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事件 |
平成
17年
(ワ)
3126号
損害賠償請求事件
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原告 グッチオグッチ ソチエタ ペル アツ ィオーニ 訴訟代理人弁護士 松尾眞兼松由理子大江耕治鈴木毅森口倫 被告 株式会社LEAD 被告A 被告B 被告ら訴訟代理人弁護士 亀田悦廣 |
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裁判所 | 大阪地方裁判所 |
判決言渡日 | 2005/12/01 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1 被告らは,原告に対し,連帯して6713万8962円及びこれに対する平成17年4月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の,その余を被告らの各負担とする。 4 この判決の第1項は,仮に執行することができる。 |
事実及び理由 | |
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請求の趣旨
1 被告らは,原告に対し,連帯して1億3627万6577円及びこれに対する平成17年4月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告らの負担とする。 3 仮執行宣言 |
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事案の概要
本件は,後記商標権を有する原告が,同商標権に係る登録商標に類似した標章を付した財布等を販売した被告らの行為が原告の有する同商標権を侵害する共同不法行為を構成するとして,被告らに対し,連帯して1億3627万6577円の損害賠償及びこれに対する平成17年4月15日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。 1 前提事実(争いがない) (1) 当事者 ア 原告は,イタリア共和国法の下で設立された会社であり,「GUCCI」,「GとGの組合せのマーク」及びこれらを組み合わせた標章等を商標として付した衣類,靴,かばん,皮小物,アクセサリー,香水,眼鏡等の商品を製造販売することを業としており,「グッチ」の称呼によるトータルファッションブランドとして,我が国を含む全世界で著名である。 イ 被告株式会社LEAD(旧商号:株式会社ロイヤル。以下「被告会社」という。)は,菓子や日用雑貨等の販売を業とする会社である。 株式会社マリア(以下「マリア」という。)は,被告会社の系列会社であったが,平成14年10月31日に解散した後,平成15年4月28日に閉鎖登記をしており,同社が行っていた事業は被告会社に事実上吸収された。 被告Aは,被告会社の代表取締役であり,同被告の二男である被告Bはマリアの代表取締役であったが,被告A及び同Bは,被告会社及びマリアの業務全般を共同して統括管理していた。 (2) 原告の商標権 原告は,いずれも「GUCCI」の英文字を横書きしてなる以下の商標権を有している(以下,これらの商標権を総称して「原告商標権」といい,これらの商標権に係る登録商標を総称して「原告商標」という。) ア 登録番号第1856139号 イ 登録番号第2472177号 ウ 登録番号第1545439号 エ 登録番号第1964253号 オ 登録番号第4458596号 カ 登録番号第2129746号 キ 登録番号第3344025号 (3) 被告らによる行為 ア マリアによる行為 (ア) マリアは,平成13年9月1日から平成14年6月29日までの約10か月間に,インターネットオークションを通じた通信販売の方法により,原告商標に類似した標章を付した財布,バッグ,ポーチ,キーケース,ネックレス,ペンダント,サングラス,帽子,マフラー,携帯電話用ストラップ,ペンセット等の商品(以下,後記(イ)及びイで販売された商品を含めて「本件侵害品」という。)合計8016個を,代金合計1億6507万7716円で販売した。 (イ) マリアは,平成13年1月1日から平成14年9月20日までの間に,パチンコ店等に対して,原告商標に類似した標章を付した財布,バッグ,ポーチ,キーケース,チョーカー,ベルト,サングラス,帽子,マフラー,携帯電話用ストラップ,ペンケース,香水等の商品合計8508個を,代金合計8482万0750円で販売した。 (ウ) マリアは被告会社と実質的に一体であり,マリアのこれらの行為は,被告会社によるものと同視することができる。 イ 被告会社による行為 被告会社は,平成13年6月1日から平成14年9月18日までの間に,パチンコ店等に対して,原告商標に類似した標章を付した商品7万4329個を販売した。 (4) 共同不法行為 マリア及び被告会社による上記(3)の行為は,原告商標権を侵害する行為であるところ,これらの行為は,原告に対する関係で,被告らによる共同不法行為を構成する。 2 争点 本件の主たる争点は,原告が被告らの行為により被った損害の額であるが,より具体的には,被告らが前記行為によって受けた利益の額(商標法38条2項)である。 |
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争点に関する当事者の主張
【原告の主張】 1 マリアの行為により得た利益の額 (1) マリアは,インターネットオークションを通じた本件侵害品を含む偽ブランド品の通信販売により,毎月約1100万円の利益を得ていたから,平成13年9月1日から平成14年6月29日までの約10か月間に1億1000万円の利益(売上額から仕入額を控除したもの)を得た。そして,マリアの全偽ブランド品の売上金額に占める本件侵害品の売上金額の割合は47%であるから,同商品の販売によってマリアが得た利益の額は,5170万円となる。 (2) マリアは,パチンコ店等に対する本件侵害品の販売により,1個当たり1021円の利益(売上額から仕入額を控除したもの)を得ていたところ,平成13年1月1日から平成14年9月20日までの間に,パチンコ店等に対して,本件侵害品合計8508個を販売したから,これによりマリア,ひいては被告らが受けた利益の額は,868万6668円となる。 2 被告会社の行為により得た利益の額 被告会社は,パチンコ店等に対する本件侵害品の販売により,1個当たり1021円の利益(売上額から仕入額を控除したもの)を得ていたところ,平成13年6月1日から平成14年9月18日までの間に,パチンコ店等に対して,少なくとも本件侵害品を7万4329個を販売したから,これにより被告らが得た利益の額は,7588万9909円となる。 3 商標法38条2項にいう「利益」とは,本件侵害品の販売のためだけに要した費用のみを控除すべきである。被告会社においては,本件侵害品を販売した時期に人件費が増大しているが,インターネットを介した偽ブランド品の販売についてはほとんど人件費を要しないはずであるから,これらは無駄な人件費であり,本件侵害品の販売のために必要となったものではない。また,その他の経費についても,販売費及び一般管理費や営業外損益は,被告会社の本業である菓子等の販売と共通して要するものであるから,本件侵害品の販売のために必要となったものではない。 したがって,本件侵害品の販売により被告らが得た利益の額を算定するに当たって売上額から控除すべき費用は,仕入額以外に存しないから,売上額から仕入額を控除したいわゆる粗利益をもって被告らの利益とすべきである。 4 まとめ 以上より,被告らによる原告商標権の侵害行為によって被告らが受けた利益の額は,合計1億3627万6577円となる。 【被告らの主張】 原告の主張は争う。 被告らが本件侵害品の販売によって受けた利益の額は,粗利益ベースで1個当たり800円程度にすぎない。 また,被告会社の決算書等からすると,被告らが偽ブランド品の販売によって得た純利益(営業利益)の額は,1000万円程度であって,このうち本件侵害品の占める割合が半分であるとしても,被告らが本件侵害品の販売により得た利益の額は,500万円程度にすぎない。 |
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争点に対する当裁判所の判断
1 被告らが本件侵害品の販売により得た粗利益の額について (1) マリア及び被告会社によるパチンコ店等に対する販売関係について ア 甲第8号証(捜査報告書)によれば,徳島県警察本部生活安全部が平成14年9月24日にマリアの事務所の捜索差押えにより押収したパソコンに保存されていたデータを分析したところ,マリアでは,平成14年3月28日から同年7月1日までの間に,本件侵害品及び他の偽ブランド品を合計90回,合計1604個販売し,合計135万9900円の販売利益(粗利益)を得たこと,その1個当たりの平均販売利益(粗利益)の額は847.818円であったことが認められる(同号証添付の一覧表)。 また,同一覧表のうち,本件侵害品の販売分のみを抽出すると,同期間中の売上数は1194個で,販売利益(粗利益)額は合計121万9000円,その1個当たりの平均販売利益(粗利益)の額は1020.9円であることが認められる。 イ この本件侵害品の1個当たりの平均粗利益の額は,マリアによる本件侵害品の販売の一部を抽出して算定したものにすぎないものの,相当量の取引に基づいて算定されていることに加え,他にマリア又は被告会社が本件侵害品をパチンコ店等に販売したことにより得た粗利益の額を認定し得る的確な証拠が存しないことからすると,同金額をマリアが得た粗利益の額を算定する基礎として採用するのが相当である。そして,被告会社はマリアと実質的に同一であった(前記前提事実(3)ア(ウ))のであるから,この額は,被告会社が得た粗利益の額を算定する基礎としても採用するのが相当である。 この点について被告らは,被告らでは本件侵害品を含む偽ブランド品を,1個当たり800円程度の粗利益が生じるように販売していたと主張する。しかしこの主張は,前記押収資料の分析から具体的に算出される本件侵害品の1個当たり販売利益(粗利益)額と乖離しており,採用することができない。 ウ 前示前提事実のとおり,マリアによるパチンコ店等に対する本件侵害品の売上数が合計8508個であり,被告会社によるパチンコ店等に対する本件侵害品の売上数は合計7万4329個であるから,被告らがこれらの販売によって得た粗利益の額は,8456万8293円([8,508+74,329]×1020.9。小数点以下切捨て)となる。 (2) マリアによるインターネットオークションを通じた販売関係について ア 甲第13号証によれば,徳島県警察本部生活安全部が平成14年9月24日にマリアの営業所及び事務所の捜索差押えにより押収した資料を分析したところ,マリアによる本件侵害品の仕入状況とインターネットオークションによる販売状況について,次の分析結果が得られたことが認められる。 (ア) 仕入状況 期間 平成14年2月4日から同年8月21日 個数 合計1万2656個 仕入額 合計1億2422万8312円 (1個当たり平均仕入額は9815.7円となる。) (イ) 販売状況 期間 平成14年3月1日から同年6月29日 個数 合計1万3456個 販売額 合計1億6935万9635円 (1個当たり平均販売額は1万2586.1円となる。) イ この分析結果では,仕入状況と販売状況の対象期間が対応していないが,これは押収した資料上の制約によるものと考えられる。また,この分析結果では,対象期間の長い仕入個数の方が対象期間の短い販売個数よりも少ないという不合理な結果になっているが,これは,マリアと被告会社が実質的に同一であり,各自が仕入れた本件侵害品を含む偽ブランド品をいずれが仕入れたかに関係なく混同して販売していたこと(甲5の18頁)から,資料が得られたマリアだけの仕入れ・販売状況を分析すると上記のような不合理な結果になったものと考えられる。 そうすると,上記の分析結果においては,仕入状況の全体と販売状況の全体とが対応していないから,上記販売額合計から仕入額合計を控除したものを単純に上記期間中の粗利益の額として認定することは相当でない。したがって,基本的にこのような算定方法に基づいている原告の主張は採用することができない。 しかし,上記分析結果においても,仕入状況の平均と販売状況の平均を対応させて考えることは合理的であるから,マリアがインターネットオークションを通じた本件侵害品の販売により得た1個当たり平均粗利益の額は,2770.4円(12,586.1-9,815.7)と認めるのが相当である。 ウ そして,マリアはインターネットオークションを通じて本件侵害品を合計8016個販売した(前記前提事実(3)ア(ア))から,これによりマリアが得た粗利益の額は,2220万7526円(8016×2770.4。小数点以下切捨て)となる。 (3) 以上によれば,本件侵害品の販売により被告らが得た粗利益の額は,合計1億0677万5819円となる。 2 粗利益額から控除すべき経費の額について (1) 商標法38条2項にいう侵害者が侵害行為により受けた利益の額は,侵害者が侵害品の販売により得た売上額から,侵害者が侵害品の販売に要した費用を控除することによって算定される。そして,ここで控除対象となる費用は,侵害者にとって侵害品の販売のために追加的に必要となったと認められるものに限られるが,そのように認められるものである限りは,仕入費用等の売上原価に限られず,販売費又は一般管理費に属するものも含まれるものと解するのが相当である。 (2) 後掲証拠によれば,マリア及び被告会社による本件侵害品を含む偽ブランド品の販売と被告会社の決算状況について,次の事実が認められる。 ア 被告らにおける偽ブランド品の取扱いの経緯(甲4,5,11及び12) (ア) 被告会社は,もともとパチンコ店等への景品用の菓子や雑貨品の販売を業としており,徳島と西宮に営業所を設けて営業活動を行っていたが,平成12年ころ,パチンコ店の景品にブランド品が出回るようになったことから,被告会社においてもブランド品の販売を手掛けることにした。そのため被告会社では,当初は国内の業者からブランド品を仕入れる一方,海外のメーカー直営のアウトレットショップに仕入れに出向くなどしていたが,そのうち国内での仕入れのみを行うようになった。 その後,同年の夏又は秋ころ,被告会社では,業者から仕入れるブランド品の価格があまりに安いことから,それらが偽ブランド品であると気付いたが,そのまま販売を継続した。 (イ) 被告会社は,平成13年春ころ,パチンコ店等の景品用に仕入れた不良在庫品をインターネットオークションにより処分することとし,そのための従業員を雇用した上で販売を開始したが,予想以上に好評であったことから,それまで休眠状態であったマリアを被告会社の販売部門として活用し,本格的にインターネットオークションによる販売を行うようになり,本件侵害品を含む偽ブランド品もインターネットオークションによって販売するようになった。そして,これによる売上げが順調に拡大したため,徳島の営業所だけでなく西宮の営業所でも従業員を雇ってこの方式による販売を本格的に行うようになり,被告らにおける主要な販売ルートとなっていった。 (ウ) ところが,被告らは,インターネットオークションにより偽ブランド品を購入した者からの苦情が相次ぐようになり,危険を感じたことから,平成14年5月ころにインターネットオークションで偽ブランド品を販売することをやめたが,パチンコ店等への販売は従前どおり継続していた。 しかし,同年9月24日,徳島県警察本部が被告らを摘発し,被告らの事務所や営業所を捜索し,資料を押収したことから,被告らでは,偽ブランド品の販売を一旦は全面的に中止することとした。 しかしその後も,パチンコ店の側から被告らに対してブランド品の販売を求めてきたことから,被告らはパチンコ店に対する偽ブランド品の販売を再開したが,平成15年10月に再び徳島県警察本部に摘発された。 イ 被告会社の決算状況 (ア) 被告会社の平成12年9月期決算から平成16年9月期決算までの各期の損益計算状況は,別紙「被告会社の損益計算状況」記載のとおりであり,各項目の%表示欄は,各期の売上額に対する各項目額の割合を示している(乙1,2の各号,3,36ないし38中の「損益計算書」,「消費税額試算表」及び「所得の金額の計算に関する明細書」)。 また,被告会社の各期における役員及び従業員数は,同別紙の下部に記載のとおりである(乙1,2の1,3及び38中の「法人事業概況説明書」)。 (イ) なお,同別紙の記載について若干補足する。 a 平成14年9月期においては,当初の税務申告(乙1)の後に修正申告(乙36)がされている。そして,修正申告では,「売上計上漏れ」として,@876万7543円,A10億8528万7616円が計上され,同時にAと同額が「仕入計上漏れ当期認容額」として計上されている。そして,弁論の全趣旨によれば,この修正申告は,税務当局による税務調査の結果として行われたものであり,被告らが,宮崎トレーディングやエムズという会社をトンネル会社として偽ブランド品を仕入れて被告会社やマリアで販売していたこと(甲5の18頁以下)から,宮崎トレーディング等の取引を被告会社自身の取引として認定した上,宮崎トレーディング等の被告会社等やマリアに対する売上げを被告会社の売上げとして追加計上する一方,宮崎トレーディング等の仕入費用を被告会社の追加仕入費用として追加計上したものであると認められる。このように,上記Aの金額が追加売上げと追加仕入れの双方に計上されているのは宮崎トレーディング等が単なる書類上のトンネル会社であったためであることからすると,Aの追加売上げは実体を伴わない机上の売上げに過ぎず,それを生み出すために何らかの費用が必要となったものではおよそないから,被告らが本件侵害品の売上げを得るために必要となった費用の額を検討するに当たっては考慮に入れることは相当でないというべきであり,これは上記追加仕入れについても同様である。 このような次第で,前記別紙では,上記@のみを考慮して作成した。 b 同様の事態は,平成15年9月期の税務申告においても生じていることから(乙2の各号),同期についてもaと同様にして作成した。 (3) 以上に基づき検討する。 ア 前記認定事実からすると,被告らが偽ブランド品の販売を開始したのは平成13年9月期中のことで,翌平成14年9月期に最も活発に偽ブランド品の販売を行っていたが,この期末に警察による摘発を受けたために翌平成15年9月期の偽ブランド品の販売は縮小し,さらに翌平成16年9月期には,その期首に警察による再度の摘発を受けたために,偽ブランド品の販売を行わなくなったと認められ,別紙「被告会社の損益計算状況」中の売上高の推移もこのような経過に符合するといえる。 そうすると,別紙「被告会社の損益計算状況」の平成13年9月期と平成14年9月期の売上高のかなりの部分(特に後者の時期には半分以上)は,偽ブランド品の販売が占めているといえ,これだけの売上げを生み出すに当たって,原告が主張するように仕入費用(売上原価)以外の費用を追加的に要しなかったはずであるとは,到底考えることができない。 イ そこで,どのような費用が偽ブランド品の販売のために追加的に必要になったかについて検討するに,インターネットオークションによる販売を行うためには,その出品,発送等の作業を行うために相応の従業員や運賃,通信費,コンピュータ設備等が必要になると考えられる。現にマリアにおいてはそのための従業員を新たに雇い入れたことは先に認定したとおりである。 また,パチンコ店等への偽ブランド品の販売についても,取引量が大幅に拡大した以上,そのための人件費や運賃等を要したであろうと考えられ,別紙「被告会社の損益計算状況」の被告会社の従業員数の推移を見てもそのように理解できる。 これらの点を考慮し,さらに被告自身が本件において「無駄とも思える人件費や経費を重ねるなどしており」と主張していること(平成17年7月19日付被告準備書面2の5頁)を併せ考慮すると,被告らにおいて偽ブランド品の販売のために追加的に要した費用(仕入費用を除く)は,売上額の4%と認めるのが相当である。 被告らは,販売費及び一般管理費の売上高に対する割合を基準として,控除すべき費用額を算定すべきであると主張する趣旨と解されるが,この主張は,各項目の費用が被告らの偽ブランド品の販売のために追加的に必要になったものか否かを吟味しないものであって,採用することができない。 ウ そこで,被告らによる本件侵害品の売上額を検討するに,マリアによるインターネットオークションを介した売上額は,合計1億6507万7716円であり,同社によるパチンコ店等への販売による売上額は,合計8482万0750円である(前記前提事実(3)ア(ア)及び(イ))。 そして,被告会社によるパチンコ店等への売上額については,@その売上量が合計7万4329個であり(前記前提事実(3)イ),Aその平均単価は,被告会社と実質的に一体であったマリアのパチンコ店等への販売の平均単価が9969.5円(前提事実記載(3)ア(イ)の,売上額合計8482万0750円÷売上数合計8508個)であることから,合計7億4102万2965円(74,329×9969.5。小数点以下切捨て)であると推認される。 したがって,被告らによる本件侵害品の売上額は,以上の合計9億9092万1431円であるから,控除すべき費用(仕入費用を除く)は,その4%である3963万6857円(小数点以下切捨て)となる。 3 まとめ 以上より,本件侵害品の販売によって被告らが受けた利益の額は,1で認定した粗利益額1億0677万5819円から,2で認定した控除費用額3963万6857円を控除した,6713万8962円となる。 よって,原告の本件請求は,この限度で理由があるから,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 田中俊次 |
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裁判官 | 高松宏之 |
裁判官 | 西森みゆき |