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関連審決 不服2003-21781
関連ワード 包装 /  指定商品 /  補正 / 
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事件 平成 17年 (行ケ) 10426号 審決取消請求事件
原告 株式会社パレ・ロワイヤル・ジャポン
訴訟代理人弁護士 西川三男,弁理士 河野誠
被告 特許庁長官中嶋誠
指定代理人 岩崎良子,青木博文,井出英一郎
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2005/11/08
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
「特許庁が不服2003-21781号事件について平成17年3月9日にした審決を取り消す。」との判決。
事案の概要
本件は,商標登録出願についての拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消しを求める事案である。
1 前提となる事実関係(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実) (1) 原告は,平成14年9月20日,別紙商標目録(1)記載の商標について,指定商品を商標法施行令別表第1の第16類「写真立て」及び第28類「スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊技用器具,ビリヤード用具,釣り具,昆虫採集用具」とする商標登録出願(商願2002-80625号)をし,また,「JUJU」の欧文字を標準文字で横書きした商標(以下「本件商標」という。)について,指定商品を上記別表第1の第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,宝玉の原石,貴金属製靴飾り,時計,貴金属製喫煙用具」並びに第16類「写真立て」とする商標登録出願(商願2002-80629号,以下「本件出願」という。)をした(乙2,13)。
ジュジュ化粧品株式会社(以下「ジュジュ化粧品」という。)は,同日,別紙商標目録(2)記載の商標について,指定商品を上記別表第1の第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー」並びに第16類「紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,裁縫用チャコ,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,紙製のぼり,紙製旗,紙製幼児用おしめ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,遊戯用カード,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,印刷用インテル,活字,装飾塗工用ブラシ,封ろう,マーキング用孔開型板,観賞魚用水槽及びその附属品」とする商標登録出願(商願2002-80363号)をした(乙24)。
(2) 本件商標と同一又は類似の商品について使用をする本件商標と同一又は類似の商標について同日に3の商標登録出願があったので,特許庁長官は,平成15年3月11日付けで,各商標登録出願人に対し,拒絶理由を通知するとともに,40日以内に協議をしてその結果を届け出るべき旨を命じた(乙3,4,14,15,25,26)。
(3) ジュジュ化粧品は,平成15年4月14日,商願2002-80363号について,指定商品を上記別表第1の第14類「貴金属,貴金属製靴飾り,貴金属製喫煙用具,時計,キーホルダー」及び第16類「写真,写真立て」とする旨の補正をした(乙27)。
原告は,同月30日,商願2002-80625号について,指定商品を上記別表第1の第16類「写真立て」とする旨の補正をし,また,本件出願について,指定商品を上記別表第1の第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製靴飾り,時計,貴金属製喫煙用具」及び第16類「写真立て」とする旨の補正をした(乙6,17)。
(4) 上記(2)で指定した期間内に届出がなかったので,特許庁長官は,平成15年7月11日,くじを実施し,これにより,商願2002-80625号の出願人である原告を1の商標登録出願人と定め,さらに,商願2002-80363号の出願人であるジュジュ化粧品を第2順位,本件出願の出願人である原告を第3順位と定めた(甲1,乙9,10,20,21,31,32)。
(5) 原告は,平成15年8月21日付けで,商願2002-80625号について商標登録をすべき旨の査定を受けたので,同年10月10日,その設定の登録を受けた(乙22,23)。
(6) ジュジュ化粧品は,平成15年8月4日,商願2002-80363号について,指定商品を上記別表第1の第14類「貴金属,貴金属製靴飾り,貴金属製喫煙用具,時計,キーホルダー」とする旨の補正をした(乙33)。
(7) ジュジュ化粧品は,平成15年8月21日付けで,商願2002-80363号について商標登録をすべき旨の査定を受けたので,同年9月26日,その設定の登録(商標登録第4713549号)を受けた(甲3,乙34,35)。
(8) 原告は,平成15年9月30日付けで,本件出願について拒絶査定を受けたので,同年11月7日,拒絶査定不服の審判請求をしたが(不服2003-21781号事件として係属),特許庁は,平成17年3月9日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,同年3月22日,その謄本を原告に送達した(乙11,12)。
2 審決の理由の要点 審決の理由は,以下のとおりであるが,要するに,本件商標が商標法8条5項の規定に該当するとして本件出願を拒絶した原査定は妥当であって,取り消すべき限りでない,というのである。
(1) 請求人(出願人)の主張の要点 請求人(出願人)は,本件審判請求の理由として以下のように述べている。
ア 一の商標登録出願人を決めるとして行われた「くじ」で,第二位以下の出願人を決定することはできない。
本件商標は,3件の同日に係る商標登録出願について商標法8条5項に基づく「くじ」の結果,相手が補正を行い,補正後に新たに発生した競合関係を一の商標登録出願人を決めるとして行った「くじ」の第二順位と第三順位の間の関係を抽出して適用したものである。すなわち,一の商標登録出願人を決めるとして行われた「くじ」で,明らかに第二の出願人を決めている。一の商標登録出願人とは一人の出願人であり,決して複数の出願人とはならない。第二順位,第三順位は,第一順位の者が諸事情により権利取得を断念した場合の予備的な選定に過ぎないものである。
イ 「くじ」の後,補正等により新たに競合関係が発生した場合,(第二順位以下は)再度,協議を行い不調の場合は「くじ」を行うべきであり,それをしなかった今回の運用は,法目的に反するものである。
商標法8条2項や5項の規定によれば,商標法8条の法令が意図することは,同日出願の場合に,協議前置とし,それが不調の場合に,公正なくじを行うものである。ところが今回の運用では協議前置とする法の意図するところを壊しかねない運用となっている。
すなわち,特許庁の解釈では,「くじ」後の補正で競合関係が解消されたときでは,第二,第三順位の出願人でも登録を可能とするものであるが,今回の場合のように,複数の出願が存在し,商品・役務も部分的に様々に競合している場合では,「くじ」の結果を考えながら協議を行った場合にはその協議の対象そのものが極めて複数の選択肢となり得るあらゆる補正の態様や第二順位,第三順位などを想定することを強いることになり,その協議対象が極めて大きく拡がって,事案によっては協議自体収拾することがはなはだ困難になることは明らかである。
したがって,今回の特許庁の運用は,協議前置とした法目的に明らかに反しており,「くじ」の前提となっていた出願自体を「くじ」後に補正して新たな競合関係が発生した場合は,再度協議前置,不明の場合に「くじ」という手順を踏む必要がある。
そのような公平を維持する制度が存在しながら実施せず,安易に登録した引用商標には法律上明らかな瑕疵があると言わざるを得ない。
したがって,引用商標を以て,本件商標が拒絶理由を受け,拒絶査定される理由はない。
(2) 審決の判断 ア 商標法における「くじ」の趣旨 商標法は,8条2項において「同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に二以上の商標登録出願があったときは,商標登録出願人の協議により定めた一の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。」旨,及び5項において「第二項の協議が成立せず,又は前項の規定により届出がないときは,特許庁長官が行う公正なくじにより定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。」旨規定し,同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に二以上の商標登録出願があったときは,先ず,商標登録出願人の協議により,協議が成立しないときに特許庁長官が行う公正なくじにより,商標登録を受けることができる一の出願人を定めるのである。
これは,商標法では,先願が拒絶されても同条3項の規定により先願権は残らないことから,協議が成立しない場合に両方とも商標登録を受けられないものとすると,その直ぐ後に同様な商標登録出願をした者の方に商標登録をしなければならない不合理があるからであると解される。
イ 一の出願人を決める「くじ」で,第二位以下の出願人を決定することについて 上記アの観点から,例えば,くじにより第一位となった出願人が,その後,商標登録出願の取り下げなどにより,その出願が初めからなかったことになり,その地位が失われれば,第二位の出願人が繰り上がることとしても,決して商標法8条5項の趣旨に反するものとは云えないというべきである。
そして,くじの際に予め順位を定めておくことは,決して商標法8条2項及び5項の趣旨に反するものではなく,このことは,実施後に,定められた順位の関係で,第2順位の出願が第1順位の出願と抵触する指定商品を削除補正等することにより,拒絶理由が解消した場合においても,順次登録されることは決して不合理なものと言うことはできず,また,かかる場合に補正ができないとする規定もないことよりすれば,これを違法ということはできないと解するのが相当である。
そうとすれば,この点についての請求人(出願人)の主張は採用できず,引用商標は,商標法8条2項及び5項のいずれにも違反して登録されたものということはできない。
ウ 「くじ」の後,新たに競合関係が生じた場合,再度,協議を行い,不調のときは「くじ」を行うとの主張について 請求人(出願人)は,「くじの前提となった出願自体をくじの実施後に補正して新たな競合関係が発生した場合は,再度協議前置,不明の場合に「くじ」という手順を踏む必要がある。」旨主張する。
しかしながら,特許庁長官が行う公正な方法による「くじ」を実施し,一の商標登録出願人を定め,同時に2位以下の順位を定めることは,前記のとおり商標法8条2項及び5項の趣旨に反するものではなく,かえって,補正等を行うことによって抵触関係を解消することができるのであり,これを,補正の毎に再度協議あるいはくじを実施するならば,審査実務及び当事者間に過度の負担を強いるものであって,極めて煩雑であるといわざるを得ない。
したがって,この点に関する請求人(出願人)の主張も採用できない。
なお,サービスマーク登録制度導入に伴う平成3年法律第65号附則4条2項は,「この法律の施行の日から6月間にした役務に係る商標登録出願については,新法第4条第1項(第11号及び第13号に係る部分に限る)及び第8条第1項の規定は,適用しない。」とし,同3項で「前項の商標登録出願についての新法第8条第2項の規定の適用については,同日にしたものとみなす。」旨規定している。
つまり,施行の日から6月間にした役務に係る商標登録出願は,出願の前後を問わず同日にしたものとみなし,特例出願を除き,出願人の協議により,協議が成立しなかったときは,公正なくじによることとし,これまでに多数の「くじ」が実施された。なかでも,最大のものは8件の出願について「くじ」が実施(平成9年11月26日)され,何れも1回の「くじ」で定めた順位に従い処理が行われている。
エ 審決の結論 よって,本件商標が商標法8条5項の規定に該当するとして本件出願を拒絶した原査定は,妥当であって取り消すべき限りでない。
当事者の主張の要点
1 原告主張の審決取消事由 (1) 取消事由1 ア 商標法8条5項は,特許庁長官が,くじにより,商標登録を受けることができる「一の商標登録出願人のみ」を定めることを規定したのであり,第2,第3の順序を定めることまでは規定していない。なお,くじの実施後に,もとの商標登録出願について補正がされ,これにより,新たに競合関係が発生した場合には,再度,出願人に協議をさせ,協議が成立せず,又は指定した期間内に協議の結果の届出がないときは,くじにより定めるべきである。
イ 特許庁長官は,くじにより第2,第3の順序を定めてしまい,第14類「貴金属,貴金属製靴飾り,貴金属製喫煙用具,時計,キーホルダー」について使用する商標が競合しているのに,出願人に協議をさせることなく,第2順位のジュジュ化粧品の商標登録出願について商標登録をすべき旨の査定をし,本件出願について拒絶査定をしたものであるから,このような手続は,違法である。
(2) 取消事由2 ア 仮に特許庁長官がくじにより順序を定めることができるとしても,その場合には,出願人の利害に重大な影響をもたらすものであるから,特許庁長官は,出願人に対し,その旨を明確に伝えて,くじの方法等について意見を述べる機会を与えるとともに,くじの実施を拒絶することを認めるべきである。
イ 特許庁長官は,くじを実施するに当たり,順序を定めることを出願人に伝えていないのであって,特許庁長官が行ったくじは,違法であり,かつ,公正さもない。特許庁長官は,このようなくじにより,ジュジュ化粧品の商標登録出願について商標登録をすべき旨の査定をし,本件出願について拒絶査定をしたものであるから,違法である。
2 被告の反論 (1) 取消事由1に対して ア くじにより定めた「一の商標登録出願人」の商標登録出願が放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき,又は商標登録出願について査定若しくは審決が確定したときは,その商標登録出願は,初めからなかったことになるから(商標法8条3項),特許庁長官は,このことをも考慮して,同日に3以上の商標登録出願があったときは,いずれかの商標登録出願が商標登録を受けることができるように,くじにより順位を定めているのであり,このことは,必要かつ合理的なものであって,商標法8条5項の規定に反しない。
イ したがって,第2順位のジュジュ化粧品が指定商品を第14類「貴金属,貴金属製靴飾り,貴金属製喫煙用具,時計,キーホルダー」とする旨の補正をした結果,特許庁長官がその商標登録出願について商標登録をすべき旨の査定をしたことは,違法でない。
(2) 取消事由2に対して ア くじを実施するに当たり,順序を定めることを出願人に伝えていないとしても,くじの手続が違法なものとなるわけではなく,不公正なものとなるわけでもない。また,くじの方法等について意見を述べるというのであれば,くじ実施通知書を受領したとき又はくじの当日に意見を述べることができたものであるが,それにもかかわらず,原告は何ら意見を述べていない。
イ したがって,特許庁長官がジュジュ化粧品の商標登録出願について商標登録をすべき旨の査定をし,本件出願について拒絶査定をしたことは,違法でない。
当裁判所の判断
1 取消事由1について (1) 商標法8条2項は,「同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に2以上の商標登録出願があったときは,商標登録出願人の協議により定めた1の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。」と規定し,同条5項は,「第2項の協議が成立せず,又は前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは,特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた1の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。」と規定している。また,同条3項は,「商標登録出願が放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき,又は商標登録出願について査定若しくは審決が確定したときは,その商標登録出願は,前2項の規定の適用については,初めからなかったものとみなす。」と規定し,放棄等がされた商標登録出願は,そのほかの競合している商標登録出願との関係において同日出願としての地位が失われることを定めている。
(2) 商標法8条2項及び同条5項は,以上のように,同日出願の関係にある2以上の商標登録出願があったときにおいて,商標登録出願人の協議又は特許庁長官が行う公正な方法によるくじによって定めた1の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができることを規定しているが,同日出願の関係にある3以上の商標登録出願があったときに,商標登録出願人の協議又は特許庁長官が行うくじにより,1の商標登録出願人のみを定めなければならないとは規定していないから,同日出願の関係にある3以上の商標登録出願の間に優劣の順位を定めることを排除していないということができる。
また,同日出願の関係にある3以上の商標登録出願があったときに,特許庁長官が行うくじにより1の商標登録出願人のみを定めた場合において,当該商標登録出願人の商標登録出願の放棄等がされると,同条3項の規定により,そのほかの競合している商標登録出願との関係において同日出願としての地位が失われ,その結果,商標登録を受けることができる商標登録出願人が存在しなかったことになってしまうが,同条5項が,商標登録出願人の協議が成立せず,又は指定した期間内に協議の結果の届出がないときに,商標登録を受けることができる商標登録出願人を定めることとした趣旨に照らすならば,上記のように,くじにより定めた商標登録出願人が存在しないという事態が生じることは,妥当でないと考えられる。
さらに,同日出願の関係にある商標登録出願があったことによる拒絶理由通知を受けた商標登録出願人は,拒絶理由があるとされた指定商品以外の指定商品について,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願をしたり,また,拒絶理由があるとされた指定商品について,同法68条の40第1項の規定に基づいて願書からこれを削除する補正をしたりすることにより,出願した指定商品の一部がそのほかの商標登録出願と競合するために全体が拒絶されるという不利益を免れることができる。そうであれば,同日出願の関係にある3以上の商標登録出願があったときにおいて,特許庁長官がくじにより優劣の順位を定めたとしても,商標登録出願人の利益が害されることはない。
(3) 上記(2)に判示したところに照らすと,商標法8条5項の特許庁長官が行うくじにおいて,同日出願の関係にある商標登録出願が3以上あるときは,その間に優劣の順位を定めることができると解するのが相当である。
(4) 上記第2の1の事実によれば,ジュジュ化粧品は,平成15年8月4日,商願2002-80363号について,拒絶理由があるとされた指定商品である上記別表第1の第16類「写真,写真立て」を削除し,指定商品を第14類「貴金属,貴金属製靴飾り,貴金属製喫煙用具,時計,キーホルダー」とする旨の補正をしたから,これと同日出願の関係にある商標登録出願は本件出願だけであるところ,両者については,平成15年7月11日に行ったくじにより,商願2002-80363号の出願人であるジュジュ化粧品を第2順位,本件出願の出願人である原告を第3順位と定めたから,これによれば,ジュジュ化粧品のみが商標登録を受けることができるのである。したがって,特許庁長官が,ジュジュ化粧品の商標登録出願について商標登録をすべき旨の査定をし,本件出願について拒絶査定をしたことに違法はない。
(5) 原告は,くじの実施後に,もとの商標登録出願について補正がされ,これにより,新たに競合関係が発生した場合には,再度,出願人に協議をさせ,協議が成立せず,又は指定した期間内に協議の結果の届出がないときは,くじにより定めるべきであると主張する。しかし,もとの商標登録出願について補正がされたとしても,要旨を変更する補正をすることは許されない(商標法16条の2第1項参照)から,補正により,新たに商標登録出願の競合関係が発生するわけではない。そして,さきに実施したくじにより順位を定めているのであるから,改めて,商標登録出願人の協議や特許庁長官が行うくじによって商標登録を受けることができる商標登録出願人を定める必要もない。原告の上記主張は,採用することができない。
(6) したがって,取消事由1は理由がない。
2 取消事由2について 上記1(3)のとおり,商標法8条5項の特許庁長官が行うくじにおいて,同日出願の関係にある商標登録出願が3以上あったときは,その間に優劣の順位を定めることができると解するのが相当であるところ,くじが公正な方法により行われるのであれば,商標登録出願人にくじの方法等について意見を述べる機会を与えたり,くじの実施を拒絶したりすることを認めたりしなくても,商標登録出願人の利益が害されることはないから,特許庁長官が順序を定める旨を伝えないでくじを行ったとしても,これをもって違法であるということはできない。そうであれば,特許庁長官が,くじにより定めた順序に従い,ジュジュ化粧品の商標登録出願について商標登録をすべき旨の査定をし,本件出願について拒絶査定をしたことに違法はない。
したがって,取消事由2も理由がない。
結論
以上のとおりであって,原告主張の審決取消事由は理由がないから,原告の請求は棄却されるべきである。
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 野輝久
裁判官 佐藤達文
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