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関連審決 取消2016-300898
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事件 平成 30年 (行ケ) 10015号 審決取消請求事件

原告株式会社バンビーナ
同訴訟代理人弁理 士大槻聡
被告株式会社ツイン
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2018/06/13
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
特許庁が取消2016-300898号事件について平成30年1月5日にした審決を取り消す。
事案の概要
本件は,商標法50条1項に基づく商標登録取消審判請求を不成立とした審決の取消訴訟であり,争点は被告による商標使用の有無である。
1 本件商標 被告は,以下の商標(以下「本件商標」という。 の商標権者である ) (甲1,27)。
(1) 登録番号 第4575358号 (2) 出願日 平成13年9月3日 (3) 査定日 平成14年4月25日 (4) 登録日 平成14年6月7日 (5) 更新登録 平成23年12月20日 (6) 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務 第18類 傘 第24類 織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,織物製トイレ ットシートカバー 第27類 洗い場用マット 2 特許庁における手続の経緯 原告は,平成28年12月21日,商標法50条1項に基づき,本件商標の指定商品中, 「第24類ふきん」について,商標登録取消しの審決を求める審判の請求をし,平成29年1月12日,審判請求の登録がされた(甲28)。
特許庁は,上記請求を取消2016-300898号事件として審理した上,平成30年1月5日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同月15日,原告に送達された。
3 審決の理由の要点 (1) 被告は,株式会社ライフブリッジ(以下「ライフブリッジ社」という。)に,品番「TL-W20」及び品名「ウォッシャブル加工 ガーゼふきん」とする商品(以下「本件使用商品」という。)4500枚の製作並びに本件使用商品に「Bambina」の欧文字(以下「本件使用商標」という。)及び図形が記載された下げ札(以下「本件下げ札」という。)を付すよう依頼し,ライフブリッジ社は,同製作依頼に基づき本件使用商品を製作した上でそこに本件下げ札を付し,審判請求の登録前3年以内(以下「本件要証期間」という。)である平成28年4月15日に被告に納品した。したがって,被告は,本件要証期間内に本件使用商標を本件使 用商品に付したものと認められる。
また,被告は,本件要証期間内である平成28年5月7日に,本件下げ札を付した本件使用商品を「Stream Marketフレンドタウン深江橋店」(以下「本件店舗」という。)に引き渡した。
(2) 本件商標は,ややデザイン化した「Bambina」の欧文字からなるものであり,他方,本件使用商標は「Bambina」の欧文字を書してなるものである。そうすると,本件使用商標は,本件商標の書体にわずかな変更を加えた同一の文字からなる商標といえるから,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(3) 本件使用商品「ウォッシャブル加工ガーゼふきん」は,本件審判の請求に係る指定商品「ふきん」に含まれる。
(4) 以上からすると,被告は,本件要証期間内である平成28年4月15日に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品「ふきん」に含まれる本件使用商品について,本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付したと認められる。また,被告は,本件要証期間内である同年5月7日に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品「ふきん」に含まれる本件使用商品について,本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付して引き渡したと認められる。
そして,被告の上記各使用行為は,商標法2条3項1号の「商品に標章を付する行為」及び同項2号の「商品に標章を付したものを引き渡しする行為」にそれぞれ該当する。
(5) よって,本件商標の登録は,その指定商品中の第24類「ふきん」について,商標法50条により取り消すことはできない。
原告主張の審決取消事由
被告が第24類「ふきん」に含まれる本件使用商品について,本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したと認められるとした審決の認定判断には,以下のとおり誤りがあるから,審決は違法として取り消されるべきである。
1 審決は,デザイン仕様書(甲30),納品書(甲31),カラー指示書(甲3 2),メインTAG作成依頼書(甲33)及び証明書1(甲36)の各証拠に基づいて,被告が平成28年4月15日には,本件使用商標を本件使用商品に付したと認定している。
(1) しかし,@甲30〜34に記載された「TL-W20」という品番,A甲32に記載された「2A」「2B」「2C」というカラー品番,B甲30,32, , ,33に記載されたデザイン,サイズ及び素材の全てにおいて,本件使用商品と完全に一致する商品が,被告のオンラインショップ(甲2)において品名「タオル」として販売されている。一般に,多品種の商品が取り扱われる流通段階において商品は品番によって管理されており,同一の流通経路において品番が一致する商品は同一の商品であるというのが常識である。しかも,被告が「ガーゼふきん」であると主張する本件使用商品の製作に当たって品番及びカラー品番を指定したのは被告であり(甲30,32),甲2の「タオル」について品番及びカラー品番を表示しているのも同じ被告である(甲38) 以上のことから, 。 甲2の「タオル」は,被告が「ガーゼふきん」であると主張する本件使用商品と同じものであるとしか考えられない。
また,甲2の2頁には「発売日:2017/3/15」と記載されているから,本件使用商品は,平成29年3月15日に「タオル」として販売が開始されたことが分かり,そうすると,平成28年4月15日に納品された商品「ガーゼふきん」が,本件審判の予告登録日である平成29年1月12日を跨いで,審判事件答弁書(甲22)及び商品写真(甲29)が提出された同年3月3日から12日後の同月15日に発売されたことになる。
以上のとおり,甲2の「タオル」は,被告が「ガーゼふきん」であると主張する本件使用商品と同じものであり, 「ガーゼふきん」として製作したものが, 「タオル」として販売されていることは不自然である。また,この種の商品の製造販売において,納品日からオンラインショップでの発売までに1年近くが経過していることは極めて不自然である。しかも,発売日は,審判事件答弁書及び商品写真が提出されてから2週間足らず後であるにもかかわらず,その納品日は,約2か月前の本件審 判の予告登録日を跨いで,本件要証期間内であることも不自然である。
したがって,甲30〜33,36の信用性には重大な疑いがある。
(2) 甲3〜10から被告が取り扱う商品「タオル」の品番は,いずれも「TL」で始まることが分かる。一方,被告のウェブサイト及びオンラインショップを確認したところ,被告は多種多様な商品を取り扱っているが,被告が「ふきん」を取り扱っている事実は確認することができず,被告は「ふきん」を取り扱っていないと考えられる。これらの事実に照らすと,被告によって「TL-W20」という品番が付された本件使用商品が, 「ガーゼふきん」であることは不自然であり,当初から「タオル」であったと考えるのが自然である。
したがって,甲30〜33,36の信用性には重大な疑いがある。
(3) 被告は,本件店舗を運営する株式会社アシスト(以下「アシスト社」という。 に対し, ) 本件使用商品をライフブリッジ社からの仕入価格と同一の価格で販売しているところ(甲30,31,34,35) これは利益が全く確保されていない, ,通常の商取引では考えられない不自然なものといえる。
したがって,甲30〜33,36の信用性には重大な疑いがある。
2 審決は,商品写真(甲29),出荷伝票(甲34),請求書(甲35)及び証明書2(甲37)に基づいて,被告が平成28年5月7日に本件使用商標が付された本件使用商品を本件店舗に引き渡したと認定している。
(1) しかし,商品写真(甲29)には,平成29年2月4週目に入荷された新商品である「青色バッグ」 (甲11〜14)及び同月3週目に入荷された新商品である「縞柄ランチボックス」 (甲15,16)がそれぞれ写り込んでいて,同写真中にある本件使用商品は,同年3月15日に発売された「タオル」であると考えるのが自然である。
商品写真(甲29)の撮影日が,被告が主張するように,平成28年5月9日であるとすれば,写真撮影日と主張する日付から数えて約9か月後に入荷されたバッグ及びランチボックスと共に本件使用商品が撮影されていたことになり,矛盾が生 じる。
商品写真(甲29)は,平成29年3月3日付けで特許庁に提出されていることからすると,商品写真の撮影時期は,同年2月末又は3月初めであると推定される。
(2) 上記のとおり,商品写真(甲29)の撮影日は,平成29年2月末又は3月初めであると推定され,また,商品写真の本件使用商品は「タオル」であり,同月15日に発売されたものであると考えられる。したがって,証明書2(甲37)は,その信用性に重大な疑いがある。
また,被告とアシスト社は,住所及び代表者が同一であり,かつ,同一の屋号を用いてオンラインショップを運営して,同一の商品を取り扱っており,本件訴訟との関係では,実質的に同一の会社というべきである。このため,アシスト社の従業員2名による証明書2は,実質的には第三者による証明書であるとはいえない。
さらに,証明書2は, 「被請求人回答書の記載が正しいこと・・・を証明します。」と記載されている。証明書2は,署名捺印した上で回答書とともに特許庁に提出されたものであるから,アシスト社の従業員2名は,未だ提出されていない回答書について,その内容が正しいことを包括的に証明したことになる。特に,回答書には,ライフブリッジ社の納品担当者による証明書1への言及があり,アシスト社の従業員2名が知り得ないと考えられる事実が記載されているにもかかわらず,回答書の内容を包括的に証明しており,証明書2は,不自然であり,その信用性に疑いがある。
(3) 請求書(甲35)には,日付,発行者,明細が記載されているが,宛名が記載されていない。請求書は,代金の支払を求める書面であり,必ず宛名が記載される書面であって,宛名が記載されていない請求書は通常の商取引において存在し得ず,極めて不自然である。したがって,その信用性には重大な疑いがある。
(4) 甲7,17に記載された「タオル」「タオルハンカチ」は,品番,カラー品 ,番,価格からして,出荷伝票(甲34)に記載された品番「TL-H88」の商品と同一である。しかし, 「TL-H88」の品番の商品について,甲7には品名とし て, 「ハンカチタオル」と記載され,甲17には品名として「タオルハンカチ」と記載されているのに対し,出荷伝票では品名として「クロス」と記載され,品名が一致していない。したがって,出荷伝票の品名には明らかな誤りがあり,その信用性に疑いがある。
さらに,出荷伝票(甲34)に記載された品番「TL-F51」は,甲3,5の品番「TL-F××」との共通性から,「フェイスタオル」であると推測されるが,出荷伝票の品名として「ウォッシャブルF」と記載されている。そうすると,出荷伝票(甲34)には品番が「TL」で始まる三つの商品が記載されているが,そのうち,本件使用商品である「TL-W20」のみが商品「ふきん」であると分かるように記載されている一方,残りの「TL-H88」及び「TL-F51」は商品「タオル」であることが分からないように記載されており,不自然である。「TL」で始まる品番を有する商品が「タオル」であることを隠匿する目的で捏造された書類である可能性があり,出荷伝票の信用性に重大な疑いが生じている。
3 上記のとおり,商標を付する行為及び商品を引き渡す行為を審決が認定した根拠となった証拠には,数多くの不自然な点があり,その信用性に重大な疑問が生じているにもかかわらず,被告は,審判において口頭審理への出席を拒否し,審判官からの指摘に対応せず,その後も何ら弁明を行っていない。
4 納品書(甲31)によると,品番「TL-W20」が付された商品は,5400枚被告に納品されていることになる。このうち,ウォッシャブルガーゼふきん」 「と記載されている商品のみが「ふきん」であるとすれば,品番「TL-W20」が付された商品「ふきん」は,4500枚被告に納品されていることになる。一方,出荷伝票(甲34)によると,品番「TL-W20」及び品名「ウォッシャブルフキン」と記載された商品が,合計18枚出荷されたことになる。現実に4500枚もの数の商品を製造していたのであれば,残りの4482枚の商品の取引書類が提出されていないことは不自然である。
本件使用商品の引渡しがされたとされる「Stream Market」は,本 件店舗以外に複数の実店舗が存在している。また,被告自身及びアシスト社がオンラインショップ「stream market」を運営している。そうすると,現実に,本件使用商品を販売していた事実があるのであれば, 「Stream Market」の本件店舗以外の他店舗又は当該オンラインショップにおいて販売されたと推定することが自然であるといえる。したがって,18枚のみを出荷したとする出荷伝票のみが提出され,その他の取引書類が提出されていないことは不自然である。
被告は,本件使用商標を付した本件使用商品を4500枚製作し,それらを販売したことが事実であると主張するのであれば,客観性が疑われるような特殊な相手方との取引書類ではなく,より客観性が担保されるような相手方との取引に関する客観性のある取引書類を提出し,その事実を証明すべきである。実際に商品を製造し,販売しているのであれば,販売を申し出るためのパンフレットが存在し,また,注文書,入金記録,荷受書などの第三者が作成した客観的な取引書類が多数存在し,それを被告が保管しているはずである。そして,被告は,これらの書類を極めて容易に提出することができる。被告提出の証拠について多数の不自然な点が指摘され,かつ,容易に提出できる多数の取引書類を有しているにもかかわらず,被告がそれらを一切提出しないのであれば,提出することができないと理解すべきであり,4500枚の商品が製造されたという事実は存在していないというべきである。
被告の主張
1(1) 原告の前記1(1)の主張に対して 被告がオンラインショップで販売している「タオル」 (甲2)は,生産過程では本件使用商品と同一のものであるが, 「タオル」はタオルとして品名を付した下げ札を付し, 「ガーゼふきん」は本件使用商標を付した下げ札を付して,その商品の使用目的別に仕様を変更して販売している。一般に,「タオル」と「ふきん」は同じ素材,組成のものも多いから,物自体が同じであっても不自然ではない。また,生産過程で同じものを同品番にすることは不自然ではない。オンラインショップでは「タオ ル」を取り扱い,本件使用商品である「ガーゼふきん」は取り扱っておらず,流通経路は同一ではない。
また,オンラインショップでは被告が取り扱う商品の全てを販売しているわけではなく,オンライショップの担当者が多品種の在庫商品の中から販売商品と発売日をその権限において判断して決定している。本件使用商品などの繊維製品は,1年ほどで品質に影響を与えるものではなく,1年近く経過してからの発売であっても不自然ではない。
(2) 原告の前記1(2)の主張に対して 上記のとおり,生産過程で同じものを同品番にする場合があるが,被告は,流通段階では,品番で商品を特定するのではなく,品名で商品を特定している。
オンラインショップでは取扱商品の20パーセントに満たない商品しか販売しておらず,オンラインショップの担当者が取扱商品を決定しているので,本件使用商品「ガーゼふきん」の取扱いがなくても不自然ではない。
(3) 原告の前記1(3)の主張に対して 被告とアシスト社は,グループ会社である。被告は,本件使用商品の販売を拡大するために,Stream Marketに販売を依頼し,Stream Marketでは,行楽シーズンに当たり,ランチボックスなどと組み合わせて販売することとした。単価に関しても,被告とアシスト社との間で,その他の商品と合わせて協議した結果であり,グループ会社間の取引であることも考慮すると,不自然ではない。
2 原告の前記2の主張に対して 上記のとおり,オンラインショップは被告取扱商品の全てを取り扱っておらず,担当者が取扱商品,発売日を決定しており,オンラインショップにおける商品と発売日を根拠とする原告の推定は誤りである。
3 原告の前記3,4の主張に対して 被告は,書面審理であっても,それまでに提出した証拠によって十分に本件商標 を使用していたことを立証できると判断したものである。
当裁判所の判断
1 判断の前提となる証拠 (1) 被告が作成した甲30は, 「TL-W20」という品番でかつ「ウォッシャブル加工 ガーゼふきん」という品名の布製品のデザイン仕様書であり,そこには「SEASON 2016S/S」という記載とともに,縦35センチ,横34センチの大きさの格子柄の布製品及びそれに付すための下げ札の大きさや図柄等が記載されており,上記布製品の柄・色の指示は別紙にて行う旨も記載されている。
(2) 被告が作成した甲32は,平成28年1月7日付けの「TL-W20 ウォッシャブル加工ガーゼふきん カラー指示」と題する書面であり,上記(1)のデザイン仕様書に記載されていたのと同じ柄の布製品について, 2A」 2B」 2C」 「 , 「 , 「という記号で分類された3種類の色及び柄が指示されている。
(3) 被告が作成した甲33は,平成28年2月1日付けの「TL-W20 ウォッシャブルガーゼふきん用 メインTAG 作成依頼」と題する書面であり,本件使用商標が付された下げ札の大きさや図柄が描かれるとともに,同下げ札の裏面に「ウォッシャブルガーゼふきん」「TL-W20」等の文字を記載すべきことが ,指示されていた。
(4) ライフブリッジ社の納品責任者によって作成された甲31は,平成28年4月15日付け納品書であり,同日にライフブリッジ社が被告に対し,商品コードをそれぞれ「TL-W20-2A」「TL-W20-2B」及び「TL-W20- ,2C」とし,品名を「ウォッシャブル加工ガーゼふきん」とする三つの商品を合計4500枚(各1500枚ずつ)納品した旨が記載されている。
また,上記ライフブリッジ社の納品責任者は,ライフブリッジ社が,上記(1)〜(3)の各書面に基づいて商品を製作し,上記納品書に記載のとおり被告に納品したことは間違いない旨の証明書1(甲36)を作成しており,被告代表者も,当審において,本件下げ札を付した上記納品書記載の商品合計4500枚の納品を平成28年 4月15日にライフブリッジ社から受けた旨の上記証明書1の内容に沿う供述をしている。
2 判断 (1) 前記1の各証拠を総合すると,ライフブリッジ社から被告に対し,平成28年4月15日に,品番を「TL-W20」,品名を「ウォッシャブル加工ガーゼふきん」とし, 「2A」「2B」「2C」で分類された3種類の色及び柄がある布製品 , ,(以下「本件商品」という。)4500枚が納品されたこと,本件商品には本件使用商標を記載した本件下げ札が付されていたこと,この本件下げ札が付された本件商品は,被告の注文によって製作,納品されたものであることが認められるから,被告の注文により,ライフブリッジ社から被告に対し,同日に本件使用商標が記載された本件下げ札を付した本件商品4500枚が納品されたとの事実を認定することができる。したがって,被告は,本件商品に本件使用商標を付した(商標法2条3項1号)ものと認められる。
(2) そして,上記のように被告が平成28年4月15日にライフブリッジ社から本件商品の納品を実際に受けている以上,被告としてはそれを売却するための行動に出るのが自然であるところ,本件下げ札を付した本件商品を同年5月7日に本件店舗に引き渡した旨の被告代表者の当審における供述,品番を「TL-W20」,品名を「ウォッシャブルフキン」,カラーを「2A」「2B」「2C」とする商品9 , ,枚が本件店舗に出荷された旨が記載された出荷伝票(甲34)及びその他の証拠(甲35,37)からすると,被告が,同日に,アシスト社が経営する本件店舗に対し,「ウォッシャブルフキン」として,本件下げ札を付した本件商品を合計9枚引き渡したとの事実も認めることができる。
したがって,被告は,本件使用商標を付した本件商品を引き渡した(商標法2条3項2号)ものと認められる。
(3) 本件使用商標について 本件使用商標は,「Bambina」の欧文字を書してなるもので,本件商標と は書体にわずかな違いが見られるものの,同一の文字からなっていて,本件商標と社会通念上,同一の商標であると認められる。
(4) 使用商品について 本件商品は,上記2(1)及び(2)で認定したとおり,「ウォッシャブル加工ガーゼふきん」又は「ウォッシャブルフキン」であって,本件審判請求に係る指定商品である「ふきん」に該当するものである。
(5) 使用時期について 上記2(1)及び(2)のとおり,被告がライフブリッジ社から本下げ札が付された本件商品の納品を受けたのが平成28年4月15日,本件下げ札が付された本件商品を本件店舗に引き渡したのが同年5月7日であるところ,これらはいずれも本件審判請求の登録前3年以内である本件要証期間に含まれるものである。
(6) 結論 以上により,被告は,本件審判請求の登録前3年以内に,日本国内において,本件使用商標を本件審判請求に係る指定商品である「ふきん」に該当する本件商品に付すとともに,本件使用商標が付された本件商品を本件店舗に引き渡し,本件商標と社会通念上同一の商標を使用したものと認められる。
3 原告の主張について (1) 原告は,@本件商品が平成29年3月15日に被告のオンラインショップでタオルとして販売開始されていること,A「TL」という品番からして本件商品は当初から「タオル」であって「ふきん」ではないと考えられること,Bアシスト社への販売価格がライフブリッジ社からの仕入価格と同一であって不自然であることなどからすると,甲30〜33,36の信用性には重大な疑いがあると主張する。
まず,上記@の主張は,被告のオンラインショップで発売されたタオル(甲2)が,本件商品と全く同一のものであることを前提としていると解されるが,被告代表者は,当審において,オンラインショップで発売されたタオル(甲2)は,素材やデザイン等は本件商品と同一であるものの,本件商品とは別に,当初から「タオ ル」として,本件使用商標を付すことなく生産した本件商品とは異なる物であると述べている。そして,この供述は,オンラインショップで発売されたタオル(甲2)には本件下げ札が付けられていないことと整合している上,内容的に明らかに不自然な点も見当たらない。そうすると,本件商品と同じ素材やデザイン等からなる「タオル」が被告のオンラインショップで平成29年3月から発売されたとしても,不自然ではなく,前記2の認定を左右するものということはできない。
また,上記Aの主張について, 「TL」という品番から直ちに本件商品が実際には「タオル」であったとまで断ずることはできず,また,被告においては,オンラインショップでの販売は主たる事業ではなく,卸売が主たる事業であって,オンラインショップで販売される商品は,全取扱商品の20パーセントに満たない程度の商品であり,オンラインショップの担当者がその判断で品名と発売時期を決定しているものと認められる(被告代表者[当審])から,ふきんがオンラインショップで販売されていないとしても不自然ではない。
さらに,上記Bの主張について,証拠(甲18,19,被告代表者[当審])及び弁論の全趣旨によると,被告とアシスト社は代表者を同じくするグループ会社であると認められることや被告がその他の商品と合わせて単価を決定した旨主張していることからすると,仕入価格と販売価格が同一であるとしても,直ちに不自然であるとはいえない。
(2) 原告は,@一緒に写りこんでいる商品のオンラインショップにおける発売時期からすると,商品写真(甲29)は実際には平成29年2月末又は3月初めに撮影されたものである,A被告とアシスト社との関係やその内容からすると,証明書2(甲37)は信用できない,B請求書(甲35)は宛名がなく不自然である,C出荷伝票(甲34)は品番に誤りや不自然な点があって信用できないなどと主張する。
まず,上記@の主張について,上記(1)記載のとおり,被告においてはオンラインショップでの販売は主たる事業ではなく,卸売が主たる事業であって,オンライン ショップの担当者がその判断で品名と発売時期を決定していることを踏まえると,一緒に写りこんでいる他の商品が平成29年になって被告のオンラインショップで発売されたからといって,商品写真(甲29)が,原告の主張するとおり,平成29年になってから撮影されたものと断ずることまではできない。
また,上記Aの主張について,証明書2(甲37)は,被告のグループ会社であるアシスト社の従業員によって作成されたものであるが,他の証拠(甲34,35,被告代表者[当審])と符合しており(前記2(2)),その限度では信用することができるものである。特許庁に提出された回答書(甲25)の内容に言及している点は,自らが経験していない事実についての言及を含むものであるが,そうであるからといって,その他の点まで信用することができないということにはならない。
さらに,上記Bの主張について,請求書(甲35)には宛名が記載されていないが,代表者を同じくするグループ会社間の取引について発行されたものであることを踏まえると,不自然で,請求書そのものの信用性が失われるとまではいえない。
そして,上記Cの主張について,出荷伝票(甲34)に記載された品名がオンラインショップや被告のウェブサイトに記載された品名と異なっているからといって,直ちに誤りであるとか不自然であるとか捏造されたということはできない。
(3) 原告は,@口頭審理を拒否するなどの審判における被告の対応,A4500枚の本件商品のうち本件店舗に引き渡されたわずかのもの以外の行方が明らかとされていないこと及びB第三者が作成した客観的な書類が提出されていないことなどからも,被告による本件商標の使用事実は存しないと主張する。
しかし,被告は,本件商標のブランド化がうまく進まない中で,本件商標を維持するために費用や時間を費やすのに消極的な姿勢を見せているのであり(被告代表者[当審],弁論の全趣旨),そのような被告が,弁理士に要する費用や本件に対応するための時間を節約しようと考えて,口頭審理を拒否するなど必要最小限の主張立証しかしなかったとしても,直ちに不自然,不合理であるとはいえない。
また,本件では第三者たるライフブリッジ社の納品責任者が作成した客観的な取 引書類といえる納品書(甲31)が提出されているのであって,その他の第三者が作成した書類が提出されていないからといって,前記2の認定が左右されるものではない。
(4) 以上のとおり,原告の主張はいずれも採用できず,前記2の認定が左右されることはない。
結論
以上のとおり,原告の請求には理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 森義之
裁判官 佐野信
裁判官 熊谷大輔
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