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関連審決 取消2020-300083
取消2020-300084
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事件 令和 2年 (行ケ) 10151号 審決取消請求事件
令和 2年 (行ケ) 10152号 審決取消請求事件
第1事件・第2事件原告 X
同訴訟代理人弁護士 藤井大祐 第1事件・第2事件被告 Y
同訴訟代理人弁理士 雨宮康仁
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2021/07/29
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 特許庁が取消2020−300083号事件について令和2年11月17日にした審決を取り消す。
2 特許庁が取消2020−300084号事件について令和2年11月25日にした審決を取り消す。
3 訴訟費用は,第1事件,第2事件を通じ,被告の負担とする。
事実及び理由
請求
1 第1事件 主文1項と同旨 2 第2事件 主文2項と同旨
事案の概要
第1事件及び第2事件は,いずれも,商標の不使用(商標法50条1項)を理由とする商標登録の取消審決の取消訴訟である。
1 商標 原告は,別紙1商標目録1の商標(以下「本件商標1」という。)及び別紙2商標目録2の商標(以下「本件商標2」という。 の商標権者である ) (甲1の1・2)。
2 特許庁における手続の経緯等 (1) 第1事件関係 被告は,令和2年1月30日,商標法50条1項に基づき不使用を理由として本件商標1を取り消すとの審決を求める審判請求(取消2020-300083号。
以下「本件審判請求1」という。)をした(本件審判請求1の登録日は同年2月14日)ところ,特許庁は,同年11月17日,「登録第4854197号商標の商標登録を取り消す。」との審決(以下「本件審決1」という。)をし,その謄本は,同年12月3日,原告に送達された。
(2) 第2事件関係 被告は,令和2年1月30日,商標法50条1項に基づき不使用を理由として本件商標2を取り消すとの審決を求める審判請求(取消2020-300084号。
以下「本件審判請求2」という。)をした(本件審判請求2の登録日は同年2月14日)ところ,特許庁は,同年11月25日,「登録第5780372号商標の商標登録を取り消す。」との審決(以下「本件審決2」という。)をし,その謄本は,同年12月3日,原告に送達された。
(3) 上記(1)及び(2)より,本件審判請求1及び2のいずれについても,登録前3年以内の期間は,平成29年2月14日から令和2年2月13日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
3 本件審決1及び2の理由の要点 (1) 本件審決1の理由の要旨 ア 証拠によると,次の事実が認められる。
(ア) 原告が作成したチラシ(甲4。以下「本件チラシ」という。)には,別紙3の1のとおり,「DOLGES」の文字の下に「D」及び「S」を重なるよ うに組み合わせて円で囲んだ図形(以下「本件使用商標1-1」という。)を紙製の外装箱に表示した「エクスバイアージュ」と称する「美容クリーム」(以下「本件使用商品1」という。)の写真並びに「DollySkin」(ドーリースキン)という名称の「美容ミスト」の写真が掲載され,両商品ともに「¥2,990」の価格,注文先として「http://以下省略」のアドレス(以下「本件アドレス」という。)及び担当者として「ドルジェス 【担当】X」の記載がある。
なお,本件チラシの上部には「〈送料無料〉&〈いずれか2つ以上お買い上げで美容石鹸プレゼント♪〉2017年1月1日〜」の記載があるが,その他に,本件チラシの作成時期及び頒布時期が確認できる記載はない。
(イ) 原告の管理するウェブサイトである「weebly」の「クーポンユーザー様専用サイト」(省略)(甲5[令和2年4月14日印刷]。以下「本件サイト」という。)には,容器側面に「EX:biargue」の文字を表示した本件使用商品1(美容クリーム)と思しき商品写真とともに,別紙3の2のとおり,「D」及び「S」を重ねるように組み合わせて円で囲んだ図形の右側に「DOLGES」の文字を横並びで表してなる商標(以下「本件使用商標1-2」という。)が表示してあり,「1個(送料無料)2,990円」,「6個(送料無料)17,940円」などの記載がある。なお,本件サイトには,上記美容クリーム以外の商品情報の記載はない。
本件サイトと関連する「weebly」のアカウント記録(甲11の2)には,「ログイン履歴」として,平成23年8月から10月にかけて及び令和2年7月から9月にかけてのログイン記録がある。なお,原告は,上記アカウント記録の要証期間における「ログイン履歴」及び「注文履歴」は提出していない。
(ウ) 令和2年1月10日付けでPayPalから原告に送付された電子メール(甲6の2)には,愛知県在住の個人の買い手から,「¥17,940JPY」の支払があった旨が記載されており,日付が印刷されていないPayPalから原告に送付された電子メール(甲12の2)には,愛知県在住の個人の買い手から, 「エクス:バイアージュ6個(送料無料)」,「¥17,940JPY」の支払があった旨が記載されている。
(エ) 原告が作成した「納品書」と題する書面(甲7の2。以下「本件納品書写し」という。)には,「2020年1月11日」,「本日(1月11日)商品発送させていただきました。」,「【商品名】日本郵便・レターパックプラス(対面でのお受取)」,「【追跡番号(商品番号)】627149932452」の記載とともに,「商品」の欄に「美容クリーム」,合計額の欄に「¥17,940」,「※美容石鹸2つプレゼント(同梱)」の記載がある。
(オ) 郵便局の配達記録(甲13の2)によると,お問い合わせ番号「6271-4993-2452」の「レターパックプラス」は,令和2年1月12日に引受けがされ,同月13日に愛知県で配達完了している。
イ 上記アの認定事実によると,本件使用商標1-1を外装箱に表示するエクスバイアージュと称する本件使用商品1(美容クリーム)について,明確な時期は不明であるものの,広告実績(チラシ,ウェブサイト)があることはうかがえるが,次のとおり,原告提出の証拠によっては,要証期間において同商品が販売及び広告された事実を認定することができない。
(ア) 本件チラシと関連する本件使用商標1-1の使用について 要証期間における本件チラシの頒布の事実及び頒布期間を示す証拠等はないばかりか,本件チラシにはキャンペーン開始日(2017年1月1日〜)が記載されているものの,キャンペーン開始日(特に配布時には既に経過している開始日)を記載する実質的な意味は見いだし難く,記載理由が不可解である。また,本件チラシに掲載された商品の注文先とする本件サイトの管理アカウントのログイン履歴(甲11の2)について,原告がチラシを作成,頒布したとする平成29年頃のログイン記録又は注文履歴は提出されておらず,他に要証期間に商品が注文されたことを証する証拠の提出はない。さらに,本件サイトには,少なくとも令和2年4月の時点においては,本件チラシに掲載された「DollySkin」(ドーリースキン) という商品に関する情報の掲載はなく,本件チラシと本件サイトの間の整合性が確認できない。 したがって,要証期間における本件チラシの頒布の事実は認められない。
(イ) 本件サイトと関連する本件使用商標1-2の使用について 本件サイトに本件使用商標1-2が本件使用商品1と思しき商品写真と共に掲載されているとしても,上記ア(イ)のとおり,要証期間におけるログイン記録の提出はなく,また,その他に需要者等が要証期間に本件サイトを閲覧したとする証拠の提出はない。そして,本件サイトに掲載されている令和2年4月の時点における本件使用商品1と思われる商品の価格(1個2990円)は,本件チラシにおける本件使用商品1の掲載価格から変更がないところ(原告の主張の全趣旨から,いずれの価格も税込価格と推認できる。),その間の令和元年10月1日における消費税の税率引上げを考慮すると,価格変更がないことは不自然である。そうすると,原告提出の証拠によっては,本件サイトが実質的に有効な広告であったとは評価し得ず,要証期間における広告的使用を認めることはできない。
(ウ) 令和2年1月10日から同月12日にかけての取引(甲6,7,12及び13の各2)について 次のとおり,各証拠のつながりや一貫性,整合性に不自然な点があり,上記の時期に本件商標1の使用と関連する本件使用商品1に関する取引があったとは認められない。
a 「レターパックプラス」(甲13の2)は,A4サイズ・4kgまで全国一律料金で,信書も送れるサービスであって,既定のA4ファイルサイズ(340mm×248mm)の厚紙封筒を利用するものであるところ,本件納品書写し記載の「美容クリーム」が本件使用商品1であるとすると,外装箱を備える瓶状の容器に入れられた商品6個が,固形石鹸2個及び書類数枚と共に,A4サイズの厚紙封筒に封入されたことになる。この点,本件使用商品1のサイズは必ずしも明らかではないが,内容量50gの瓶状容器(甲3)であることや手に取った商品写真 (別紙3の3。甲8の2の1枚目真ん中やや下に掲載されている。 を参酌すると, )その外装箱の幅,奥行き,高さはそれぞれ60mmを超えると推測でき,それらを包む梱包材の厚みや,外装箱がつぶれないよう配慮する必要があることをも考慮すると,本件使用商品1の送付手法としては不自然な点がある。したがって,レターパックに本件使用商品1を梱包して送付した旨の原告の主張は,直ちに首肯することができない。
b 本件納品書写し(甲7の2)には,商品発送のお知らせやレターパックプラスの追跡番号など,商品に同梱してしまっては特段意味を持たない情報(発送日,追跡番号等)が顕著に表示されており,その文面自体が不自然である。また,「商品」について,「化粧クリーム」という漠然とした特定をするのみで,代金受領の際にも明記(甲12の2)され,商品特定に必須と思われる「エクス:バイアージュ」などの商品名の明記がないことや,書類下部には「DollySkin」の文字のような,原告の屋号でもなく,取引内容とは無縁の表示が顕著に表示されていることは,その不自然さを強めるものである。したがって,本件納品書写しの記載内容は,恣意的に改ざんされている可能性を考慮せざるを得ず,直ちに信用することはできない。
c PayPalから送信された一連のものとされる甲6の2及び甲12の2の各電子メールの写しについては,わざわざ一通のメールを二つの証拠に分けて提出することは迂遠で違和感があり,複数の事案の異なるメールを貼り合わせている可能性を考慮せざるを得ない。 また,PayPalのアカウント情報(甲10)から,当該メールとも関連する「取引」や「支払いと請求」の履歴の抽出は容易と思われるにもかかわらず,原告から特段の証拠提出がないことも不可解である。
さらに,甲12の2に記載の支払価格は,仮に令和2年1月の取引であるとすれば,上記(イ)のとおり,令和元年の消費税の税率引上げ前から価格変更がないことになり,証拠間で整合性を欠くようにみえる。したがって,日付(甲6の2)と支払情報(甲12の2)の関連性について確証を持てない。
(エ) 以上のほか,原告から提出されている証拠(甲3,甲6の1,甲7の1,甲8の1・2,甲12の1,甲13の1,甲14)は,要証期間における本件商標1の使用を裏付けるものではなく,その他に,原告から,本件商標1と同一又は社会通念上同一の商標が,要証期間内に,本件商標1の商標権者によって,その指定商品について使用されたことを認めるに足りる証拠の提出はない。
(オ) 以上を踏まえると,原告は,要証期間内に,日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていることを証明していない。
ウ よって,本件商標1の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきである。
(2) 本件審決2の理由の要旨 ア 証拠によると,次の事実が認められる。
(ア) 原告が作成した本件チラシ(甲4)には,「D」及び「S」を重なるように組み合わせて円で囲んだ図形の右側に「DollySkin」の文字を横並びで表してなる商標(以下「本件使用商標2-1」という。)を容器側面に表示した「ドーリースキン」と称する「美容ミスト」(以下「本件使用商品2」という。)の写真が掲載されており,その他に,同商品の「¥2,990」の価格,注文先として「http://以下省略」 担当者として , 「ドルジェス 【担当】X」の記載がある。
なお,本件チラシの上部には「〈送料無料〉&〈いずれか2つ以上お買い上げで美容石鹸プレゼント♪〉2017年1月1日〜」の記載があるが,その他に,本件チラシの作成時期及び頒布時期が確認できる記載はない。
(イ) 原告の管理する本件サイト(甲5)には,本件使用商品2の商品情報や,購入のための情報の記載はない。
(ウ) 原告が作成した本件納品書写し(甲7の2)には,「2020年1月11日」,「本日(1月11日)商品発送させていただきました。」,「【商品名】日本郵便・レターパック・プラス(対面でのお受取)」,「【追跡番号(商品番号)】 627149932452」の記載とともに,「商品」の欄に「美容クリーム」,合計額の欄に「¥17,940」,「※美容石鹸2つプレゼント(同梱)」の記載がある。
なお,本件納品書写しの下部には,原告の連絡先の記載に並べて,長方形枠内に「D」及び「S」を重なるように組み合わせて円で囲んだ図形の右側に「DollySkin」の文字を白抜きで横並びに表してなる商標(以下「本件使用商標2-2」という。)が表示されている。
(エ) 原告が提出した写真(甲14)には,「D」及び「S」を重なるように組み合わせて円で囲んだ図形の右側に「DollySkin」の文字を横並びで表してなる商標(以下「本件使用商標2-3」という。)を包装に表示した円形の固形石鹸と思しき商品が表示されている。
イ 上記アの認定事実によると,本件使用商標2-1を包装に表示するドーリースキンと称する本件使用商品2(美容ミスト)について,明確な時期は不明であるものの,広告実績(チラシ)があることはうかがえるが,次のとおり,原告提出の証拠によっては,要証期間において同商品が販売及び広告され,本件使用商標2-1〜3が,本件商標2の指定商品について使用された事実を認定することができない。
(ア) 本件チラシと関連する本件使用商標2-1の使用について 本件チラシの要証期間における頒布の事実及び頒布時期を直接示す証拠等はないばかりか,本件チラシにはキャンペーン開始日(2017年1月1日〜)が記載されているものの,キャンペーン開始日(特に配布時には既に経過している開始日)を記載する実質的な意味は見いだし難く,記載理由が不可解である。また,本件チラシ掲載商品の注文先とする本件サイトには,少なくとも令和2年4月の時点においては,本件使用商品2に関する情報は掲載されておらず,その3年前の本件チラシ配布時点では本件サイトで同商品の情報が掲載されていたことを示す具体的な証拠はなく,本件チラシと本件ウェブサイトの間の整合性が確認できない。したがっ て,要証期間における本件チラシの頒布の事実は認められない。
(イ) 本件納品書写しと関連した本件使用商標2-2の使用について 本件納品書写し(甲7の2)は,「美容クリーム」(原告の主張によると,エクスバイアージュと称する美容クリーム)に関する取引書類であるから,原告の連絡先や屋号と関連するものではない本件使用商標2-2(本件使用商品2に係る本件使用商標2-1と同一)が,本件使用商品2とは無関係の取引書類に表示されることは不自然である。また,本件納品書写しに記載の商品「美容クリーム」が本件チラシの「エクスバイアージュ」と称する商品であるならば,サイズは必ずしも明らかではないが,内容量50gの瓶状容器(甲3)であることや手に取った商品写真(甲8の2)を参酌すると,その外装箱の幅,奥行き,高さはそれぞれ60mmを超えると推測でき,それらを包む梱包材の厚みや,外装箱がつぶれないよう配慮する必要があることをも考慮すると,本件納品書写しに記載されたレターパックプラス(A4サイズ・4kgまで全国一律料金で,信書も送れるサービスであって,既定のA4ファイルサイズ[340mm×248mm]の厚紙封筒を利用するもの)によって当該美容クリーム6個を送付することは,送付手法として不自然である。
したがって,当該美容クリームを送付しそれに本件納品書写しの原本を同梱して頒布したとの原告の主張は,直ちに首肯することができない。
(ウ) 石鹸と関連した本件使用商標2-3の使用について 原告の商品(美容ミスト,美容クリーム)の取引においては,「美容石鹸」が購入者に対するプレゼントとして配布されている(甲4,甲7の2)としても,あくまで商品購入者に対するプレゼントとして,対価を伴わずに付随的に頒布されているにすぎないから,それを商標法上の商品,つまり,独立して商取引の対象とされている商品であるとは評価できない。また,上記プレゼントとして,甲14の写真で示された状態の石鹸が頒布されていることを示す具体的な証拠もない。したがって,甲14に表示された本件使用商標2-3は,本件商標2の指定商品についての使用を裏付けるものではない。
(エ) 以上のほか,原告から提出されている証拠(甲3,甲6の1,甲7の1,甲8の1・2)は,要証期間における本件商標2の使用を裏付けるものではなく,その他に,原告からは,本件商標2と同一又は社会通念上同一の商標が,要証期間に,本件商標2の商標権者によって,その指定商品について使用されたことを認めるに足りる証拠の提出はない。
(オ) 以上を踏まえると,原告は,要証期間内に,日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていることを証明していないと認められる。
ウ よって,本件商標2の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきである。
4 原告の主張する審決取消事由 (1) 本件審決1の取消事由 本件審決1は,次のとおり,本件チラシ(甲4),本件サイト(甲5)及び令和2年1月10日から同月12日にかけての取引(甲6,7,12及び13の各2)について認定判断を誤ったもので,違法である。
ア 本件チラシ(甲4)について (ア) 原告がその私的事情から積極的な事業拡大にまでは至っていないこともあり,本件チラシの在庫も多数残っている状況にある。そのため,原告において,記載内容が古くなってしまっていても,折角残っている本件チラシを消化してしまいたいとの考えから,本件チラシを商品に同梱するというのは自然である。
(イ) 本件審決1が,広告実績があることはうかがえるとしながら,要証期間における本件チラシの頒布の事実が認められないとする理由は不明であり,矛盾している。
イ 本件サイト(甲5)について (ア) ログイン履歴の全部(甲18)より,平成23年8月から10月にかけて及び令和2年7月から9月にかけての期間のみならず,本件サイトを開設した 平成23年8月以降,要証期間である平成29年2月14日から令和2年2月13日までを含めた現在までの全ての期間の原告による本件サイトへのログイン履歴が確認できる。もっとも,本件サイトの掲載内容自体は大きく変わっていないため,原告がログインする必要が生じたのは,掲載内容の軽微な訂正や,顧客からアクセスができないというクレームが入ったときにメンテナンスをする程度であり,ログインの頻度自体は多くなかった。
そして,上記ログイン履歴により,本件サイトが平成23年8月27日に開設され,その後,現在に至るまで継続して運用されていること(すなわち,インターネット上で閲覧できる状態にあること)は優に認められる。
なお,原告の知る限り,「weebly」は過去 1 週間のアクセス履歴しか把握できない。
(イ) 本件審決1は,需要者等が要証期間内に本件サイトを閲覧したとする証拠の提出がないと指摘するが,「weebly」のアクセス履歴について上記(ア)で指摘した点からすると,不可能を強いるものである。
また,本件審決1は,令和元年の消費税率引上げを反映した価格変更がないことが不自然であると指摘する。しかし,原告は,本件チラシの記載等に係る価格が税込価格であることや,本件使用商品1の外装箱にも割引前の価格を「税込」として記載していたこと(甲19の写真番号B)のほか,本件使用商品1の販売をドルジェス・コーポレーション(以下「訴外法人」という。)ではなく個人で行うようになってからは,消費税課税事業者(課税売上高1000万円以上)となるほどの売上げもなく,税率の変更をそれほど気にする必要がなかったこと等から,税率引上げの前後を通じて同一の税込価格で本件使用商品1を販売していたにすぎず,そのような経緯は不自然とはいえない。
本件審決1は,本件サイトが実質的に有効な広告であったとは評価し得ないとするが,本件サイトは,本件チラシと相まって広告として使用されていたものである。
ウ 令和2年1月10日から同月12日にかけての取引(甲6,7,12及 び13の各2)について 次のとおり,甲6,7及び12の各2に関する本件審決1の判断は不当といわざるを得ず,甲13の2(郵便局の配達状況の記録)も合わせ考慮すると,令和2年1月10日から12日にかけての取引が存在したことは明白である。
(ア) レターパックへの梱包について レターパックへの梱包状況に関する写真撮影報告書(甲19)から,レターパックに本件使用商品1を6個とサービス品の化粧せっけん2個,A4チラシ数枚程度を同梱しても送付が可能なことは,明白である。本件審決1の指摘は,机上の空論にすぎない。
(イ) PayPalでの決裁について 甲6の2及び甲12の2に加え,PayPalからのメールに関する写真撮影報告書(甲20)及びPayPalへのログイン状況に関する写真撮影報告書(甲21)によると,甲6の2及び甲12の2の信用性についての本件審決1の指摘には理由がない。
(ウ) 本件納品書写し(甲7の2)について a 本件納品書写しには,「追跡番号」の右に続けて「(商品番号)」と記載されている。
原告は,訴外法人として事業を行っていた頃から,個々の発送商品の特定のために,レターパックの追跡番号を用いていた。これは,多数の顧客を取り扱う中で,商品の破損や遅配といったクレームが生じた場合に,当該顧客に対して,納品書に記載された商品番号すなわち追跡番号を言ってもらい,これにより郵便局にクレームを確認するという業務フローを念頭に置いていたからである。このようなフローにおいては,納品書に「追跡番号(商品番号)」や発送日を記載することが,むしろ必要となってくる。
また,原告の顧客には,メール等によるやり取りではなく,専ら電話で注文する顧客もおり(この場合,郵便局への振込みが先払いでされる。),PayPal決 済による顧客管理も全ての顧客に当てはまるわけではない。そのため,これらの顧客を一元的に管理するには,追跡番号(電話での顧客にも発送はレターパックでなされる。)による管理は有用であるという事情もあった。
本件納品書写しについて,商品に同梱してしまっては特段意味を持たない情報(発送日,追跡番号等)が顕著に表示されているのが不自然であるとの本件審決1の見方は,「(商品番号)」という記載を看過した,皮相的なものである。
b 本件納品書写しにおいて,商品名の記載が漠然としていることも,原告の取扱商品がクリームとミストの2種類しかないことに鑑みると,特段不自然なものとはいえない。
c 本件審決1は,本件納品書写しについて,「DollySkin」の文字のような,原告の屋号でもなく,取引内容とは無縁の表示が顕著に表示されていること等が不自然であると指摘するが,原告において,せっかく費用をかけて取得した商標を顧客に直接送付する納品書に利用することは,自然なことである。
(2) 本件審決2の取消事由 本件審決2は,次のとおり,本件チラシ(甲4),本件サイト(甲5)及び令和2年1月10日から同月12日にかけての取引(甲6,7,12及び13の各2)について認定判断を誤るとともに,美容石鹸の同梱についても判断を誤ったもので,違法である。
ア 本件チラシ(甲4)について 本件チラシを商品に同梱するのが自然であることは,前記(1)ア(ア)のとおりである。後記のとおり,優に認められる事実である商品の発送に伴い,本件チラシが同梱されることにより,本件商標2は使用されている。
イ 本件サイト(甲5)について 本件サイトが平成23年8月27日に開設され,その後,現在に至るまで継続して運用されていること等は,前記(1)イ(ア)のとおりである。本件チラシに記載された本件サイトが継続的に運用されているのであって,本件チラシの記載と本件サイ トの間の整合性に疑問はない。
ウ 令和2年1月10日から同月12日にかけての取引に関する証拠の信用性について 次のとおり,上記証拠に関する本件審決2の判断は不当といわざるを得ず,甲13の2も合わせ考慮すると,令和2年1月10日から12日にかけての取引が存在したことは明白である。
(ア) レターパックへの梱包について 前記(1)ウ(ア)のとおり,本件審決2の指摘は,机上の空論にすぎない。
(イ) PayPalでの決裁について 前記(1)ウ(イ)で指摘した写真撮影報告書(甲20,21)から,上記取引がされていることは明らかであり,ひいては,上記取引における本件チラシや本件納品書写しの原本の同梱も推認できる。
(ウ) 本件納品書写し(甲7の2)について 前記(1)ウ(ウ)cのとおりである。
エ 美容石鹸の同梱について (ア) 商標法50条1項不使用取消の趣旨は,商標使用者の業務上の信用維持と需要者の利益の保護という商標法の目的は,商標が現実に使用され出所識別機能を発揮することで達成されるところ,不使用商標の放置はこの目的に反するという点にある。そのような趣旨からすると,たとえ販売促進のノベルティとしての使用であっても,登録商標を放置しているとはいえず,同項との関係では使用に当たるといえる。そのような形態での使用が商標権侵害を構成しないといった議論はあり得たとしても,同様の考え方が不使用取消しの場合にまで当てはまるものとはいえない。
(イ) 石鹸の頒布の事実は,本件納品書写しや本件チラシによって,明らかである。
5 被告の主張 (1) 本件審決1の取消事由について ア 本件チラシ(甲4)について (ア) 要証期間における本件チラシの頒布の事実を裏付ける具体的な証拠はない。本件チラシがレターパックに梱包されて送付されたことを裏付ける証拠もない。
(イ) 本件チラシには,「DollySkin」というミストが記載されているが,本件チラシに掲載された注文先である本件サイトには,当該ミストについての記載はなく,本件チラシの記載内容は,本件サイトの記載内容と矛盾している。
(ウ) 頒布主体について a 本件チラシの頒布主体は,訴外法人であり,原告ではないから,本件チラシは,本件商標1の商標権者,専用使用権者又は通常使用権者が頒布したものではない。
しかも,訴外法人は,「審尋に対する回答書及び弁駁書に対する反論」(甲17の1)及び閉鎖登記情報(甲9)に記載されているように,要証期間より2年以上も前の平成27年2月3日には登記簿の閉鎖に至っている。したがって,要証期間内に本件チラシが頒布されたとする原告の主張には信ぴょう性がなく,たとえ本件チラシが頒布された事実があったとしても,その配布時期は,要証期間よりも前であることが明らかである。
また,登記簿閉鎖後の訴外法人に本件商標1の使用許諾をすることは不可能であり,訴外法人の登記簿が閉鎖された後に,原告が訴外法人を名乗る行為は,会社法7条に違反する重大な違法行為であるから,「DOLGES, Corp.」が原告の屋号であるというのは詭弁であり原告を保護すべきではない。
b 上記aの点に関する原告の陳述書(甲25)における記載は,次の点に照らし,信用できるものではない。
(a) 原告は,平成29年頃に作成したチラシでも個人名を記載しており,訴外法人名の記載はなくなったなどと述べるが,後記イ(ウ)のとおり,本件サイ トの「法的要件」のウェブページ(甲2) には,「■販売業者 DOLGES,CORP」と明記されている。本件サイトが本件チラシと相まって広告として使用されていたという原告の主張に鑑みると,本件サイトにおける販売主体と本件チラシにおける販売主体との間に食違いが生じることはあり得ず,本件チラシにおいても,販売主体は訴外法人である。
(b) 原告が平成29年頃に作成したと陳述する本件チラシにおいても,「ドルジェス 【担当】X」との記載があり,販売主体とされるのは「ドルジェス」であって,原告は,販売主体ではなく担当者として記載されている。
(c) 本件納品書写しにおいても,「ドルジェスをご利用いただき誠にありがとうございます。」との記載及び「ドルジェス 【担当】X」との記載があり,販売主体とされるのは「ドルジェス」であって,原告は,販売主体ではなく担当者として記載されている。
(d) 価格を4万円とする商品の外装箱においても, 「(販売元) DOLGES,Corp.」と明記される一方(甲22の写真番号B)で,原告の個人名は記載されていない。
イ 本件サイト(甲5)について (ア) ログイン履歴について a 原告が要証期間においてアカウント管理画面(甲11の1)にログインしていたからといって,本件サイトが要証期間においてインターネット上で閲覧できる状態であったということにはならない。本件サイトが非公開であっても,原告が要証期間においてアカウント管理画面にログインすることは可能である。
b ログイン履歴(甲11の2及び甲18)が,本件サイトのログイン履歴であることを裏付ける具体的な証拠もない。
c 仮に,ログイン履歴(甲11の2及び甲18)が本件サイトのログイン履歴であるとした場合,原告は,本件審判請求1及び2を知った予告登録日より後で,甲5の作成日である令和2年4月14日より前の同月5日に,約10か月 ぶりに,アカウント管理画面にログインしたことが認められる。このような事情に照らすと,同ログイン時に,本件サイトが非公開設定から公開設定に変更されたり,本件サイトの掲載内容が変更された可能性,例えば,同ログイン時より前に掲載されていた2990円の安価なものの写真を4万円もする高価なもの(写真撮影報告書[甲19]の写真番号B)の写真に差し替えた可能性も十分に考えられる。したがって,原告が本件訴訟で追加提出したログイン履歴(甲18)は,本件サイトが要証期間にインターネット上で閲覧できる状態であったことや,要証期間における掲載内容と同一であることに,むしろ疑念を生じさせるものである。
この点,甲2及び5には,商品写真とともに本件使用商標1-2が表示されている一方,令和2年3月26日時点の本件サイトに係る証拠(甲26の1〜6)では,本件使用商標1-2が表示されていない。したがって,同年4月5日の上記ログイン時に,商品写真及び本件使用商標1-2の表示が追加された可能性も十分に考えられる。
さらに,審判段階では要証期間外のログイン履歴のみを提出し,裁判になって要証期間内のログイン履歴を追加提出した原告の行為にも疑問が残る。
(イ) 本件チラシとの矛盾について 前記ア(イ)のとおり,本件サイトの記載内容が本件チラシの記載内容と矛盾していることに鑑みると,本件サイトが本件チラシと相まって広告として使用されていたとは認められない。
(ウ) 表示主体及び表示時期について a 甲5は,要証期間内に表示された本件サイトの内容に係るものではない。
b 上記(ア)cのとおり,令和2年3月26日時点の本件サイトに係る証拠(甲26の1〜6)には,本件使用商標1-2が表示されておらず,同日以前に本件使用商標1-2が表示されていなかったことは,明らかである。
c また,審判段階における原告の「自社サイト」との主張や,本件サ イトの「法的要件」のウェブページ(甲2)の「■販売業者 DOLGES,CORP.」との表示から明らかなように,本件サイトの表示主体は,訴外法人であって,原告ではない。本件サイトには,原告の名前が一切掲載されていない。したがって,本件サイトは,本件商標1の商標権者,専用使用権者又は通常使用権者が表示したものではない。
しかも,前記ア(ウ)のとおり,訴外法人が要証期間より2年以上も前に閉鎖に至っていることに鑑みると,要証期間内に本件サイトが表示されたとする原告の主張には信ぴょう性がなく,たとえ本件サイトが表示された事実があったとしても,その表示時期は,要証期間よりも前であることが明らかである。
なお,仮に,訴外法人の閉鎖後に,自然人が訴外法人を名乗って本件サイトを表示していたとすれば,それは会社法7条に違反する重大な違法行為であり,保護に値しない。その場合も,本件サイトの表示主体は,あくまで架空の訴外法人であって,原告ではない。そして,架空の法人に商標の使用許諾をすることは原理的に不可能であるから,訴外法人は,使用権者ではない。以上のように考えなければ,実在する適法な法人を表示主体としている場合には,使用許諾があったことを証明しなければならないのに,会社法7条に違反して架空の法人を表示主体としている場合には,屋号であるといった詭弁がまかり通って,使用許諾があったことの証明は不要となり,違法行為を行った者の方が保護されてしまうことになる。
(エ) 商標の同一性について 図形と「DOLGES」との文字とがほぼ同じ大きさで横並びになっている本件サイトの表示は,「DOLGES」との文字の下に,これらの文字よりも大きい図形が縦並びに表示される本件商標1と,同一でも社会通念上同一でもない。
(オ) 消費税率引上げを反映した価格変更がされていないことについて a 本件使用商品1の価格は,2990円(甲5)であるのに対し,レターパックへの梱包状況に関する写真撮影報告書(甲19)の写真番号Bに写っているものの価格は,実にその13倍以上の4万円であることから明らかなように, 同Bに写っているものは,本件使用商品1とは別物である。それゆえ,同Bに写っているものの価格が税込み価格であるからといって,本件使用商品1の価格も税込み価格ということにはならない。
したがって,本件使用商品1の価格が,令和元年の消費税率引上げを反映した価格に変更されていないことは,不自然である。
b 上記に関し,原告は,陳述書(甲25)において,定価は4万円(税込み)と設定しているが実際には90パーセント以上オフの2990円で販売している旨を陳述するが,さすがに90パーセント以上オフということはあり得ず,信用できない。高級化粧品の成分を一つにまとめたような製品の価格が4万円ということは理解もできるが,2990円というのは明らかに原価割れしており,あり得ない。上記のとおり,写真撮影報告書(甲19)の写真番号Bに写っているものと本件使用商品1は別物である。
ウ 令和2年1月10日から同月12日にかけての取引(甲6,7,12及び13の各2)について (ア) 令和2年1月10日から12日にかけての取引に関して,そもそも,本件商標1が付された商品及び本件納品書写しの原本がレターパックに梱包されて送付されたことを裏付ける証拠はない。
(イ) レターパックへの梱包について a 本件使用商品1がレターパックに梱包されて送付されたことや,レターパックに梱包されて送付された商品に本件商標1が付されていたことを裏付ける証拠はない。
b 前記イ(オ)のとおり,写真撮影報告書(甲19)の写真番号Bに写っているものは,本件使用商品1とは別物であることが明らかである。それゆえ,同Bに写っているものをレターパックに6個梱包することができるからといって,本件使用商品1をレターパックに6個梱包することができるということにはならない。
c たとえレターパックに本件使用商品1を6個,サービス品の化粧せ っけんを2個,A4チラシを数枚程度同梱することができるとしても,単に物理的に可能なだけであり,これらを送付した事実が裏付けられるものではない。写真撮影報告書(甲19)の写真番号K及びLを見る限り,レターパックは,かなり膨張しており,ポストに投函することも,送付先の郵便受けに入れることも不可能な大きさであり,このような状態で送付したとは考えられない。また,同K及びLでは,手で押さえ付けることにより封緘したかのように見せているが,同Lを見ると,レターパックが膨張し過ぎて,きちんと封緘できないことが明らかである。
d 前記ア(ウ)b(b)及び(c)で指摘した本件チラシ及び本件納品書写しの記載からして,レターパックの送付主体とされるのは,訴外法人であって,原告でなく,本件商標1の商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれでもない。
(ウ) PayPalでの決済について PayPalへのログイン状況に関する写真撮影報告書(甲21)の写真番号D〜Fには,本件サイトには掲載されていない価格での取引が複数表示されている。
原告は,PayPalを利用して様々な取引を行っており,令和2年1月10日から12日にかけての取引も,本件サイトとは無関係に行われた可能性も十分に考えられる。当該取引が本件サイトを介して行われたものであることを裏付ける証拠もない。
(エ) 本件納品書写しについて a 本件納品書写しの原本がレターパックに梱包されて送付されたことを裏付ける証拠はない。
また,本件納品書写しは,その鮮明さからして,実際に頒布されたものの写しではなく,要証期間後,原告が,本件審判請求1に係る答弁書の作成に当たり,新たに印刷して作成したものであることが明らかである。原告の主張に合わせて,商標も日付もいかようにもすることができるもので,全く信用性はなく,証拠としての価値はない。
b 不自然な点について (a) 商品に同梱してしまっては特段意味を持たない情報(発送日,追跡番号等)が顕著に表示されていることについて,原告の主張するように,発送日の記載が必要であるならば,「納品書」という表題の横の日付の記載のみで十分である。それにもかかわらず,本件納品書写しには,「本日(1月11日)商品を発送させていただきました。」といった,不必要という以前に商品の受取後に目にするともはや意味不明な記載があり,不自然である。
また,「【商品名】日本郵便・レターパックプラス(対面でのお受取)」といった,商品が「美容クリーム」ではなく「レターパック」とする意味不明な記載がある点でも,本件納品書写しは不自然である。
(b) PayPalへのログイン状況に関する写真撮影報告書(甲21)の写真番号D〜Fをみると,原告がPayPalを利用して様々な商品を取り扱っていることがうかがわれる。クリームに関しても,取扱商品であるか否かは不明であるが,2990円の安価なもの(本件サイト)と,4万円もする高価なもの(写真撮影報告書[甲19]の写真番号B)との少なくとも2種類が確認できる。そうすると,納品書であるにもかかわらず,商品名の記載が漠然としていることは,不自然である。
(c) 費用をかけて取得した商標であるという理由で,明らかに取引内容とは無関係な表示を顧客に直接送付する納品書に利用するといった発想は,意味不明で,非常識かつ不自然である。
(d) 以上のような本件納品書写しの明らかに不自然な記載に鑑みると,仮に納品書が存在していたとしても,本件納品書写しとは異なるものであった可能性も十分に考えられる。
c 頒布主体及び頒布時期について (a) 本件納品書写しに係る頒布主体とされるのは,訴外法人であって,原告ではない。したがって,本件納品書写しは,本件商標1の商標権者,専用使用権者又は通常使用権者が頒布したものではない。
(b) しかも,前記ア(ウ)のとおり,訴外法人が要証期間より2年以上も前に閉鎖に至っていることに鑑みると,要証期間内に本件納品書写しの原本が頒布されたとする原告の主張には信ぴょう性がない。
(c) 本件納品書写しに係る頒布主体が現存しない架空の法人であったことからすると,本件納品書写しに印字されている標章は,「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」という第35類に属する役務について使用されたもので,本件使用商品1について使用されたものではない。
d 納品書の控え(甲28の1〜9)について 次の点に鑑みると,納品書の控え(甲28の1〜9)には,信用性がない。
(a) 原告が,なぜ,令和3年3月31日に至るまで,本件納品書写しのみを提出し,納品書の控え(甲28の1〜9)を提出しなかったのか,疑問である。
(b) 原告は,陳述書(甲25)において,納品書の控えの裏側には顧客の名前と追跡番号シールを貼り付けていたと述べるが,手元にある追跡番号シール(そのような追跡番号シールは,例えば,被告訴訟代理人の事務所にも,消費税増税前のものを含めて多数存在する。)に合わせて,納品書の控え(甲28の1〜9)を作成することは十分に可能である。
(c) 甲28の2と甲28の9,甲28の3と甲28の6,甲28の4と甲28の7には,それぞれ同一人物の名前が記載されているが,その筆跡は明らかに異なっている。
(2) 本件審決2の取消事由について ア 本件チラシ(甲4)について 前記(1)ア(ア)並びに(ウ)a(本件商標1を本件商標2と,甲17の1を甲17の2とそれぞれ読み替える。)及びb(a)〜(c)のとおりである。
イ 本件サイト(甲5)について 本件サイトには,本件商標2は何ら示されていない。原告の陳述書(甲25)に も,現在まで,本件サイトには「DollySkin」の購入欄は付けられていないと記載されているところである。
その他は,前記(1)イ(ア)a及びb,同(イ)並びに同(ウ)a及びc(本件商標1を本件商標2と読み替える。)のとおりである。
ウ 令和2年1月10日から同月12日にかけての取引に関する証拠の信用性について (ア) 令和2年1月10日から12日にかけての取引に関して,そもそも,本件商標2が付された美容石鹸及び本件納品書写しの原本がレターパックに梱包されて送付されたことを裏付ける証拠はない。
(イ) レターパックへの梱包について 美容石鹸がレターパックに梱包されて送付されたことや,レターパックに梱包されて送付された美容石鹸に本件商標2が付されていたことを裏付ける証拠はない。
その他,前記(1)ウ(イ)c及びd(本件商標1を本件商標2と読み替える。)のとおりである。
(ウ) PayPalでの決済について 甲6の2及び甲12の2から,上記取引について,本件チラシや本件納品書写しの原本が同梱されたことを推認することはできない。
(エ) 本件納品書写しについて 前記(1)ウ(エ)a(本件審判請求1を本件審判請求2と読み替える。),b(a),(c)及び(d),c(a)(本件商標1を本件商標2と読み替える。)及び(b)並びにdのとおりである。
また,「美容ミスト」とは別の商品である「美容クリーム」の納品書に商標を印字しても,それは,商標法2条1項柱書及び1号にいう「その商品」について使用をするものではなく,商標の使用(商標法50条1項)に当たらない。
(オ) 原告の陳述書(甲25)に,「DollySkin」はPayPalの写真に写っている時期には売れていなかったという旨の記載があることは,「D ollySkin」という美容ミストが要証期間に販売された事実がないことを示している。
エ 美容石鹸の同梱について (ア) 本件商標2のシールを貼付した美容石鹸が写っている写真(甲14)は,要証期間より後の令和2年9月頃に作成されたものであるから,本件商標2の使用の証拠となり得ない。
この点,原告は,本件審判請求2に係る答弁書(甲15の2)提出の段階では,本件商標2を美容ミストの商標として使用していたと主張していたにもかかわらず,「審尋に対する回答書及び弁駁書に対する反論」(甲17の2)提出の段階になって,突如,美容石鹸について使用していたと主張し始めた。しかも,写真(甲14)に写っている美容石鹸は,本件商標2のシールを貼付すれば容易に作成可能であり,本件商標2のシールも汎用のパーソナルコンピュータ及びプリンタで容易に作成可能である。以上のような事情に照らすと,写真(甲14)には信用性がなく,同写真に写っている美容石鹸が要証期間において頒布されたとの原告の主張にも信ぴょう性がない。
(イ) 商標法上の「商品」は,独立して商取引の対象とされるものであるところ,本件で問題となり得る美容石鹸は,顧客への付帯サービスとして進呈されるものであって(甲17の2の3頁25行目),独立して商取引の対象とされるものではなく,商標法上の「商品」には当たらない。商標は,独立して商取引の対象とされているものに商品に使用することによって初めて出所識別機能を発揮するものであり,顧客への付帯サービスとして進呈されるものに付された商標が出所識別機能を発揮することはない。上記について,商標権の侵害の場合と商標法50条1項不使用取消しの場合とで,商標法上の「商品」の解釈を異なるものとする見解はない。
当裁判所の判断
1 取引に係る認定事実 (1) 証拠(甲6の2,甲12の2,甲20,23,24)によると,@原告が,愛知県在住の特定人(以下「A」という。)から,令和2年1月10日,PayPalで1万7940円の支払を受けたこと及びA同支払を原告に連絡するPayPalからのメールには,同支払金額について,「エクス:バイアージュ6個(送料無料)」,「¥17,940JPY」が,数量「1」であるとの記載があることが認められる。
また,証拠(甲13の2)によると,B問い合わせ番号「6271-4993-2452」のレターパックプラスについて,令和2年1月12日に福岡県で引受けがされ,同月13日に愛知県の届け先に届けられたことが認められる。
さらに,証拠(甲7の2,甲28の3)及び弁論の全趣旨によると,C原告が「6271-4993-2452」と記載されたレターパックプラスの追跡番号シールを所持しており,同シールは,本件納品書写し(甲7の2)と同一内容の納品書の控え(甲28の3)の裏面に貼付されていることが認められる。
(2) 本件チラシ(甲4)には,「送料無料」,「美容クリーム(エクスバイアージュ) ¥2,990」との記載がある。
また,原告が提出する別のチラシ(甲3)には,「特別販売(2,990円&送料無料)」,「感謝を込めて【1個2,990円&送料無料】の特別販売続行中」との記載がある。なお,同チラシには,「EX:biargue(エクスバイアージュ)」について「40,000円(税込)」との記載もある。
さらに,本件サイト(甲5)には,「EX:biargue」との表示がされたクリームの瓶の写真及び本件使用商標1-2の表示(別紙3の2)の右側に,「特別販売キャンペーン」,「1個(送料無料)2,990円」,「6個(送料無料)17,940円」などの記載がある。
以上の各チラシ及び本件サイトの各記載は,上記(1)Aの事実と整合するもので,上記(1)Aの事実と合わせると,上記(1)@のAからの支払が,本件チラシに記載された「美容クリーム(エクスバイアージュ)」(本件使用商品1)6個の代金の支 払であることを推認させるものである。
(3)ア 本件納品書写し(甲7の2)及びこれと同一内容で上記(1)Cのとおり裏にレターパックプラスの追跡番号シールが貼付された納品書の控え(甲28の3)の記載内容をみると,「今回の商品配送詳細【無料】」,「【商品名】日本郵便・レターパックプラス(対面でのお受取)」,「【追跡番号(商品番号)】627149932452」との記載のほか,「商品」として「美容クリーム」,「単価」として「¥2,990」,「個数」として「6」,「計」として「¥17,940」,「備考」として「送料無料」の記載があり,宛名欄にはAの氏名の記載がある。そして,本件納品書写し及び上記納品書の控えには,上部に,「DOLGES」の文字の下に「D」及び「S」を重ねるように組み合わせて円で囲んだ図形を配置した商標(以下「本件使用商標1-3」という。)が表示され,右下部に本件使用商標2-2が表示されている。
イ 上記アの事実に,上記(1)@〜Cの事実及び上記(2)のとおり推認される事実を併せ考慮すると,原告が,上記(1)@の令和2年1月10日のAからの支払を受けて,本件チラシに記載された「美容クリーム(エクスバイアージュ)」(本件使用商品1)6個を発送し,それが同月13日に愛知県在住のAに届けられたという事実が推認され,この推認を覆す事情は認められない。
(4) 原告の本人尋問における供述及び陳述書(甲25)の記載(以下,併せて「原告供述等」という。)によると,原告が,上記(1)@の令和2年1月10日のAからの支払を受けて,本件使用商品1(6個)に,本件納品書の写し(甲7の2)の原本及び本件チラシ(甲4)を同封したレターパックプラスを発送し,それが同月13日にAに届けられたという取引(以下「本件取引」という。)の事実が認められる。原告供述等は,上記(1)〜(3)で指摘した各事実と整合しており,本件取引について述べる部分について,その信用性を否定すべき事情は見受けられない。
2 本件商標1及び2の使用について (1)ア 本件チラシ(甲4)には,本件使用商標1-1を紙製の外装箱に表示し た美容クリームである本件使用商品1の写真(別紙3の1)が掲載されているとともに,本件使用商標2-1を容器側面に表示した美容ミストである本件使用商品2の写真が掲載されている。本件チラシは,原告が作成したものである(原告供述等,弁論の全趣旨)。
イ 本件納品書写し(甲7の2)には,前記1(3)アのとおり,本件使用商標1-3が表示されている。本件納品書写しの原本は,原告が作成したものである(原告供述等,弁論の全趣旨) ウ 本件使用商標1-1及び1-3は,本件商標1と,本件使用商標2-1は,本件商標2と,それぞれ社会通念上同一であると認められる。
(2) 上記(1)の事実及び前記1(4)のとおり認められる本件取引の事実からすると,本件商標1及び2の商標権者である原告が,要証期間内である令和2年1月10日から同月13日までの間に,本件商標1の指定商品のうち「化粧品」に含まれる本件使用商品1について,本件商標1の使用(商標法2条3項2号[商品の包装に標章を付したものの譲渡],8号[広告に標章を付して頒布])をするとともに,本件商標2の指定商品のうち「化粧品」に含まれる本件使用商品2について,本件商標2の使用(同項8号[広告に標章を付して頒布])をしたものと認められる。
3 被告の主張について (1) 本件チラシ(甲4)について ア 被告は,本件チラシがレターパックに梱包されて送付されたことを裏付ける証拠がないと主張するが,前記1(4)のとおり,上記の点は原告供述等により裏付けられているといえる。
イ 被告は,本件チラシに掲載された注文先である本件サイトには美容ミスト「DollySkin」について記載がないことを主張するが,その理由について,原告は,原告供述等において,平成28年頃に美容ミスト「DollySkin」の販売を開始した際に本件サイトに同商品の購入欄を設けようとしたが,PayPalのクレジット決済の仕様が変わっていたためにできなかった旨説明してお り,原告供述等における上記説明は,相応に合理的なものといえる。したがって,本件サイトに「DollySkin」について記載がないことは,本件チラシの信用性を減殺するものではない。
ウ 被告は,本件チラシの頒布主体やレターパックの送付主体や本件納品書写しに係る頒布主体は訴外法人であると主張するが,前記1(4)のとおり,本件取引の主体は原告であり,本件チラシの頒布主体やレターパック及び本件納品書写しの原本の送付主体は原告であると認められる。
上記に関し,被告は,(ア)本件サイトの「法的要件」のウェブページ(甲2) に「■販売業者 DOLGES,CORP」との記載があること,(イ)本件チラシに「ドルジェス 【担当】X」との記載があること,(ウ)本件納品書写しに「ドルジェスをご利用いただき誠にありがとうございます。」との記載及び「ドルジェス 【担当】X」との記載があること,(エ)商品の外装箱(甲22の写真番号B)に「(販売元)DOLGES, Corp.」との記載があることを主張する。
しかし,原告供述等及び弁論の全趣旨によると,訴外法人の商業登記簿が平成27年2月3日に閉鎖された(甲9)後には,原告は個人として本件使用商品1及び2を販売していることが認められるから,上記(イ)及び(ウ)の本件チラシ及び本件納品書写しにおける表示は,原告個人を表示したものと認められ,また,上記(ア)及び(エ)については,かつての訴外法人の表示が残っていたものと認めることができる。上記(ア)〜(エ)は,本件チラシの頒布主体やレターパック及び本件納品書写しの原本の送付主体が訴外法人であるというべき事情ということはできない。
(2) 本件サイト(甲5)について 被告は,本件サイト(甲5)の内容が令和2年4月5日より前に前記1(2)のようなものであったことを争い,同日サイトの内容が変更された可能性があると主張するが,被告の主張は,単に可能性を指摘するものにすぎず,前記1(2)のとおり,本件サイト(甲5)の内容が前記1(1)Aの事実と整合することをも考え併せると,本件サイト(甲5)の内容は,令和2年4月5日より前から,前記1(2)で認定するよ うな内容であり,そのような内容で公開されていたものと認められる。なお,同年3月26日時点での本件サイトの内容に関する証拠(甲26の1〜6)は,印刷時の設定により画像部分が印刷されなかった可能性があるから,上記判断を左右しない。
(3) 本件取引について ア 被告は,本件商標1が付された本件使用商品1及び本件納品書写しの原本がレターパックに梱包されて送付されたことを裏付ける証拠がないと主張するが,前記1(4)のとおり,上記の点は原告供述等により裏付けられているといえる。
イ 被告は,美容クリーム「EX:biargue」の価格について,2990円とするものや4万円とするものがあり,それらが同一の商品を指すものとはみられないと主張するとともに,令和元年の消費税率の引上げの前後で価格が変わっていないことは,不自然であると主張する。
しかし,原告は,原告供述等において,定価は4万円(税込み)であったが,実際には割引して2990円で販売していたこと,税込み価格であったことや売上額が大きくなく消費税の課税事業者ではなかったこと等から消費税率の引上げに伴った値上げはしなかったことを述べるところ,当該説明が直ちに不合理であるとはいえない。この点,前記1(2)のとおり,チラシ(甲3)には,「40,000円(税込)」の美容クリーム「Ex:baiargue」を1個2990円で特別販売する旨が記載されており,本件サイトにも,「特別販売キャンペーン」,「1個(送料無料)2,990円」などと記載されていることからすると,定価4万円(税込み)の商品を実際には2990円で販売していたという旨の上記原告供述等は,相応に裏付けられているといえる。被告が主張する上記の各点は,本件取引についての原告供述等の信用性を否定すべき事情には当たらない。
ウ 被告は,レターパックプラスに,本件使用商品1を6個,化粧せっけんを2個のほか,本件チラシを同梱したといったことは,不自然であると主張するが,そのような形での梱包が可能なこと自体は,証拠(甲19,22)で裏付けられて おり,郵便局へ持ち込んで送付することが可能であることをも考慮すると,上記の点も,本件取引についての原告供述等の信用性を否定すべき事情には当たらない。
エ 被告は,本件納品書写しについて,(a)商品に同梱してしまっては特段意味を持たない情報(発送日,追跡番号等)が表示されており,不自然である, 「 (b) 【商品名】日本郵便・レターパックプラス(対面でのお受取)」の記載も不自然である,(c)「美容クリーム」という商品名の記載は漠然としており,不自然である,(d)明らかに取引内容とは無関係な本件使用商標2-2が表示されていることは不自然である,(e)本件納品書写しの鮮明さからすると,後日作成されたものであり,原告の主張に合わせて,商標も日付もいかようにもすることができるもので,信用性がないと主張する。
しかし,上記(a)及び(b)については,原告供述等によると,原告は,各取引を日本郵便の追跡番号で特定していたものと認められるから,【商品名】 「 」を「日本郵便・レターパックプラス(対面でのお受取)」と記載し,それに続けて「【追跡番号】」を記載したとしても不自然ではなく,また,発送日の記載は,納品書の記載として不自然ではない。上記(c)については,前記イで判示したところからすると,複数の種類の美容クリーム「EX:baiargue」が存在していたものと認めることはできず,被告の指摘する写真撮影報告書(甲21)の写真から直ちに,「美容クリーム」という商品名の記載が曖昧に過ぎるものとはいえない。上記(d)についても,本件チラシに美容クリームと美容ミストの双方が掲載され,本件使用商標1-1及び本件使用商標2-1の双方が表示されていることを踏まえると,納品書に本件使用商標2-2が表示されていることが不自然とはいえない。そして,上記(e)の後日作成することが可能であるという点は,単に可能性を指摘するものにすぎず,そのことから直ちに,本件納品書写しが信用性を欠くものとはいえない。
オ 被告は,納品書の控え(甲28の1〜9)の信用性についても主張するが,被告の主張する点は,いずれも上記納品書の控えの信用性を左右するものとはいえない。追跡番号シールから納品書の控えを作成することができるという点は, 単に可能性を指摘するものにすぎない。また,甲28の2と甲28の9,甲28の3と甲28の6,甲28の4と甲28の7の筆跡が異なるとは認められないが,仮に,そうであるとしても,上記納品書写しの信用性が左右されることはない。
カ その他,被告が主張する点は,いずれも前記1及び2の認定判断を左右するものではない。
4 まとめ 以上によると,その余の点について判断するまでもなく,要証期間内に商標権者である原告による本件商標1及び2の各使用が認められるから,本件商標1及び2のいずれについても,商標法50条1項により取り消すべきものとはいえない。これに反する本件審決1及び2の各判断には,いずれも誤りがあり,原告主張の各取消事由が認められる。
結論
以上の次第で,原告の請求はいずれも理由があるから,本件審決1及び2を取り消すこととして,主文のとおり判決する。
追加
別紙1商標目録11登録商標2登録番号第4854197号3出願日平成16年7月23日4登録日平成17年4月8日5指定商品第3類せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤 別紙2商標目録21登録商標2登録番号第5780372号3出願日平成27年2月6日4登録日平成27年7月24日5指定商品第3類せっけん類,化粧品,香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛 別紙3123
裁判長裁判官 森義之
裁判官 中島朋宏
裁判官 勝又来未子