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事件 平成 28年 (ワ) 5249号 商標権侵害差止請求事件

原告株式会社ロックオン
同訴訟代理人弁護士 川内康雄
被告 ビジネスラリアート株式会社
同訴訟代理人弁護士 木村圭二郎
同 松井亮行
同訴訟代理人弁理士 柳野隆生
同補佐人弁理士 大西裕人
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2017/05/11
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
1 被告は,別紙「ホームページ目録」記載のインターネットホームページに別紙「被告標章目録」記載の標章を付してはならない。
2 被告は,そのメール配信役務及びプッシュ通知役務の広告及びインターネットホームページに別紙「被告標章目録」記載の標章を付してはならない。
事案の概要
本件は,別紙「商標権目録」記載の商標権を有する原告が,被告が別紙「被告標章目録」記載の標章をインターネットホームページのサイトで使用する行為が原告の商標権を侵害すると主張して,被告に対し,商標権に基づき,被告の役務に係るホームページ及び広告に同標章を付することの差止めを請求した事案である。
1 1 争いのない事実等 (1) 当事者 原告は,広告効果計測システムの提供,ECサイト構築システムの開発等を業とする株式会社である。
被告は,システム開発などを業とする株式会社である。
(2) 原告の商標権 原告は,別紙「商標権目録」記載の商標権(以下「本件商標権」といい,この商標権に係る登録商標を「本件商標」という。)を有している。
(3) 本件商標権の役務区分 ア 本件商標権の役務区分については,平成27年政令第26号による改正前の商標法施行令1条別表及び平成25年経済産業省令第58号による改正前の商標法施行規則6条別表が適用されるところ,同改正前の政令の別表に規定された第35類の役務に属するものとして,同改正前の省令の別表に規定された役務の内容は,次のとおりである。
(以下,同改正前の政令及び省令の別表によるものを,単に「第35類」のようにいう。 。
) 「第三十五類 一 広告 (一) 折り込みチラシによる広告 雑誌による広告 新聞による広告 テレビジョンによる広告 ラジオによる広告 インターネットによる広告 (二) 交通広告 車両の内外における広告 (三) 屋外広告物による広告 (四) 街頭及び店頭における広告物の配布 商品の実演による広告 ダイレクトメールによる広告 (五) 広告文の作成 ショーウインドーの装飾 (六) 広告宣伝物の企画及び制作 広告の企画 広告のための商品展示会, 2 商品見本市の企画又は運営」 イ また,同改正前の政令の別表に規定された第38類及び第42類の役務に属するものとして,同改正前の省令の別表に規定された役務の内容は,それぞれ,次のとおりである。
(以下,同改正前の政令及び省令の別表によるものを,単に「第38類」「第42類」のようにいう。 。
, ) 「第三十八類 一 電気通信(放送を除く。) 移動体電話による通信 テレックスによる通信 電子計算機端末による通信 電報による通信 電話による通信 ファクシミリによる通信 無線呼出し」 「第四十二類 二 電子計算機のプログラムの設計,作成又は保守 ウェブサイトの作成又は保守 三 電子計算機用プログラムの提供」 (4) 被告の行為 別紙「ホームページ目録」記載のホームページを包含するウェブサイトは,被告が提供するインターネットショッピングサイト構築サービス「Lockon」 (以下「被告サービス」という。)を告知,宣伝するためのものである。このうち,同目録記載1のアドレスによって表示されるホームページは,被告サービスが備えるプッシュ通知機能を告知,宣伝するためのものであり,同目録記載2のアドレスによって表示されるホームページは,被告サービスが備えるメールマーケティング機能を告知,宣伝するためのものである。
被告は,遅くとも,平成27年5月25日以降,同記載のアドレスによって表示される各ホームページに,被告サービスの標章として別紙「被告標章目録」記載の標章(以下「被告標章」という。)を表示している。
(5) 本件商標と被告標章の対比 被告標章は,本件商標と類似する。
3 2 争点 (1) 被告による被告標章の使用は,本件商標の指定役務又はこれに類似する役務についての使用に当たるか(争点1) (2) 差止めの必要性(侵害行為をするおそれ)(争点2)
争点に関する当事者の主張
1 争点1(被告による被告標章の使用は,本件商標の指定役務又はこれに類似する役務についての使用に当たるか)について 【原告の主張】 (1) プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能の内容 プッシュ通知機能は,インターネットショッピングサイト運営者がその顧客に対して,インターネットを介してスマートフォンにメッセージを伝達するためのものである。そして, 「アクセス数増加」「今月のセールのお知らせ」「イベントの情報 , ,を更新しました」 「お得なお買い物クーポンあります」との表現から,同機能は, ,インターネットショッピングサイトの運営者が広告宣伝のために電子的メッセージ配信を行うことを想定している。
メールマーケティング機能は, 「サンクスメール」「バースデーメール」「クーポ , ,ン」など,インターネットショッピングサイト運営者がその顧客に対して,インターネットを介して電子メールを配信するためのものであり,エンドユーザーをグループ化して同グループ内のエンドユーザーに同一内容のメールを送信するという,広告用電子メールに特徴的な機能を備えている。そして, 「ユーザーに求められる情報を配信」, 「メールマガジン配信」, 「販売促進の為のメール」, 「キャンペーン情報」,「ご来店頂けた女性の方はお会計時に5%割引中!」 ターゲット」 「 , との表現から,同機能は,インターネットショッピングサイトの運営者が広告宣伝のために電子メール配信を行うことを想定している。
(2) 被告サービス中のプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能が第35類に該当すること 4 ア 広告業とは「広告媒体を用いて他人のために広告をする事業」であり,広告業への該当性は,他人の事業を世に知らしめること」 「 を役務の内容として含み,それを需要者に訴求しているかによって,判断すべきである。
イ 被告サービス中のプッシュ通知機能とメールマーケティング機能は,いずれも, 「電子メール及びプッシュ送信を行うためのアプリケーション(電子計算機用プログラム)の提供サービス」(以下,原告の主張において,「アプリ役務」という。)と「電子メール及びプッシュ送信を行うためのインターネットサービス」(以下,原告の主張において,「インターネット役務」という。)から構成されている。
すなわち,プッシュ通知の実現のためには Apple や Google 等のサービスの利用が必須であり,プッシュ通知機能は,各社がインターネットに接続されたサーバを通じて,配信を依頼されたプッシュ通知を配信するサービスを利用しており,インターネット役務を含んでいる。また,メールマーケティング機能は,インターネットメールサーバの機能を顧客の利用に供するものであり,インターネット役務を含んでいる。
そして,電子メールは,電子メールソフトによって作成したものを,送信側ユーザが利用するメールサーバを介して送信するのが一般的であるから,電子メールを作成するソフトを提供するアプリ役務と,メールサーバによる電子メールの伝送を提供するインターネット役務は社会的に区別され,技術的にも独立して存在している。
ウ そして,ある情報システムにおいて,どの機能の比率が高いかは,その機能を実現しているプログラムソースコードの分量が重要な指標となるところ,メールマーケティング機能及びプッシュ通知機能を実現するソフトウェアソースコードのうち,アプリ機能とインターネット機能のソースコードの比率は,インターネット機能の分量が圧倒的に多い。
また,あるサービスを構成する複数の要素のいずれが重要であるかは,かかるサービスのいずれの部分を主としているかという提供元のアピールの内容,かかるサ 5 ービスを求める顧客の視点も勘案して判断されなければならないところ,被告としても, 「メールを送信できる」「プッシュ通知を送信できる」というインターネット ,役務部分に着目し,広告のために利用できるものであることを訴求し,被告の顧客としても,その点に着目して被告サービスを求めることとなる。他方で,どのような操作画面が存在し,当該画面にどのような機能が含まれているかなどといったアプリ役務部分は,被告としても強く訴求をしておらず,被告の顧客としても,これに着目して被告サービスを求めることはしない。
このように,被告サービス中のメールマーケティング機能及びプッシュ通知機能は,いずれも,インターネット役務部分がその主たる要素であり,固有の提供価値を有しており,両機能にとって必須のものであるから,インターネット役務が一定の商標の下に提供されれば,当該商標は役務の出所を示すこととなり,インターネット役務部分の実施が他人の登録商標の役務分類に該当するのであれば,当該商標の商標権の侵害となる。
エ 電子メール及びプッシュ通知は,社会一般に,広告媒体として用いられ,被告サービスのプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能は,被告が,顧客のために,広告媒体である電子メール及びプッシュ通知を送信する役務であり,広告業に該当する。
したがって,被告が被告サービスにおいてプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能によって提供するインターネット役務は,第35類の「インターネットによる広告」であり,また,「ダイレクトメールによる広告」に類似する。
(3) 被告サービスが第38類及び第42類に該当しないこと 他方で,被告のインターネット役務は,一方的な情報伝達が行えるのみで,電気通信役務における特徴的要素である情報伝達の双方向性を欠き,第38類には該当しない。
メールマーケティング機能やプッシュ通知機能を利用するに際して表示される画面は,処理結果の応答や返信を備えておらず,電子計算機用プログラムとしての実 6 態を備えておらず,役務実施方法の指示のための伝達手段でしかないため,被告のインターネット役務は第42類には該当しない。
(4) 被告の行為が商標法2条3項7号,8号に該当すること 被告は,被告サービスのプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能の広告用ホームページの左上部分に被告標章を表示しており,被告の行為は商標法2条3項8号に該当する。
被告サービスの各機能の操作画面において,左上にサービス名称が表示され,その余の部分の表示が,機能に応じて変更されるものと考えられる。プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能のインターネット役務部分は,それ自体は何らかの画面表示を伴うものではないが,役務提供の受付及びその処理結果の表示は,これらの操作画面を通じて行われる。そのため,被告が操作画面に被告標章を表示する行為は,同項7号に該当する。
【被告の主張】 (1) 被告の提供する役務が第35類の「広告業」に該当又は類似しないこと ア 被告サービスが第35類の「広告業」に該当しないこと 被告サービスは,「Lockon」と称し,アプリケーション・ソフト(以下「アプリ」ともいう。)と言われるコンピュータ・プログラムを,インターネット等のネットワークを介して,顧客に利用させることが可能である。このようなサービスは,一般に, 「ASPサービス」と称され,ASPサービスにおいては,顧客は,アプリ自体を自らのパソコンやスマートフォン等の電子端末にダウンロードするのではなく,インターネット等のネットワークを介して,ASP事業者のサーバ上に保存されたアプリにアクセスし,アプリの有する機能を利用することができる。
具体的には,被告の顧客は,被告サービスを利用してホームページを作成するために,被告と契約し,ホームページ作成アプリ画面へのログインID及びパスワードを取得し,ホームページ作成画面で,当該顧客の専用のスマートフォン用のホームページを作成できる。被告の顧客が作成したホームページは,被告の顧客のユー 7 ザー(以下「エンドユーザー」という。)向けに利用することが可能となる。被告の顧客は,ホームページの作成画面から,ホームページの内容を修正することが可能であり,ホームページにおける情報開示だけでなく,被告サービスの機能を利用して,エンドユーザーへ直接情報を配信することもできる。いかなるホームページを作成し,いかなる機能を利用し,いかなる情報をエンドユーザーに提供するかは,被告の顧客の判断に委ねられており,被告は,その過程に関わらない。
ここで, 「広告業」に該当するか否かは,被告が行っている役務が社会的に「広告業」に該当するか否かによって判断されるべきである。
被告が提供する役務は,インターネットを介して,スマートフォン等の携帯電話用のホームページの作成・運用を支援するためのアプリケーションソフトの提供を行うものにすぎず,顧客は,被告サービスを利用することによって,被告サーバ内に保管されたプログラムを利用することができ,スマートフォン等の携帯電話用のホームページを簡易に作成することができるというものであり,広告物の掲示や頒布に関する業務ではない。
また,被告サービスが提供するアプリは,複数の機能を有しており,特徴的なものだけでも,17種類の機能を有するところ,その中に含まれる機能であるプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能のみをとりあげて商標法上の役務を判断すべきではなく,被告の提供する役務は,全体としてみると,第35類の「広告業」に該当し又は類似する役務ではない。
イ 被告サービスが第42類の「電子計算機用プログラムの提供」に該当すること 「電子計算機用プログラム」とは,電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものであり,第42類の「電子計算機用プログラムの提供」とは,当該プログラムを顧客に利用可能にすることであり,被告の顧客は,電子計算機用プログラムのダウンロードを伴うことなく,被告の管理する電子計算機用プログラムを利用しているから,被告の提供する役務は, 8 第42類の「電子計算機用プログラムの提供」に該当する。
(2) プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能に着目しても,被告の提供する役務が第35類の「広告業」に該当又は類似しないこと 以下のとおり,プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能を,個別に役務としてとりあげて判断したとしても,被告の提供する役務は,第35類の「広告業」に該当又は類似しない。
ア プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能の内容 プッシュ通知機能とは,被告サービスの提供を受ける顧客が,被告サービスで提供されるアプリを利用して自らのホームページを作成し,エンドユーザーに会員登録を行わせた場合において,被告の顧客が,エンドユーザーに対し何らかの情報を提供したい場合に,任意の情報をエンドユーザーに伝達できるというものである。
被告の顧客はプッシュ通知機能を通じて自社の販売する商品情報を提供することで自社商品の宣伝広告を行うこともできるが,被告の顧客が自らいかなる文章・情報を送信するかを決定し,商品の宣伝広告をしており,それは被告の行為ではない。
メールマーケティング機能とは,被告サービスの提供を受ける顧客が,被告サービスで提供されるアプリを利用して自らのホームページを作成し,エンドユーザーに会員登録を行わせた場合において,被告の顧客が,特定のエンドユーザーに対して何らかの情報をメールにて提供したい場合に,任意の情報を特定のエンドユーザーにメールにて伝達することができるというものである。被告の顧客がいかなる文章・情報をメール送信するかを決定し,その判断に被告が関与することはない。
イ プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能が第35類の「広告業」に該当しないこと 顧客が事業主からWEBシステムの提供を受けて,エンドユーザー(潜在顧客)に対して広告情報を伝達(配信)する場合,当該事業主が,自ら又は第三者が運営するメディアとの関係で,顧客の委託に基づき顧客からの「広告情報」の伝達を媒介し,不特定のエンドユーザー(潜在顧客)に広告情報を伝達(配信)していれば, 9 その役務は第35類の「広告業」に該当し,当該事業主が機械的・物理的手段として「電子計算機用プログラム」を提供するだけで,顧客自らが「広告情報」をエンドユーザー(潜在顧客)に伝達(配信)していれば,その役務は第42類の「電子計算機用プログラムの提供」に該当する。ここで, 「広告の委託」は,社会的な実態に基づいて判断されるべきであり,例えば,顧客による広告情報の発信に伴い,機械的・形式的に事業者のサーバーで暫時蓄積されることは, 「広告の委託」という社会的実態を有しない。また,電子メールが広告媒体として用いられたとしても, 「広告業」に該当するためには,被告又は第三者が「広告媒体」として用いている電子メールのスペースを,顧客等に利用させることが必要であり,単に電子メールという「媒体」を顧客等に利用させる行為が「広告業」と解されることはない。
プッシュ通知機能及びメールマーケティング機能は,被告が提供する「電子計算機用プログラム」の1つの機能・用途として,被告サービスの利用者が自らの事業の広告宣伝を行うことができるものにすぎない。すなわち,被告は,広告宣伝に利用することができる機能を備えた「電子計算機用プログラム」を提供するといったASPサービスを業として行っているにすぎず, 「広告物の掲示」又は「広告物の頒布」によって報酬を得ているとはいえず,被告が「広告業」を営んでいるとはいえない。
したがって,被告の提供する役務は,被告の顧客に広告の手段としても利用することができる「電子計算機用プログラム」を提供しているだけであり,たとえ,顧客が当該プログラムを利用してエンドユーザーに対し広告情報の提供をしたとしても,それは顧客が自ら行っている行為であり,被告が事業主として広告情報の媒介をしているものではなく,第35類の「広告業」には該当しない。
ウ 「電子計算機用プログラム」が有する個別の機能ごとに指定役務の商標登録を得る必要がないこと ASPサービスで提供される電子計算機用プログラムは,顧客が何らかの目的を達成するために使用され,その目的に応じた種々の機能を備えている。このような 10 場合に,ASPサービスを提供する者は,提供する電子計算機用プログラムが有する機能がいかなるものであろうとも,第42類の「電子計算機用プログラムの提供」を指定役務とする商標登録をしてさえいれば,提供する電子計算機用プログラムが有する個別の機能自体を提供するサービスを指定役務とする商標登録をする必要はない。
2 争点2(差止めの必要性)について 【原告の主張】 被告は別紙「ホームページ目録」記載のホームページにおいて被告標章を継続的に使用し,本件商標権を侵害しており,差止めの必要性が認められる。
また,被告サービスはプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能を含むため,被告は,ホームページ以外の手段による被告サービスの広告及び提供に当たり,被告標章を使用していると考えられる。したがって,被告サービスの各種の方法による被告標章の使用についても差止めの必要性が認められる。
【被告の主張】 否認ないし争う。
当裁判所の判断
1 認定事実 後掲証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1) 被告サービスの内容 ア 「製品・サービス」のページ 被告のホームページは, 「新着情報」「会社概要」「事業案内」「製品・サービス」 , , ,及び「採用情報」のページから構成されており(乙1の1),そのうちの「製品・サービス」のページでは,被告の「製品・サービス」の一つとして「ロックオン」の項があり,そこには, 「スマートフォン対応のケータイサイト作成ASP。 SEOにも効果的。華やかなケータイサイトが専門知識なしで簡単に作成できる!」と記載されている。
11 イ 「Lockon とは?」のページ (ア) 上記の「製品・サービス」の中の「ロックオン」の項の下の階層は,「Lockon とは?」「機能一覧」「導入事例」「料金」「よくある質問」のページか , , , ,ら構成されており(甲7,乙1の2),そのうちの「Lockon とは?」のページには,最上部に「スマートフォン対応のケータイサイトを簡単に作るなら Lockon|ビジネスラリアート. . . 」と記載され,そのすぐ上に,小さい活字ではあるが,「スマートフォン対応のケータイサイト作成ASP。 SEOにも効果的。華やかなケータイサイトが専門知識なしで簡単に作成できる!」と記載されている。
(イ) 同ページでは,次に,「Lockon とは」として,ゴシック体で「スマートフォンアプリ(iOS・Android)が標準対応! スマホ&ガラケーのサイト制作・編集システム。」と記載され,さらに,それよりもフォントの小さい活字で「華やかなサイトが専門知識なしで作成でき,専用管理画面&エディタで更新も簡単です。
また,スマートフォンアプリが標準対応。 クーポン機能やアプリ特有のプッシュ通知など,アプリだからできる様々な機能も満載。 プッシュ通知を使えば,ユーザーのスマートフォンに,簡単&確実にクーポンやお知らせを通知できます。 と説 」明されている。
(ウ) 同ページでは,次に, 「プッシュ通知」として「管理画面からボタン一つで簡単に,iOS・Android のスマートフォンにプッシュ通知ができます。」と記載され,その下に管理画面の画像があり,さらにその下に, 「プッシュ通知を送信するには,管理画面の『アプリ通知』から,プッシュ通知で発信したい情報を登録し,ボタン一つで送信することができます。 ユーザーのスマートフォンにリアルタイムに通知することができるため,タイムセールス等の告知にも有効的です。 もちろん,事前予約も可能!」と記載されている。
(エ) 同ページでは,次に,「Lockon の主な機能」として,8種類の機能が示され,そのうちの一つにプッシュ通知機能が示されている。
(オ) 同ページでは,次に,「プラン別サービスご利用料金」として,「アプ 12 リプラン スマートフォンアプリ対応」 「スタンダードエディション , アプリなしのプラン」 「PCセットプラン , PC/スマホサイトを一元管理」及び「ビジネスエディション 柔軟にカスタマイズが可能」が挙げられ,初期費用及び月額費用が記載され,「備考」として,それぞれ,「アプリ申請費用は別途必要になります。 , 」「年契約もご利用いただけます。 , 」 「PCサイト制作費用は別途必要になります。 , 」「共有型・専有型プランがあります。」と記載され,その下部に「※1 すべてのプランにおいて,サイト制作費用は別途必要になります。」などと記載されている。
ウ 「機能一覧」のページ (ア) 上記の「製品・サービス」の中の「ロックオン」の項の下の階層の「機能一覧」のページ(乙1の3)では,最上部及び左上部に前記イ(ア)と同様の記載があり,その下に,「機能一覧」 「Lockon の特長的な機能」との見出しの下,17種 ,類の機能が簡略な説明とともに列挙されている(別紙「機能一覧」のとおり)。このうち, 「Lockon アプリ」には, 「アプリのプッシュ通知でユーザーにダイレクトに情報配信」と,「メールマーケティング」には,「メールを送りたいターゲットの条件を絞って送信」と,それぞれ記載されている。
(イ) 上記の「機能一覧」のページの「Lockon アプリ」の項の下の階層には,別紙「ホームページ目録」記載1のアドレスによって表示されるプッシュ通知機能に関するページがある(甲4,乙2の1)このページには,「機能一覧」 「Lockon ,アプリ」との見出しの下,ゴシック体で「アプリのプッシュ通知でカンタン情報配信!」と記載され,さらにその下に,より小さいフォントの活字で, 「アプリと連動することで,ユーザーがリアルタイムに最新のニュース(更新情報)を知る手だて(アイキャッチ効果)が増え,アクセス数の増加が見込めます。 また,メルマガを配信してもユーザーがメールアドレスを変更等をして届かない場合もありますが,アプリをダウンロードしていただければアプリダウンロードユーザーに更新情報を届けることが出来ます。」と記載されている。その下の右側には「アプリ通知」の画面が掲載され,左側には携帯電話機の画像とともに, 「今月のセールのお知らせ!」, 13 「イベントの情報を更新しました!」との文字が吹き出し内に記載されている。
(ウ) 上記の「機能一覧」のページの「メールマーケティング」の項の下の階層には,別紙「ホームページ目録」記載2のアドレスによって表示されるメールマーケティング機能に関するページがある(甲5,乙2の2) このページには, 。 「機能一覧」「メールマーケティング」との見出しの下,ゴシック体で「属性配信で, ,よりユーザーに求められる情報を配信!」と記載され,さらにその下に,より小さいフォントの活字で, 「メールマーケティングではケータイアンケートの作成・収集データのダウンロード データ属性抽出によるメール配信などができます。 また, ・配信日時の指定予約をまとめて登録できる機能を装備した,メールマガジン配信も可能です。」と記載されている。
(2) 被告サービスの利用方法 ア 被告の顧客は被告と契約を締結し,ホームページ作成アプリ画面へのログインID及びパスワードを取得し,ログインして,被告が管理するサーバ内にあるソフトウェアを利用する(乙9)。
イ 被告の顧客がログインして利用する管理画面中,ホームページを作成する際に使用する「ページ作成」画面(乙7)では,左側に「イメージプレビュー」の画像が表示される。その右側には「ページ編集」の欄があり, 「編集モード」「背 ,景色」 「テキスト色」 「リンク色」 「訪問済みリンク色」を選択し, , , , 「タイトル」,「SEO対策用説明文」「SEO対策用キーワード」「スタイルシート」を記入し, , ,「改行処理」を選択し,「内容」 「パスワード」を記入し, , 「安全装置」を選択するようになっており,被告の顧客は,これらによりホームページを作成する。
そして,「ページ編集」の下に「アプリ通知」の欄があり,「通知先」を選択し,「通知メッセージ」「最終通知日」を記入するようになっており,その下に「通知」 ,の押し下げボタンがある。被告の顧客が,この欄にメッセージを入力して通知ボタンを押すと,登録されたエンドユーザーにメッセージが配信される。
ウ 被告の顧客がログインして利用する管理画面の中の, メールマーケティ 「 14 ング」画面(乙8の1ないし8の5)では,被告の顧客がエンドユーザーに任意のタイミングで送信する「サンクスメール」「バースデーメール」「クーポンメール」 , ,について,それらのタイトル,本文(内容)等を記入する欄がある。
2 争点1(被告による被告標章の使用は,本件商標の指定役務又はこれに類似する役務についての使用に当たるか)について (1) 前記のとおり,被告のホームページにおいて,被告サービスは, 「スマートフォン対応のケイータイサイト作成ASP」 「華やかなケータイサイトが専門知識 ,なしで簡単に作成できる」として総括的に紹介されており,被告サービスの17の機能の多くはホームページの作成支援に関わる機能であることからすると,被告サービスは,ホームページ作成支援を主たる機能とするものであると認められる。そして,前記のとおり,被告サービスは, 「ASP」とされ,ASPとは,ソフトウェアをインターネットを介して利用させるサービスをいうこと(弁論の全趣旨)からすると,被告標章が使用されている被告サービスは,全体として,インターネットを介してスマートフォン等の携帯電話用のホームページの作成・運用を支援するためのアプリケーションソフトの提供を行うものであり,第42類の「電子計算機用プログラムの提供」に該当すると認められ,本件商標の指定役務第35類の「広告」には該当せず,また,これに類似する役務とも認められない。
(2) これに対し,原告は,被告サービスのうちのプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能に着目し,これらの機能のうち,メールサーバによる電子メールの配信を提供するインターネット役務部分は広告業に当たるから,広告及び操作画面に被告標章を表示する行為が「広告業」について被告標章を使用するものである旨主張する。
しかし,まず,被告サービスの内容は上記のとおりであり,これらの機能は,被告サービスの機能として広告されてはいるものの,それぞれ,被告サービスに付随する17種類の機能のうちの1つにすぎず,価格面でもこれらの機能の有無によって区分されておらず,これら機能が独立して提供されているわけではないから,被 15 告標章がそれらの機能について独立して使用されていると認めることはできない。
そして,前記のとおり,被告サービスは全体としてインターネットを介してスマートフォン等の携帯電話用のホームページの作成・運用を支援するためのアプリケーションソフトの提供を行うものであると認められ,被告標章はそのような被告サービスの全体について使用されているのであるから,被告サービスのうちのプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能のみに着目して,被告標章が「広告業」に使用されているとする原告の上記主張は採用できない。
また,被告サービスのプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能が,メールサーバによる電子メールの配信を提供する要素を含んでおり,それが広告機能を営むものであるとしても,それは,被告サービスによって提供されるアプリケーションソフトを被告の顧客が使用することにより自動的に行われるものであるから,被告の提供する役務は,そのような配信機能を有するプログラムを提供するものというべきであり,被告自身が広告配信サービスを提供していると捉えることはできない。
(3) 以上によれば,被告による被告標章の使用は,本件商標の指定役務又はこれに類似する役務についての使用には当たらない。
結論
よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
追加
16 裁判官田原美奈子及び同林啓治郎は,転補のため,署名押印することができない。
裁判長裁判官松宏之17 (別紙)商標権目録登録番号第5671044号出願日平成25年5月16日登録日平成26年5月16日商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第35類広告業,広告に関する助言及び指導,商品の販売促進に関する企画第41類セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供登録商標18 (別紙)被告標章目録1Lockon2ロックオン19 (別紙)ホームページ目録1(省略)2(省略)20 (別紙)機能一覧21
裁判長裁判官 松宏之
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