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関連審決 審判1998-31335
関連ワード 指定商品 /  通常使用権 /  専用使用権 /  国内 /  継続 / 
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事件 平成 13年 (行ケ) 290号 審決取消請求事件
原告 クーパータイヤ アンド ラバー カンパニー
訴訟代理人弁護士 関根秀太、石村善哉、達野大輔、渡辺由美
被告 住友ゴム工業株式会社
訴訟代理人弁護士 鈴木修、大平茂、毛利峰子、弁理士 青木博通、土生真之
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2002/07/16
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
原告の求めた裁判
「特許庁が平成10年審判第31335号事件について平成13年2月6日にした審決を取り消す。」との判決。
事案の概要
1 特許庁における手続の経緯 被告は、登録第2506244号商標(「ROADMASTER」の欧文字を横書きしてなり、第12類「輸送機械器具、その部品および附属品」を指定商品として、平成2年1月17日に登録出願され、平成5年2月26日に設定登録。本件商標)の商標権者である。
原告は、平成10年12月11日、被告を被請求人として、「本件商標は、その指定商品中のいずれについても、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。」との理由により、本件商標の登録を取り消すことについて審判を請求し(請求の登録日・平成11年1月20日)、平成10年審判第31335号事件として審理されたが、平成13年2月6日、「本件審判請求は、成り立たない。」との審決があり(出訴期間90日付加)、その謄本は同月26日原告に送達された。
2 審決の理由の要点 (1) 本件商標は、「ROADMASTER」の欧文字を横書きしてなるところ、
審判乙第6号証(1998年3月発行の「MOTOR CYCLE TYRE CATALOGUE ’98(MCタイヤ総合カタログ●販売店様用)」)によれば、その第43頁の右上に「TT100」のタイヤが掲載されており、その部分を拡大した頁には、商品「タイヤ」に本件商標と社会通念上同一と認められる「ROADMASTER」の商標が付されている。
また、審判乙第7号証(株式会社ダンロップモーターサイクルコーポレーションよりレーシングマックス桶川本店にあてた平成10年(1998年)10月8日付けの売上伝票の写し)によれば、「商品名」の欄に「4.25/85H18 4P TT100 (64H) TLN」及び「品名コード」の欄に「126851」とそれぞれ記載されていることが認められる。さらに、「日付」の欄に「平成10年(1998年)10月8日」に相当する「98年10月08日」の掲載が認められる。
(2) してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により指定商品中の「タイヤ」について使用されていたものと認めることができる。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。
原告主張の審決取消事由
本件審判請求の登録前3年以内における日本国内での本件商標の使用があった事実を認めるべき証拠はないのに、以下に述べるとおり、この事実を認めた審決の認定は誤りである。
1 過去において被告が本件商標を付して販売したタイヤのカタログ用写真を当時の資料から引き出して作成することが可能であるから、審判乙第6号証(本訴甲第17号証)のカタログの信憑性はない。
審判乙第7号証(本訴甲第18号証)の売上伝票写しは、株式会社ダンロップモーターサイクルコーポレーションの作成であるが、同社は、被告の子会社である株式会社日本ダンロップから自動二輪車用タイヤ、チューブの販売部門を分離独立させて設立されたもので、被告の100%子会社である。その代表取締役を始めとする取締役4人は被告に在籍中の従業員である。したがって、上記売上伝票の内容は信憑性を欠く。
その他、原告が審判及び本訴で提出した証拠をもってしても、本件商標の使用の事実を認めることはできない。
2 イギリス法人ダンロップ リミテッドがイギリス・マン島のT.Tレースにおいて、商標「ROADMASTER」を付したタイヤを履いたマシンが連勝したことから、ダンロップ リミテッドがそのレースの名称「Torist Torophy 100」を「TT100」と省略して商標「ROADMASTER TT100」を創作し、1960年代後半にその使用を開始した。このように「TT100」は関係者にとって重要で意味のある略語であり、ダンロップ リミテッドは商標「ROADMASTER」に替えてこれに「TT100」を結合した商標を使用することになった。ダンロップ リミテッドは「ROADMASTER TT100」の商標登録(第1062837号)を得たが、被告がダンロップ リミテッドを買収した後の昭和60年5月13日、この商標権は被告に譲渡登録されている。
審決が認定の根拠とした証拠あるいは原告が本訴で提出している証拠に記載の商標は、すべて「ROADMASTER TT100」であって、本件商標「ROADMASTER」ではなく、上記の事情の下では、「ROADMASTER TT100」の記載をもって本件商標の使用の事実を認めることはできない。
審決取消事由に対する被告の反論
本件商標の使用の事実を認めた審決の認定に誤りはない。
原告指摘の「ROADMASTER TT100」中の「TT100」は、タイヤのカテゴリーブランド「ROADMASTER」のサブブランドとして使用されているものであり、「ROADMASTER」の部分に独立して信用が蓄積される余地がないとする理由はないから、「ROADMASTER TT100」との表示が付されたことをもって、本件商標の使用でないとする原告の主張は理由がない。
当裁判所の判断
1 審判乙第6号証に対応する甲第17号証(原本は乙第2号証の一部)、審判乙第7号証に対応する甲第18号証によれば、前記審決の理由の要点(1)の事実を認めることができる。そこで認められた「126851」の商品コード(審判乙第7号証におけるもの)は、審判乙第6号証のカタログの第43頁右上の「TT100」のタイヤの商品コードの一部である。
また、甲第12、第13号証及び審判乙第6号証の原本である乙第2号証(審判乙第6号証として抜粋した部分のほか、第22頁の部分も加えられている。)によれば、1998年3月発行の「MOTOR CYCLE TYRE CATALOGUE ’98(MCタイヤ総合カタログ●販売店様用)」の第22頁の左側に掲載されている「TT100GP」のタイヤの商品コード237773のものが、平成10年11月4日(甲第13号証の受領書上は同月5日)に、被告から兵庫ダンロップ販売株式会社に販売されたこと、このタイヤには、「ROADMASTER」の商標が付されていることを認めることができる。
2 以上認定の事実によれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により指定商品中の「タイヤ」について使用されていたものと認めることができる。以上の認定に供した書証の成立の真正について疑義があると認めることもできない。
3 原告は、以上の認定に係る「ROADMASTER」の記載には「TT100」の文字が並記されているところ、本件商標とは別に「ROADMASTER TT100」の登録商標も存在することなどを理由に、上記認定の文字の記載は、本件商標の使用と認めることはできないと主張する。確かに、甲第43号証の1、2によれば、原告主張のとおり、平成10年当時は被告が商標権者であった「ROADMASTER TT100」の商標登録(第1062837号)がされていること、前記1認定に係るタイヤにおける「ROADMASTER」の記載には、「TT100」の文字が並記されていることが認められるが(甲第12号証添付写真のタイヤに「TT100」の文字が並記されているのかは判然と確認することはできないが、仮にその並記があったとしても)、一般取引者からみて「TT100」の文字は商品の型番であるとの認識も十分あり得ることと、「ROADMASTER TT100」のうち「ROADMASTER」の部分と「TT100」の部分とは書体を違えて記載されていることからすると、「ROADMASTER」の文字部分は独立して商標を表したものと認識されるものであって、この文字部分をもって本件商標の使用でないと認めることはできない。
結論
以上のとおりであって、本件商標の使用の事実を認めた審決の認定に誤りはないので、原告の請求は棄却されるべきである。
(平成14年6月4日口頭弁論終結)
裁判長裁判官 永井紀昭
裁判官 塩月秀平
裁判官 古城春実