関連審決 | 取消2015-670032 |
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事件 |
平成
28年
(行ケ)
10230号
審決取消請求事件
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原告 ミュニックソシエダ リミターダ 同訴訟代理人弁護士 小林幸夫 河部康弘 藤沼光太 同訴訟代理人弁理士 江崎光史 佐久間洋子 田崎恵美子 被告株式会社コマリヨー 同訴訟代理人弁理士 齋藤晴男 齋藤貴広 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2017/09/14 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30-1-日と定める。 |
事実及び理由 | |
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請求
特許庁が取消2015-670032号事件について平成28年7月4日にした審決を取り消す。 |
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事案の概要
本件は,商標登録取消審判請求に基づいて商標登録を取り消した審決の取消訴訟である。争点は,登録商標の使用の有無である。 1 本件商標 原告は,下記の商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲2,3)。 @ 国際登録番号 第836836号 A 国際登録の年月日 2004年(平成16年)6月22日 B 事後指定の年月日 2004年(平成16年)12月13日 C 査定年月日 平成18年1月24日 D 登録年月日 平成18年7月21日 E 基礎登録国又は機関 ES(スペイン) F 基礎登録番号 1658215,1658216,1658217 G 基礎登録日 平成4年6月5日 H 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務Class 18 Leather and imitation leather, goodsmade of these materials (not includedin other classes) skins, hides ; and pelts; trunks and travelling bags; handbags; bags; purses; wallets; pocket wallets and coin holders; umbrellas, parasols and walking sticks; whips, harnesses and saddlery. Class 25 Socks and stockings; ready-made clothing for women, men and children; boots, shoes and slippers; particularly ready-made clothing and shoes for sports. Class 28 Games and playthings, toys; balls; articles for gymnastics and sports.(商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務の訳〔参考〕)第18類 皮革及び擬革,前述の材料製の製品(他の類に属するものを除く。,獣皮,トラ )ンク及び旅行用バッグ,ハンドバッグ,かばん,財布,札入れ及びコインホルダー,傘,日傘及びつえ,むち,動物用引き革及び馬具類第25類 靴下,女性用・男性用及び子供用の既製被服,ブーツ,靴及び運動用特殊靴並びにスリッパ,特にスポーツ用の既製被服並びに靴及び運動用特殊靴第28類 ゲーム用品及びおもちゃ,おもちゃ,ボール,体操用具及び運動用具 2 特許庁における手続の経緯 被告は,平成27年11月18日,特許庁に対し,商標法50条に基づき,本件商標の指定商品中,第25類「boots, shoes and slippers; particularly ready-madeshoes for sports」について,その登録を取り消すことを求めて審判を請求した(取消2015-670032号。甲1。以下「本件審判請求」という。。 ) 平成27年11月26日,本件審判請求につき, 「一部取消し審判の予告登録」がされた(甲3)。 特許庁は,平成28年7月4日,「国際登録第836836号商標の指定商品中,第25類「boots, shoes and slippers; particularly ready-made shoes for sports」については,その登録は取り消す。」との審決をし,その謄本は,平成28年7月6日以降に原告に送達された。 3 本件審決の理由の要旨 商標法50条による商標登録の取消審判の請求があったときは,同条2項の規定により,被請求人において,その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し,又は使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り,その登録の取消しを免れない。 被請求人(原告)は,本件審判請求に対し,答弁していない。 したがって,本件商標登録は,商標法50条の規定により,指定商品中,第25類「boots, shoes and slippers; particularly ready-made shoes for sports」についての登録を取り消すべきものである。 |
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原告主張の審決取消事由(通常使用権者による本件商標の使用)
1 西田通商株式会社(以下「西田通商」という。)によるスニーカーの輸入,譲渡,広告 (1) 西田通商は,アルファベットの「X」状のマークを付したスニーカー(「MASSANA」モデル, 「OSAKA」モデル等。以下「原告各製品」という。)を,輸入し,平成26年2月3日から平成27年5月4日にかけて,原告各製品を,日本国内において,販売して譲渡し,その広告を行った(甲4の1・2,甲5,甲6〜10の各1〜3)。 (2) スニーカーは,「shoes」「particularly ready-made shoes for sports」 ,に該当する。 (3)ア 本件商標は,スニーカーの外形を破線で表現した部分と,2本の線の交差点から見て左下側が長くなっているアルファベットの「X」状の部分から構成されている。 部分意匠を登録するに際しては,意匠登録を受けようとする部分を実線で描き,その他の部分を破線で描く等により意匠登録を受けようとする部分を特定することとされており,位置商標を登録するに際しても,破線によって商標を構成する要素ではない商品の形状の一例を示すことが行われているのであって,このような破線についての理解からすると,本件商標と原告各製品が社会通念上同一と認められるかの判断に当たって重要なのは,スニーカーのどの位置に,2本の線の交差点から見て左下側が長くなっているアルファベットの「X」状の部分が付されているかであって,破線で記載されているスニーカー自体の細かな形状が異なっていたとしても,両者は社会通念上同一であるというべきである。 原告各製品のうち,特に,次の画像の「OSAKA」モデルは,スニーカー自体の形状もほぼ同じである上,スニーカーの小指側に,スニーカーの2本の線の交差点から見て左下側が長くなっているアルファベットの「X」状の部分が付されている点で,本件商標と共通する。 したがって, 「OSAKA」モデルの輸入,譲渡及び広告行為は,本件商標と社会通念上同一の商標の使用に当たる。 (甲4の1の反転画像。なお, 「OSAKA」モデルの靴は左右の足で対称なデザインとなっている。) イ(ア) 本件商標は,スペインでの登録商標3件を基礎登録商標として,標章の国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッドで採択された議定書2条(1)に規定する国際登録の出願(以下「国際出願」という。)がされ,日本を指定国の一つとして登録された商標である。 スペイン特許商標庁が発行した登録第2999664号に係る商標に関する証明書(甲18の1)には, 「スポーツシューズの側面に位置するエックス形十字の表象で構成されるデザインからなる」との記載があり,この商標は,前記基礎登録商標3件が一つの商標に統合されたものであるから,前記基礎登録商標と同視でき,前記基礎登録商標は,運動靴の側面の特定の部分に付された十字の表現による図形からなる商標であって,破線部分を含まない位置商標であると解すべきである。 標章の国際登録に関するマドリッド協定及び同協定の議定書に基づく共通規則(甲19)において,国際出願によって出願する標章が位置商標である旨記載することは要件となっておらず,標章の記述」 「 の欄に説明文を記載するか否かは任意であり,指定国での登録に際し,登録される商標の内容が「標章の記述」に拘束されるわけではないから,国際出願により指定された国で登録された商標の内容は, 「標章の記述」の記載の有無にかかわらず,基礎登録商標の内容を考慮して解釈されるべきである。 原告は,前記基礎登録商標を基に,国際出願をしたが,欧州共同体商標意匠庁においては,本件商標を定義するのは,図的表現,つまり,標準的なスポーツ靴の甲の側面に付けられた十字型の二本の黒線であるとして,この十字型とほぼ同じパターンの十字型を指定商品の甲の側面に表示していれば,本件標章を使用したことになると判断している。また,指定国のうち,アメリカ合衆国,イスラエル,ノルウェー,シンガポールにおいては,本件商標の構成を,破線は含まないX図形からなる商標と捉えている。 原告は,本件商標が位置商標として登録されたものではないことを争わないが,各国の本件商標の統一的解釈の必要性から,本件商標と原告各製品に付された標章が社会通念上同一であるか否かの判断においても,本件商標と同様の位置にX図形が付されている場合には,当該標章の使用は,本件商標と社会通念上同一の商標を使用したと認められるべきである。 したがって, 「OSAKA」モデルにおいて,本件商標とほぼ同一の位置に共通するX図形が付されている以上,本件商標と原告各製品に付された標章は,社会通念上同一であり,前記(1)の原告各製品の輸入,譲渡及び広告行為は,本件商標の使用に当たる。 (イ) パリ条約6条1項及び3項は,商標の登録出願及び登録要件を各国で定めることとし,これにより登録された商標について,他の国の登録商標とは独立したものとすることを定めているにすぎず,国際出願により各国で登録された商標の解釈において統一的に解釈する必要がないことまでを規定するものではない。 ウ(ア) 商標法上の保護は,商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であるところ,商標法50条所定の登録商標の不使用取消審判制度の趣旨は,一定期間登録商標の使用をしない場合には,そのような信用が発生しないか,又は消滅してその保護すべき対象がなくなること及び不使用に係る登録商標に対して排他的独占的な権利を与えておく理由はなく,かつ,その存在により商標使用を希望する第三者の商標選択の余地を狭めることから,そのような商標登録を取り消すことにある。 本件商標は,位置商標ではないが,基礎登録商標と内容を同じくする商標であるから,統一的解釈の必要性から,商標に対する信頼が発生する場合は,基礎登録商標と同一であるというべきである。 原告は,スニーカーの側面に「X」型十字の標章を付して使用しているから,原告による使用により,本件商標に対し,信用が発生している。 したがって,商標法50条の趣旨から,本件商標は取り消されるべきではない。 (イ) 被告が後記第4の1(2)アで主張する経過規定は,出願についてのみ規律したものであり,商標法50条における「社会通念上同一と認められる商標」の判断における登録商標の「解釈」を制限するものではない。 商標に対する信用を生じさせる主体は,需要者であり,審査官が本件商標をどのように捉えていたかは,信用の発生とは無関係である。 2 西田通商が通常使用権者であること Berneda S.A は,原告の製品を商業化する事業を行っており,原告製品に使用されている商標を広告等において使用する必要があることから,本件商標の使用の許諾(第三者に対する使用権の再許諾も含む。)を受けている。 西田通商は,原告の日本国内での総代理店であり,販売に当たって,製品を広告する必要があるため,本件商標の通常使用権者である Berneda S.A から,平成26年2月3日から平成27年5月4日までの間,本件商標の使用権の再許諾を受けているので,本件商標の通常使用権者である。 3 まとめ 以上のとおり,原告は,日本において,予告登録(平成27年11月26日)前3年以内に,本件商標を使用しており,審決は違法として取り消されるべきである。 |
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被告の主張
1 西田通商によるスニーカーの輸入,譲渡,広告について (1) 本件商標は,運動靴と思しき形状の靴と靴ひもとを破線で表し,その中央部に,左右非対称の「X」のような図柄を配して成る図形商標であって,その破線表示部と「X」のような図柄とが不可分一体となったものであり,その破線表示部と「X」のような図柄とが分離されて把握されるべきものではない。 本件商標の使用というためには,左右非対称の「X」の図柄と靴及び靴ひもの破線表示が,商品である靴類やその取引書類等に明確に視認できる態様で表示されている必要があるが,甲4〜10及び12の写真に示されるスニーカーには,前記破線表示を含む態様での表示を確認することができない。 したがって,甲4〜10及び12の写真に写っている靴をもって,本件商標と社会通念上同一の商標を履物について使用していることの証明にはならない。 (2)ア 位置商標は,平成26年特許法等の一部改正法(平成27年4月1日施行)により,登録が認められることとなったものである。上記改正法の附則5条15項には,国際出願に関する経過措置として,この法律の施行前にした日本国を指定する領域指定については,なお従前の例による旨規定されており,本件商標は,前記法改正以前に登録されたものであるから,位置商標の概念が認められていなかった従前の実務に従って解釈すべきものであり,本件商標を位置商標として解釈することは許されない。 イ 基礎登録商標が位置商標であったとしても,本件登録は位置商標ではないので,両者を同一に評価することはできない。 パリ条約6条1項において, 「商標の登録出願及び登録の条件は,各同盟国において国内法令で定める」と,同条3項において, 「いずれかの同盟国において正規に登録された商標は,他の同盟国(本国を含む。)において登録された商標から独立したものとする。 と規定されているところからして, 」 その解釈は必ずしも統一される必要はない。 ウ 登録商標の範囲は,願書に記載した商標に基づいて定めなければならないとされており(商標法27条) 商標法50条の関係において行われる登録商標が ,使用されているか否かの判断は,願書に記載され,また,審査を経て登録された商標が使用されているかどうかの判断でなければならない。そして,社会通念上同一といえるか否かの判断も,その登録商標と実際に使用している商標とが社会通念上同一といえるか否かの判断でなければならない。 点線により表現された靴の輪郭内にX字形部分を含む図形商標と,その輪郭を含まない単なるX字形部分とが,社会通念上同一とは言い得ない。 本件商標登録については,平成18年2月9日に日本国特許庁の保護認容声明(日本において審査した結果された,拒絶理由がないとの宣言)がされているが,この保護認容声明は,審査基準日が,事後指定日である平成16年12月13日であるから,審査対象は点線により表現された靴の輪郭を含む図形商標であるはずであり,その輪郭中に存するX字形部分のみが審査対象となっていたわけではない。 2 西田通商が通常使用権者であることについて 西田通商が,本件商標の通常使用権者であることについて,疑義がある。 西田通商を原告の日本総代理店とするに際し,契約書の取り交わしがされていないのは不自然である。このようなことは,国際的商取引上あり得ない。 |
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当裁判所の判断
1 後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。 (1) 本件商標は,前記第2の1のとおりであり,前記第2の2のとおり,平成27年11月26日,本件審判請求につき,「一部取消し審判の予告登録」がされた。 (2) 本件商標の基礎登録は,スペイン国の商標第1658215号,同第1658216号,同第1658217号の3件の商標登録であり,これらについては,2011年(平成23年)10月5日を決定日とする,融合を理由とする更新審査がされ,スペイン国商標第2999664号として,10年の期間で更新され,2021年(平成33年)9月27日まで商標期間を延長されており,その延長を認める旨のスペイン特許商標庁の証明書には, スポーツシューズの側面に位置するエ 「ックス型十字の標章で構成されるデザインからなる種類の,商標第1658215号,商標第1658216号および商標第1658217号の融合を理由とする更新審査」との記載がある(甲18の1・2)。 (3) 西田通商は,平成26年2月3日頃から平成27年5月3日頃までの間において,日本国内で,次の画像の外観を有するスニーカーを含む,両足の内側と外側の側面に交差点から下が上より長いX字状の標章が付されたスニーカー(原告各製品)を販売していた。これらのスニーカーには,次の画像のように,X字状の標章の下端部がすべて靴底のゴム様の部分に接しているものもあれば,上記下端部が靴底のゴム様の部分に接していないものもあったが,靴底のゴム様の部分の下端である靴の接地面にX字状の標章の下端部が接しているものはなかった。X字状の標章は,2本のリボン状の部材を交差させて重ねて縫い付けることにより付されており,その2本のリボン状の部材の長い端は,いずれも,ピンキング(細かいギザギザ状にカットすること)されており,その2本のリボン状の部材が同色のこともあれば,別の色のこともあった。また,靴ひもを通す穴の数は,次の画像のように縦に六つであるもののほか,それより少ないものや多いものがあった。 (甲4の1・2,甲5,甲6〜10の各1〜3,甲12,13,16,17)。 (甲4の1の画像の反転画像) 2 上記1の認定事実及び弁論の全趣旨によると,本件審判請求登録前3年以内である平成26年2月3日頃から平成27年5月3日頃までの間に,日本国内において,西田通商によって,原告各製品が販売されていたことが認められるところ,販売されていたと認められる原告各製品が,商品に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものに該当しなければ,西田通商が本件商標の通常使用権者であるかを論ずるまでもなく,原告が「その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において・・・通常使用権者・・・がその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていること」(商標法50条2項)を証明したとはいえないから,まず,この点につき,検討する。 (1) 本件商標は,次の図のとおりであって,点線部分は,全体として,スニーカー様の靴に見え,当該靴は,靴ひも様のものが足の甲の上部外側の部分において7列設けられ,当該靴の側面には,黒い実線で囲まれて同色で塗りつぶされた交差点より下が上より長いX字状の部分があり,その上端部は,当該靴ひも様のものが設けられた部分に接し,その下端部は,当該靴の底面に接する図形である。 (2) 本件商標は,前記第2の1のとおり,平成16年6月22日に国際登録がされ,同年12月13日に日本国が事後指定がされたもの(同日に商標登録出願がされたものとみなされる[商標法68条の9第1項])であって,平成18年1月24日に登録査定がされ,同年7月21日に登録されたものである。 平成26年法律第36号による商標法の一部改正(平成27年4月1日施行)によって,位置商標について,その出願の手続が定められた(商標法5条2項5号,同条4項,5項,商標法施行規則4条の6〜8)が,それより前には,我が国において,位置商標の出願についての規定はなく,本件商標についても,位置商標ではなく,通常の平面図形の商標であると解するほかない(本件商標が位置商標ではないことは,原告も認めている。)。 そうすると,本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているというためには,黒い実線で囲まれたX字状の部分のみならず,靴の形状をした点線部分も,平面図形の商標として使用されていなければ,本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているということはできない。 原告各製品には,X字状の標章が付されているものの,靴の形状をした点線部分の標章が平面図形の商標として使用されているということはできないから,本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているとは認められない。 (3) この点について,原告は,原告各製品には,X字状の標章が付されている上,スニーカー自体の形状もほぼ同じであると主張するが,スニーカー自体の形状がどうであれ,平面図形の商標として点線部分の標章が使用されているということはできないから,原告の主張を採用することはできない。 また,原告は,本件商標の基礎登録商標に基づく主張や欧州共同体商標意匠庁など各国における本件商標についての判断に基づく主張をするが,商標の出願及び登録の要件は各国において定められるべきものである(パリ条約6条1項及び3項)から,他国における本件商標についての判断と同じ判断をしなければならない理由はないし,本件商標の基礎登録商標に関する前記1(2)の事実は,スペイン国の商標についてのものであって,直ちに我が国の商標について判断を左右するものではない。 さらに,原告は,商標法50条の趣旨から本件商標は取り消されるべきではないと主張するが,商標法50条の趣旨が原告主張のとおりであるとしても,本件商標と社会通念上同一の商標の使用が認められない以上,本件商標は取消しを免れないのであって,商標法50条の趣旨によって左右されるものではない。 |
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結論
以上のとおり,日本国内において販売されたと認められる原告各製品は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものとはいえないから,原告は,本件商標の通常使用権者が商標法50条2項本文の登録商標の使用をしていることの証明をしたとはいえない。同項所定の他の要件に該当する事実があったことの主張はない。 そうすると,審決の結論に誤りは認められず,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 森義之 |
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裁判官 | 佐藤達文 |
裁判官 | 森岡礼子 |