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関連審決 審判1998-35643
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成12行ケ349審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  役務の提供 /  指定役務 /  慣用商標(3条1項2号) /  周知商標 /  同一の役務 /  同業者 / 
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事件 平成 12年 (行ケ) 405号 審決取消請求事件
原告 エー・ビー・シー開発株式会社
訴訟代理人弁理士 山本真一、、吉田茂明、吉竹英俊、有田貴弘
被告 株式会社サンフジ企画
訴訟代理人弁護士 菊池武、弁理士 中川周吉、中川裕幸
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2001/10/11
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
「特許庁が平成10年審判第35643号事件について平成12年8月30日にした審決を取り消す。」との判決。
事案の概要
1 特許庁における手続の経緯 原告は、登録第3370269号商標(「住宅公園」の文字を書してなり、平成4年9月30日に登録出願、第36類「住宅展示用土地の貸与」を指定役務として、同10年9月25日に設定登録。本件商標)の商標権者であるが、被告は、平成10年12月17日、本件商標につき登録無効の審判請求をし、平成10年審判第35643号事件として審理されたが、平成12年8月30日、「登録第3370269号の登録を無効とする。」との審決があり、その謄本は同年9月27日原告に送達された。
2 審決の理由の要点 (1) 被告(請求人)は、審判請求の理由として要旨次のように述べるとともに、
証拠方法として審判甲第1ないし第148号証を提出している。
本件商標は、商標法第3条第1項第2号又は同第6号、同法第4条第1項第10号又は同第15号に該当し、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきである。
(1)-1 商標法第3条第1項第2号又は同第6号について (1)-1-1 本件商標は、その出願日以前に多くの同業他社によって同一の役務に一般的に使用されたものであることが明らかである。すなわち、審判甲第3ないし第19号証(実態調査に関するヤノ・レポート)及び第20号証(原告以外の「住宅公園」の使用リスト)によると、「神戸市名谷総合住宅公園」、「木更津市民住宅公園」、「上尾住宅公園」、「北摂三田住宅公園」等のように、地名を冠した「○○住宅公園」(○○部分は地名。以下同じ。)の使用例が多数みられる。さらに、「住宅公園」は、住宅展示場を示すものとして、本件商標の出願日の10数年以前から、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、看板、住宅メーカーのカタログ・展示場ガイド等を通じて、需要者によく認識されていることも明らかである。
(1)-1-2 そして、原告が永年にわたって使用してきたという住宅展示場の名称は、「○○住宅公園」ではなく、そのほとんどが「ABCハウジング○○住宅公園」である。これは、単なる「住宅公園」では「住宅展示場」と同じ概念あるいは同義語となるので、その「住宅公園」の前に「ABCハウジング」を冠したサービスマークを使用することにより、初めて特別顕著性が生じ、需要者に認識されるものと判断して使用を開始したものといわざるを得ない。
(1)-1-3 また、被告の出願に係る商願平5-9379号について、平成10年8月5日(起案日)付の拒絶理由通知書をもって、この出願に係る商標「ハウジングパーク」(第35類)は、「住宅公園」の如き意味合いを派生し、住宅展示場を示すものとして一般に使用されていることから、これをその指定役務に使用しても、需要者が何人の業務に係る役務であるかを認識することができないとされ、最終的に、この商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして拒絶されている。
本件商標もこれに該当するものである。
(1)-2 商標法第4条第1項第10号又は同第15号について (1)-2-1 本件商標と同じ文字の「住宅公園」は、被告等が、本件商標の出願日の10数年以前から現在に至るまでサービスマークとして全国的規模で使用してきた結果、需要者の間に広く認識されているものである。特に、被告は、各地において住宅展示用土地を提供する業務を営んでおり、1981年頃から、それぞれの住宅展示用土地の地名を「住宅公園」に冠し、例えば、「志木住宅公園」、「上尾住宅公園」、「池袋住宅公園」等のように使用している。これらの住宅展示場は、
読売新聞、朝日新聞等の一般紙に広告されており、そのサービスマークは本件商標の出願日より早く、かつ、広く使用されていたものである(審判甲第24ないし第39号証)。そして、それらの識別力が「住宅公園」の部分にあることは明らかである。
(1)-2-2 また、「住宅公園」を用いた住宅展示場の案内は、一般紙のほかに業界紙(日本プレハブ新聞)においても広告されており、住宅展示場の使用者である住宅メーカー(ミサワホーム、ダイワハウス、セキスイハイム等の大手住宅メーカーを含む)にも、「住宅公園」が被告のサービスマークとして認識されていたものである(審判甲第40号証及び第41号証)。このほかにも、多くの同業者が「○○住宅公園」をサービスマークとして使用している(審判甲第43号証及び第44号証)。
(1)-2-3 したがって、住宅展示場に使用されるサービスマーク「住宅公園」は、被告等の役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当するものである。
(2) 原告(被請求人)の主張 原告は、審判請求不成立の理由を要旨次のように述べるとともに、証拠方法として審判乙第1ないし第326号証(枝番号を含む。)を提出している。
(2)-1 商標法第3条第1項第2号又は同第6号について (2)-1-1 原告は、被告が提出した住宅展示場に関する実態調査レポートと認められる「ヤノ・レポート」(審判甲第3ないし第19号証)を分析し、その分析結果によると、原告以外の者が住宅展示場の名称の一部として「住宅公園」を使用している割合は極めて小さく(審判乙第1号証の1ないし3及び第2号証、審判乙第13ないし第24号証)、この分析結果等から判断すると、本件商標の「住宅公園」は、その登録時においても慣用商標化していないといわざるを得ない。
(2)-1-2 被告は、過去の拒絶例(商願平5-9379号)を引用して本件商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨述べているが、この引用に係る商標「ハウジングパーク」と本件商標とは全く別個の商標であり、また、「住宅公園」なる名称は「住宅展示場」と同義語として一般に認識されているものではない。むしろ、原告自身が、昭和53年より現在に至るまで「住宅公園」の名称をサービスマークとして使用し、住宅展示場の主催・企画運営業を全国的規模で展開してきたところであるから、本件商標は、その登録時においても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができたものである。
(2)-2 商標法第4条第1項第10号又は同第15号について (2)-2-1 被告は、住宅展示場に使用されるサービスマーク「住宅公園」は、
被告の役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている旨主張している。しかしながら、被告の証拠(審判甲第32ないし第34号証、審判甲第36ないし第40号証)によると、住宅展示場の名称として、「○○+住宅公園」のほかにも、他の名称を付したもの(例;プラザ、ハウジングプラザ、総合住宅展示場、
ハウジングセンター)を多用しており、これらをもって「住宅公園」が被告の周知商標として認識されているものとはいえない。
(2)-2-2 一方、原告は、本件商標の指定役務の提供に際して、「○○+住宅公園」という名称の住宅展示場名を昭和52年(1977年)8月に創作して使用を開始し(審判乙第59号証)、本件商標の出願前である翌53年より現在に至るまで、首都圏及び関西圏という二大都市において大規模な広告活動及び営業活動を行ってきた。この結果、取引者・需要者に厚い信用・信頼を得ているものである(審判乙第105ないし第326号証)。
この点に関し、被告は、原告が永年使用してきた名称は「ABCハウジング○○住宅公園」又は「ABC HOUSING○○住宅公園」であって、「○○住宅公園」ではない旨主張している。しかしながら、原告は、「ABCハウジング」又は「ABC HOUSING」とは別個に、本件商標を「○○+住宅公園」として使用している(審判乙第105ないし第326号証)。
(2)-2-3 以上のことから、本件商標は、他人の周知商標と同一又は類似の商標とはいえないばかりでなく、他人の業務に係る役務との間で混同を生じさせるおそれのある商標にも該当しない。
(3) 審決の判断 (3)-1 被告は、本件商標の「住宅公園」が住宅展示場(住宅が展示されている場所)を表す名称として、住宅展示場の企画・運営等を業務とする多くの同業他社によって使用されていることから、本件商標は、その指定役務「住宅展示用土地の貸与」について、需要者が何人の業務に係る役務であることを認識することができない商標である旨を主張しているので、まず、この点について判断する。
(3)-2 被告が提出した証拠によると、「住宅公園」に関し、次の事実が認められる。
ア)住宅業界誌と認められる「ヤノ・レポート(1981〜1997年発行のもの)」(審判甲第3ないし第19号証)には、住宅展示場に関する詳細な紹介内容(当該展示場の名称、所在地、主催者、企画運営者、開設期間、出展メーカー等)が掲載されている。
その中の展示場名の欄には、「○○住宅展示場」や「○○総合住宅展示場」等とともに、「○○住宅公園」、「○○総合住宅公園」、「ABCハウジング○○住宅公園」、「TVK○○住宅公園」等の記載があり、主催・企画運営の欄には、当該住宅展示場の主催・企画運営を行う原告以外の多数の同業他社名の記載がある。そして、「住宅公園」を一部に有する名称の展示場の所在地(開催場所)は、東京、
大阪等の大都市を含む22都府県に及んでいることが認められる。
イ)「立川サンシャインパーク住宅公園計画(1997年8月)」(審判甲第22号証)には、その住宅公園開設についての説明文中(中段)に「住宅公園(大規模住宅展示場)」の記載がある。また、同説明文中(下段)には「住宅展示場というより、正に『住宅公園』というにふさわしいものです。」との記載があるが、
ここでいう「住宅公園」は大規模住宅展示場を意味するものと認められる。
ウ)「朝日新聞、読売新聞等の一般紙及び業界紙による広告(1981年6月ないし1991年3月発行のもの)」(審判甲第23ないし第41号証)には、複数の住宅メーカー等の展示モデルハウスを取り扱う住宅展示場の紹介・案内(当該展示場所の地図を含む)が掲載され、その中で特定の地名(展示場の所在地名)等を冠した「○○住宅公園」、「○○総合住宅公園」等の記載がある。
エ)「北国新聞広告(1996年4月ないし1997年5月発行のもの)」(審判甲第47ないし第50号証)には、住宅展示場の紹介・案内の中で、展示モデルハウスの棟数とともに「住宅公園」の記載がある。
(3)-3 以上の事実を総合すると、「住宅公園」という名称は、本件商標の登録時には、住宅を取り扱う業界内及び住宅を購入しようとする需要者間において、いわゆる「総合住宅展示場」と同様に「複数の住宅メーカー等の展示モデルハウスを取り扱う住宅展示場」(以下「住宅展示場」という。)を表す語として広く知られていたものと認めることができる。
そうすると、本件商標は、この名称と同じ「住宅公園」の文字からなるものであるところ、これをその指定役務である「住宅展示用土地の貸与」に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、前記にいう住宅展示場が常に一定の土地(場所・空間)を必要とすることとの関係上、その貸与に係る土地が住宅展示場用のもの、あるいは住宅展示場に適したもの(その土地が広く、周辺地に居住者が多く存在し、駅から近い等の立地条件がよいこと等)として把握し、認識するにとどまり、取引者・需要者が何人の業務に係る「住宅展示用土地の貸与」であることを認識することができないものと判断するのが相当である。
(3)-4 原告は、被告の提出に係る「ヤノ・レポート」を独自に分析し、その分析結果の数字等に基づいて、原告以外の者が住宅展示場名の一部に「住宅公園」の名称を使用している割合や住宅展示場を企画運営している割合は極めて小さく、当業界内において「住宅公園」の名称が広く使用されているものではない旨を主張している。
しかしながら、仮にその割合が小さいものであったとしても、本件商標がその指定役務「住宅展示用土地の貸与」について商標としての識別性を有するかどうかは、その役務に係る取引者・需要者の認識によるものとされているところ、前記(3)-2のア)ないしエ)の事実から明らかなように、「住宅公園」の名称は、「ヤノ・レポート」以外にも、新聞等による広告や多くの広範な地域での展示場開設等との関係で、「住宅公園」が同業他社間において広く使用されているのが推認できることから、原告のかかる主張が前記(3)-3の認定を左右するほどのものとはいえない。
(3)-5 また、原告は、昭和53年より「住宅公園」の名称を商標(サービスマーク)として住宅展示場の主催・企画運営に広く使用してきたところであり、本件商標の登録時においても、需要者が何人の業務に係る役務であることを認識し得るに足りる識別性を十分に有するものである旨を主張している。
しかしながら、原告が提出した審判乙各号証における「住宅公園」に関する使用は、例えば、「立川サンシャインパーク住宅公園」、「ABCハウジング新大阪住宅公園」、「千里住宅公園」のように、いずれも「住宅公園」に特定の地名や他の用語を結合させてなるものと認められるところ、これらの使用における「住宅公園」の部分は、前記(3)-3の認定のとおり、単に特定の住宅展示場を表す語として認識させるにとどまり、その役務の識別標識(商標)として機能していないものというべきであるから、その使用をもって本件商標の使用とはいえず、この点に関する原告の主張も採用することができない。
他に、本件商標がその指定役務について識別性を有すると認めるに足りる証左はない。
(3)-6 以上のことから、本件商標は、被告のその余の主張について判断するまでもなく、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条第1項の規定により無効とすべきものである。
原告主張の審決取消事由
1 本件指定役務の需要者に関する認定の誤り(審決の理由の要点(3)-3に関して) (1) 審決には、住宅を購入しようとする者を本件指定役務の需要者であると認定している点に、基本的な誤りがある。
本件指定役務は「住宅展示用土地の貸与」であって、「宅地用土地の貸与」や「借地権の設定」ではない。本件指定役務は「住宅展示用土地の貸与」であるから、本件指定役務の提供を受けてそれに対して対価(金員)を支払う需要者とは、
貸与された土地に展示用住宅、すなわち、モデルハウスという商品見本を建てて、
当該モデルハウスを来訪者に見学させて説明することで当該モデルハウスに対応する住宅という自己の商品の販売のための営業活動を行うものである。換言すれば、
本件指定役務の提供を受ける需要者とは、主として、プレハブ住宅等を自己の商品として販売活動を行っている、いわゆる住宅メーカーである。
住宅展示場の企画・運営業者と、住宅展示場に出展を希望する住宅メーカーとの間では、出展契約という名の無名・混合契約(双務契約)が締結されている。この出展契約の取引の実体に応じた解釈として、企画・運営業者は、出展を希望する住宅メーカーに対して、主として、@本件指定役務と、A第35類の「商品の販売に関する情報の提供」の役務と、B第35類の「建築物における来訪者の受付及び案内」の役務という、3つの互いに独立したサービスの提供を行うべき給付義務を負担する。他方で、住宅メーカーは、企画・運営業者に対して、毎月ごとに、出展料という名の金銭の支払義務を負う。この出展料は、主として、上記役務@に対する土地利用代金と、上記役務Aに対する広告用代金と、上記役務Bに対する管理代金との合算より成り立っている。
このように、企画・運営業者は、住宅メーカーの販売活動を支援するために、住宅メーカーに対して本件指定役務を提供するという労務又は便益を行っており、しかも、この労務又は便益は、企画・運営業者と住宅メーカーとの間で締結される契約によって市場において発生しているのであって、当該労務又は便益は独立して市場において取引の対象となり得る。したがって、企画・運営業者が本件指定役務を提供する相手方ないしは需要者とは、住宅メーカーである。ゆえに、本件指定役務の需要者は住宅メーカーという業界に限られるのであって、需要者の範囲は狭い。
(2) これに対して、審決がいう「住宅を購入しようとする者」や、住宅を新築しようとする者等を含めた不特定多数の一般市民は、不動産取引を行うに際して、展示用のための住宅であるモデルハウスを建てるために土地の貸与を受ける者ではないし、本件指定役務を提供する企画・運営業者に対して何らかの金銭を対価として支払う者でもない。
したがって、審決がいう「住宅を購入しようとする者」は、本件指定役務の提供を受けて対価を支払うべき需要者ではない。
2 審決の理由の要点(3)-2エ)の事実認定の誤り 審決は、本件商標が商標法第3条第1項第6号に該当するという事実認定を行うに際して、審判甲第47ないし第50号証を採用した点には、採証法則に反した重大な誤りがある。
3 審決の理由の要点(3)-2ウ)の事実認定の誤り 審判甲第23ないし第41号証のいずれもが、特定地域(埼玉県、東京都又は神奈川県)に住む不特定多数の一般市民を購読者ないしは名宛人とする一般新聞紙上の広告記事にすぎない。上記各号証のいずれにも、本件指定役務が一切表れていないし、しかも、これらの各号証をもっていかなる役務を広告しようとしているのかが不明である。上記各号証は、単なる被告が企画・運営する住宅展示場名の紹介という広告の範疇を脱していない。審決が本件商標の商標法第3条第1項第6号該当性を肯定するために採用した審判甲第23号証ないし第41号証は、いずれも、本件指定役務の需要者である住宅メーカーを名宛人とする文書でもなく、しかも、本件指定役務が各書証中に何ら表象されてはいないのである。
したがって、審決には、本件指定役務の需要者である住宅メーカー以外の者を名宛人とした、しかも、本件指定役務が何ら表象されてはいない、被告の新聞広告という、関連性に欠如した的外れの文書でもって、「本件指定役務の需要者である住宅メーカーは本件商標を見ても何人かの業務に係る役務であるかを認識するこができない」と事実認定した点において、重大な採証法則違反・事実認定の誤認という違法がある。
4 住宅メーカーの本件商標に対する認識の欠如 審判甲第43号証(甲第67号証、乙第43号証)は、需要者たる住宅メーカーの一つである旭化成工業株式会社の作成(作成は本件登録前の1996年)に係るカタログであり、同社の商品である住宅「ヘーベルハウス」のモデルハウスの展示場ガイドブックである。同号証は、需要者たる住宅メーカー自身が作成した、本件指定役務に関連する文書であり、しかも、本件商標の商標法第3条第1項第6号該当性の有無を事実認定するに際して貴重な資料を提供している点で、重要な書証であると、評価することができる。にもかかわらず、かかる書証を用いて本件商標の商標法第3条第1項第6号該当性の有無を検討することを一切しなかった点で、審決には重大な瑕疵がある。
需要者たる旭化成工業株式会社は、各場所のモデルハウスの会場名を、基本的に「(地名)+展示場」と称しているのであって、「住宅公園」又は「(地名)+住宅公園」という名称を用いていることはほとんどないということである。しかも、
需要者たる旭化成工業株式会社は、各モデルハウスの会場住所地を表すために、各モデルハウスの会場名(〔地名〕+展示場)の記載箇所とは別の記載箇所において、住所と共に、企画・運営業者が企画・運営する住宅展示場名(例えば、〔地名〕+住宅公園)を別途に用いているのである。このように、需要者たる旭化成工業株式会社は、自己のモデルハウスの名称については「(地名)+展示場」という名称を用いる一方で、各モデルハウスの住所地を示す表記内には、それぞれの企画・運営業者が自己の住宅展示場に用いている名称を用いることで、自己のモデルハウスの名称と、当該モデルハウスを出展している所の特定の企画・運営業者が企画・運営する住宅展示場の名称とを使い分けている。この事実は、需要者たる旭化成工業株式会社が、本件登録前において、「住宅公園」という名称が、ある特定の企画・運営業者が自己の業務に係る役務を提供する際に用いているものであることを一般的に認識している蓋然性が十分に高いことを、物語っている。
本件指定役務の需要者である各住宅メーカーは、本件登録後の2〜3年内においても、本件商標である「住宅公園」という名称が、企画・運営業者の内の何人かの業務に係る役務について用いられている商標であると一般的に認識していた。
5 審判甲第22号証の証拠評価の誤り 審決は、審判甲第22号証(甲第82号証、乙第22号証)中の原告作成に係る文章に依拠して、本件商標は大規模住宅展示場を意味するにすぎないと、認定している。しかし、この事実認定は、取引きの実体に反した根拠のないものであり、失当である。この瑕疵は審決の結論に影響を及ぼす。
6 審判甲第3号証ないし第19号証の証拠評価の誤り 審決は、審判甲第3号証ないし第19号証の「ヤノ・レポート」は住宅業界誌であると認定しているが、失当である。「ヤノ・レポート」は特定の業界誌ではなくて、様々な業界の実態を、各業界へのアンケート調査結果を通じて報告する、経済レポートにすぎない。
「ヤノ・レポート」の毎年のある号の一部分に掲載されている「総合住宅展示場実態調査」は、株式会社 矢野経済研究所と各企画・運営業者との間でのみやり取りされるアンケート調査に基づいて作成されているのであって、その作成には本件指定役務の需要者である住宅メーカーは何ら関わっていない。ということは、審決が事実認定に採用した「ヤノ・レポート」の「総合住宅展示場実態調査」の記事の一部分は、需要者である住宅メーカーが本件指定役務に関連して作成に関わったものでもないし、本件指定役務に関連して住宅メーカーを名宛人として作成されたものでもないのである。
したがって、上記各証の一覧表は、商標法第3条第1項第6号に規定する要件事実の該当性、つまり、需要者である住宅メーカーが本件登録商標に接したときにそれが何人かの業務に係る役務であることを住宅メーカーが認識し得るか否かという事実を認定するために採用するべきものではない。
これらを根拠の一つに用いて、本件登録商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨を認定した原審決における判断手法・事実認定には、認定すべき事実と関連性のある証拠を用いて心証を形成すべきであるとする採証法則に違反した重大な瑕疵がある。
7 以上を前提とした審決の判断の誤り 審決は、「前記(3)-2のア)ないしエ)の事実から明らかなように、「住宅公園」の名称は、「ヤノ・レポート」以外にも、新聞等による広告や多くの広範な地域での展示場開設等との関係で、「住宅公園」が同業他社間において広く使用されているのが推認できることから、原告のかかる主張が前記(3)-3の認定を左右するほどのものとはいえない。」と説示するが、以上述べた誤りを前提とするものであり、この説示も誤りである。更にこれを前提とする審決の理由の要点(3)-5、6の判断部分も誤りである。
審決取消事由に対する被告の反論
審決には、原告主張の誤りはなく、本件商標登録を無効とした審決の判断は正当である。
当裁判所の判断
1 甲第44ないし第66号証、第83ないし第99号証、乙第3ないし第19号証、第22ないし第41号証、第47ないし第50号証によれば、審決の理由の要点中の(3)-2ア)〜エ)の各事実を認めることができる。ただし、エ)の「北国新聞広告(1996年4月ないし1997年5月発行のもの)」は、「北国新聞広告(1996年4月ないし9月発行のもの)」の誤記であり、イ)の「立川サンシャインパーク住宅公園計画(1997年8月)」は、「立川サンシャインパーク住宅公園計画(1977年8月)」の誤記である。また、ア)の冒頭の「住宅業界紙と認められる」を「株式会社矢野経済研究所発行の」と改め、イの冒頭に「原告及びその関連会社発行のパンフレットである」を加える。
原告は、本件指定役務の需要者は住宅メーカーに限られるとし、住宅購入予定者はこれに含まれないと主張し、審決認定の事実関係は、住宅メーカーに関するものではないと主張する。しかしながら、審決認定の上記ア)ないしエ)の事実関係、
特にア)ないしウ)の事実を総合すれば、取引者ないし需要者である住宅メーカーにとっても、「住宅公園」の文字からなる本件商標は、本件商標登録時において、
何人の業務に係る「住宅展示用土地の貸与」であるかを認識することが不可能であったものと認めることができる。原告の主張は理由がない。
2 審決の理由の要点中の(3)-3の判断、すなわち「本件商標は、この名称と同じ「住宅公園」の文字からなるものであるところ、これをその指定役務である「住宅展示用土地の貸与」に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、複数の住宅メーカー等の展示モデルハウスを取り扱う場所である住宅展示場が常に一定の土地(場所・空間)を必要とすることとの関係上、その貸与に係る土地が住宅展示場用のもの、あるいは住宅展示場に適したもの(その土地が広く、周辺地に居住者が多く存在し、駅から近い等の立地条件がよいこと等)として把握し、認識するにとどまり、取引者・需要者が何人の業務に係る「住宅展示用土地の貸与」であることを認識することができないもの(である)」との判断は、上記認定の事実関係に照らし、当裁判所としても支持することができ、(3)-4、5の原告の主張、すなわち、当業界内において「住宅公園」名称が広く使用されているものではない旨の主張、及び本件商標の登録時においても、需要者が何人の業務に係る役務であることを認識し得るに足りる識別性を十分に有するものである旨の主張に対する審決の説示にも誤りがあるものということはできない。原告が審判甲第43号証に関して審決の判断が誤りがあると主張するところによっても、上記判断は左右されず、他の審判甲号各証の証拠評価に関して、審決に証拠評価の誤りがあるとする原告の主張も採用することができない。
3 その他、原告が、本訴準備書面において証拠評価に関し詳細に述べるところをもってしても、審決の理由の要点(3)-3の上記判断を覆すべき事実関係を認めることはできない。よって、本件商標は、被告のその余の主張について判断するまでもなく、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものであるとした審決の判断に誤りはない。
結論
以上のとおり、原告主張の審決取消事由は理由がないので、原告の請求は棄却されるべきである。
(平成13年6月21日口頭弁論終結)
裁判長裁判官 永井紀昭
裁判官 塩月秀平
裁判官 橋本英史
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