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関連ワード 識別力 /  指定商品 /  類似性(類否判断) /  損害額 /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  取引の実情 /  国内 /  差止 /  連合商標 /  信義則 /  更新登録 /  登録異議申立 /  類似商標 /  非類似 / 
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事件 平成 12年 (ワ) 23425号 商標権侵害差止等請求事件
原告 ハワード株式会社
訴訟代理人弁護士 窪田 英一郎
同 柿内瑞絵
被告 康貿易商事株式会社
訴訟代理人弁護士 高木 壯八郎
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2002/01/29
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告は,別紙被告標章目録記載の標章を付した衣類を輸入,販売してはならない。
2 被告は,同目録記載の標章を付した衣類を廃棄せよ。
3 被告は,原告に対し,金2億円を支払え。
4 原告のその余の請求を棄却する。
5 訴訟費用は,これを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
6 この判決は,第1ないし第3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
請求
1 被告は,別紙被告標章目録記載の標章を付した衣類を製造,輸入又は販売をしてはならない。
2 主文第2及び第3項のとおり。
事案の概要
1 争いのない事実 (1) 原告は衣料・服飾品の製造,販売等を主たる業務とする株式会社,被告は繊維製品の輸出入,国内販売等を主たる業務とする株式会社である。
(2) 原告は,次の商標権(以下,「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)を有している。
商標登録番号 第2053119号 出願日 昭和57年1月5日 登録日 昭和63年6月24日 更新登録日 平成10年6月16日 商品の区分 第17類 指定商品 被服(運動用特殊被服を除く),布製身回品(他の類 に属するものを除く),寝具類(寝台を除く) 登録商標 別紙原告商標目録記載のとおり (3) 被告は,別紙被告標章目録記載の標章(以下「被告標章」という。)が付された衣類を輸入,販売している。
(4) 本件訴訟において,平成13年7月3日,被告に対し,被告が平成3年1月から平成13年6月までに販売した被告標章が付された衣料の仕入単価,仕入量,販売単価,販売数量の記載のある売上元帳,仕入元帳等の帳簿を平成13年7月23日までに提出せよとの文書提出命令(以下「本件文書提出命令」という。)が発された。
2 本件は,本件商標権を有している原告が,被告に対し,被告が被告標章が付された衣類を製造,輸入又は販売するのは,本件商標権の侵害であると主張して,これらの差止め及び損害の賠償を求める事案である。
争点及びこれに関する当事者の主張
1 争点 (1) 被告が,被告標章が付された衣類を製造しているか (2) 被告標章が本件商標と類似しているか (3) 損害の発生及び額 2 争点に関する当事者の主張 (1) 争点(1)について (原告の主張) 被告は,被告標章が付された衣類を製造している。
(被告の主張) 原告の上記主張は否認する。
(2) 争点(2)について (原告の主張) 被服の分野において「Sports」という用語は,一定のブランドの中で運動に適した被服について使用されることが多く,一定のブランドのシリーズ品又はサブタイトルとして使用される頻度が極めて高い。
被服について,一定の語に「スポーツ」,「SPORT」又は「SPORTS」が付された登録商標は,575件,出願されているものも含めると700件近くあり,連合商標制度が存在した平成8年までは,一定の商標と,その後に「スポーツ」,「SPORT」又は「SPORTS」が付された商標は,類似するものとして,連合商標と扱われてきた。
したがって,被服との関連においては,「Sports」という用語は識別性を全く有しないか,極めて低い。
被告標章の前半部分は,「United」の文字からなり,本件商標のアルファベット標記「UNITED」とは「U」に続く部分が大文字か小文字かの相違しかない。また,被告標章の後半部分は,スペースのあとに,上記のとおり識別性のない「Sports」の文字を横並びにしただけのものである。したがって,被告標章は,全体として本件商標と類似している。
わが国に存在する,「UNITED」や「ユナイテッド」と結合ないし連合した単語による登録商標は,慣用的にブランドに付される語ではない「COLOR」や「POP」などとの組み合わせであって,その多くは,一連商標として扱われるものであるから,これらの商標が登録されているからといって,そのことと,「United Sports」と本件商標の類似性とは無関係である。
(被告の主張) ア 「United Sports」は,「United」が「連合した,団結した」という意味を,「Sport」が「スポーツ」という意味を,その複数形である「Sports」がこれに加えて「運動会,競技会」という意味を有する英単語であることから,サッカー,野球,ラグビー等のような「連合したスポーツ,団結したスポーツ,団結した競技会」との観念を生じ,これらの団体競技を識別するのにふさわしい呼称であるのに対し,本件商標は,「結合した」「連合した」との抽象的観念を生じこそすれ,特別な観念を明確に認識できない。
イ 本件商標は,ごく一般的な商標であり,それを一部に使用している全ての商標を包摂するものではない。
「UNITED」や「ユナイテッド」と結合ないし連合した単語による商標はわが国で多数登録され,原告も,「UNITED CASUALS」,「UNITED GEAR」,「UNITED COLLECTION」といった商標登録を得ている。
また,原告が,本件商標登録後,特許庁に行った「ユナイテッドバス」及び「ユナイテッドファミリー」の登録異議申立てはいずれも排斥されている。
ウ 本件商標登録出願は,株式会社ダスキンの有する登録商標である「UNITED RENTALL」と類似しているとして,いったん拒絶理由通知がされたが,その後,原告が,「UNITED RENTALL」はユナイテッドレントオールという一連の呼称に特別顕著性があるから本件商標と類似していないという意見書を提出し,登録が認められたものであるから,このような審査経過に鑑みると,原告が「United Sports」と本件商標が類似であると主張するのは,信義則に反する。
エ 原告は,「UNITED SPORTS」の商標登録出願を3度もしているが,このことは,原告が,本件商標と「UNITED SPORTS」が類似商標ではないと認識しているからに他ならない。
また,アメリカ合衆国においても,「UNITED」と「UNITED SPORTS」の双方が商標登録されている。
オ 被告は,被告標章について,商標登録出願をしたところ,「UNITED SPORTS OF AMERICA」と類似しているとの理由で拒絶されたが,その際,被告標章と本件商標との類似性について特許庁で何ら問題とされなかった。
原告も,上記のとおり,「UNITED SPORTS」の商標登録出願をしたところ,「UNITED SPORTS OF AMERICA」と類似しているとの理由で拒絶されたが,その際,「UNITED SPORTS」と本件商標との類似性について特許庁で何ら問題とされなかった。
(3) 争点(3)について (原告の主張) ア(ア) 被告は,被告標章を用いた衣料を1枚450円以上で,平成2年11月11日から平成12年11月10日までの10年間にわたり,年間200万枚販売したが,その利益率は3割を下らない。したがって,被告は,これによって27億円以上の利益をあげ,原告は,一方でこれを失っている。
(イ) 被告は,本件文書提出命令に応じず,売上日報3日分と,サザンニットプロダクト社に対する買掛金の帳簿を提出しただけであるから,民事訴訟法224条により,当該帳簿に関する原告の主張は真実とみなされる。
イ 原告は,本件訴訟の提起を余儀なくされ,その遂行のために弁護士費用として少なくとも1000万円の出捐が見込まれる。
ウ 以上のとおり,原告は,被告による本件商標権侵害行為によって,少なくとも27億1000万円の損害を被っているが,その一部である2億円の賠償を請求する。
(被告の主張) ア 損害の発生及び額については争う。
ただし,被告が被告標章が付されたTシャツを1枚300円で平成7年5月から販売していること,このTシャツを年間10万枚程度販売していることは認める。
被告の被告標章が付されたTシャツの平成12年における仕入総額は1億0871万9815円,平成13年の1月から8月までの仕入総額は3930万2856円にすぎない。
イ 被告は,コンピュータを用いて仕入,売上管理をしているため,本件文書提出命令に記載のある売上元帳や仕入元帳を所持していない。
被告は,コンピュータでの仕入,売上管理の平成11年までのデータを,新システムへ移行したことや,容量の問題から,すでに削除している。
当裁判所の判断
1 争点(1)について 被告が,被告標章が付された衣類を製造していることを認める証拠はない。
2 争点(2)について (1) 本件商標の構成は,別紙原告商標目録記載のとおりであり,欧文字の「UNITED」と,片仮名の「ユナイテッド」を2段に横書きしてなるものである。
このうち,「UNITED」は,ユナイテッドと呼称され,英語としては,@合併した,A力を合わせた,B一致したなどの意味を有する形容詞である。
被告標章の構成は,別紙被告商標目録記載のとおりであり,欧文字の「United」と「Sports」とを,1文字分の間隔をおいて横書きにしたもので,ある。このうち,「United」は,ユナイテッドと呼称され,英語としては,上記@ないしBなどの意味を有する形容詞である。また,「Sports」は,「スポーツ」と称呼される。
(2) 証拠(甲6ないし30(いずれも枝番を含む))と弁論の全趣旨によると,わが国においては,「被服」について,ある特定の商標に,「SPORT」,「SPORTS」,「Sport」又は「Sports」を組み合わせた商標が,当該商標とともに多数登録され,連合商標制度が存在した時期には,それらが,当該商標の連合商標として登録されていたこと,わが国の衣料品業界においては,ブランド名に「SPORT」,「SPORTS」,「Sport」又は「Sports」を付加したものが,当該ブランドの商品のうちスポーツ関係の商品のブランドとして一般に用いられており,ブランド名に「SPORT」,「SPORTS」,「Sport」又は「Sports」を付加したものは,一連のブランドであると認識されることが多いこと,以上の事実が認められる。以上の事実によると,被告標章のうち「Sports」は,他の商標とともに衣料品の標章に用いられた場合には,当該商標が付された商品とは一連の商品であって,スポーツ関連の商品であると認識されるのが通常であると認められるから,商品識別能力は極めて弱いというべきである。
被告標章のうち「United」は,上記のような意味を有する形容詞であるが,後記3(2)認定のとおり,原告は,「UNITED」の商標を使用して,被服の販売を行っていることをも考え併せると,それ自体に独自の識別力があるものと認められ,上記「Sports」のように識別力が極めて弱いということはない。
被告は,被告標章について,連合したスポーツ,団結したスポーツ,団結した競技会との観念を生じる一連の商標であると主張するが,被告が主張する上記観念は日本語として意味不明のものというほかなく,被告標章を見た者にこのような観念が生じるとは認められない。また,その他,被告標章において,「United」と「Sports」が一連のものと認識されるような取引の実情等があるとも認められない。
以上によると,被告標章は,「United」の部分が要部であると認められるところ,この部分は,大文字と小文字の違いはあるが,本件商標と同一の欧文字からなり,同一の称呼を生じるから,本件商標と類似していると認められる。
したがって,本件商標と被告標章は,類似しているということができる。
(3)ア 被告は,わが国に,「United」ないし「UNITED」と結合ないし連合した単語による登録商標が多数あることから,本件商標と被告商標は類似しないと主張する。
証拠(乙20ないし44(いずれも枝番を含む))によると,わが国に,「United」ないし「UNITED」と結合ないし連合した単語による登録商標が多数あることが認められるが,これらの登録商標が本件商標と類似するかどうかは,「UNITED」と結合ないし連合している単語がどのようなものであるかや取引の実情によって決まるのであって,これらの商標が登録されているからといって,上記認定が左右されるものではない。なお,上記証拠によると,原告も,「UNITED CASUALS」,「UNITED GEAR」,「UNITED COLLECTION」の商標登録を得ていることが認められるが,これらの登録商標が本件商標と類似するかどうかは,上記のとおり「UNITED」と結合ないし連合している単語がどのようなものであるかや取引の実情によって決まるうえ,これらの商標と本件商標が類似しているとしても,そのことのみを理由に原告がこれらの商標について商標登録を受けること自体が妨げられることはないから,上記のとおり原告が商標登録を得ている事実は本件商標と被告標章が類似していないことの根拠となるものではない。
また,被告は,原告が,本件商標登録後,特許庁にした「ユナイテッドバス」及び「ユナイテッドファミリー」の登録異議申立てがいずれも排斥されたことから,本件商標と被告標章は類似しないと主張する。
しかしながら,「バス」や「ファミリー」が,「Sports」のように識別力の極めて弱いものとは認められないから,被告の上記主張はこれを採用することができない。
イ 被告は,原告が,本件商標登録出願の際に,「UNITED RENTALL」はユナイテッドレントオールという一連の呼称に特別顕著性があるから本件商標と類似していないと主張し,その結果,本件商標登録がされたことから,原告が,本件商標と被告標章の類似を主張するのは,信義則に反すると主張するが,このような特徴的な一連の呼称を有する商標と本件商標との非類似を出願経過において主張したからといって,被告標章について,本件商標との類似性を主張することが信義則に照らして許されないとは認められない。
ウ 被告は,原告が,「UNITED SPORTS」の商標登録出願を3度もしていると主張するが,本件商標と「UNITED SPORTS」が類似しているとしても,そのことのみを理由に原告が「UNITED SPORTS」について商標登録を受けること自体が妨げられることはないし,商標登録出願の場面と商標権の権利行使の場面では場合を異にするから,上記商標登録出願の事実は直ちに本件商標と被告標章が類似していないことの根拠となるものではない。また,アメリカ合衆国において「UNITED SPORTS」と「UNITED」が共に商標登録されているからといって,そのことが,わが国における商標の類似性についての上記認定を左右するものではない。
エ 被告は,原告が「UNITED SPORTS」について,被告が被告標章について,それぞれ商標登録出願をしたところ,「UNITED SPORTS OF AMERICA」と類似しているとの理由で拒絶されたが,その際,本件商標との類似性について特許庁では何ら問題とされなかったと主張するが,特許庁は,本件商標と被告標章との類似性について何ら判断していないから,被告のこの主張は,およそ上記認定を左右するものではない。
3 争点(3)について 以上のとおり,被告標章は,本件商標に類似するから,被告が被告標章を付した衣類を販売する行為は本件商標権を侵害するものである。そして,この侵害行為について被告の過失が推定されるから,被告は,この侵害によって生じた損害を賠償しなければならない。
(1) 本件文書提出命令は,平成13年7月5日,被告に送達されたが,被告は,その提出期限である同月23日に,平成12年及び平成13年のサザンニットプロダクト社に対する買掛金の帳簿,平成13年3月14日,同年5月29日,同年6月13日の売上日報を当裁判所に提出し,提出期限後に平成12年及び平成13年1月から8月までの仕入れ及び売上げを品目別に集計した文書(乙52及び53の各1,2)を提出したが,口頭弁論終結までにその余の文書を提出しないことは,当裁判所に顕著である。
被告は,上記のとおり平成12年及び平成13年のサザンニットプロダクト社に対する買掛金の帳簿及び3日分の売上日報を提出し,さらに,平成12年及び平成13年1月から8月までの仕入れ及び売上げを品目別に集計した文書(乙52及び53の各1,2)を提出しているが,上記買掛金の帳簿及び3日分の売上日報は,提出を求められた帳簿のうちごく一部のものにすぎないし,上記仕入れ及び売上げを品目別に集計した文書(乙52及び53の各1,2)も,品目別の仕入れ及び売上げの総額が記載されているのみで,それ以上に被告標章が付された衣料の仕入単価,仕入量,販売単価,販売数量は明らかにならない(いくらの単価のものをいくつ仕入れていくらの単価でいくつ売ったかが具体的に明らかにならない)ものであるし,時期的にも,提出を求められた帳簿の一部の時期のものにすぎない。したがって,これらのみでは,被告が平成3年1月から平成13年6月までに販売した被告標章が付された衣料の仕入単価,仕入量,販売単価,販売数量の記載のある売上元帳,仕入元帳等の帳簿を提出したことにならないことは明らかである。
被告は,コンピュータを用いて仕入,売上管理をしているから,売上元帳や仕入元帳を所持しておらず,また,コンピュータのデータについても,平成12年以降のものしか保有していないと主張するが,本件文書提出命令は,「売上元帳や仕入元帳等の帳簿」の提出を命じているから,売上元帳や仕入元帳という名称の帳簿がないとしても,被告標章が付された衣料の仕入単価,仕入量,販売単価,販売数量の記載のある帳簿であれば,コンピュータに入力されているものも含めて対象となるものであって,被告は商人として10年間商業帳簿を保存することが義務づけられていること(商法36条)や上記のとおり一部の帳簿を提出していることを併せて考えると,被告が提出を命じられた帳簿を所持していないとは認められず,被告は,これらの帳簿を所持しているがそれを提出しないものと認められる。
原告において,被告の帳簿の記載について具体的な主張をすること及び被告標章が付された衣料の仕入単価,仕入量,販売単価,販売数量を被告の帳簿以外の証拠により証明することは,通常著しく困難であると考えられ,本件において,それが可能であるというべき特段の事情も認められないから,民事訴訟法224条3項に基づき,上記帳簿によって原告が証しようとする事実,すなわち,被告が,被告標章が付された衣料を,1枚450円以上で,平成2年11月11日から平成12年11月10日までの10年間に,1年に200万枚販売し,その利益率(販売価格から仕入価格を引いた粗利益の率)が3割以上であったという事実を真実と認めることとする。
以上の事実によると,被告は,上記の期間,被告標章が付された衣料の販売により,27億円以上の利益をあげたと認められる。
なお,証拠(乙50)及び弁論の全趣旨によると,被告代表者の作成した報告書には,被告が,被告標章を用いたTシャツを,平成3年から平成13年6月までに,合計約130万枚販売し,その実売総額が5億2000万円,その仕入原価が225万ドルであったとの記載があることが認められるが,これを裏付ける帳簿等は何ら提出されていないうえ,後記(2)認定のとおり,被告が輸入販売している被告標章が付された衣料は,Tシャツに限られないから,この記載によって,被告が,上記の期間,被告標章が付された衣料の販売により得た利益の額を認めることはできない。 (2) 証拠(甲32ないし62(いずれも枝番を含む))と弁論の全趣旨によると,原告は,「UNITED」の商標を使用して紳士向けのカジュアルウェアの要素を加味したビジネスウェアを販売しているほか,「UNITED」に他の標章を付加した商標を使用して,ゴルフウェア,紳士向けのカジュアルウェア,チノパン・綿カジュアルパンツを販売していることが認められる。これに対し,証拠(甲63,64,68ないし73,甲74の1ないし5,甲75の1,2,乙51)と弁論の全趣旨によると,被告が輸入販売している被告標章が付された衣料は,Tシャツが中心で,他に,ポロシャツ,パーカー,トレーナーなどであると認められるから,原告が販売している商品と被告が販売している商品は必ずしも直接競合するわけではないことが認められる。また,証拠(甲63,64,69,72,73,甲74の1ないし5)と弁論の全趣旨によると,被告は,被告標章が付された衣料の販売に当たって,宣伝広告をするなどの独自の販売努力をしているものと認められる。これらのことからすると,前記利益のすべてを原告が被った損害であると認めることはできない。
また,証拠(乙54)によると,被告は,被告標章が付された衣料を販売するためには,運送費,通関費用,その他の経費を要しているものと認められる。
そこで,以上のような点を考慮することとするが,これらを考慮したとしても,原告が被った損害額が,原告が請求している2億円を下回ることはないものと認められる。
(3) 原告が,本件訴訟の提起,維持のために弁護士である原告訴訟代理人を選任したことは当裁判所に顕著であるところ,本件事案の性質,内容,審理の経過,訴訟の結果及びその他諸般の事情を考慮すると,1000万円をもって,本件侵害行為と相当因果関係のある損害(弁護士費用)として,賠償する義務があるものと認める。
(4) 以上によると,被告は,原告に対し,本件侵害行為により,2億円以上の損害賠償義務を負うことが認められる。
4 以上の次第で,原告の請求は,主文掲記の限度で理由がある。
裁判長裁判官 森義之
裁判官 岡口基一
裁判官 男澤聡子
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