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関連審決 不服2015-3135
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事件 平成 28年 (行ケ) 10245号 審決取消請求事件

原告株式会社阿部長商店
訴訟代理人弁護士 我妻崇 坂本仁 弁理士 大津洋夫
被告特許庁長官
指定代理人藤田和美 今田三男 金子尚人
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2017/07/19
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
特許庁が不服2015-3135号事件について平成28年9月13日にした審決を取り消す。
事案の概要
本件は,商標出願の拒絶査定不服審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。
争点は,商標法4条1項10号該当性である。
1 本願商標及び特許庁における手続の経緯等 原告は,平成25年7月2日,指定役務を第43類「南三陸産の海産物を使用した海鮮丼物の提供,南三陸産の具材を含む丼物を主とする飲食物の提供」 (以下「本願役務」という。)として, 「南三陸キラキラ丼」 (標準文字)商標の登録出願をした(以下「本願商標」という。商願2013-050903号。乙68)が,平成26年10月31日付けで拒絶査定を受けた(甲38)ので,平成27年1月30日,拒絶査定不服審判を請求した(不服2015-3135号)。
特許庁は,平成28年9月13日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は同年10月23日,原告に送達された。
2 審決の理由の要点 平成21年12月頃から,宮城県本吉郡南三陸町(以下「南三陸町」という。)地域の提供店の団体が, 「南三陸キラキラいくら丼」 (以下「引用商標1」という。)を使用して「南三陸産の具材を含む丼物の提供」(以下「引用役務」という。)を開始し,その後,「南三陸キラキラ丼」(以下「引用商標2」という。)シリーズとして,引用商標1, 「南三陸キラキラ春つげ丼」 (以下「引用商標3」という。, )「南三陸キラキラうに丼」 (以下「引用商標4」という。)及び「南三陸キラキラ秋旨丼」 (以下「引用商標5」という。引用商標1〜5を合わせて「引用商標」ということがある。)を使用した引用役務の提供を行うようになった。そして,引用商標2は,宣伝広告活動及び報道によって,本願商標の登録出願時には,少なくとも宮城県及びその近隣県において,南三陸町地域を中心とする提供店の団体の業務に係る引用役務を表すものとして需要者の間で広く認識され,その周知性は現在まで継続している。
本願商標と引用商標2とは,同一又は類似する商標であり,本願役務と引用役務 とは,同一又は類似する役務である。
よって,本願商標は,商標法第4条第1項第10号に該当するものであるから,登録することができない。
原告主張の審決取消事由
原告は,原告準備書面(2)で,取消事由1〜4を主張するところ, 「取消事由1(引用商標の特定を欠いていることの誤り)」及び「取消事由2(未登録商標を使用する「他人性」の認定の誤り)」のうちの「使用主体の認定の誤り」は,実質的に周知性を認めた審決の判断手法が違法であると主張するものである。そこで,本判決では,未登録商標を引用商標と改めた上,これらの主張を「取消事由3(未登録商標の周知性を認定した誤り)」と併せて取消事由1とし,取消事由2のうちの「原告の未登録商標の使用事実を看過した誤り」を取消事由2とし, 「取消事由4(未登録商標の類否の認定,判断の誤り)」を取消事由3と整理する。
1 取消事由1(引用商標の周知性を認定した誤り) (1) 引用商標の特定を欠いていることの誤り 本願商標が「南三陸キラキラ丼」であるから, 「南三陸キラキラ丼」の名称の周知性を示す客観的証拠に限定して認定資料とすべきである。
審決には,「南三陸キラキラ丼」(引用商標2)のみならず引用商標1,3〜5の4種類の引用商標を掲げて,これらの4種類の引用商標の周知性をもって,引用商標2の周知性を判断した誤りがある上,証拠上引用商標1〜5以外にも「南三陸キラキラ丼シリーズ」 「キラキラ丼」など複数の未登録商標が使用されているにもかかわらず,証拠の一部を恣意的に抽出し, 「南三陸キラキラ丼」の周知性の認定資料としている違法がある。
(2) 使用主体の認定の誤り 審決は,引用商標となる他人の未登録商標の使用について, 「引用商標の使用開始 時から平成27年まで一貫して,宮城県本吉郡南三陸町地域を中心とする飲食店の団体であることに変わりがないことから,本願商標が商標法第4条1項10号に該当するか否かの判断は,震災前を含めた当該団体による使用の証拠に基づき判断すべきである。」としている。
しかし,未登録商標を使用する団体(主体)を認定する場合には,共通の目的を持つ人々の集まりであることが要件であり,飲食店が同じ地域にたまたま複数存在して,その中の一部がバラバラに商標を使用していたというだけでは,それらを未登録商標を使用する団体(主体)とすることはできない。
本件では,引用商標の使用主体は,以下のとおり,本願商標の登録出願前(東日本大震災(以下「震災」という。)前),本願商標の登録出願前(震災後),本願商標の登録出願後の三段階において異なっているにもかかわらず,審決は,これらの段階ごとの個別の周知性の有無の精査を欠き,三段階を通して「宮城県本吉郡南三陸町地域を中心とする飲食店の団体であることに変わりがない」とし,全体を通じた引用商標の使用の事実をもって,周知性の認定資料としている誤りがある。
ア 震災前(第一段階) 第一段階の引用商標の使用は,原告が発案者となり,南三陸町を訪れる人々に「南三陸産の海産物や具材を使用した海鮮丼物」を提供することで多くの観光客やグルメ客の来訪により町興しをすることを共通目的にした飲食店の有志(6店舗)が集まり,当時の旧飲食店組合の組合長を中心に,平成21年12月から始まったものである。
この第一段階の引用商標の使用においては,四季により, 「南三陸キラキラ春つげ丼」「南三陸キラキラうに丼」「南三陸キラキラ秋旨丼」「南三陸キラキラいくら丼」を行うことを打ち合わせただけで,各提供者が自由にその商標を使用していたのであり,そのため当時は,提供者をはじめとして,支援者も,マスコミもバラバラの名称を使用しており,構造も態様も異なる複数の名称が存在し,海鮮丼キャンペーンの連絡先として「南三陸時間旅行サポートセンター」が支援する体制になってい た。
イ 震災後から本願商標出願まで(第二段階) 震災後の引用商標の使用は,南三陸町の商店街や街並みが失われ,そこで生活をしていた人々の多くがいなくなってしまった震災後の南三陸町の状態の中で,被災者のために主に新設した仮設商店街を賑わせることによって,復興させることを共通目的として集まった飲食店の有志(9店舗)の団体により,平成24年2月25日,南三陸志津川福興名店街(通称:南三陸さんさん商店街。以下「南三陸さんさん商店街」という。)のオープンと同時に,南三陸名物「キラキラ丼」として復活したのである。
このように,第一段階である震災前の使用と震災後の復興を目指した第二段階の使用は,中心となる主体も異なり,その目的も全く異なるものであるから,その間に同一性はない。
ウ 本願商標出願後(第三段階) A(以下「A」という。)が,個人名義で登録商標「南三陸キラキラ丼」(登録第5579047号・第30類。以下「別件商標」という。)を取得したことを契機として,大きく変質することになった。
Aは,平成25年5月2日に個人名義で別件商標を取得すると,直ちに商標権を取得したことを理由として,海鮮丼提供キャンペーンの主導者の一人となり,商標「南三陸キラキラ丼」を海鮮丼提供役務に使用をするには,当該商品商標である別件商標の使用許可を受け,加盟店になる必要があるとの誤った説明をし,Aが中心となって企画した「南三陸キラキラ丼」の仕様基準を順守するとともに,事務局でもあるAに対して年間所定の商標使用料を納付するように強要するに至った。
Aは,このように,Aの所有する別件商標の使用許可をうけ,決められている仕様基準を順守して加盟店になることが資格条件であると新たに決めて,参加者を新たに募集し直し,これに賛同した飲食店により新しい主体(団体)を形成し,その限られた特定グループだけが当該海鮮丼提供キャンペーンの活動ができるようにし, 他者の活動を排斥するようになったのである。
(3) 「周知性」の認定の誤り 震災前に,有志によって「南三陸キラキラ丼」と称して「南三陸町の海産物など地元食材を使った海鮮丼」が提供されてから,本願商標出願までの期間を併せてみてもわずかな期間であり,しかも,その間に使用されていない期間がある。
このような短期間の断続的な使用で,特別の事情もなく周知性があると認定するのは,従来例と比較して経験則違反の不当な判断である。
2 取消事由2(原告による引用商標の使用事実を看過した誤り) 引用商標は,平成21年9月頃に,原告が経営するGの女将(以下「原告ホテル」,「原告の女将」という。)により発案され同年11月には使用されており,引用商標を使用した丼物を提供する事業は,原告の女将が開発し,南三陸町飲食店の有志に呼びかけてキャンペーンを開始したものである。
それ以来,今日に至るまで,原告は,原告ホテルのレストランや宿泊客に対して,「南三陸キラキラ丼」の提供を継続するとともに,当該キャンペーンについての情報発信をしたり,各種雑誌に掲載してもらったり,テレビ取材を受けたり,試食会を開いたりなど,積極的に当該キャンペーン活動を継続的に推進してきている。さらに,原告は,原告ホテルにおいて独自に広告を企画し,自ら広告費を支出して新聞,雑誌等に「南三陸キラキラ丼」の広告を行った。
原告ホテルの利用客が平均年間約20数万人以上であることから,これまでの成果として新聞や雑誌などで公表されている「南三陸キラキラ丼」の提供数量のうち,最も多くの割合(少なくとも過半数以上)を原告ホテルが占めている。
引用商標2は,上記のとおり原告が発案して使用を開始した商標であるから,原告がホテル等において提供する丼の提供役務を標章するものである。
被告は,引用役務の提供店は南三陸町地域を中心とする提供店の団体であるとするが, 「南三陸キラキラ丼」を提供している店舗は,特定の団体の構成員ということ ではなく,原告ホテルを含む飲食店の有志の集まりであった。
したがって,引用商標2の「南三陸キラキラ丼」は,本願商標の出願人である原告をも含む飲食店の有志の未登録商標であり,原告は,当該未登録商標の使用主体そのものであり,商標法4条1項10号の「他人」ではない。
3 取消事由3(引用商標の類否の認定,判断の誤り) 審決が,そもそも構成や態様の異なる多様な未登録商標群の総称として「南三陸キラキラ丼」 (引用商標2)を「他人の未登録周知商標」とし,引用商標と認定したのは,違法な事実認定である。
したがって,このように違法な事実認定による引用商標2と本願商標を比較してその類否を判断するのは,商標法4条1項10号該当性の法的判断を誤った違法がある。
被告の反論
1 取消事由1(引用商標の周知性を認定した誤り)について (1) 引用商標の特定を欠いていることの誤りについて ア 証拠によれば,平成21年12月頃に,提供店により,引用商標1を使用した引用役務が期間限定で開始され,遅くとも平成22年3月までに,引用商標2を使用しシリーズ化した丼事業として,引用商標3を使用した引用役務の提供が行われたことがうかがえる。平成22年5月から8月の間には,シリーズ第3弾として引用商標4を,平成22年9月から10月の間には,シリーズ第4弾として引用商標5を,平成22年10月から平成23年1月の間には引用商標1を,それぞれ使用した引用役務が提供店により提供された。
一連の丼事業は,平成23年3月の震災により,一時中断したものの,平成24年2月には,提供店により引用商標1を使用した引用役務の提供が復活され,その際には,丼事業の復活の旨と,季節ごとに主となる南三陸産の食材を変えた4種類 の丼物の提供が一年を通じてシリーズ化されており,当該役務について引用商標2が使用され,震災前に人気を集めたものであった旨とが併せて,新聞で報道された。
その後,平成24年4月から平成28年9月の間の,提供店による使用及び大型観光キャンペーンのパンフレット,雑誌,新聞等での紹介のされ方からすれば,引用商標1,3〜5は,季節ごとに提供される丼物の統一的なメニュー名として使用され,これらをまとめてシリーズ全体を指称する場合には,引用商標2が使用されていたといえる。
そうすると,引用商標2は,平成22年3月から平成28年9月の間に,提供店により引用商標1,3〜5の総称として使用され,これらに接した引用役務に係る取引者,需要者は,本願商標の登録出願時及び審決時において,引用商標2を引用商標1,3〜5の総称として認識していたといえる。
そうであれば,引用商標2の周知性の認定に当たり,引用商標1,3〜5に係る事情を参酌することは許されるというべきである。
イ 引用商標1〜5は,それらの構成中の「南三陸」の文字部分が,引用役務の提供地を表す文字であって,自他役務識別標識としての機能が弱いものであることからすれば,該文字部分を省略して他の自他役務識別機能を果たし得る部分,すなわち, 「キラキラいくら丼」「キラキラ丼」「キラキラ春つげ丼」「キラキラうに , , ,丼」及び「キラキラ秋旨丼」の文字をもって取引される場合もあるといえる。併せて, 「南三陸キラキラ丼シリーズ」又は「キラキラ丼シリーズ」の文字が使用されていることについて,引用商標1,3〜5を使用した季節ごとの丼事業が一年を通じてシリーズ化されているという取引者,需要者の認識のもとでは,これらの文字中の「シリーズ」の語は,「連続性を持つ一連のもの」という意味を表し(「広辞苑第六版」 (株式会社岩波書店発行),乙84),引用役務との関係において,自他役務識別標識としての機能が弱いものであるから,上述の「南三陸」の文字の自他役務識別標識としての機能の弱さも併せみれば,いずれにしても, 「南三陸キラキラ丼シリーズ」及び「キラキラ丼シリーズ」の要部は「キラキラ丼」の文字部分にあるとい える。してみれば,引用商標1〜5以外の未登録商標が使用されている事実をもって,引用商標2が南三陸町地域を中心とする提供店の団体による引用役務を表示するものとして需要者に広く認識されていたことを否定する根拠とはならない。
(2) 使用主体の認定の誤りについて ア 商標法4条1項10号の適用は,需要者の認識を基準に判断されるものである。
各書証から,引用役務に係る取引者,需要者が,引用商標を使用した引用役務の提供者は,南三陸町飲食店組合に所属し,南三陸町地域を中心とする提供店の団体であると認識していたといえる。また,提供店一覧パンフレット,仮設商店街のチラシ等の宣伝広告や新聞等の紹介記事により,引用商標2を使用した引用役務に接した取引者,需要者が,丼事業において,提供者の団体と,一般社団法人南三陸町観光協会,南三陸商工会及び南三陸町とが協力関係にあることを認識することはあるとしても,事業の中心となる者及びその入れ替わりについてまで,注意を払って認識するとはいい難い。加えて,提供店の団体内の構成を具体的に見ても,その構成に多少の入れ替わりはあるものの,大きな入れ替わりはない。
さらに,事業目的についていえば,本願商標の登録出願時及び審決時における丼事業の目的は,第一義的には震災復興であるが,該目的は,広い意味で,震災前からの丼事業の目的であった地域振興であるから,該丼事業における目的が,震災前並びに本願商標の登録出願時及び審決時において異なっているとはいえない。
イ 原告は,A主導の特定グループによる私物化した別件商標による違法性のある丼事業が行われている旨主張する。
しかし,そもそも,商標法4条1項10号の適用は,需要者の認識を基準に判断されるものであり,原告主張の上記事情により,その判断が左右されるものではない。
また,別件商標に係る登録出願及び更に別の商標登録出願において,Aにより,それぞれ,平成24年11月29日付け及び平成28年12月9日付けの上申書が 提出され,各登録出願は震災で被災した事業者が立ち上げた南三陸志津川福興名店運営組合又は南三陸町飲食店組合が出願すべきところ,両者が法人格を有しないため,やむを得ず,飲食店組合長であるAが商標登録出願人となり出願するものである旨が主張され,南三陸商工会会長も,同趣旨を述べた上,商標登録後は南三陸町飲食店組合として震災後の地域振興のために使用することで了解されている旨を説明した(乙69,70)。これらの主張によれば,一概に,原告の主張するA主導の特定グループによる丼事業の私物化ともいえない。
(3) 「周知性」の認定の誤りについて 提供店の団体による宣伝広告,記事及びテレビでの紹介,引用役務の提供数などからすれば,引用商標2は,本願商標の登録出願時及び審決時において,少なくとも,宮城県,その近隣県及び都市部に及び,観光関係者及び震災復興に関心が高い者にあっては,それより広い地域に及んでいた。
2 取消事由2(原告による引用商標の使用事実を看過した誤り)について 商標法4条1項10号における「他人」とは, 「出願人以外の者を広く指称するものと解するのが相当である」知的財産高等裁判所平成19年 ( (行ケ)10079号,平成19年9月13日判決)と判示されているところ,原告以外の提供店の団体の構成員が引用商標を使用していることは,原告も認めるところであるから,原告以外の構成員も含めて構成されている提供店の団体が引用商標2を使用する「他人」に当たることは明らかである。
原告の主張する,原告の女将が引用商標2及び丼事業の発案者であることは,上記規定の適用に何ら関係がない。
さらに,原告の主張する,新聞等で公表されている提供数のうち,最も多くの割合を原告ホテルが占めていることについては,原告はそれに関する客観的証拠を提出していない。仮に,原告が,引用商標を使用した引用役務に係る原告自身の提供数を示す客観的証拠を提出し,その提供数が提供店の団体全体のそれに占める割合 が最も多いことが明らかになったとしても,引用商標2を使用した引用役務が,南三陸町地域を中心とする提供店の団体に係る業務として需要者に広く知られている以上,そのことをもって,上記提供店の団体に係る引用商標2の周知性が否定されるものではない。
3 取消事由3(引用商標の類否の認定,判断の誤り)について 本願商標と引用商標2とを比較し,両商標について類否の認定及び判断を行ったことは,何ら違法ではない。
当裁判所の判断
1 認定事実 証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1) 原告を含む南三陸町内のホテルや飲食店6店は,平成21年12月から平成22年2月にかけて,引用商標1を使用して,イクラを中心の食材とした引用役務(以下「引用役務1」という。)の提供を行った(乙23)。同年3月からは,提供店が7店となり,同年4月にかけて,『キラキラ丼』シリーズ第2弾」として, 「引用商標3を使用して,春が旬の地元の魚介類や野菜を中心の食材とした引用役務(以下「引用役務3」という。)の提供を行った(乙24)。提供店7店は,同年4月から8月にかけて,『南三陸キラキラ丼』シリーズの第3弾」として,引用商標 「4を使用して,ウニを中心の食材とした引用役務(以下「引用役務4」という。)の提供を行い,遅くともこの頃までに,「南三陸キラキラ丼」(引用商標2)との商標が用いられるようになった(乙25)。同年9月からは,提供店が8店となり,同年10月にかけて, 「『南三陸キラキラ丼』の第4弾」として,引用商標5を使用して,地元の魚介類と米を中心の食材とした引用役務(以下「引用役務5」という。)の提供を行った(乙27)。提供店8店は,同年10月から平成23年1月にかけて引用役務1の,同年2月からは引用役務3の提供を行った(乙29,31)。上記の提供 店は,平成21年12月から平成22年末までに,提供した丼を4万5000食売り上げた(乙33)。
そして,この間,別紙1のとおり,季節ごとの提供開始や,試食会開催などについての報道がなされると共に,広告宣伝活動が行われた。
(2) 平成23年3月11日の震災により,提供店の1店の経営者が犠牲となるなど,南三陸町志津川地区も大きな被害を受けたが,平成24年2月25日の仮設商店街「南三陸さんさん商店街」のオープンに合わせて,同仮設商店街などで営業を再開した店舗や,原告ホテルなど9店で, 「復活 南三陸キラキラ丼」などと称して,引用役務の提供が開始された。それ以後,季節ごとに,旬の魚介類などを用いた引用役務の提供が行われた(乙18の1,2,乙37〜39,42,45,46)。
そして,本願商標の登録出願(平成25年7月2日)までに,別紙2のとおり,引用役務の提供等についての報道や,広告宣伝活動がなされた。
(3) Aは,平成24年11月29日,指定商品を第30類「南三陸産の海鮮丼,南三陸産の海産物を具材として含む丼物」として, 「南三陸キラキラ丼」 (標準文字)商標の登録出願をし(商願2012-100892号),平成25年5月2日,その設定登録を受けた(別件商標。乙2)。
(4) 原告は,平成25年7月2日,本願商標の登録出願をした。
そして,上記出願後,平成28年9月13日の審決までの間に,別紙3のとおり,引用役務の提供等についての報道や,広告宣伝活動がなされた。
2 取消事由1(引用商標の周知性を認定した誤り)について (1) 引用商標の特定を欠いていることの誤りについて 原告は,審決が,@引用商標1,3〜5を用いて,引用商標2の周知性を認定した点,A「南三陸キラキラ丼シリーズ」 「キラキラ丼」など引用商標1〜5以外の商標も使用されているのに,恣意的に引用商標1〜5のみを抽出した点に,それぞれ違法があると主張する。
しかし,@については,引用商標2は,『南三陸キラキラ丼』シリーズの第3弾 「として,『南三陸キラキラうに丼』が5月1日,お目見えする。(乙25)「 」 ,『南三陸キラキラ丼』が,25日に復活する。
・・・四季の食材に合わせて,ウニ丼やイクラ丼など4シリーズを展開。(乙34)のように用いられ, 」 「シリーズ」には「連続性を持つ一連のもの」 (広辞苑第6版,乙84)の意味があることも考慮すれば,引用商標2は,引用役務1,3〜5をまとめた総称的意味で用いられていると認められる。これに加え,引用商標1,3〜5は,いずれも「南三陸キラキラ○○丼」との構成であり,引用商標2と「南三陸キラキラ」「丼」において共通し,「○○」の部分は食材ないし時季を意味する語が用いられていることからすれば,需要者においても,引用商標2が,引用商標1,3〜5の総称的意味で用いられていることは容易に理解できると考えられる。そうだとすれば,引用商標1,3〜5に接した需要者が,既に引用商標2に接していれば引用商標2を想起することになるし,その後に引用商標2に接した需要者にとってもその際の引用商標2の印象を強めるものになるといえる。このように,総称的な引用商標2の周知性を認定するに当たっては,類似する各別の商標である引用商標1,3〜5の使用状況を考慮することは当然である。
次に,Aについて,上記の「シリーズ」の意味や使用状況に照らせば, 「南三陸キラキラ丼シリーズ」との記載に接した需要者は, 「南三陸キラキラ丼」 「シリーズ」 とに分けて認識すると考えられ,実際報道でも「『南三陸キラキラ丼』シリーズの第3弾」乙25) ( のように,南三陸キラキラ丼の部分を鍵括弧で括っているものもある。
そうだとすれば, 「南三陸キラキラ丼シリーズ」との記載から, 「南三陸キラキラ丼」の部分を抽出して,引用商標2の使用と認定することは許されると考える。また,証拠中には,確かに引用商標1〜5の他に,「キラキラ丼」又は「キラキラ○○丼」との商標(以下「引用外商標」という。)が使用されたものも含まれているが,引用外商標が引用商標1〜5と共に使用されていれば, 「南三陸」の部分を省略した引用商標1〜5の略称であることは容易に理解でき,これにより引用商標1〜5の印象 が薄れるものではないから,審決が引用外商標の使用状況について認定しなかったことに問題はない。以上のとおり,審決が,恣意的に引用商標1〜5のみを抽出したものとは認められない。
以上のとおり,審決に原告が主張する違法はない。
(2) 使用主体の認定の誤りについて ア 原告は,審決が,南三陸町地域を中心とする飲食店の団体が「他人」に該当するとしたのに対し,飲食店が同じ地域にたまたま複数存在して,その中の一部がバラバラに商標を使用していたというだけでは,それらを未登録商標を使用する団体(主体)とすることはできない,震災前(第一段階),震災から本願商標の登録出願まで(第二段階),本願商標の登録出願から審決まで(第三段階)の各段階において,それぞれ引用役務の提供者が異なっているから,第一段階における引用商標の使用に関する証拠は,第二段階及び第三段階の周知性を認定するための証拠とならないし,第二段階における引用商標の使用に関する証拠は,第三段階の周知性を認定するための証拠とならない旨主張する。
イ まず,南三陸町地域を中心とする飲食店の団体が, 「他人」となり得るかを検討する。
商標法4条1項10号の規定の趣旨は,需要者保護の観点から当該指定商品・役務についての出所の混同を防止するとともに,一定の信用を蓄積した他人の未登録周知商標について既得の利益をも保護するものと解されることからすると,同号所定の「他人」には,単一の者だけではなく,特定の商標の持つ出所識別機能及び品質保証機能を保護発展させるという共通の目的のもとに結束しているものと評価することのできるようなグループも含まれるものと解するのが相当である(最高裁昭和56年(オ)第1166号同59年5月29日第三小法廷判決・民集38巻7号920頁参照)。
前記認定事実によれば,引用役務の提供店は,第一段階においても,一定の具材を使用することや値段を一定以上にすることなど共通ルールを作成していること (甲2,乙13),提供店を網羅した共通のパンフレットを作成していること(乙13),共通の連絡先があること(乙23),共同して試食会を行ったこと(乙33)など,引用商標1〜5の出所識別機能及び品質保証機能を保護発展させるという共通の目的のもとに結束をしていたといえる。第二段階以降も,参加条件を定めていること(甲45の2),提供店を網羅したパンフレットを作成していること(乙14〜17,19〜22),共通の問い合わせ先があること(乙18の1),ウェブサイトでの情報発信(乙65の1〜13)など,同様に一定の結束をしていたといえる(なお,原告の主張によれば,南三陸さんさん商店街内に引用商標の使用のキャンペーンの事務局が設けられたとされる。。
) よって,南三陸町地域を中心とする飲食店の団体は, 「他人」に該当すると認められる。
ウ 次に,各段階を通じて周知性の有無を判断することの是非について検討する。
商標法4条1項10号は, 「需要者の間に広く認識されている」商標を対象とするものであるから,需要者の認識を検討すべきであるところ,本件では,震災による中断の前後を問わず,提供店は,季節ごとに引用商標1,3〜5を用いて引用役務1,3〜5を提供していること,宣伝広告や報道において, 「復活」などの言葉が使用されており,第一段階と第二段階は役務の提供継続性があることを前提とする内容となっていること,第二段階以降において,引用役務の提供が中断された時期はなく,提供店の団体が従前から変更されたことを窺わせる宣伝広告や報道も見当たらないことからすれば,需要者は,第一段階から第三段階を通じて,一定の構成員よりなる同一の団体により,引用役務が提供されていると認識すると推認される。
もっとも,未登録周知商標を有する「他人」と無関係な者が,従前蓄積されていた商標の信用にただ乗りすることは,上記の出所混同の防止との点からも,既得の利益の保護との点からも,許されないと解されるので,この点を検討する。
a 原告は,第一段階と第二段階では,中心となる主体も目的も異なるから,使用主体に同一性がないと主張する。
しかし,本件では,証拠上提供店が特定できる第一段階の最後である平成22年10月中旬からの提供店8店(甲43の10)と,第二段階の最初である平成24年2月の提供店9店(乙18の1)では,原告を含む4店が共通している(なお,第一段階におけるHと第二段階におけるIは,関連する店舗であるので,同一店と認められる。乙60)。提供を中止した店の中には,震災による店舗の流出や関係者の死亡(乙34)により,提供再開が不可能であった店もあると推認されるところ,そのような状況の中で,8店中4店が第二段階の提供店に加わっていることは,同一性を肯定する重要な事実というべきである。
また,目的について,原告は,第一段階では観光客やグルメ客の来訪による町おこしが目的だったのに対し,第二段階では,主に仮設商店街の振興による復興が目的であり,目的が異なると主張するが,いずれも引用商標1〜5を用いて南三陸町又はその周辺の地域を発展させる意味で共通性があり,震災により具体的な目標が復興へと変容したにすぎないから,同一性を否定する事情とはいえない。
からの役務の提供継続性が強調されているが,そのことについて,第一段階のみの提供店から異議が出されるなどの事情も見当たらない。
以上によれば,第一段階の提供店と第二段階の提供店には一定の同一性があり,第二段階の提供者が,従前蓄積されていた商標の信用を不当に自己のものとして援用するものではないと認められる。
b 次に,第二段階と第三段階について検討すると,原告は,別件商標登録の後,特定のグループの利益のみを追求すべく,Aから商標の使用許可を受け,仕様基準を順守して加盟店となることを条件に参加者を再募集して,これに賛同した飲食店による新しい主体を形成したものであるから,団体としての同一性がない旨主張する。
しかし,別件商標が登録されたのが平成25年5月2日,南三陸町飲食店組合で仕様基準についての話合いが行われたのが同年5月〜6月頃,本願商標の登録出願が同年7月2日であるところ,その前後である平成25年5月から8月までの引用役務4の提供時期と,平成25年9月から10月までの引用役務5の提供時期とで,提供店に変動はなく,原告ホテルも提供店である(乙15,16)。また,南三陸町観光協会のウェブサイトにある提供店の一覧では,平成26年5月から8月までの引用役務4の提供までは,原告ホテルの情報が掲載されており,平成26年9月から10月の引用役務5の提供から,原告ホテルの情報が削除されたものの,同時期に情報が削除されたのはほかに1店のみで,9店は引き続き情報が掲載されおり(甲15,66),その後も,提供店に大きな変動は見られない。
そして,別件商標に関する「第1号議案 商標登録(第30類) 「南三陸キラキラ丼」仕様基準承認の件」と題する書面(乙3,5)には,平成24年10月22日開催の会議における提案を受けて組合長が個人名義で商標登録出願を行い,商標権は組合の管理下に置かれるなどとされている。ここで提案されている仕様基準には,商標の使用料を支払うこと,南三陸町飲食店組合,南三陸町観光協会,南三陸商工会に加入すること,地元の食材と旬にこだわること,食材の数量を明確にすることなどが定められており,これらの仕様基準を順守しなければ,別件商標の使用ができないことになる。しかし,商標の使用料は年間6000円にすぎないこと,提供店はもともと飲食店組合の組合員である上,商工会や観光協会は連絡先などとして引用役務の提供を支援していること,従前も引用役務の提供に当たって一定のルールが定められていたこと(前記イ)からすれば,これらの仕様基準の順守が特に困難とも不当とも思われず,実際,上記のとおり,提供店に大きな変動はない。そうすると,別件商標の登録及び仕様基準の定めは,従前から使用されていた商標の価値を確立するためになされたというべきであって,目的を異にする新たな団体を形成したことを認めるべき事情には当たらない。
エ したがって,第一段階から第三段階の各段階を区別することなく,引用 商標の周知性を判断できるものと解される。
(3) 周知性の範囲 商標法4条1項10号にいう「広く認識されている」とは,全国的に知られているまでの必要性はないものの,一地方,すなわち,一県の全域及び隣接の数県を含む程度の地理的範囲で知られていることが必要と解される。
そして,前記1の認定事実によれば,震災前においても,引用役務は,引用商標1〜5と共に,河北新報で6回(乙23〜25,27,29,33),東京読売新聞で4回(乙26,28,30,31),三陸新報で1回(甲2),日本農業新聞で1回(乙32)と,全国紙や地方紙に複数回取り上げられ,複数回テレビ局の取材も受け(甲2) 旅行雑誌 , (甲11)やキャンペーンのガイドブック(乙71の2,3)に紹介されるなどしており,提供した丼を年間4万5000食を売り上げるなど,相応の知名度を有していたというべきである。
震災により,引用役務の提供は中断されていたが,引用役務の提供を再開するに当たって,震災によって大きな被害を受けたと広く知られていた南三陸地域の復興と関連付けて全国紙,地方紙,テレビで大きく報道された。すなわち,平成24年2月の提供再開から,平成25年7月2日までの約1年5か月の短期間に,河北新報で6回(乙34,37,39,40,44,45),東京読売新聞で3回(乙35,41,46),東京新聞で1回(乙36),日本経済新聞で1回(乙38),毎日新聞で1回(乙42),朝日新聞で2回(乙43,48),テレビ朝日「スーパーJチャンネル」で1回(乙80),TBS「みのもんたの朝ズバッ!」で1回(乙80),仙台放送「とうほく食文化応援団2013〜宮城に乾杯〜」で1回(甲6,乙64),「サンデー毎日」で1回(乙11)と大量の報道がなされた。報道内容を見ても,多くの記事・番組で,見出しに引用商標2が用いられるなど,読者・視聴者に引用商標2の印象が残る内容となっている。また,カタログが100万部配布されるような大型の観光キャンペーンを含むガイドブック(乙7,72の2,3)や情報誌(乙9),旅行雑誌(乙10)などでも引用商標1〜5が紹介された。
引用役務では,平成24年2月の販売再開から約2か月で1万食の丼を売り上げ(乙37) 平成25年4月から6月の3か月間で約5万食の丼を売り上げた , (乙73の4) 提供店の数店が店舗を構える南三陸さんさん商店街は, 。 平成24年には飲食店の客だけで約10万人が来訪し,その4割が南三陸キラキラ丼を注文し,厳しい状況の仮設商店街もある中,土日の昼には大型バスの来訪が相次ぎ団体客でにぎわうなど繁盛しており,それには南三陸キラキラ丼の存在が大きいとされている(乙43) 提供店は南三陸町周辺の限られた飲食店のみであるため, 。 引用商標2の存在を知りつつも,実際に提供店まで行くことができない需要者も多くいると推測されることからすれば,上記販売実績は相当大きなものと評価できる。
以上によれば,本願商標が登録出願された平成25年7月2日の時点で,引用商標2は,提供店の団体の業務に係る商標として,少なくとも宮城県及びその近隣地域の需要者の間に広く認識されていたというべきである。
(4) 周知性継続 その後,審決までの間も,東京読売新聞で5回(乙49,53,55,56,59) 中日新聞で1回 , (乙50) 東京新聞で1回 , (乙81) 日刊工業新聞で1回 , (乙51) 朝日新聞で1回 , (乙52) FujiSankei , Business i.で1回(乙54) 河北新報で1回 , (乙57) 電気新聞で1回 , (乙58) TBS , 「Nスタ」(乙80),日本テレビ「ウェークアップ!ぷらす」(乙80),TBS「中村雅俊が行く伊達な海道探訪〜みやぎでのふれあいを求めて〜」 (乙80)など,マスコミに取り上げられたり,観光キャンペーンで紹介されたりした。また, 「第1回全国丼グランプリ」「フード・アクション・ニッポンアワード2014」を受賞して ,いる。
そして, 「週末になると,この丼を目当てに県内外から観光客が足を運ぶ。(乙5 」1), 「仮設商店街『南三陸さんさん商店街』の駐車場は多くの県外ナンバーを含め,100台以上の車で埋め尽くされていた。
・・・午後1時になっても地元産の魚介類をふんだんに乗せた名物『南三陸キラキラ丼』を提供する飲食店には行列が絶えな かった。夫としゅうとめと3人でさいたま市から来たという会社員,Bさん(56)。
栗駒高原に行く途中,車でわざわざ1時間も掛けて寄り道した。
『うに丼が食べたくて。夫が会社の同僚にここを勧められた』と話す。
・・・地理的優位性もあり,観光ツアーのルートの一つになった。メディアの露出も多く新聞やテレビで見たという客も多い。(乙54)などと,人気が続いていることがうかがわれる。
」 以上によれば,審決の間までも,周知性継続していたと認められる。
3 取消事由2(原告による引用商標の使用事実を看過した誤り)について 原告は,引用商標2は,原告が発案して使用を開始した商標であり,本願商標の出願人である原告をも含む飲食店の有志の未登録商標であって,原告は,当該未登録商標の使用主体そのものであるから,商標法4条1項10号の「他人」ではないと主張する。
しかし, 「南三陸町地域を中心とする提供店の団体」が「他人」に当たるといえることは,前記2(2)イのとおりである。
そうだとすれば,提供店の団体の一構成員である原告にとって,当該提供店の団体は他人に当たることは明らかである。
原告は,原告が引用商標2の発案者である,平成21年12月のキャンペーンの開始前,平成24年2月の引用役務の提供再開前から,原告が引用役務の提供を始めていた,原告の広告宣伝活動への貢献が大きい旨主張する。
しかし,引用商標2は,原告の商標として周知になったのではなく,南三陸町地域を中心とする提供店の団体の商標として周知になったものと認められるし,原告は,他の提供店と共同してキャンペーンを開始したのであるから,提供店の団体が原告が築いていた商標の価値を不当に利用したものとはいえない。確かに,引用商標2を原告ホテルのみに使用した新聞雑誌広告もあるが(甲68の1の1〜甲68の18,乙61),報道や宣伝広告の全体に占める割合は小さいし,例えば甲68の2には「Gの他,南三陸町内の飲食施設で提供中」と記載されているように,他の 飲食店も「南三陸キラキラ丼」を提供していると理解できるものも多いから,上記認定を左右するものではない。
よって,原告の主張は理由がない。
4 取消事由3(引用商標の類否の認定,判断の誤り)について 本願商標及び引用商標2は,いずれも「南三陸キラキラ丼」であって同一と認められる。
5 結論 以上によれば,引用商標2は「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」に該当し,本願商標はこれと同一であるから,商標法4条1項10号に該当することを理由として登録することができないとした審決の判断に誤りはなく,原告主張の審決取消事由は理由がない。
よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
追加
別紙1(1)新聞記事ア2009年12月27日付け「河北新報」(朝刊)(乙23)「キラキラいくら丼が登場・・・」(見出し)「南三陸町志津川地区のホテルや飲食店6店が,共同で『南三陸キラキラいくら丼』の提供を始めた。
・・・同町は5月ごろからウニ丼を求める観光客でにぎわう。年間を通して南三陸の海の幸を楽しんでもらおうと,名産のタコを使った海鮮丼に続き,丼シリーズ第3段として考案した。・・連絡先は南三陸時間旅行サポートセンター」・イ2010年3月22日付け「河北新報」(朝刊)(乙24)「宮城・南三陸町の春の味満載/「キラキラ丼」第2弾/・・・」(見出し)「南三陸町産の食材をふんだんに盛り込んだ『南三陸キラキラ春つげ丼』を,町内の飲食店が今月から提供している。昨年12月のいくら丼に続く『キラキラ丼』シリーズ第2弾で,計7店が腕を競う。・・・春つげ丼には前回参加の5店舗に加え,歌津,戸倉両地区からも1店舗ずつが参加した。
・・・5月からはキラキラ丼第3弾としてウニ丼を売り出す予定だ。連絡先は南三陸時間旅行サポートセンター」ウ2010年4月28日付け「河北新報」(朝刊)(乙25)「・・・夏場へ旬迎える『キラキラうに丼』/宮城・南三陸町」(見出し)「南三陸町の飲食店組合に加盟する7店が昨年12月から企画している『南三陸キラキラ丼』シリーズの第3弾として,『南三陸キラキラうに丼』が5月1日,お目見えする。・・・連絡先は南三陸時間旅行サポートセンター」エ2010年5月1日付け「東京読売新聞」(朝刊28頁)(乙26)「『はやりのB級グルメならぬ,A級グルメで町を盛り上げたい』と話すのは,組合長のCさん(59)。組合加盟の有志7店で,1日から一斉に豪華丼を売り出す。その名も『南三陸キラキラうに丼』・・・志津川港で水揚げされたムラサキウニを使。
った丼での街おこしを考案した。」 オ2010年5月16日付け「三陸新報」(1頁)(甲2)「好評『キラキラ丼シリーズ』南三陸町」(見出し)「南三陸町飲食店組合の有志が地場産食材を使って提供している『南三陸キラキラ丼シリーズ』が好評だ。『いくら丼』『春つげ丼』に続き,今月から売り出した『うに丼』は一日で百食が売れる店が出るなど,順調な滑り出しをみせている。『キ・・・ラキラ丼』シリーズの”火付け役”となったのは,Gの女将・Dさん。
・・・町が『タコ料理』で実績のある飲食店組合の有志に持ち掛け,『キラキラ丼』が誕生。シリーズの第一弾として昨年十二月,七店舗で『いくら丼』の販売がスタート。二月までの三カ月間で三千三百食を売り上げた。
『春つげ丼』は三,四の二カ月で千二百食を売り上げた。・・・『キラキラ』シリーズの第三弾として,七店舗が一日から一斉に『うに丼』の販売を開始。@南三陸産のウニを三十五グラム以上使うA値段は千三百円以上―などの共通ルールを決め,一カ月一万五千食の売り上げを目標に取り組んでいる。・・・『雑誌やインターネットなどで調べてわざわざ食べに来た』という仙台,岩手からのお客さんが多く,・・・うに丼は以前から扱っていたが,参加店がリーフレットやパンフレットにまとまることでの効果も大きい。
・・・テレビ局の取材も相次いでおり,今が旬の『ウニ』を食材にした丼には先週,三社が集中して取材に訪れた。」カ2010年9月1日付け「河北新報」(朝刊)(乙27)「丼にあふれる宮城・南三陸町の『秋』/『秋旨』きょうから提供/キラキラ丼第4弾・・・」(見出し)「キラキラ丼第4弾・・・南三陸町の豊富な食材を使った『南三陸キラキラ丼』の第4弾の提供が1日,スタートする。昨年12月に始まった丼のラストを飾るのは『キラキラ秋旨(あきうま)丼』・・・南三陸キラキラ丼は,町飲食店組合に加盟。
する志津川地区の6店で取り組み始めた。現在は戸倉,歌津地区が加わり8店が提供する。昨年12月〜ことし2月のいくら丼に始まり,春つげ丼(3,4月),うに丼(5〜8月)と続いた。7月末までに約1万8000食を売り上げ,大ヒットと なった。・・・連絡先は南三陸時間旅行サポートセンター」キ2010年9月19日付け「東京読売新聞」(朝刊27頁)(乙28)「秋の南三陸てんこ盛り『キラキラ丼』人気=宮城」(見出し)「南三陸町の秋の味覚をふんだんに使い,今月から販売されている『南三陸キラキラ秋旨丼(あきうまどん)』が,ちょっとした話題になっている。例年9月からは観光客が減るが,秋旨丼を食べに訪れる客は増えているという。
・・・秋旨丼は,同町の四季の食材を使い,昨年10月から始まった『南三陸キラキラ丼』シリーズを締めくくる第4弾。今年5〜8月に販売したキラキラうに丼は,約2万食を売り上げるヒットになった。・・・問い合わせは南三陸時間旅行サポートセンター」ク2010年10月16日付け「河北新報」(朝刊)(乙29)「南三陸町飲食店組合加盟の8店舗が提供する『南三陸キラキラいくら丼』の試食会が,同町志津川の飲食店で行われ,関係者が志津川湾の秋の味覚を楽しんだ。」ケ2011年1月7日付け「東京読売新聞」(朝刊22頁)(乙30)「『南三陸キラキラいくら丼』が同町の飲食店8店で販売されている。南三陸の四季の食材を使う『キラキラ丼』シリーズの秋冬版で,各店それぞれ自慢の丼を今月末まで振る舞っている。・・・昨冬は1万食弱を販売するヒットに。・・・問い合わせは,南三陸時間旅行サポートセンター」コ2011年1月18日付け「東京読売新聞」(朝刊30頁)(乙31)「春の食材をふんだんに盛りつけた『南三陸キラキラ春つげ丼』が2月1日から販売される。南三陸町の四季をイメージした「キラキラ丼」シリーズの春版で,町飲食店組合の8店がそれぞれ趣向を凝らした創作丼を4月末まで振る舞う。
・・・昨年10月から販売中のキラキラいくら丼は,約4万5000食を売り上げる人気丼になった。・・・問い合わせは,南三陸時間旅行サポートセンター」サ2011年1月20日付け「日本農業新聞」(35頁)(乙32)「南三陸町の町飲食店組合は,2月1日から『南三陸キラキラ春つげ丼』を販売する。
・・・同組合の8店舗がオリジナルの丼をそれぞれ考案し,1300〜2000 円で提供する。
・・・13日には同町内で試食会を開いた。E町長やJTB東北のF社長,組合の店舗の店長ら15人が参加し,各丼の出来を確認。
・・・同日,リクルートが発行する旅行専門雑誌『じゃらん』の取材や,組合のPR用ポスターの写真撮影も行われた。」シ2011年1月20日付け「河北新報」(朝刊)(乙33)「旬の魚介たっぷり/「キラキラ丼」新作試食会」(見出し)「南三陸町産の食材を使った『南三陸キラキラ春つげ丼』の新作の試食会が13日,同町志津川のGで行われた。
・・・南三陸キラキラ丼シリーズは2009年12月に販売が始まり,昨年12月末までで4万5000食を売り上げる大ヒット商品となった。・・・連絡先は南三陸時間旅行サポートセンター」(2)雑誌等ア「東北じゃらん」2010年1月号(甲11)「誕生!南三陸キラキラいくら丼」との紹介があり,提供店として6店舗の飲食店が掲載されている。
イガイドブック(乙71の2,3)平成22年10月1日から同年12月31日まで,「仙台・宮城【伊達な旅】キャンペーン」が行われた(乙71の1)。
その総合ガイドブック(乙71の2)の24頁には,「南三陸キラキラいくら丼キャンペーン」「実施日程:10月〜1月」などと記載されている(乙71の2)。
同三陸エリアガイドブック(乙71の3)には,「南三陸」の項目で「南三陸キラキラ丼シリーズ」が紹介され,「問い合わせ」として,「南三陸時間旅行サポートセンター」が記載されている。
ウパンフレット(乙13)平成21年度情報発信力強化事業として,遅くとも平成22年中には作成されたと認められる8つ折りパンフレットには,表紙にやや図案化した文字で「南三陸キラキラ丼」と,「南三陸キラキラ春つげ丼はココが美味!」との見出しの面の下部に 「※各店舗により丼のトッピングは異なりますが,春つげ丼ルールの@旬の魚介AメカブB春告げやさいは共通で使用しています。」と記載されている。また,問合せ先が一般社団法人南三陸町観光協会内の南三陸時間旅行サポートセンターである旨,提供店7店の紹介等も記載されている。
なお,原告は,乙13は文字の向きが異なるなど作為的に合成されたパンフレットで証拠価値がない旨主張するが,8つ折りのパンフレットであることからすれば文字の向きが異なることはあり得るものであり,原告の主張は採用できない。
別紙2(1)新聞記事ア2012年2月23日付け「河北新報」(朝刊)(乙34)「東日本大震災/再び輝け,宮城の食/『南三陸キラキラ丼』復活/25日から9店舗で」(見出し)「南三陸町産の海産物など地元食材を使った『南三陸キラキラ丼』が,25日に復活する。東日本大震災前は1年間に4万5000食を売り上げたヒット商品に,飲食店主らは『丼で町を再び盛り上げたい』と震災からの復興を託す。キラキラ丼は,2009年12月に販売が始まった。四季の食材に合わせて,ウニ丼やイクラ丼など4シリーズを展開。店独自の味を提供していたが,津波で7店が流失し,関係者にも犠牲者が出た。昨年,志津川で仮設商店街設置の話が持ち上がり,店主や町観光協会が中心となって復活に向けて動きだした。同町志津川御前下の仮設商店街『南三陸志津川福興名店街』がオープンする25日の販売開始を決めた。販売するのは,新たに参加する店を含め,仮設商店街で5店,被災を免れたり店舗を移転して再開したりした4店の計9店。」イ2012年2月26日付け「東京読売新聞」(朝刊33頁)(乙35)「南三陸キラキラ丼復活志津川の仮設商店街など=宮城」(見出し)「東日本大震災で大きな被害を受けた南三陸町で25日,イクラやタコなど旬の海産物を使った『南三陸キラキラ丼』が復活した。
・・・キラキラ丼は,震災前に年間約4万6000食が売れていたヒット商品。
・・・販売を再開したのは,この日,町中心部でオープンした仮設商店街『志津川福興名店街』などの9店。」ウ2012年3月1日付け「東京新聞」(朝刊4頁)(乙36)「宮城へ行こう(上)南三陸キラキラ丼季節の味の競い合い復活」(見出し)「魚介類を中心とした宮城県南三陸町産の食材を丼ものに仕立てた『南三陸キラキラ丼』が二十五日に復活し,人気を集めている。町観光協会によると『キラキラ丼』は,二〇〇九年十二月に町内六店舗が始めた。
・・・年間四万五千食を売る人気ぶり だった。東日本大震災で店の大半が被災し,取り組みは中断していたが,町復興の願いを込めて再開を決めた。
・・・同日にオープンした仮設商店街の五店舗と,それ以外の四店舗が味を競い合う。」エ2012年4月25日付け「河北新報」(朝刊)(乙37)「でかけよう伊達な旅・宮城(5)/南三陸町・潮騒フェア/キラキラ丼,感謝も載せ」(見出し)「仮設商店街に店を構える飲食店の目玉は,ことし2月に復活した『南三陸キラキラ丼』販売再開からすでに1万食以上を売り上げた。
。29日からは旬を迎える地元のウニを使った『キラキラうに丼』が販売される。丼一つにウニが65グラム以上載るボリューム満点の一品。
・・・キラキラうに丼は福興名店街の飲食店など8店で提供・・・連絡先は南三陸町観光協会」オ2012年7月21日付け「日本経済新聞」(夕刊4頁)(乙38)「鮮やかなオレンジ色のウニが一面にのったどんぶりを前に,注文した家族連れの顔がみるみるほころぶ。休日の宮城県南三陸町の『南三陸志津川福興名店街』(通称「南三陸さんさん商店街」)でよく見られる光景だ。・・・ウニ丼は,震災前に年間4万5千食を売り上げた町の名物『南三陸キラキラ丼』の一つ。地元産のイクラ,ウニ,鮮魚など季節ごとに具材を変えて1年に4シリーズを展開しており,今年2月の名店街オープンと同時に再開した。」カ2012年10月28日付け「河北新報」(朝刊)(乙39)「宮城県南三陸町には東日本大震災前,約30店の飲食店があった。うち17店(当時)でつくる町飲食店組合は震災で,組織を束ねる組合長を失った。Cさん=当時(60)。同町志津川の旧町役場近くで中華料理店『J』を営み,2008年4月から組合長を務めた。
・・・09年12月から組合の6店舗で,いくらやアワビなど町で採れる四季折々の旬の食材を丼にして提供する南三陸キラキラ丼の販売を始めた。
年間約4万5000食を売り上げ,町を代表する名物になった。
・・・昨年7月,仮設商店街などで営業を再開した11店舗で組合は再出発。ことし2月にキラキラ丼 を復活させた。現組合長のAさん(54)は『Cさんが築いた飲食店の絆を大切にし,農家や漁業者と手を携えて南三陸の食材をPRし,町の再生に力を尽くしたい』と語る。」キ2012年11月14日付け「河北新報」(朝刊)(乙40)「南三陸町の商工業者が昨年4月から月1回開いている『福興市』が14日,仙台市青葉区の勾当台公園で開かれる。
・・・町内の飲食業者や水産加工業者などが24のブースで,名物の南三陸キラキラいくら丼や海鮮串焼きを販売する。」ク2012年11月15日付け「東京読売新聞」(朝刊28頁)(乙41)「南三陸町の被災した商工業者らが町特産の海産物を販売する『復興市』が14日,仙台市青葉区の勾当台公園で開かれた。
・・・町内の飲食店や水産加工業者などが21のブースを出店し,名物の南三陸キラキラいくら丼やかまぼこコロッケ,海鮮塩焼きそばなどを販売した。」ケ2013年1月8日付け「毎日新聞」(地方版19頁)(乙42)「再生・食deルネサンス:被災地を元気に/7『南三陸キラキラ丼』復活/宮城」(見出し)「Aさんの発案で,震災前に町内の複数の店が提供していた『南三陸キラキラ丼』を昨年2月に復活させた。地元海産物などをふんだんに使った名物丼は,被災地に多くの観光客を呼び込む力になっている。キラキラ丼は『新鮮なネタで,どんぶりの上がキラキラしている』のが名前の由来で,季節ごとにテーマを決め,各店がそれぞれの丼を提供する。・・・昨年の3,4月はワカメやメカジキなどの『春告げ丼』,8月までは『ウニ丼』,10月までは戻りガツオなどの『秋旨(うま)丼』,11月〜今年2月は『イクラ丼』をテーマにした。発案のきっかけは08年春。観光PRでウニ丼を1000円で提供したところ,新鮮さと安さから人気が出た。不景気で客足が遠のいていた状況を打破するため『町ぐるみでやったら面白い』と,町の飲食店組合に提案。09年12月,同町内の中華料理店やそば屋など8店が始め,1年間で計約4万6000食を売り上げるという,人気の品になっていた。しかし, 東日本大震災による津波で,海から約1・5キロ離れていたAさんの店舗兼自宅が流され,他の多くの店舗も被災した。
・・・昨年2月25日のさんさん商店街のオープンと同時に,町全体でキラキラ丼も復活させた。廃業した店もあったが,現在は同商店街の5店を含め,町内の11店がキラキラ丼を提供する。
・・・キラキラ丼提供店などの問い合わせは同町観光協会」コ2013年2月11日付け「朝日新聞」(朝刊37頁)(乙43)「(防災復興)仮設商店街,再建遠く特需去り,『客は1日3人』(見出し)」「飲食店など30店が入る宮城県南三陸町の『さんさん商店街』土日の昼には大型。
バスが相次ぎ,団体客でにぎわう。昨年は飲食店の客だけで約10万人を数えた。
繁盛しているのは共通メニュー『南三陸キラキラ丼』の存在が大きい。飲食店7店のうち4店で扱う海鮮丼で,地魚やイクラなど三陸の海産物をふんだんに盛る。安いものでも1500円だが,客の4割が注文する人気メニューだ。『南三陸行って『キラキラ丼でも食って帰るか』ってお客さんが結構いるのがありがたい』商店街組。
合長のAさん(54)はイメージの定着を喜ぶ。だが,こうしたにぎわう仮設商店街はわずかだ。」「岩手県釜石市の・・・『はまゆり飲食店街』。2011年12月の開店当初は,なじみ客やボランティアでにぎわったが,今は厳しい。」「宮城県名取市の・『閖上さいかい市場』にも,一時のにぎわいは見られない。
・・」サ2013年2月16日付け「河北新報」(朝刊)(乙44)「2013仙台・宮城DC/復興支援,周遊観光を展開/推進協がイベント概要発表」(見出し)「仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会は15日,4〜6月に開催する大型観光宣伝『仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)』の概要を発表した。東日本大震災の被災地で教訓を語り継ぐ事業,復興ぶりを見てもらう周遊観光を展開。
・・・仮設商店街を回るバスも走らせ,買い物や『南三陸キラキラ丼』など復興グルメを堪能してもらう。
・・・DCガイドブックは90万部発行し,全国のJR主 要駅で配布する。」シ2013年4月1日付け「河北新報」(朝刊)(乙45)「きょうから仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(5)/ご当地丼,各地で提供<上>」(見出し)「◎南三陸キラキラ春つげ丼(宮城・南三陸町)/GWからウニも満載【南三陸町観光協会0226(47)2550】昨年2月に復活した南三陸キラキラ丼の4月からのメニュー。ヒラメやマグロ,タコなど旬の魚介類やメカブ,甘みがある南三陸春告げ野菜を使い,各店で特徴を出している。大型連休からは地元のウニが満載の「うに丼」が始まる。町飲食店組合組合長のAさん(54)は『農漁業と一緒に丼で町を再興させたい』。南三陸さんさん商店街(5店)のほか,南三陸町と気仙沼市本吉町の10店で提供。」ス2013年4月26日付け「東京読売新聞」(朝刊31頁)(乙46)「新鮮うに丼ツアー客はキラキラ=宮城」(見出し)「南三陸町内で27日から販売が始まる『南三陸キラキラうに丼』のお披露目会が25日,同町志津川の仮設商店街『南三陸さんさん商店街』で行われた。
・・・町飲食店組合の加盟店は,季節の変わり目ごとに年4回,町特産の海産物を使った『キラキラ丼』を提供しており,8月末まではうに丼の期間。このうち7店が,それぞれ工夫を凝らしたうに丼をふるまった。」セ2013年5月19日付け「朝日新聞」(朝刊21頁)(乙48。なお,2013年5月18日付け「朝日新聞」(夕刊10頁)(乙47)も同内容)「南三陸の仮設商店街,東京出店大正大が運営協力被災地への思い刻む/宮城県」(見出し)「さんさん商店街は昨年2月,同町志津川地区の津波浸水地にできた。プレハブ造りの30店舗が並ぶ。旬の魚介類を載せた『南三陸キラキラ丼』が,被災地を訪れた人に人気だ。」(2)テレビ放送 ア平成24年5月25日放送のテレビ朝日「スーパーJチャンネル」(乙80)Aが,震災前に提供していた「南三陸キラキラ丼」を復活させ,「春の南三陸キラキラ丼」などを出していたなどの内容。
イ平成25年2月18日放送のTBS「みのもんたの朝ズバッ!」(乙80)南三陸さんさん商店街の客が激減したこと,「南三陸キラキラ丼」を発売していることなどの内容。
ウ平成25年6月19日放送の仙台放送「とうほく食文化応援団2013〜宮城に乾杯〜」(甲6,乙64)南三陸の名物グルメとして,「南三陸キラキラ丼」の中でも一番の人気を誇る「キラキラうに丼」を紹介する内容。
(3)雑誌等ア2012年7月号の「関東東北じゃらん」(株)リクルートホールディング(ス発行77頁)(乙10)「南三陸町では,地場産の旬食材を使用した丼を『キラキラ丼』と名付けて提供中」「仮設商店街『南三陸さんさん商店街』が2月25日にオープン。これと同時に,南三陸名物のキラキラ丼も待望の復活!」「飲食店や観光協会,漁協,農協などが一丸となり,極上のウニ丼をめざしました。」との記載があり,「南三陸キラキラうに丼が食べられるお店」として8店舗の飲食店が紹介されている。
イ2013年1月20日発行の週刊誌「サンデー毎日」(毎日新聞出版発行)(乙11)「南三陸といえば,四季折々の地の食材を使った『キラキラ丼』が名物。
『南三陸キラキラいくら丼』は11月から2月までの限定で各店が腕を競っており・・・」『キ「ラキラ丼』は季節ごとに春の『春つげ丼』,夏の『うに丼』,秋の『秋旨丼』もある」ウ「2013年冬・春」号の情報誌「YELLOH!仙台・宮城」(乙9)「南三陸キラキラ丼など復興支援の元気をご紹介」「復活!南三陸キラキラ丼・・・お問い合わせ/南三陸町観光協会」 エ2013年3月25日発行の「大人の休日倶楽部ミドル2013年4月号」(東日本旅客鉄道株式会社発行)(乙7)「センスの高さが示すのは商店街が抱く希望の純度-南三陸町・女川町」の見出しの下,丼の写真の説明として,「4_『K』の南三陸キラキラ春つげ丼・・・※5/1より南三陸キラキラうに丼に変更予定」オガイドブック(乙72の2,3)平成25年4月1日から同年6月30日まで,仙台・宮城デスティネーションキャンペーンが行われた(乙72の1)。
その総合ガイドブック(乙72の1)は,全国の主なJR駅等で100万部が配布されたが(乙73の4),その18頁に,他の地域のご当地グルメとともに,「南三陸キラキラ春つげ丼」及び「南三陸キラキラうに丼」が掲載され,南三陸町観光協会が問い合わせ先と記載されている。
三陸エリアガイドブック(乙72の3)は,JR東日本仙台支社管内の主な駅等で9万部配布されたが(乙73の4),その3頁に,他の地域の食事とともに,「南三陸キラキラ春つげ丼」及び「南三陸キラキラうに丼」が掲載され,「地域の連携が生み出した名物『南三陸キラキラ丼』「問合せ/南三陸町観光協会」などと説明さ」れている。また,8頁の南三陸さんさん商店街の紹介記事でも,「ここで忘れてはならないのが,お店ごとに個性を競う『南三陸キラキラ丼』」と記載されている。
カパンフレット平成24年11月に,「南三陸キラキラいくら丼」の提供店9店が掲載されたパンフレット(乙17)が,平成25年3月に,「南三陸キラキラ春つげ丼」の提供店10店が掲載されたパンフレット(乙14)同年5月に,が,「南三陸キラキラうに丼」の提供店11店が掲載されたパンフレット(乙15)が,いずれも問い合わせ先を南三陸町観光協会及び南三陸商工会(ただし,乙15を除く)として発行された。
別紙3(1)新聞記事ア2013年10月31日付け「東京読売新聞」(朝刊32頁)(乙49)「南三陸町の町飲食店組合(A組合長)は11月1日から,県内有数の生産量を誇る町特産のイクラをたっぷり使った『南三陸キラキラいくら丼』を,『L』など加盟する11店舗で販売を始める。四季折々の旬の海産物をのせた『キラキラ丼』シリーズの最新作で,来年2月末までの期間限定だ。キラキラ丼は2008年から,町内の飲食店で販売を始めた人気商品で,季節ごとにウニやイクラ,タコなどメーンの食材を変えている。震災で一時販売が途絶えたが,昨年2月に販売を再開した。・・・30日には,・・・『南三陸さんさん商店街』でお披露目会が行われ・・・」イ2014年3月10日付けの「中日新聞」(朝刊18頁)(乙50)(なお,同日付東京新聞朝刊12頁にも同内容の記事がある。乙81)「東日本大震災3年三つ星!復興商店街」の見出しの下,8つの商店街を紹介する記事の中で「南三陸さんさん商店街・・・飲食店や小売店など三十店余が集まる。このうち六店舗が提供しているのが『南三陸キラキラ丼』。夏はウニ,冬はイクラなどと,季節ごとに決まった地元の食材を使う丼だが,組み合わせて使う他の食材や,味付けは各店に任されており,食べ比べるのも楽しい。」ウ2014年3月12日付け「日刊工業新聞」(26頁)(乙51)「東日本大震災で壊滅した宮城県南三陸町で,小さな商店街がよみがえった。
『南三陸さんさん商店街』・・・大型連休時に約10万人以上を呼び込んだほどの集客力。
を誇る。
・・・商店街の目玉は四季折々の海産物。すし屋などの各店舗が腕を振るってつくる『南三陸キラキラ丼』は新名物になっている。
・・・週末になると,この丼を目当てに県内外から観光客が足を運ぶ。」エ2014年6月10日付け「朝日新聞」(朝刊26頁)(乙52)「(味自慢)タコカレー宮城・南三陸町被災地の特産,『多幸』の願い/東北・ 共通」(見出し)「『タコカレー』が,宮城県南三陸町で静かな人気を呼んでいる。志津川地区の仮設商店街『さんさん商店街』で和食料理店『L』を営むAさん(55)が考案。名物『南三陸キラキラ丼』に並ぶ定番メニューにしようと,昨年春,岩手県大船渡市であった復興グルメのイベントに出品したのがきっかけだ。」オ2014年9月5日付け「東京読売新聞」(朝刊28頁)(乙53)「食欲の秋最新キラキラ丼来月末まで販売南三陸と気仙沼=宮城」(見出し)「南三陸町の町飲食店組合は,カツオやイクラ,ホタテなど旬の海の幸をたっぷり盛りつけた『南三陸キラキラ秋旨丼』の販売を始めた。南三陸町と気仙沼市の計9店舗で,10月末までの期間限定だ。四季折々の季節の海産物を使った『キラキラ丼』シリーズの最新作で,価格は税込み2000円前後。」カ2014年9月15日付け「FujiSankeiBusinessi.」(13頁)(乙54)「かつて漁業で栄えた宮城県南三陸町は,東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた。・・・お盆のまっただ中,その一角にある仮設商店街『南三陸さんさん商店街』の駐車場は多くの県外ナンバーを含め,100台以上の車で埋め尽くされていた。
・・・午後1時になっても地元産の魚介類をふんだんに乗せた名物『南三陸キラキラ丼』を提供する飲食店には行列が絶えなかった。夫としゅうとめと3人でさいたま市から来たという会社員,Bさん(56)。栗駒高原に行く途中,車でわざわざ1時間も掛けて寄り道した。
『うに丼が食べたくて。夫が会社の同僚にここを勧められた』と話す。
・・・日本三景の一つ松島と,中尊寺など世界遺産がある岩手県平泉町の中間という地理的優位性もあり,観光ツアーのルートの一つになった。メディアの露出も多く新聞やテレビで見たという客も多い。」キ2014年10月11日付け「東京読売新聞」(朝刊32頁)(乙55)「■行ってみよう■◆南三陸キラキラ秋旨丼(あきうまどん)を販売宮城県南三陸町の町飲食店組合 加盟の9店では,戻りガツオやアワビ,アナゴなど秋が旬の素材をふんだんに盛りつけた『秋旨丼』(税込み2000円前後)を味わえる。・・・同町では,季節ごとに旬の海産物を盛りつけた丼を『南三陸キラキラ丼』として提供。夏はウニ丼,冬はイクラ丼が楽しめ,観光客の間で話題になっている。
・・・秋旨丼の提供店は観光協会ホームページ」ク2014年11月13日付け「東京読売新聞」(朝刊32頁)(乙56)「全国丼GP県内3点金賞『南三陸キラキラ丼』など=宮城」(見出し)「全国各地の優れた丼を表彰する『第1回全国丼グランプリ』で,県内から『南三陸キラキラ丼』(南三陸町)など3点が最高賞の金賞に輝いた。大会は,丼の愛好家でつくる一般社団法人・全国丼連盟(東京都)が主催した。『牛丼』『海鮮丼』など11部門に計1347点の応募があり,連盟員約1500人のインターネット投票で金賞を決めた。
『ご当地丼部門』には129点の応募があり,県内の『南三陸キラキラ丼』『とよま油麩と(あぶらふ)(登米市)丼』を含む10点が金賞を受賞した。
キラキラ丼は旬の海産物を・・・」ケ2014年11月28日付け「河北新報」(朝刊)(乙57)「食料自給率向上につながる活動を表彰する『フード・アクション・ニッポンアワード2014』で,宮城県南三陸町の飲食店が提供する『南三陸キラキラ丼』が審査委員特別賞を受けた。GおかみのDさん(52)は『南三陸の食の素晴らしさを全国にアピールできた』と喜ぶ。キラキラ丼は旬の食材を使い,季節ごとに装いを変える。」コ2014年12月3日付け「電気新聞」(5頁)(乙58)「宮城・南三陸町の海鮮丼『キラキラ丼』,11月から『いくら丼』に」(見出し)「南三陸町観光協会がPRする海鮮丼『南三陸キラキラ丼』季節ごとに旬の食材を。
盛り込む豪華な丼で,冬季の11月からは『いくら丼』が始まった。同町志津川地区にある,2012年オープンの仮設商店街『南三陸さんさん商店街』でも『キラキラ丼』を出す店は多い。
・・・今年6月に発足した一般社団法人の全国丼連盟が主 催した『第1回全国丼グランプリ』で,『南三陸キラキラ丼』はご当地丼部門で金賞を受賞した。南三陸町観光協会はこれを記念して,ピンバッジをプレゼントするキャンペーンを年末まで行っている。ちなみに,他の季節は『春つげ丼』(3〜4月),『うに丼』(5〜8月)『秋旨丼』,(9〜10月)『いくら丼』は翌年2月まで楽し。
める。」サ2014年12月20日付け「東京読売新聞」(朝刊32頁)(乙59)「宮城どんぶり同盟ご当地丼をPR=宮城」(見出し),「県内のご当地丼を盛り上げようと,登米市の『とよま油麩(あぶらふ)丼の会』と,南三陸キラキラ丼を提供する南三陸町飲食店組合が19日,宮城どんぶり同盟』『を結成した。・・・油麩丼とキラキラ丼が,ご当地丼部門でともに金賞に輝いた・・」・(2)テレビ放送ア平成25年9月11日放送のTBS「Nスタ」(乙80)宮城・南三陸町の復興商店街を特集し,「南三陸キラキラ秋旨丼」を試食した上,「南三陸キラキラ丼」は,11店舗が年に4種類の丼を提供しているなどを紹介する内容。
イ平成26年3月8日放送の日本テレビ「ウェークアップ!ぷらす」(乙80)南三陸さんさん商店街を訪れ,「南三陸キラキラ丼」などを売りに賑わいを見せていること等を紹介する内容。
ウ平成27年7月12日放送のTBS「中村雅俊が行く伊達な海道探訪〜みやぎでのふれあいを求めて〜」(乙80)さんさん商店街で「うに丼(南三陸キラキラ丼)」を堪能したなどの内容。
(3)雑誌等アじゃらん東北2013-2014完全保存版」(株)リクルートホールディ(ングス発行)(乙61)「G」の広告頁中に,「四季折々の味覚が詰まった南三陸キラキラ丼シリーズ」として,「南三陸キラキラいくら丼」「南三陸キラキラ春つげ丼」「南三陸キラキラ秋旨,, 丼」及び「南三陸キラキラうに丼」が紹介されている。
また,宮城県沿岸部の紹介頁(116頁)に,「南三陸町Gレストランシーサイド・海フードBBQ南三陸町の旬の食材を使った『南三陸キラキラ丼』は春夏秋冬の時期に合わせて登場する。」との記載があり,「キラキラいくら丼」「キラキ,ラ春つげ丼」「秋旨丼」及び「キラキラうに丼」が紹介されている。
,イパンフレット平成25年9月に,「南三陸キラキラ秋旨丼」の提供店11店が掲載されたパンフレット(乙16)が,同年11月に,「南三陸キラキラいくら丼」の提供店11店が掲載されたパンフレット(乙19)が,平成26年3月に,「南三陸キラキラ春つげ丼」の提供店11店が掲載されたパンフレット(乙20)が,いずれも問い合わせ先を南三陸町観光協会及び南三陸商工会として発行された。
ウ2014年4月1日発行の「るるぶ仙台松島宮城’15」(JTBパブリッシング発行95頁)(乙62)「南三陸」の見出しの下,「旬の魚介を使った南三陸キラキラ丼は人気グルメのひとつ。」と記載され,「南三陸キラキラうに丼」が紹介されている。
エガイドブック(乙73の2,3)平成26年4月1日から6月30日まで,仙台・宮城デスティネーションキャンペーンが行われた(乙73の1)。
その総合ガイドブック(乙73の2)の12頁に,「南三陸キラキラ春つげ丼」が掲載され,南三陸町観光協会が問い合わせ先と記載されている。
三陸エリアガイドブック(乙73の3)の3頁に,「南三陸キラキラ春つげ丼」及び「南三陸キラキラうに丼」が掲載され,「季節毎に4種の丼が展開される南三陸キラキラ丼」「問合せ/南三陸町観光協会」などの記載がある。また,11頁の南三陸町の紹介記事でも,写真とともに「南三陸キラキラうに丼」「キラキラ丼のサマーバージョンは,うに丼!」との記載がある。
オガイドブック(乙74の2,3) 平成27年7月1日から9月30日まで,仙台・宮城デスティネーションキャンペーンが行われた(乙74の1)。
その総合ガイドブック(乙74の2)の2頁に,「仙台・宮城の常識!!」との標題の下,「南三陸キラキラ丼ってなに?!南三陸町では,震災後町内の飲食店で『南三陸キラキラ丼』を販売」との記載が,6頁に,「南三陸キラキラ丼」「南三陸キラキラ春つげ丼,南三陸キラキラうに丼など,四季ごとに旬の味覚が堪能できます。・・・問/(一社)南三陸町観光協会」との記載が,18頁のおすすめ旅コースの一つとして「『南三陸キラキラ丼』に舌鼓」との記載がある。
みやぎ三陸エリアガイドブック(乙74の3)の5頁に,写真の説明として,「南三陸キラキラ丼」との記載がある。
カガイドブック(乙75の2,3)平成28年7月1日から9月30日まで,仙台・宮城デスティネーションキャンペーンが行われた(乙75の1)。
その総合ガイドブック(乙75の2)の8頁に,「南三陸キラキラ丼」「問/(一社)南三陸町観光協会」との記載がある。
みやぎ三陸エリアガイドブック(乙75の3)の3頁に,写真とともに,「南三陸キラキラ丼」との記載がある。
裁判長裁判官 清水節
裁判官 中島基至
裁判官 石神有吾