同様に,家庭用機器が購入検討対象となる。しかも,医療用製品を主として取り扱うウェブサイトであっても,一般消費者がアクセスすること自体に制限はなく,購入も禁止されていないため,一般消費者も需要者となることがあり,その場合の購入対象は,家庭用機器に必ずしも限られず,医療用機器も候補となる。他方,一般消費者向けのウェブサイトであっても,業務用体重計が販売される場合もあり,医療用製品が購入候補になることもあるし,リンクが貼られた業務用製品販売通販サイトへアクセスすることで,他の医療用製品等が購入候補となることもある。
ウ さらに,医療用と家庭用の体脂肪計,体組成計,体重計において,その品質及び価格は様々であるが,医療用と同程度の品質及び価格が用意されている業務用のものは,医療現場以外の学校やフィットネスクラブ等でも使用され,学生やフィットネスクラブの会員である一般消費者が,直接接する場合がある。
具体的には,医療現場に設置されることが多いと考えられる業務用の製品は,価 格が100万円を超えるものや,一般住宅内での設定が想定できないほど大型のものがあるが,一方,業務用の体重計であっても,価格が3万円程度で,一般家庭での購入が十分可能な製品もある(被告のWB-260A)。
他方,家庭用の体脂肪計,体組成計,体重計であっても,多数の機能が付加されていることが通常であり,1万円を超えることも珍しくない。これらの家庭用の体重計等は,家庭用計量器の基準しか満たさないものとはいえ,その測定対象や測定単位が医療用のものと同様のことがあり,医療関係の研究論文で使用される程度の精度を備えていて,医療現場で購入される場合もある。
エ このように,家庭用の体重計の需要者である一般消費者は,医療用の体組成計,体重計も入手可能な状況となっていたといえる上に,医療用の体組成計,体重計は,医療現場での利用に限定されず,学校やフィットネスクラブ,企業等でも利用されるから,その需要者は,医療関係者に限定されず,学校関係者やフィットネス関係会社,企業の物品購入部門,健康管理部門の従業員も含まれる。そして,医療用の体組成計及び体重計のシェアの正確な数値は不明であるが,被告の医療用の体組成計の販売台数は相当数に及び,販売シェアも小さくないから,これらの需要者は,家庭等で被告の家庭用の体組成計を目にするだけでなく,学校やフィットネスクラブ等で被告の医療用の体組成計を目にする機会もあることが推認される。
また,一般消費者の一部を構成する医療従事者は,一般消費者よりも高い注意力をもって商品を観察するとはいえ,医療用と家庭用の両方の製品を製造し,家庭用のシェアの大半を占める原告と被告の製品に日常的に接することになるから,医療用製品の出所について,家庭用製品の出所と区別して認識することが困難な状況といえる。
さらに,その他の学校関係者,フィットネス関係会社や企業の物品購入部門,健康管理部門の従業員には,一般的な消費者も含まれており,しかも,医療用と家庭用の体重計,体組成計の測定対象は同じであり,性能等が近づきつつあるといえる上に,精度の違いは一般消費者には識別し難い場合があることから,性能による明 確な区別も困難である。
オ よって,本件査定時においては,医療用の「体脂肪測定器,体組成計」と家庭用の「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」は,誤認混同のおそれがある類似した商品に属するというべきである。したがって,審決の指定商品類否判断の誤りをいう原告の取消事由3は,理由がある。
4 被告の主張に対する判断 (1) 被告は,原告が,引用商標の指定商品に当初「その他の医療用機械器具」を含めて出願していたという,引用商標の出願経過からすると,原告が非医療用の商品について保護を求める意図はなかったとして,本件商標と引用商標の指定商品の非類似性の根拠とする。
被告の主張は,登録された商標権の保護範囲について,出願経過などに示された権利者の主観的意図を考慮すべきとするものであるが,本件は,商標権の侵害が問題となる事案ではなく,あくまでも商標法4条1項11号該当性が問題となる事案である。そして,商標法4条1項11号は,一般の需要者・取引者が商品又は役務について出所を混同することを防止するため,不登録商標を指定商品同一の商品に限定せず,類似する商品についての登録も禁止するものである以上,引用される登録商標の出願人の指定商品の指定を超えて,その類似の範囲が判断されることは,商標法の予定するところといわざるを得ない。したがって,本件商標と引用商標の指定商品の類似性の有無は,引用商標の指定商品に関する出願人の主観的意図とは切り離して判断されるべきで問題であって,当該意図は,上記判断を左右するものではない。
したがって,被告の主張は採用できない。
(2) 被告は, 「類似商品・役務審査基準」を尊重すべきであり,非類似の推定は覆されない,個別具体的な要素を検討しても非類似と判断されるべきと主張する。
確かに,「類似商品・役務審査基準」が,一般的な商品の類否の判断に当たって,一定の基準を付与しており,画一的な判断を容易にする機能を果たしていることは 否定できない。しかしながら,同基準自身が,類似群コードが異なる場合に,非類似とみなさず,推定しているだけであり,推定が覆滅されることを許容しているから,上記判断は, 「類似商品・役務審査基準」の判断の枠組みから外れるものではない。そして,本件の具体的な事情に基づく判断は,上記3で詳細に説示したとおりである。
したがって,被告の主張は採用できない。
(3) 被告は,医療用と非医療用では,要求される機能,品質,形状,価格が異なる,需要者の範囲が異なるなどと主張し,旧薬事法上の認証や管理医療機器としての医療機器承認の取得の有無,家庭用特定計量器への該当基準なども異なると主張する。
確かに,医療用と非医療用とでは,その機能や性質,価格帯,生産・販売部門が完全には一致しないこと,これらが商品の類否判断において重要な考慮要素となることは,原告の指摘するとおりである。しかしながら,これらの指摘は,医療用として高額なものと家庭用でも最も安価なものに重点を置いて対比した結果にすぎない。上記3で説示したとおり,医療機器にも家庭用機器にも種々の品質と機能のものがあり,それに伴って価格帯も様々であるし,健康志向に伴って家庭用機器の品質が上昇していることから,両者の境界は曖昧になっているといわざるを得ない。
また,家庭用特定計量器にしか該当しない機器を医療目的で使用することは本来の目的とは異なること,その精度が不十分であることは,被告の指摘するとおりであるが,実態としてそのような精度面での不備を超えて使用されていることは,取引の実情として無視できないし,機能の近接の程度,家庭用の高額製品や手頃な価格の医療用製品の存在,販売方法の変化等の事情に鑑みれば,需要者にとって出所の混同が生じやすいことは否定できず,当該機器における製造目的の相違は,上記判断を左右するものではない。
なお,商標における指定商品として医療機器に該当する上で,旧薬事法上の認証や管理医療機器としての医療機器承認の取得は要件ではないし,家庭用特定計量器 にしか該当しないことは,需要者・取引者における医療機器との出所の混同を回避させるものではない。
したがって,被告の主張は採用できない。
結語
以上のとおり,審決には上記のとおり誤りがあり,取り消されるべきである。
よって,原告の請求を認容することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 清水節
裁判官 片岡早苗
裁判官 新谷貴昭
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