関連審決 | 審判1999-31192 |
---|
審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
---|---|---|
平成17ワ14972不正競争行為差止等請求事件 平成17ワ22496損害賠償等請求事件 | 判例 | 不正競争防止法 |
関連ワード | 指定役務 / 不使用 / 通常使用権 / 商標権の移転 / 一般承継 / |
---|
元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
---|---|
元本PDF | 裁判所収録の別紙1PDFを見る |
事件 |
平成
13年
(行ケ)
106号
審決取消請求事件
|
---|---|
原告 松下興産株式会社 訴訟代理人弁理士 青山 葆 同 樋口豊治 同 大西育子 被告A 訴訟代理人弁理士 中畑 孝 |
|
裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2001/06/27 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
本件訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
---|---|
当事者の求めた裁判
1 原告 特許庁が平成11年審判第31192号事件について平成13年1月24日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告 (1) 本案前の申立て 主文と同旨 (2) 本案の申立て 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
|
当事者の主張
1 原告 (1) 特許庁における手続の経緯 原告は、別紙記載の構成よりなり、指定役務を商標法施行令別表の区分による第42類「活造り料理の提供、うなぎ料理の提供、すしの提供、てんぷら料理の提供、釜めし料理の提供」とする登録第3179407号商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である。 すなわち、本件商標は、平成4年9月30日に登録出願され、平成8年7月31日にエム・アイ・デイ観光株式会社(以下「エムアイデイ」という。)を商標権者として設定登録されたが、平成11年11月1日にエムアイデイが原告に合併し解散したことにより、その商標権が原告に移転したものである。 被告は、平成11年8月27日、エムアイデイを被請求人として、本件商標につき不使用による登録取消の審判の請求をし(同年9月22日予告登録)、平成11年審判第31192号事件として特許庁に受理されたところ、特許庁は、エムアイデイに対する審判請求書副本の送達につき、平成12年9月8日に公示送達の手続をとった上、平成13年1月24日、被請求人の表示をエムアイデイとして、「登録第3179407号商標の商標登録は取り消す。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、同年2月15日ころ、エムアイデイに対し本件審決の謄本を送達する手続をした。 (2) 審決取消事由 本件審決は、「本件審判の請求に対し被請求人は、何ら答弁、立証するところがない。したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである」(審決謄本1頁「理由」欄13行目〜16行目)と判断したが、本件商標は、遅くとも平成9年10月28日以降現在に至るまで、エムアイデイから通常使用権の許諾を受けた中央フードサービス株式会社が、大阪市内において、活造り料理の提供、すしの提供及びてんぷら料理の提供の役務について使用しているから、商標法50条の規定に基づいて本件商標を取り消すべきものとした本件審決の判断は誤りであって、本件審決は、違法として取り消されるべきである。 2 被告 本件審決の判断が誤りであるとする主張は争う。 |
|
当裁判所の判断
1 本件審決に係る審決謄本(甲第1号証)、原告作成の本件商標に係る商標登録原簿写しと商標公告公報とを貼り合わせた書面(甲第3号証)、エムアイデイの閉鎖登記簿謄本(甲第4号証)、特許庁発行の「特許庁公報」所収の公示送達を掲載した特許公報写し(甲第9号証)及び郵便送達報告書(甲第11号証)並びに弁論の全趣旨によれば、上記第2の1の(1)(特許庁における手続の経緯)の原告主張事実を認めることができる。 上記事実関係に照らすと、被告による本件審判の請求後、被請求人であるエムアイデイに対しその審判請求書副本の送達がされる前の平成11年11月1日に、エムアイデイが原告に合併して解散したのであるから、その時点でエムアイデイは消滅し、本件商標に係る商標権を含むエムアイデイの権利義務は、原告に一般承継されたことが明らかである(一般承継による商標権の移転の効力が登録を経ないで生ずることにつき、商標法35条において読み替えた上準用する特許法98条1項1号括弧書参照)。そして、その後、平成12年9月8日に、エムアイデイに対する審判請求書副本の公示送達の手続がとられたが、エムアイデイが既に消滅している以上、商標法77条5項において準用する特許法191条3項所定の期間が経過しても、当該送達の効力が生ずるということはできない。なお、一般承継による商標権の移転があった場合には、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない(商標法35条において準用する特許法98条2項)が、この届出がなくとも一般承継による商標権の移転の効力に影響が生ずるものではなく、また、審判請求の対象となった商標権について、審判請求後に一般承継があったときに、この届出がなかったからといって、被承継人宛てにされた送達その他の審判手続の効果を承継人が争い得なくなるものでもないと解するのが相当である。 そうすると、本件審決は、被請求人エムアイデイに対する審判請求書副本の送達前にエムアイデイを一般承継した原告に対し、審判請求書副本の有効な送達がないままされたものであるから、本件審決の効力が原告に及ぶことはないものと解さざるを得ない。なお、Bについての在籍証明書(甲第10号証)及び郵便送達報告書(甲第11号証)並びに弁論の全趣旨によれば、エムアイデイに対し送達手続がされた本件審決の謄本を、原告の関連会社の従業員Cが受領したことが認められるが、このことによって、本件審決の効力が原告に及ぶことになったということもできない。 したがって、本件訴えは、原告に対しその効力が及ばない本件審決の取消しを求めるものであるから、不適法な訴えといわざるを得ない。(付言するに、本件訴えを不適法として却下する本判決が確定しても、商標権者である原告に対し本件審決の効力が及ばない以上、本件審決に基づき、本件商標について商標法54条所定の効果が生ずるに由なく、その旨の登録をすることもできない。特許庁としては、被告を請求人とする本件審判事件について、改めて審判請求書副本を原告に送達し、審理を遂げた上、審決を行うべきものである。) 2 よって、本件訴えを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 篠原勝美 |
---|---|
裁判官 | 石原直樹 |
裁判官 | 宮坂昌利 |