関連審決 | 異議1999-90668 |
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関連ワード | 包装 / 指定商品 / 混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) / 4条1項15号 / 著名商標 / ただ乗り(フリーライド) / 分離観察 / 外観(外観類似) / 称呼(称呼類似) / 観念(観念類似) / 出所の混同 / 使用許諾 / |
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事件 |
平成
12年
(行ケ)
408号
取消決定取消請求事件
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原告 株式会社サイキー山陶苑代表者代表取締役 【A】 訴訟代理人弁理士 瀬谷徹、斎藤栄一 被告 特許庁長官【B】 指定代理人 【C】、【D】 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2001/03/27 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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原告の求めた裁判
「特許庁が平成11年異議第90668号事件について平成12年9月4日にした決定を取り消す。」との判決。 |
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事案の概要
1 特許庁における手続の経緯 原告は、登録第4232680号商標(本件商標)の商標権者である。本件商標は、「POLOELEGANCE」の欧文字を横書きしてなり、第21類「ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,魚ぐし,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,家事用手袋,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。),電気式歯ブラシ,デンタルフロス,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,ブラシ用豚毛,洋服ブラシ,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,ガラス製包装用容器(「ガラス製栓・ガラス製ふた」を除く。),陶磁製包装用容器,ガラス製栓,ガラス製ふた,かいばおけ,家禽用リング,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,小鳥かご,小鳥用水盤,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),ねずみ取り器,はえたたき,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴,ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,コッフェル」を指定商品として平成9年6月11日に登録出願され、平成11年1月22日に登録された。 本件商標については、平成11年5月12日に登録異議の申立てがあり、平成11年異議第90668号事件として審理された結果、平成12年9月4日「登録第4232680号商標の登録を取り消す。」との決定があり、その謄本は同月25日原告に送達された。 2 決定の理由の要点 (1) 通知した取消理由の要旨 平成12年5月15日付けで次の取消理由を商標権者(原告)に通知した。 「本件商標は、『POLOELEGANCE』の欧文字を横書きしてなるものである。ところで、馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形及び『POLO』『Polo』『ポロ』等の文字は、以下の証拠により、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド(アメリカ合衆国ニューヨーク所在)が、商品『被服、装身具、香水、 眼鏡』等に長年使用し、本件商標に係る出願前から需要者の間に広く知られている商標と認められる。すなわち、株式会社講談社昭和53年7月20日発行『男の一流品大図鑑』(異議甲第3号証)、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行『舶来ブランド事典’84ザ・ブランド』の記載によれば、以下の事実が認められる。アメリカ合衆国在住のデザイナーである【E】は1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下『ポロ社』という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどデザインを始め、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、 『コティ賞』を1970年と1973年の2回受賞したのを始め、数々の賞を受賞した。1974年に映画『華麗なるギャッツビー』の主演俳優【F】の衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。 そのころからその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された『Polo』の文字と共に『by RALPH LAUREN』の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらは『ポロ』の略称でも呼ばれている(別紙引用商標参照)。そして、株式会社洋品界昭和55年3月発行『海外ファッション・ブランド総覧1980年版』『ポロ/Polo』の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行『ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85』の『ポロ・バイ・ラルフ・ローレン』の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年から【E】のデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。また、【E】に係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行『dansen男子専科』を始め、前記『男の一流品大図鑑』、株式会社講談社昭和54年5月発行『世界の一流品大図鑑’79年版』、株式会社チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー『ファッション・ブランド年鑑’80年版』、株式会社講談社昭和55年11月発行『男の一流品大図鑑’81年版』(異議甲第4号証)、株式会社講談社昭和55年6月発行『世界の一流品大図鑑’80年版』、婦人画報社昭和55年12月発行『MEN’S CLUB1980,12』、株式会社講談社昭和56年5月25日発行『世界の一流品大図鑑’81年版』(異議甲第5号証)、前記『舶来ブランド事典’84ザ・ブランド』、株式会社講談社昭和60年5月発行『流行ブランド図鑑』のそれぞれにおいて、眼鏡については、前記『世界の一流品大図鑑’80年版』、同『ファッション・ブランド年鑑’80年版』、同『男の一流品大図鑑’81年版』、同『世界の一流品大図鑑’81年版』のそれぞれにおいて、『POLO』、『ポロ』、『Polo』、『ポロ(アメリカ)』、『ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)』等の表題の下に紹介されていることが認められる。 また、企業が、本来の事業分野以外に進出する際に自己が使用して著名となっている商標を利用したり、自身が進出しないまでも他人にその著名商標の使用を許諾したりする例がみられることは顕著な事実である。そして、異議甲第6号証によれば、異議申立人(ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ)は、本件商標の指定商品に含まれている『食器類』をも取り扱っていると認められる。そうしてみると、本件商標は、これをその指定商品について使用した場合、需要者において、その構成の先頭部分にある『POLO』の文字に注意を引かれ、前記周知になっている【E】に係る商標『POLO』を連想し、その商品が【E】又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、出所の混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。したがって、本件商標は、商標法4条1項15号に違反して登録されたものである。」 (2) 商標権者(原告)の意見の要旨 (2)-1 「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド」が使用する「Polo」の商標が、商品「被服,装身具,香水,眼鏡」等に長年使用し、周知著名性があることは認め、各種雑誌において多く取り上げられ、「POLO」、「ポロ」、 「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることも認める。 (2)-2 しかし「POLOELEGANCE」の構成を有する商標を、【E】又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、出所の混同を生ずるおそれはないものと思料する。 (2)-3 【E】のデザインに係る商品は、特に「被服、装身具、香水、眼鏡」において有名であり、その商標は本件商標登録出願時から今日に至るまですでに著名なることも認めるが、故に、取引者及び需要者にとって、その商標の構成態様は一般的なものとなり、例えば、取消理由通知書に掲げる引用商標を用いた場合に、これが「【E】又は同人と何らかの関係を有する者」の製造販売又は提供に係る商標であるかを直ちに認識できるほど、その商標は周知著名性を有していることが認められる。一方、本件商標のような構成の異なる商標の付された商品に使用した場合において、需要者が「【E】又は同人と何らかの関係を有する者」の製造販売又は提供に係るものと混同を生じるおそれもないと思料する。 (2)-4 さらに、【E】及び同人と何らかの関係を有する者がこのような周知著名性を獲得している商標の今日までに築き上げられた業務上の信用は多大である。 しかし、反対にこの著名な商標のフリーライドも頻繁になされ、類似品が多数出回る今日であるから、需要者はより注意して、商標及びその商標を使用する商品を見極めて、取引に当たるものであるから、これほど著名な商標の構成を誤って、混同する需要者もないのであって、いかにその構成中に「POLO」の構成を含んでいるからといって、それをそのまま【E】及び同人と何らかの関係を有する者が使用するものと混同するおそれはないと思料される。併せてこのように需要者の認知度の極めて低い「POLO」の構成を含む商標を【E】及び同人と何らかの関係を有する者が積極的に使用することもなく、そのような商標を使用している事実もない。 (2)-5 取引者及び需要者が外観上明らかに判別し得る差異を有し、その称呼・観念の異なる本件商標を見て、【E】及び同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく商品の出所について混同を生じるおそれはないと思料される。 (2)-6 したがって、本件商標は、商標法4条1項15号に該当しない。 (3) 決定の判断 原告は、上記のように意見を述べているが、商標の構成中に著名な商標が含まれている場合、需要者は、他の構成部分以上に含まれている著名な商標にはるかに注意を引かれるものということができる。そして、【E】に係る馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形及び「POLO」「Polo」「ポロ」等の文字からなる商標が頻繁にフリーライドされるほど著名であることは、原告も認めるところである。 そうすると、「POLO」の文字を含む本件商標は、これをその指定商品について使用した場合、【E】又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく商品の出所について混同を生じるおそれがあるものと判断するのが相当であり、そのおそれがないとする原告の主張は、採用すべき根拠を欠くものといわざるを得ない。 そして、前記(1)の取消理由は妥当なものと認められるから、本件商標の登録は、 この取消理由により商標法43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。 |
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原告主張の決定取消事由
1 馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形及び「POLO」「Polo」「ポロ」等の文字からなる商標(「POLO」商標)は、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド(ラルフ・ローレン社)のものとして著名なこと、その代表的なものが別紙引用商標であることは認める。 しかしながら、その偽ブランド商品は、少なくとも関東近県において90%以上を占め、「POLO」商標に接する需要者のうち、真正品を購入しようとする者は、単に「POLO」商標のみならず、ラルフ・ローレン社製のものか否かを吟味するものと思料される。一方、価格の安さから、偽ブランドであることを甘受して購入する者も存在すると思われる。両者の需要者にとって、購買意思の基礎となるのは、「POLO」商標に「POLO」の文字が含まれているということではなく、寸分違わずラルフ・ローレン社の「POLO」商標であることと出所の確認が重要な要素となる。商標の態様が大きく異なるものであれば、その商品を採択し、 購入することはない。 2 本件商標の「POLOELEGANCE」の文字は、同書、同大、同間隔に一連不可分に構成されているのに対し、「POLO」商標は、単に「POLO」の文字のみからなり、これにポロプレーヤーマークが付されているので、両商標は外観において互いに判別し得る差異がある。 称呼についてみると、本件商標が「ポロエレガンス」との称呼を生じるのに対し、「POLO」商標は「ポロ」「バイラルフローレン」等の称呼を生じるから、 両者は互いに聴別し得る差異を有する。 観念についてみても、本件商標は特に観念を生じない造語であるか、又は「ポロ(スポーツ)の優雅さ」などのような観念を生じるのに対し、「POLO」商標は単に「ポロ」や「ラルフ・ローレン製」などの観念を生じ、両商標は観念においても類似しない。 3 本件商標は「POLO」と「ELEGANCE」とに分離観察すべき合理的理由はなく、全体として注意が引かれるものであるから、これに接する需要者は、 「【E】又は同人と何らかの関係を有する者」の商品とは、明らかに違うものであると認識し、「POLO」商標との間に商品の出所について混同を生じるおそれはない。 4 以上のとおりであり、本件商標は商標法4条1項15号に違反して登録されたものとした決定の判断は誤りである。 |
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当裁判所の判断
馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形及び「POLO」「Polo」「ポロ」等の文字からなる商標(「POLO」商標)は、ラルフ・ローレン社のものとして著名なこと、その代表的なものが別紙引用商標であることは、原告も認めるところであり、その趣旨は、平成9年6月11日の本件商標登録出願時及び平成11年1月22日の登録時の双方の時期において認めるものと理解される。 「POLO」商標の重要な要部が「POLO」の文字の部分にあることは、ラルフ・ローレン社が「POLO」商標を長らく使用してきた経緯に係る決定認定事実(この事実は原告も特に争っていない。)から明らかである。そして、ラルフ・ローレン社は、本件商標の指定商品に含まれている『食器類』をも取り扱っていることも原告において特に争っていないから、本件商標は、これをその指定商品について使用した場合、需要者において、その構成の先頭部分にある「POLO」の文字に注意を引かれ、前記周知になっている【E】に係る商標「POLO」を連想し、 その商品が【E】又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、出所の混同を生ずるおそれがあるものと認めることができる。これと同旨の決定の認定は優に支持することができる。 原告が本訴で種々主張する点をもってしても、上記判断は左右されず、本件商標は商標法4条1項15号に違反して登録されたものとした決定の判断に誤りはない。 |
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結論
以上のとおり、原告主張の決定取消事由は理由がないので、原告の請求を棄却する。 (平成13年2月22日口頭弁論終結) |
裁判長裁判官 | 永井紀昭 |
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裁判官 | 塩月秀平 |
裁判官 | 橋本英史 |