関連審決 |
不服2000-6877
無効2000-6877 |
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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成17行ケ10618審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成18行ケ10233審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
昭和55行ケ9 | 判例 | 商標 |
平成13行ケ121審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成18行ケ10280審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
関連ワード | 識別力 / 包装 / 出所表示機能 / 識別機能 / 指定商品 / 指定役務 / 周知商標 / 混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) / 著名商標 / 顧客吸引力(グッドウィル) / 類似性(類否判断) / 結合商標 / 外観(外観類似) / 称呼(称呼類似) / 観念(観念類似) / 全体観察 / 取引の実情 / 継続 / 非類似 / |
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事件 |
平成
15年
(行ケ)
371号
審決取消請求事件
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原告 ユーエスピーエープロパティーズ インク 同訴訟代理人弁理士 広瀬文彦 被告 特許庁長官今井康夫 同指定代理人 野本 登美男 同 涌井幸一 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2004/02/25 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 特許庁が不服2000−6877号事件について平成15年3月26日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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当事者の求めた裁判
1 原告 主文と同旨 2 被告 (1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 |
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前提となる事実(証拠を掲げた箇所以外は,当事者間に争いがない。)
1 特許庁における手続の経緯 (1) 原告は,全米ポロ協会の権利を管理する同協会の100%出資の会社である(甲6ないし8,弁論の全趣旨)ところ,平成7年8月2日,特許庁に対し,別紙1のとおりの構成よりなり,商標法施行令(以下「施行令」という。)1条別表の第21類「ランチボックス,その他の食器類(貴金属製のものを除く。),ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ,砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜き,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,魚ぐし,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,家事用手袋,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。),電気式歯ブラシ,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,ブラシ用豚毛,洋服ブラシ,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,ガラス製包装用容器(「ガラス製栓・ガラス製ふた」を除く。),陶磁製包装用容器,ガラス製栓,ガラス製ふた,かいばおけ,家禽用リング,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,小鳥かご,小鳥用水盤,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,紙タオル取出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),ねずみ取り器,はえたたき,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴,ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,コッフェル」を指定商品とする商標(以下「本願商標」という。)について,登録出願をしたところ,特許庁は,平成11年12月7日に登録を拒絶する旨の査定をした。 (2) 原告は,平成12年3月21日,上記拒絶査定を不服として,特許庁に審判の請求をした。 (3) 特許庁は,上記請求を無効2000-6877号事件として審理を行った上,平成15年3月26日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,同年4月21日にその謄本を原告に送達した。 2 本件審決の理由の要点 (1) 別紙2の引用商標(5)は,別紙2の引用商標(1)及び(2)における馬がより左に傾けて疾走しているとみられる図形を表示してなるものである。また,別紙2の引用商標(1)ないし(4)において,文字と図形部分は,それぞれが独立して自他商品の識別標識として機能を果たすものと認められる(以下,別紙2の引用商標(1)ないし(5)を単に「引用商標(1)」ないし「引用商標(5)」という。)。 (2) そこで,図形からのみなる本願商標の図形と引用商標(1)ないし(5)の図形部分とを比較するに,両者は,共にプレーヤーがマレットを持って,疾走する馬に乗り,正面やや斜め方向から全体を黒色で描いたものとして基本的な構成態様が共通し,人馬の動き,プレーヤーの姿勢,マレットの位置・角度,ボールの有無に差異があるものである。 ところで,ポロ(競技)は,米国,英国等で行われているが,我が国では,一般に,「1個の木のボールを馬上から長柄の槌(マレット)で相手側のゴールへ打ち込み合って勝負を争うスポーツ」であることとしてある程度は理解はされている(広辞苑)が,そのルールの外,プレーヤーの動き,馬の動き,マレットの位置・角度等は左程に理解,認識されていないものといえる。そうすると,両者は,これに接する,本願商標の指定商品の取引者及び需要者においては,プレーヤーの動き,馬の動き,マレットの位置・角度,ボールの有無に差異があるとしても,プレーヤーがマレットを持って,疾走する馬に乗り,正面やや斜め方向から全体を黒色で描いてなる基本的な構成態様部分に関心が寄せられることから,これより「ポロ競技」又は「ポロ」の称呼,観念が連想,想記され,これをもって商取引がなされるというのが相当である。そうとすれば,両者は,共に「ポロ競技」又は略称して「ポロ」の称呼,観念が生ずるものである。 また,両者は,その外観においても,前記のとおり,ポロ競技の理解,認識の程度からすれば,人馬の動き,プレーヤーの姿勢,マレットの位置・角度,ボールの有無に差異はあるとしても,ポロ競技を直ちに理解させるプレーヤーがマレットを持って,疾走する馬に乗り,正面やや斜め方向から全体を黒色で描いてなる基本的な構成態様の,いわば象徴的部分が共通しているものであるから,その象徴的部分に関心が寄せられ,それが見る者にとって注意を引くところであり,両者は,その構成の軌を同一にし,時と所を異にしてみるときは全体の外観において彼此相紛らわしいものといわざるを得ない。 (3) してみれば,本願商標と引用商標(1)ないし(5)とは,その外観,称呼及び観念において同一又は類似するものと認められる。そして,本願商標の指定商品には,引用各商標の指定商品と同一又は類似する商品が含まれるものである。 したがって,本願商標を商標法第4条第1項第11号(以下「本号」という。)に該当するとしてその登録を拒絶すべきものとした原査定は,妥当である。 |
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当事者の主張
(原告の主張) 次に述べるとおり,本願商標の登録が本号に違反するものであるとした本件審決の認定判断は誤りであり,本件審決は取り消されるべきである。 1 本件審決は,本願商標が引用商標(1)ないし(5)との関係で本号に該当する旨判断しているが,これらの引用商標中の引用商標(5)は本願商標より後願のものであるから,本号の先例にはなり得ない。したがって,本願商標が引用商標(5)との関係で本号に該当しないことは明らかである。 2 本願商標は,次に述べる理由により,引用商標(1)ないし(4)(以下「引用各商標」という。)との関係で本号に該当しないというべきである。 すなわち,引用各商標は,単に図形部分のみから構成されているのではなく,また,図形部分と「Ralph Lauren」又は「POLO RALPH LAUREN」の文字とが容易に分離されて認識できるような態様を以て構成されているものでもなく,むしろ,図形部分とこれらの文字部分とが一体的に表されて構成されていることからすると,これらの文字部分より生じる称呼,観念によって実際の取引がなされると考えられるものである。 特に,引用各商標の図形部分は文字部分よりも小さく表示される点,及び「コーヒーカップ等の食器類,なべ類,洋服ブラシ,靴べら」等について商標が使用される場合は,比較的小さく表示されるものである。したがって,ワンポイント的に表示される点を考慮すると,引用各商標の図形部分は,実際の取引においては,全体としては目立たない状態に置かれていることになっているので,その目立たない図形部分から生ずる称呼,観念によって取引がされるとは到底考えられない。むしろ,簡易,迅速を尊重する取引の実情に照らせば,引用各商標の図形部分より大きく表示された文字部分より直ちに生じる「ラルフローレン」又は「ポロ ラルフ ローレン」なる称呼,観念によって取引がなされると考えるのが自然である。 上記のとおり,引用各商標においては,その図形部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものとはいえず,その図形部分が文字部分と一体となって,あるいはその文字部分が上記識別標識としての機能を果たすものというべきであり,したがって,本願商標が引用各商標と類似するものでないことは明らかである。 3 また,引用各商標の図形部分が独立して商品の識別機能を有するとしても,その図形部分は,本願商標の図形とは外観,観念において類似しておらず,本願商標は,引用各商標との関係で本号に該当しないというべきである。 (1) 本願商標の図形の特徴 本願商標の本質的特徴は,黒いシルエットで表された馬と人の図形商標という点にある。シルエットの詳細は,右向きの馬の上にポロの競技者が下を見ながら真下にあるポロの玉を,後方から下向きに振り下ろしたマレットで今,まさに打たんとしているところを表現している。その特徴的部分は,馬の4本の足とマレットが混在し,全体として足に動きを感じさせる図形の構成である。 (2) 引用各商標の図形部分の特徴 引用各商標の図形部分は,すべてが統一した人と馬からなるものであり,その特徴的部分は,左向きの馬が両足を蹴り上げた状態で,馬の上にポロ競技のプレーヤーが体を伸ばしてマレットを右手の上方に高く振り上げている部分である。 また,そのマレットが,競技者の左肩まで持ち上げられ,その先端が,上方に突き出し,縦に長く高く振り上げられている点も特徴的である。 (3) 本願商標の図形と引用各商標の図形部分の対比-外観 ア 本願商標と引用各商標とを対比すると,両者は馬の向きが異なることが大きく目立つ差異となる。動物の描かれた商標を対比する場合,動物の向きは最も重要である。また,本願商標の図形は,ボールをまさに打とうとしている瞬間であり,上半身はかがみ込むようにして腕を下方に長く伸ばしている状態であるのに対し,引用各商標の図形部分は,ポロ競技者が,背筋を伸ばして腕をサイドから大きく振り上げている状態を示しており,また,スティック(マレット)が上に振り上げられて独立してポロ競技者の頭上から飛び出して見える状態にある。 上記のとおり,両者は,主な構成だけを見ても,外見上大きな相違が存在するというべきである。 両者は,馬の向き,競技者の動作,スティック(マレット)の位置,ボールの有無の点においてすべて異なり,さらに,図形の持つ動きについても,全く異なることが明らかである。 これらの諸点を総合すると,両者は,詳細な部分について類似する点が少ないのみならず,全体の印象についても類似する要素はなく,容易に識別できる非類似の図形と考えられる。 イ 本件審決は,本願商標の図形と引用各商標の図形部分の馬の向きの相違を無視しているが,その根拠は明らかでなく,図形の類否判断において重要な要素について看過があったと考えられる。 また,本件審決は,我が国において,ポロ競技に対する理解,認識の程度は低いことを根拠として,人と馬の構成要素とマレットがあれば,図形の外観に多少の差異があっても,総体としての図形は類似の範囲を出ないとし,両者の対比観察を無視し印象だけで判断しているようであるが,この判断も誤りである。 すなわち,ポロ競技が日本で広く知られていないことと,ポロ競技の図形が類似するか否かの判断は基本的には全く関係がない。図形が近似するか否かの判断は,純粋に対比観察にあり,同じように馬に乗ったポロ競技者の図形であっても,各図形にはそれぞれの特徴があり,相違する点が多ければ非類似の商標となることは明白である。この場合,そのスポーツが周知であるか否かは,総合的な観点から多少の修正要素になるにすぎない。そして,日本の取引者及び需要者が,ポロ競技がどのような競技であるか,またそのルール等の詳細について熟知しているとは判断できないが,両者の類否判断に影響を及ぼすほどにポロ競技に対する理解が欠落しているとは考えられない。 ポロ競技に関するものであることを直ちに理解させるような図形であることと,全体を黒色のシルエット風に描いてあるという基本的な構成の象徴的部分が共通していれば,需要者は一律に混同を生じると評価し,これにより両者を外観上も類似する商標であるとした本件審決の判断は,合理性を欠くものである。 (4) 本願商標の図形と引用各商標の図形部分の対比-称呼,観念 ア 本願商標の図形及び引用各商標の図形部分からはいずれも,特定の称呼は生じない。 そのような称呼が一律に生ずるとすれば,引用各商標はその出願前に既に多くの「馬上にあるポロプレーヤー図形」の登録商標が存在することを理由に登録を拒絶されていたはずである。すなわち,「馬上にあるポロプレーヤー図形」からは「ポロ競技」又は「ポロ」の称呼は生じないとするのが特許庁における一般の審査基準であったというべきであり,本件においてこれと異なる基準を適用すべき理由はない。 イ 本願商標の図形及び引用各商標の図形部分からはいずれも,後願の「馬上にあるポロプレーヤー図形」を排除できるような観念を生ずるとは考えられない。 引用各商標の「ポロプレーヤー図形」と同種の図形の先登録例及び後願の併存登録例は多数散見されるのであり,このことは,「ポロプレーヤー図形」から「ポロ競技」又は「ポロ」の観念が生ずるとする審査は行われていないことが明らかであって,本件においてこれと異なる基準を適用すべき理由はない。 ウ 本願商標の図形と引用各商標の図形部分から,ポロ競技,ポロの称呼,観念が生ずるとすることは論理の飛躍がある。プレーヤーがマレットを持って疾走する馬に乗り,正面やや斜め方向から全体を黒色で描いてなる基本的な構成態様部分に関心が寄せられることが,「ポロ競技」,「ポロ」の称呼とどのようなつながりがあるのか不明であり,本件審決のこの点の認定は誤りである。 (5) 商標の具体的使用と誤認混同の有無 引用各商標に係る指定商品である「コーヒーカップ等の食器類,なべ類,洋服ブラシ,靴べら」等について引用各商標が使用される場合には,比較的小さく表示されるか,ワンポイントマーク的に表示されることからすると,引用各商標の図形部分は,実際の取引においては,目立たない状態に置かれることから,そのように目立たない図形部分から生じる称呼,観念によって取引がなされるとは到底考えられないものである。むしろ,簡易,迅速を尊重する取引の実情に照らせば,引用商標の図形部分よりも大きく表された文字部分により直ちに生じる「ラルフ ローレン」又は「ポロラルフ ローレン」なる称呼,観念によって取引がなされると考えるのが自然である。したがって,本願商標をその指定商品に使用しても,引用各商標の兄弟ブランド,ファミリーブランドであるかのように,その出所につき混同を生じるおそれはない。 また,実際にも,本願商標の登録出願前から,本願商標が付された原告の商品が多数市場に存在していたにもかかわらず,引用各商標の兄弟ブランド,ファミリーブランドであるかのように,その出所につき誤認混同を生ずるという事態は発生していないのであり,本件審決はこの点を考慮していない。 (6) 周知・引用商標の保護について 引用各商標がポロ・ラルフローレンの所有に係る著名商標であることは,原告も熟知している。そして,周知・著名商標の保護の強化が国際的に求められ,WIPOの「周知商標の保護規則に関する共同勧告」(SCT・1999年11月)に基づいて,特許庁から「周知・著名商標の保護等に関する審査基準の改正について」が平成11年6月14日に公表されていることは,公知の事実である。 しかし,上記改正審査基準に照らしても,引用各商標の図形部分とは非類似の本願商標について,これを本号に該当するとする理由はない。 (7) 以上のとおり,本願商標は,引用各商標とは外観上類似するものではなく,また,商標として使用されたとしても,特定の「ポロ競技」又は「ポロ」の称呼,観念が市場に通用する略称として生ずるものではないから,本号に該当するものではない。 (被告の主張) 本願商標の登録が本号に違反するものであるとした本件審決の認定判断に誤りはなく,原告が取消事由として主張するところは理由がない。 1 (原告の主張)2について 引用商標(1)ないし(4)(引用各商標)において,文字と図形部分は,それぞれ独立して自他商品の識別標識として機能を果たすものというべきであり,本件審決が,本願商標の図形と引用各商標の図形部分とを対比して,類比判断を行ったことに誤りはない。 2 (原告の主張)3について (1) 商標が類似しているかどうかの判断は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるか否かによって決すべきであるが,これには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して,全体的に考察すべく,しかも,その商品の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいてすべきものと解される。 ところで,引用各商標等の標章は,ラルフローレンの「ポロ」,「Polo」ないし「POLO」として著名になり,それぞれが独立して強い自他商品識別力及び顧客吸引力を獲得していたものであり,その周知著名性は,本願商標の登録出願前はもとより,その後本件審決時を経て今日に至るまで継続しているものである。本願商標と引用各商標の類否判断に当たっては,この点も取引事情の1つとして考慮されなければならない。 (2) 本願商標の図形と引用各商標の図形部分の特徴について 本件審決は,本願商標の図形と引用各商標の図形部分の特徴,詳細な部分の相違点を認定した上,かかる差異があるとしても,ポロ競技を直ちに理解させるプレーヤーがマレットを持って,疾走する馬に乗り,正面やや斜め方向から全体を黒色で描いてなる基本的構成態様の,いわば象徴的部分が共通しているものであると判断したものである。原告のいう両者の特徴は,基本的構成態様からすると,細部に関するものである。また,細部の見方が,本件審決と異なっているとしても,本願商標の特徴点が原告主張のものに限定され,それゆえに本件審決の上記認定に誤りがあるとする理由にはなり得ない。 (3) 本願商標の図形と引用各商標の図形部分の対比-外観について ア 本件審決は,本願商標の図形と引用各商標の図形部分について,対比観察し,その差異部分は基本的な構成態様ではなく,細部に関するものとし,また一方,看者の関心,注意を引く部分(象徴的部分)が共通しているから,全体を離間観察をすれば,外観において彼此相紛らわしいとしたものである。 したがって,本件審決は,両者を対比し,その共通部分と差異部分についても認定しているものであるから,その判断をもって,従来の観察方法を無視した一種の独特な判断をしたものとか,合理性に欠けるとかいう原告の主張は失当である。 また,本件審決は,両商標に使用される商品の使用方法,取引の実情等を考慮して,本願商標がその指定商品である「コップ等の台所用品,洋服ブラシ等の日用品」等について使用された場合,取引者及び需要者が誤認混同を生ずるか否かの観点に立って,引用商標の図形部分を要部と認定し,これと本願商標の図形を対比観察,全体観察し,さらに離間的に観察した結果,両者は,取引者及び需要者がいずれかを区別ができない程度に類似する旨判断したものである。したがって,本件において,原告の主張するように,特に称呼と観念が不当にクローズアップして取り上げられたものでもなく,称呼と観念を先に論じて類似を決めつけ,次いで外観についても類似と付加したものでもない。 イ 本件審決は,本願商標の図形と引用各商標の図形部分の各「馬の向き」等の相違点を認定した上で,両者の類否を判断しており,本件審決に,図形の類否判断において重要な要素の看過があるとする原告の主張は理由がない。 本件審決は,ポロ競技について,我が国における一般的な理解度として,「1個の木のボールを馬上から長柄の槌(マレット)で相手側のゴールへ打ち込み合って勝負を争うスポーツ」であることとしてある程度は理解はされている(広辞苑)が,そのルールの外,プレーヤーの動き,馬の動き,マレットの位置・角度等は左程に理解,認識されていないものといえるとしたが,ポロ競技に対する理解が欠落していると認定しているものではない。そして,本件審決は,ポロ競技についての我が国の一般的理解度を考慮して,「プレーヤーがマレットを持って,疾走する馬に乗り,正面やや斜め方向から全体を黒色で描いてなる基本的構成態様」の共通性から,両者からは「ポロ競技」が連想,想起されるとしたものであり,相当な判断というべきである。この点に関する原告の主張は,失当である。 (4) 本願商標の図形と引用各商標の図形部分の対比-称呼,観念について 図形商標であっても,その図形の持つ特徴から呼称,観念の生ずる場合があることは社会通念上明らかである。 本件審決は,本願商標の図形と引用各商標の図形部分から,「・・・共に「ポロ競技」又は「ポロ」の称呼,観念を生ずるものである。」としたものである。そして,本件審決のいう「プレーヤーはマレットを持って,疾走する馬に乗り,正面やや斜め方向から全体を黒色で描いてなる基本的な構成態様部分」は,ポロ競技を端的に表している構成態様の図形である。それゆえ,当該図形を見る者が「ポロ競技」を直感し印象することは極めて自然なことといえるものである。 なお,特定の登録商標が本号に違反して登録されたものかどうかは,当該商標と他人の登録商標との類似性の程度,他人の登録商標の周知著名性の程度や,当該商標の指定商品と他人の登録商標の指定商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情等に照らし,個別具体的に判断されるべきものであるから,本願商標以外に「馬に乗ったポロプレーヤー」の図形及び「馬に乗ったポロプレーヤ」の図形をその構成の一部に含む登録商標が存在しているとしても,そのことに本件審決の認定判断が拘束されるものではない。 したがって,両者の図形から,「ポロ競技」又は「ポロ」の称呼,観念が生ずるとした本件審決に誤りはない。 (5) 本願商標と引用各商標の各指定商品について 本願商標と引用各商標の各指定商品は,いずれも「台所用品,日用品」であり,日常的に使用される性質の商品であることや,同指定商品の需要者も通常は特別の知識を有するものでない一般の消費者という面で共通であることからすれば,その需要者がこれを購入する際に払う注意力はさほど高くないというべきである。加えて,「台所用品,日用品」中の,例えば「コーヒーカップ等の食器類,なべ類,洋服ブラシ,靴べら」等について,商標が使用される場合,比較的小さく表示されるか,ワンポイントマーク的に表示され,特定の方向からのみ標章を観察するとは限らない。 そうしてみると,需要者は,本願商標と引用各商標の基本的共通部分である「プレーヤーがマレットを持って,疾走する馬に乗り,正面やや斜め方向から全体を黒色で描いた」部分に着目し,細部における両者の相違点に気付かずに,あるいは,細部の構成における両者の相違点に気付いたとしても,上記のとおり,引用各商標が周知著名であること,ファッション関連の企業は複数のブランドを展開している場合が少なくないことと相俟って,引用各商標を連想,想起し,兄弟ブランドないしファミリーブランドの1つとして,誤認混同するおそれが極めて高いといわざるを得ない。 なお,原告は,本願商標の登録出願前から,本願商標が付された原告の商品が多数市場に存在していたにもかかわらず,引用各商標の兄弟ブランド,ファミリーブランドであるかのように,その出所につき誤認混同を生ずるという事態は現実には発生していないとし,本件審決がこの点を考慮していないことを論難する。 しかしながら,本号は,商品又は役務の混同を防止し,商標の有する出所表示機能を保護することを立法趣旨とするものであり,その規定振りから明らかなように,「商標の同一又は類似」及び「商品又は役務の同一又は類似」の概念を用いて,典型的に出所の誤認混同のおそれのある商標を類型化して不登録事由としているものであって,現実に混同が発生している商標のみを対象とするものではない。原告の主張は失当である。 (6) 以上のとおり,本願商標と引用各商標とは,その外観,称呼及び観念において類似する商標であり,本願商標は本号に該当するとした本件審決の判断に誤りはない。 |
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当裁判所の判断
1 原告は,本願商標の登録が本号に違反するものであるとした本件審決の認定判断は誤りである旨主張する。 本号は,「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって,その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」については,商標登録を受けることができない旨規定している。この場合,商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであり,誤認混同を生ずるおそれがあるか否かは,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者及び需要者に与える印象,記憶,連想等を考察し,これらに加え,その商品についての取引の具体的な実情に照らし,その商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断すべきものと解される。 ところで,本件審決が,本願商標の登録が本号に違反するか否かの判断に当たって,本願商標と対比すべき登録商標として挙げた引用商標(5)は,本願商標の登録出願の日(平成7年8月2日)より後の平成9年11月5日に登録出願されたものであるから,本号の「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標」には該当せず,したがって,引用商標(5)に類似することを理由に本号に該当するとすることはできない。この点に関する本件審決の判断は誤りである。 そこで,引用商標(1)ないし(4)(引用各商標)及びそれらの指定商品との対比において,上記の観点から,本願商標の登録が本号に違反するものであるか否かについて,以下検討する 2 引用商標(1)及び(2)は,図形を中心とし,「Ralph」と「Lauren」の両欧文字をその左右に表示してなるものであり,引用商標(3)は,引用商標(1)及び(2)と同一の構成からなる文字と図形を黒色の長方形内に白抜きし,かつ,それに斑点状模様を重ねて表示してなるものであり,引用商標(4)は,図形を中心とし,「POLO」と「RALPH LAUREN」の両欧文字(それぞれの語頭のスペルは他の文字より大きく表示されている。)をその左右に表示してなるものである。このように引用各商標は文字と図形とからなる結合商標であるところ,結合商標において各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合していると認められない商標は,常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼,観念されず,しばしばその一部だけによって簡略に称呼,観念されることがあることは,経験則上よくみられることである。しかして,本願商標の出願当時,引用各商標が結合商標として周知著名なものであり,その後もその周知著名性に変わりがないことは後記4(2)に認定のとおりであり(原告もこのことを自認している。),引用各商標についても上記の経験則が当てはまると認められるのであって,その図形部分も,文字部分とは独立して自他商品識別機能を有するものと認めるのが相当である。 3 そこで,本願商標の図形と引用各商標の図形部分とを対比観察することとする。 (1) 外観について ア 本願商標は,黒いシルエットで表された馬と人の図形からなるものである。上記シルエットの詳細は,右向きの馬の上にポロの競技者が馬の向きとは反対の左方向に体を向け下を見ながら真下にあるポロの玉を,後方から下向きに振り下ろしたマレットで今,まさに打たんとしているところを表したものである。殊に,馬上の競技者が馬の向きと異なる方向を向き,馬の4本の足と下向きのスティック(マレット)が混在し,マレットの前に玉が置かれている点が特徴的である。 イ 引用各商標の図形部分は,同じく馬と人からなるものである。その詳細は,左向きの馬が両足を蹴り上げた状態で疾駆する状態にあり,馬の上にポロ競技のプレーヤーが馬の向きと同じ方向に体を伸ばしてマレットを右手の上方に高く振り上げたところを表したものである。 ウ 両者を対比するに,両者は,プレーヤーがマレットを持って,馬に乗り,正面やや斜め方向から全体を黒色で描いてなる基本的構成態様で一致しているとはいうものの,@馬の向きが異なり,馬とこれに騎乗したポロ競技のプレーヤーとの関係が,本願商標においては異なる方向を向きかがみ込んだ姿勢をとっているのに対し,引用各商標においては,馬と同一方向に上半身を伸ばしている点,A前者においてはマレットを下にある玉に当てるべく,下方に振り下ろした状態にあり,現にマレットの前に玉が置かれているのに対し,後者においてはマレットが右手の上方に高く振り上げた状態にあり,下方に玉は描かれていない点,B馬の動きが,前者においては,疾駆していた馬をプレーヤーがマレットで玉を打つべく,制御してやや踏みとどまる姿勢を示しているのに対し,後者においては,馬がまさに疾駆している姿勢を示している点で相違しており,ポロ競技における,人と馬及びマレットという主要な構成要素のすべてにおいて表現態様が相違していて,全体として看者に異なる印象,記憶を生じさせるものというべきである。 本件審決は,わが国における一般のポロ競技の理解,認識の程度からすれば,両者は,人馬の動き,プレーヤーの姿勢,マレットの位置・角度,ボールの有無に差異はあるとしても,ポロ競技を直ちに理解させるプレーヤーがマレットを持って,疾走する馬に乗り,正面やや斜め方向から全体を黒色で描いてなる基本的な構成態様の,いわば象徴的部分が共通しているものであるから,その象徴的部分に関心が寄せられ,それが見る者にとって注意を引くところであり,両者は,その構成の軌を同一にし,時と所を異にしてみるときは全体の外観において彼此相紛らわしいものといわざるを得ないと判断しているが,我が国においても,一般に,ポロ競技は,「1個の木のボールを馬上から長柄の槌(マレット)で相手側のゴールへ打ち込み合って勝負を争うスポーツ」であるという程度の理解,認識はされているものと認められ(乙1),この程度の理解,認識をもって両者をみれば,自ずから上記の相違点に注意が向くと考えられるのであって,両者は,時と所を異にしてみても,看者が紛らわしいと感ずるほど外観が類似しているとは認め難い。 (2) 称呼,観念について 本願商標の図形と引用各商標の図形部分とは,プレーヤーがマレットを持って疾走する馬に乗り,正面やや斜め方向から全体を黒色で描いてなる基本的な構成を採用しているところ,かかる図形に接した取引者及び需要者は,この構成から「ポロ競技」ないしその略称である「ポロ」の観念を生ずるものと考えられる。しかし,本願商標は,図形のみからなる商標であり,その図形もポロプレーヤーがポロ競技を行っている状態を切り取り表現したものであり,直感的に一定の称呼を生ずるような構成ではないから,上記図形のみから,「ポロ競技」ないし「ポロ」の称呼まで生ずるものということはできない。また,引用各商標も文字部分と一体としてみればともかく,その図形部分のみから上記のような称呼を生ずるとまでいうことはできない(なお,仮に本願商標の図形及び引用各商標の図形部分から「ポロ競技」等の称呼を生ずるとしても,それは上記図形等の構成から生じた「ポロ競技」等の観念に付随してこれと密接不可分な関係の下に生じたものにすぎないことから,商標の類否の判断に当たり,観念と独立して評価すべきほどの事実ではないことに留意すべきである。)。 4(1) 次に,本願商標と引用各商標の各指定商品についてみるに,本願商標に係る指定商品は,施行令1条別表の第21類の前記第2の1(1)記載の商品である。これに対し,引用各商標の指定商品は,次のとおりである(甲1,12の(1)ないし(4))。 ア 引用商標(1)に係る指定商品は,商標法施行令(平成3年政令第299号による改正前のもの。以下「旧施行令」という。)1条別表の第19類の「台所用品(電気機械器具,手動利器および手動工具に属するものを除く。)日用品(他の類に属するものを除く。)」である。 イ 引用商標(2)に係る指定商品は,旧施行令1条別表の第24類「おもちや,人形,娯楽用具,運動具,釣り具,楽器,演奏補助品,蓄音機(電気蓄音機を除く。)レコード,これらの部品及び附属品」である。 ウ 引用商標(3)に係る指定商品は,施行令1条別表の第25類「被服(和服を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(げた,草履類を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴,乗馬靴」である。 エ 引用商標(4)に係る指定商品は,施行令1条別表の第24類の「織物(畳べり地を除く。),メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳,シャワーカーテン,布製ラベル,ビリヤードクロス」である。 (2) 本願商標に係る指定商品と引用各商標に係る指定商品とを対比すると,@本願商標に係る指定商品と引用商標(1)に係る指定商品とは全般に亘り重なり合い,A本願商標に係る指定商品中の「コッフェル」と引用商標(2)に係る「運動具」とが重なり合い,B本願商標に係る指定商品中の「靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー」,「コッフェル」は,それぞれ引用商標(3)に係る指定商品中の「履物」,「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」と類似し,C本願商標に係る指定商品中の「清掃用具及び洗濯用具」,「湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ」はそれぞれ引用商標(4)に係る「ふきん」,「シャワーカーテン」と類似するという見方が一応できる。 ところで,証拠(甲12の(1)ないし(4))及び弁論の全趣旨によれば,ザ・ポロ・ローレン・カンパニー・リミテッド・パートナーシップが保有する引用各商標は,本願商標の登録出願当時,アメリカのファッションデザイナーとして世界的に著名なラルフ・ローレンのデザインに係るファッション関連商品を表示するものとして,我が国において取引者及び需要者間に広く認識され,引用各商標等を付したファッション関連商品ブランドは「ポロ」,「POLO」(「Polo」)と略称されることもあり,ラルフ・ローレンの「ポロ」,「POLO」ないし「Polo」として著名になり,強い自他商品識別力及び顧客吸引力を獲得していたものであり,その周知著名性は,今日に至るまで継続していることが認められる。しかしながら,引用商標(1),(2)及び(4)に係る各指定商品は必ずしもファッション関連商品に該当するといえないものであるところ,引用各商標ないし「ポロ」,「POLO」(「Polo」)の略称が,ファッション関連商品以外の商品についても周知著名性を獲得していたと認めるに足りる的確な証拠はない。 5 さらに,本願商標を引用各商標に係る指定商品と同一又は類似する本願商標に係る指定商品に使用した場合に,その商品の取引者及び需要者にその商品の出所についての混同が生じるおそれがあるか否かについて検討するに,既に説示したとおり,本願商標の図形と引用各商標の図形部分とは,外観を全体として観察した場合,看者に異なる印象,記憶を生じさせるものであり,また,両者は「ポロ競技」ないしその略称としての「ポロ」の観念を生じさせるものである点で類似するといえるものの,後者が,引用各商標の周知著名性のゆえに,ラルフ・ローレンのデザインに係るファッション関連商品を表示する「ポロ」ないし「POLO」(「Polo」)を想起させるのに対し,前者は,通常は,単にラルフ・ローレンとは関係のない単にスポーツとしての「ポロ競技」あるいはその略称である「ポロ」を想起させるにすぎないものと考えられる。加えて,引用各商標ないし「ポロ」,「POLO」(「Polo」)の略称が,ファッション関連商品以外の商品についても周知著名性を獲得していたと認めるに足りないことは,前記4(2)に説示したとおりである。 上記の諸点にかんがみれば,引用各商標に係る指定商品と同一又は類似する本願商標に係る指定商品に本願商標を使用するとしても,その商品の取引者及び需要者が引用各商標を想起し,引用各商標の兄弟ブランド又はファミリーブランドに係る商品であるかのようにその出所につき誤認混同を生ずるおそれは存在しないというべきである。そして,そのことは,本願商標の指定商品が日常的に使用される商品であって,その需要者が通常は特別の専門知識を有するものでない一般の消費者であることを考慮に入れても,変わりがないというべきである。 したがって,本願商標の登録は本号に違反するものではない。 6 以上によれば,原告の取消事由は理由があり,本件審決は取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 北山元章 |
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裁判官 | 青蜉] |
裁判官 | 清水節 |