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関連審決 不服2015-12355
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事件 平成 28年 (行ケ) 10062号 審決取消請求事件

原告 フォックスコンインターコ ネクト テクノロジー リミ テッド
同訴訟代理人弁理士 家入健 泉澤ひさ枝
被告特許庁長官
同 指定代理人小松里美 酒井福造 金子尚人 冨澤武志
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2016/07/20
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2015-12355号事件について平成27年10月28日にし 1 た審決を取り消す。
事案の概要
1 特許庁における手続の経緯 ? 原告は,平成26年8月11日,別紙1本願商標目録記載の商標(以下「本願商標」という。)の登録出願(商願2014-067553号)をした(甲14)。
? 原告は,平成26年12月1日付けで拒絶理由通知(甲15)を受け,平成27年2月26日付け手続補正書(甲18)で指定商品を変更したが,同年3月30日付けで拒絶査定(甲19)を受けたので,同年6月30日,これに対する不服の審判を請求した(甲20)。
? 特許庁は,これを,不服2015-12355号事件として審理し,平成27年10月28日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との別紙審決書(写し)記載の審決(以下「本件審決」という。)をし,同年11月10日,その謄本が原告に送達された。なお,出訴期間として90日が附加された。
? 原告は,平成28年3月9日,本件審決の取消しを求める本件審決取消訴訟を提起した。
? 特許庁は,平成28年3月11日,本件審決につき,別紙更正決定書(写し)記載の更正決定をした。
2 本件審決の理由の要旨 本件審決の理由は,別紙審決書(写し)のとおりである。要するに,本願商標は,別紙2引用商標目録記載の商標(以下「引用商標」という。)と類似する商標であり,かつ,本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは,同一又は類似するものであるから,商標法4条1項11号に該当し,商標登録を受けることができない,というものである。
3 取消事由 本願商標が商標法4条1項11号に該当するとした判断の誤り
当事者の主張
2 〔原告の主張〕 ? 本願商標の分離観察の可否について 本件審決は,本願商標を構成する@「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分とA「FIT」の欧文字を斜体で大きく表して成る文字部分は,外観上,分離して観察されるものであるとした上で,「FIT」の文字部分を抽出して引用商標と比較し,類否判断をしたが,以下のとおり,@とAの文字部分は,分離して観察することが取引上不自然であると認められるほど不可分的に結合しているものであるから,本件審決の判断は,誤りである。
ア 本願商標の構成中,「FIT」の文字部分は,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分の頭文字から成る原告の商号原語表記(Foxconn Interconnect TechnologyLimited)の略称であるから,両文字部分を一体のもの又は関連性を有するものとして認識しないほうがむしろ不自然であり,これらは,常に一体不可分のものとして認識されるべきである。
イ 本願商標の構成文字に含まれる「フォックスコン(Foxconn)」は,鴻海精密工業を中核とする「鴻海科技集団/富士康科技集団(フォックスコン・テクノロジー・グループ) (以下「鴻海グループ」という。
」 )のブランド名である。
鴻海グループは,企業間取引を中心とする電子機器受託製造サービス(EMS)の請負で成長した企業として名高く,更に事業の幅を広げ,本願商標の指定商品又はこれに関連する商品を大量に供給している。このことから,「フォックスコン(Foxconn)」は,本願商標の指定商品を取り扱う取引者・需要者の間では,鴻海グループのブランド名又は通称として周知されている。そして,「フォックスコン(Foxconn)」は,鴻海グループが創業して現在の成功を築く礎となった事業である「金具(foxcavaty)」と「コネクタ(connector)」に由来する造語であり,既存の語ではないことから,「フォックスコン(Foxconn)」の文字が含まれる社名であれば,ほぼ間違いなく鴻海グループの傘下企 3 業であると認識される。
また,本願商標の指定商品は,特に商品の性能が重要視されるものであり,企業間取引及び一般消費者を対象とする取引のいずれにおいても,商品の製造主体は,契約締結や商品選択に当たって重要な判断材料となる。
以上のとおり「フォックスコン(Foxconn)」が周知なブランドであることに加え,本願商標の指定商品に係る取引の実情を考慮すれば,本願商標中の「FIT」の文字部分のみをもって,商品の出所を示す識別標識として顕著な部分ということはできない。
? 本願商標の称呼及び観念について 前記?によれば,本願商標の指定商品の取引者・需要者は,常に,「Foxconn Interconnect Technology」とその頭文字から成る「FIT」を一体不可分のものとして認識する。したがって,本願商標からは,「FIT」の文字部分から生じる称呼及び観念のみならず,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分から「フォックスコン インターコネクト テクノロジー」又は「フォックスコン」との称呼も生じ,原告そのもの又は鴻海グループの傘下企業との観念も生じる。
? 本願商標と引用商標との類否について 本願商標の構成文字には,原告のグループ企業のブランドとして広く知られた「Foxconn」の文字が含まれ,かつ,原告の商号原語表記である「Foxconn Interconnect Technology」が併記されている。
この事実を軽視せず,本願商標の指定商品に係る取引においては商品の製造主体が重視されるという取引実情にも鑑みれば,本願商標と引用商標は,事実上,出所の混同が生じることはない。
よって,本願商標は,引用商標と類似する商標ではない。
? 小括 以上によれば,本願商標は,商標法4条1項11号に該当しない。
4 〔被告の主張〕 ? 本願商標について ア 分離観察の可否について 本願商標の構成中,「FIT」の文字部分は,一般に広く慣れ親しまれ,「適合する」の意味を有する英語「fit」を大文字で表したものとして認識されるのに対し,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分は,平成25年10月1日に設立された原告の英語による商号表記「Foxconn Interconnect Technology Limited」の略称として,あるいは,その構成中に含まれる「Foxconn」の文字との関係から,電子機器の受託製造企業大手の鴻海精密工業股?有限公司又は鴻海科技集團(鴻海グループ)と何らかの関連があるものとして認識されるということができる。したがって,両文字部分から生じる意味合いないし観念の間に,相互に密接不可分のものとして認識されるとみるべき関連性は見いだせない。
また,我が国において,本願商標が,その構成全体をもって,原告又は原告の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていると認めるに足る事実は見当たらない。本願商標の構成中,「FIT」の文字部分が,原告の略称である「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分の略語を表したものとして,需要者の間に広く認識されていると認めるに足る事実も見当たらない。
そうすると,本願商標は,これを構成する「FIT」の文字部分,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分及び楕円のそれぞれの配置や大きさ及び色彩の相違が看者の視覚に与える印象とあいまって,これに接する者に対し,「FIT」の文字部分が,商品の出所識別標識として最も強く支配的な印象を与えるものということができる。
したがって,本願商標の構成中「FIT」の文字部分を要部として取り出し,これを引用商標と比較して類否を判断することは,許されるものである。
5 イ 本願商標の称呼及び観念について 本願商標は,前記アのとおりその構成中の要部である「FIT」の文字部分から,少なくとも「フィット」との称呼を生じ,「適合する」との観念を生じる。
? 引用商標について 引用商標は,一般に広く慣れ親しまれ,「適合する」の意味を有する英語「fit」を大文字で表したものとして認識されるものであり,少なくとも「フィット」との称呼を生じ,「適合する」との観念を生じる。
? 本願商標と引用商標との類否について 本願商標の要部である「FIT」の文字部分と引用商標とを比較すると,両者は,外観上,近似した印象を与え,「フィット」との称呼及び「適合する」との観念を同一とするものである。
したがって,本願商標は,引用商標と類似する商標である。
? 本願商標と引用商標の各指定商品の類否について 本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品中の「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電線及びケーブル,電気通信機械器具(デジタルカメラ及びその部品を除く。,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」 )と同一又は類似する商品である。
? 小括 以上によれば,本願商標は,商標法4条1項11号に該当する。
当裁判所の判断
1 商標の類否判断 商標法4条1項11号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に観察すべきであり,かつ,その商品の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集 6 22巻2号399頁参照)。
この点に関し,複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において,その構成部分の一部を抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されない。他方,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対して商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも,許されるものということができる(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
そこで,以上の見地から,本願商標と引用商標との類否について検討する。
2 本願商標について ? 本願商標の構成中「FIT」の文字部分を抽出することの可否 ア 本願商標の外観について(甲14) (ア) 本願商標は,別紙1本願商標目録記載のとおりの外観であり,「FIT」の文字部分,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分及びやや右に傾斜した楕円を組み合わせて成る結合商標である。
「FIT」の文字部分は,本願商標の中央に位置しており,その高さは本願商標全体の高さの半分を超え,幅は本願商標全体の幅の8割を超えるものである。アルファベットの大文字「F」「I」及び「T」の3文字から成り,これらはいずれも ,太字の斜体文字であり,黒色の輪郭内を青色で彩色されている。各文字は,横一列に近接して並び,うち「F」及び「I」の各文字は,本願商標の中央よりやや右寄 7 りから左端にかけて配置された楕円の円内の中央に位置しており,楕円の面積の約半分を占めている。「T」の文字は,これを構成する横棒の左端のみが上記円内に位置しているが,その余は円外に出ている。「T」の文字と楕円の円周線が重なっていると見られる部分には,円周線が表されていない。
「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分は,全てが楕円内に収まり,その内周線の一部に沿って配置されている。「Foxconn」「Interconnect」及び「Technology」の3 ,語に区切られており,合計29字のアルファベットから成る。各語の頭文字の「F」「I」及び「T」は大文字,その余は全て小文字であり,いずれも通常の書 ,体の赤文字で表されている。大文字で表されている「F」「I」及び「T」の3字 ,でさえも,「FIT」の文字部分の各構成文字と比べると,高さ,幅共に5分の1足らずであり,また,より細い線で構成されている。
(イ) 「FIT」の文字部分は,「Foxconn InterconnectTechnology」の文字部分と比べて相当に大きく,しかも,黒色の輪郭内を青色で彩色された太字の斜体文字という特徴的な書体で表されており,本願商標の中央に位置し,その全体の面積の大半を占めており,立体的な印象を与える。このような印象と,横一列に近接して並んでいること及び楕円との位置関係とあいまって,見る者に,楕円を中央から分断し,本願商標全体を横断するような感じを与える。他方,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分は,全てが楕円内に収まり,楕円の内周面の一部に沿って通常の書体で表されており,全体として「FIT」の文字部分に比べてかなり小さく,各文字を構成する赤色の線も細く,明らかに目立たない態様である。また,楕円を構成する線は,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分の各文字よりも細い黒色の線であり,楕円とその内周面の「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分は,「FIT」の文字部分の背景のような印象を与えるにすぎない。
8 (ウ) 以上に鑑みると,本願商標中,「FIT」の文字部分は,その外観においてひときわ目立つものであり,その余の構成部分に比して,見る者に格段に強い印象を与え,その注意をより強くひくものであることが明らかである。他方,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分は「FIT」の文字部分に比べて明らかに目立たない態様であり,それほど見る者の注意をひくものではない。
イ 「Foxconn Interconnect Technology」について (ア) 後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,@台湾を拠点とする鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry,ホンハイ)は,企業間取引を主とする電子機器受託製造サービス(EMS)で世界最大規模の業績を誇る国際的に著名な大企業であり,多数のグループ企業を擁して企業集団(鴻海グループ)を形成し,本願商標の指定商品を含む多種にわたる電子機器を日本市場にも大量に供給していること(甲2〜4,22,23,25〜32,34〜52),A鴻海精密工業は,通称を「Foxconn(社)」ともいい,鴻海グループは,フォックスコン・グループ,フォックスコン・テクノロジー・グループ(Foxconn Technology Group),フォックスコンなどと呼ばれ,同グループに属する企業の多くは,「Foxconn」から始まる社名を有すること(甲2〜4,25〜32,34〜41,43〜52),B原告は,平成25年10月1日に設立された鴻海グループの会社であり,その名称の英語表記は,「Foxconn Interconnect Technology Limited」であること(甲1),Cフェイスブックに掲載された「Wireless Charging Forum Japan」の頁には,「A4WPワイヤレス給電機能付きiPhone6スリーブケース」等の出展企業を示す欄に本願商標と共に原告の名称の英語表記である「Foxconn Interconnect Technology Limited」が併記されていること(甲8),D平成25年7 9 月4日付けのライブドアニュースには,「第1陣で調整されたのは,フォックスコンのNWInG…という2件の応用プロジェクトだ。…独立後のNWInGは名称が「FIT」(フォックスコン・インターコネクト・テクノロジー)と変更され」との記載があること(甲33),E平成27年12月18日付けの日経速報ニュースには,「鴻海(ホンハイ)精密工業,傘下の中国富士康科連接器科技(フォックスコン・インターコネクト・テクノロジー)を…スピンオフ上場する予定」との記載があること(甲24),F平成28年3月30日付けの日経速報ニュースには,「Foxconn発の…温湿度センサー内蔵のエアコンIRブラスター…(Foxconn Interconnect Technology,Limited)」との記載があること(甲21)が認められる。
(イ) 上記認定事実によれば,Foxconn(フォックスコン)は,企業間取引を主とする電子機器受託製造サービス(EMS)で世界最大規模の業績を誇る国際的に著名な大企業である鴻海精密工業を中核とした鴻海グループのブランドであり,同グループに属する企業の多くは,Foxconnで始まる社名を有し,原告も,鴻海グループに属する企業であることが認められ,これらの事実は,本願商標の指定商品の取引者・需要者に周知されていたことが推認される。
よって,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分からは,原告又は少なくとも鴻海グループに属する企業との観念が生じるものということができる。
(ウ) 他方,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分を構成する3語の各頭文字は,「F」「I」「T」であるが,いまだ我が国における本願商標の指定商品の取引者・需要者間において,「FIT」が原告又は鴻海グループに属する企業の略称を示すものという認識が定着しているとまではいうことができない。
ウ 「FIT」の文字部分の抽出の可否について 本願商標の外観上,「FIT」の文字部分は,その余の構成部分に比して,見る 10 者に格段に強い印象を与え,その注意をより強くひくものであることが明らかである。他方,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分は,「FIT」の文字部分に比べて明らかに目立たない態様であり,それほど見る者の注意をひくものではない。
以上によれば,本願商標のうち,「FIT」の文字部分と「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものということはできず,「FIT」の文字部分は,取引者,需要者に対し,本願商標の指定商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
したがって,本願商標と引用商標の類否を判断するに当たっては,本願商標の構成から「FIT」の文字部分を抽出して対比することも許されるものということができる。
エ 原告の主張について 原告は,「FIT」の文字部分は,「Foxconn InterconnectTechnology」の文字部分の頭文字から成る原告の商号言語表記の略称であるから,常に一体不可分のものとして認識されるべきであり,取引の実情を考慮すれば,本願商標中の「FIT」の文字部分のみをもって,商品の出所を示す識別標識として顕著な部分ということはできない旨主張する。
確かに,前記イのとおり,「フォックスコン(Foxconn)」は,鴻海グループのブランドであるが,いまだ我が国における本願商標の指定商品の取引者・需要者間において,「FIT」が原告又は鴻海グループに属する企業の略称を示すものという認識が定着しているとまではいうことができない。また,「FIT」の文字部分は,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分と間隔を空けて異なる態様で配置されており,一見して「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分と関連性あるものと把握することは難しい。したがって,両文字部分が常に一体不可分のものと 11 して認識されるべきとまではいうことができない。
さらに,前記ウのとおり,「Foxconn Interconnect Technology」の文字部分は,「FIT」の文字部分に比べて明らかに目立たない態様であり,それほど見る者の注意をひくものではなく,「FIT」の文字部分は,取引者・需要者に対し,本願商標の指定商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
? 本願商標の称呼及び観念について 本願商標からは,その全体から「フォックスコン インターコネクト テクノロジー エフ アイ ティー」の称呼及び鴻海グループに属する企業との観念が生じるとともに,本願商標の「FIT」の文字部分から,「エフアイティー」との称呼が生じるほか,その構成文字と同一の英文字から成る英単語の「fit」に相応した「フィット」との称呼及び「適した」「ぴったりの」との観念が生じる(乙1, ,2)。
なお,英単語「fit」は,英和辞典(乙1,2)において基本的な英単語とされている上,国語辞典である「新明解国語辞典 第七版」(株式会社三省堂,平成25年1月第二刷発行。乙3)には,「フィット…〔fit〕@基準となるものにぴったり合うこと。」と,「広辞苑 第六版」(株式会社岩波書店,平成20年1月,第六版発行。乙4)には,「フィット【fit】適合すること。」と記載されていることから,上記「フィット」との称呼及び「適した」「ぴったりの」との観念とも, ,我が国において日常使用する外来語として一般に定着しているものと認められる。
3 引用商標について 引用商標は,別紙2引用商標目録記載のとおりの外観であり,横一列に並んだアルファベットの大文字「F」「I」及び「T」の3文字から成り,いずれも通常の ,書体であり,黒の太字で表されている(甲16)。
引用商標からは,「エフアイティー」との称呼が生じるほか,その構成文字と同一の英文字から成る英単語の「fit」に相応した「フィット」との称呼及び「適 12 した」「ぴったりの」との観念が生じる(乙1,2) , 。
4 本願商標と引用商標の類否について ? 本願商標と引用商標とを対比すると,前記2のとおり,本願商標からは,「フォックスコン インターコネクト テクノロジー エフ アイ ティー」の称呼及び鴻海グループに属する企業との観念が生じるとともに,「FIT」の文字部分から,「エフアイティー」との称呼が生じるほか,その構成文字と同一の英文字から成る英単語の「fit」に相応した「フィット」との称呼及び「適した」「ぴ ,ったりの」との観念が生じ(乙1,2),これは,原告も自認するところである。
本願商標から生じるこれらの称呼及び観念のうち,「フィット」との称呼及び「適した」「ぴったりの」との観念は,前記3の引用商標の称呼及び観念と同一である。
,このように,対比に係る商標から2つ以上の称呼,観念が生じる場合,そのうちの1つの称呼,観念が類似するときは,両商標は類似するというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁参照)。
本願商標の「FIT」の文字部分と引用商標とは,外観上,文字の彩色や書体等の相違はあるものの,その相違は,上記の称呼及び観念の同一性をりょうがして上記類似を覆すほどのものではない。
以上によれば,本願商標と引用商標とは,出所について誤認混同のおそれがあり,両商標は,類似するものということができる。
? 原告は,本願商標の構成文字に,原告のグループ企業のブランドとして広く知られた「Foxconn」の文字が含まれ,かつ,原告の商号原語表記である「Foxconn Interconnect Technology」が併記されているという事実を軽視せず,本願商標の指定商品に係る取引においては商品の製造主体が重視されるという取引実情にも鑑みれば,本願商標と引用商標は,事実上,出所の混同が生じることはない旨主張する。
しかし,前記2のとおり,本願商標中,「Foxconn Interconn 13 ect Technology」の文字部分は,外観上,「FIT」の文字部分に比べて明らかに目立たない態様であり,それほど見る者の注意をひくものではなく,取引者・需要者に対し,本願商標の指定商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるのは,「FIT」の文字部分である。したがって,原告主張に係る取引の実情を考慮しても,本願商標と,本願商標の「FIT」の文字部分と同一の構成文字から成り,同一の称呼及び観念を生じる引用商標とは,出所について誤認混同のおそれがあるものというべきである。
5 指定商品の類否について 本願商標の指定商品が別紙1本願商標目録記載のとおりであるのに対し(甲14,18),引用商標の指定商品は別紙2引用商標目録記載のとおりであり(甲16),本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品中,「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電線及びケーブル,電気通信機械器具(デジタルカメラ及びその部品を除く。,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」 )と同一又は類似のものである。
6 結論 以上によれば,本願商標は,商標法4条1項11号に該当し,同旨の本件審決の判断に誤りはない。よって,原告主張の取消事由は理由がないから,原告の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。
追加
14 裁判官鈴木わかな15 (別紙1)本願商標目録商標の構成:指定商品(平成27年2月26日付け補正後のもの):第9類「電気スイッチ,セルスイッチ(電気用のもの),制御盤(電気用のもの),配線函,電気接続具,電池用充電器,バッテリーチャージャー,変圧器(電気用のもの),電気コンバーター,サージ電圧保護器,コネクター(電気用のもの),プラグ,ソケットその他の電気接続具,その他の配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,アンテナ,アンテナ用支柱,相互通信装置,トランスポンダ,音響用振動板,スピーカー用筐体,音声・映像受信機,スピーカー,スピーカー用ホーン,マイクロホン,音声送信装置,音響カプラー,ヘッドホーン,コイル用ホルダー,電磁コイル,音響カップリング装置,その他の電気通信機械器具,アンテナフィルター,無線機器,通信装置,画像送信装置,多機能デジタル送信機,増幅器,グラフィックイコライザー,インピーダンス用チョークコイル,インダクター(電気用のもの),マウス(コンピュータ周辺機器),プリント回路基板,発光ダイオード(LED),コンピュータ用インターフェース,コンピュータネットワークサーバー,ファイアーウォール用16 コンピュータソフトウェア,コンピューターワークステーション(ハードウェア),その他の電子応用機械器具及びその部品,混信防止装置,未記録の磁気記録媒体,データ処理装置用カプラー,コンピュータネットワーク用インターフェイス装置,インターネット接続機能を有する通信装置,太陽電池,光電池,電線識別用外被織り込み糸,送電線用材料,絶縁被覆銅線,電話線,フィルター付き同軸ケーブル,その他の同軸ケーブル,電気用ケーブル,電気用接続箱,光ファイバー(光伝導フィラメント),電気ケーブル用接続スリーブ,光ファイバーケーブル,その他の電線及びケーブル,端子(電気用のもの)」17 (別紙2)引用商標目録商標登録番号:第2701839号商標の構成:出願日:昭和60年8月7日設定登録日:平成6年12月22日存続期間満了日:平成36年12月22日指定商品:第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具(デジタルカメラ及びその部品を除く。,電子応用機械器具)及びその部品,磁心,抵抗線,電極」商標権者:富士通アイソテック株式会社以上18
裁判長裁判官 部眞規子
裁判官 古河謙一
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