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関連審決 審判1996-20067
関連ワード 独占的使用 /  識別力 /  出所表示機能 /  識別機能 /  指定商品 /  記述的商標(3条1項3号) /  普通に用いられる方法 /  3条2項 /  商標の同一性 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  国内 /  補正 /  継続 /  ハウスマーク /  商号 / 
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事件 平成 13年 (行ケ) 265号 審決取消請求事件
原告 サントリー株式会社
訴訟代理人弁護士 牧野利秋
同 鈴木修
同 小林邦聡
同 弁理士 柳生征男
被告 特許庁長官及川耕造
指定代理人 大島護
同 宮川久成
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2002/01/30
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が平成8年審判第20067号事件について平成13年4月18日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 原告 主文と同旨 2 被告 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告は、平成6年5月17日、別紙表示のとおり、「角瓶」の文字を左横書きしてなる商標(以下「本願商標」という。)につき、指定商品を商標法施行令別表による第33類「ウイスキー」として商標登録出願をした(商願平6-48572号)が、平成8年10月1日に拒絶査定を受けたので、同年11月26日、これに対する不服の審判の請求をし、その後、指定商品を同類「角型瓶入りのウイスキー」と補正した。
特許庁は、同審判請求を平成8年審判第20067号事件として審理した上、平成13年4月18日に「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年5月14日、原告に送達された。
2 審決の理由 審決は、別添審決謄本写し記載のとおり、本願商標は、指定商品の品質、形状を表示するにすぎないので、商標法3条1項3号に該当し、また、同条2項所定の要件を具備していると認めることもできないから、原査定を取り消すべき限りではないとした。
原告主張の審決取消事由
1 審決の理由中、本願商標の文字は商品の容器の形状が四角形の瓶であるとの意味合いを表し、指定商品との関係では、これにより「角型の瓶に入ったウイスキー」を理解、認識させるもので、商品の品質、形状を表示するにすぎず、商標法3条1項第3号に該当する旨の判断は認める。
審決は、@「角瓶」という表示が、それ単独で多くの銘柄のウイスキーの中の特定のウイスキーを示す商標として使用されているということができず、A使用に係る標章が本願商標と同一であることが認められないとの誤った認定判断をした結果、本願商標が商標法3条2項に該当しないとの誤った結論に至った(取消事由)ものであるから、違法として取り消されるべきである。
2 取消事由(商標法3条2項該当性判断の誤り) (1) 本願商標を使用した特定のウイスキー製品(以下「本件製品」という。)は、製品販売量が国内第一位のウイスキーメーカーである原告が昭和12年に販売を開始した商品であり、当初は本願商標を用いてはいなかったが、消費者の間で自然発生的に、本願商標をもって本件製品を称呼するようになったことから、原告は、「みとくんなはれ サントリーの70年U」(甲第22号証)に転載された昭和28年の広告(118頁右側中段)及び同年中に発行された各新聞掲載の広告(甲第23号証の1〜5)の示すとおり、遅くとも昭和28年には、本件製品の商標として本願商標の使用を開始し、以後、現在に至るまでその使用を継続している。
本件製品は、昭和25年から平成10年までの間に合計6646万ケース(1ケースは12本)が、そのうち、平成元年から平成10年までの10年間においては毎年300万ケース前後が販売されており、上記のとおり、国内最大のウイスキーメーカーである原告の国産ウイスキー販売高の20パーセント近い割合を占める主力商品の一つである。
本件製品の広告宣伝については、主要新聞、雑誌に多数回の広告掲載をし、また、昭和37年にテレビコマーシャルの放映を開始して現在に至るまで継続している。原告従業員作成の陳述書(甲第24号証)に記載されているとおり、平成13年2月ころから同年6月ころまで、全国で合計505回放映されたテレビコマーシャルでは、同テレビコマーシャルの写真(甲第10号証)が示すとおり、本願商標が単独で使用されている。
(2) ところで、審決は、「商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られる」(審決謄本2頁末行〜3頁2行目)とした上で、原審(注、審査)に提出された第1〜第4号証(本訴甲第17〜20号証)、同添付書類(1)、(2)、同(3)〜(13)(本訴甲第12号証の1〜11)、当審(注、審判)に提出された第1号証、同第2号証(本訴甲第2号証)、同第3、第4号証、同第5号証の1(本訴甲第11号証の1、
2)、同号証の2(本訴甲第11号証の3、4)、同号証の3(本訴甲第11号証の5、6)、同号証の4(本訴甲第11号証の7、8)、同号証の5(本訴甲第11号証の9、10)、同号証の6〜8(本訴甲第11号証の11〜13)、同第6号証(本訴甲第16号証)、同第7号証、同第8号証(本訴甲第8号証)、同第9号証(本訴甲第7号証)、同第10号証(本訴甲第9号証)、同第11号証(本訴甲第14号証)を挙げて、「『サントリー角瓶』は、永年にわたりテレビ、雑誌、
新聞などのマスコミの広告宣伝が継続的、かつ、大々的に行われていることは、顕著な事実であることは認められるとしても、請求人(注、原告)の提出した各号証よりは、『角瓶』の文字は、請求人の代表的な出所表示機能を有する著名なハウスマークである『サントリー』と常に結びついて使用されているものといわなければならない。してみると、『角瓶』という表示は、それ単独で多くの銘柄のウイスキーの中の特定のウイスキーを示す商標として使用されているということができない」(同5頁7行目〜15行目)とした。
しかしながら、商標法3条2項に該当するものとして登録を認められるのが、原則として、使用商標が出願商標と同一であり、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一である場合に限られること、「サントリー角瓶」の広告宣伝が、テレビ、雑誌、新聞等のマスコミを通じ、永年にわたり継続的かつ大々的に行われていることが顕著な事実であること、「サントリー」が、出所表示機能を有する原告の代表的かつ著名なハウスマークであることは認めるが、「角瓶」という表示が、原告のハウスマークである「サントリー」と常に結びついて使用され、それ単独で多くの銘柄のウイスキーの中の特定のウイスキーを示す商標として使用されてはいないとの認定は、以下のとおり、誤りである。
ア 審決の挙示する証拠中、例えば、甲第11号証の1〜10においては、
明らかに「角瓶」の表示がそれ単独で用いられている。同一広告ページ内の隔離した位置に「サントリー」又は「サントリー株式会社」の文字があるが、だからといって、両者が「結びついて使用されている」と評価するのは、一般に商品の広告においては、どのように著名な商標を付した場合であろうと、製造者名が併記されていることが通常であることに照らして、不合理であることが明白である。
イ 審決の挙示する証拠中、甲第12号証の5〜7においては、「サントリー」の文字と「角瓶」の文字とは、字体を異にし、かつ、「角瓶」の文字は枠で囲まれるなど、両者が相互に関連付けられることなく、むしろ、「角瓶」の文字が強調されて表示されている。
ウ ペットボトル入り角瓶ウイスキー(4リットル入り)の写真(甲第13号証)に示されるように、角型容器ではないペットボトル入りの本件製品についても「角瓶」の表示があり、同表示が単に容器の形状を示しただけのものではなく、
多くの銘柄のウイスキーの中の特定のウイスキーを示す商標として使用されていることが明らかである。なお、原告従業員作成の陳述書(甲第25号証)に記載されているとおり、ペットボトル入りの本件製品は、上記写真に表示された4リットル入りの製品のほか、2.7リットル入りの製品があり、平成10年の販売開始時から平成13年11月8日までの販売数量は、4リットル入りの製品が16万1000ケース(1ケースは4本)、2.7リットル入りの製品が13万1000ケース(1ケースは6本)である。
エ 審決の挙示する証拠中には、確かに、「角瓶」の文字が「サントリー」又は「サントリーウイスキー」の文字とともに表記されたものも多数存在する。しかしながら、原告は、国内最大手のウイスキー製造販売業者であり、その製造販売に係るウイスキーには、「響」、「山崎」、「リザーブ」、「オールド」等多数の銘柄が存在するから、「サントリー」、「サントリーウイスキー」との表示だけでは具体的商品の特定が不可能であり、「角瓶」の表示があって初めて本件製品の特定ができるものである。また、審決の認めるとおり、「サントリー」は原告の著名なハウスマークであるから、「サントリー角瓶」との使用態様においても、需要者は容易に「角瓶」の部分を「サントリー」の部分から分離して認識することができる。したがって、「サントリー角瓶」との使用態様においても、個別の商品を特定する機能の中心は「角瓶」の表示にあり、同表示は需要者にとって商品を識別する標識としての機能を十分に発揮するものというべきである。そうすると、このような使用態様においても、「角瓶」の表示をそれ単独で用いた場合と同視し得るものというべきである。
(3) 審決は、「『角瓶』の文字についても・・・本願商標と使用に係る標章とは同一であることは、認められない」(審決謄本5頁23行目〜30行目)とするが、その根拠に用いたのは甲第11号証の11、12、第12号証の8、第17号証のみである。しかしながら、例えば、甲第11号証の1〜10においては、明らかに本願商標と全く同一の標章が用いられているのであり、審決の証拠の取捨選択は恣意的であって、証拠評価を誤ったものというほかはない。
また、審決が挙示した証拠に係る使用態様についても、「サントリー角瓶」(甲第17号証)は、上記のとおり、「角瓶」の表示をそれ単独で用いた場合と同視し得るものというべきであり、「サントリー『新・角瓶』」(甲第12号証の8)も同様である。さらに、「角瓶」(甲第11号証の11)についても、多少の字体の違いがあるものの、異なる標章と認識される程度のものではなく、「KAKU-BiN!」(甲第11号証の12)は、そもそも本願商標の使用と見るべきものではない。
したがって、「角瓶」の文字について、本願商標と使用に係る標章とが同一でないとする審決の認定は誤りである。
(4) 審決は、株式会社社会調査研究所作成の「角瓶」についての「銘柄想起調査結果報告書」(甲第14号証)につき、「調査の内容、その結果の分析方法が不明であり、集計が100%を越えているものもある」(審決謄本5頁5行目〜6行目)として、その信頼性を疑問視し、これを排斥する。
しかしながら、同調査を担当した株式会社インテージ(旧商号・株式会社社会調査研究所)のA作成の報告書(甲第15号証)記載のとおり、同調査の方法、内容は、この種の統計調査としてごくオーソドックスなものであり、また、調査結果報告書の集計値が100%を超えた点は、四捨五入した各小計値を合計したことによるもので、統計学的な誤りがあるわけではない。
そして、同調査結果報告書によれば、20歳代から60歳代までの幅広い年齢層の調査対象者の87パーセントが「角瓶」という文字から想起する商品を「ウイスキー」と回答し、さらに、調査対象者の77パーセントが「角瓶」という文字から想起するメーカーを原告と回答している。したがって、この調査結果によっても、本願商標がウイスキー製品において独自の自他識別能力を有していることが明らかである。
(5) これらの事実によれば、本願商標は、使用をされた結果、需要者が原告の業務に係る商品であることを認識することができるまでに至っており、商標法3条2項に該当することは明白である。
被告の反論
1 審決の認定及び判断は正当であり、原告主張の審決取消事由は理由がない。
2 取消事由(商標法3条2項該当性判断の誤り)について (1) 審決が「商標法第3条第2項の規定によれば本願商標と使用に係る商標は、同一でなければならない」(審決謄本5頁19行目〜20行目)と説示するとおり、出願商標が商標法3条2項の要件を具備するとするためには、出願商標と使用商標とが原則として同一でなければならない。
そして、商標法3条2項は、同条1項3号から5号までに該当し、本来的には自他商品等の識別力のない商標が特定の商品又は役務に使用された結果、識別力を有するに至った場合に適用する規定であり、同条1項3号から5号までに該当する商標は、商品の流通過程等においてなんぴとも使用する表示であるから、一私人に独占させることは妥当ではなく、また、登録により発生する権利が全国に及ぶ更新可能な独占権であることを考慮すれば、同条2項の規定は厳格に解釈し適用しなければならず、とりわけ、出願商標と使用商標との同一性は厳密に判断されるべきである。
(2) 原告は、遅くとも昭和28年ころに本願商標の使用を開始したと主張するところ、原告の提出に係る新聞等の広告(甲第22号証、第23号証の1〜5)中には、確かに「角瓶」の文字が使用されているものの、これらの広告においては、
「サントリーウ井スキー」又は「壽屋の洋酒」の文字が顕著に表示されていて、
「角瓶」の文字は、普通の書体でごく小さく、しかも、「オールド」、「白レッテル」、「トリスウ井スキー(大瓶)」等の文字とともに並列して表示されているにすぎないから、上記広告は、「サントリーウ井スキー」又は「壽屋の洋酒」の商標をもってする原告の取扱い商品類の広告宣伝というべきであり、本願商標が「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商標であることを認識することができる」根拠となるような使用方法ということはできない。
また、原告の提出に係るテレビコマーシャルの写真(甲第10号証)は、
審決時までに特許庁に提出されなかった証拠であり、これをもって審決の違法性を主張することは失当である。
(3) 審決が「請求人(注、原告)の提出した各号証よりは、『角瓶』の文字は、請求人の代表的な出所表示機能を有する著名なハウスマークである『サントリー』と常に結びついて使用されているものといわなければならない。してみると、
『角瓶』という表示は、それ単独で多くの銘柄のウイスキーの中の特定のウイスキーを示す商標として使用されているということができない」(審決謄本5頁9行目〜15行目)と認定するとおり、本願商標である「角瓶」の文字は、テレビ、雑誌、新聞等の広告において、原告の著名なハウスマークである「サントリー」、
「サントリー株式会社」、「サントリーウイスキー」又は「SUNTORY WHISKY」の文字とともに使用されており、「角瓶」の文字がそれ単独で用いられている例を示す証拠は極めて少ない。したがって、「角瓶」の文字よりなる本願商標が独立して取引の目的となり得るような態様で使用されてきたということはできない。
平成12年11月20日株式会社講談社発行の「世界の名酒事典 2001年版」(乙第1号証)にも、本件製品は「サントリー角瓶」として掲載されている。
なお、原告の提出に係るペットボトル入り角瓶ウイスキーの写真(甲第13号証)は、審決時までに特許庁に提出されなかった証拠であり、これをもって審決の違法性を主張することは失当である。
(4) また、審決が「『角瓶』の文字についても・・・本願商標と使用に係る標章とは同一であることは、認められない」(審決謄本5頁23行目〜30行目)と認定するとおり、テレビ、雑誌、新聞等の広告において原告の使用してきた文字は、漢字、特殊態様の漢字、ローマ字等、その構成態様が種々に異なり、本願商標と原則的に同一といえる構成態様の文字の使用がされた例を示す証拠は半分にも満たない。
(5) 「銘柄想起調査結果報告書」(甲第14号証)に係る調査は、その実施時期が本件審判請求後の平成10年7月25日から同月27日までであり、同審判の証拠として用いるために行われたものと推認されるから、目的に一定の恣意がある調査というべきであり、また、調査結果において、「角瓶」の文字から連想する商品の種類が、「なし」との回答を別にすれば、すべて「酒類」であったこと(4枚目「エリア・年代・飲用者別クロス表」)に照らすと、同調査は、事前に「酒類」という暗示が被調査者に与えられた上で行われた可能性があり、調査結果の信用性は必ずしも高いものとはいえない。
当裁判所の判断
1 取消事由(商標法3条2項該当性判断の誤り)について (1) 出願に係る商標が、指定商品の品質、形状を表示するものとして商標法3条1項3号に該当する場合に、それが同条2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び商品、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用をされた結果、需要者がなんぴとかの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり、その場合に、使用に係る商標及び商品は、原則として出願に係る商標及び指定商品と同一であることを要するものというべきである。そして、同条1項3号により、指定商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標が、本来は商標登録を受けることができないとされている趣旨は、そのような商標が、商品の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによることにかんがみれば、上記の場合に、使用商標が出願商標と同一であるかどうかの判断は、両商標の外観称呼及び観念を総合的に比較検討し、全体的な考察の下に、商標としての同一性を損なわず、競業者や取引者、需要者等の第三者に不測の不利益を及ぼすおそれがないものと社会通念上認められるかどうかを考慮して行うべきものと解するのが相当である。
(2) 原告が、我が国における代表的なウイスキーメーカーであることは公知の事実というべきところ、原告作成の「我ら角瓶党」と題する冊子(甲第2号証)中の記事(6頁〜9頁)、原告従業員作成の報告書(甲第3号証)の添付資料6及び7、原告作成の「WHISKY BOOK」と題する冊子(甲第4号証)中の記事(124頁〜125頁)、昭和52年9月25日株式会社東京経済発行の大沼和令著「ウイスキー戦争」(甲第5号証)中の記事(40頁)、平成4年成美堂出版株式会社発行の「国産ウイスキー&ビールオールカタログ」(甲第6号証)中の記事(78頁、119頁)、原告従業員作成の「報告書」(甲第9号証)、平成5年株式会社講談社発行の「世界の名酒事典 94年版」(甲第19号証)、原告発行の「みとくんなはれ サントリーの70年U」と題する冊子(甲第22号証)に転載された昭和28年の広告(118頁右側中段)、同年1月10日付け日本経済新聞掲載の広告(甲第23号証の1)、同年2月28日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の2)、同年3月5日付け讀賣新聞掲載の広告(同号証の3)、同年4月4日付け毎日新聞掲載の広告(同号証の4)、同年12月1日付け毎日新聞掲載の広告(同号証の5)及び平成12年株式会社講談社発行の「世界の名酒事典 2001年版」(乙第1号証)によれば、本件製品は、原告が昭和12年に販売を開始した商品であり、販売当初は「角瓶」の表示を用いてはいなかったが、容器として角型の瓶を使用していたことから、次第に需要者が本件製品を「角瓶」と呼び慣わすようになり、原告自身においても、遅くとも昭和28年には、広告宣伝中で本件製品を特定するために「角瓶」の表示を用い、また、前掲「ウイスキー戦争」(甲第5号証)、「国産ウイスキー&ビールオールカタログ」(甲第6号証)、「世界の名酒事典」(甲第19号証、乙第1号証)等の一般の刊行物においても、本件製品を指称するのに「角瓶」の表記を用いるようになって現在に至っていること、本件製品の販売数量(ただし、姉妹品を含む。)は、昭和25年から平成10年までの49年間の合計が6646万ケース(1ケースは12本)、平成2年から平成10年までは毎年300万ケース前後であったことが認められ、また、株式会社電通作成の確認書(甲第8号証)に記載された本件製品の新聞広告掲載紙及びテレビコマーシャル放映局がほぼ我が国の全域にわたっていることに照らして、本件製品は全国において販売されていることが推認される。
(3) 前掲原告従業員作成の報告書(甲第3号証)に添付された平成9年9月〜平成10年4月に「週刊文春」等の雑誌に掲載した広告(添付資料22〜29)、
平成9年9月30日付け讀賣新聞掲載の広告(甲第11号証の1)、同日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の2)、同年10月1日付け讀賣新聞掲載の広告(同号証の3)、同日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の4)、同月3日付け讀賣新聞掲載の広告(同号証の5)、同日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の6)、同月10日付け讀賣新聞掲載の広告(同号証の7)、同日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の8)、同月24日付け讀賣新聞掲載の広告(同号証の9)、
同日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の10)、平成11年2月27日付け毎日新聞掲載の広告(同号証の11)、同年10月11日付け朝日新聞掲載の広告(同号証の12)、同月23日付け朝日新聞掲載の広告(同号証の13)、昭和34年10月8日付け朝日新聞等掲載の広告(甲第12号証の1)、昭和35年2月8日付け日本経済新聞等掲載の広告(同号証の2)、昭和36年6月11日付け朝日新聞掲載の広告(同号証の3)、同年12月2日付け朝日新聞掲載の広告(同号証の4)、昭和47年12月3日付け大阪讀賣新聞掲載の広告(同号証の5)、昭和48年1月1日付け朝日新聞掲載の広告(同号証の6)、昭和52年9月発行の日本経済新聞掲載の広告(同号証の7)、前掲「みとくんなはれ サントリーの70年U」と題する冊子(甲第22号証)に転載された昭和28年の広告(118頁右側中段)、同年1月10日付け日本経済新聞掲載の広告(甲第23号証の1)、
同年2月28日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の2)、同年3月5日付け讀賣新聞掲載の広告(同号証の3)、同年4月4日付け毎日新聞掲載の広告(同号証の4)、同年12月1日付け毎日新聞掲載の広告(同号証の5)においては、いずれも本件製品が「角瓶」の文字によって表されていることが認められ、また、テレビコマーシャルの写真(甲第10号証)及び原告従業員作成の陳述書(甲第24号証)によれば、平成13年2月ころから同年6月ころまで、全国で合計505回放映されたものと認められる本件製品のテレビコマーシャルにおいても、「角瓶」の文字が表されていたことが認められる。そして、これらの「角瓶」の文字の表示は、その表示態様から見て、商標としての使用に当たるものというべきであるから、原告は、上記各広告及びテレビコマーシャルにおいて、本件製品につき「角瓶」の漢字を書してなる商標を使用していたものと認めることができる。
なお、株式会社電通作成の確認書(甲第7号証)によれば、原告は、平成7年から平成10年までの間、毎年、本件製品につき新聞、雑誌に広告を掲載し、
また、東京、大阪及び名古屋の各民間テレビ局からテレビコマーシャルを放映したことが認められるが、上記認定に係る広告及びテレビコマーシャルに該当するもののほかは、その内容は必ずしも明らかではない。
被告は、上記テレビコマーシャルの写真(甲第10号証)につき、審決時までに特許庁に提出されなかった証拠であるから、これをもって審決の違法性を主張することは失当である旨主張するが、審決の説示に照らすと、上記証拠方法によって原告が立証しようとする事実(審決時までの本件製品に係る広告宣伝の内容及び本願商標の使用の態様)に関して、原告は、特許庁における審査ないし審判の段階ですでに主張し、かつ、立証を経てきていることが明らかである。そうとすれば、上記証拠方法が審決時までに特許庁に提出されたものではなかったとしても、
上記事実の立証を補強するために、本件訴訟においてこれを提出することは許されるところであるから、被告の上記主張は採用することができない。
(4) ところで、上記(3)の新聞、雑誌の広告及びテレビコマーシャルにおいて使用された商標に係る「角瓶」の文字中には、厳密には本願商標と書体が同一ではないもの(甲第3号証添付資料22〜29、第10号証、第11号証の11、第12号証の1〜4、第22号証、第23号証の1〜5)及び縦書きで書されているもの(甲第10号証、第12号証の1〜4、同号証の6、第23号証の3〜5)が存在し、さらに、縦書きのもののうちには、「角」と「瓶」の各字の間隔が本願商標よりも広いもの(甲第12号証の3、4、第23号証の3〜5)も存在する。
しかしながら、本願商標は、さして特徴のない太字の活字体による「角瓶」との2字の漢字を左横書きに書してなるだけの態様であり、その構成中に、他の要素は全く存在しない。そして、このことに、漢字の左横書きが日本語における通常の表記方法であることを併せ考えると、本願商標の外観には、看者の目を惹き、その印象に残るような特徴的な要素は何ら見当たらないということができる。
他方、上記の本願商標と厳密には書体が同一ではない「角瓶」の文字も、
平成11年2月27日付け毎日新聞掲載の広告(甲第11号証の11)に表示されたものを除き、通常の活字体による書体からなるものであり、上記毎日新聞掲載の広告における「角瓶」の文字も、字の傾き等はやや異なるものの全体としては本願商標と近似する書体によってなるものと認められ、商標法3条2項に関する商標審査基準が出願商標と使用商標の同一性を欠く場合の一例としている、草書体と楷書体又は行書体との間におけるような大きな書体の相違があるわけではない。また、
漢字の縦書きが左横書きと並んで日本語における通常の表記方法であることは明らかであり、さらに、「角」と「瓶」の字間が本願商標よりも広い「角瓶」の文字の表示も、その字間の広さが表示上特徴的といえるほど広いわけではない。したがって、これらの商標に係る文字の表示態様は、本願商標の上記の構成態様と対比して、外観上、取り立てていうほどの相違点と認めることはできないのであり(上記商標審査基準が縦書きと横書きの相違を同一性を欠く一つの場合として例示する点は、本件においては妥当しない。)、また、これらの商標と本願商標とが称呼及び観念を共通にするものであることは明らかである。
そうとすれば、外観称呼及び観念を総合的に比較検討し、全体的に考察した場合には、上記のとおり本願商標と厳密には書体が同一ではない文字、縦書きで書された文字及び「角」と「瓶」の字間が本願商標よりも広い文字による表示に係る商標も、本願商標と商標としての同一性を損なうものではなく、競業者や取引者、需要者等の第三者に不測の不利益を及ぼすおそれがないものと社会通念上認められるから、使用商標が出願商標と同一である場合に当たるものというべきである。
(5) 「サントリー」が、出所表示機能を有する原告の代表的かつ著名なハウスマークであること(審決謄本5頁10行目〜11行目)は当事者間に争いがないところ、上記(3)の新聞、雑誌の広告及びテレビコマーシャルにおいて使用された商標に係る「角瓶」の文字中には、「サントリー」の文字に連続して表されていると認められるもの(甲第3号証添付資料22〜29、第12号証の5〜7)及び「サントリーウ井スキー」の文字に連続して表されていると認められるもの(甲第23号証の3、5)が存在する。
そして、審決は、上記のような表示につき、「『角瓶』の文字は、請求人(注、原告)の代表的な出所表示機能を有する著名なハウスマークである『サントリー』と常に結びついて使用されているものといわなければならない。してみると、『角瓶』という表示は、それ単独で多くの銘柄のウイスキーの中の特定のウイスキーを示す商標として使用されているということができない」(審決謄本5頁10行目〜15行目)と認定判断し、被告は、「角瓶」の文字よりなる本願商標が独立して取引の目的となり得るような態様で使用されてきたということはできない旨主張する。
しかしながら、上記新聞、雑誌の広告及びテレビコマーシャルにおいて使用された商標のうち、上記に挙げたもの以外は、表示の形態として、必ずしも「角瓶」の文字が「サントリー」の文字と連続し、又は一体の商標と認められる程度に近接して表されているわけではなく、したがって、それらの「角瓶」の文字は「サントリー」の文字と結びついて使用されているということはできない(なお、同一広告中の隔離した位置に「サントリー」等の文字があるからといって、それだけでこれらの文字と結びついて使用されているということができないことは明白である。)から、審決の上記「ハウスマークである『サントリー』と常に結びついて使用されている」との説示はそれ自体誤りというべきであるが、その点はおくとしても、上記の「角瓶」の文字が「サントリー」又は「サントリーウ井スキー」の文字に連続して表されていると認められる形態のものであっても、以下のとおり、「角瓶」の文字よりなる本願商標が使用されているものというべきである。
すなわち、一般に、それ自体で出所表示機能を有する商標であっても、具体的な使用の態様においては、他の文字と連続して表示されることがないとはいえず、当該他の文字が当該商標に係る商品又は役務の出所を示す著名なハウスマークである場合でも、そのようなことがしばしばあることは、例えば自家用車や家電製品等の場合を考えれば明らかである。そして、このような場合に、常に、ハウスマークと結合して一体化した商標が使用されているのであって、当該商標自体の使用に当たらないと見るのは不合理であることが明らかであり、結局、そのような態様における使用が、ハウスマークと結合して一体化した商標の使用に当たるか、当該商標自体の使用に当たるかは、当該商標がハウスマークと連続又は近接しないで表示されることも相当程度あるかどうか、あるいは、当該商標の使用者自身が、例えばハウスマークと結合して一体化した構成の商標について登録出願をする等、むしろ、ハウスマークと結合して一体化したものを一個の商標として扱うような積極的な行為に及んでいるかどうか等の事実に基づき、その点についての使用者及び取引者、需要者の認識いかんに従って、これを決するのが相当である。
そこで、本願商標についてこの点を検討するに、上記(3)の新聞、雑誌の広告及びテレビコマーシャルにおいて使用された商標に係る「角瓶」の文字のうちには、上記のとおり、「サントリー」又は「サントリーウ井スキー」の文字に連続して表示されているものが存在する反面、平成9年9月30日付け讀賣新聞掲載の広告(甲第11号証の1)、同日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の2)、同年10月1日付け讀賣新聞掲載の広告(同号証の3)、同日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の4)、同月3日付け讀賣新聞掲載の広告(同号証の5)、同日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の6)、同月10日付け讀賣新聞掲載の広告(同号証の7)、同日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の8)、同月24日付け讀賣新聞掲載の広告(同号証の9)、同日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の10)、平成11年2月27日付け毎日新聞掲載の広告(同号証の11)、同年10月11日付け朝日新聞掲載の広告(同号証の12)、同月23日付け朝日新聞掲載の広告(同号証の13)、昭和34年10月8日付け朝日新聞等掲載の広告(甲第12号証の1)、昭和35年2月8日付け日本経済新聞等掲載の広告(同号証の2)、昭和36年6月11日付け朝日新聞掲載の広告(同号証の3)、同年12月2日付け朝日新聞掲載の広告(同号証の4)、前掲「みとくんなはれ サントリーの70年U」と題する冊子(甲第22号証)に転載された昭和28年の広告(118頁右側中段)、同年1月10日付け日本経済新聞掲載の広告(甲第23号証の1)、同年2月28日付け日本経済新聞掲載の広告(同号証の2)及び同年4月4日付け毎日新聞掲載の広告(同号証の4)並びに平成13年2月ころから同年6月ころまで、全国で合計505回放映されたものと認められる本件製品のテレビコマーシャル(甲第10号証)においては、「角瓶」の文字が、特段、「サントリー」等の文字と連続又は近接することなく表されており、そのような使用の態様も少なくはないものと認められるのみならず、「サントリー」等の文字と連続して表されているものであっても、昭和47年12月3日付け讀賣新聞掲載の広告(甲第12号証の5)、昭和48年1月1日付け朝日新聞掲載の広告(同号証の6)及び昭和52年9月発行の日本経済新聞掲載の広告(同号証の7)においては、「角瓶」の文字部分が四角形の枠で囲まれ、また、昭和28年3月5日付け讀賣新聞掲載の広告(甲第23号証の3)及び同年12月1日付け毎日新聞掲載の広告(同号証の5)においては、「角瓶」の文字部分が括弧で囲まれていて、いずれも「角瓶」の文字部分と「サントリー」又は「サントリーウ井スキー」の文字部分とを区分し、
一体化することを妨げるような表示態様とされている。
これに加え、一般の刊行物においても、平成5年11月15日株式会社時事通信社発行の「'94〜'95全洋酒情報事典 蒸留酒」(甲第20号証115頁)のように、本件製品を「サントリーウイスキー 角瓶」と指称するものもあるものの、前掲「ウイスキー戦争」(甲第5号証40頁)及び「国産ウイスキー&ビールオールカタログ」(甲第6号証78頁)のように、単に「角瓶」との表記を用いて本件製品を指称するもの、あるいは「世界の名酒事典 94年版」(甲第19号証86頁)及び「世界の名酒事典 2001年版」(乙第1号証75頁)のように、「サントリー角瓶」との表記と単なる「角瓶」との表記を併用するものも存在する。
他方、原告において、「角瓶」の文字とハウスマークである「サントリー」等の文字とを結合して一体化した「サントリー角瓶」等の商標の登録出願をしたこと、その他、原告自身が、そのようなハウスマークと結合して一体化したものを一個の商標として扱うような積極的な行為に及んでいることを認めるに足りる証拠はない。
以上の各事実を総合して考慮すれば、原告自身においてはもとより、ウイスキーについての取引者、需要者においても、本願商標はそれ自体が単独で使用されるものと理解し、たとえハウスマークである「サントリー」等の文字と「角瓶」の文字とが連続して表示されている態様であっても、ハウスマークと結合して一体化した「サントリー角瓶」等の構成よりなる商標が使用されているのではなく、
「角瓶」の文字からなる本願商標自体が使用されていると認識するものと認めるのが相当である。
したがって、上記(3)の新聞、雑誌の広告及びテレビコマーシャルにおいて使用された商標は、「角瓶」の文字が「サントリー」又は「サントリーウ井スキー」の文字に連続して表示されている態様のものも含めて、「角瓶」の文字よりなる本願商標が、標章として独立して指定商品「角型瓶入のウイスキー」に使用され、自他商品識別機能を備えるに至ったものと認められる。
(6) 株式会社社会調査研究所作成の「角瓶」についての「銘柄想起調査結果報告書」(甲第14号証)には、平成10年7月25日〜27日に、東京及び大阪において、20〜50代男性各100名を対象とし、「角瓶」の文字から想起される商品、メーカー等を質問して実施した銘柄想起調査の結果が記載されており、これによれば、調査地、年齢を通算して87パーセントの者が想起する商品をウイスキーと、また77パーセントの者が想起するメーカーを原告と回答したことが認められ、この結果に照らせば、本願商標は、かなり強い自他商品識別力を有することが推認される。
上記調査につき、審決は、「調査の内容、その結果の分析方法が不明であり、集計が100%を越えているものもある」(審決謄本5頁5行目〜6行目)との否定的な判断を加えており、また、被告は、調査実施時期に照らして審判の証拠として用いるために行われたものと推認されるから、目的に一定の恣意がある調査というべきであり、さらに、調査結果において、「角瓶」の文字から連想する商品の種類が、「なし」との回答を別にすれば、すべて「酒類」であったことから、事前に「酒類」という暗示が被調査者に与えられた上で行われた可能性があって、調査結果の信用性は必ずしも高いものとはいえない旨主張する。
しかしながら、同調査を担当した株式会社インテージ(旧商号・株式会社社会調査研究所)のA作成の報告書(甲第15号証)によれば、同調査の内容、結果の分析方法はこの種の統計調査の通常の手法に従ったものであること、集計値が100パーセントを超えるのは1パーセント未満の端数の処理の影響であることが認められ、その100パーセントを超える数値も数ポイント以内であることを併せ考えれば、上記審決の否定的判断は根拠に乏しいものといわざるを得ない。また、
上記調査が審判の証拠に用いるために行われたからといって、それだけで調査結果に恣意が介在し、信用性に疑問があるということができないことは明らかであり、
さらに、「角瓶」の文字から連想する商品の種類がすべて酒類であったとしても、
直ちに不自然ということもできない。
したがって、上記調査結果の信用性に疑いを差し挟む被告の主張も採用することはできない。
(7) 以上の各事実を総合すれば、本願商標と同一と認められる商標が、原告により、遅くとも昭和28年ころから審決時に至るまで、新聞、雑誌の広告及びテレビコマーシャル等において、相当量が販売されている本件製品につき我が国のほぼ全域にわたって多数回使用されており、その使用の結果、需要者において、上記商標が使用された本件製品が原告の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものと認めることができる。
このような事実に照らして、審決が、「『角瓶』の文字は、請求人(注、
原告)の代表的な出所表示機能を有する著名なハウスマークである『サントリー』と常に結びついて使用されているものといわなければならない。してみると、『角瓶』という表示は、それ単独で多くの銘柄のウイスキーの中の特定のウイスキーを示す商標として使用されているということができない」(審決謄本5頁10行目〜15行目)、「『角瓶』の文字についても・・・本願商標と使用に係る標章とは同一であることは、認められない」(同頁23行目〜30行目)と認定判断したことは誤りというべきであり、この瑕疵が審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、審決は違法として取消しを免れない。
2 よって、原告の請求は理由があるからこれを認容することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 石原直樹
裁判官 宮坂昌利