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関連審決 不服2019-14379
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事件 令和 4年 (行ケ) 10089号 審決取消請求事件
5
原告X
同訴訟代理人弁護士 宮川美津子
同 波田野晴朗
同 関川淳子 10 同山大蔵
同訴訟代理人弁理士 廣中健
同 小林奈央
被告特許庁長官 15 同指定代理人阿曾裕樹
同 佐藤淳
同 綾郁奈子
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2023/01/31
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
20 2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
請求
25 特許庁が不服2019-14379号事件について令和4年5月10日にし た審決を取り消す。
1
事案の概要
1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない) 原告は、平成27年4月1日、別紙1 「商標登録を受けようとする商標」 及び同 「商標の詳細な説明」の記載から特定される色彩のみからなる商標 5 (以下「本願商標」という。)について、指定商品を第25類「女性用ハイヒ ール靴」として、商標登録出願(商願2015-29921。以下「本願」 という。)をしたが、令和元年7月29日付けで拒絶査定を受けたため、同年 10月29日、拒絶査定不服審判請求をした。
特許庁は、前記請求を不服2019-14379号事件として審理し、令10 和4年5月10日、
「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下「本 件審決」という。)をし、その謄本は、同年6月7日、原告に送達された(附 加期間90日)。
原告は、令和4年8月17日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起 した。
15 2 本件審決の要旨 商標法3条1項3号該当性 本願商標は、女性用ハイヒール靴の靴底部分に付した赤色(PANTONE 18- 1663TP)の色彩(以下「本件色彩」という。)のみからなる商標であるとこ ろ、表示位置(靴底)は特定されているものの、文字や図形と組み合わせた20 ものではない、輪郭のない単一の色彩(赤色)のみからなるものである。
そして、赤色は、商取引全般、特にファッション分野において、商品やそ の包装、広告等を彩色するために広く好んで採択し使用されており、色彩と してはありふれたものである。また、靴の分野においては、多数の事業者に よって靴底を赤色に彩色した商品(靴)が製造、販売されている実情がある25 から、靴底の位置を赤色に彩色することは、商品の美感を向上させる目的で、
取引上普通に採択し使用されているデザイン手法であるといえる。
2 そうすると、本願商標は、商品の美感を向上させる目的で取引上普通に採 択し使用されているデザイン手法の範疇において、特定位置(靴底)に付さ れるありふれた単一の色彩(赤色)を表示してなるものであって、その指定 商品に係る需要者及び取引者をして単に商品の色彩を表してなるものと認識 5 し、理解されるものであるにすぎない。
したがって、本願商標は、商品の特徴(商品の色彩)を普通に用いられる 方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法3条1項3号に該 当する。
商標法3条2項該当性10 ア 商品の色彩は、古来存在し、通常は商品のイメージや美感を高めるため に適宜選択されるものであり、また、商品の色彩には自然発生的な色彩や 商品の機能を確保するために必要とされるものもあることからすると、取 引に際し必要かつ適切な表示として何人もその使用を欲するものである から、原則として何人も自由に選択して使用できるものとすべきで、特に15 単一の色彩のみからなる商標についてはこの趣旨が当てはまる。
そして、商標法3条1項3号に該当する単一の色彩のみからなる商標が 同条2項に該当するためには、当該商標が使用された結果、特定の業務に 係る商品又は役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認 識されるに至り、その使用により自他商品識別力又は自他役務識別力を獲20 得していることが必要であり、さらに、同条1項3号の趣旨に鑑みると、
特定人による当該商標の独占使用を認めることが公益上の見地からみて も許容されることを要すると解するべきである。
イ 原告が創設したブランド「クリスチャン ルブタン」 (以下「原告ブラ ンド」という。)に係る商品(その中には、靴底の色彩を赤色とするハイ25 ヒール靴(以下「原告商品」という。)がある。)は、我が国において、
1996年以降25年以上の輸入販売実績があって、国内各地に所在す 3 る店舗や百貨店を通じて年間約70億円前後の販売規模(女性用靴で約 30億円以上、ハイヒール靴だけで約20億円以上)があり、雑誌や書 籍、インターネット上の記事情報等において原告ブランドにまつわる 様々な情報やトピック(本願商標に相当する特徴(靴底、赤色)を強調 5 する記事も相当数ある。)が紹介され、言及されている。他方で、原告が 第三者に依頼して実施したアンケート調査(以下「本件アンケート調査」 という。)によると、原告ブランドの店舗が所在する東京、大阪、名古屋 の在住者であっても、本願商標から原告ブランドを認知できる女性は5 0%に満たない程度であり、残りの半数以上は原告ブランドとの関係を10 想起することができていない。
そうすると、本願商標は、その指定商品に係る一定の割合の需要者(女 性)の間において、特定人の業務に係る商品であることを表示するもの として一定程度認知されているとしても、我が国の需要者の間において 広く認識されるに至っているとまでは認められない。
15 また、本願商標と同様の特徴を備える靴底を赤色に彩色した商品(靴) が多数の事業者により製造、販売されている取引の実情があることを踏 まえると、本願商標のような単一の色彩のみからなる商標(靴底、赤色) について特定人に排他的、独占的な使用を認めることは、商品の美感を 向上させるために自由に使用が認められていた色彩(赤色)について、
20 第三者による使用を不当に制限することになるから、公益上(独占適応 性)の観点からも支障がある。
加えて、本願商標の指定商品に係る需要者のうち、本願商標から原告 や原告ブランドとの関係性を想起できる者であっても、それと同様の特 徴(靴底、赤色)を備える商品が多数流通している取引市場の中では、
25 原告商品にも付されているようなブランド名や商品名に依拠せずに本願 商標に係る特徴(色彩、位置)のみで商品の出所を識別することは事実 4 上困難である。
ウ 以上によると、本願商標は、その指定商品に係る需要者の間で特定人(原 告)の業務に係る商品であることを表示するものとして広く認識されるに 至っているものではなく、同様の特徴を備える商品が多数の事業者により 5 製造及び販売されている実情を踏まえると、特定人(原告)に排他的独占 的な使用を認めることは、公益上(独占適応性)の観点から支障があるば かりか、自他商品の出所識別標識として機能することが事実上困難である から、自他商品の出所識別標識として機能し得るものではない。
したがって、本願商標は、その指定商品との関係において使用された結10 果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至ったも のとは認めることはできず、商標法3条2項の要件を具備しない。
3 取消事由 本願商標の商標法3条2項該当性の判断の誤り
当事者の主張
15 1 原告の主張 商標法3条2項の解釈 ア 商標法3条2項の適用において公益(独占適応性)を考慮することは誤 りであること 商標法3条2項は、「前項第3号から第5号までに該当する商標であ20 っても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務で あることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわ らず、商標登録を受けることができる。」と規定している。すなわち、同 条2項は、需要者の認識として何人かの業務に係る商品又は役務である ことを認識することができるようになっているものであれば、仮に、同25 条1項3号に該当する商標であっても、これを登録商標として保護し、
これに化体した業務上の信用を保護し、併せて出所の混同から需要者を 5 保護することを規定しており、こうした商標を保護することで産業の発 展と需要者の利益の保護(商標法1条) ひいては競争秩序の維持という 、
商標法が志向する「公益」に資することになる。
商標法3条1項3号の趣旨を理解し、同号を正しく適用する上で公益 5 (独占適応性)を考慮することが正しいとしても、同条2項の要件を具 備するか否かを判断する場合において公益(独占適応性)を考慮するこ とは誤りである。すなわち、商標法3条1項3号に該当する商標は、本 来識別力がなく、誰しもが使用を欲するものであって特定人の独占に委 ねることが適当ではないため、原則として商標登録が認められないが、
10 特定人による使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務で あることを認識することができるものについては、商標の保護の必要性 が優先され、誰しもが使用を欲するという観点での公益(独占適応性) の観点は後退するのであるから、使用による自他識別力を獲得した商標 について公益(独占適応性)の観点から同条2項の適用を否定すること15 は、同項が設けられた趣旨を没却することになる。
被告が後記2 アで引用する知財高裁判決は、問題とされた商標、商 品、それに関わる取引の実情等、本件と事案を異にするものである。
なお、本願商標が登録された場合であっても、その権利範囲は、本願 商標と同一又は類似する商標を付したとすれば出所の混同を生じる程度20 に類似する商品に及ぶにとどまるのであり、過度に第三者の色彩の商標 を制約するおそれはない。
また、本願商標に係る色彩又はこれと類似する色彩を女性用ハイヒー ル靴に使用している取引者が原告以外に存在するとしても、平成26年 法律第36号附則5条3項により、
不正競争の目的でないこと」その他25 の附則5条3項の要件を満たす場合は、本願商標の登録によっても当該 取引者は継続して当該色彩を使用することが可能であって、本願商標の 6 登録による色彩の使用の制限が公平性を欠くものとならないように立法 上の手当てがされている。
したがって、本願商標が商標法3条2項の適用を受けるか否かは、専 ら、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品又 5 は役務であることを認識することができるものとなっているか否かによ って決せられるべきであって、商標法3条2項の適用を検討するに当た って、第三者による使用を不当に制限する結果にもなるから、
「 公益上(独 占適応性)の観点から支障がある」として同項の適用を否定する理由と した本件審決の判断は、誤りである。
10 イ 公益(独占適応性)を考慮するとしても、本件審決は本来考慮すべきで ない事情を考慮し、考慮すべき事情を考慮していないこと 仮に、商品の色彩について商標法3条2項の適用を認めるためには特定 人による当該商標の独占使用を認めることが公益上の見地からみても許容 される事情があることを要するとしても、本願商標は、女性用ハイヒール15 靴の靴底部分に付する色彩であり、商品の機能上要請される色彩(例えば、
医療用ガウンの「白」 や特定の物品を塗装する色彩として広く一般に普及 ) している色彩(例えば、消防自動車や火災消火器に用いられる「赤」)等と は異なるものであり、公益上の支障はない。
また、本件審決は、前記第2の2 イ のとおり、本願商標と同様の特20 徴を備える靴底を赤色に彩色した商品(靴)が多数の事業者により製造及 び販売されている取引の実情を挙げて、本願商標が公益上の観点から支障 がある旨判断したが、公益の観点から特定人による独占が制限されるべき 色彩の範囲は制限的に解釈されるべきであり、
取引の実情」が公益として 考慮されるべき事情としても、考慮されるべき「取引の実情」は、独占的25 使用を認めることによって公益が害される現実的な危険があるものに限ら れるというべきである。ところが、本件審決が挙げる「本願商標と同様の 7 特徴を備える、靴底を赤色に彩色した商品」は、27事例にすぎず、商品 の販売時期、販売地域、販売量は明らかではない上、実際に日本国内にお いて販売されているかも明らかではないし、靴底に本件色彩を付した女性 用ハイヒール靴は原告の取扱いに係る女性用ハイヒール靴が市場で人気を 5 博するようになるまで極めて珍しいものであったのであるから、仮に数例 があるとしても、こうした類似品が発売されるに至った事情を顧慮するこ となく、靴底に類似の色彩を使用した商品が多数の事業者により販売され ている「取引の実情」を挙げて公益上の要請を考慮することは誤りである。
また、前記ア のとおり、女性用ハイヒール靴に本願商標に係る色彩又10 はこれと類似する色彩を使用する取引者には立法上の措置が取られている のであるから、それにもかかわらず、企業努力によって自他識別力と業務 上の信用を化体させた原告の本願商標の登録を拒絶することは、我が国の 市場に類似商品の氾濫を許すこととなって、かえって需要者の利益を損な うことになり、それこそ公益に反するものというべきである。
15 本願商標は商標法3条2項に該当すること ア 本願商標は原告の業務に係る商品であることを表示するものとして広 く認識されていること 原告ブランドの歴史 原告は、フランス出身のファッションデザイナーであり、1991年20 後半に創設された、原告ブランドのブランド名を使用した高級婦人靴の 他、男性用の靴、ハンドバッグ、財布等の各種服飾雑貨のデザイン及び 企画並びにこれらの商品の製造販売を業とするフランス法人である「ク リスチャン ルブタン エス アー エス」(以下「原告フランス法人」 という。)の代表者である。
25 原告は、1991年にパリで最初の直営店をオープンした。原告ブラ ンドの女性用ハイヒール靴は、デザイン性が高いだけでなく、履き心地 8 の良さをも兼ね備えていることから、セレブリティやファッション関係 者のみならず、一般需要者の間にも広くその名が知られるようになった。
現在では、原告ブランドは、我が国の主要都市(東京、横浜、名古屋、
大阪、京都、福岡)はもちろんのこと、世界各国に170以上の店舗を 5 構え、
「世界の一流品大図鑑」でも度々紹介されている世界有数の高級ブ ランドの一つとして世界中で認知されているファッションブランドであ り、
「Instagram」でのアカウントフォロワー数において、平成30年1 0月時点で、ラグジュアリーブランドの中で第9位である。
原告ブランドの売上高10 原告ブランドが取り扱う各種ファッショングッズの中でも、原告商品 は、「レッド・ソール(赤い靴底)」の愛称で親しまれ、ブランドのシグ ネチャーとして世界的に広く認知されているものであり、1993年以 来、原告ブランドの全ての女性用ハイヒール靴に本件色彩が使用されて いる。日本においても、原告ブランドのハイヒール靴は、1996年頃15 から輸入販売が開始され、現在まで26年に渡って継続して販売されて おり、直営路面店(銀座店、青山店)、高級百貨店や、高級ブランド品を 主に取り扱うセレクトショップで販売されている。
原告は、2009年に日本における商品の輸入販売及び直営店の経営 を担う現地法人として株式会社クリスチャン ルブタン ジャパン(以20 下「原告日本法人」という。)を設立したが、原告日本法人を設立する以 前は、原告のフランスにおける営業母体である原告フランス法人が独占 的に日本の流通業者に原告ブランドに係る商品を供給していた。199 6年以降の女性用靴の販売額は、別紙2のとおりであり、原告による女 性用靴の売上に占める女性用ハイヒール靴の売上の割合は、70%を下25 回ることなく、多いときには80%を超えることもある。
本願商標の斬新さ等 9 a 本願商標は、女性用ハイヒール靴の靴底部分に付した赤色 (PANTONE 18-1663TP)で構成される。本願商標は、輪郭のない色 彩のみからなるものであるが、色彩が付される位置を特定したもので ある点において、単なる色彩のみからなる商標とは異なるものであり、
5 また、本願商標の指定商品は「女性用ハイヒール靴」であるから、そ の形状は本願商標が付される個々の「女性用ハイヒール靴」の靴底の 形状に限定される。
そして、本来、靴底は、着用時に目につく部分ではない上、靴が使 用されることによって必然的に汚損し、摩耗することが免れない部分10 であるから、靴底に色彩を付することは、合理的ではなく、靴底に本 件色彩のような色彩を使用することは非合理的ですらある。
したがって、女性用ハイヒール靴の靴底に本件色彩を付することは、
取引上普通に採択、使用されているデザイン手法ではないし、ありふ れたものでもない。
15 b 被告は、後記2 アのとおり、靴底を赤色に彩色した商品(女性用 靴)も多数の事業者によって製造、販売されている実情があることを 挙げて、本願商標に係る特徴(赤色、靴底)は、特段の創作性や特異 性はなく、独創性を欠く旨主張する。
しかし、原告商品が人気を博する以前の時期において靴底に赤色を20 付した女性用ハイヒール靴は、被告が指摘し得るもので3、4点にと どまるのであり、その後、今日では、多数の事業者によって「レッド ソール」のハイヒール靴が市場で販売されているとしても、それは、
被告が主張するようにありふれたデザイン手法ではなく、識別力を有 する赤い靴底の原告商品が人気を博するようになった結果、原告商品25 に消費者が惹きつけられるようになり、それに応じて赤い靴底を使用 することによって原告商品に類似する商品を製造、販売することによ 10 って利を得ようとする事業者が生じたからに他ならない。
雑誌媒体等での報道内容 原告ブランドはブランドの発足とほぼ同時に日本でも紹介され、その 代表的な商品である女性用ハイヒール靴についても、既に1997年に 5 は「真っ赤な靴底が、ルブタンのトレードマーク」 雑誌 ( 「FIGARO japon」 1997年6月5日号)として紹介されていた。原告商品は、高い発行 部数を誇る著名な女性向けのファッション雑誌にとどまらず、経済誌、
一般雑誌、男性誌においても繰り返し継続的に取り上げられ、靴底が赤 色であることがまさに「トレードマーク」 「目印」 「象徴」等として記 、 、
10 載されている。
このように、靴底部分に本件色彩を付した原告ブランドのハイヒール 靴は、日本の需要者の間でも高い人気を博し、ファッション雑誌等のメ ディアでは、靴底部分をあえて見せて靴底の赤色を強く印象付ける写真 が掲載され、世界的に著名な原告ブランドのハイヒール靴として数多く15 紹介されており、その結果、靴底部分に本件色彩を付したハイヒールを 見れば、需要者等により原告ブランドのハイヒール靴であると認識され るに至っている。
テレビドラマ・映画等での紹介 原告のハイヒール靴は、テレビドラマや映画の衣装として度々使用さ20 れ注目を集めている(「セックス・アンド・ザ・シティ」(平成20年日 本公開)「あなたは私の婿になる」 、 (平成21年日本公開)「抱擁のかけ 、
ら」 (平成22年日本公開)、
「TIME/タイム」 (平成24年日本公開)、
「バッド・ティーチャー」 (同年日本公開)「ドクターX〜外科医・大門 、
未知子〜」 (同年放送開始)、
「Missデビル 人事の悪魔・椿眞子」 (平25 成30年日本テレビ放送)、
「元彼の遺言状」 (令和4年4月から6月まで フジテレビで放送) 。
) 11 このように、原告商品がテレビドラマや映画作品の衣裳として採用さ れる理由は、それがどのブランドの靴であるかを台詞等で説明せずとも、
靴底部分に付された本件色彩を見ただけで原告ブランドの女性用ハイヒ ール靴であると認識することができ、これによって、主人公や登場人物 5 がファッションに関心が高く高級ブランドを愛好する人間であるといっ た登場人物のキャラクター設定に一役買うことができるからであり、そ のような効果がドラマ等の制作側において期待され、視聴者や観客の側 で実際にそのような効果が生じるのは、本件色彩が靴底に付された女性 用ハイヒール靴は、原告の商品であるという認識が一般的な需要者(テ10 レビドラマや映画の視聴者)の間に存在するからである。
著名人による着用 原告商品は、
【A1】【A2】【A3】【A4】【A5】【A6】【A 、 、 、 、 、 、
7】 【A8】 【A9】 【A10】 【A11】などといった、絶大な顧客 、 、 、 、
吸引力を有する著名人・芸能人によって公の場で着用され、各種雑誌等15 によってその様子が世界中に配信されている。そして、こうした報道等 においては、これらの著名人・芸能人が着用している原告商品に付され た本願商標が強調された写真が掲載されているほか、 【A2】も“レッ 「 ドソール”のマジックを知り尽くしている一人。ルブタン愛用者として 知られる彼女ですが、
・・・ピリッとソールの赤を効かせるテクは、ぜひ20 真似したい!」といった記載や、【A3】は・・・いつもルブタン!・・・ 「 コンサバ服にも大胆なステージ衣装にも、フェティッシュなハイヒール をコーディネートし、セクシーに“レッドソール”をチラ見せ!」等と いった記載が添えられ、本願商標が原告商品の特徴として強調されて報 じられている。
25 受賞歴 原告は、その取扱いに係るハイヒール靴に関し、海外において様々な 12 賞を受賞しており、その報道の際にも、
「輝く赤くラッカーを塗った靴底 を知らない女性はいないと思う」 「ルブタンの靴の最も顕著で広く認識 、
された特徴は、彼らの商標であるレッドソール」 「レッドソールは誰も 、
が認識するものになっています」といった、本願商標が原告ブランドの 5 象徴的特徴として周知及び著名であることが前提となった記載がされて いる。また、近年においても、2019年に、世界的に著名なニューヨ ークのFIT美術館(ファッション工科大学美術館)が主催する年度別 「クチュール・カウンシル・アワード・ファッション芸術賞」を受賞し ており、その報道の際には、 【X】と彼の赤い靴底の靴を称えるクチュ 「10 ール評議会」といった記載や、原告ブランドを「特徴的で赤い靴底で有 名」と説明する記載が添えられている。
ブログ記事、ツイッター上の投稿内容 ブログ記事やツイッター上の無数の書き込みにおいて、
「靴底」が「赤 色」という2つの要素を備えた靴は原告のハイヒール靴又は原告ブラン15 ドの靴商品であるとの認識が示されている。
類似品への権利行使 原告は、原告以外の他社の女性用ハイヒール靴に関し、不正競争防止 法に基づき販売中止を求めるなどの措置を講じてきた。
広告宣伝20 原告は、掲載料を払って雑誌等に広告掲載する宣伝手法を用いておら ず、
「サンプルトラフィッキング」と呼ばれる、雑誌の記事やメディアで の撮影のために商品のサンプルを積極的に貸し出し、これらの第三者が 原告ブランドやその取扱いに係る商品を雑誌等で紹介したり、原告ブラ ンドのハイヒール靴を着用して公の場に登場し、それがメディアに露出25 することによって、原告ブランドの認知度や良好なブランドイメージが 醸成されるようにしてきた。2010年度以降2017年度までの各年 13 度において原告フランス法人がサンプルトラフィッキング用の商品とし て原告日本法人に販売した商品の金額は、累計で1億1600万円を超 える。
サンプルトラフィッキングによる原告の公報促進活動は、
【A6】、
【A 5 12】 【A13】 【A14】 【A15】 【A16】 【A17】 【A9】 、 、 、 、 、 、 、
【A18】 【A19】 【A20】 【A21】 【A22】 【A23】 【A 、 、 、 、 、 、
24】 【A25】 【A26】といった強い顧客吸引力を有する著名人に 、 、
よって着用されて書籍や雑誌のグラビア等を飾っており、商品の写真だ けを掲載したに過ぎない雑誌広告や無名のモデルを用いたありふれた広10 告とは比較にならないほど強く、需要者の注意を惹いている。
こうしたファッション雑誌や芸能誌といった印刷媒体、インターネッ ト上でデジタル配信される記事、強大な情報発信力を発揮するに至った 著名な芸能人らのソーシャルメディアアカウントでその商品が取り上げ られるように仕向けることによって得られる経済的価値は、2017年15 度において、広告料金換算値で日本だけでも年間1億7千万円に及ぶと 予想されている。
本件アンケート調査結果 原告は、本願商標が本願指定商品について我が国で使用された結果、
原告の商標として需要者の間に広く認識されたものであるか否かを客20 観的に示すため、2020年10月9日から同月11日にかけて、20 歳から50歳の女性で、ハイヒール靴をよく履く又は時々履く習慣があ り、東京都・大阪府・愛知県における特定のショッピングエリアでファ ッションアイテム又はグッズを購入する、東京都1055人・大阪府1 041人・愛知県1053人、計3149人を回答者サンプルとして、
25 インターネットを用いた本件アンケート調査を実施した。
本件アンケート調査は、本願の願書に記載のとおりの構成よりなる本 14 願商標を回答者に見せた上で、想起するブランド名を自由回答形式で尋 ね、思い出せない者には追加的に選択式でブランド名を回答させたもの であり、その結果によると、原告ブランドの認識度は、東京都・大阪府・ 愛知県の3都府県平均で、原告商品に限らず靴底部分が赤いハイヒール 5 靴を見たことがある人を分母とした場合は54.40%であり、全サン プル(回答者)を分母とした場合は43.35%であった。また、自由 回答に選択式回答を合わせると、原告ブランドの認識度は、東京都・大 阪府・愛知県の3都府県平均で、原告商品に限らず靴底部分が赤いハイ ヒール靴を見たことある人を分母とした場合は67.76%、全サンプ10 ル(回答者)を分母とした場合は53.99%であった。さらに、自由 回答に選択式回答を合わせた上で、選択式回答における推測による回答 の影響を補正した場合の原告ブランドの認識度は、東京都・大阪府・愛 知県の3都府県平均で、原告商品に限らず靴底部分が赤いハイヒール靴 を見たことある人の間では64.77%、全サンプル(回答者)を分母15 とした場合51.60%であった。
このように、本件アンケート調査の結果によって示された原告ブラン ドの認知度は、調査の手法や、本願商標や本願指定商品に係る事情を考 察すれば、極めて高いものというべきである。
イ 「独占適応性」に関する被告の主張について20 被告は、後記2 エのとおり、本願商標が商標登録された場合には、本 願商標の近似色を靴底に使用する履物について禁止権が及び、その使用が 事実上制限されることになるため、色彩使用の自由を著しく制限し、他の 事業者の色彩選択に著しい萎縮効果を与えることになる旨主張して、独占 適応性を否定する。
25 しかし、登録商標の禁止権が及ぶのは類似商標を使用した誤認混同の恐 れのある商品であって、近似色を使用した「履物」全般について禁止権が 15 及ぶものではなく、また、本願商標が登録されたとしても、本願商標と同 一又は類似の色の色彩の靴底を使わない限り、これらの商品の製造販売は 継続することができるから、事業者に萎縮効果を生じるものではない。被 告の上記主張は、類似商品における本願商標の識別力を審査、審判過程で 5 考慮しているに等しく、商標法3条2項の解釈適用を誤るものである。
また、色彩には、色相(色合い)、彩度(色の鮮やかさ)、明度(色の明 るさ)という3つの属性があり、一般人は、それぞれについて100種類 程度を見分けることができるとされていることからすると、100万色を 識別することができることになる。本願商標を特定している「PANTONE」10 のカラーガイドでは、2161色が紹介されているところ、上記のとおり、
一般人は、相当多数の色彩を識別可能であるから、本願商標(PANTONE 18-1663TP)に商標登録を認めたからといって、色彩の自由を著しく制限 することにはならず、被告が本願商標と類似する色彩の例として挙げる本 願商標と同じ赤色系統の色彩(「黄みの赤色、紫の赤」)が使用されたとし15 ても、取引の実情を踏まえれば十分に識別可能であって、混同のおそれが 生じない場合も十分にあり得る。
ウ 小括 以上のとおり、原告ブランドの歴史、我が国における売上高、雑誌等に おける報道の具体的内容、テレビドラマ・映画等での紹介、著名人による20 着用、受賞歴、ブログ記事やツイッター上の投稿内容に加え、原告による 広告宣伝促進活動と本件アンケートの結果に鑑みれば、本願商標は原告の 業務に係る商品であることを表示するものとして広く認識されるに至っ ているものであるから、本願商標は、商標法3条2項に該当するものであ る。
25 したがって、これと異なる本件審決の判断は誤りであるから取り消され るべきである。
16 2 被告の主張 商標法3条2項の解釈 ア 商品の色彩は、古来存在し、通常は商品のイメージや美観を高めるため に適宜選択されるものであり、また、自然発生的なものや商品の機能を確 5 保するために必要とされるものもあることからすると、取引に際し必要適 切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、原則として何人 も自由に選択して使用できるものとすべきで、特に、単一の色彩のみから なる商標については上記趣旨が妥当するものと解される。そして、商標法 3条1項3号に該当する単一の色彩のみからなる商標が同条2項に当た10 るというためには、当該商標が使用をされた結果、特定人の業務に係る商 品又は役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識され るに至り、その使用により自他商品識別力又は自他役務識別力を獲得して いることが必要であり、さらに、同条1項3号の趣旨に鑑みると、特定人 による当該商標の独占使用を認めることが公益上の見地からみても許容15 される事情があることを要すると解するのが相当である(知財高裁令和2 年8月19日判決、知財高裁令和2年6月23日判決参照)。
イ なお、原告は、前記1 ア のとおり、平成26年法律第36号附則5 条3項の規定により、
不正競争の目的でないこと」その他の同項の要件を 満たす場合は、本願商標の登録によっても当該取引者は継続して当該色彩20 を使用することが可能であり、その業務が妨げられることにならない旨主 張するが、同項に規定する継続的使用権は、あくまでその法律の施行時点 において既に使用されている商標に蓄積された信用を保護するため、一定 の条件の下に継続使用を認めるにすぎないから、施行日後に仕様変更や新 規商品発売があった場合にまで適用されるものではないし、また、継続的25 使用権は、先使用権(商標法32条)に準じる権利であるところ、その趣 旨は本来的に過誤登録の救済にあるから、継続的使用権の存在を理由に、
17 過去又は現在における第三者による色彩使用に係る実情を無視して、本願 商標の登録適格性を判断し、過誤登録を生み出すことは適切ではなく、原 告の主張は理由がない。
本願商標は商標法3条2項に該当しないこと 5 原告が前記1 アで主張する、原告ブランドの歴史、原告ブランドの売上 高、雑誌等における報道の具体的内容、テレビドラマ・映画等での紹介、著 名人による着用、受賞歴、ブログ記事やTwitter上の投稿、類似品へ の権利行使、広告宣伝活動の事実関係、本件アンケート調査の結果(ただし、
その評価は争う)については特段争うものではないが、以下の点に照らせば、
10 本願商標は、商標法3条2項に該当するものではない。
ア 本願商標は独創性がないこと 本願商標は、女性用ハイヒール靴の靴底部分に付した、 (PANTONE 赤色 18-1663TP)の色彩のみからなる商標であるところ、表示位置(靴底)は 特定されているものの、文字や図形と組み合わせたものではないから、輪15 郭や外縁のような図形的な要素もない、輪郭のない単一の色彩(赤色)の みからなるものである。
赤色は「色の名。三原色の一つで、新鮮な血のような色。また、その系 統に属する緋(ひ)・紅・朱・茶・桃色などの総称。」であって、色名とし ては、基本色名(赤・青・黄など、色だけを表す言葉)の一つで、古来よ20 りパワーや生命力を表す色として親しまれている。また、赤色は、商取引 全般、特にファッション分野において、赤トップス、赤スカート、赤パン プスと称するような被服や履物にも見られるように、商品やその包装、広 告等を彩色するために極めて一般的に採択、使用されており、色彩として はありふれたものである。
25 また、ファッション分野においては、各商品は最終的には単体ではなく、
例えばトップス、スカート、パンプス等を組み合わせて着用されるから、
18 多彩なコーディネートを可能にするため多種多様な色彩の製品が製造、販 売されているところ、中でも、スタイリングにアクセントを与え、華やか さを演出するような差し色として使える赤色のアイテムは、重宝されてい る。そして、履物の取引においては、表面を赤色とする商品のほか、靴底 5 を赤色に彩色した商品(女性用靴)も多数の事業者によって製造、販売さ れている実情がある(なお、本件審決前から販売又はそのための展示(オ ンラインショップでの掲載)がされていた事例だけではなく、販売時期が 確認できない商品(本件審決後に発売された商品を含む。)であっても、商 標法3条2項でいう公益(独占適応性)は、過去及び現在だけではなく、
10 将来的な取引制限の可能性も考慮するから、本件審決時に危惧したことが 現実化していることを示す事例であれば、本願商標の審決時における登録 適格性の判断において考慮することに支障はないというべきである。 。特 ) に、本願商標の指定商品(女性用ハイヒール靴)は、靴底が平坦な靴とは 異なり、靴底部分がヒールにより持ち上げられており、着用時にも、後方15 や側面から靴底を目にすることが可能であるから、靴底の色彩は差し色と して華やかさを演出するデザイン要素になることを踏まえると、靴底の位 置に赤色を表示することは、商品の美観を向上させる目的(着用の際に、
靴底の赤色が差し色となる。)で、取引上普通に採択、採用されているデザ イン手法にすぎず、色彩の表示位置としては、特異なものではない。
20 そうすると、本願商標に係る特徴(赤色、靴底)は、特段の創作性や特 異性はなく、独創性を欠くものである。
イ 原告の広告宣伝手法は間接的な手法であること 原告は、ブランドの認知度を向上させるために、広告宣伝費用を支払っ て広告掲載するという宣伝手法は用いておらず、雑誌の記事やメディアで25 の撮影のために商品サンプルの貸し出しを行うという間接的な広告宣伝 手法を採っており、結果として、本願商標に相当する特徴(靴底、赤色) 19 の認知度の向上は、原告の商品を取り上げることを希望するファッション 関連の出版社やメディアを通じての商品紹介記事に偏重し、その編集方針 や記事内容に依存することになる。このため、原告の広告宣伝活動によっ て、本願商標に係る認知度が向上し得る対象範囲は、ファッション誌やイ 5 ンターネット記事などを熟読し、ファッション情報を積極的に得ている、
比較的ファッション情報に高い関心を有する需要者層に偏るといえる。
また、本願商標に相当する特徴(靴底、赤色)に関する記述(赤いソー ル、レッドソール等)を伴う記事にしても、例えば、
「すべてのソールが真 っ赤」 (甲139)の記述に続いて「それは、彼の、靴作りに対するイメー10 ジをもっとも象徴的に表している。 、 ・ 」「・ ・裏はどれも赤い。」 (甲142) の記述に続いて「彼に言わせると、赤は、唇の色だし、つめの色でもあり、
ある種ノンカラーともいえる。それに、セクシーであるし、それで、赤に した、と。」等の記載があるように、原告ブランドのデザイン面のこだわり を伝えるものである。加えて、例えば「・・・トレードマークである赤の15 ソールでおなじみ。 (甲166)の記述に続いて「それは後ろ姿を人々の 」 心に残すという、隠れたメッセージでもあるそう。 、
」「今やルブタンのトレ ードマークとなったレッドソール・・・」 (甲192)の記述に続いて「シ ンプルな黒いハイヒールでも、歩くたびにレッドソールがちらりと見える だけで刺激的な瞬間が作られる。」との記載があるように、「トレードマー20 ク」という言葉を誇張的に使用して、デザイン面の特徴を伝えるものであ る。
そうすると、これら記事情報は、読者に対して、原告ブランドによる商 品デザイン面のこだわりを伝えることはできても、靴底を赤色に彩色した 商品が多数の事業者によって製造、販売されている実情があり、原告のみ25 が独占使用するものではない状況の中では、商品購入をする需要者は、原 告の商品の包装箱やインソールなどに表示された「Christian Louboutin」 20 の文字に依拠して出所を識別するというべきであるから、本願商標に係る 特徴(靴底、赤色)は、現実的に出所識別標識として機能し得るものでは ない。
ウ 本件アンケート調査結果に基づき本願商標に係る客観的な認知度を測 5 ることが適切ではないこと 本件アンケート調査の調査対象及び調査手法には、原告に有利になる ような工夫があることを指摘できる。
すなわち、@本件アンケート調査は、その対象を、原告ブランドの店 舗が所在する東京都、大阪府及び愛知県という都市部の在住者に限定し10 ており、それ以外の地域(原告ブランドの店舗は、上記地域以外には、
札幌、横浜、京都、福岡にしかない。)における認知度を反映したもので はない。A回答中の設問によって、靴底が赤いハイヒール靴を販売して いるファッションブランドがあることを知らず、かつ、そのようなハイ ヒール靴を見たことがない者(197名)を、回答者から除外している15 が、本願商標の指定商品(女性用ハイヒール靴)の需要者には、当然そ のような者も含まれる。それにもかかわらず、
「靴底部分が赤いハイヒー ル靴を販売するブランドがあることも知らず、そのようなハイヒール靴 を見たこともない者に、本願商標から想起するブランド名を尋ねても答 えられないと考えられる」こと等を理由として、回答できそうもない者20 を調査対象の母数から恣意的に除外することは、本件アンケート調査が 示す本願商標の認知度を引き上げることにつながる(除外された人数を 母数に入れて再計算すると、認知度は39.9%になる。 。
) なお、アンケート調査において選択式回答のような助成想起によって 認知度が測定できる可能性自体を否定するものではないが、少なくとも25 本件アンケート調査においては、選択式回答の選択肢は、原告ブランド を含む8ブランドのうち、原告ブランドのロゴのみが赤く塗った円で囲 21 まれ、赤色を一際強調した態様となっているから、
「赤色」と関連するフ ァッションブランドを尋ねる回答方式としては、極めて誘導的な選択肢 であって、回答の信ぴょう性は著しく損なわれており、本願商標に係る 客観的な認知度を測る調査手法として適切ではない。
5 また、本願商標から、原告ブランドを認知できた女性は半数以下(4 割)にすぎず、半数以上(6割)は原告ブランドとの関係を想起できて いないから、本願商標の指定商品(女性用ハイヒール靴)の需要者であ る全国規模の需要者層においては、原告ブランドとの関係を想起できる 需要者は一層少ないと考えられる。
10 以上のとおり、本件アンケート調査によれば、原告ブランドの店舗の ある比較的ファッションに関心の高い需要者が居住する都市部(東京都、
大阪府及び愛知県)の在住者の間においても、本願商標から原告ブラン ドを認知できる女性は4割に満たない程度であり、残りの半数以上(6 割)は原告ブランドとの関係を想起できていないことになる。
15 したがって、本願商標は、その指定商品に係る一定割合の需要者(フ ァッションへの関心の高い都会の女性)の間において、原告の業務に係 る商品に採択されているデザイン面の特徴として一定程度認知されて いるとしても、我が国の需要者(ファッションへの関心が高くはなく、
地方在住の、靴底が赤い靴を知らない者を含む。)の間において、広く認20 識されるに至っているものではない。
エ 本願商標に独占適応性は認められないこと 登録商標の禁止権の効力は、登録商標と同一の範囲にとどまらず、登 録商標と類似する商標や指定商品に類似する商品又は役務にまで及ぶ (商標法37条)から、商標の登録適格性の判断に際して他の標章の存25 否や独占適応性を検討するに当たっては、同一商標及び同一商品に係る 事情だけを考慮するのではなく、商標登録されることにより、本来自由 22 に使用できるべき標章(色彩)の使用が事実上制限され、また、萎縮効 果が生じるような、類似の商標や類似の商品及び役務を含む、ある程度 幅をもたせた分野における取引の実情を考慮する必要がある。
本願商標は、単一の色彩(赤色。PANTONE 18-1663TP)のみからな 5 るものであり、表示位置(靴底)を特定するものの、輪郭や外縁の要素 はないから、本願商標の商標登録による商標権の効力は、本願商標と同 一又は類似の色彩を、その輪郭や外縁、形態、態様又は面積等を問わず、
靴底の全部又は一部に付した女性用ハイヒール靴を販売又は輸入する ことにまで及び得る。人が視覚によって見分け、記憶できる色彩には限10 界があり、一般的には曖昧なカテゴリ(赤、緑、黄、青、茶、紫、オレ ンジ、ピンク、灰、白、黒など)により記憶されるため、本願商標の近 似色(いわゆる赤のほか、黄みの赤や紫みの赤等)は、離隔的観察の下 では、本願商標と見分けることは困難であるから、本願商標と類似する 商標(色彩)には、誤認混同を生じるおそれがある赤色(PANTONE 18-15 1663TP)の近似色が含まれることになる。
また、本願商標は、指定商品を「女性用ハイヒール靴」とするところ、
「ハイヒール」は、一般に7p以上の婦人靴のかかと、またかかとの高 い靴であって、履物製造業者によって製造及び販売され、履物小売業者 によって販売されるものであるから、本願商標の指定商品と履物(女性20 用靴を含む)は、製造業者が共通し、流通経路も共通するものである。
そして、商標法における商品の類否は、商品が通常同一営業主により製 造又は販売されている等の事情によりそれらの商品に同一又は類似の 商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認さ れるおそれがあると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体25 が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、類似の商品に 当たると解されているから、本願商標の指定商品「女性用ハイヒール靴」 23 と類似の商品には、商品の構造や機能、需要者層が共通し、同一の営業 主により製造、販売されているために誤認されるおそれがある履物(女 性用靴を含む。)が含まれることになる。
加えて、スタイリングにアクセントを与え、華やかさを演出するよう 5 な差し色として使えるアイテムとして、靴底に赤色がデザインされてい る商品(女性用靴)を求める需要者にとって、本願商標が商標登録され ることで、それら商品が原告ブランドからだけしか購入できない状況 (原告ブランドの商品は10万円前後と高額でもある。)になることは、
商品購入の選択肢を極端に狭めることになる。
10 以上のとおり、本願商標の登録適格性の判断において考慮すべき第三 者の使用例は、履物の分野における靴底の色彩としての赤色及びその近 似色を、その輪郭や外縁、形態、態様又は面積を問わずに商品の靴底に 表示するものであるところ、履物の分野においては、本願商標の近似色 (赤色)が靴底の色彩として多数の事業者により採択されている実情が15 あるから、仮に本願商標の登録を認めた場合、履物の分野において多数 の事業者により広く採択されている色彩について、靴底における使用が 事実上制限されることになり、元来自由に利用できるはずであった色彩 の使用が阻害又は制限される影響は深刻である。
したがって、原告に限って本願商標の独占使用を認めることは、履物20 の分野において、現在及び将来を含めた色彩使用の自由を著しく制限す るもので、他の事業者の色彩選択に著しい萎縮効果を与えること、さら には、需要者の選択肢を狭めることに鑑みると、公益上の見地からみて も許容されるものではない。
オ 小括25 以上のとおり、本願商標は独創性がないこと、原告の広告宣伝手法は間 接的な手法であって、比較的ファッション情報に高い関心を有する需要者 24 層に向けたものであること、本件アンケート調査から推し量れる一般消費 者の間における認知度は高くないこと、本願商標の独占使用を認めること は公益上の見地(独占適応性)の観点からも問題があること等を総合的に 考慮すれば、本願商標は、原告により使用をされた結果、需要者が、原告 5 の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは いえず、商標法3条2項に該当するものではない。
当裁判所の判断
1 認定事実 当事者間に争いがない事実に加え、証拠(甲6ないし10、14、16、410 9ないし51、53ないし63、82、83、85ないし103、120ない し123、131ないし133、167、168、191、193、195、
200、206、207、209、214、215、220、246ないし2 52、254、255、257、259、272ないし275、277、28 0、281、284ないし287、289、290、293、304、305、
15 325、329、344、345、351、353、364、366、369、
372ないし380、383ないし392、404、421、449、495 ないし504、507、513、514ないし518、525、527、52 9、530、532ないし539、541ないし548、563、567、5 77ないし584、591、594、599、608、614ないし617、
20 646、647、675、681、694、695、696、乙4ないし31、
39ないし42)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
原告ブランドの創設と事業展開等 ア 原告は、1991年後半に創設された原告ブランドのブランド名を使用 した高級婦人靴の他、男性用の靴、ハンドバッグ、財布等の各種服飾雑貨25 のデザイン及び企画並びにこれらの商品の製造販売を業とする原告フラ ンス法人の代表者であり、1991年11月にパリに直営店をオープンし、
25 現在では、我が国の主要都市(東京、横浜、名古屋、大阪、京都、福岡) を含め、世界に170以上の店舗を展開している。
イ 原告ブランドが取り扱う商品には、靴底を赤色(パントン社が提供する 色見本「PANTONE 18-1663TP」とされる色彩(本件色彩))をラッカー 5 塗装した女性用ハイヒール靴(原告商品)があり、中敷きに「Christian Louboutin」 (一部文字を図案化してなるもの)のロゴが付されている。女 性用ハイヒール靴の靴底に赤いラッカー塗装を施した原告商品は、「レッ ドソール」の名称で呼ばれ、原告ブランドを代表する商品として認知され ており、ハイヒール以外の女性靴及び男性靴の靴底も全て本件色彩で統一10 されている。
ウ 原告ブランドは、平成30年時点で、Instagram におけるアカウントフ ォロワー数において、ラグジュアリーブランドの中で第9位であり、令和 4年6月13日時点でフォロワー数が1543万人に上っている。
日本における原告ブランドの販売実績等15 ア 原告商品は、1996年(平成8年)頃から日本において輸入販売が開 始され、路面店(銀座店、青山店) 高級百貨店 、 (伊勢丹新宿店、松屋銀座、
西武渋谷店、西武池袋店、そごう横浜店、ジェイアール名古屋タカシマヤ、
大丸心斎橋店、阪急梅田店、大丸福岡天神店)、高級ブランド品を主として 扱うセレクトショップで販売されており、1足10万円前後の価格帯の商20 品である。
イ 原告は、2009年(平成21年)に日本における商品の輸入販売及び 直営店の経営を担う原告日本法人を設立した。
日本における輸入販売開始後の原告ブランドの総売上高は別紙2のとお りであり、近年でいえば、平成27年度(2015年〜2016年)は年25 間約65億円、平成28年度(2016年〜2017年)は約76億円、
平成29年度(2017年〜2018年)は約76億円であり、そのうち、
26 女性用靴の販売総額は、平成27年度は約32億円、平成28年度は33 億円、平成29年度は約31億円であり、ハイヒール靴(ヒールの高さが 約3.5p以上のもの)の販売金額は、平成27年度は約23億円、平成 28年度は約24億円、平成29年度は約21億円であり、女性用靴全体 5 の売上に占める女性用ハイヒール靴の売上の割合は、70%ないし80% である。
原告商品の雑誌媒体等、テレビドラマ・映画等の紹介、宣伝広告、受賞歴 等 ア 雑誌、メディア等の紹介10 各種雑誌、書籍、ウェブサイト等における1992年(平成4年)か ら2017年(平成29年)までの間の原告商品の紹介等は多数に上っ ており(原告の主張による紹介等のうち、2000年以前のもの及び2 017年のものを例として別紙3に添付するが、数としては、2011 年、2012年及び2014年のものが20件を超えていて多い。 、そ )15 の際、靴を横向きに倒したり、靴底を浮かせるなどして、靴底の赤色が 見えるような角度の写真が多用されて紹介されている。また、多くの雑 誌やメディア、ファッション関連のニュースサイト等で、レッドソール」 「 が原告商品の特徴であると取り上げられている。
原告商品は、原告が主張するような各種のテレビドラマや映画で登場20 人物の衣装として使用された。
原告商品は、原告が主張するとおり、日本の著名人、芸能人のみなら ず世界的な著名人等によって公の場で着用され、その様子が各種雑誌等 で取り上げられている。
イ 宣伝広告25 原告は、掲載料を支払ってテレビや雑誌媒体等に広告を掲載する手法を 採っておらず、サンプルトラフィッキング(雑誌編集者、スタイリスト、
27 著名人等からの要望又は依頼に応じて、これらの者が雑誌の記事、メディ アでの撮影等で使用するために原告商品を貸し出すという広告宣伝方法) という手法で宣伝広告をしている。
原告フランス法人が、2010年度(平成22年度)から2017年度 5 (平成29年度)までの各年度において、サンプルトラフィッキング用の 商品として原告日本法人に販売した商品の金額は、約1億1600万円で ある。
ウ 海外での受賞歴 原告は、取扱いに係るハイヒール靴に関し、海外で数々の賞を受賞して10 おり、近年では、2019年(令和元年)にFIT美術館が主催する年度 別「クチュール・カウンシル・アワード・ファッション芸術賞」を受賞し た。
エ 原告商品に関するブログやツイッター上の投稿内容 ブログやツイッター上の投稿においては、「靴底が赤いブランドの靴は15 『ルブタン』かな?」 「靴底が赤いのであれば『クリスチャンルブタン』 、
のものです。 などといった、
」 靴底に赤色を付した女性用ハイヒール又は靴 は「ルブタン」のブランドを指すことを示す多数のブログや投稿記事があ る。
本件色彩以外の靴底が赤色の女性用ハイヒール等20 ア 本件色彩と類似する赤色は、ファッション関係においては国内外を問わ ず古くからあらゆる商品に採用されているところ、靴底が本件色彩と似た 赤色の女性用ハイヒールに限っても、被告が主張する1993年以前の書 籍やカタログには、以下のとおりの写真が掲載されている。
「TELLUS」のカタログ「Tellus collection “Autumn winter 88 89”」、
25 「AUTUMN WINTER COLLECTION 91/92 TELLUS」には、靴底が 原告赤色と似た赤色の女性用ハイヒールの写真が掲載されている。
28 シューズデザイナー高田喜佐の著書「Shoe、 Shoe PARADISE」(平 成3年2月20日第1刷発行)には、
「1985クリスマス商品」として 靴底が原告赤色と似た赤色の女性用ハイヒールの写真が掲載されてい る。
5 「CHARLES JORDAN 1991-2004」のカタログには、
「1993年」 に靴底が赤色の女性用ハイヒール靴の写真が掲載されている。
イ 靴底が本件色彩と類似する赤色の女性用ハイヒールは、令和4年9月時 点で、@高島屋のオンラインサイト(ブランド名「ESPERANZA」 、Aワ ) シントン靴店のオンラインサイト(ブランド名「INDIVIDUAL」 、B「I )10 Need More Shoes」のオンラインサイト、C靴等の通販サイト「LOCONDO」 (ブランド名「attagirl」 ITALICO」 DEMETER」 maison de LATIR」 、
「 、
「 、
「 、
「MELMO」「repetto」 、D「PayPay モール」のオンラインサイト(ブ 、 ) ランド名「EIZO」「menue」 、E「SHOPLIST.com」のオンラインサイト 、 ) (ブランド名「welleg」「aquagrage」「Marilyn Monroe」 、F「SHOES 、 、 )15 in KOBE」のオンラインサイト(ブランド名「7styles」 、G株式会社丸 ) 井が運営するオンラインサイト(ブランド名「METAL ROUGE」 、H ) 「 BUYMA 」 が 運 営 す る オ ン ラ イ ン サ イ ト ( ブ ラ ン ド 名 「 CHARLES JOURDAN」 、I「Sugar」のオンラインサイト(ブランド名「an」 、J ) ) 「SHINfULIFE」のオンラインサイト(ブランド名「セルジオロッシ」 、
)20 K「LOCOLET」のオンラインサイト(ブランド名「フェラガモ」 、L「LA ) VITA FELICE」のオンラインサイト(ブランド名「シャネル」 、M ) 「Salvatore Ferragamo」が運営するオンラインサイトで、発売され、又 は発売されていた。
本件アンケートの調査結果25 本件アンケート(「ファッションに関するアンケート」)は、原告が、NE RAエコノミックコンサルティングに依頼して、本願商標が、何人かの業務 29 に係る商品又は役務であると需要者に認識されているかどうか、又は使用に より需要者に広く認識されているかどうかを検証するために実施されたもの である。アンケートの実施方法及びその結果は、以下のとおりである。
ア 調査対象者 5 GMOリサーチ株式会社が維持管理するインターネットモニター会員 の中から、年齢20歳から50歳までの、東京都、大阪府及び愛知県に居 住し、特定のショッピングエリア(@東京は、銀座、有楽町、丸の内、青 山、原宿、表参道、六本木、代官山、渋谷、新宿、池袋、二子玉川、自由 が丘、吉祥寺、A大阪は、梅田、心斎橋、難波、B愛知県は、名古屋駅・10 駅周辺、栄周辺エリア/大須エリア、名古屋港エリア)でファッションア イテム又はグッズを購入し、ハイヒール靴を履く習慣のある女性を対象と し、東京都、大阪府及び愛知県の各都道府県をそれぞれ1000人ずつ割 り付け、20歳から50歳を10年ずつの3つの年代グループに分けて各 グループが均等になるように割り付けて回答者サンプルを抽出し、上記各15 都道府県のそれぞれにおいて1000人を上回ることを目標に回収を行 い、東京都1055人、大阪府1041人、愛知県1053人の回収を得 た。
イ 質問内容 @(本願商標の画像を見せて)画像のように靴底部分が赤いハイヒール20 靴を販売しているファッションブランドがあることを知っているか(Q 5)、AQ5において、知らない、わからないと回答した者につき、この画 像のように靴底が赤いハイヒール靴を見たことがあるか(Q5-1) BQ 、
5において、知っていると回答した者及びQ5-1において、見たことが あると回答した者につき、靴底が赤いハイヒール靴を見て、どのブランド25 が思い浮かぶか(自由回答)(Q6)、CQ6においてブランド名を思い出 せないと回答した者につき、選択式で示したブランド名を選択する(Q7) 30 というものである。なお、Q7においては、原告ブランドのロゴは赤の円 の中にブランド名が白抜きされたものであり、他の7ブランドのロゴのう ち赤字が用いられているのは1ブランドのみである。
ウ 調査結果 5 Q5(前記@)について、知っていると回答した者は69.86%(3 都道府県の平均割合。以下同じ) 知らないと回答した者は23. 、 72%、
分からないと回答した者は6.41%。
Q5-1(前記A)について、見たことがあると回答した者は32. 56%、見たことがないと回答した者は67.44%。
10 Q6(前記B)について、ルブタンを正確に想起し回答した者は42. 43%(軽微な誤りと共にルブタンを想起した回答、誤りはあるがルブ タンを想起したと推察される回答、ルブタンと共に他のブランドを想起 した回答を含めると、43.46%、ルブタン以外のブランドのみ想起 した回答者は4.48%、ブランド名が思い出せないと回答した者は215 4.2%、ブランド名がわからないと回答した者は7.56%、見たこ とがないと回答した者は20.32%。
Q7(前記C)について、ルブタンと回答した割合は43.96%、
ルブタン以外のブランド名を選択した回答者の割合は34.78%、思 い出せないと回答した割合は21.26%。
20 自由回答と選択式の回答を補正した結果、東京都、大阪府及び愛知県 におけるルブタンの認識度は、全サンプルの場合は51.6%、原告の 商品に限らず赤いハイヒール靴を見たことがある人に限定した場合は6 4.77%。
2 単一の色彩のみからなる商標の商標法3条2項の該当性について25 本願商標は、別紙1 及び の記載から特定される色彩のみからなるもの であり、女性用ハイヒールの靴底部分に赤色(PANTONE 18-1663TP)とす 31 る構成からなるものである。
このように本願商標は、単一の色彩のみからなり、その色彩を付する位置 を上記部分に特定した商標である。
商標法3条1項は、自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商 5 標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる旨を 規定し、同項3号において、
「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、
用途、形状(包装の形状を含む。 、生産若しくは使用の方法若しくは時期そ ) の他の特徴、数量若しくは価格」を「普通に用いられる方法で表示する標章 のみからなる商標」を掲げる。
10 同号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされる趣旨は、このような商 標は、商品の産地、販売地、品質その他の特性を表示記述する標章であって、
取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、
特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとと もに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、
15 商標としての機能を果たし得ないことによるものと解される(最高裁昭和5 3年(行ツ)第129号同54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事1 26号507頁参照)。
そして、商品の色彩は、商品の特性であるといえるから、同号所定の「そ の商品の・・・その他の特徴」に該当するものと解される。そして、商品の20 色彩は、古来存在し、通常は商品のイメージや美観を高めるために適宜選択 されるものであり、また、商品の色彩には自然発生的なものや商品の機能を 確保するために必要とされるものもあることからすると、取引に際し必要適 切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、原則として何人も 自由に選択して使用できるものとすべきであり、特に、単一の色彩のみから25 なる商標については、同号の上記趣旨が強く妥当するものと解される。
他方で、商標法3条2項は、同条1項3号に該当する商標であっても、
「使 32 用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識 することができるもの」については、同項の規定にかかわらず、商標登録を 受けることができる旨規定する。
商標法3条2項の趣旨は、同条1項3号に該当する商標であっても、特定 5 の者が長年その業務に係る商品又は役務について使用した結果、その商標が その商品又は役務と密接に結びついて出所表示機能を持つに至り、公益上の 見地から不適当とされていた特定人による当該商標の独占的使用を例外的に 認めるということにある。
こうした商標法3条2項の趣旨に照らせば、自由選択の必要性等に基づく10 公益性の要請が特に強いと認められる、単一の色彩のみからなる商標が同条 同項の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務である ことを認識することができるもの」に当たるというためには、当該商標が使 用をされた結果、特定人による当該商標の独占使用を認めることが公益性の 例外として認められる程度の高度の自他商品識別力等を獲得していること15 (独占適応性)を要するものと解するべきである。
なお、色彩のみからなる商標等を商標登録の保護の対象とした平成26年 法律第36号改正附則5条3項には、不正競争の目的なく登録商標又はこれ に類似する商標を使用していた者に継続的使用権を認める旨の規定があるが、
これはあくまで「法律の施行の際に現にその商標の使用をしてその商品・・・20 に係る業務を行っている範囲内において」その商品等に関する商標を使用す る権利を認めるにすぎず、こうした改正附則の規定があるからといって、色 彩のみからなる商標登録において特定人による色彩の独占適応性を考慮する ことを否定する理由にならないというべきである。
3 本願商標の商標法3条2項該当性について25 本願商標の使用による識別力の獲得について ア 本願商標の構成態様 33 本願商標は、前記2 のとおりの構成からなる商標であるところ、そ の色彩は単一の色彩であり、その付する位置は靴底部分に特定されてい るが、別紙1 に着色して示された図形の形状、輪郭のものに限定され るものではない。
5 本願商標の色彩である「赤色」は、古くから「パワーや生命力を表す 色」 (乙3)として用いられているほか、女性用靴だけではなく衣類等の ファッション分野で広く用いられてきた色である(乙4ないし8) 本願 。
商標の色彩は、パントン社が提供する色彩標本のうち「PANTONE 18- 1663TP」と特定されているが、
「赤色」であり、基本色の1つで(乙2)、
10 色彩としてはありふれたものであって、特異な色彩であるとはいえない。
また、「赤色」は、上記のとおり基本色の1つであり、「紫みの赤」 「黄 、
みの赤」の色相も「赤色」と観念されるように(乙1、2)「PANTONE 、
18-1663TP」で特定される赤色と同系色の赤色とは厳密に識別すること はできない(乙33)。
15 また、本願商標で特定された色彩を付する位置は、女性用ハイヒール の靴底部分であるが、少なくとも、原告が原告ブランドを立ち上げた1 991年後半より以前から、靴底に赤色を付した女性用ハイヒール靴の 写真が複数掲載されていた(前記1 ア 及び )ことや、靴底に色彩 を付すこと自体に何らかの障害があるとも思えないこと等からすると、
20 色彩を付する位置として特異なものということはできない。
なお、原告は、前記第3の1 ア bのとおり、本願商標を付した女 性用ハイヒール靴が人気を博する以前において靴底に赤色を付した女性 用ハイヒール靴は、被告が指摘し得るもので3、4点にとどまるもので あって、本願商標の構成態様は、ありふれたデザイン手法ではない旨主25 張する。しかし、デザイン手法の特異性を判断するに当たっては、刊行 物の数が問題となるものではないし、前示のとおり、靴底に色彩を付す 34 こと自体に何らかの障害があるとも思えないことに加えて、原告商品は、
遅くとも1996年(平成8年)から日本において輸入販売が開始され た(前記1 ア )ものの、我が国における販売数量(女性用靴全体) が卸売価額で1億円を超え、飛躍的に伸びたのは2004年(平成16 5 年)ないし2005年(平成17年)頃からであること(別紙2参照) 等も勘案すると、それ以前に原告商品と類似の商品は市場にほとんど流 通していなかった、あるいは、本件審決時に流通する原告商品と類似す る商品は、原告商品の人気にあやかって利を得ようとしたものであるな どと決めつけることはできない(前記1 イに示した靴底が赤色の女性10 用ハイヒールは、その販売価格帯や販売方法等も多種多様な上、独自の ブランド名を付したものであり、一見していわゆる模倣品といえるよう なものではない。 。もとより、商標法3条1項3号に該当する商標が、
) 当該商標の使用の結果、自他商品識別力を獲得していることの立証責任 は出願者にあって、こうした流通実態の立証責任は原告にあるというべ15 きであるから、被告が挙げる事例の販売数量等について論難することは 当を得ない。
以上によれば、本願商標の色彩及び色彩を付する位置は、いずれもあ りふれたもの、ないし普通のものであり、本願商標の構成に特異性は認 められない。
20 イ 原告による本願商標の使用態様等 前記1 及び において認定した事実によれば、原告は、1991年 後半に原告ブランドを創設し、原告ブランド名を使用した高級婦人靴等 の製造販売を業とする原告フランス法人を設立してから以降、全世界に 店舗を展開して、本願商標を靴底に付した高価格帯の女性用ハイヒール25 靴(原告商品)を販売して、数多くの著名人や芸能人に愛用され、また、
日本でも、1996年(平成8年)頃から原告商品の輸入販売を開始し、
35 路面店や高級百貨店等で販売をしており、ハイヒール靴に限っても、平 成27年度以降は20億円を超える売上げを誇っており、また、数多く の雑誌、メディア等で、靴底の赤色が見るような角度の写真が多用され るなどして、原告商品は、
「レッドソール」として取り上げられ、海外で 5 芸術賞等を受賞するなどし、靴底が赤いブランドの靴は原告ブランドで あると言及するブログ等の投稿があることからすると、ラグジュアリー ブランドに関心のある女性を中心にした一定の需要者には、「靴底が赤 い」女性用ハイヒール靴は原告ブランドを指すものと認識されていると いえる。
10 他方で、原告商品は、中敷きに「Christian Louboutin」(一部文字を 図案化してなるもの)のロゴが付されており(前記1 イ)、こうした文 字の表示から、原告の女性用ハイヒール靴の出所が現に認識され、又は 認識され得ることは否定することができない。
また、我が国においては、靴底が赤色の女性用ハイヒールは、原告商15 品以外にも少なからず流通しており(前記1 イ) 女性用ハイヒールの 、
靴底に赤色を付した商品形態を原告が独占的に使用してきたものと認め ることはできない。
なお、原告は、前記第3の1 イのとおり、原告商品以外の類似品に 係る「取引の実情」に基づき、公益上の要請を考慮することは相当では20 ない旨主張するが、少なくとも前記2 で示したような、公益性の例外 として認められる程度の高度の自他商品識別力を獲得している(独占適 応性がある)か否かを判断するに当たって、原告商品以外の類似品に係 る取引の存在及びその状況を考慮要素とすることは当然のことといえ るし、これらの類似品の取引の実情に原告が示唆するような特段の事情25 があると認めることができない点は、前記アにおいて説示したとおりで あるから、原告の上記主張は採用し得ない。
36 ウ 本件アンケートの調査結果 前記1 のとおり、本件アンケートは、東京都、大阪府、愛知県に居住 し、特定のショッピングエリアでファッションアイテム又はグッズを購入 し、ハイヒール靴を履く習慣のある20歳から50歳までの女性を対象と 5 したものであるが、本件アンケート結果によると、靴底が赤いハイヒール 靴を見たことがないものを含め、本願商標を原告ブランドであると想起し た回答者は、自由回答と選択式回答を補正した結果で51.6%程度にと どまるものである。
女性用ハイヒール靴の需要者層は、全国の、主として20歳から50歳10 までの女性が中心であるといえるが、本件アンケートは、ファッション関 係にそれなりに関心のある主要都市に居住し、特定エリアでファッション アイテム等を購入する女性を調査対象としたにもかかわらず、本願商標の 認知度は半数程度にとどまっており、全国の需要者層にまで調査対象を広 げると、本願商標の認知度はこれよりも下回ることは容易に推認されると15 ころである。
そうすると、本件アンケート調査結果に基づき本願商標に係る客観的な 認知度を測ることの当否に係るその他の点につき判断するまでもなく、本 件アンケートの調査結果から認定できる需要者における本願商標の認知 度は限定的なものであるといわざるを得ない。
20 エ 小括 以上のとおり、本願商標が使用された原告の女性用ハイヒール靴の販売 実績、宣伝広告、受賞歴等によれば、ラグジュアリーブランドに関心のあ る女性を中心にした一定の需要者には、本願商標が使用された女性用ハイ ヒール靴は原告ブランドを指すものと認識されていることは認められる。
25 しかし、本願商標の構成態様は特異なものとはいえないこと、原告が取り 扱う女性用ハイヒール靴の中敷きに「Christian Louboutin」(一部文字を 37 図案化してなるもの)のロゴが付されており、これらの文字の表示から、
原告の女性用ハイヒール靴の出所が認識され、又は認識され得ることは否 定できないこと、原告以外の複数の事業者が本願商標の色彩と同系色であ る赤色を靴底に使用した女性用ハイヒール靴を販売していたこと等の諸事 5 情に加え、本件アンケートの調査結果から推認される需要者における本件 商標の認知度は限定的であることを総合考慮すると、本願商標は、前記2 で示したような、公益性の例外として認められる程度の高度の自他商品 識別力を獲得している(独占適応性がある)と認めることができないもの であることは明らかである。
10 以上によれば、本願商標は、前記2 で示したような、公益性の例外とし て認められる程度の高度の自他商品識別力を獲得している(独占適応性があ る)と認めることができないものであるから、商標法3条2項が定める「使 用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品」であることを認識するこ とができるものに該当するものとはいえない。
15 原告の各主張は、これまで説示したところによれば、いずれも前記の結論 を左右するものではない。
4 結論 以上によれば、その他の点について判断するまでもなく、原告主張の取消事 由は理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法は認められないから、原20 告の請求は棄却されるべきものである。
よって、主文のとおり判決する。
追加
25裁判長裁判官38 菅野雅之裁判官5中村恭裁判官岡山忠広39 (別紙1)商標登録を受けようとする商標商標の詳細な説明5商標登録を受けようとする商標は、女性用ハイヒール靴の靴底部分に付した赤色(PANTONE18-1663TP)で構成される。なお、破線は、商標がどのように使用されるのかの一例を示したものであり、商標を構成する要素ではない。
40 (別紙2)@1996年〜2000年におけるクリスチャンルブタンエスアーエスによる女性用靴の販売数量(卸売価額による)為替レート卸売金額シーズン(100リラ単位)卸売金額(円)(イタリアリラ)(12月末日の中値)1996春夏7,890,0007.59598,8511996秋冬27,952,0007.592,121,5571996合計2,720,4081997春夏34,325,0007.392,536,6181997秋冬21,515,0007.391,589,9591997合計4,126,5761998春夏21,849,0006.981,525,0601998秋冬68,721,8306.984,796,7841998合計6,321,8441999春夏71,689,9805.313,806,7381999秋冬119,653,2205.316,353,5861999合計10,160,3242000春夏97,781,9705.505,378,0082000秋冬159,050,2705.508,747,7652000合計14,125,773A2001年〜2015年におけるクリスチャンルブタンエスアーエスによる婦人用靴5の販売数量(卸売価額による)卸売金額為替レートシーズン卸売金額(円)(ユーロ)(12月末日の中値)41 2001春夏127,403.78116.5114,843,8142001秋冬228,810.05116.5126,658,6592001合計41,502,4732002春夏180,114.20125.0822,528,6842002秋冬254,238.94125.0831,800,2072002合計54,328,8912003春夏270,579.43133.7436,187,2932003秋冬418,667.72133.7455,992,6212003合計92,179,9142004春夏405,107.01141.6157,367,2042004秋冬583,819.88141.6182,674,7332004合計140,041,9372005春夏1,001,034.51139.83139,974,6562005秋冬1,269,216.34139.83177,474,5212005合計317,449,1762006春夏1,570,992.12156.50245,860,2672006秋冬1,613,524.16156.50252,516,5312006合計498,376,7982007春夏2,017,118.23166.66336,172,9242007秋冬1,727,608.94166.66287,923,3062007合計624,096,2302008春夏2,064,052.28127.96264,116,1302008秋冬1,387,997.07127.96177,608,1052008合計441,724,2352009春夏1,634,478.17132.00215,751,11842 2009秋冬1,498,148.85132.00197,755,6482009合計413,506,7672010春夏1,674,794.25107.90180,710,3002010秋冬1,387,711.55107.90149,734,0762010合計330,444,3762011春夏1,486,184.00100.71149,673,5912011秋冬1,536,995.00100.71154,790,7662011合計304,464,3572012春夏1,442,368.00114.71165,454,0332012秋冬1,392,624.00114.71159,747,8992012合計325,201,9322013春夏1,026,866.00145.05148,946,9132013秋冬1,056,335.00145.05153,221,3922013合計302,168,3052014春夏1,101,546.00146.54161,420,5512014秋冬942,034.00146.54138,045,6622014合計299,466,2132015春夏62,560.00131.778,243,5312015合計8,243,531上記表においては2010年以降の売上高(卸売価額)が減少ないし横ばいになっているようにみえるが、これは2009年に株式会社クリスチャンルブタンジャパンが設立され、同社による直接販売に切り替えられたからである。株式会社クリスチャンルブタンジャパンの設立以降の同社による売上高(小売価額による)は以下のとおりである。
5B2009年以降における株式会社クリスチャンルブタンジャパンによる女性用靴の販売数量(小売価額による)43 株式会社クリスチャ株式会社クリスチャ株式会社クリスチャンルブタンジャンルブタンジャンルブタンジャパンの総売上高パンの女性用靴のパンの女性用ハイ売上高ヒール靴(※)の売上高自2009.9.15199,609,062円174,444,306円至2010.8.31自2010.9.1785,944,755円652,049,249円至2011.8.31自2011.9.11,410,299,346円1,110,728,750円至2012.8.31自2012.9.12,408,606,606円1,895,335,700円至2013.8.31自2013.9.13,667,278,840円2,509,047,140円至2014.8.31自2014.9.15,120,922,873円3,070,954,000円至2015.8.31自2015.9.16,498,723,817円3,215,733,000円2,332,638,400円至2016.8.31自2016.9.17,576,080,061円3,304,954,000円2,443,047,200円至2017.8.31自2017.9.17,660,885,207円3,125,151,207円2,097,989,100円至2018.8.31(※)ここで「ハイヒール靴」とはヒールの高さが3.5センチ以上のものをいう。
44 (別紙3)2000年以前1.「エル・ジャポン」1992年2月号において、『LOVE』が伝わるクリスチャン・ルブ「タンの靴」との見出しの元、原告の取り扱いに係る婦人靴が紹介された。
52.「VOGUEJAPON」1992年3月号において、「ルブタンの靴はユーモアでいっぱい」との見出しの元、原告が紹介された。
3.「25ans」1993年6月号において、靴のデザインが新鮮なルブタンの新作シューズ、
「地中海がこの夏のテーマです」との見出しの元、原告の取り扱いに係る婦人靴が紹介された。
4.「マリ・クレールビス」1995年9月号において、「イマジネーションこそ、創作の鍵。
10女性たちの欲求をかきたてる遊びのある靴」との見出しのもと、原告の活躍が紹介された。
5.「フィガロジャポン」112号(1997年6月5日)号において、【A27】も【A28】「も、スタイリッシュな靴に夢中!」との見出しの元、原告の取り扱いに係る婦人靴が紹介され、「・・・真っ赤な靴底が、ルブタンのトレードマーク」と記載された。
6.「ZOLA」1997年9月号において、靴底に本願商標を付したブーツを着用したモデル15が、足を前に投げ出し、本願商標が目立つようなポーズで登場している。
7.「シュプール」1997年11月号において、原告の取り扱いに係る婦人靴が紹介され、
「真っ赤な靴底が目印」と記載された。
8.「MissKateiGaho」1998年3月号において、原告のパリ2号店や、原告の取り扱いに係る婦人靴が紹介され、「深紅の靴底で鮮やかな足元を演出」「ルーブータンの20靴の魅力は、靴底が真っ赤にカラーリングされていること」「深紅の靴底が印象的」との記載がある。
9.「エル・ジャポン」1998年5月号において、
「個性的な靴づくりで華麗な顧客リストを誇る」との見出しのもと、原告のパリ2号店が紹介され、
「靴底の真紅がトレードマークの彼の靴が、店の奥の棚に1足、あるいは2足ずつディスプレーされている様子は、さながらアー25トギャラリーのよう。」と記載された。
10.「25ans」1998年10月号において、原告の取り扱いに係る婦人靴が紹介さ45 れ、5枚目中央の商品のキャプションに「真紅の靴底が特徴です」と記載された。
11.「Hanako」1999年6月2日発行において、
「クリスチャンルブタンの靴を見かけたら、必ず裏返してみてほしい。もしかしたら、ちょっと驚くかもしれない。なぜなら、すべてのソールが真っ赤だから。」と記載された。
512.「エル・ジャポン」1999年8月号において、
「10歳のとき、この道に進もうと思った」との見出しのもと原告が紹介され、
「ベージュや黒では退屈だからと、レッドソールを愛する。フランスの男性が女性を振り返って見るとき、
『赤い底が話のきっかけになるでしょ』とウイットも忘れない。」と記載された。
13.「HighFashion」1999年8月号において、原告が紹介され、
「彼の作り出す魅惑的10なレッドソールに魅せられた顧客は・・・」と記載された。
14.「MissKateiGaho」1999年12月号において、
「<クリスチャンルブタン>パリ本店のシューズ」との見出しのもと原告の取り扱いに係る婦人靴が紹介され、
「靴底がすべて真っ赤にカラーリングされた・・」・「ルブタンの靴は足を組み替えた瞬間に、
真紅の靴底がちらりと見え、人々の目を釘づけに。」と記載された。
1515.「ヴォーグ」2000年4月号において、原告の取り扱いに係る婦人靴が紹介され、
「赤いヒールと靴底がポイント・・・」と記載された。
16.「HighFashion」(2000年)では、
「美しいクリスチャン・ルブタンの靴。ひっくり返すと、裏はどれも赤い」と記載された。
202017年1.「KTOUCH」2017年12月15日号において、
「女性を素敵な場所に誘うレッドソールの威光」と記載された。
2.「OTONAMUSE」2017年1月号では、本願商標を付した原告の女性ハイヒール靴が紹介が紹介され、「官能的なレッドソール」と記載された。
253.「GINGER」2017年10月号では「なぜ、私たちはルブタンに惹かれてしまうのか?」との見出しの記事において、「レッドソールが引き出す、私の中の“女”、
」「そして足元には46 ルブタンのレッドソール」と記載された。
4.「ハーパース・バザー」2017年1・2月合併号において、原告の写真のキャプションに「赤いソールをチラリと見せて。」と記載された。
5.「GQ」2017年3月号では、真っ赤なソールで女性を魅了するクリスチャンルブタン」「5との記載がある。
6.「Safari」2017年2月号において、原告の銀座店が紹介され、その文中に「レッドソールの誕生によって靴づくりのスタイルを確立」【A29】さんが目をとめた“レッド「ソール”は、ブランドを象徴するシグネチャーのひとつ」と記載された。
7.「GINGER」2017年10月号では、
「レッドソールの誕生秘話」の見出しの下に「ルブタ10ンシューズの象徴といえば、レッドソール。」と記載された。
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