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事件 |
平成
29年
(ワ)
39594号
商標権侵害差止等請求事件
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5原告株式会社SHOEI 同訴訟代理人弁護士 伊藤真 平井佑希 丸田憲和 被告A 10 主文 1 被告は,別紙被告商品目録記載の商品を製造し,譲渡し,引き渡 し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し又は輸入してはな らない。 2 被告は,その占有に係る前項の商品を廃棄せよ。 15 3 被告は,原告に対し,10万円及びこれに対する平成29年12 月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求を棄却する。 5 訴訟費用はこれを3分し,その1を被告の,その余を原告の各負 担とする。 20 6 この判決は,第1項及び第3項に限り,仮に執行することができ る。 事実及び理由 第1 請求 1 第1項及び第2項につき,主文同旨 25 2 被告は,原告に対し,50万円及びこれに対する平成29年12月20日か 1ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,別紙原告商標目録記載の商標に係る商標権を有する原告が,被告に 対し,被告が同商標に係る登録防護標章を付した別紙被告商品目録記載の各商 5 品(以下,併せて「被告各商品」という。)を譲渡等することにより原告の商 標権を侵害したと主張して,商標法67条1号及び2号並びに36条1項及び 2項に基づき被告各商品の譲渡等の禁止を求めるとともにその廃棄を求め,併 せて,商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求として弁護士費用相当額5 0万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成29年12月20日(訴 10 状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害 金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実) 原告は,別紙原告商標目録記載の商標につき,次のとおりの商標権(以下「 本件商標権」といい,その商標を「本件商標」という。甲4の1,甲5)を有 15 しており,同商標権に係る防護標章登録(以下「本件防護標章登録」といい, 同登録に係る防護標章を「本件登録防護標章」という。甲4の2,甲5)を受 けている。 【本件商標権】 商標の構成:別紙原告商標目録記載のとおり 20 登録番号:第1780508号 出願日:昭和57年10月9日 設定登録日:昭和60年6月25日 指定商品 登録時:第24類「球技用ヘルメット,その他本類に属する商品」 25 書換登録時(平成19年3月14日):第9類「運動用保護ヘルメット, ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き 2板,レギュレーター」及び第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊 靴(乗馬靴を除く。),乗馬靴」 【本件防護標章登録】 登録番号:第1号 5 出願日:平成1年3月17日 設定登録日:平成9年8月15日 指定商品 登録時:第25類「ラベル,レッテル,シール,ステッカー」 書換登録時(平成20年7月23日):第16類「ラベル(布製のものを 10 除く),レッテル(布製のものを除く),シール,ステッカー」及 び第24類「布製ラベル,布製レッテル」 第3 当事者の主張 1 原告 (1) 原告は,本件商標権を有し,本件防護標章登録を受けているところ,被告 15 は,平成29年6月19日,インターネットオークションサービスである「ヤ フオク!」において,被告各商品合計4枚(その内訳は,別紙被告商品目録 記載1の商品が2枚,同記載2の商品及び同記載3の商品が各1枚)を出品 し,同月21日,これを落札した原告従業員に対して売り渡した。被告各商 品は,本件登録防護標章の付された模造品であり,同各商品はその指定商品 20 であるステッカーに当たる。被告の上記行為は,商標法67条1号及び2号 に該当し,本件商標権を侵害するものである。 (2) 原告は,被告の上記侵害行為により,弁護士に委任し本件訴訟を提起及び 追行することを余儀なくされた。被告の侵害行為と相当因果関係のある弁護 士費用は50万円を下らない。 25 (3) よって,原告は,被告に対し,商標法36条1項及び2項に基づき商標権 侵害行為の差止め及び被告各商品の廃棄を求めるとともに,本件商標権の侵 3害に基づく損害賠償請求として弁護士費用相当額50万円及びこれに対する 不法行為の後の日である平成29年12月20日(訴状送達の日の翌日)か ら支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める。 2 被告 5 (1)原告の主張に対する認否 ア 上記1(1)については,取引の詳細は定かではないが,被告は,平成29 年5月以降,ネット通販サイトから被告各商品と同様のステッカーを合計 20枚程度購入し,同年5月から9月にかけて,「ヤフオク!」を通じて 同ステッカーを販売した。取引当時,市場には原告のステッカーの模造品 10 が出回っていたが,被告は,購入したステッカーが真正品であるのか模造 品であるのかという点は気にしていなかった。 被告各商品に付された標章が本件登録防護標章であるという認識まで はなかったが,原告が商標権を有していることは認識していた。 イ 上記1(2)は,否認又は争う。 15 (2) 被告の主張 ア 被告は,被告各商品を「ヤフオク!」で販売する行為が本件商標権の侵 害に当たるとは認識しておらず,またそのことについて過失もなかった。 イ 現在,原告のステッカーの模造品が市場に出回っている状況にあり,こ れらの模造品を大量に扱うカーショップ等の小売店を相手に訴えるなら 20 まだしも,被告のような個人で少量を販売している者を相手に訴えるのは 権利の濫用である。 第4 当裁判所の判断 1 商標権侵害の有無について (1) 証拠(甲2の1,甲5〜8,乙1の4,2の1)によれば,被告は,本件登 25 録防護標章と同一の標章が付され,本件防護標章登録の指定商品に該当する ステッカーである被告各商品をネット通販サイトから入手した上で,平成2 49年6月19日,「ヤフオク!」に,被告各商品合計4枚が一枚の台紙に付 されたものを1800円で出品し,同月21日,これを落札した原告従業員 に対して売り渡したとの事実が認められる。被告の上記行為は,商標法67 条1号及び2号に該当し,本件商標権を侵害する。 5 (2)本件事案の概要,被告によるステッカーの販売枚数,価格(被告各商品4 枚が1枚の台紙に付されたものが1800円),態様など本件に現れた全て の事情を総合すると,本件の被告による商標権侵害行為と相当因果関係のあ る弁護士費用は10万円と認めるのが相当である。 2 過失の有無について 10 被告は,被告各商品の譲渡が本件商標権を侵害することについて過失がなか ったと主張する。しかし,証拠(甲6,9の1,乙2の6)及び弁論の全趣旨 によれば,被告各商品はいわゆる真正品,すなわち,本件商標権の権利者であ る原告又は原告から許諾を受けた第三者が製造したものではないと認められ るところ,被告は原告が商標権を有しているとの認識はあり,また,被告各商 15 品を購入した際,原告のステッカーの模造品が出回っていると認識していたと いうのであるから,通常の注意を払えば各商品が原告の商標権を侵害するもの であることを認識できたといえる。 したがって,被告の主張には理由がない。 3 権利の濫用の主張について 20 被告は,原告のステッカーの模造品が市場に出回っている状況の中で,被告 のような個人で少量を販売している者を相手に訴えるのは権利の濫用である と主張するが,被告の販売した商品の数が他の侵害者の販売数と比べて少量で あったとしても,原告が自らの権利を侵害するものに対して権利行使をするの は正当というべきであり,本訴の提起が権利濫用に当たるということはできな 25 い。 4 結論 5以上によれば,原告の請求は,被告に対し,被告各商品の譲渡等の差止及び 被告各商品の廃棄を求め,併せて弁護士費用相当額の損害金10万円及びこれ に対する不法行為の後の日である平成29年12月20日(訴状送達の日の翌 日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め 5 る限度で理由があるからこの限度で認容し,その余の請求には理由がないから これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 10 佐藤達文 裁判官 15 瀬孝 裁判官 勝又来未子 20 6(別紙) 原告商標目録 7(別紙) 被告商品目録 1 2 3 8 |
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裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2018/02/28 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
事実及び理由 | |
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全容
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