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事件 平成 28年 (行ケ) 10004号 審決取消請求事件

原告 チーターモバイル アメリカ インコーポレーテッド (旧商号:ケーエス モバイル インコーポレーテッド)
同訴訟代理人弁護士 窪田英一郎 柿内瑞絵 乾裕介 今井優仁 中岡起代子 石原一樹
同訴訟代理人弁理士 加藤ちあき
被告株式会社コーワ
同訴訟代理人弁護士 岡島章 植村元雄
同訴訟代理人弁理士 中村繁元 1主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を 30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 特許庁が取消2014−300618号事件について平成27年9月3日にした 審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 被告は,以下の商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲1, 2,21)。 商標登録番号:第5411194号 商標の構成:クリーンマスター(標準文字) 登録出願:平成22年5月12日 設定登録日:平成23年5月13日
指定商品:別紙指定商品目録記載のとおり ? 原告は,平成26年8年13日,特許庁に対し,本件商標は,その指定商品 のうち第9類「電子応用機械器具及びその部品」について,継続して3年以上被告 らが使用した事実がないとして,本件商標の当該指定商品に係る商標登録の取消し を求める審判を請求し,当該請求は,同年9月1日登録された。 ? 特許庁は,これを,取消2014−300618号事件として審理し,平成 27年9月3日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との別紙審決書(写し)記 載の審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月11日,原告に送 達された。 2? 原告は,平成28年1月8日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起し た。 2 本件審決の理由の要旨 本件審決の理由は,別紙審決書(写し)のとおりであり,その要旨は以下のとお りである。 (1) 被告は,取扱商品として各種制御基盤の写真及び文字とともに,それに 「クリーンマスター?」との標章を付したパンフレットを作成し,平成26年2月 20日以降同年9月22日までの間,営業用又は来客用などとして,のべ123回 にわたり継続して持ち出し,頒布した。 (2) 制御基盤は,「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに含まれる。 (3) したがって,被告は,本件審判の請求の登録(平成26年9月1日)前3 年(以下「要証期間」という。)以内に,日本国内において,本件審判の請求に係 る指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」について,本件商標の使用を していると認められるから,本件商標登録は,商標法50条の規定により取り消す ことはできない。 3 取消事由 本件商標の使用の有無にかかる認定判断の誤り 第3 当事者の主張 〔被告の主張〕 (1) パンフレットにおける使用
被告は,平成26年2月10日に改訂後のパンフレットの納品を受けた。改訂後 のパンフレットには,取扱商品としてクリーナー用床ブラシユニット等のほか各種 制御基盤の写真及び文字が掲載され,それに「クリーンマスター?」との標章が付 されており,被告は,同月20日以降,この改訂後のパンフレットを,各取引先等 へ配布している。 したがって,被告は,同日以降,制御基盤に関する広告に,「クリーンマスター 3?」なる標章を付して頒布している。 (2) ホームページにおける使用
被告は,平成25年12月25日にホームページを改訂し,取扱商品としてクリ ーナー用床ブラシユニット等のほか各種制御基盤の画像及び文字を掲載し,それに 「クリーンマスター?」との標章を付したウェブサイトの配信を開始した。 したがって,被告は,同日に,制御基盤に関する広告を内容とする情報に,「ク リーンマスター?」なる標章を付して電磁的方法により提供したものである。 (3) 伝票における使用
被告は,平成26年4月1日,東芝ホームアプライアンス株式会社(以下「東芝 ホームアプライアンス」という。)に,制御基盤商品を100個納品した。そして, その納品時に,被告は,伝票の品名略号の欄に「クリーンマスター?」との文字を 追記した。 したがって,被告は,同日,制御基盤に関する取引書類に,「クリーンマスター ?」なる標章を付して頒布したものである。 (4) 原告の主張について
原告は,被告が名目的に本件商標を使用した旨主張するが,次のとおり同主張は 失当である。 ア 被告は,本件商標の有効活用とそのブランド化の確立を目指すとの経営戦略 のもと,平成25年7月頃,被告の生活家電クリーン事業部における取扱商品であ るクリーナー用床ブラシユニット等及び各種制御基盤について,本件商標を統一ブ ランドとして使用することを決定し,具体的な作業を開始した。 その後,被告は,同年10月11日,原告から,本件商標の一部譲渡等を受けた いとの申出を受けたが,本件商標の使用を既に具体的に決定していたことから,こ れを断り,本件商標を使用するための作業を引き続き進めた。 そして,被告は,同年12月25日にホームページを改訂し,並行して改訂作業 を進めていたパンフレットも平成26年2月10日に納品を受け,同月20日より 4各取引先等への配布を開始した。 イ なお,被告は,従来から,制御基盤を製造,販売しており,その実績と技術 を有効活用する意図の下,更なる商機を獲得するために,ホームページ及びパンフ レットに取扱商品として各種制御基盤を掲載したものである。また,「クリーンマ スター」との本件商標は,単に「掃除する」という意味にとどまらず,幅広い意味 を有するから,各種制御基盤と観念的に結びつかないものではなく,そもそも本件 商標を指定商品のうちいずれの商品に用いるかについては,被告の選択に委ねられ るものである。 ウ したがって,被告は,本件商標を統一ブランドとして使用するために,パン フレットやホームページにおいて,各種制御基盤に「クリーンマスター?」との標 章を付したものであって,名目的に本件商標を使用したものではないことは明らか である。 (5) 小括 以上のとおり,被告は,要証期間内に,「クリーンマスター?」なる標章を制御 基盤に使用したものであって,その使用の目的も名目的なものではない。 そして,「クリーンマスター?」なる標章は,本件商標と社会通念上同一の商標 である。また,制御基盤は,本件商標の指定商品である「電子応用機械器具及びそ の製品」の範ちゅうに属する。 したがって,被告は,要証期間内に,日本国内において,本件審判の請求に係る
指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」について,本件商標の使用をし たというべきである。 〔原告の主張〕 (1) パンフレットにおける使用 パンフレットの持ち出しについて記録した「会社案内持出控帳」と題する帳簿 (甲14)には,改訂後のパンフレットが2月22日から継続的に持ち出された旨 記載されているが,同帳簿の「H26」との記載は不自然である。したがって,同 5帳簿の記載から,改訂後のパンフレットの持ち出し日を,「平成26年」の2月2 2日以降の日と特定することはできない。 (2) 伝票における使用
被告と東芝ホームアプライアンスとの間の取引は,電気ブラシの部品として用い られる制御基盤に関する取引であって,「電子回路及びその部品」に関する取引で はない。また,その取引の際に作成された伝票に記載された「クリーンマスター?」 との標章は,手書き文字であることや,品名の他にあえて「クリーンマスター?」 との標章が付されていることからすれば,取引時に,伝票に「クリーンマスター?」 との標章が付されていたとは到底考えられない。 (3) 使用の目的 ア 被告は,平成25年10月11日,原告から,本件商標のうち,指定商品を 「電子応用機械器具及びその部品」とするものについて,一部譲渡等を受けたいと の意向を持っており,その意向がかなえられない場合には,本件商標について不使 用取消審判を請求する意思があることを知らされた。また,被告は,原告が,指定 商品のうち「電子応用機械器具及びその部品」について不使用取消しの対象とする ことも予測できた。 一方,被告は,現実には本件商標を使用していなかったことから,当該状況を放 置すれば,不使用取消しの審決を受ける危険性が高いと考えて,これを免れるため に,急きょ,ホームページ及びパンフレットを平成26年1月頃に改訂し,各種制 御基盤に「クリーンマスター?」との標章を付するに至ったものである。 イ この事実は,@被告は,ブラシを本業とする会社であるから,制御基盤を部 品の一部として組み込んだ掃除機等の製品を販売したことがあったとしても,各種 制御基盤を単体で取引するとは考えられないこと,A「クリーンマスター」との本 件商標からは,「掃除技術を極めたもの」程度の観念が生じるが,各種制御基盤は, このような観念に結びつくものではないことからも裏付けられる。 ウ ところで,実際に取引を伴っていない,単なる名目的な使用によって登録商 6標の維持を求めることは,商標法を潜脱する行為であるから,名目的な使用しかさ れていない登録商標については,不使用取消審判により,取消しの対象となるべき ものである。 そして,被告は,不使用取消しの審決を免れるために,パンフレットやホームペ ージを改訂し,各種制御基盤に「クリーンマスター?」との標章を付したものであ るから,名目的に本件商標を使用したものというべきであり,これは,商標法50 条1項,2項に定める「使用」としての,真正な使用であるということはできない。 (4) 小括 以上のとおり,被告は,要証期間内に,「クリーンマスター?」との標章を制御 基盤に使用したことはなく,仮に使用していたとしても,その使用は名目的なもの であるから保護する必要はない。 したがって,被告は,要証期間内に,日本国内において,本件審判の請求に係る
指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」について,本件商標の使用をし たということはできない。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実 証拠(各段落末尾の証拠)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 被告は,家電用ブラシ及び工業用ブラシの設計,開発,製造を主たる業務 とする株式会社である。(甲11) また,被告は,ブラシの開発,製造以外にも,平成22年頃には,ダスキン株式 会社(以下「ダスキン」という。)に,自らが設計した充電器用制御基盤を装填し た充電器を製造販売していた。(乙14の1・3) (2) 被告は,平成22年2月,経営方針として商品のブランド化を進めること になり,同年5月12日には,「クリーンマスター」と片仮名の標準文字からなる 本件商標について登録出願をし,平成23年5月13日設定登録を受けた。(甲1, 2,乙1〜3) 7(3) 被告は,平成25年10月11日,原告から,原告は「クリーンマスター」 等の文字から成る商標の登録手続を採っているところ,被告の本件商標がその障害 になっていることから,本件商標のうち,指定商品を「電子応用機械器具及びその 部品」とするものについて一部譲渡,又は,原告の商標登録手続への協力をしても らいたい旨依頼され,そのための条件等についても提案するよう告げられた。また, 当該依頼等が記載された書面には,「譲渡に応じて頂けない場合には,誠に不本意 ではありますが,商標法第50条に基づく不使用取消審判を請求させて頂く場合が ございますことを予め申し添えます」との記載があった。被告は,原告の上記依頼 を一旦は断ったものの,その後も原告側との交渉は断続的に続けられた。(甲3〜 5,8の1〜3) (4) 被告は,平成25年12月25日,従前のホームページを改訂した。同改 訂後のホームページには,新たに「ブラシを中心として展開した応用商品,クリー ンマスター?のご紹介」との表題のもと,「クリーナー用床ブラシ」,「クリーナ ー用フィルター」,「エアコン用自動お掃除機構」,「光学プロジェクター用自動 お掃除機構」及び「各種制御基板」の各写真及び文字が掲載され,各写真のそばに は,それぞれ「クリーンマスター?」との標章が記載されるようになった。(甲9, 10) (5) 被告は,平成26年2月10日,従前のパンフレットを改訂した新たなパ ンフレット1000部の納品を受けた。同改訂後のパンフレットには,被告の生活 家電クリーン事業部の事業を紹介する項において,新たに「クリーンマスター?は コーワの登録商標で,独自の技術によりブラシを中心として展開される応用商品に 使用しています」と記載されるとともに,「クリーナー用回転ロータ」,「クリー ナー用床ブラシユニット」,「クリーナー用ダストカップ/フィルター」,「空気 調和機用自動お掃除機構」,「プロジェクター用自動お掃除機構」及び「各種制御 基板」の各写真及び文字が掲載され,各写真のそばには,それぞれ「クリーンマス ター?」との標章が記載されるようになった。なお,同パンフレットには誤記載が 8あったことから,被告は,同月18日に訂正シールの納品も受けた。(甲11,1 3) (6) 被告は「会社案内持出控帳」と題する帳簿を作成している。同帳簿は,い わゆる大学ノートを利用したものであって,被告の従業員が,パンフレットを会社 から持ち出す際に,持出日,持出部数,持出者氏名等及び持出先等を記載するもの である。同帳簿は,平成20年7月9日の持出日から,各行ごとに上記各事項が記 載されており,39頁15行目からは,平成26年の持ち出しに関する記載が開始 され,40頁には,2月19日の持ち出しについて記載された行の下に,横に直線 がひかれ,左側に「H26」「新」との記載がされ,次行に2月20日の持ち出し についての記載がある。そして,2月20日から同じ年の5月29日までのパンフ レットの持出回数は合計73回であり,持出部数は500部を超えるものであった。 (乙9の1) (7) 被告は,平成26年4月1日,東芝ホームアプライアンスに対し,品名を 「ASY−PWB−BRUSH」とする商品を100個納品した。この際,被告と 東芝ホームアプライアンスとの間で授受された伝票には,品名略号欄に「ASY− PWB−BRUSH」との印字だけではなく,「クリーンマスター?」との手書文 字も記載されている。(甲16,乙10,13) (8) 被告と原告側の本件商標の一部譲渡等に関する交渉は,被告が,「電子応 用機械器具及びその部品」についての本件商標の使用を,コンピュータソフトウェ ア製品を除くものに限定し,原告が対価を支払うという枠組みで進められていたが, その対価について合意できず,平成26年8月8日に終了した。このため,原告は,
同月13日,本件商標の商標登録の取消しを求める審判を請求した。(甲17,1 9,乙8の1〜3) 2 使用の有無について (1) パンフレットにおける使用 ア 前記認定事実(5)のとおり,被告は,平成26年2月10日,取扱商品とし 9てクリーナー用回転ロータのほか各種制御基盤の各写真及び文字が掲載され,各写 真のそばに「クリーンマスター?」との標章が付されている改訂後のパンフレット の納品を受けたものである。 そして,前記認定事実(6)によれば,被告の従業員は,同月20日から同年5月 29日までの間に,改訂後のパンフレットを継続的に多数持ち出したとの事実が認 められ,同事実によれば,同年2月下旬から同年5月下旬にかけて,改訂後のパン フレットは取引先等に多数配布されたものと認められる。 したがって,被告は,平成26年2月下旬以降,制御基盤に関する広告に,「ク リーンマスター?」なる標章を付して頒布したということができる。 イ これに対し,原告は,「会社案内持出控帳」と題する帳簿(甲14)の「H 26」との記載は不自然であるから,実際の持出日は特定できないと主張する。し かし,前記認定事実(6)によれば,同帳簿は時系列順に記載されており,同帳簿の 40頁に記載された2月20日の持ち出しが,平成26年の2月20日の持ち出し を意味することは明らかである。また,前記認定事実(5)のとおり,改訂後のパン フレットの訂正シールは平成26年2月18日に納品されており,改訂後のパンフ レットの配布が同月20日以降開始されるのは自然である。したがって,原告の上 記主張は,被告の従業員が同月下旬以降,改訂後のパンフレットを取引先等へ頒布 したとの上記認定事実を左右しない。 (2) ホームページにおける使用 前記認定事実(4)によれば,被告は,平成25年12月25日にホームページを 改訂し,取扱商品としてクリーナー用床ブラシのほか各種制御基盤の各写真及び文 字が掲載され,各写真のそばに「クリーンマスター?」との標章を付されているウ ェブサイトの配信を開始したものと認められる。 したがって,被告は,同日,制御基盤に関する広告を内容とする情報に,「クリ ーンマスター?」なる標章を付して電磁的方法により提供したということができる。 (3) 伝票における使用 10 ア 前記認定事実(7)のとおり,被告は,平成26年4月1日,東芝ホームアプ ライアンスに対し,品名を「ASY−PWB−BRUSH」とする商品を100個 納品しているところ,東芝ホームアプライアンスにおいては,品名を「ASY−P WB−BRUSH」とする商品は,制御基盤に関する商品を指すのであるから(甲 15),被告は,東芝ホームアプライアンスに,制御基盤を100個納品したもの と認められる。 イ 次に,前記認定事実(7)のとおり,被告と東芝ホームアプライアンスとの間 で授受された伝票には,品名略号欄に「ASY−PWB−BRUSH」との印字だ けではなく,「クリーンマスター?」との手書文字も記載されている。 また,被告と東芝ホームアプライアンスとの間で授受された伝票のうち,「検査 表D(検査控)」と題する伝票,「受入/検収票C(受入控)」と題する伝票は,
被告が,東芝ホームアプライアンスに,制御基盤の納品時に交付したものと認めら れる(甲16,乙10,16)。そして,これらの伝票は,東芝ホームアプライア ンスが管理していたものであるから,被告が,原告との紛争に備えるために,わざ わざ東芝ホームアプライアンスから,これらの伝票の返還を受け,「クリーンマス ター?」と手書文字を記載したとは考えにくい。 したがって,被告は,東芝アプライアンスに制御基盤を納品する際,その伝票に, 当該制御基盤に関して「クリーンマスター?」との標章を付したものと認められる。 ウ よって,被告は,平成26年4月1日,少なくとも1社に対し,制御基盤に 関する取引書類に,「クリーンマスター?」なる標章を付して配布したものである。 3 原告の主張について (1) 原告は,被告は,平成25年10月に行われた原告との交渉を契機として,
原告からの不使用取消審判請求により,本件商標が取り消される可能性を認識し, これを免れるために,急きょ,ホームページ及びパンフレットを平成26年1月頃 に改訂し,被告が単体で取引するとは考えられない各種制御基盤について「クリー ンマスター?」との標章を付するに至ったと主張する。 11 (2) 確かに,前記認定事実(3)のとおり,被告は,平成25年10月11日,原 告から,本件商標の一部譲渡等について申出を受け,さらに,それがかなえられな い場合,原告には,本件商標の不使用を理由とする登録取消審判を請求する意思が ある旨知らされたものである。また,改訂後のホームページやパンフレットに取扱 商品として掲載された各種制御基盤は,その他の取扱商品として掲載された「クリ ーナー用床ブラシ」等とは,その商品内容が大きく異なるにもかかわらず,「クリ ーンマスター?」という同一の標章が付されている。 しかし,前記認定事実(1)のとおり,被告は,平成22年頃には,ダスキンに, 自らが設計した充電器用制御基盤を装填した充電器を製造販売しており,また,前 記2(3)アによれば,被告は,平成26年4月1日,東芝ホームアプライアンスに, 制御基盤を製造販売したものと認められる。そして,これらの事実によれば,被告 は,平成25年10月に原告から本件商標の一部譲渡等の申出を受ける前から,実 際に,制御基盤を単体で製造販売していたものと認められる。なお,この点につい て,原告は,被告はダスキンや東芝ホームアプライアンスに,制御基盤を部品の一 部とする掃除機等の製品を販売したにすぎず,被告が制御基盤を単体で製造販売し たことはないと主張するが,被告が東芝ホームアプライアンスに制御基盤を単体で 納品したことは前記2(3)アのとおりであって,また,ダスキンへの製造販売につ いても,被告は,ダスキンに品名を「GRAND ASSY」とする商品を販売し たものであり(乙14の1),当該商品は充電器用制御基盤(charge_bo ard)に様々な備品を付属させたものであること(乙14の2・3)からすれば,
被告が制御基盤を単体で製造販売していたとの事実は,優に認められる。 また,各種制御基盤も「クリーナー用床ブラシ」等も,被告の取扱商品であると いう点では共通し,その取扱商品に同一の標章を付することは,不自然なことでは ない。 さらに,前記認定事実(1),(4),(5)のとおり,被告は,家庭用ブラシ及び工業用 ブラシの開発,製造を主たる業務としつつ,その応用商品も開発,製造している株 12 式会社であるから,被告にとって,種々の取扱商品を紹介し,かつ,それに「クリ ーンマスター?」との標章を付するというホームページやパンフレットの改訂は重 要なものである。そうすると,被告は,これらの改訂に当たり,「クリーンマスタ ー」という本件商標に今後の顧客からの信用を蓄積させていくか否か,また,本件 商標を付すべき取扱商品をどのように選別するかなどの経営判断にかかる作業を行 ったものといえる。また,ホームページやパンフレットの改訂作業においては,そ の内容や形式の確定,発注,校正等多数の作業も必要である。そして,被告は,こ のような作業を経てもなお,ホームページやパンフレットを改訂したものである。 仮に,原告からの不使用取消審判請求による本件商標の登録取消しを免れる目的 が被告にあったとしても,このような目的と,各種制御基盤に本件商標を使用し, 顧客からの信用を得ようとする目的とは併存し得るものである。 (3) したがって,本件商標の使用は名目的なものであるという原告の主張は, 採用することができない。 そもそも,いわゆる「駆け込み使用の防止」を定めた商標法50条3項本文は, 審判請求前「3月」を駆け込み使用と認める期間の始点としているところ,被告に よるホームページの改訂や,改訂後のパンフレットの配布は,審判請求の3月以上 前に行われていることからも,原告の上記主張は採用できるものではない。 4 商標法50条所定の使用について 以上のとおり,被告は,要証期間内に,日本国内において「クリーンマスター?」 なる標章を制御基盤に使用(商標法2条3項8号)したものである。 そして,「クリーンマスター?」なる標章は,本件商標と社会通念上同一の商標 である。また,制御基盤は,本件商標の指定商品である「電子応用機械器具及びそ の製品」の範ちゅうに属する。 したがって,被告は,要証期間内に,日本国内において,本件審判の請求に係る
指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」について,本件商標の使用をし たと認められる。 13 5 結論 よって,原告主張の取消事由は理由がないから,原告の請求を棄却することとし, 主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 部眞規子 裁判官 柵木澄子 裁判官 片瀬亮 14 (別紙)
指定商品目録 第7類 「業務用電気洗濯機,業務用攪はん混合機,業務用皮むき機,業務用食 器洗浄機,業務用切さい機,業務用電気式ワックス磨き機,業務用電気掃除機,家 庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃 除機,電気ミキサー,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,起動器,交流電動機及び 直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除 く。),交流発電機,直流発電機,電機ブラシ」 第9類 「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用 又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気アイロン,電気式ヘアカ ーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」 第11類 「暖冷房装置,業務用衣類乾燥機,太陽熱利用温水器,電球類及び照 明用器具,家庭用電熱用品類」 第12類 「車いす,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除 く。),船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),航空 機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,二輪自動車・ 自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車, 馬車,リヤカー」 以上 15
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2016/07/27
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
事実及び理由
全容
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