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関連審決 無効2019-890064
無効2017-890010
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事件 令和 4年 (行ケ) 10035号 審決取消請求事件
5
原告株式 会社タグチ工業
同 訴 訟代理人弁理士森寿夫
同 訴 訟代理人弁護士平野和宏 10
被告東宝株式会社
同 訴 訟代理人弁護士辻居幸一
同 佐竹勝一 15 同西村英和
同 訴 訟代理人弁理士石戸孝
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2023/07/19
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
20 事 実 及 び 理 由第1 請求特許庁が無効2019−890064号事件について令和4年3月31日にした審決を取り消す。
第2 事案の概要25 1 特許庁における手続の経緯、関連する商標とそれについての訴訟等(1) 原告は、次の商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である。
1登録番号 第6143667号登録出願日 平成30年7月25日登録査定日 平成31年4月3日設定登録日 令和元年5月10日5 登録商標商品及び役務の区分 第7類指定商品 「パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」(2) 怪獣映画に登場する怪獣である「ゴジラ」は、被告によって創作されたも10 のであり、
「ゴジラ」は周知・著名であるところ、被告は、その欧文字表記である「GODZILLA」(以下「引用商標」という。)も用いている。
(3) 原告は、平成23年11月21日、本件商標と同一の商標について、商品及び役務の区分並びに指定商品を「第7類 鉱山機械器具、土木機械器具、
荷役機械器具、農業用機械器具、廃棄物圧縮装置、廃棄物破砕装置」として15 商標登録出願をし、平成24年4月27日、設定の登録がされた(商標登録第5490432号。甲339。以下、その商標を「別件商標」という。。
)被告は、平成29年2月22日、別件商標について、無効審判請求をした(無効2017−890010号)が、同年10月16日、請求は成り立たない旨の審決がされた(甲340)。
20 被告は、平成29年11月22日、当庁に審決取消訴訟(同裁判所平成29年(行ケ)第10214号)を提起したところ、当庁は、平成30年6月12日、本件の引用商標は周知著名であり、別件商標に係る前記指定商品の中に含まれる商品の中には、別件商標を使用したときに、当該商品が被告又は被告との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同25 一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務2に係る商品であると誤信させるおそれがあるものが含まれるとして、別件商標は商標法(以下「法」という。)4条1項15号に違反して登録されたものであるとして前記審決を取り消す旨の判決をした(甲130。以下「別件第1次判決」という。。
)5 (4) 原告は、平成30年7月25日、本件商標の出願をした。
(5) 令和元年6月14日、別件第1次判決は、上告不受理決定により確定した(甲131)。
令和元年11月6日、別件第1次判決による差し戻し後の前記無効審判請求事件について、同商標の登録は法4条1項15号に違反してされたもので10 あるとして、登録を無効とする旨の審決がされた(甲341)。
(6) 被告は、令和元年11月6日、引用商標に照らし、本件商標が法4条1項7号、15号及び19号に該当するとして、商標登録無効審判(無効2019−890064号。甲332。以下「本件審判」という。)を請求した。
(7) 原告は、令和元年12月12日、当庁に、前記(5)の別件第1次判決による15 差し戻し後の審決について、審決取消訴訟(当庁令和元年(行ケ)第10167号)を提起するとともに、同日付けで、別件商標に係る商標権を、商品及び役務の区分並びに指定商品を「第7類 鉱山機械器具、土木機械器具、
荷役機械器具、農業用機械器具、廃棄物圧縮装置、廃棄物破砕装置但し、パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメントを除20 く」とするもの(商標登録第5490432号の1)と、本件商標に係る指定商品と同一の「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」とするもの(商標登録第5490432号の2)に分割し、その旨の登録がされた。
令和2年8月20日、前記審決取消請求事件について、別件商標は、被告25 の業務に係る商品との間で出所の混同のおそれがあるとし、別件商標権の分割の効果は登録の時点から将来に向かって生じるから、前記審決の判断の当3否に影響することはなく、商標権の分割の効果を主張して審決の取消しを求めることは手続上の信義則に反し又は権利を濫用するものとして許されないとし、原告の請求を棄却する旨の判決(甲246。以下「別件第2次判決」という。 がされた。
) 原告は、前記判決について、上告受理の申立てをしたが、
5 令和3年7月9日、不受理決定がされた(甲247)。
(8) 本件審判の請求につき、特許庁は、令和4年3月31日、
「登録第6143667号の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は同年4月8日、原告に送達された。
10 (9) 原告は、令和4年5月4日、本件訴訟を提起した。
2 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は、別紙審決書(写し)のとおりであり、要するに、本件商標は法4条1項7号及び同項19号には該当しないが、同項15号に該当するので、法46条第1項の規定により無効とすべきであるとするものである。
15 3 原告の主張する本件審決の取消事由(1) 取消事由1引用商標が周知著名な商標に当たるとした認定及びこれに基づく判断の誤り(2) 取消事由220 本件商標と引用商標の類否についての認定及び判断の誤り(3) 取消事由3法4条1項15号の「混同を生ずるおそれ」に係る認定及び判断の誤り第3 当事者の主張1 取消事由1(引用商標が周知著名な商標に当たるとした認定及びこれに基づ25 く判断の誤り)〔原告の主張〕4(1) 本件審決は、引用商標は周知著名であって、その独創性の程度も高いと判断した。しかし、本件審決が認定した、引用商標が多数使用されているとする「これを基にした物品」とは、怪獣である「ゴジラ」のキャラクターを利用した玩具及びぱちんこ遊技機であって、全て一般消費者のみを需要者とす5 る商品であり(甲74、101、102)、土木関連分野の業務に従事する専門業者を需要者とする本件商標の指定商品である「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」とは異なる商品である。
また、
「ゴジラ」という怪獣のキャラクターやその名称である「GODZI10 LLA」なる欧文字が周知であったとしても、本件商標の指定商品の取引者・需要者に対しても出所表示機能を奏すべき商標として周知性を有することを意味しない。この点、本件商標の指定商品は「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」であり、その取引者及び需要者は、本件審決認定のとおり、土木機械の一種である動力ショベル15 用の附属装置(アタッチメント)を使用する土木関連分野の業務に従事する専門業者及び当該機械器具の製造販売やリースを行う者である。本件商標の指定商品については、製造者から最終購買者(使用者)に至るまで全ての対象者(需要者及び取引者)が特殊特定分野の業務に従事する専門業者なのであり、したがって、需要者として一般消費者を対象とし、キャラクター(被20 告〔請求人〕及びそのライセンシーの商品の場合は「ゴジラ」という怪獣のキャラクター)が有する顧客吸引力を利用する、いわゆるキャラクター商品とは、需要者が著しく異なっている。そして、被告(請求人)及びそのライセンシーは、引用商標を使用して本件商標の指定商品である「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」を製25 造販売していない。
そもそも、本件審決は、引用商標を商標として使用して販売している商品5について、@引用商標の使用状態又は態様(引用商標単独での使用か、
「ゴジラ」という怪獣のキャラクターを併用した使用か、デザインとしての使用か等)、A引用商標の使用期間・使用(販売)地域、営業規模・商品の生産量・販売量・売上額・同種商品の市場におけるシェアなどの販売状況の総体、B5 引用商標が使用された商品の宣伝広告物の内容(広告媒体・取引書類等の種類)・宣伝期間・宣伝地域・宣伝態様・マスメディアの報道(マスメディアでの紹介状況等)・回数・宣伝費用等の広告宣伝の状況の総体を具体的に認定することがないまま、引用商標が周知性を有することを認定しているにすぎない。
10 そうすると、本件審決認定の事情から直ちに、引用商標が日本国内の広範囲にわたって、本件商標の指定商品である「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」の取引者及び需要者(土木機械の一種である動力ショベル用の附属装置(アタッチメント)を使用する土木関連分野の業務に従事する専門業者及び当該機械器具の製造販売やリ15 ースを行う者)の間に知られるようになったということはできないものであり(不正競争防止法2条1項1号に関するものではあるが、最高裁平成27年(受)第1876号同29年2月28日第三小法廷判決・民集71巻2号221頁(以下「平成29年最判」という。)参照)、本件審決の判断は誤っている。
20 (2) 本件審決は、本件商標の指定商品と被告が引用商標の使用を許諾した一般消費者向けの商品(人形やぬいぐるみ等の玩具、文房具、食料品、雑貨等)が、その性質、用途又は目的において関連性を有するものではなく、その取引者及び需要者を共通しているとはいえないとしながら、引用商標が周知著名な商標で、その独創性は高いものであって、称呼において相紛らわしく、
25 外観においても相紛らわしい点を含むものであるから類似性は高いこと、被告の業務内容が多角化しているといえることを理由に混同を生ずるおそれが6あると判断した。
本件審決の判断は、一般消費者において普通に払われる注意力を基準とした場合には当てはまる余地があり得るとしても、取引者及び需要者が一般消費者とは異なる場合には、当該取引者及び需要者において普通に払われる注5 意力を基準として、法4条1項15号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無を判断しなければならない(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁。
(以下「平成12年最判」という。))。
本件商標の指定商品は「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴10 み機・穿孔機等のアタッチメント」であり、その取引者及び需要者は、専らその性能や品質などが商品選択の基準とされる土木機械の一種である動力ショベル用の附属装置(アタッチメント)を使用する土木関連分野の業務に従事する専門業者及び当該機械器具の製造販売やリースを行う者である。
そうすると、法4条1項15号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は、
15 専らその性能や品質などが商品選択の基準とされる土木機械の一種である動力ショベル用の附属装置(アタッチメント)を使用する土木関連分野の業務に従事する専門業者及び当該機械器具の製造販売やリースを行う者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。
しかしながら、本件審決は、専らその性能や品質などが商品選択の基準と20 される土木機械の一種である動力ショベル用の附属装置(アタッチメント)を使用する土木関連分野の業務に従事する専門業者及び当該機械器具の製造販売やリースを行う者において普通に払われる注意力を基準として、引用商標が周知著名な商標に当たると判断したものではない。
したがって、専らその性能や品質などが商品選択の基準とされる土木機械25 の一種である動力ショベル用の附属装置(アタッチメント)を使用する土木関連分野の業務に従事する専門業者及び当該機械器具の製造販売やリースを7行う者において普通に払われる注意力を基準としたうえで、被告(請求人)及びそのライセンシーによる商品の具体的な販売状況等について十分に審理することなく、本件審決摘示の事情(怪獣映画に登場する怪獣である「ゴジラ」の欧文字表記である引用商標が周知著名であり、その独創性の程度も高5 いこと)のみをもって直ちに、引用商標が周知著名な商標に当たるとの認定判断を前提に混同を生ずるおそれがあると認めた本件審決の判断は誤っており、その判断の誤りは本件審決の結論に影響を及ぼすものである。
〔被告の主張〕(1) 平成12年最判が、引用商標の周知著名性を法4条1項15号における10 「混同を生ずるおそれ」を判断する際の考慮要素としたのは、周知著名商標であればあるほど、同商標と同一・類似する商標が使用された場合、商品・役務類似範囲を超えた出所の混同を生ずる蓋然性が高いからである。
そうすると、引用商標が使用されている商品と本件商標の指定商品が必ずしも一致せず、両商標の需要者が異なっているとしても、引用商標の周知著15 名性は高く、混同を生ずるおそれが認められる商品の範囲は広いことから、
引用商標は本件商標の指定商品の取引者・需要者に対しても出所表示機能を奏すべき商標として周知性を有しないとの原告の主張は理由がない。
さらには、引用商標は、後記のとおり本件商標の指定商品である工事現場等で使用されるパワーショベル用のアタッチメントと同じ分野、業態、ある20 いは近い分野、業態のサービス(産廃業、解体業、建築業など)を提供する企業にライセンスされることもあるのであり、本件商標の指定商品の取引者・需要者に対しても周知著名であるということができる。
原告は、引用商標が日本国内の広範囲にわたって本件商標の指定商品の取引者・需要者の間に知られなければならないと主張し、平成29年最判を引25 用するが、同判決は、不正競争防止法2条1項1号周知性について判断するものにすぎず、法4条1項15号における「混同を生ずるおそれ」の判断8要素としての引用商標の周知著名性とは全く関連性がない。
(2) 原告は、平成12年最判において、
「当該商標の指定商品等の取引者・需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである」とされているにもかかわらず、本件審決は、専らその性能や品質など5 が商品選択の基準とされる土木機械の一種である動力ショベル用の附属装置(アタッチメント)を使用する土木関連分野に従事する専門業者及び当該機械器具の製造販売やリースを行う者において普通に払われる注意力を基準として、引用商標が周知著名な商標に当たると判断したものではないと主張するが、平成12年最判は、引用商標の周知著名性の程度や当該商標と引用商10 標との類似性などに照らし、本件商標の指定商品の取引者・需要者の注意力を基準に、法4条1項15号における「混同を生ずるおそれ」の有無が判断されるべきとしているのであって、本件商標の指定商品の取引者・需要者の注意力を基準に、引用商標の周知著名性の程度が判断されるとは述べていない。
15 2 取消事由2(本件商標と引用商標の類否についての認定及び判断の誤り)〔原告の主張〕(1) 本件審決は、本件商標と引用商標とは、観念において紛れるおそれがなく、
称呼において相紛らわしいものであって、外観においても相紛らわしい点を含むものということができるから、本件商標と引用商標とは、類似性が高い20 商標ということができると判断した。
しかし、商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、
商品の出所につき誤認混同を生ずるかおそれがあるか否かにより決すべきであり、その外観観念称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、
連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的25 に考察すべきものである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁、最高裁平成3年(オ)9第1805号同4年9月22日第三小法廷判決・集民165号407頁、最高裁平成6年(オ)第1102号同9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁)。
なお、前記最高裁平成9年3月11日判決が判示するとおり、 商標の外観
「5 観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所を誤認混同するおそれを推測させる一応の基準にすぎず、したがって、右三点のうち類似する点があるとしても、他の点において著しく相違するか、又は取引の実情等によって、何ら商品の出所を誤認混同するおそれが認められないものについては、これを類似商標と解することはできないというべきである(最高裁昭10 和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
」(2) そうすると、仮に本件商標と引用商標が外観上又は称呼上類似するとしても、本件商標の指定商品は、専らその性能や品質などが商品選択の基準とされる「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のア15 タッチメント」であって、商品の用途や機能の専門性が高く、当該商品の製造者から購買者(使用者)に至るまでの販売ルートに関与する需要者及び取引者の全てが専門業者に限られているという取引の実情に鑑みれば、当該指定商品について本件商標が使用されても、被告が引用商標の使用を許諾した一般消費者向けの商品(人形やぬいぐるみ等の玩具、文房具、食料品、雑貨20 等)と、その性質、用途又は目的において関連性を有するものではないし、
その取引者及び需要者も異なるために、原告の商品が、被告又は被告との間にいわゆる親子関係や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそれはなく、本件商標を引用商標と類似する商標と解す25 ることはできない。
したがって、本件商標と引用商標とが、観念において、相紛れるおそれが10ないうえ、本件商標の指定商品と被告が引用商標の使用を許諾した一般消費者向けの商品(人形やぬいぐるみ等の玩具、文房具、食料品、雑貨等)が、
その性質、用途又は目的において関連性を有するものではなく、その取引者及び需要者も異なるにもかかわらず、称呼及び外観においても相紛らわしい5 ことを理由に、本件商標と引用商標とは、類似性が高い商標ということができると認めた本件審決の判断は誤っており、その判断の誤りは本件審決の結論に影響を及ぼすものである。
〔被告の主張〕(1) 平成12年最判は、引用商標の周知著名性の程度、当該商標と引用商標と10 の類似性、当該商標の指定商品と他人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などを考慮して、法4条1項15号における「混同を生ずるおそれ」の有無が判断されるべきとしているのであって、当該商標の指定商品と他人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度15 並びに商品の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などを考慮して、
当該商標と引用商標の類似性が判断されるとは述べていない。
当該商標と引用商標との類似性は、当該商標の指定商品と他人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度、商品の取引者及び需要者の共通性などとともに、
混同を生ずるおそれ」を判断するための要20 素の一つとして挙げられているにもかかわらず、当該商標の指定商品と他人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度、商品の取引者及び需要者の共通性が否定されるから、混同を生ずるおそれはなく、
したがって、両商標は類似しないと主張する原告の論法は、平成12年最判の考え方を正解しないものであって、理由がない。
25 (2) 既に述べたとおり、本件商標である「GUZZILLA」と引用商標である「GODZILLA」が類似することに加え、引用商標である「GODZ11ILLA」の周知著名性・独創性の程度が高いこと、及び、被告は、様々な分野、業界において、経営を多角化しているだけでなく、多様多岐に渡る分野、業界において、ライセンスを許諾した長年の実績があること、とりわけ、
引用商標は、本件商標の指定商品である工事現場等で使用されるパワーショ5 ベル用のアタッチメントと同じ分野、業態、あるいはこれに近い分野、業態のサービス(産廃業、解体業、建築業など)を提供する企業にも使用が許諾されるなど、本件商標の指定商品と被告の業務に係る商品等とは一定の関連性があり、共通する取引者・需要者が存在すること、引用商標は、
「建造物等を破壊する力強いイメージ」を有するものとして使用されているところ、本10 件商標の指定商品は、まさに「建造物の破壊」という用途において用いられる商品であり、引用商標のライセンスの対象商品となりうること、取引者・需要者が、著名な引用商標と類似する本件商標に接した場合、
「建造物を破壊する力強いイメージ」を有する引用商標を想起し、タイアップ・使用許諾があるなどと混同するおそれがあること、を考慮すれば、本件商標がその指定15 商品であるパワーショベル用のアタッチメントに使用された場合において、
当該商品の需要者・取引者において普通に払われる注意力を基準としたとしても、「混同を生ずるおそれ」が認められることは明らかである。
3 取消事由3(法4条1項15号の「混同を生ずるおそれ」に係る認定及び判断の誤り)20 〔原告の主張〕(1) 本件審決は、特に「出所混同のおそれ」について、別件第1次判決及び別件第2次判決における判断理由を正しく理解せず、誤った認定判断をしており、その認定判断の誤りは本件審決の結論に影響を及ぼすものであるから、
取り消されるべきである。
25 別件第1次判決及び別件第2次判決から明らかなように、同事件で争われた、本件商標と全く同一デザインの欧文字からなり、本件商標の指定商品で12ある「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」を含んだ「第7類 鉱山機械器具、土木機械器具、荷役機械器具、農業用機械器具、廃棄物圧縮装置、廃棄物破砕装置」を指定商品とする別件商標については、その指定商品中に、当該商品が被告又は被告との間5 に緊密な営業上の関係にある営業主等の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるものを含んでいるから法4条1項15号に該当する、と判断されたのであって、その指定商品の全てについて誤信されるおそれがあると判断されたわけではない。
むしろ、判決の理由で述べられた「本件指定商品のうち専門的・職業的な10 分野において使用される機械器具」とは、正しく本件商標の指定商品である「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」であることは、別件第1次判決に「本件指定商品のうち、被告アタッチメント等の専門的・職業的な分野において使用される機械器具は、産業現場で、人の業務を補助するために、専らその性能や品質などが商品選択15 の基準とされ、その需要者は産業機械分野の業務に従事する者であり、その取引者は産業機械器具の製造販売やリース等を行う者である。このように、
本件指定商品に含まれる一部の商品については、原告が引用商標の使用を許諾した商品との関連性の程度が高くなく、その取引者及び需要者も異なるということはできる」とされていることから明らかである。
20 (2) なお、本件審決においては、別件第1次判決がいう「産業機械分野の業務に従事する者」及び「産業機械器具の製造販売やリース等を行う者」は、より具体的に「土木機械の一種である動力ショベル用の附属装置(アタッチメント)を使用する土木関連分野業務に従事する専門業者」と認定されることとなった。
25 よって、本件商標の指定商品であり、かつ、原告が本件商標を実際に使用している「パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッ13チメント」については、専らその性能や品質などが商品選択の基準とされ、
その需要者は土木機械の一種である動力ショベル用の附属装置(アタッチメント)を使用する土木関連分野の業務に従事する専門業者であり、その取引者は当該機械器具の製造販売やリースを行う者であるから、これら取引者、
5 需要者が、引用商標の取引者、需要者と異なることは明らかである。
しかも、被告及びそのライセンシーは、少なくとも引用商標を使用して本件商標の指定商品である「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」を製造販売していない。
そうとすると、本件商標の指定商品は「第7類 パワーショベル用の破砕10 機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」であるから、当該指定商品について本件商標が使用されても、被告が引用商標の使用を許諾した一般消費者向けの商品(人形やぬいぐるみ等の玩具、文房具、食料品、雑貨等)と、その性質、用途又は目的において何ら関連性を有するものではなく、その取引者及び需要者も全く異なり、本件商標の指定商品における商品選択基15 準は専らその性能や品質などであり、需要者・取引者は商標のイメージによって誘引されるものではない。
また、本件商標の指定商品が、被告又は被告との間にいわゆる親子関係や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそ20 れもない。本件審決の認定及び判断は誤りである。
(3) 被告は、本件商標の指定商品である「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」の分野に進出していない。この点について、被告は、
「第三者に対してライセンスを許諾する」場合も法4条1項15号の適用が認められる旨主張するが、平成12年最判は、第三者25 に対してライセンスを許諾する場合の誤信、すなわち使用許諾関係の誤信について同号が適用されることを明示していない。
14この点については、意見書(甲342)に記載のとおり、
「第三者に対してライセンスを許諾する」場合の誤信、すなわち使用許諾関係の誤信について15号が適用されるとしても、当該使用許諾関係の誤信は、引用商標の使用者が出願商標の指定商品の品質管理をしているとの誤信が生じる場合に限っ5 て、「混同」に含まれると解するべきである。
これを本件についてみると、本件商標の指定商品の取引者・需要者が、映画の制作・配給等を行う被告が原告の「パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」の品質管理を行うことを予想することはあり得ない。したがって、本件商標が使用されることによって、使用許諾10 関係の誤信が生じると仮定しても、それは法4条1項15号の「混同」には含まれないため、同号該当性は否定されることになる。被告の主張には理由がない。
〔被告の主張〕(1) 被告は、様々な分野、業界において経営を多角化しているだけでなく、多15 様多岐に渡る分野、業界において、長年にわたり引用商標のライセンスを許諾してきたことから、その取引者・需要者は極めて幅広く、限りない。
さらに、引用商標は、本件商標の指定商品である工事現場等で使用されるパワーショベル用のアタッチメントと同じ分野、業態、あるいはこれに近い分野、業態のサービス(産廃業、解体業、建築業など)を提供する企業にも20 使用が許諾されてきたものであるから、本件商標の指定商品と共通する取引者・需要者も存在する。
したがって、本件商標の指定商品と被告の業務に係る商品等とは一定の関連性があり、共通する取引者・需要者が存在することは明らかである。
(2) 引用商標である「GODZILLA」の周知著名性・独創性の程度が高い25 ことに加えて、本件商標である「GUZZILLA」と引用商標である「GODZILLA」が類似すること、及び、被告は、様々な分野、業界におい15て経営を多角化しているだけでなく、多様多岐に渡る分野、業界において、
ライセンスを許諾した長年にわたる実績があること、とりわけ、引用商標は、
工事現場等で使用されるパワーショベル用のアタッチメントと同じ分野、業態、あるいはこれに近い分野、業態のサービス(産廃業、解体業、建築業な5 ど)を提供する企業にも使用が許諾されるなど、本件商標の指定商品と引用商標の権利者である被告の業務に係る商品等とは一定の関連性があり、共通する取引者・需要者が存在すること、引用商標は、
「建造物等を破壊する力強いイメージ」を有するものとして使用されているところ、本件商標の指定商品は、まさに「建造物の破壊」という用途において用いられる商品であり、
10 引用商標のライセンスの対象商品となりうること、取引者・需要者が、著名な引用商標と類似する本件商標に接した場合、 建造物を破壊する力強いイメ「ージ」を有する引用商標を想起し、タイアップ・使用許諾があるなどと混同するおそれがあることなどを考慮すれば、本件商標がその指定商品であるパワーショベル用のアタッチメントに使用された場合において、当該商品の取15 引者・需要者において普通に払われる注意力を基準としたとしても、
混同を生ずるおそれ」が認められることは明らかである。
第4 当裁判所の判断1 本件商標登録の法4条1項15号該当性の有無について本件審決は、本件商標登録には法4条1項15号混同を生ずるおそれ)に20 該当する事由があるとして同登録は無効であると判断し、原告はこれを争うので、以下、同登録に上記無効事由があるかどうかについて判断する。
(1) 商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には,当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに,当該指定商品又は指定役務が他人の業務に係る商品又は役務25 であると誤信されるおそれがある商標のみならず,当該指定商品又は指定役務が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係16又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標を含むものと解するのが相当である。そして,上記の「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創5 性の程度や,当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきものである(平成12年最判参照)。
10 そして、この「同一の表示による商品化事業を営むグループ」には、表示を指定された商品に付し役務に用いるなどして商品の販売等の事業を営む他の営業主のように、他人の表示に係る使用許諾(ライセンス)契約を締結して事業を営む者をも含むと解すべきであるから、そこにいう「誤信されるおそれがある商標」(広義の混同のおそれのある商標)には、使用許諾に係る15 他人の表示と同一ないし類似の商標であって、これが商品に付され又は役務に用いられることにより、他人の表示に関するライセンス契約を締結して事業を営むグループに属する関係にある複数の営業主のうちに、この同一ないし類似の商標を用いて事業を営む者に属する関係にあると誤信されるおそれがある商標を含むものというべきである。
20 以下、この観点から判断する。
(2) 商標の類似性の程度ア 外観本件商標は、「GUZZILLA」と、8文字の欧文字から成る。本件商標において、「G」と「A」の字体は、やや丸みを帯び、「U」と3文25 字目の「Z」の上端及び7文字目の「L」と「A」の下端は、それぞれ結合し、3文字目及び4文字目の「Z」は、両文字の左下が前下方に鋭く突17尖しているほか、やや縦長の太文字で表されることによって、デザイン化されている。
引用商標は、「GODZILLA」と、8文字の欧文字から成る。被告が引用した引用商標の文字は、標準文字であって、デザイン化されていな5 いが、実際には、様々な書体で使用されている。
本件商標と引用商標の外観とを対比すると、いずれも8文字の欧文字からなり、語頭の「G」と語尾の5文字「ZILLA」を共通にする。2文字目において、本件商標は「U」から成るのに対し、引用商標は「O」から成るが、本件商標において「U」と3文字目の「Z」の上端は結合し、
10 やや縦長の太文字で表されているから、見誤るおそれがある。もっとも、
本件商標と引用商標は、3文字目において相違するほか、本件商標は前記のとおりデザイン化され、全体的に外観上まとまりよく表されている。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において相紛らわしい点を含むものということができる。
15 イ 称呼本件商標の語頭の2文字「GU」は、ローマ字の表記に従って発音すれば「グ」と称呼され、我が国において、なじみのある「GUM」などの英単語と同様に発音すれば「ガ」と称呼される。したがって、本件商標は、
「グジラ」又は「ガジラ」と称呼され、語頭音は「グ」と「ガ」の中間音20 としても称呼されるものである。なお、原告が製造販売等する建設機械用アタッチメントは、本件商標の商標登録出願日以前において、その外観に本件商標が付され、「ガジラ」との名称で取引されていたことが認められるものの(甲250〜252、272、273)、その名称が「ガジラ」として、広く知られていたと認めるに足りる証拠はない。よって、本件商25 標から「ガジラ」との称呼のみが生じるとはいえない。
引用商標は、後記(3)イのとおり、怪獣映画に登場する怪獣の名称として18著名な「ゴジラ」の欧文字表記として広く知られているから、「ゴジラ」と称呼されるものである。また、引用商標の語頭音は、英語の発音において、「ゴ」と「ガ」の中間音としても称呼され、現に大ヒットした映画「シン・ゴジラ」でも「ゴ」と「ガ」の中間音として称呼されるなど、我が国5 において、本件商標の商標登録出願時、引用商標の英語の発音による称呼も一般化しており(甲163〜165、275ないし277)、英和辞典には、「Godzilla」の発音につき「ガドズィラ」と表記するものもある(甲153)ことなどから、引用商標の語頭音の「ゴ」は、「ゴ」と「ガ」の中間音としても称呼されるものということができる。
10 本件商標と引用商標の称呼を対比すると、語頭音を除く称呼は「ジラ」と共通する。また、語頭音は、本件商標は「グ」と「ガ」の中間音として称呼され得るものであって、引用商標は「ゴ」と「ガ」の中間音として称呼され得るものであるところ、本件商標における「グ」と「ガ」の中間音と、引用商標における「ゴ」と「ガ」の中間音とは、いずれも子音を共通15 にし、母音も近似する。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において相紛らわしいものというべきである。
観念本件商標からは特定の観念が生じず、引用商標からは怪獣映画に登場す20 る怪獣「ゴジラ」との観念が生じる。
エ 本件商標と引用商標の類似性以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼において相紛らわしいものであって、外観においても相紛らわしい点を含むことから、類似性の程度は高いものということができる。
25 (3) 引用商標の周知著名性及び独創性の程度ア 怪獣映画に登場する怪獣である「ゴジラ」は、被告によって創作された19ものであり、「ゴジラ」が著名であることは当事者間に争いがない。
日本国語大辞典(第2版第5巻、平成16年(2004年)5月20日第4刷発行)には、「ゴジラ(Godzilla)」の項目があり、そこには、「昭和29年(1954)製作の東宝映画「ゴジラ」にはじめて出5 てくる怪獣の名。ゴリラとクジラを合体させた命名。恐龍に似た体長50メートルの巨大怪獣で、水爆実験によって太古の眠りから覚め、日本に上陸して東京都心で大暴れをする。興行的にも大ヒットし、怪獣ブームの端緒となった。」と記載されているところである(甲125)。
イ 映画に登場する怪獣である「ゴジラ」には、昭和30年、欧文字表記と10 して引用商標が当てられ、その後、引用商標が「ゴジラ」を示すものとして使用されるようになった(甲7、8)。「GODZILLA」の表記となった理由について、「JI」の発音がアメリカ人には難しいため、神を意味する「GOD」を入れたなど諸説あるが、関係者による「GOD」がついたプロセスを記した本があり、そこには日本でつけられた旨が書かれ15 ていたとするもの、昭和31年に米国版ゴジラを公開する際に米国で付けられたとするものもあるが、詳細は不明である(甲221、257の1)。
また、「ゴジラ」をそのまま英語表記すると「Gojira」となるが、
あえて「GODZILLA」のような変わった綴りにしたのは、神を意味する「GOD」を入れることで強そうなイメージとゴジラが唯一無二の存20 在であることを欧米人に認識してもらう意図があったためといわれている、とするものがある(甲275)。
欧文字表記の引用商標は、我が国において、遅くとも昭和32年以降、
映画の広告や当該映画中に頻繁に使用され(甲7、8、10、21、39〜43、46〜50、55、79、80、81の1〜3、82、84)、
25 遅くとも昭和58年以降、怪獣である「ゴジラ」を紹介する書籍や、東京・日比谷の広場に設置された銅像その他これを基にした物品に多数使用さ20れていること(甲17、18、21、22、26、45、52〜54、56〜74、77、78、92、101の3、102の4)、さらに、怪獣である「ゴジラ」の英語表記として多くの辞書にも掲載されており(甲125〜129、143〜153)、その中には「Godzilla」につ5 き「ゴジラ:日本映画(東宝1954−)から世界中で知られる怪獣」(甲146)などとするものもあることからすれば、引用商標は周知著名であるということができる。
ウ 「ゴジラ」は、前記アのとおり、ゴリラとクジラを合体させたものであると説明されているところ、語頭が「G」で始まり、語尾が「ZILLA」10 で終わる登録商標は、引用商標の他には、本件商標を除き見当たらない。
架空の怪獣の名称において、語頭が濁音で始まり、語尾が「ラ」で終わる3文字のものが多いとしても、これらは怪獣「ゴジラ」が著名であることの影響によるものと認められ(甲253)、さらに、欧文字表記において、
引用商標と類似するものも見当たらない。
15 エ 以上によれば、引用商標は周知著名であって、「ゴジラ」を欧文字表記したにとどまらない点を含め、その独創性の程度も高いというべきである。
(4) 商品の関連性の程度、取引者及び需要者の共通性ア 商品の関連性の程度20 本件商標の指定商品は、第7類「パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」であり、土木機械の一種である動力ショベル用の附属装置(アッタッチメント)であって、示された破砕、切断、掴み、穿孔等の土木作業の用途によって交換される動力ショベル専用の装置であり、土木に関する専門的・職業的な分野において使用され25 る機械器具である。
これに対し、被告の主な業務は、映画の制作・配給、演劇の制作・興行、
21不動産経営等のほか、キャラクター商品等の企画・制作・販売・賃貸、著作権・商品化権・商標権その他の知的財産権の取得・使用・利用許諾その他の管理であり(甲159)、多角化している。被告は、百社近くの企業に対し、引用商標の使用を許諾しているところ、その対象商品は、人形や5 ぬいぐるみなどの玩具、文房具、衣料品、食料品、雑貨、遊戯具等、多岐にわたるほか、宣伝広告等にも使用を許諾している(甲12、83、85〜102、169〜181(枝番を含む。))。
また、被告は、平成17年以降、複数の大手ゼネコンから、工事現場や工事中の壁面に引用商標を含むゴジラの表示やロゴ等を使用することに10 つき許諾を求められたり、あるいは実際にその許諾をするなど、本件商標の指定商品である作業現場で使用される動力ショベルのアタッチメントと同じか、あるいはこれに近い分野である、産廃業、解体業及び建築業等について引用商標の使用許諾を行うなどしてきた(甲195〜212、
乙1、2、6〜17(枝番を含む。))。
15 その中には、住宅やビルの解体を手掛ける業者において、「ゴジラvsコング(GODZILLA vs KONG)」として、「GODZILLA」を「破壊神」としてタイアップCMを放送したり、クレーン車が建築物を運搬する場面が映画「ゴジラvsコング(GODZILLA vs KONG)」の映像とともにCMとして放送するなどの企画もあっ20 た(乙6〜9、12、13)。
被告が引用商標の使用を許諾した商品等のうち、玩具、文房具、衣料品、食料品、雑貨等については、日常生活で、一般消費者によって使用される物であるから、性質、用途及び目的における関連性の程度は高くはないものの、被告は、産廃業、解体業及び建築業等の業種にも引用商標の25 使用を許諾するなどしているところ、これらは、本件商標の指定商品の取引者・需要者と同じかこれと近い分野ないし業態であり、本件商標の22指定商品と共通する取引者・需要者も一定数存するものというべきである。
よって、本件商標の指定商品は、被告の業務に係る商品等と比較した場合、性質、用途又は目的において一定の関連性を有するものが含まれて5 いるというべきである。
イ 取引者及び需要者の共通性本件商標の指定商品は、第7類「パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」であり、土木機械の一種である動力ショベル用の附属装置(アタッチメント)であって、示された破砕、切10 断、掴み、穿孔等の土木作業の用途によって交換される動力ショベル専用の装置であり、土木に関する専門的・職業的な分野において使用される機械器具である。なお、土木に関する機械器具においても、レンタルが行われているものであるから(乙33、34、41〜49)、その取引者は、これらの器具の製造販売や小売り、レンタル等を行う者である。
15 また、被告が引用商標の使用を許諾した玩具、雑貨、遊戯具等については、その需要者は一般消費者であり、その取引者は、これらの商品の製造販売や小売り等を行う者であるが、被告が引用商標の使用を許諾した産廃業、解体業及び建築業等については、本件商標の指定商品の取引者・需要者と同じかこれと近い分野ないし業態であり、本件商標の指定商品の20 取引者及び需要者の中には、被告から使用許諾を受けて事業を営む者の業務に係る商品等の取引者及び需要者と共通する者が含まれる。そして、
商品の性質、用途又は目的を考慮しても、これら共通する取引者及び需要者は、商品の性能や品質のみを重視するとまでいうことはできず、使用許諾関係も含む商品等に付された商標に表れる業務上の信用をも考慮25 して取引を行うというべきである。
(5) 出所混同のおそれ23以上のとおり、「混同を生ずるおそれ」の有無を判断するに当たっての各事情について、取引の実情などに照らして考慮すれば、本件商標の指定商品に含まれる専門的・職業的な分野において使用される機械器具と、被告の業務にかかる商品等との関連性の程度が非常に高いとはいえない。
5 しかし、本件商標と引用商標とは、称呼において相紛らわしいものであって、外観においても相紛らわしい点を含むものであることから、その類似性の程度は高く、引用商標は周知著名であって、その独創性の程度も高い。さらに、被告の業務は多角化しており、本件商標の指定商品に含まれる商品の中には、被告の使用許諾に係る商品及び業務等と比較した場合、
10 性質、用途又は目的において一定の関連性を有するものが含まれる。加えて、これらの商品の取引者及び需要者と、被告の業務に係る商品の取引者及び需要者とは共通し、これらの取引者及び需要者は、取引の際に、商品の性能や品質のみではなく、商品等に付された商標に表れる業務上の信用をも考慮して取引を行うものということができる。
15 そうすると、本件商標の指定商品についても、本件商標を使用したときに、当該商品が被告又は被告との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるものが含まれるというべきである。
20 よって、本件商標は、法4条1項15号にいう「混同を生ずるおそれ」のある商標として、法46条1項の規定により無効とされるべきである。
(6) 原告の主張に対する補足的判断ア 取消事由1(引用商標が周知著名な商標に当たるとした認定及びこれに基づく判断の誤り)について25 原告は、本件商標の指定商品は「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」であるから、その取引者及24び需要者は、土木機械の一種である動力ショベル用の附属装置(アタッチメント)を使用する土木関連分野の業務に従事する専門業者及び当該機械器具の製造販売やリースを行う者であり、特殊特定分野の業務に従事する専門業者であるところ、被告及びそのライセンシーは、引用商標5 を使用して本件商標の指定商品である「第7類 パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等のアタッチメント」を製造販売しておらず、引用商標が日本国内の広範囲にわたって本件商標の指定商品を使用する土木関連分野の業務に従事する専門業者及び当該機械器具の製造販売やリースを行う者の間に知られるようになったということはできない10 から、本件審決の判断は誤りである旨を主張する。
しかし、引用商標の周知著名性についての認定及び判断は前記(3)のとおりであり、これが本件商標の指定商品の取引者及び需要者について変わるところがあるものとは認められず、引用商標は周知著名であるということができる。
15 したがって、原告の上記主張は採用することができない。
イ 取消事由2(本件商標と引用商標の類否についての認定及び判断の誤り)について原告は、仮に本件商標と引用商標が外観上又は称呼上類似するとしても、本件商標の指定商品は、専らその性能や品質などが商品選択の基準20 とされるから、商品の用途や機能の専門性が高く、当該商品の製造者から購買者(使用者)に至るまでの販売ルートに関与する需要者及び取引者の全てが専門業者に限られているとの取引の実情に鑑みれば、本件商標と引用商標とは観念において相紛れるおそれがなく、本件商標の指定商品と被告が引用商標の使用を許諾した一般消費者向けの商品(人形や25 ぬいぐるみ等の玩具、文房具、食料品、雑貨等)が、その性質、用途又は目的において関連性を有するものではないから、その取引者及び需要者25も異なるにもかかわらず、称呼及び外観においても相紛らわしいことを理由に、本件商標と引用商標とは、類似性が高い商標ということができると認めた本件審決の判断は誤りである旨を主張する。
しかし、前記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは称呼及び外観にお5 いて相紛らわしいものであり、類似性の程度は高いものであると認められるところ、これを踏まえ、商品の関連性や他人の表示の周知著名性や独創性の程度、取引の実情等を総合的に判断して法4条1項15号の「混同を生ずるおそれ」を判断すべきものである。そして、引用商標は著名であるほか、独創性の程度も高いこと、被告は産廃業、解体業及び建築業10 等、本件商標の指定商品の取引者・需要者と近い業種にも引用商標を含む使用許諾(ライセンス)を行っていることなどの取引の実情等を総合考慮すれば、
混同を生ずるおそれ」があると認められることについては既に述べたとおりである。
したがって、原告の上記主張は採用することができない。
15 ウ 取消事由3(法4条1項15号の「混同を生ずるおそれ」に係る認定及び判断の誤り)について原告は、本件商標の指定商品について本件商標が使用されても、被告が引用商標の使用を許諾した一般消費者向けの商品(人形やぬいぐるみ等の玩具、文房具、食料品、雑貨等)と、その性質、用途又は目的におい20 て何ら関連性を有するものではなく、その取引者及び需要者も全く異なるから、本件商標の指定商品が、被告又は被告との間にいわゆる親子関係や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそれはなく、仮に使用許諾(ライセンス)関係の誤信について25 法4条1項15号が適用されるとしても、当該使用許諾関係の誤信は、
引用商標の使用者が出願商標の指定商品の品質管理をしているとの誤信26が生じる場合に限って、
「混同」に含まれると解すべきであると主張する。
しかし、既に述べたとおり、平成12年最判にいう広義の混同のおそれがある商標には、使用許諾(ライセンス)契約に基づき事業を営むグループに属する関係にあるとの誤信をさせるおそれのある商標を含むもの5 と解されるところ、それは商標の自他識別機能を保護することで業務上の信用を維持することに目的があるものであって、その主眼は自他識別機能の保護にあり、原告の主張するように、使用許諾をした者が許諾を受けた者の品質管理をしているとの誤信が生じる場合に限られると解すべき根拠はないというべきである。
10 また、「混同を生ずるおそれ」について、法4条1項15号該当性は、
商品の関連性のみならず他人の表示の周知著名性や独創性の程度、取引の実情等を総合的に判断するものであるところ、引用商標は著名であるほか、独創性の程度も高く、その他本件商標の指定商品の取引者・需要者との一定の共通性があることからすれば、本件商標は引用商標との「混15 同を生ずるおそれ」のある商標であると認められることについては既に述べたとおりである。
したがって、原告の上記主張は採用することができない。
2 結論以上によれば、原告の主張する取消事由にはいずれも理由がなく、本件審決20 を取り消すべき違法はない。
よって、原告の請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部25裁判長裁判官27東 海 林 保5 裁判官今 井 弘 晃10 裁判官水 野 正 則(別紙審決書写し省略)28
事実及び理由
全容