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関連ワード 役務の提供 /  指定役務 /  権利能力 /  債務不履行 /  差止 /  使用許諾 /  継続 / 
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事件 平成 14年 (ワ) 16721号 損害賠償等請求事件
原告 特定非営利活動法人家庭教師派遣業自主規制委員会
原告 株式会社日本家庭教師センター学院
被告 学参有限会社
訴訟代理人弁護士 三好徹
同 吉田哲
同 根本雄一
同 渡辺昇一
同 藤川浩一
同 高久尚彦
同 岩本 康一郎
同 石田央子
同 西尾政行
同 宮下正臣
同 中山素子
同 井川 真由美
訴訟復代理人弁護士 津田直和
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2003/06/05
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告は,原告特定非営利活動法人家庭教師派遣業自主規制委員会に対し,4000円を支払え。
2 原告特定非営利活動法人家庭教師派遣業自主規制委員会のその余の請求を棄却する。
3 原告株式会社日本家庭教師センター学院の請求を棄却する。
4 訴訟費用は,(1)原告特定非営利活動法人家庭教師派遣業自主規制委員会と被告との間に生じた費用につき,その20分の1を被告の,その余を同原告の各負担とし,(2)原告株式会社日本家庭教師センター学院と被告との間に生じた費用を同原告の負担とする。
事実及び理由
請求の趣旨
1 原告特定非営利活動法人家庭教師派遣業自主規制委員会(以下「原告自主規制委員会」という。)の請求 (1) 被告は,原告自主規制委員会に対し,17万3000円及びこれに対する平成13年11月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(本判決末尾添付の平成14年11月11日付け原告ら第二準備書面写し第1(2)@請求の趣旨1ア1)。
(2) 被告は,原告自主規制委員会に対し,50万円及びこれに対する平成13年11月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(前同@請求の趣旨1ア2)。
(3) 被告は,原告自主規制委員会に対し,12万5825円及びこれに対する平成13年11月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(前同@請求の趣旨1ア3)。
(4) 原告自主規制委員会と被告との間において,被告は,同原告に対してAAA審査の審査料・認定料として支払った2万円の返還請求権を有しないことの確認を求める(前同@請求の趣旨2d及び第5回弁論準備手続調書)。
(5) 被告は,原告自主規制委員会に対し,2万4000円を支払え(同準備書面写し第1(3))。
(6) 原告自主規制委員会は,被告に対し,「家庭教師優良業者全国ネットワーク」名称中の“優良業者”の削除又は解散,及び関連マーク等の削除,使用禁止を求める(同準備書面写し第1(1)B請求の趣旨2b)。
(7) 原告自主規制委員会は,被告に対し,「愛知県家庭教師協会」名称中の“県”の削除又は名称の変更,解散を求める(前同C請求の趣旨2c参照)。
2 原告株式会社日本家庭教師センター学院(以下「原告センター学院」という。)の請求 被告は,原告センター学院に対し,50万円及びこれに対する平成13年11月9日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払え(前同@請求の趣旨1イ)。
3 原告自主規制委員会及び原告センター学院の請求 原告自主規制委員会及び原告センター学院は,被告に対し,「家庭教師派遣業自主規制委員会」(登録番号第3366762号)の表示禁止,別紙謝罪広告文記載どおりの謝罪広告の掲載を求める(前同A請求の趣旨2a及び第2回弁論準備手続調書)。
当事者の主張
1 請求の原因 (原告自主規制委員会の主張) (1) 請求の趣旨1(1)に係る請求原因 本判決末尾添付の訴状写し「紛争の要点(請求の原因)」1記載のとおり。
原告自主規制委員会の主張を善解すると,同原告は,同原告が実施しようとした家庭教師派遣業者格付けためのAAA審査(以下「AAA審査」という。)に関し,同審査に混乱を生じさせた責任は訴外C(以下「C」という。)にあるとした上,被告がCの審査方法を支持し,被告やCの所属する「家庭教師優良業者全国ネットワーク」(以下「全国ネットワーク」という。)の会員に有利な審査を推し進めた結果,AAA審査の評価をおとしめ,もって,同原告に信用失墜などの損害を被らせたものであるとして,被告の上記行為が不法行為に当たる旨を主張し,損害賠償を請求しているものと解される。
(2) 請求の趣旨1(2)に係る請求原因 本判決末尾添付の訴状写し「紛争の要点(請求の原因)」7記載のとおり。
原告自主規制委員会の主張を善解すると,同原告は,被告がC,訴外D(以下「D」という。),訴外E(以下「E」という。)及び全国ネットワーク会員と共に,平成13年11月29日から同14年1月24日までの間に,インターネット上[www.aozora.com/kzi]で,また文書でも,同原告に対する誹謗中傷行為や名誉毀損行為を行い,よって,同原告に信用失墜などの損害を被らせたものであるとして,被告の上記行為が不法行為に当たる旨を主張し,損害賠償を請求しているものと解される。
(3) 請求の趣旨1(3)に係る請求原因 本判決末尾添付の訴状写し「紛争の要点(請求の原因)」8記載のとおり。
原告自主規制委員会の主張を善解すると,同原告は,被告が同原告の理事であることを前提に,平成13年11月8日に開催された第4回理事会及び平成13年12月20日に開催された第3回臨時総会において,当時の理事がそれぞれ12万5825円を理事負担金という名目で負担し,これを同原告に支払う旨の決議が有効に成立したと主張して,被告に対して上記理事負担金の支払を求めているものと解される。
(4) 請求の趣旨1(4)に係る請求原因 本判決末尾添付の訴状写し「紛争の要点(請求の原因)」2記載のとおり。
後記のとおり,被告は,原告自主規制委員会が被告に対し,AAA審査の審査料・認定料2万円を返還する義務を負う旨主張しているところ,同原告は,既に審査は終了しており,その結果(不合格)も被告に対して通知しているから,上記の返還義務はないとして,被告の上記主張を争っている。
(5) 請求の趣旨1(5)に係る請求原因 原告自主規制委員会は,同原告の会員には会費納入の義務があることを前提に,被告は現在も同原告の会員であるとして,被告に対し,未払いの平成14年度年会費2万4000円の支払を求めている(本判決末尾添付の前記原告ら第二準備書面写し第1(3)及び第2回弁論準備手続調書)。
(6) 請求の趣旨1(6)に係る請求原因 本判決末尾添付の訴状写し「紛争の要点(請求の原因)」5記載のとおり。
原告自主規制委員会の主張を善解すると,同原告は,被告が「家庭教師優良業者全国ネットワーク」の名称を使用する行為は,誇大広告を禁じる特定商取引法43条に違反するとして,同条及び同法47条等を根拠に,上記「家庭教師優良業者全国ネットワーク」から「優良業者」の文字を削除することなどを求めているものと解される。
(7) 請求の趣旨1(7)に係る請求原因 本判決末尾添付の訴状写し「紛争の要点(請求の原因)」6記載のとおり。
原告自主規制委員会の主張を善解すると,同原告は,被告が「愛知県家庭教師協会」の名称を使用する行為は,被告が地方公共団体と関連する公的機関であると消費者に誤認混同させるおそれがあるとして,特定商取引法43条及び47条等を根拠に,上記「愛知県家庭教師協会」から「県」の文字を削除することなどを求めているものと解される。
(原告センター学院の主張) (8) 請求の趣旨2に係る請求原因 本判決末尾添付の訴状写し「紛争の要点(請求の原因)」4記載のとおり。
原告センター学院の主張を善解すると,同原告は,被告が商標「家庭教師派遣業自主規制委員会」を使用する行為は,同原告が有する下記商標権(以下「本件商標権」といい,下記登録商標を「本件商標」という。)を侵害する行為に当たると主張して,同商標権の侵害を理由に,50万円の損害賠償金の支払を求めているものと解される。
登録番号 第3366762号 出願年月日 平成6年(1994)6月7日 登録年月日 平成9年(1997)12月19日 商品及び役務の区分 第41類 指定役務 技芸・スポーツ又は知識の教授 登録商標 「家庭教師派遣業自主規制委員会」 (原告自主規制委員会及び原告センター学院の主張) (9) 請求の趣旨3に係る請求原因 本判決末尾添付の訴状写し「紛争の要点(請求の原因)」3記載のとおり。
原告らの主張を善解すると,原告らは,上記(6)及び(7)各記載の特定商取引法違反及び同(8)記載の商標権侵害を根拠に,特定商取引法43条,47条,商標法78条等に基づき,被告に対し,本件商標の使用の差止及び謝罪広告の掲載などを求めているものと解される。
2 被告の認否及び反論 (1) 請求の趣旨1(1)に係る請求原因について 原告自主規制委員会の前記主張(第2,1(1))は,争う。
(2) 請求の趣旨1(2)に係る請求原因について 被告がインターネット上で原告自主規制委員会を誹謗中傷したという点については,否認する。また,被告が文書により同原告の名誉を毀損したという点についても,否認する。被告は,同原告の名誉を毀損するようなインターネット上の書き込みや文書の配布を一切していないので,同原告に対し損害賠償責任を負ういわれはない。
また,原告は,被告にはホームページ管理者としての責任がある旨の主張もしているが(平成14年12月19日付け原告ら第四準備書面,第1,2),かかる主張については,争う。ホームページ管理者が名誉毀損に該当する内容が発信されていることを認識した場合であっても,名誉を毀損された者との関係において,かかる発信を差し止めるべき具体的な義務を負うのは,名誉毀損行為の行為態様がはなはだしく悪質であること,及び,名誉毀損による損害の程度が甚大であることなどが,一見して明白な場合に限られるものというべきである。本件においては,このような行為態様の悪質性及び被害の甚大性が欠けていることが明らかであるから,この点からも,原告の請求には理由がない。
(3) 請求の趣旨1(3)に係る請求原因について 平成13年11月8日の第4回理事会において理事負担金の決議がされたとの点は,否認する。同年12月20日の第3回臨時総会で理事負担金の決議がされたとの点は,不知である。原告主張に係る理事負担金の支払の根拠となる決議は存在しない。
また,上記の点をさておいても,そもそも被告は法人であり,原告自主規制委員会主張に係る理事負担金決議の対象となる理事(自然人)ではない。ちなみに,被告の代表取締役であるB(以下「B」という。)が,かつて同原告の理事であったのは事実であるが,同人は,平成13年12月20日をもって理事を辞任している。
(4) 請求の趣旨1(4)に係る請求原因について 被告は,被告が原告自主規制委員会に対し,AAA審査の審査料・認定料として支払った2万円の返還請求権を有することにつき,以下のとおり主張する。
ア AAA審査の経緯 (ア) 原告自主規制委員会は,家庭教師のプロ化及び地位向上並びに家庭教師派遣業の自主規制の確立を目指す特定非営利活動法人であるが,家庭教師派遣業に関するサービス評価の格付け制度(前記AAA審査)を立ち上げようと考え,副理事長のCをAAA審査委員長に任命し,審査制度の調査,実施等を同人に一任するとともに,無料の一次審査と有料の二次審査を実施することを決定した。
(イ) 上記一次審査は,全国の家庭教師派遣業者に対し,審査の案内とサービス評価に関するアンケート調査用紙(乙2)を送付し,返送されたアンケートに基づいて,当該業者が特定商取引法等の関係法令を遵守しているかどうかを検討し,遵守していると評価できる業者を一次審査合格とする,という内容のものであった。
一次審査の案内書とアンケート用紙は,平成12年1月8日,全国206の業者に対し発送され,同年1月15日から翌年5月28日の間に,合計23の業者からアンケート用紙が返送された。被告も,平成12年3月3日に,アンケート用紙をCあてに返送した。
(ウ) 原告自主規制委員会は,平成13年9月8日,被告を含む23の業者すべてに対し,一次審査の合格通知と二次審査の案内を兼ねた文書(乙3)を送付した。
これによると,二次審査については2万円の審査料がかかり,大学教授・弁護士などが審査員となって,当該業者の業務が特定商取引法等に適合しているかどうか審査した上,審査結果を10月末に通知するとのことであった。そして,審査に合格した場合には,「優良業者AAA」の認定証を交付するとともに,原告自主規制委員会のホームページに業者名を掲載し(ホームページ管理料は年間5000円),不合格の場合には,審査料の半額の1万円が返金になるとのことであった。
上記内容の二次審査案内に基づき,被告は原告自主規制委員会に対して,同年9月18日,審査料2万円を支払うとともに(乙4),審査に必要とされる書類一式を同原告に送付した。
(エ) ところが,同年10月末日を過ぎても原告自主規制委員会から審査結果の連絡はなく,同年11月20日になって,突然,同原告から被告あてに,「経済産業省ガイドライン サービス評価審査システム 優良AAA業者認定登録証交付のご案内」と題する書面が送られてきた。
これによれば,前記二次審査は,同原告の理事会が一次審査の再審査という形で既に行ったとのことであり,優良AAA業者としての認定を受けるためには,大学教授・弁護士等が審査員となる「最終審査」に合格することが必要であるとともに,「最終審査」自体は無料であるが,合格した場合は,認定料・登録料・交付料として15万円が必要とのことであった。
AAA認定を受けるために15万円もの費用がかかることについて,審査を申し込む前に一切説明はなかったため,被告は,同原告に対し,審査をキャンセルする旨通知し,支払済みの審査料2万円の返還を求めた。そして,同年11月末日までには,ほぼ全ての業者が,被告と同様,同原告に対し,審査をキャンセルして2万円を返還することを求めた。
(オ) 上記最終審査は,同年12月5日,私学会館アルカディアで開催されたが,開始後間もなく,座長のF慶應義塾大学教授から,審査体制そのものに大きな問題がある旨の指摘がされ,結局,個別の審査には至らず,全ての業者につき,合否は保留という扱いになった。
(カ) 同年12月13日,Cから被告を含む複数の業者に通知が届くとともに,二次審査のために提出した資料が返送されてきた。
この通知によれば,Cは原告自主規制委員会に対して,審査料を返還するように働きかけているとのことであったが,その後,同月25日になって,同原告から被告あてに,「審査結果通知状」と題する書面(甲13の1)が送付されてきた。同書面には,被告に関する審査結果が不合格であったこと及び審査料の返還には応じないことが記載されていた(乙5)。
なお,同様の書面が被告以外の業者にも送付されており,すべての業者について,審査結果は不合格とされていた。
(キ) 被告は,その後も,原告自主規制委員会に対して審査のキャンセルと2万円の返還を求めたが,同原告からの返金はないまま,現在に至っている。
イ 被告の返還請求権について (ア) 原告自主規制委員会は,平成13年9月8日,被告に対し,一次審査の合格通知と二次審査の案内を兼ねた文書を送付したが(前記ア(ウ)),これは,対価を2万円とする第二次審査契約の申し込みの意思表示と評価できる。しかし,上記送付行為は,同原告の代表者理事長であるA(以下「A」という。)の承認なくされたものであり(甲47参照),原告の法律行為であるとは認められない。
それにもかかわらず,被告が2万円を支払い,第二次審査を申し込んだのは,法的には,新たな申し込みと評価される(前記ア(ウ))。しかるに,同原告は,この新たな申し込みに対し,最終審査の認定料・登録料・交付料として15万円の支払を求めたのであるから,申し込みに合致した承諾の意思表示がされていない。
そうすると,同原告主張に係るAAA審査契約は,そもそも成立していないというべきであり,同原告は,法律上の原因なくして,被告が支払った上記2万円を利得したことになる。したがって,被告は,同原告に対し,2万円の不当利得返還請求権を有している。
(イ) 仮に,平成13年9月18日に,原告自主規制委員会と被告の間に,AAA審査に関する契約が成立していたとしても,それは,下記@〜Eのような内容のものであった(以下,かかる内容の契約を「本件審査契約」という。)。
@ 被告は,原告自主規制委員会に対し,審査料として2万円を支払う。
A 同原告は,被告から提出された資料をもとに,被告の業務が特定商取引法などの関連法規や家庭教師派遣業自主規制規約に適合しているかどうか,更に厳正な審査を行う。
B 審査は,大学教授・弁護士・消費者コンサルタント等,第三者の専門家が行う。
C 審査結果が「合格」の場合,同原告は被告を「優良業者AAA」と認定し,認証番号を記載した認定証を付与する。また,被告が同原告に対し管理料として5000円を支払えば,同原告は自己のホームページに被告の名前を掲載し,被告のホームページへのリンクを貼る。なお,認定期間は1年間であり,翌年以後の継続審査料とホームページ管理料として,合計1万円が必要である。
D 審査結果が「不合格」の場合,同原告は被告に対し,上記審査料の半金に当たる1万円を返金する。
E 合否の結果は,平成13年10月末日までに被告あてに通知する。
(ウ) しかるに,原告自主規制委員会は,平成13年10月末日までに被告に対して合否の通知をせず,前記ア(エ)記載のとおり,同年11月20日になって,同原告の理事会において一次審査の見直しという形で二次審査を既に行った旨,及び,「優良業者AAA」の認定を受けるためには「認定料・登録料・交付料」として更に15万円の支払が必要である旨を被告に通知した。さらに同年12月25日には,同月5日の審査会で実質的な審査が全くされておらず,審査員が「合否留保」の結論を下したにもかかわらず,被告を「不合格」とする旨の通知を送付した。
かかる同原告の所為は,本件審査契約の前記(イ)A,B,C及びEについての債務不履行と評価することができ,同原告の債務は既に履行不能となっている。
そうすると,被告が再三にわたり同原告に対してなした「審査をキャンセルする」旨の意思表示は,本件審査契約の債務不履行解除を意味するものというべきである(被告は,かかる解除の意思表示は有効なものであると考えるが,念のため,平成14年11月11日付け被告準備書面1をもって,同原告の上記債務不履行に基づき本件審査契約を解除する旨を通知する。)。
以上によれば,原告自主規制委員会は,被告に対し,契約解除に基づき,審査料2万円の返還義務を負っている。
(エ) また,仮に,原告自主規制委員会が「優良業者AAA」の「認定料・登録料・交付料」として別途15万円が必要になることを秘匿し,被告に2万円を支払わせたということであれば,かかる同原告の行為は詐欺に該当するから,被告は,本件審査契約について詐欺取消(民法96条1項)を主張する。
また,契約の重要な部分に錯誤があったことになるので,本件審査契約は錯誤により無効(民法95条)である旨も,併せて主張する。
(5) 請求の趣旨1(5)に係る請求原因について ア 被告が原告自主規制委員会の会員であることは認めるが,同原告については,理事長であるAが,他の理事に無断で定款を無視して総会の開催日を決定する等,特定非営利活動法人である同原告を私物化しており,会員に対する責務を果たしていない。
したがって,被告は,対価としての会費の支払停止あるいは支払義務の不存在を主張する。
イ 前述のとおり,被告は,原告自主規制委員会に対し,AAA審査料2万円の返還請求権を有するところ,被告は,平成15年4月15日の第6回弁論準備手続期日において同月14日付け被告準備書面3を陳述することにより,上記返還請求権をもって,同原告の主張する平成14年度の年会費請求権と対等額で相殺する旨の意思表示をした。
したがって,被告は,仮に上記アの主張が認められない場合には,予備的に,相殺の抗弁を主張する。
(6) 請求の趣旨1(6)に係る請求原因について 原告自主規制委員会の前記主張(第2,1(6))は,失当である。
被告は,「家庭教師優良業者全国ネットワーク」の会員であるから,印刷物にこれらの名称を使用することに何ら問題はない。
(7) 請求の趣旨1(7)に係る請求原因について 原告自主規制委員会の前記主張(第2,1(7))は,失当である。
被告は,「愛知県家庭教師協会」の会員であるから,印刷物にこれらの名称を使用することに何ら問題はない。
(8) 請求の趣旨2に係る請求原因について ア 被告が印刷物等に「家庭教師派遣業自主規制委員会」の名称を付して,本件商標を使用している事実は認めるが,被告は,原告自主規制委員会の会員として,原告センター学院から,同商標の使用を許諾されていたものであるから,被告が同商標を使用する行為は,本件商標権の侵害に当たらない。
イ 原告らは,平成14年12月19日付け原告ら第四準備書面において,本件商標の使用に関する原告自主規制委員会内部の使用規定(甲32)の存在を主張し,被告による使用は同規定に違反するものである旨を主張するが,そもそも,被告は上記使用規定の存在を知らない。
同原告の創成期から規約作成に携わったDも,このような規定の存在は知らないと述べており(乙9),上記使用規定は,全く存在しないか,あるいは,その成立過程で適正な手続を経ていない違法無効なものである。
ウ 仮に上記使用規定の存在を前提としても,被告は,事前もしくは事後的に,本件商標の使用に関する承諾を得ていた。
すなわち,@原告自主規制委員会は,平成12年12月26日付け「家庭教師派遣業自主規制委員会の名刺(英文を含め)の件」と題する書面(乙6)を,副理事長,理事及び会員あてに送付したが,同書面における名刺の案には,「家庭教師派遣業自主規制委員会」の名称が肩書として表示されており,副理事長,理事及び会員に対しては,本件商標の使用が許諾されていたことが分かる。また,A原告自主規制委員会が法人格を取得する以前の平成10年7月8日,Eサンプラザにおいて,同原告の総会が行われた際,同原告理事長は,会員は「家庭教師派遣業自主規制委員会」の表示を用いてもよいが,会員以外が用いると商標権の侵害になる旨述べていた。この発言も,同原告の会員に対して,本件商標の使用が許諾されていたことを前提とするものである。
エ 以上のとおり,被告は,本件商標「家庭教師派遣業自主規制委員会」の使用の許諾を受けていたものであるから,被告が同商標を使用する行為は,原告センター学院が有する本件商標権の侵害に当たらない。
(9) 請求の趣旨3に係る請求原因について 前項(8)で述べたところによれば,本件商標権の侵害は問題にならない。また,前記(6)及び(7)で述べたとおり,特定商取引法を根拠とする原告の主張は,それ自体失当である。
したがって,原告らの前記主張(第2,1(9))は,理由がない。
当裁判所の判断
1 請求の趣旨1(1)の請求について 前記のとおり,原告自主規制委員会の主張するところは,被告がCのAAA審査方法を支持し,被告やCの所属する全国ネットワークの会員に有利な審査を推し進めた結果,AAA審査の評価をおとしめ,もって,同原告に信用失墜などの損害を被らせたものであるとして,被告の上記行為が不法行為に当たる旨をいうものと善解することができる(第2,1(1))。
しかしながら,本件で提出されたすべての証拠によっても,被告が上記のような行為をした事実を認めることはできない。
したがって,その余の点につき判断するまでもなく,上記請求には理由がない。
2 請求の趣旨1(2)の請求について 前記のとおり,原告自主規制委員会の主張するところは,被告が,C,D,E及び全国ネットワーク会員と共に,平成13年11月29日から平成14年1月24日までの間に,インターネットのホームページ[www.aozora.com/kzi]上で,また文書によって,同原告に対する誹謗中傷行為や名誉毀損行為を行い,同原告に信用失墜などの損害を被らせたとして,被告の上記行為が不法行為に当たる旨をいうものと善解することができる(第2,1(2))。
しかしながら,証拠上,@被告代表者であるBが,上記インターネットのホームページ上で,2001年(平成13年)12月4日付けで,C,Dらと共に,原告自主規制委員会の臨時総会における議決権の行使をBらに委任するよう呼びかけたこと(甲14の4),及び,A2002年(平成14年)9月5日付けで,全国ネットワークの会員に対し,会員は当然特定商取引法及び自主規制規約を遵守しているので,「優良」と広告しても問題ないと考えるが,それに付随する細則の取り決めがないので,細則の制定を議題に取り上げて欲しい旨呼びかけたこと(甲35)の各事実を認めることができるものの,被告が,上記ホームページ上で,あるいは文書によって,同原告の名誉を毀損する行為や,信用を失墜させる行為をしたことを認めるに足りる証拠は存在しない。
また,同原告は,被告のホームページ管理者としての責任をも主張するかのようであるが,仮に,被告が同原告主張に係るホームページ[www.aozora.com/kzi]の管理責任者であったとしても,本件において,被告が,そこに書き込まれた内容について不法行為責任を負担すべき具体的な根拠事実は,主張・立証されていない。
以上によれば,その余の点につき判断するまでもなく,上記請求には理由がない。
3 請求の趣旨1(3)の請求について 前記のとおり,原告自主規制委員会は,被告が同原告の理事であることを前提に,平成13年11月8日に開催された第4回理事会及び平成13年12月20日に開催された第3回臨時総会において,理事が12万5825円を負担する旨の決議がされたことを根拠に,被告に対して上記金員の支払を求めているものと解される(第2,1(3))。
しかしながら,被告が同原告の理事であることを認めるに足りる証拠はなく,かえって,証拠(甲3,甲15の2及び甲16の1)及び弁論の全趣旨によれば,同原告の理事であったのは被告代表者のBであると認められるから,原告の上記主張は,そもそも,その前提を欠いている(ちなみに,同原告は,平成14年11月11日付け原告ら第二準備書面の第1(1)において,原告らは,被告を学参有限会社と特定する旨明確に主張している。)。
また,上記の点をさておいても,本件で提出されたすべての証拠によっても,同原告主張に係る決議が有効に成立した事実を認めることはできない。すなわち,同原告は,「特定非営利活動法人家庭教師派遣業自主規制委員会 第4回理事会の報告事項と議決事項」と題する書面を甲19号証の1として,「臨時総会(通算3回)決議事項」と題する書面を甲19号証の2として,さらに,「第4回理事会議事発言内容詳細」と題する書面を甲30号証としてそれぞれ提出しているが,これらの書面はその成立の経緯が一切不明であるばかりか,作成名義人や記載内容に照らし,いわば原告らの認識のみに基づいて作成された文書であることが明らかであるから,これらの書面をもって,前記金員を各理事が負担する旨の具体的な決議ないし意思表示の合致が存在した事実を認めることはできない。
よって,原告自主規制委員会の上記請求には理由がない。
4 請求の趣旨1(4)に係る請求原因について (1) 証拠(甲1〜3,7〜9,16の1,18の1〜18の4の2,46,乙1〜5)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。
ア 原告自主規制委員会の理事長であり,かつ,原告センター学院の代表者でもあるAは,家庭教師派遣業の草分け的存在の一人とされ,「ふくろう博士」の通称で知られている。他方,被告は,名古屋市所在の家庭教師派遣業を営む有限会社であり,Bは,その代表者代表取締役である。
イ Aは,通商産業省(当時)が継続的役務提供業務の適正化に乗り出したことをきっかけに,同省からの依頼を受け,継続的役務適正化研究会の委員に就任した。Aは,平成6年ころに初めて作成された「家庭教師派遣業自主規制規約」の取りまとめに際し,中心的な役割を果たしたが,そのころから,自らを「家庭教師派遣業自主規制委員会」と称するようになった(なお,原告自主規制委員会は,平成12年12月15日に,経済企画庁から特定非営利活動法人(NPO)として認証を受け,その後の同月28日に法人格を取得したものであるが,法人格取得の前から権利能力なき社団として存在したものと認められるので,以下,法人格取得の前後を問わず,「原告自主規制委員会」という。)。
Aが代表者代表取締役を務める原告センター学院は,平成6年6月7日,「家庭教師派遣業自主規制委員会」を商標登録出願し,同商標は,平成9年12月19日,商標登録された。
ウ やがて,CやEらが原告自主規制委員会に加わり,平成10年ころには,以前からの構成員であったDを会長とし,C及びEらを副会長として,家庭教師優良業者全国ネットワーク(前記「全国ネットワーク」)が結成された。
上記全国ネットワークは,本来,家庭教師派遣業者による任意の勉強会的な集まりであり,D,C及びEら,その主要な構成員は原告自主規制委員会の委員でもあるが,Dらの呼びかけに応じて同ネットワークに参加しただけで,同原告と特に関わりを持たない構成員もいる。
エ 平成11年10月に,訪問販売法(現特定商取引法)が改正され,家庭教師派遣業が継続的役務に指定されて,家庭教師派遣業に関する契約や勧誘が法的規制の対象となった。
これをきっかけに,原告自主規制委員会においても,もともと金融機関を対象に使われていた格付け評価(AAA評価)を,家庭教師派遣業者を対象に実施することを検討するようになり,Cを中心に,AAA審査に関する研究,調査及び実施に着手した。
オ 原告自主規制委員会は,平成12年1月8日ころ,被告を含む全国200余の家庭教師派遣業者に対し,「安心度AAA評価アンケート調査 家庭教師派遣業サービス評価委員会」と題する書面(乙2)を送付した。
同書面には,上記アンケート調査は,「法を遵守し消費者保護と良質な役務の提供がなされているか」を調査するものであり,返送されたアンケート結果と契約書その他の書類を審査して,回答者の提供するサービスを評価する(AAA審査)ことなどが記載されていたが,それに要する費用等については記載されていなかった。
カ 被告は,上記AAA審査の趣旨に賛同し,平成12年3月3日,上記アンケートの回答(甲7)を原告自主規制委員会に返送した。これに対し,同原告は,同年9月8日,被告がAAA審査の第一次審査に合格したことなどを通知する書面(乙3。以下「第一次審査合格通知書」という。)を被告に送付した。
同書面には,被告が第一次審査に合格したことのほか,第二次審査は,大学教授,弁護士,消費者コンサルタント等を審査員として厳正に実施すること,第二次審査に合格した業者を「優良業者AAA」と認定すること,「優良業者AAA」については,認証番号を記載した認定書を付与し,同原告のホームページに掲載すること,第二次審査を希望する場合には,審査料・認定料2万円を同年9月30日までに指定口座に振込送金する必要があるが,不合格の場合はその半額を返還すること,第二次審査の結果は,同年10月末に連絡すること,ホームページに掲載する場合には,管理料として年間5000円が別途必要になることなどが記載されていた。
キ 被告は,平成13年9月21日,第一次審査合格通知書で指定された口座に2万円を振込送金した。
ク 原告自主規制委員会は,平成13年11月20日,被告に対し,「経済産業省ガイドライン『サービス評価』審査システム『優良AAA業者』認定登録証交付のご案内」(甲8)及び「家庭教師派遣業者・個別指導教室『サービス評価』認定審査委員会規約」(甲9)と題する各書面等を送付した。
これらの書面には,第二次審査は第一次審査の再審査という形で既に終了したこと,第二次審査の合格者を対象に,同年12月5日,学識者,弁護士,弁理士等による第三次審査(最終審査)を実施し,その結果に基づいてAAAの認定をすること,第三次審査に合格した場合には,AAA認定料・登録料・交付料15万円の納付が必要であることなどが記載されていた。
ケ その後,被告は,原告自主規制委員会に対し,第二次審査の申込みを撤回するとともに前記審査料2万円の返還を求める旨の通知をした。
コ 平成13年12月13日,Cを通じて,原告自主規制委員会から被告に対し,第二次審査のために提出した資料が返送されたが,同月25日になって,同原告から被告あてに,「審査結果通知状」と題する書面(甲12)が送付されてきた。
同書面には,被告の審査結果は不合格であったこと及び認定審査に必要な審査料・認定料・登録料・交付料等の諸費用は理由のいかんにかかわらず返還しないことが,記載されていた。
サ 原告自主規制委員会は,同じころ,Eらに対しても,上記同様の「審査結果通知状」と題する書面を送付したが,同原告のこのような対応に立腹したEは,平成14年4月17日,同原告に対し,同人が清算人を務める有限会社家庭教師紹介センターを原告として,AAA審査料2万円の返還等を求める訴えを松山簡易裁判所に提起した(同事件は,後に松山地方裁判所に移送された。同庁平成14年(ワ)第541号。甲40〜43参照)。
これに対し,原告らは,被告を相手として,平成14年8月1日,上記2万円の返還請求権が存在しないことの確認等を求める本件訴えを提起するともに,時期を相前後して,Cら全国ネットワークの有力な会員を相手に,同様の訴え
追加
(2)上記のとおり,原告自主規制委員会は,被告に対し,平成13年9月8日,第一次審査合格通知書をもって,同原告が実施する第二次審査に合格すれば「優良業者AAA」と認定することなどを説明した上,同審査を希望する場合には,同年9月30日までに,審査料・認定料2万円を指定口座に振込送金するよう通知した((1)カ)。上記通知書の体裁や記載内容に照らせば,通常人であるならば,審査料・認定料として2万円を支払えば,同通知書に記載されたとおりの内容で,最終審査としての第二次審査を受けることができると理解するものと考えられる。しかるに,同原告は,同通知書の記載のとおりに,同年10月末までに第二次審査を実施してその結果を被告に通知することをせず,かえって,同年11月20日,被告に対し,最終審査として第三次審査を同年12月5日に実施する予定であること,及び,第三次審査に合格してAAA認定を受けるための費用として15万円が必要である旨を通知した((1)ク)。
被告は,第二次審査を希望して,審査料・認定料2万円を同原告の指定する口座に振込送金したのであるから,これにより,第一次審査合格通知書に記載されたとおりの内容でAAA審査の第二次審査を受ける旨の申し込みの意思表示をしたものと認められる。しかしながら,被告は,上記2万円のほかに,これに比して格段に高額な15万円の費用が別途必要になることを知らなかったのであり,仮にこれを知っていれば上記申込みをすることはなかったと考えられるから,被告のした上記申込みの意思表示には,要素の錯誤が存在するものと認められる。したがって,被告の上記意思表示は無効というべきである。
そうすると,原告自主規制委員会は,法律上の原因なく,被告から前記審査料・認定料2万円の振込入金を受けたことになる。したがって,同原告は,被告に対し,不当利得として前記2万円を返還する義務があるというべきである。
以上によれば,被告が原告自主規制委員会に対してAAA審査の審査料・認定料として支払った2万円の返還請求権を有しないことの確認を求める同原告の請求には,理由がない。
5請求の趣旨1(5)に係る請求原因について(1)被告が原告自主規制委員会の会員であることについては,当事者間に争いがないところ,証拠(甲15の2,甲23)及び弁論の全趣旨によれば,原告自主規制委員会の会員は,同原告に対して会費を支払う義務を負うこと,平成14年度の法人年会費は2万4000円であることが認められ,他方,被告が平成14年度の会費を支払ったことは認められない。
上記によれば,被告は原告自主規制委員会に対し,平成14年度の年会費として2万4000円を支払う義務があるものというべきである。
この点に関して,被告は,原告自主規制委員会はAによって私物化されており,会員に対する責務を果たしていないから,会費の支払義務は存在しないなどと主張する。しかしながら,そもそも,被告主張に係る上記事情を認めるに足りる証拠はない上に,仮にそのような事情が存在したとしても,そのことを理由に会費の支払を拒み得る法律上の根拠は不明であるから,いずれにせよ,被告の上記主張を採用することはできない。
(2)そこで,被告主張に係る相殺の抗弁(第2,2(5)イ)について判断する。
前項4で認定したとおり,被告は,原告自主規制委員会に対し,AAA審査料として支払った2万円の返還請求権を有するところ,被告が同原告に対し,平成15年4月15日の第6回弁論準備手続期日において同月14日付け被告準備書面3を陳述することにより,上記返還請求権をもって,同原告の平成14年度年会費請求権とその対等額において相殺する旨の意思表示をしたことは,記録上明らかである。
したがって,同原告の被告に対する平成14年度年会費請求権は,上記相殺により,2万円の限度で消滅したものと認められる。
(3)以上によれば,原告自主規制委員会の上記請求は,被告に対して4000円の支払を求める限度で理由がある。
6請求の趣旨1(6)に係る請求原因について前記のとおり,原告自主規制委員会の請求は,被告が「家庭教師優良業者全国ネットワーク」の名称を使用する行為は,誇大広告を禁じる特定商取引法43条に違反するとした上,主務大臣の業務停止権限等を規定する同法47条を根拠に,上記「家庭教師優良業者全国ネットワーク」から「優良業者」の文字を削除することなどを求めているものと善解することができる(第2,1(6))。
しかしながら,特定商取引法は,43条で役務提供者等の誇大広告等を禁止する旨を規定し,47条で主務大臣の業務停止権限等を規定しているが,役務提供業者等に同法43条に違反する行為があったとしても,私人が同法の規定に基づき当該業者等に対して業務の停止や違反行為の差止等を求める私法上の権利を有するものでないことは,同法の規定から明らかであるから,原告自主規制委員会の上記主張は,それ自体失当というほかない。その他,同原告が被告に対して上記のような請求をなし得る根拠については,同原告から何らの主張も立証もない。
したがって,この点に関する同原告の請求には理由がない。
7請求の趣旨1(7)に係る請求原因について前記のとおり,原告自主規制委員会の請求は,被告が「愛知県家庭教師協会」の名称を使用する行為は,被告が地方公共団体と関連する公的機関であると消費者に誤認混同させるおそれがあるとして,特定商取引法43条,47条等を根拠に,上記「愛知県家庭教師協会」から「県」の文字を削除することなどを求めているものと善解することができる(第2,1(7))。
しかしながら,そもそも,被告が「愛知県家庭教師協会」の名称を用いることが,原告主張に係る誤認混同を消費者に生じさせるものであるのか疑問である上に,私人である原告自主規制委員会が,被告に対し,特定商取引法等を根拠に差止等を求める私法上の権利を有するものでないことは,前項6で述べたとおりである。
よって,この点に関する同原告の請求もまた,理由がない。
8請求の趣旨2に係る請求原因について(1)原告センター学院が本件商標権を有していること,被告が,同商標権の指定役務である「技芸・スポーツ又は知識の教授」(第41類)について,本件商標(「家庭教師派遣業自主規制委員会」)を使用していることについては,当事者間に争いがない。
(2)そこで,被告主張に係る使用許諾の抗弁(第2,2(8))について判断する。
被告が現在も原告自主規制委員会の会員であることについては,当事者間に争いがないところ(原告自主規制委員会は事実上分裂状態にあると考えられるが,原告らは,被告が現在も原告自主規制委員会の会員であることを前提に,平成14年度の年会費2万4000円を請求するなどしており,被告も,自身が会員であることを前提に訴訟活動を行っている。),被告は,被告に対して本件商標の使用が許諾されていると主張し,これを基礎付ける事実として,@同原告が平成12年12月26日付けで副理事長,理事及び会員あてに送付した「家庭教師派遣業自主規制委員会の名刺(英文を含め)の件」と題する書面(乙6)においては,「家庭教師派遣業自主規制委員会」の名称が肩書として表示された名刺の案が提示されており,このことから,会員に対して,本件商標の使用が許諾されていたことが分かる,A同原告理事長は,以前,会員以外が「家庭教師派遣業自主規制委員会」の表示を用いると商標権の侵害になる旨述べていたが,この発言は,会員に対して本件商標の使用が許諾されていたことを前提とするものである,ことなどを指摘する。
そこで検討するに,証拠(甲3,15の2,23,乙6,9,10)及び弁論の全趣旨によれば,原告自主規制委員会においては,会員は,名刺・案内書・チラシ・新聞広告等に「家庭教師派遣業自主規制委員会」の名称を使用できるものであって,年会費の外に同名称の使用のために同原告に対して特別の対価を支払うことを要するものではないと認められる。すなわち,原告自主規制委員会が配布する会員募集のための入会案内パンフレット(甲3)には,会員が同名称を使用するために特別な手続や対価の支払等を要する旨の記載はないし,同原告が全会員に対して配布した通知書(甲23)にも,所定の年会費の納入を要請することが記載されているだけで,それ以外に同名称の使用の対価の支払等については何ら記載されていないものであり,現に,会員は同名称を特別の対価の支払なしに自由に使用できるという取扱いがされていた(乙9,10)。本件において被告の挙げる上記「家庭教師派遣業自主規制委員会の名刺(英文を含め)の件」と題する書面(乙6)は,会員が名刺に「家庭教師派遣業自主規制委員会」の名称を使用できることを前提として,その書式を提案したものと認められる(原告らの提出に係る甲32(商標権『家庭教師派遣業自主規制委員会』使用規定)においても,原告自主規制委員会の正会員が「家庭教師派遣業自主規制委員会」の名称を使用できることが記載されているものであり,そのこと自体は,原告らも争っていないものと認められる。)。
原告らの提出に係る前掲甲32(商標権『家庭教師派遣業自主規制委員会』使用規定)には,会員が「家庭教師派遣業自主規制委員会」の名称を使用する場合には事前に原告自主規制委員会の承認を得なければならないこと(2条),会費を1年以上未納である会員に対しては同名称の使用を禁止すること(7条)が記載されているが,乙9,10によれば,同原告においては会員が同名称を使用するに当たって事前に個別に同原告の了承を得る取扱いは行われておらず,甲32の内容が会員に示されたこともなかったと認められるものであり,これらの事情に照らせば,同原告において同名称の使用につき甲32のような取り決めが存在していたとは認められない。
本件商標の商標権者は原告センター学院であるが,前掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件商標の使用に関しては,原告自主規制委員会は,商標権者である原告センター学院から,原告自主規制委員会の会員による使用につき包括的な再許諾権限を付与されていると認めるのが相当である(原告らの提出に係る前掲甲32も,このことを当然の前提としているものであり,この点は,原告らも争っていないものと認められる。)。本件においては,前記のとおり,被告が現在も原告自主規制委員会の会員である以上(このことは,当事者間に争いがない。),被告が「家庭教師派遣業自主規制委員会」の名称を使用することは同原告により許諾されているものというべきであるから,本件商標についての使用許諾をいう被告の抗弁は理由がある。
したがって,本件商標権の侵害を根拠とする原告センター学院の損害賠償請求(第1,2)には理由がない。
9請求の趣旨3記載に係る請求原因について前項8で判示したとおり,被告は本件商標の使用につき,商標権者である原告センター学院の許諾を得ていると認められるから,原告センター学院による,本件商標権の侵害を理由とする本件商標の使用の差止請求は,理由がない(なお,乙10(Bの陳述書)によれば,被告は,平成14年8月ころ以後は本件商標を使用していないと認められるから,この点に照らせば,本件商標の使用差止めはそもそもその利益を欠くものというべきである。)。
原告らの請求する謝罪広告の掲載については,上記のとおり商標権侵害を理由とする点はその前提を欠くものであるし,その他の点(「NPO法人家庭教師派遣業自主規制委員会認定・優良AAA認定業者」の表示が虚偽であったことを表示し,謝罪広告せよとの点など)については,前記6及び7で説示したところなどに照らし,そもそも,原告らが被告に対し,このような謝罪広告を求め得る実体法上の根拠が存在しない。したがって,謝罪広告の点に関する原告らの請求には理由がない。
第4結論以上によれば,原告自主規制委員会の請求は4000円の支払を求める限度で理由があるが(仮執行宣言は相当でないので,これを付さない。),その余は理由がなく,原告センター学院の請求は理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事46部裁判長裁判官三村量一裁判官青木孝之裁判官吉川泉
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