関連審決 | 不服2019-1895 |
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事件 |
令和
1年
(行ケ)
10151号
審決取消請求事件
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原告 アップルインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁理士 宮永栄 佐々木香織 被告 特許庁長官 同 指定代理人山根まり子 半田正人 大森友子 豊田純一 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2020/05/20 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 特許庁が不服2019−1895号事件について令和元年6月25日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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請求
主文同旨 |
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事案の概要
1 本件は,原告が,出願した商標について拒絶査定を受けたことから,不服審判請求をしたところ,請求は成り立たない旨の審決がされたので,その取消しを求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実) (1) 原告は,平成29年11月6日に,指定商品を「第9類 アプリケーション開発用コンピュータソフトウェア,他のコンピュータソフトウェア用アプリケーションの開発に使用されるコンピュータソフトウェア,コンピュータソフトウェア」(以下「本件指定商品」という。)として,「CORE ML」の文字を標準文字で表してなる商標(以下「本願商標」という。)について,商標登録出願(商願2017-145606号)をした(甲1)ところ,平成30年11月9日付けで拒絶査定を受けた(甲5。以下,同拒絶査定を「本件拒絶査定」という。)ので,平成31年2月12日に,不服審判請求をした(甲6。不服2019-1895号)。 (2) 特許庁は,前記(1)の不服審判請求について,令和元年6月25日に,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,本件審決の謄本は,同年7月9日に原告に送達された。 3 本件審決の理由の要点 (1) 本願商標 本願商標は,「CORE ML」の文字を標準文字で表してなるところ,「CORE」の文字と「ML」の文字とを,両文字の間に1文字分の空白を介してなるものであるから,両文字を組み合わせたものと容易に看取,把握されるといえるものである。 そして,本願商標の構成中,前半の「CORE」の文字部分は,「ものの中心部。 中核。核心。」の意を有する語であって,我が国においても広く知られている語であり,本件指定商品との関係では,その商品の普通名称や品質等を表示するものであるなど,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないと見るべき事情は見当たらないというべきである。 他方,本願商標の構成中,後半の「ML」の文字部分は,証拠(甲6〜17)によると,本件指定商品のコンピュータソフトウェアを取り扱う業界において, 「Machine Learning(機械学習) の略語を表すものとして広く使用され 」ていることが認められる。 そうすると,本願商標の構成中,後半の「ML」の文字部分は,本件指定商品との関係において,商品が「Machine Learning(機械学習)」を内容とするものであることを,取引者,需要者に理解させるものであって,商品の品質を表す語として認識されるにすぎないものであるから,商品の出所識別標識としての機能が極めて弱いか,又はその機能を発揮しない。 以上より,本願商標は,その構成中,前半の「CORE」の文字部分が強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であるから,当該文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許される。 したがって,本願商標は,構成全体より生じる「コアエムエル」の称呼のほか,その要部である「CORE」の文字に相応して「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念を生じる。 (2) 引用商標 ア 登録第5611369号商標(以下「引用商標1」という。甲10)は,「CORE」の文字を標準文字で表してなり,平成25年4月17日に登録出願,第9類「加工ガラス(建築用のものを除く。,写真機械器具,映画機械器具,光学 )機械器具,測定機械器具,電池,電子応用機械器具及びその部品,眼鏡,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し,及び保存することができる音楽ファイル」を指定商品として,同年8月30日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 引用商標1は, 「CORE」の文字を標準文字で表してなるから,当該文字に相応して,「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念を生じるものである。 イ 登録第5611370号商標(以下「引用商標2」といい,引用商標1と引用商標2を併せて「引用商標」という。甲10)は, 「コア」の文字を標準文字で表してなり,平成25年4月17日に登録出願,第9類「加工ガラス(建築用のものを除く。,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電池, )電子応用機械器具及びその部品,眼鏡,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し,及び保存することができる音楽ファイル」を指定商品として,同年8月30日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 引用商標2は,コア」 「 の文字を標準文字で表してなるから,当該文字に相応して,「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念を生じるものである。 (3) 本願商標と引用商標の類否 ア 本願商標の要部である「CORE」の文字部分と引用商標1とは,標準文字でありかつ同一の文字からなるものである。 また,両者は,称呼及び観念についても, 「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念を同一にするものである。 そうすると,本願商標の要部である「CORE」の文字部分と引用商標1とは,外観,称呼及び観念において同一であるから,本願商標は,引用商標1と互いに類似する商標というべきである。 イ 本願商標の要部である「CORE」の文字部分と引用商標2を比較すると,外観については,それぞれ欧文字又は片仮名の態様であり,差異を有するものであるが,当該差異は,欧文字からなる商標をその読みに対応した片仮名で代替的に表記することが一般に行われているから,特段印象付けられるものではない。 そして,本願商標の要部と引用商標2とは,称呼及び観念については, 「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念を同一にするものである。 そうすると,本願商標の要部と引用商標2とは,称呼,観念を同一にするものであって,外観における差異も特段印象付けられるものではないから,本願商標は,引用商標2と互いに類似する商標というべきである。 (4) 本件指定商品と引用商標の指定商品の類否 本件指定商品「アプリケーション開発用コンピュータソフトウェア,他のコンピュータソフトウェア用アプリケーションの開発に使用されるコンピュータソフトウェア,コンピュータソフトウェア」は,引用商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」と同一又は類似する商品であることが明らかである。 (5) 以上より,本願商標と引用商標とは類似する商標であり,かつ,本願商標は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。 したがって,本願商標は,商標法4条1項11号に該当する。 4 原告の主張する審決取消事由 (1) 取消事由1(本願商標の認定の誤り) ア 結合商標の要部抽出の誤り 結合商標の外観,称呼及び観念の認定については,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないと解するのが妥当とするところ,本件審決では本願商標の称呼及び観念の認定について当該結合商標の類否の判断に則した判断がされておらず,本願商標の外観,称呼及び観念の認定に誤りがある。 イ 本願商標の構成中「CORE」文字部分について 本件審決は,本願商標の構成中の「CORE」の文字が,CPU等のコンピュータハードウェアとの関係において, 「プロセッサコア」や「コアファイル」を意味するものとしても,本件指定商品(コンピュータソフトウェア等)との関係では,商品の出所識別標識としての機能が弱いということはできないと判断している。「コアファイル」とは,プログラムファイルのことであり,コンピュータプログラム又はソフトウェアの一種である。ところが,特許庁は,コアファイルをハードウェアの一種と認識し,コンピュータソフトウェア等との関係では商品の出所識別標識としての機能が弱いということはできないと判断している。このように,被告がコアファイルをコンピュータハードウェアと誤って捉えたように,コンピュータソフトウェアとコンピュータハードウェアは密接な関係にあり,コンピュータハードウェアとコンピュータソフトウェアで,出所識別標識として機能するか,記述的な言葉であるかを分けることは失当である。コンピュータソフトウェアとコンピュータハードウェアが同一の企業にて製造 提供されている例も多く ・ (甲14〜20)また, ,コンピュータに関する用語辞典ではコンピュータソフトウェアとコンピュータハードウェアをまとめて掲載している(甲21〜24)。 したがって,コンピュータハードウェアに関する用語の理解度・識別性は,コンピュータソフトウェアのそれと共通にしていると認定されるべきである。そして,「CORE」の語は,コンピュータ分野にて用いられる言葉である(甲25)から,本質的な識別力は弱く,需要者をして強く支配的な言葉とは認識されない。 なお,商標としても「CORE」の文字がコンピュータの分野で多く採用されている。特許情報プラットフォームにおいて, 「CORE」の文字又は「コア」の称呼を含む登録例を確認すると320件存在している(甲26,27)。ここから「CORE」の文字が商標としても採用されがちな単語であることが把握できる。 ウ 本願商標の構成中「ML」文字部分について 本件審決は,本願商標の構成中の「ML」文字部分について,本件指定商品のコンピュータソフトウェアを取り扱う業界において,「Machine Learning(機械学習) の略語を表すものとして広く使用されていることが認められる 」と認定している。 しかし,コンピュータの分野では「ML」は他の意味で用いられる場合も少なくない。例えば,IT用語辞典では「ML」はメーリングリストと紹介されている(甲28) また, 。 コンピュータ形式言語としてある「HTML」, 「XML」, 「SGML」の「ML」部分は「markup language」の略語として知られ, 「ML」として用いられている(甲29)。 このようにコンピュータの分野で「ML」は多義的な言葉である。 日本では,人工知能でコンピュータにデータからルールなどを学習させる手法を「機械学習」と称するのが一般的であり, 「ML」は機械学習の英語である「マシーンラーニング(Machine Learning) を暗示する場合があるにすぎ 」ない。 したがって,本件審決の上記判断は誤りである。 エ 取引の実情 出願人及び需要者は本願商標全体を一体不可分の商標として用いている(甲8の14〜22,甲30〜33)。 オ 小括 以上のとおり,本願商標を構成する文字「CORE」及び「ML」はいずれもコンピュータの分野において一定の意味合いを理解させる語ではあるものの,「ML」の語を捨象する事情があるとは見受けられない。むしろ,各語から一定の意味合いを理解し得ることから,商標全体から「中核の機械学習,中核となる機械学習」のような意味合いや「中核のメーリングリスト,中核のマークアップ言語」が想起され得るといえる。 また,本願商標全体から生じる称呼「コアエムエル」は冗長ではない。 したがって,本願商標は全体を一体不可分とみるべきで,本願商標「CORE ML」の構成中「ML」の部分を捨象して「CORE」の部分を要部と認定した本件審決は誤りである。 (2) 取消事由2(本願商標と引用商標の類否判断の誤り) 上記(1)のとおり,本願商標は「CORE ML」の構成全体で一体と捉えるべきものであり,「コアエムエル」の称呼のみが生じ,「中核の機械学習」のような意味合いが想起されるものである。本願商標と引用商標1,2との対比についての本件審決の判断は,以下のとおり誤っている。 ア 引用商標1との対比について 引用商標1の「CORE」から生じる称呼は「コア」であり,広辞苑等に載録された「ものの中心部。中核。核心。」の意味合い,又は上記IT用語辞典に載録された「プロセッサコア」や「コアファイル」の意味を理解させるものである。 本願商標については上記のとおりであり, 「ML」の語の有無によって,引用商標1は,本願商標とは外観及び称呼が明らかに異なる。 このように,本願商標は引用商標1と非類似の商標であるにもかかわらず,引用商標1と類似の商標であると認定した点において本件審決は誤りである。 イ 引用商標2との対比について 引用商標2「コア」においても引用商標1と同様,広辞苑等に載録された「ものの中心部。中核。核心。」の意味合い,又は上記IT用語辞典に載録された「プロセッサコア」や「コアファイル」の意味を理解させるものである。 本願商標については上記のとおりであり, 「ML」の語の有無によって,引用商標2は,本願商標とは外観及び称呼が明らかに異なる。 このように,本願商標は引用商標2と非類似の商標であるにもかかわらず,引用商標2と類似の商標であると認定した点において本件審決は誤りである。 5 被告の主張 (1) 取消事由1(本願商標の認定の誤り)について ア 本願商標 (ア) 本願商標の構成態様について 本願商標は,「CORE ML」の文字を標準文字で表してなるところ,これは,「CORE」の文字と「ML」の文字との間に1文字分の空白を有するものであるから,本願商標は,両文字を組み合わせた結合商標であると容易に看取,把握されるものである。 そして,上記のとおり,本願商標は, 「CORE」の文字と「ML」の文字との間に,1文字分の空白を有するため,これらの文字は,視覚上,明確に分離して観察されるといえる。 (イ) 本願商標の構成中の「CORE」の文字について 本願商標の構成中の「CORE」の文字は,欧文字であるとしても, 「広辞苑 第七版」をはじめとする我が国の代表的な国語辞典において,「コア【core】」の項に,「ものの中心部。中核。核心。」の意味を有する語として載録されていることから,広く一般に知られている語である(乙3〜5)。 そして, 「CORE(core)」の文字や「CORE(core)」の表音である「コア」の文字は,上記の意味を有することから,ものの中心部や核心を表現する場合に,普通に使用される場合があるものの,本願商標の指定商品である「コンピュータソフトウェア」を含むコンピュータに関する用語が多数掲載された辞典や辞書等を参照しても,これらの辞典等には,「CORE(core)」及び「コア」の文字が,「コンピュータソフトウェア」の普通名称や「コンピュータソフトウェア」の品質等を表示する語として載録されていない(甲8,11,25,乙6〜14)。 そうすると,本願商標の構成中の「CORE」の文字は,本願商標の指定商品との関係において,商品の普通名称や品質等を表示する語であるとする事情は見当たらない。 (ウ) 本願商標の構成中の「ML」の文字について 本願商標の構成中の「ML」の文字は,欧文字の「M」と「L」の各文字を組み合わせたものと容易に把握できるところ,本件指定商品の「コンピュータソフトウェア」を取り扱う業界において,同文字は, 「Machine Learning(機械学習)」の略語を表すものとして,甲8の各記事の他,新聞記事において,広く使用されている実情がある(乙15〜22)。 (エ) コンピュータを取り扱う業界における取引の実情 本件指定商品の「コンピュータソフトウェア」を含むコンピュータを取り扱う業界において, 「Azure ML」 (甲8)のほか,例えば, 「Amazon ML」,「Windows ML」「BigQuery , ML」「Java-ML」「Co , ,metML」「Arm , ML」「Runway , ML」「pyspark.ml」 , ,「Google Developers ML」等のように,ブランドの名称などの商品名(商標)に,機械学習(Machine Learning)の略称である「ML」の欧文字を結合し,そのブランド名称等の使用者が提供する機械学習(Machine Learning)に関するコンピュータソフトウェア,それを使用するプラットフォームの名称を表すものとして,実際に使用されている例が多数見受けられる(乙23〜32)。これらの使用例からすると,本願商標の指定商品との関係においては,ある文字を,空白等を介して「ML」の文字と組み合わせてなるものは, 「ML」の文字を, 「Machine Learning(機械学習)」の略称として捉えられるというのが自然である。 (オ) 小括 これらの事情を踏まえると,本願商標の構成中の「ML」の文字は,本件指定商品との関係において,その指定商品が「Machine Learning(機械学習) を行うための商品であることを需要者に理解させるものであって, 」 商品の品質・用途を表す語として認識されるにすぎず,商品の出所識別標識としての機能がないか又は極めて弱いものであることから,本願商標の構成中の「ML」の文字は,商品の出所識別標識としての独立した称呼及び観念は生じない。 他方,本願商標の構成中の「CORE」の文字は,本願商標の指定商品との関係において,商品の普通名称や品質等を表示する語であるとする事情は見当たらない。 そうすると,本願商標は,その構成中の「CORE」の文字が,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり,他方,その構成中の「ML」の文字は,商品の出所識別標識としての独立した称呼及び観念が生じないものであることから,本願商標は,その構成中の「CORE」の文字を要部として抽出し,これと引用商標とを比較して商標の類否を判断することも許されるものである。 したがって,本願商標は,構成文字全体から生じる「コアエムエル」の称呼のほか,その要部である「CORE」に相応して「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念が生じるものである。 よって,取消事由1は理由がない。 (2) 取消事由2(本願商標と引用商標の類否判断の誤り)について ア 前記(1)のとおり,本願商標は,その構成中の「CORE」の文字を要部として抽出し,これと引用商標とを比較して商標の類否を判断することも許されるものであり,本願商標は,構成文字全体から生じる「コアエムエル」の称呼のほか,その要部である「CORE」に相応して「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念が生じるものである。 イ 引用商標 (ア) 引用商標1 引用商標1は, 「CORE」の文字を標準文字で表してなるから,当該文字に相応して,「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念を生じるものである。 (イ) 引用商標2 引用商標2は,コア」 「 の文字を標準文字で表してなるから,当該文字に相応して,「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念を生じるものである。 ウ 本願商標と引用商標の類否について (ア) 本願商標と引用商標1の類否について 本願商標の要部である「CORE」の文字と引用商標1は,共に,標準文字で表してなるものであり,かつ,その構成文字も同一である。 また,本願商標の要部である「CORE」と引用商標1は, 「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念を同一にするものである。 そうすると,本願商標の要部である「CORE」の文字と引用商標1とは,外観,称呼及び観念において同一であるから,本願商標は,引用商標1と類似する商標である。 (イ) 本願商標と引用商標2の類否について 本願商標の要部である「CORE」と引用商標2を対比観察した場合,外観において相違するが,本願商標の要部である「CORE」の文字から生ずる「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念と引用商標2から生ずる「コア」の称呼及び「ものの中心部」の観念は,同一である。 そうすると,本願商標の要部である「CORE」の文字と引用商標2とは,外観において相違するとしても,称呼及び観念を同一にするものであるから,本願商標は,引用商標2と類似する商標である。 エ したがって,本件審決の本願商標と引用商標の類否判断に誤りはなく,取消事由2は理由がない。 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当裁判所の判断
1 取消事由1(本願商標の認定の誤り)について (1) 前記第2の2(1)のとおり,本願商標は,「CORE ML」の文字を標準文字で表してなる商標であり,「CORE」の文字と「ML」の文字とからなる結合商標である。 複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,原則として許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号平成5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁)。 そこで,本件商標と引用商標との類否の判断に当たって,本件商標の一部である「CORE」の部分を抽出して,引用商標と比較することができるかについて,以下,検討する。 (2) まず, 「CORE」「ML」の語の意味内容及び使用状況,本願商標の使用 ,状況につき,判断の基準時である本件審決時までに存した証拠に基づき認定する。 ア 「CORE」の語について 後掲証拠によると,各種辞典等に以下のとおりの記載があることが認められるが,「ウィキペディア」「コンピュータ略語一覧」平成31年3月14日。 の ( 甲8の2),「デジタル用語事典2000-2001年版」平成12年3月20日, ( 日経BP社。 乙6)「コンピュータ&情報通信用語事典」 , (平成13年7月25日,株式会社オーム社。乙7)「最新・基本パソコン用語事典(平成21年4月15日,株式会社秀 ,和システム。乙9)「IT用語図鑑」 , (令和元年5月13日,株式会社翔泳社。乙11)には,「CORE」又は「コア」の項目はない。 (ア) 広辞苑第7版(平成30年1月12日,株式会社岩波書店。乙3)「コア【core】@ものの中心部。中核。核心。A建物の中央部で,共用施設・設備スペース・構造用耐力壁などが集められたところ。 ・・・B鋳物の中子 なかご。C(コイルなどの)鉄心てつしん。D地球の核。 ・・・E試錐(ボーリング)によって採取した円柱状の土壌や岩石の試料。・・・」との記載がある。 (イ) 大辞林第3版(平成18年10月27日,株式会社三省堂。乙4) 「コア?core?@物の中心部。中心となる部分。核。中核。A地球の核。Bコイルなどの鉄心。C鋳物の中子なかご。D原子炉の炉心。E建物で,共用施設をまとめて設置した所。・・・」との記載がある。 (ウ) 大辞泉第2版(平成24年11月7日,株式会社小学館。乙5)には,以下のとおりの記載がある。 a 「コア?core?@物の中心部。中核。A地球の核。B鋳物の中空部分をつくるための鋳型。中子なかご。C物の芯に鉄を入れたもの。鉄心。Dコアシステムの建築物で,共用施設をまとめた部分。E地層をドリルなどでくり抜いて採取した,堆積土のサンプル。・・・」 b 「コア?CORE?・・・人種平等会議。人種・信教・性別・年齢・障害の有無,性的傾向,宗教または民族的背景にかかわらず,すべての人々に平等をもたらすことを目的とする。1942年に結成。本部はニューヨーク。」 (エ) 「現代用語の基礎知識2019」(平成31年1月1日,自由国民社。 乙10) 「コア〔core〕(1)核。物の中心部。鉄心。(2)あらゆる教育科目の中心となる科目(コアカリキュラム)。(3)ボーリングや細い穴あけ用の道具で得られた地層やその他の物のサンプル。」との記載がある。 (オ) 「IT用語辞典e-Words」のウェブサイトの「コア【core】」の項目(平成31年3月27日。甲25)には,以下のとおりの記載がある。 a 「コアとは,核,芯,中心,核心などの意味を持つ英単語。日本語の外来語としても複合的な構造物の中心部分のことを指す用例が多い。」 b 「マイクロプロセッサのコア マイクロプロセッサ(CPU/MPU)の内部で,独立して機能する演算・制御装置のことをプロセッサコアあるいは略してコアという。複数のコアを搭載したプロセッサをマルチコアプロセッサという。・・・ また, ・・・米インテル(Intel)社の主力のx86系マイクロプロセッサの製品シリーズ名を「Intel Core」(インテル・コア)という。・・・」 c 「コアダンプ 一部のオペレーティングシステム(OS)では,実行中のプログラムがエラーで強制終了する際に,その時点でプログラムが使用しているメモリ空間の内容を丸ごと写し取ってファイルに保存したものをコアダンプ(core dump)あるいはコアファイル(core file)という。・・・」 d 「光ファイバーのコア 光ファイバーの透明な芯材のうち,光信号を伝達する中心部の細い芯線をコアという。・・・」 e 「ネットワークのコア 大規模な通信ネットワークで,中心部の基幹回線網のことをコア(コアネットワーク),末端部をエッジ(エッジネットワーク)ということがある。」 (カ) 「IT用語辞典e-Words」のウェブサイトの「コア【core】」の項目(平成11年9月4日。甲4の21枚目)には,以下のとおりの記載がある。 a 「コアとは,核,芯,中心,核心などの意味を持つ英単語。」 b 「単にコアと言った場合は,マルチコアプロセッサにおけるプロセッサコアや,Intel社のIntel Coreシリーズのマイクロプロセッサ製品,UNIX系OSでプログラムが不正終了したときメモリやレジスタの内容をディスクに記録したファイル(コアファイル)のことを指す場合が多い。」 (キ) 「「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるIT用語辞典」のウェブサイト(平成28年6月2日。甲11)「コアファイル(coreファイル) (英:core file)とは」「UNI ,X系のパソコンにおいて,プログラムが異常終了した際に出力される「core」という名前のファイルのこと」との記載がある。 (ク) 「Qiita」のウェブサイト(平成29年10月16日。甲12) 「[Linux]coreファイルについて」との見出しの下,「coreファイルとはプロセスが異常終了した時のメモリ内容をダンプしたもの。各変数の値やスレッドの状態,終了した時のソースコードの行数などを確認することができる」との記載がある。 イ 「ML」の語について 後掲証拠によると,新聞やウェブサイト等に以下のとおりの記載があることが認められる。なお,「ウィキペディア」の「コンピュータ略語一覧」には,「ML」の項目はない(平成31年3月14日。甲8の2)。 (ア) 日本経済新聞朝刊(平成30年1月18日。乙15) 「グーグル,AI活用手軽に,利用企業,専門家要らず,わずかな材料で画像分析。」との見出しの下,「米グーグルは17日,クラウド経由で企業が簡単に人口知能(AI)を活用できるサービスを始めると発表した。 ・・・新サービス「クラウドオートML(機械学習)」を17日朝から一部顧客を対象にサービスを始めた。」との記載がある。 (イ) 化学工業日報(平成30年6月1日。乙16) 「栗田工業,AI・機械学習で水道管劣化予測,米ソフトVBを子会社化」との見出しの下, 「栗田工業は,米国のフラクタ・インクに出資し子会社化した。29日に開催した取締役会で決議し,同社および出資者との間で出資契約を締結した。これによりフラクタ・インクの100%子会社でAI/ML(人工知能・機械学習)を用いた水道管劣化予測ソフトウエアサービスを展開しているフラクタ社も傘下に収め,水処理ソリユーションの基盤強化を図る。」との記載がある。 (ウ) 日経産業新聞(平成30年10月24日。乙17) 「深層学習,4年が生んだ進化,翻訳・自動言語処理,グーグル,事業利用続々(モバイルの達人)」との見出しの下,「グーグルは高度なプログラミング能力を必要とせず,画像をアップロードすると自動的に画像を認識するAIモデルを作成する「オートMLビジョン」を公開した。MLはマシンラーニングの略だ。さらに自然言語処理や翻訳に使えるサービスも公開した。」との記載がある。 (エ) 「FujiSankei Business i.(平成31年1月 」3日。乙18) 「【ジェーンズ・ディフェンス・ウオッチ】AIの進化が諜報活動を一変」との見出しの下, 「AI研究は80年代後半,徐々に衰退したが2000年代に入りコンピューターの能力が向上,マシンラーニング(機械学習=ML)として知られるようになると,AIに対する関心が高くなり再び注目が集まるようになった。MLではコンピューターが自ら「学習する」。そして,アナリストがオープンソースでアクセスするデータ量に圧倒され,その中からより多くのデータを分析する場合,MLは効果的かつより良いパフォーマンスを発揮する。」との記載がある。 (オ) 日経産業新聞(令和元年6月18日。乙19) 「WiL共同創業者兼CEO伊佐山元 外国人誘致,最後の好機(新風シリコンバレー)」との見出しの下, 「今はやりのAI(人工知能),ML(機械学習)などは対象となる。」との記載がある。 (カ) 「平成30年版 情報通信白書 第2部」(甲8の3) 「「AI」に関しては,2017年(平成29年)6月に国連と国連専門機関などが中心となって開催したAIに関するワークショップをきっかけとして,同年11月にFG ML5G(5Gを含む将来のネットワークのための機械学習(ML:Machine Learning)に関するフォーカスグループ(FG))が第13回研究委員会(SG13)配下に設置されるなど,ネットワーク分野におけるAIの活用に関する研究が本格的に開始された。」との記載がある。 (キ) 内閣府食品安全委員会のウェブサイト(平成31年3月11日。甲8の6) 「過去20年間にわたり,機械学習(ML)は,特に大量のデータや大規模で多次元の異種データセットが利用可能であり,及び/又は推奨される数学的手法がない状況において,データから自動的に学習することを目的として,ますます重要になっている。」との記載がある。 (ク) 国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センターのウェブサイト(平成31年3月11日。甲8の7) 「無線周波数(RF)スペクトルはますます混雑の度合いを増している。DARPAの新規プログラム「無線周波数機械学習システム(RFMLS)」では,最先端の機械学習(ML)がこの混雑の中であらゆる信号の把握に役立つかどうかを吟味する。」との記載がある。 (ケ) 国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センターのウェブサイト(甲8の8) 「ソフトウェア工学×機械学習〜ディペンダブルな機械学習ソフトウェア・システム開発に向けて〜」との見出しの下,「IoT+AIとあるがIoT+MLの方がよい。」との記載があり,さらに,上記記載の下に記載された図面中に,「Internet of Things(IoT)+」の記載の右横に,「人工知能(AI)」と「機械学習(ML)」との記載がある。 (コ) 「DMM INSIDE」のウェブサイト(平成30年9月20日。 甲8の12) 「Google Cloud Platformを活用したMachine Learningハンズオン」との見出しの下, 「DMMでは,社内の業務効率や顧客向けサービスの品質改善のためにMachine Learning(ML)を活用しており,そこで,AI部は,専門性の高いML技術の研究開発や,社内のML活用推進活動をしています。」との記載がある。 (サ) 「IT用語辞典e-Words」のウェブサイト(平成27年10月8日。甲28)。 「メーリングリスト【mailing list】ML」との項目がある。 (シ) 「DAIKO CREA」のウェブサイト(平成28年2月8日。甲29)。 「・ ・SGMLが一般的によく知られているXMLやHTMLとどう違うのか, ・社内外からたまに問い合わせがあるので簡潔にまとめてみました。 ・・・相違点の前に共通点として,いずれもマークアップ言語(MarkupLanguage)に分類されます。因みにSGML,XML,HTMLの「ML」はこの「マークアップ言語(MarkupLanguage)のMとLの略です。」との記載がある。 (ス) アイティメディア株式会社のウェブサイト(平成30年3月27日。 乙24) 「Windows 10で機械学習ライブラリを実行するための「Windows ML」とは何か」との見出しの下, 「米Microsoftは3月7日(現地時間)に,学習済みの機械学習ライブラリをWindows上でローカルに動作させるためのAPI「Windows ML(Machine Learning)」を発表した。」との記載がある。 (セ) 「TechCrunch Japan」のウェブサイト(平成30年4月6日。乙26) 「CometMLは「機械学習のためのGitHub」になることを狙う」との見出しの下に, 「Comet.mlは,データサイエンティストと開発者たちが,自身の書く機械学習モデルのモニタリング,比較,そして最適化を簡単に行えるようにする。, 」「このサービスが提供するのは,機械学習(ML)実験コードとその結果をまとめることのできるダッシュボードだ。」との記載がある。 (ソ) 株式会社インプレスのウェブサイト(平成30年5月23日。乙27) 「後藤弘茂のWeekly海外ニュース」 Armが機械学習専用プロセッサ 「 , 「Arm ML」を投入へ」「マシンラーニングに特化したArm , MLプロセッサ」の各見出しの下, 「Armがついにマシンラーニング(ML:機械学習)専用プロセッサのIPを正式にリリースする。Armの「Arm MLプロセッサ(Machine Learning Processor)は,最近,各社から次々に登場している「ニューラルネットワークプロセッサ(NPU)」と同じく,ニューラルネットワーク(Neural Network:NN)を低電力かつ高パフォーマンスに実行する。CPUやGPU,DSPの拡張ではなく,最初からML処理専用に設計された専用アーキテクチャだ。」との記載がある。 (タ) 「しーたけの気まぐれ備忘録」のウェブサイト(平成25年5月23日。乙30) 「Java Machine Learning Library(Java-ML)はじめ」との見出しの下, 「Javaから扱える機械学習ライブラリを見つけたので使ってみた」との記載がある。 (チ) 「け日記」のウェブサイト(平成30年9月15日。乙32) 「PySparkでMLを使って機械学習する」との見出しの下, 「MLパッケージ(pyspark.ml)は機械学習用のパッケージです。」との記載がある。 (ツ) 「cloud.google.com」のウェブサイト(平成31年3月7日。甲8の9) 「Google Cloud Machine Learning(ML)Engineは,デベロッパーやデータサイエンティストが優れた機械学習モデルを構築し,本番環境にデプロイできるようにするマネージドサービスです。CloudML Engineにはトレーニングと予測の機能があり,これらを組み合わせて使うことも,それぞれを個別に使うこともできます。」との記載がある。 (テ) 「Qiita」のウェブサイト(平成30年10月10日。甲8の11) 「Automated Machine Learning(@Azure ML)を試す」「Auto , ML(Automated Machine Learning)とは」との各見出しの下, 「・・・Automated MachineLearning(以下AML)とは現実世界の課題を機械学習に適応させる二者間の自動化プロセスである。」との記載がある。 (3) 以上を前提に検討する。 ア 「CORE」について 前記(2)アのとおり,「CORE」の語には,「ものの中心部,中核,核心」,「建物の中央部で,共用施設・設備スペース・構造用耐力壁などが集められたところ」,「地球の核」「試錐 , (ボーリング)によって採取した円柱状の土壌や岩石の試料」,「一部のオペレーションシステムでプログラムが不正に終了したとき,メモリの内容をまるごと保存したファイル(コアファイル,コアダンプ)」,「マイクロプロセッサのコア」,「Intel社の商品であるCOREシリーズ」等の多様な意味があるが,前記(2)アのとおり,多くのコンピュータ関連の用語辞典等には,「CORE」や「コア」の項目が掲載されていない。 上記の意味のうち,「コアファイル」,「コアダンプ」,「マイクロプロセッサのコア」,「Intel社の商品であるCOREシリーズ」は,コンピュータ関連の用語であるが,「CORE」の語がコンピュータソフトウェアである本件指定商品に使用された場合は,コンピュータハードウェアを意味する「マイクロプロセッサのコア」やコンピュータハードウェアの商品名である「Intel社の商品であるCOREシリーズ」を意味するものとは認識されないというべきであるし,「コアファイル」や「コアダンプ」も一部のオペレーションシステムで用いられている用語にすぎず,「コアファイル」や「コアダンプ」と認識されるとも認められない。 また,「CORE」の語が本件指定商品に使用された場合,「中心部,中核,核心」などの一般の辞書に掲載されている意味のどれとも認識されないか,認識されるとしても,せいぜい「中心部,中核,核心」という意味と認識されるにすぎないというべきである。 イ 「ML」について (ア) 前記(2)イの認定からすると,「ML」の語には,「マシーンラーニング(Machine Learning)」,「メーリングリスト(mailing list)」,「マークアップ言語(MarkupLanguage)」の略語の意味があることが認められる。 しかし,@本件において,一般的な辞書に,「ML」の項目が存在することの証拠は提出されていないこと,A前記(2)イのとおり,「ML」の語が「マシーンラーニング(Machine Learning)」の略語として使用された例は一定数存するが,それらの使用例においては,必ず,「機械学習」という語と共に使用されていること,Bコンピュータ関連の用語辞典の中には,「ML」の項目が存在するものがあるものの,同項目が存在しないものもあり(「ウィキペディア」のウェブサイトの「コンピュータ略語一覧」),同項目を設けている用語辞典(「IT用語辞典e-Words」)では,「ML」は「メーリングリスト」の意味であると説明されていることからすると,「ML」の語が何らの説明もなく使用された場合,「マシーンラーニング(Machine Learning)」の略語を意味すると認識されるとはいえないというべきである。また,ブランド名と「ML」を結合し,「ML」を「Machine Learning」として用いる例があるとしても, 「CORE」のみでは,本件指定商品との関係ではブランド名とは認められないから,そのことを根拠に本願商標の「ML」が「Machine Learning」と認識されると認めることもできない。 また,上記のとおり,コンピュータ関連の用語辞典には,「ML」を「マークアップ言語」を意味するものと説明しているものはないこと,本件証拠上,「ML」の語が 「マークアップ言語」の略語の意味として使用されていると認められる例は,「SGML」「XML」「HTML」のみであることからすると, , , 「CORE」の語の次に一文字開けて「ML」の語を配置した場合に, 「ML」の語が「マークアップ言語」と認識されるとはいえないというべきである。 さらに,上記のとおり,「ML」の語が「メーリングリスト(mailing list)」の略語の意味を有することは「IT用語辞典e-Words」に記載されているが,他に, 「ML」の語が「メーリングリスト」の意味で使用されている例を示す証拠は提出されていないことからすると,「ML」の語が「メーリングリスト(mailing list)」の略語の意味として認識されるということもできない。 (イ) 以上からすると,本件指定商品に, 「CORE」の語の末尾に1文字開けて「ML」を配した語が使用された場合, 「ML」から,何らかの観念が生じると認めることはできない。 ウ 以上のア,イで判示したところからすると,本願商標が本件指定商品に使用された場合,「CORE」の語からは,せいぜい「中心部,中核,核心」といった一般的な意味が認識されるにすぎず,「CORE」の部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということはできないのに対し,「ML」の語からは特定の観念を生じることはなく,「ML」の部分が「CORE」の部分に比べて特段出所識別標識としての機能が弱いということはできない。 また,本願商標の外観上も, 「CORE」と「ML」は,いずれも,同じ大きさの標準文字で構成されており,その間に1文字開いているだけであるから,別個独立の商標と認識されるものではない。 さらに,称呼においても,本願商標は,一連に発音されるものと認められる。 したがって,本願商標と引用商標との類否を判断するに当たっては,本願商標全体と引用商標を対比すべきであり,本願商標から「CORE」の部分を抽出し,これを引用商標と対比してその類否を判断することは許されないというべきである。 したがって,原告の主張する取消事由1は理由がある。 2 取消事由2(本願商標と引用商標の類否判断の誤り)について 本願商標からは, 「コアエムエル」の称呼が生じ,引用商標1,2からは, 「コア」の称呼が生じるところ,その音数は大きく異なっていることからすると,その差異は大きいというべきである。 また,本願商標の「CORE ML」と引用商標1の「CORE」及び引用商標2の「コア」とは,その外観が異なる。 本願商標の「CORE ML」の「CORE」の部分と,引用商標1の「CORE」及び引用商標2の「コア」では,「中心部,中核,核心」といった観念が生じる点で,観念が共通することがあるものの,上記のとおり,本願商標と引用商標1,2とは,称呼と外観において異なっており,称呼における差異は大きいことからすると,本願商標は,引用商標のいずれとも類似していないというべきであり,原告の主張する取消事由2は理由がある。 |
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結論
以上の次第で,原告の請求は理由があるから,本件審決を取り消すこととして,主文のとおり判決する。 |