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関連審決 不服2017-15582
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事件 平成 30年 (行ケ) 10014号 審決取消請求事件

原告天龍製鋸株式会社
訴訟代理人弁理士 山本健男
被告特許庁長官
同指定代理人 網谷麻里子 薩? 摩純一 板谷玲子
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2018/08/29
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2017-15582号事件について平成29年12月26日にした審決を取り消す。
事案の概要
1 本件は,原告が出願した商標について拒絶査定を受けたことから,不服審判請求をしたところ,請求は成り立たない旨の審決がされたので,原告がその取消しを求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実) (1) 原告は,平成29年1月26日に,「TENRYU」の欧文字を標準文字で表した商標(以下「本願商標」という。)について,指定商品を「第7類 金属加工機械器具用刃物,製材機械器具用刃物,木工機械器具用刃物,合板機械器具用刃物,除草機械器具用刃物」として商標登録出願(商願2017-006437号)をした(甲1)ところ,同年7月28日付けで拒絶査定を受けた(甲9)ので,同年10月20日に,不服審判請求をした(甲10。不服2017-15582号)。
(2) 特許庁は,平成29年12月26日に,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,この審決は,原告に送達された。
(3) 審決の理由は,本願商標は,登録商標である別紙記載1の商標(乙1,2。
以下「引用商標1」という。),別紙記載2の商標(乙3,4。以下「引用商標2」という。)及び別紙記載3の商標(乙5,6。以下「引用商標3」といい,引用商標1〜3を併せて「引用商標」という。)と類似し,また,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似するから,商標法4条1項11号に該当し,商標登録を受けることができないというものである。
(4) 引用商標1は,平成5年12月24日に設定登録され,平成15年8月12日と平成25年12月3日に存続期間更新登録がされた(乙2)。
引用商標2は,平成19年4月20日に設定登録され,平成29年4月25日に存続期間更新登録がされた(乙3,4)。
引用商標3は,平成23年12月2日に設定登録された(乙5,6)。
3 審決の理由の要点 (1) 本願商標と引用商標の類否 ア 本願商標 本願商標は,「TENRYU」の欧文字を標準文字で表してなり,この文字は,辞書等に載録のない語であるところ,これをローマ字とする日本語として,一般に親しまれている「天竜,天龍」を表記したものと看取,理解される場合も決して少なくないとみるのが相当であるから,本願商標からは,上記「天竜,天龍」から想 起される「天の竜(龍)」程の意味合いが認識される。
本願商標からは,「テンリュー」の称呼が生じる。
イ 引用商標について (ア) 引用商標1 引用商標1からは,「テンリュー」の称呼が生じ,「天龍」は辞書等に載録のない語であるから,引用商標1からは,一般に親しまれている「天の竜(龍)」程の意味合いが認識される。
(イ) 引用商標2及び引用商標3 引用商標2及び引用商標3は,黒色で塗り潰した円図形の中に,白抜きの太線で三角形を描き,三角形内の各辺に接続するように「T」と思しき文字を白抜きの太字で描いた図形(以下「引用商標図形部分」という。)と,三角形の下端部の白抜きの「TENRYU」の文字(以下「引用商標文字部分」という。)からなるところ,引用商標図形部分からは,特定の称呼及び観念は生じないのに対し,引用商標文字部分は,辞書等に載録のない語であり,これをローマ字とする日本語として,一般に親しまれている「天竜,天龍」を表記したものとして看取,理解され,「天竜,天龍」から,「天の竜(龍)」程の意味合いを想起する場合があるといえる。
そうすると,引用商標2及び引用商標3は,引用商標図形部分と引用商標文字部分からなる結合商標であって,両部分は,外観上,明確に分離して認識されるものであること,かつ,それぞれの称呼及び観念においても,密接な関連性を見いだせないことから,引用商標図形部分と引用商標文字部分とは分離して観察することが取引上不自然であると思わせるほど一体不可分に結合しているものとは認められない。
したがって,引用商標2及び引用商標3は,引用商標文字部分から生ずる称呼,観念をもって取引に資される場合もあり,同部分から,「テンリュー」の称呼及び「天の竜(龍)」程の観念が生じる。
ウ 類否 (ア) 引用商標1との類否 前記ア,イのとおり,本願商標と引用商標1とは,外観において欧文字及び漢字という文字種を異にするものの,称呼,観念が共通する。商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で,平仮名,片仮名及びローマ字等を相互に変換したり,デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があることからすると,称呼及び観念において記憶し,これを頼りにして取引に当たることが少なくない。
したがって,本願商標と引用商標1は,商標の出所について誤認混同を生じさせるおそれがある類似の商標というべきである。
(イ) 引用商標2及び引用商標3との類否 前記ア,イのとおり,本願商標と引用商標2及び引用商標3とは,外観において相違するものの,本願商標と引用商標2及び引用商標3の要部である引用商標文字部分を比較すると,つづりを同じくし,称呼,観念が共通する。
したがって,本願商標と引用商標2及び引用商標3は,商標の出所について誤認混同を生じさせるおそれがある類似の商標というべきである。
(2) 指定商品の類否 ア 引用商標1の指定商品との類否 本願商標の指定商品である「金属加工機械器具用刃物,製材機械器具用刃物,木工機械器具用刃物,合板機械器具用刃物,除草機械器具用刃物」は,いずれも,各機械器具の一部品であるから,引用商標1の指定商品中「金属加工機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。),栽培機械器具,収穫機械器具,植物粗製繊維加工機械器具,飼料圧搾機,飼料裁断機,飼料配合機,飼料粉砕機」については,本願商標の指定商品とは,部品と完成品の関係にあり,その用途及び需要者の範囲が一致する。
したがって,本願商標の指定商品は,引用商標1の指定商品と同一又は類似する。
イ 引用商標2の指定商品との類否 本願商標の指定商品中「除草機械器具用刃物」と引用商標2の指定商品中「飼料乾燥装置」とは,その用途及び需要者の範囲が一致するから,同一又は類似する。
ウ 引用商標3の指定商品との類否 本願商標の指定商品中「金属加工機械器具用刃物」と引用商標3の指定商品中「金属加工機械器具」とは,部品と完成品の関係にあり,その用途及び需要者の範囲が一致するから,同一又は類似する。
4 原告の主張する審決取消事由(商標法4条1項11号該当性判断の誤り) (1) 本願商標が原告の商標として周知であること 以下の理由から,本願商標は,原告の商標を示すものとして周知であり,したがって,本願商標は,引用商標とは出所の混同は生じ得ないから,商品又は役務の出所の混同防止を図る商標法4条1項11号に該当しない。
ア 原告は,大正2年に設立され,大正7年には東京,北海道,久留米に,大正8年には大阪,秋田に,大正10年には盛岡に,それぞれ支店や出張所を設置し,大正8年から本願商標を含む商標を使用してきた(甲7参考資料1)。
イ 原告は,「TENRYU」を含む登録商標を4件有している(甲14)。
これらの登録商標のうち登録第1713488号商標(以下「1713488号商標」という。)は,図形の下に「TENRYU」の文字があるが,本件審決の判断に従うと,1713488号商標を使用することにより,「TENRYU」の商標を使用していたことになるから,原告は,「TENRYU」の商標を使用してきたといえる。また,その他の3件の登録商標(登録第1339942号,登録第5134974号,登録第5192660号)の使用についても,同様に,原告は,「TENRYU」の商標を使用してきたといえる。
ウ 原告は,東京証券取引所に上場しており,毎年の売上高は約100億円であり,刃物業界では2位の地位を占めている(甲21,26,30)。原告は,本社以外に,東京,大阪,秋田,北陸等に支店や営業所を設置しており,海外にも関連会社を有している(甲21,28〜30)。
原告は,電動工具製品に関するトップ企業である株式会社マキタ(以下「マキタ」という。)に原告の製品を納入しており(甲26),原告の製品の品質等は高く評価されている。
また,原告の動向は,新聞等の記事の対象となっている(甲27)。
エ 原告は,10年以上前から,本願商標をホームページ上で使用している(甲7参考資料2,甲24,29)。
オ 原告は,10年以上前から,各種のカタログやパンフレットにおいて本願商標を使用し,需要者に配布してきた(甲8,25)。
カ 原告は,平成8年に米国法人を設立し,平成11年には,米国において「TENRYU」の商標登録をし(甲7参考資料3,甲21),「TENRYU」の商標を刻印した商品を米国へ輸出している(甲22)。
キ 原告の主要製品である丸鋸の梱包資材には,本願商標が記載されている。
上記梱包資材は,10年以上前から使用されている(甲31,32)。
ク 原告は,その他にも,原告のPR用のCDR,看板,展示会等で本願商標を使用してきた(甲22,23)。
(2) 本願商標と引用商標の類否 ア 引用商標1との類否 本願商標と引用商標1とは外観が異なる。また,観念についても,「THE TENRYU」とすれば,天竜川を意味することになり,この点において,両者の観念は僅かながら異なる。
「天龍(天竜)」を含む登録商標や企業名は多数あり(甲15,16),多くの者が使用を希望している標章であるから,このような標章に対し,広い後願排除効を与えることは商標選択の幅を狭めることになり,相当ではない。
したがって,本願商標と引用商標1とは類似していない。
イ 引用商標2及び引用商標3との類否 引用商標2及び引用商標3は,引用商標図形部分に看者の注意がひかれるから, 引用商標図形部分が要部である。
したがって,本願商標と引用商標2及び引用商標3とは類似しない。
(3) 指定商品の類否 ア 引用商標1の指定商品との類否 引用商標1の指定商品は,その範囲が極めて広く,本願商標の指定商品の上位概念である。本願商標の指定商品は,範囲が狭く,刃物類にすぎない。金属加工機械器具等と刃物類とでは,需要者はその相違を明確に認識でき,互いに見分けることができる。生産部門,販売部門,用途及び需要者等が共通していれば,前記(1)のとおり,原告は鋸業界では周知であるから,引用商標1の商標権者と原告との出所の混同は生じない。
したがって,本願商標の指定商品と引用商標1の指定商品とは類似しない。
イ 引用商標2の指定商品との類否 本願商標の指定商品である「除草機械器具用刃物」と引用商標2の指定商品である「飼料乾燥装置」とは,一般常識からすると,類似しておらず,出所の混同を生ずることはあり得ない。
ウ 引用商標3の指定商品との類否 本願商標の指定商品の「金属加工機械器具用刃物」と引用商標3の指定商品である「金属加工機械器具」とは,出所の混同が生じることはなく,類似していない。
引用商標3の指定商品である「金属加工機械器具の部品及び付属品」は,その分野があまりにも広大であり,金属製のほとんどのパーツ等が含まれるから,類似,非類似の対象とはなり得ない。
エ 以上のとおり,本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは非類似であり,互いに出所の混同を生じるおそれはない。
この点について,被告は,商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には,たとえ,商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても, 類似の商品に当たると解すべきであると主張するが,商品自体が互いに出所の混同を生じるおそれはないのであれば,同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認されるおそれはないのであって,出所の混同は生じ得ないから,被告の上記主張は誤りである。
(4) 引用商標は,本件審決の判断に従えば,先願である1713488号商標と類似しているにもかかわらず,商標登録されており,無効理由を有する瑕疵ある商標といえる。
(5) 原告と引用商標の商標権者とは,属する業界が異なり,商品等も競合するものではないから,原告が本件商標を使用しても出所の混同は生じない。
(6) 以上により,本願商標が商標法4条1項11号に該当し,商標登録を受けることができないとした審決は誤りである。
5 被告の主張 (1) 本願商標と引用商標の類否について ア 引用商標1との類否 (ア) 本願商標 本願商標は, 「TENRYU」の欧文字を標準文字で表してなるところ,この欧文字は英語辞書等に載録された成語ではない。そして,そのような欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるものである。そうすると,本願商標は,その構成文字に相応してローマ字風に発音した「テンリュー」の称呼を生じるものである。また, 「TENRYU」は,同じ称呼を生ずるものとして一般に親しまれている「天竜(龍)」を欧文字で表記したとして,看取,理解されるといえ, 「天竜,天龍」の各漢字の意味から「天の竜(龍)」程の意味合いを想起させるものである。
したがって,本願商標は,その構成文字に相応して「テンリュー」の称呼を生じ,「天の竜(龍)」程の観念を生じるものである。
(イ) 引用商標1 引用商標1は, 「天龍」の文字を横書きしてなるところ,この文字に相応して, 「テンリュー」の称呼が生じる。そして, 「天龍」は,辞書等に載録のない語であるものの,これを構成する各漢字の意味から,「天の竜(龍)」程の意味合いを想起させるものである。
したがって,引用商標1は,その構成文字に相応して「テンリュー」の称呼を生じ,「天の竜(龍)」程の観念を生じるものである。
(ウ) 類否 本願商標と引用商標1とを比較すると,外観においては,欧文字と漢字という文字種を異にするところがあるものの,称呼においては, 「テンリュー」の称呼を共通にするものであり,また,観念においては,「天の竜(龍)」程の観念を共通にするものである。
そして,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼の生じる範囲内で文字種を相互に変更して表記することが一般に行われている取引の実情があることからすると,両商標における欧文字か漢字かという文字種の相違が,見る者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいい難い。
以上によると,本願商標と引用商標1は,その外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合勘案すると,商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標ということができる。
イ 引用商標2及び引用商標3との類否 (ア) 本願商標の外観,称呼,観念は前記ア(ア)のとおりである。
(イ) 引用商標2及び引用商標3 引用商標2及び引用商標3は,引用商標図形部分と引用商標文字部分からなるところ,引用商標図形部分と引用商標文字部分は,上下に段を変えて配され,それぞれが融合してもいないから,外観上,分離して看取されるということができる。
また,引用商標図形部分は,一見して特定の称呼及び観念を生じるような図形とは認識できないものであるのに対し,引用商標文字部分は,普通に用いられる読み やすい書体で表されており, 「テンリュー」の称呼を生じ, 「天の竜(龍)」程の観念を生じるものであるから,引用商標図形部分と引用商標文字部分は,一体となって特定の称呼及び観念が生ずるとはいえず,称呼及び観念上も,分離して看取されるということができる。
以上からすると,引用商標文字部分は,それらの図形部分と分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではなく,構成上独立して見る者の注意をひくものであるから,引用商標2及び引用商標3は,引用商標文字部分の「TENRYU」を要部として,本願商標と比較し,その類否を判断することが許されるものというべきである。
したがって,引用商標2及び引用商標3は,構成中の「TENRYU」の欧文字に相応して「テンリュー」の称呼を生じ,「天の竜(龍)」程の観念を生じるものである。
(ウ) 類否 本願商標と引用商標2及び引用商標3の要部である「TENRYU」の欧文字とを比較すると,まず,外観において構成文字を同じくするものである。次に,称呼においては,両者は, 「テンリュー」の称呼を共通にするものであり,また,観念においては,「天の竜(龍)」程の観念を共通にするものである。
以上によると,本願商標と引用商標2及び引用商標3とは,その全体の構成において相違するとしても,出所識別標識としての要部である「TENRYU」という文字構成において同一であって,外観上類似し,称呼及び観念を同一にするものであるから,外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合勘案すると,商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標ということができる。
(2) 指定商品の類否について 指定商品が類似のものであるかどうかは,商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判断すべきものではなく,それらの商品が通常同一営業主によ り製造又は販売されている等の事情により,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には,たとえ,商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても,類似の商品に当たる。
また,商品の類否判断は,取引の実情,すなわち,商品の生産部門,販売部門,原材料及び品質,用途,需要者の範囲が一致するかどうか,完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断すべきである。
ア 引用商標1の指定商品との類否 (ア) 本願商標の指定商品中の「金属加工機械器具用刃物」と引用商標1の指定商品中の「金属加工機械器具」について a 生産部門,販売部門及び用途 多数の業者が,そのウェブサイトにおいて, 「金属加工機械器具」と「金属加工機械器具用刃物」の両方の取扱いをしていることから(乙7,乙8の1〜3,乙9,乙10の1・2)「金属加工機械器具用刃物」と「金属加工機械器具」とは,生産 ,部門,販売部門及び用途を共通にする商品といえる。
b 需要者について 金属加工機械器具本体を購入し使用する者は,その一部を構成する部品(刃物)についても,同時に又は後日,交換用部品として購入する者として共通するものである。
そして,その需要者としては,金属加工を業とする事業者が挙げられるほか,昨今,DIY(「しろうとが自分で何かを作ったり,修繕したりすること。日曜大工」[乙11])が流行している背景から,一般の者においても,作業効率をあげることを目的に電動工具を使用して大工仕事をする機会が増えている実情にあることからすると,需要者には,一般の個人需要者も存在するといえる。そうすると,金属加工機械器具の部品(刃物)と金属加工機械器具の需要者は,少なくとも金属を加工するあらゆる者となり得るといえる。
(イ) 本願商標の指定商品中の「製材機械器具用刃物,木工機械器具用刃物,合板機械器具用刃物」と引用商標1の指定商品中の「製材用・木工用又は合板用の機械器具」について a 生産部門,販売部門及び用途 多数の業者が,そのウェブサイトにおいて, 「製材用・木工用又は合板用の機械器具」と「製材機械器具用刃物,木工機械器具用刃物,合板機械器具用刃物」の両方の取扱いをしていることから(乙12,13,乙14の1・2,乙15)「製材機 ,械器具用刃物,木工機械器具用刃物,合板機械器具用刃物」と「製材用・木工用又は合板用の機械器具」とは,生産部門,販売部門及び用途を共通にする商品といえる。
b 需要者について 製材用・木工用又は合板用の機械器具本体を購入し使用する者は,その一部を構成する部品(刃物)についても,同時に又は後日,交換用部品として購入する者として共通するものである。
そして,その需要者としては,製材,木材,合板加工を業とする事業者が挙げられるほか,前記(ア)と同様にDIYに係る実情があることから,需要者には,一般の個人需要者も存在するといえる。そうすると,製材用・木工用又は合板用の機械器具の部品(刃物)と製材用・木工用又は合板用の機械器具の需要者は,少なくとも製材,木材,合板加工をするあらゆる者となり得るといえる。
(ウ) 本願商標の指定商品中の「除草機械器具用刃物」と引用商標1の指定商品中の「耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。,栽培機械器具,収穫 )機械器具,植物粗製繊維加工機械器具,飼料圧搾機,飼料裁断機,飼料配合機,飼料粉砕機」について a 商標法施行規則別表に照らし,引用商標1の指定商品中の「栽培機械器具」には,「除草機械器具」が含まれるといえる(乙16)。
そこで,本願商標の指定商品中の「除草機械器具用刃物」と引用商標1の指定商品に含まれる「除草機械器具」とを比較する。
b 生産部門,販売部門及び用途 多数の業者が,そのウェブサイトにおいて, 「除草機械器具」と「除草機械器具用刃物」の両方の取扱いをしていることから(乙17,乙18の1・2,乙19の1・2,乙20,乙21の1〜3,乙22の1〜4)「除草機械器具刃物」と「除草機 ,械器具」とは,生産部門,販売部門及び用途を共通にする商品といえる。
c 需要者について 除草機械器具本体を購入し使用する者は,その一部を構成する部品(刃物)についても,同時に又は後日,交換用部品として購入する者として共通するものである。
そして,その需要者としては,農業従事者や除草することを業とする事業者が挙げられるほか,一般の者においても,家庭菜園や庭等の除草作業を行うに当たり,その作業効率をあげたり作業負担を軽減するために動力式の機器を使用している実情にあることからすると,需要者には,一般の個人需要者も存在するといえる。そうすると,除草機械器具の部品(刃物)と除草機械器具の需要者は,少なくとも除草をするあらゆる者となり得るといえる。
d 「除草機械器具」以外の「栽培機械器具」及び「耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。,収穫機械器具,植物粗製繊維加工機械器具,飼料 )圧搾機,飼料裁断機,飼料配合機,飼料粉砕機」についても,いずれも農業用の機械器具に係る商品であることや農業に携わる者を需要者とする商品であることが共通する(乙23,乙24の1・2)。
(エ) 小括 以上のとおり, 「金属加工機械器具用刃物」と「金属加工機械器具」「製材機械器 ,具用刃物,木工機械器具用刃物,合板機械器具用刃物」と「製材用・木工用又は合板用の機械器具」「除草機械器具用刃物」と「除草機械器具」とは,それぞれに, ,その生産部門,販売部門,用途,需要者の範囲が一致し,完成品と部品との関係に あり,また, 「除草機械器具用刃物」と「除草機械器具」以外の「栽培機械器具」及び「耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。,収穫機械器具,植物粗製 )繊維加工機械器具,飼料圧搾機,飼料裁断機,飼料配合機,飼料粉砕機」とは,その用途,需要者の範囲が共通することからすると,それらの商品に同一又は類似の商標が使用されたときには,同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがある関係にあるといえる。
そうすると,上記各指定商品は,それぞれ,商標法4条1項11号にいう類似の商品に当たるというべきである。
イ 引用商標2の指定商品との類否 本願商標の指定商品中の「除草機械器具用刃物」は,除草の際に使用する動力式の機器に取り付けるための刃物であり,農業用の機械器具に係る商品であって,その需要者は農業従事者や除草することを目的とする者である。また,引用商標2の指定商品中の「飼料乾燥装置」は,畜産業等において飼料となる収穫された牧草や穀物等を乾燥する機械装置であり,農業用の機械器具に係る商品であって,その需要者は農業従事者である。
そうすると, 「除草機械器具用刃物」と「飼料乾燥装置」とは,いずれも農業用の機械器具に係る商品であることや農業に携わる者を需要者とする商品であることが共通するものであることからすると,それらの商品に同一又は類似の商標が使用されたときには,同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがある関係にあるといえることから,商標法4条1項11号にいう類似の商品に当たるというべきである。
ウ 引用商標3の指定商品との類否 本願商標の指定商品中の「金属加工機械器具用刃物」と引用商標3の指定商品中の「金属加工機械器具」とは,前記アのとおり,商標法4条1項11号にいう類似の商品に当たるというべきであるほか,上記「金属加工機械器具用刃物」は,金属加工機械器具の部品及び附属品の一種であることから,引用商標3の指定商品中の 「金属加工機械器具の部品及び附属品」に含まれる商品であるといえる。
(3) 原告は,本願商標は原告を指すものとして周知であると主張する。
しかし,原告が提出したすべての証拠を勘案しても,本願商標が,我が国の本願商標の指定商品を取り扱う業界において,相当程度周知になっているといえず,原告を指すものとして理解されるということができない。
また,商標法4条1項11号は,登録出願された商標が,先願に係る他人の登録商標と同一又は類似する商標であって,その登録に係る指定商品若しくは指定役務と同一又は類似する商品若しくは役務について使用するものの登録を認めないとするものであるところ,上記のような先願に係る他人の登録商標が存在するのであれば,原告が主張するような理由(本願商標の周知性)によって,商標法4条1項11号の適用を免れるとはいえない。
したがって,原告による上記主張は,失当である。
当裁判所の判断
1 本願商標と引用商標の類否について (1) 商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであり,かつ,その商品の取引の実情を明らかにしうる限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
また,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである(最高裁昭和 37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁)。
(2) 本願商標と引用商標1との類否 ア 本願商標は,前記第2の2(1)のとおり,「TENRYU」の欧文字を標準文字で表したものであり,「テンリュー」の称呼が生じる。
また,上記称呼から,本願商標は,「天竜,天龍」を意味するものと理解するのが一般的であり,「天竜,天龍」からは「天の竜(龍)」の観念が生じるから,本願商標からは「天の竜(龍)」の観念が生じる。
イ 引用商標1は,前記第2の2(3)のとおり,別紙記載1の商標であり, 「テンリュー」の称呼が生じ,「天の竜(龍)」の観念が生じる。
ウ 本願商標と引用商標1とは,外観は異なるものの,称呼及び観念は同一である。
そして,引用商標1は漢字を用いているのに対し,本願商標は欧文字を用いているが,引用商標1をローマ字で表記すると本願商標となることは明らかである。我が国においては,漢字を同じ称呼のローマ字で表記することは一般的に行われているという事情を考慮すると,文字種が異なることによる本願商標と引用商標1の外観の相違は,両商標が別異のものであると認識させるほどの強い印象を与えるものではないというべきである。
以上の事情を総合考慮すると,本願商標は引用商標1に類似しているというべきである。
(3) 本願商標と引用商標3との類否 ア 引用商標3は,前記第2の2(3)のとおり,別紙記載3の商標であり,黒色で塗り潰した円図形の中に,白抜きの太線で三角形を描き,該三角形内の各辺に接続するように「T」と思しき文字を白抜きの太字で描いた図形(引用商標図形部 分)と,該三角形の下端部の白抜きの「TENRYU」の文字(引用商標文字部分)からなる。
そのうち,引用商標文字部分は,引用商標図形部分とは重なっておらず,また,読みやすい書体からなるから,引用商標図形部分とは明確に区別することができる。
また,引用商標文字部分は,引用商標3全体の約7分の1の高さ,約8分の5の幅を有すること,黒色で塗り潰した円図形の中に,白抜きの太線で描かれていることから,十分に目立つものである。そして,引用商標文字部分からは「テンリュー」との称呼と「天の竜(龍)」との観念が生じ,引用商標3に接した者は,引用商標文字部分の上記称呼観念を十分に認識することができるというべきである。
一方,引用商標図形部分は,抽象的な図形であり,同部分からは,特定の称呼観念は生じないし,また,引用商標文字部分と一体となって特別な意味を有することになるなど,引用商標文字部分と何らかの関連性を有しているともいえない。
以上の事情を考慮すると,引用商標3のうち引用商標文字部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別機能として強く支配的な印象を与えるものと認められるから,引用商標3と他の商標の類否を判断するに当たっては,引用商標文字部分を要部として分離観察をすることができるというべきである。
イ そうすると,本願商標及び引用商標文字部分は,いずれも「TENRYU」の欧文字からなり,「テンリュー」との称呼と「天の竜(龍)」の観念を生じることから,本願商標と引用商標3は,類似するというべきである。
(4) 原告は,「天龍(天竜)」を含む登録商標や企業名は多数あり,多くの者が使用を希望している標章であるから,このような標章に対し,広い後願排除効を与えることは商標選択の幅を狭めることになり,相当ではないと主張するが,前記(2),(3)のとおり,本願商標と引用商標1及び引用商標3とは類似しており,同一又は類似の商品に使用された場合は,取引者,需要者に出所の混同を生じさせるおそれがあるのであるから,原告が主張するように「天龍(天竜)」を含む登録商標や企業名が多数あるとしても,本願商標と引用商標1及び引用商標3とが類似する ことを否定することはできず,原告の上記主張は採用することはできない。
2 本願商標の指定商品と引用商標1の指定商品の類否について (1) 指定商品が類似のものであるかどうかは,商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判断すべきものではなく,それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には,たとえ,商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても,類似の商品に当たると解するのが相当である(最高裁昭和33年(オ)第1104号同36年6月27日第三小法廷判決・民集15巻6号1730頁参照)。
(2) 本願商標の指定商品中の「金属加工機械器具用刃物」と引用商標1の指定商品中の「金属加工機械器具」の類否について ア 後掲証拠によると,以下の事実が認められる。
(ア) マツモト機械株式会社のウェブサイトの「・・・製品情報>金属加工(切断・穴加工)>・・・」のページに,「パイプえぐり加工機『Rカット』」が記載され,その用途として「建築用装飾金物」や「自転車・オートバイ用フレーム」などの記載がある。また,上記機械の専用刃として「M・H・Gミルカッター」が記載され,その特長として「特殊刃型のため,ステンレス,難削材でも軽く切れます。」との記載がある。(乙7) (イ) 株式会社キソパワーツールのウェブサイトには,以下の記載がある(乙8の1・2)。
a 「・・・製品情報>小型金工施盤・オプション>・・・」のページに, 「No.24400 マイクロレース DX PD400」が記載され,その用途として「金属の切削,穴あけ,旋盤加工」との記載がある。また, 「マイクロレース用 各種切削用バイト」のページがある。
b 「・・・製品情報>旋盤用カッティングツール」のページには,卓上金工施盤の各種替刃が記載されているところ,上記の機械用のものが記載されている。
(ウ) マキタのウェブサイトには, 「150mm充電式チップソーカッタ」が記載され,その特長として「余裕の切断能力 刃物径150mmにより,リップ溝形鋼・・・や電線管も一発切断!」との記載がある。また, 「別販売品」として, 「一般金工用チップソー」の他3種類のチップソー(金工刃)が記載されている。なお,上記チップソーカッタ及び上記各チップソーには,マキタを示す表示がある。(乙9) イ 金属加工機械器具及び金属加工機械器具用刃物の需要者は,金属加工を行う者であるが,金属加工機械器具用刃物は,金属加工機械器具の部品であり,需要者は,上記刃物を購入し交換して使用するものと考えられるところ,前記アで認定した事実によると,金属加工機械器具と金属加工機械器具用刃物は,同一の事業者によって製造,販売されていることがあるものと認められ,また,同一の事業者の表示が付された金属加工機械器具と金属加工機械器具用刃物も存するものと認められる。
以上の事情を考慮すると,金属加工機械器具と金属加工機械器具用刃物に同一又は類似の商標が付された場合,需要者である金属加工を行う者は,同一の者の製造又は販売にかかる商品であると誤認するおそれがあるというべきである。
したがって,本願商標の指定商品中の「金属加工機械器具用刃物」と引用商標1の指定商品中の「金属加工機械器具」は類似しているというべきである。
(3) 本願商標の指定商品中の「製材機械器具用刃物,木工機械器具用刃物,合板機械器具用刃物」と引用商標1の指定商品中の「製材用・木工用又は合板用の機械器具」の類否について ア 後掲証拠によると,以下の事実が認められる。
(ア) 株式会社大都が運営する「DIY FACTORY」の通信販売用のウェブサイト(以下「大都サイト」という。)の「・・・日立工機>電動工具>丸のこ>電気丸のこ」のページには,「日立工機 卓上丸のこ FC8FC」が記載され,商品説明として「木材,合板,化粧板,軟質繊維板,ハードボード,アルミサッシ材等の切断が可能です。※各種材料に対応したチップソーをご使用下さい。 との記 」載がある(乙12)。
(イ) 大都サイトの ・ 「・ ・リョービ>電動工具>カンナ>電気かんな」 ・ , ・ 「・用途>削る>木材>研磨・研削」のページには,以下の記載がある(乙13)。
a 「リョービ[RYOBI]カンナ ML-83S」が記載され,その特長として「・・・初めて電動工具を買う!という初心者様におすすめ・・・」との記載,用途として「木材の切削に 替え刃式でシャープな切削」との記載がある。また,別販売品として「替刃(ホルダ付:2枚1組)」や「替刃式カンナ刃(2枚1組)」との記載がある。
b 商品購入者のレビュー欄に「日曜大工で使用しています。
・・・」との記載がある。
c 「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています。」との記載の下に, 「マキタ/makita自動カンナ用替刃式カンナ刃」が記載されている。
(ウ) 株式会社MonotaRO(ものたろう)が運営する「通販モノタロウ」の通信販売用のウェブサイト(以下「モノタロウサイト」という。)には,以下の記載がある(乙14の1・2)。
a 「RYOBI(リョービ)電子トリマ」が記載され,その商品説明として「刃物の交換に便利なスピンドルロック付」との記載,用途として「各種木材の面取り,溝掘り作業。」との記載がある。
b 「この商品を見た人が購入しています」との記載の下に,電子トリマの替刃である「超硬ストレートビット」が記載されている。
(エ) マキタのウェブサイトに掲載の「ホーム用電動工具カタログ」において, 「電気マルノコ 充電式マルノコ」が記載され, 「各種木材,合板を素早く切断。」との記載がある。また,同カタログに記載されている上記マルノコ及び替刃には,マキタを示す表示が記載されている。(乙15) イ 前記アで認定した事実によると,製材用機械器具,木工用機械器具及び合板用機械器具の各機械器具の用途はおおむね共通しており,同一の機械で製材,木工加工及び合板加工に対応できること,同機械器具の需要者としては,木材や合板の加工を行う事業者の他,木材や合板の加工を趣味として行っている一般の個人も想定できることが認められる。そして,製材用,木工用又は合板用の機械器具に用いられる刃物は,それらの機械器具の部品であり,需要者は,上記刃物を購入し交換して使用するものと考えられるところ,前記アで認定した事実によると,上記機械器具と同機械器具用刃物は,同一の事業者によって製造販売されていることがあるものと認められ,また,同一の事業者の表示が付された木材,合板加工機械器具と同機械器具用刃物も存することが認められる。
以上の事情を考慮すると,製材用・木工用又は合板用の機械器具と同機械器具用刃物に同一又は類似の商標が付された場合,需要者である木材や合板の加工を行う事業者及びそれらの加工を趣味として行っている一般人は,同一の者の製造又は販売にかかる商品であると誤認するおそれがあるというべきである。
したがって,本願商標の指定商品中の「製材機械器具用刃物,木工機械器具用刃物,合板機械器具用刃物」と引用商標1の指定商品中の「製材用・木工用又は合板用の機械器具」は類似しているというべきである。
(4) 本願商標の指定商品中の「除草機械器具用刃物」と引用商標1の指定商品中の「栽培機械器具」の類否について ア 後掲証拠によると,以下の事実が認められる。
(ア) 大都サイトには,以下の記載がある(乙17)。
a リョービ製の電動刈払機(草刈機)が記載され,その特長として, 「住宅地や市街地の家周りの草刈りに最適な低騒音・手間いらずの電気式刈払機。」との記載がある。また,同製品の購入者の商品レビューとして, 「庭の草刈に使用しています。切れ味も良く,便利に利用しています。エンジン式よりも音が静かで,エコで重宝しています。」との記載がある。
b 上記リョービ製の電動刈払機が記載されているページには,この商 「品をチェックした人はこんな商品もチェックしています。 との記載の下に, 」 リョービの表示がある刈刃が記載されている。
(イ) 株式会社藤原農機が開設する通信販売用のウェブサイト「agrizアグリズ」には,以下の記載がある(乙18の1・2)。
a 「・・・農業機械>草刈機(刈払機)>・・・」のページには,ゼノア製の草刈機(刈払機)及び同製品にお勧めのゼノア製の替刃が記載されている。
b 「・・・農業機械>刈払機用替刃・草刈機・芝刈機用替刃>・・・」のページには,ゼノア製のチップソーが記載されている。
(ウ) モノタロウサイトには,以下の記載がある(乙19の1)。
a マキタ製の草刈機が記載され,同草刈機の附属品としてチップソーが記載されている。
b 上記草刈機が記載されているページに,購入者の上記草刈機のレビューが記載されており,同レビューの「用途」の欄に「会社内草刈」「駐車場の草 ,刈り」「工場周囲の草刈り」「庭の芝生刈」等の記載がある。
, , (エ) Amazonのウェブサイトにおいて, 「日立工機 14.4V 18V コードレス刈払機」が記載され,それが記載されているページには「別売部品」として,複数のチップソーが記載されている(乙20)。
(オ) 株式会社クボタ(以下「クボタ」という。)のウェブサイトの「・・・製品サービス>クボタ農業関連商品>製品カテゴリ別>刈払機・チェーンソー・チッパ・ブロワ」のページにおいて, 「クボタ刈払機KC・KCZシリーズ・KZシリーズ」と「クボタ刈払機用チップソー」が記載されている(乙21の1)。また,ク ボタの商品カタログには,クボタを示す表示のあるチップソーが記載されている(乙21の3)。
(カ) 井関農機株式会社のウェブサイトには,「農機店ルート製品」として,刈払機が記載されており,同社の製品カタログには,刈払機及びチップソーが記載されている(乙22の1〜4)。
イ 前記アで認定した事実によると,除草機械器具及び除草機械器具用刃物の需要者としては,農業従事者の他,草刈りをする必要のある環境で生活している者であると認められる。そして,除草機械器具用刃物は,除草機械器具の部品であり,需要者は,上記刃物を購入交換して使用するものと考えられるところ,前記アで認定した事実によると,上記機械器具と同機械器具用刃物は,同一の事業者によって製造,販売されていることがあるものと認められ,また,同一の事業者の表示が付された除草機械器具と同機械器具用刃物も存することが認められる。
以上の事情を考慮すると,除草機械器具と同機械器具用刃物に同一又は類似の商標が付された場合,需要者である農業従事者,草刈りをする必要のある環境で生活している者は,同一の者の製造又は販売にかかる商品であると誤認するおそれがあるというべきである。
そして,除草機械器具は,草木を除草するための機械器具であり,農業用機械器具のうちの一部である栽培機械器具に含まれる。
したがって,本願商標の指定商品中の「除草機械器具用刃物」と引用商標1の指定商品中の「栽培機械器具」とは類似しているというべきである。
(5) 本願商標の指定商品中の「金属加工機械器具用刃物」と引用商標3の指定商品中の「金属加工機械器具の部品及び附属品」の類否について 金属加工機械器具用刃物とは,金属加工機械器具に取り付けられる刃物であって,金属加工機械器具の部品及び附属品に当たる。
したがって,本願商標の指定商品中の「金属加工機械器具用刃物」は,引用商標3の指定商品中の「金属加工機械器具の部品及び附属品」に含まれるというべきで ある。
3 原告は,本願商標は原告を示すものとして周知であるから,原告が本願商標を使用しても,引用商標1及び引用商標3の権利者とは明確に区別でき,同権利者との間で出所の混同は生じない旨主張するので,この点について判断する。
(1) 後掲証拠及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
ア 原告は,大正2年に設立され,大正7年には東京,北海道,久留米に,大正8年には大阪,秋田に,大正10年には盛岡に,それぞれ支店や出張所を設置した。設置当初の頃から秋田支店と盛岡出張所の看板には「TENRYU」又は「Tenryu」を含む会社名の記載があった。(甲7,21,30) イ 原告は,東京証券取引所に上場しており,平成27年3月,平成28年3月,平成29年3月の各決算期における連結売上高はそれぞれ約100億円である。原告は,本社(袋井)以外に,東京,大阪,秋田,富山に支店や営業所を設置しており,海外にも関連会社を有している。(甲21,26,28〜30) 原告は,平成8年に米国法人を設立し,平成11年には,米国において「TENRYU」の商標登録をし,「TENRYU」の商標を刻印した商品を米国へ輸出している(甲7,21,22,30)。
ウ 原告は,遅くとも平成23年以降,本願商標をホームページ上で使用している(甲7,24,29)。
原告は,遅くとも平成21年以降,カタログやパンフレットにおいて本願商標を使用し,配布してきた(甲8,25)。
エ 原告の丸鋸の梱包資材には,遅くとも平成26年以降,本願商標が記載されている(甲31,32)。
オ 原告は,原告のPR用のCDR,看板等において本願商標を使用してきた(甲22,23)。
カ 原告は,「TENRYU」を含む登録商標を4件有している。このうち1713488号商標は,図形と「TENRYU」,「TRADE MARK」及 び「PAS」の各文字を組み合わせたもの,登録第1339942号商標は,図形と「TENRYUSAWMEG,CO,LTD,JAPAN」,「TRADE MARK」,「PAS」及び「登録商標」の各文字を組み合わせたもの,登録第5134974号商標は,図形と「TENRYUSAWMFG,CO,LTD,JAPAN」,「TRADE MARK」,「PAS」及び「登録商標」の各文字を組み合わせたもの,登録第5192660号商標は,「PASTENRYU」(標準文字)である。(甲14) (2) 前記(1)で認定した事実によると,原告は,本願商標を使用して事業を行っており,本願商標は原告を表示するものとして一定程度は知られていることが認められるものの,その程度では,既に認定判示したとおり,引用商標1及び引用商標3と商標及び指定商品が類似する本願商標を使用しても,取引の実情により,出所の混同を生じないとまでいうことはできないから,原告の上記主張を採用することはできない。
4 なお,原告は,引用商標1及び引用商標3は無効理由を有する瑕疵のある商標であると主張をするが,前記第2の2(4)のとおり,上記各商標とも商標登録がされ,その後も有効に存続しているのであるから,これらの商標登録があることを理由として本願商標は商標法4条1項11号に該当するということができ,原告の上記主張は理由がない。
5 以上によると,本願商標は,商標法4条1項11号に該当するから,引用商標2に係る取消事由について判断するまでもなく,登録を受けることができない。
結論
以上の次第で,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
追加
裁判長裁判官森義之裁判官佐野信裁判官熊谷大輔 別紙1引用商標1(1)商標(2)指定商品第7類金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,ミシン,耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。,栽培機械器具,収穫機械器具,植物粗製繊維加工機械器具,飼料圧搾機,飼)料裁断機,飼料配合機,飼料粉砕機,牛乳ろ過器,搾乳機,育雛器,ふ卵器,蚕種製造用又は養蚕用の機械器具,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,ガラス器製造機械,塗装機械器具,包装用機械器具,陶工用ろくろ,プラスチック加工機械器具,半導体製造装置,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のもの及び「水車・風車」を除く。,陸上の乗物用の動力機械の部)品,水車,風車,風水力機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,業務用電気洗濯機,修繕用機械器具,機械式駐車装置,乗物用洗浄機,業務用撹はん混合機,業務用皮むき機,業務用食器洗浄機,業務用切さい機,業務用電気式ワックス磨き機,業務用電気掃除機,芝刈機,電動式カーテン引き装置,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,軸・軸受・軸継ぎ手・ベアリング(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。,動力伝導装置(機械要素))(陸上の乗物用のものを除く。,緩衝器及びばね(機械要素))(陸上の乗物用のものを除く。,制動装置(機) 械要素)(陸上の乗物用のものを除く。,バルブ(機械要素))(陸上の乗物用のものを除く。)2引用商標2(1)商標(2)指定商品第11類便所ユニット,浴室ユニット,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,牛乳殺菌機,工業用炉,原子炉,飼料乾燥装置,ボイラー,暖冷房装置,冷凍機械器具,業務用衣料乾燥機,美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除く。,業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,水道)用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,し尿処理槽,ごみ焼却炉,太陽熱利用温水器,浄水装置,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類,加熱器,調理台,流し台,アイスボックス,氷冷蔵庫,家庭用浄水器,浴槽類,あんどん,ちょうちん,ガスランプ,石油ランプ,ほや,あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,化学物質を充てんした保温保冷具,火鉢類3引用商標3 (1)商標(2)指定商品第7類金属加工機械器具,金属箔原反又は金属箔製造用機械器具の部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,その他の金属加工機械器具の部品及び附属品,土木機械器具,荷役機械器具,ローラーコンベヤーの部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,その他の荷役機械器具の部品及び附属品,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具の部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,その他のパルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具の部品及び附属品,包装用機械器具,プラスチック加工機械器具,液晶ディスプレイ用フィルム原反又は液晶ディスプレイ用フィルム製造用機械器具の部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,有機ELフィルム原反又は有機ELフィルム製造用機械器具の部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,写真フィルム原反又は写真フィルム製造用機械器具の部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,金属箔複合フィルム原反又は金属箔複合フィルム製造用機械器具の部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,電池用フィルム原反又は電池用フィルム製造用機械器具の部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,その他のフィルム原反又はフィルム製造用機械器具の部品及び附属品,ビデオ用磁気テープ原反又はビデオ用磁気テープ製造用機械器具の部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,オーディオ用磁気テープ原反又はオーデ ィオ用磁気テープ製造用機械器具の部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,コンピュータ用磁気テープ原反又はコンピュータ用磁気テープ製造用機械器具の部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,その他の磁気テープ原反又は磁気テープ製造用機械器具の部品及び附属品,その他のプラスチック加工機械器具の部品及び附属品,半導体製造装置,電子部品製造用機械器具,フィルム型太陽電池製造用機械器具の部品として用いる繊維強化プラスチック製ローラー,その他の電子部品製造用機械器具の部品及び附属品
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