関連審決 | 審判1999-12216 |
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関連ワード | 包装 / 識別機能 / 指定商品 / 記述的商標(3条1項3号) / 国内 / 継続 / |
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元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
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事件 |
平成
12年
(行ケ)
353号
審決取消請求事件
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原告 【A】 訴訟代理人弁理士 福岡要 被告 特許庁長官【B】 指定代理人 【C】 同 【D】 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2001/03/22 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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当事者の求めた裁判
1 原告 特許庁が平成11年審判第12216号事件について平成12年8月7日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告 主文と同旨 |
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当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 被告は、平成9年10月13日、「絵手紙」の文字(標準文字)を横書きして成る商標(以下「本願商標」という。)につき、商品区分第16類の「紙類、紙製包装用容器、家庭用食品包装フィルム、紙製ごみ収集用袋、プラスチック製ごみ収集用袋、衛生手ふき、型紙、紙製テーブルクロス、紙製タオル、紙製手ふき、紙製のぼり、紙製旗、紙製ハンカチ、紙製ブラインド、紙製幼児用おしめ、裁縫用チャコ、荷札、印刷物、書画、写真、写真立て、遊戯用カード、文房具類、事務用又は家庭用ののり及び接着剤、青写真複写機、あて名印刷機、印刷用インテル、印字用インクリボン、活字、こんにゃく版複写機、自動印紙はり付け機、事務用電動式ホッチキス、事務用封かん機、消印機、製図用具、装飾塗工用ブラシ、タイプライター、チェックライター、謄写版、凸版複写機、文書裁断機、封ろう、マーキング用孔開型板、郵便料金計器、輪転複写機、観賞用水槽及びその附属品」を指定商品とする、商標登録出願(平成9年商標登録願第166693号)をしたが、平成11年6月10日拒絶査定を受けたので、同年7月26日に不服の審判を請求した。 特許庁は、これを平成11年審判第12216号として審理した結果、平成12年8月7日に「本件審判の請求は成り立たない。」との審決をし、その謄本を同月23日原告に送達した。 2 審決の理由 審決の理由は、別紙審決書の理由の写し記載のとおりである。要するに、 「絵手紙」という言葉は、「絵を添えた手紙、絵入りの手紙(はがきによる手紙を含む。)」のことをいう言葉として一般に理解されるに至っており、したがって、 本願商標を構成している「絵手紙」の文字は、「絵手紙」という言葉で一般に理解されているものを作成する用具に使用するときは、その商品の用途を表示するものといわざるを得ないから、本願商標は、商標法3条1項3号に該当し、商標登録を受けることはできない、というものである。 |
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原告主張の審決取消事由の要点
審決は、@原告が「絵手紙」の語を自己の取り扱う商品や役務(サービス)を他人のそれと識別するための商標として使用した事実は認められず、まして、これが需要者の間に周知の商標となっていると認めることはできない、A「絵手紙」の語は、「絵を添えた手紙、絵入りの手紙(はがきによる手紙を含む。)」のことをいう一般用語として使用されている、としたが、この審決の認定・判断は誤っている。この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、審決は、違法なものとして取り消されるべきである。 1 本願商標は、原告の使用する商標として、原告と結びつけられて、取引者・需要者の間で周知となっている。このことは、以下の事実によって明らかである。 @ 「絵手紙」の語は、原告が開拓創作した書画方法を表す語として、原告が作成した造語である。原告は、「絵手紙」の語を、日本国内で最初に使用し、その後も、国内で、指定商品に関する業界において、自ら主体となって、広くかつ多数回、継続して専一に使用してきた(甲第3、第4、第7号証)。 A 原告を代表者とする日本絵手紙協会は、平成8年1月1日付けで、「絵手紙」と題する月刊雑誌を創刊し、現在に至るまで継続して刊行している。同雑誌には、発行所である日本絵手紙協会の代表者として原告名が表示されており、同雑誌は、原告が刊行する雑誌として広く認知されている(甲第3、第5号証) B 原告は、昭和63年10月以降、自らを主宰者として、「絵手紙」通信講座を開講するとともに、自らを会長とする「絵手紙友の会」をも結成した(甲第6号証)。 C NHK教育テレビジョンの番組である「趣味悠々」において、原告を講師とする「心を贈る絵手紙入門」講座が、平成10年1月7日から同年4月2日まで及び平成11年1月12日から同年3月31日までの間、放送された(甲第4号証)。この講座の放送に伴って、講座に使用する教材として、本願商標を付したはがき(30枚)、墨(青墨1丁)、顔彩(18色)、筆(線美(特選)、彩色(大)、各1本)、梅皿(3寸1枚)から成るセットが多数(918個)頒布された(甲第8号証)。 2 本願商標の「絵手紙」は、原告と無関係に常用されている一般用語ではない。 (1) 審決は、月刊誌の題号として「絵手紙」が使用されているのは、その内容が絵手紙に関するものだからであり、このことは「絵手紙」が一般用語として使用されていることを裏付けるものと評価できるとする。 しかし、審決も認定するように、「絵手紙」は、原告が創作し、指導、講演、展覧会の開催等の活動をして普及させた語であるから、月刊誌の題号としての「絵手紙」の使用は、当然に自己の創作した造語である「絵手紙」を商標として使用したものと解すべきである。これを商標の使用として認めないのは、例えばソニー株式会社が、その商標である「VAIO」を刊行物の題号に使用した場合に、その内容が「VAIO」に関するものであるから商標の使用ではないというのと同じであって、不当である。 (2) 審決は、「絵手紙」の語は、「絵を添えた手紙、絵入りの手紙(「はがきによる手紙を含む。)」をいう一般用語として使用されているとする。しかし、このようなものは、当業界においては、「はがき絵」、「絵入りの葉書」、「絵付の葉書」、「イラスト入り葉書」、「デザイン入り葉書」、「意匠入り葉書」等と称されているのであり、このようなものについて、原告とは無関係に「絵手紙」の語が常用されている事実はない。 「絵」は、「物の形や有様を描いたものであり、絵画や図画をさすもの」を意味する語であり、「手紙」は、「用件を相手に書き送る文書であり、通常書信である葉書郵便に対する封書をさすもの(書状、書簡、レター)」を意味する語であるから、これらの語を組み合わせた「絵手紙」の語は、取引者・需要者に、「絵画」や「図面」と「封書」とが、何らかの関係を持つもの、と感得させるにとどまるもので、原告とは無関係に、「和紙や葉書に絵を描き短文を添えたもの」といった具体的なものを感得させるものではない。 (3) 審決は、「絵手紙」という言葉が市販の国語辞典に収録されていない語であるとしても、国語辞典は一般に通用しているすべての語を収録しているとは限らないから、そのことは「絵手紙」が一般用語として理解されているとの認定を妨げるものではない旨述べている。しかし、辞書、現代用語辞典は多数存在するにもかかわらず、この語を収録するものが見いだせない以上、「絵手紙」は、一般用語には該当しないというべきである。 (4) 審決は、「絵手紙」を作成するための用紙、墨、顔彩、筆等の用具が販売され、これに「絵手紙セット」「絵手紙青墨」「絵手紙顔彩12色」などの名称が付けられている事実が認められ、この事実によれば、本願商標を構成する「絵手紙」の文字は、商品の絵手紙を作成する用具に使用するときは、その商品の用途を表示するものといわざるを得ないとする。 しかし、「絵手紙」の語を顔彩や筆、用紙等の用具に使用するのは、商標としての使用である。この語を用途を示す一般用語として使用するとするならば、 「絵手紙用○○」として「用」を伴って使用するのが通常であるのに、日本絵手紙協会・推薦教材の広告において、(A)絵手紙セットについて「絵手紙(松)」、 (B)画仙紙はがきについて「絵手紙(松)」「絵手紙(竹)」「絵手紙(梅)」が使用されていることから、「絵手紙」の語が商標として使用されていることは明らかである(甲第3ないし第5号証)。 (5) 被告は、インターネットにおいて「絵手紙」が多数検索されることや、 「絵手紙」に関する本が多数出版されていることや、「絵手紙」に関する通信講座があること、絵手紙を作成する用具が販売されていることから、「絵手紙」は一般用語であると主張する。 しかし、被告が指摘した事項は、いずれも原告又は原告に「絵手紙の描き方」や「絵手紙の教授法」を学んだ者による著作や講座である。また、販売されている作成用具は、原告の許可を得て販売しているものである。 |
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被告の反論の要点
審決の認定・判断は正当であり、審決に原告主張のような瑕疵はない。 1 原告は、本願商標は、原告の商標として、原告と結びつけられて、取引者・需要者の間で広く周知となっていると主張する。 (1) しかしながら、甲第3、第4号証には、絵手紙セット、画仙紙はがき・巻紙、墨、顔彩、筆及び梅皿が「絵手紙」の語を含む名の商品として紹介されており、これらは、「絵手紙」を作成する用具であることが明らかである。例えば、墨について「絵手紙青墨」とあるのは、「絵手紙作成用の青墨」のことであり、顔彩について「絵手紙顔彩12色」とあるのは「絵手紙作成用の顔彩で12色のもの」であると直ちに需要者に理解されるものであって、「絵手紙」の文字は商品の用途表示と認識され、自他商品の識別機能がないものである。したがって、甲第3、第4号証によって、「絵手紙」の文字より成る商標が原告使用の商標として周知されるに至っていると認めることはできない。 (2) 原告は、原告と「絵手紙」とが結びつけられて周知となっている旨主張する。 しかしながら、たとい、原告が「絵手紙」の語で示されるものの創始者であり、「絵手紙」という語を造って、その普及に貢献したという事実があるとしても、その事実と、「絵手紙」の語が現在どのような語として一般に理解されるのか、この語をある商品又は役務について使用した場合に識別標識としての商標として取引者・需要者に認識されるものであるかどうか、ということとの間には、直接の関係はない。したがって、上記事実は、本願商標の登録を認めるべきことの根拠にはなり得ない。 2 原告は、「絵手紙」は、原告と無関係に常用されている一般用語ではない旨主張する。 (1) しかし、「絵手紙」の語が現在では手紙の一種を意味する一般用語であることは、新聞記事において「絵手紙」という語が特に説明もなく使用されていること(乙第1号証)、インターネットで「絵手紙」を検索すると5643件も見いだされること(乙第2号証)、原告以外の者を著作者とする「絵手紙」に関する本が多数出版されていること(乙第3号証)、通信教育の趣味講座の絵画部門に「油絵」「色鉛筆画」「水彩画」「スケッチ」「日本画」などの講座と並んで「絵手紙」の講座を設けている例があること(乙第4、第5号証)などから明らかである。 そして、原告を代表者とする「日本絵手紙協会」以外にも「絵手紙」を作成する用具を商品として販売している者がいること(乙第6号証)からすると、 「絵手紙」の文字は、商品の用途を表示するための文字としてその業界において自由に使用できるものとすべきであり、この点からみても、本願商標の登録は許されるべきでない。 (2) 原告は、審決が、月刊誌に使用されている「絵手紙」の題号が商標としての使用ではないと認定しているとの理解に基づいて、審決に誤りがある旨主張する。しかし、審決は、月刊誌に使用されている「絵手紙」の題号が商標としての使用ではないとの認定をしていないから、原告の主張は、誤解に基づくものである。 (3) 原告は、審決が「絵手紙」の語の意味として指摘する「絵を添えた手紙、 絵入りの手紙(「はがきによる手紙を含む。)」は、当業界では、あくまで「はがき絵」「絵入りの葉書」などと称されるものである旨主張する。しかし、「絵手紙」は、手紙の一種といえるものであって、それ自体が商品として製造販売されているものではなく、商標法上の商品ではないことは明らかであるから、原告のいう「はがき絵」などが、その業界でどのように称される商品であるかによって、「絵手紙」の語の意味についての判断の当否が左右されるとは考えられない。 (4) 原告は、審決のように、「絵手紙」の語を一般用語として使用するならば「絵手紙用○○」として使用するのが通常である旨主張する。 しかしながら、「絵手紙」を作成する用具について、「絵手紙」の文字が表記されていれば「絵手紙用」の文字が表記されている場合と同様にその商品の用途を表示するものとして需要者に理解されると言えるから、「絵手紙用」の文字が表記されている場合と異なるところはないものというべきである。 |
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当裁判所の判断
1 「絵手紙」の語自体の持つ性質について 原告は、「絵手紙」の語は、それ自体では、取引者・需要者に、「絵画」や「図面」と「封書」とが何らかの関係を持つものと感得させるにとどまり、それ以上に「和紙や葉書に絵を描き短文を添えたもの」「絵を添えた手紙、絵入りの手紙(はがきによる手紙を含む。)」といった具体的な意味を持つ語として感得されることはない旨主張する。 しかしながら、「絵手紙」とは「絵」と「手紙」の語を組み合わせて作られた造語であることは、その表示自体から明らかであり、「手紙」が、一般に、封書と葉書の両者を含めた意味で用いられていることは当裁判所に顕著であるから、 「絵手紙」の語に接した取引者・需要者は、それを妨げる何か特別な事情がない限り、ごく自然に審決のいう「絵を添えた手紙、絵入りの手紙(はがきによる手紙を含む。)」、あるいは、絵のみによって伝えたいことを伝える手紙など、何らかの形で絵を用いた手紙を指す語として認識することになるものというべきである。 「絵手紙」の語は、たといそれ自体は原告によって造られたものであったとしても、いったん造られてしまえば、上記のようなものとして理解されることになりやすい性質が本来備わっているということができる。 2 原告による「絵手紙」の語の使用 (1) 証拠(甲第3ないし第8号証)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ア 原告は、昭和30年代後半に手紙(葉書及び封書)に絵を描き短文を添える書画方法を創始して、これを「絵手紙」と命名した。原告は、昭和63年10月以降、主宰者として絵手紙通信講座を開講するとともに、会員相互の絵手紙公流を目的とする絵手紙友の会を結成し、その会長となった。通信講座及び友の会に関して作成された「お知らせ」と題する書面(甲第6号証)には、「事務局に無断で展覧会や教室を開かないで下さい。また、展覧会や教室等の際、″絵手紙″の語を使用のこと。(類似の語を使わない)」との記載がある。 イ 原告を代表者とする日本絵手紙協会は、平成8年1月1日付けで「月刊 絵手紙」と題する月刊誌を創刊し、同誌は現在に至るまで継続して刊行されている。同誌の表紙には、表題として「月刊 絵手紙」と記載され、その下に「【A】」の署名入りの絵手紙の作品が表示されており、裏表紙には、小さな字で「発行所/日本絵手紙協会(代表 【A】)」と記載されている。 同誌には、日本絵手紙協会の推薦教材として、絵手紙セット(絵手紙(松)30枚、絵手紙青墨、絵手紙顔彩18色、筆として絵手紙線美(特選)及び絵手紙彩色(大)、絵手紙梅皿)、画仙紙はがき・巻紙(絵手紙(松)、絵手紙(竹)、絵手紙(梅)、絵手紙 巻紙)等が紹介されている。 ウ NHK教育テレビジョンの番組である「趣味悠々」において、原告を講師とする「心を贈る絵手紙入門」と題する講座が平成10年1月7日から同年4月2日まで及び平成11年1月2日から同年3月31日までの間、放送された。同講座のテキストには、表紙に「心を贈る絵手紙入門 講師 【A】 【E】」と記載され、同テキストにおいては、日本絵手紙協会の推薦書籍・ビデオとして、原告を含む複数人の著書・ビデオが紹介され、同協会の推薦教材として、イと同様の教材が紹介されている。同教材は平成10年1月1日から平成13年12月31日までの間に合計918個が販売された。 (2) 1に記載したとおり、「絵手紙」の語自体に上記の性質が備わっている以上、原告により、「絵手紙」の語が使用されたとしても、使用をする原告の主観的意図はどうあれ、使用の仕方によほどの工夫をこらしてそうならないように図らない限り、「絵手紙」の語は、「絵を添えた手紙、絵入りの手紙(はがきによる手紙を含む。)」など何らかの形で絵を用いた手紙を意味する一般用語として取引者・需要者の間に定着していくであろうことは誠に見やすい道理である。ところが、上記認定の原告による「絵手紙」の使用がこのような工夫をこらしたものであったことは本件資料を検討しても、見いだすことができない(甲第6号証中には、事務局に無断で展覧会や教室を開かないこと、展覧会や教室等の際、″絵手紙″の語を使用すること、との注意書があることが認められるが、この程度の記載があるのみでは「絵手紙」の一般用語化を阻止するには不十分である。)。 そうだとすれば、現実の使用例として、上記の推論を覆すものが見いだせない限り、審決のなされた時点(平成12年8月7日)においては、一般に上記の意味を有するものと理解され、したがって自他商品の識別機能を持たないものであったと認定する以外にはないものというべきである。 3 「絵手紙」の語の使用例について (1) ところが、上記推論を覆すような現実の使用例は、本件全証拠を検討しても見いだすことができず、証拠上認められる現実の使用例は、むしろ、上記推論が正しいことを裏付けるものとなっている。すなわち、証拠(乙第1ないし6号証)によれば、次の事実を認めることができるのである。 ア 「絵手紙」の語は、平成12年7月までの間に発行された国内の全国紙において、多数回(朝日新聞764件、毎日新聞557件、読売新聞310件、日本経済新聞91件等)使用されている。このうち、平成11年6月から平成12年5月までの日本経済新聞に使用された「絵手紙」の記事は、「絵手紙やインターネットなど、思い思いの手段で日記を続けている人たちを紹介した」などとして、 「絵手紙」の語を、その意味内容について特に説明を加えることなく使用している。 イ 平成3年から平成12年までの間に、絵手紙に関する本が少なくとも56冊出版されており、このうち原告以外の者が著者であるものが40冊以上ある。 ウ 審決の後ではあるものの、審決時に比較的近接した時点である平成12年11月に行われた「絵手紙」の語のインターネットの検索により、5643件が見いだされた。検索結果中には、原告が会長を務める日本絵手紙協会も含まれているが、それ以外にも、「にいがた発絵手紙コール」、「やすらぎの絵手紙」「絵手紙リンク」「絵手紙配信」等、「絵手紙」の語を、その意味内容について特に説明を加えることなく使用しているものが多数ある。 エ 同じく、審決後のこれと比較的近接した時点である平成12年11月の時点で、通信教育の趣味講座の絵画部門に「油絵」、「色えんぴつ画」、「水彩画」、「スケッチ」、「日本画」と並んで「絵手紙」の講座が設けられている例がある。 (2) 原告は、上記認定にかかる著作や講座のうち、原告以外の者に関するものは、いずれも、原告から絵手紙を学んだ者によるものである旨主張する。確かに、 甲第9号証によれば、上記著作の中には原告が会長を務める日本絵手紙協会の会員が著者であるものも含まれていることが認められる。しかし、全部の著者が原告から絵手紙を学んだ者であることを認めるに足りる証拠はない。また、仮に原告の主張どおりであると仮定しても、そのことは、「絵手紙」の語の用法とはかかわりのないことであり、「絵手紙」が一般用語として使用されているか否かの判断を左右するものではない。原告の主張は採用できない。 4 原告と「絵手紙」との結びつきについて 原告は、本願商標は、原告の使用する商標として、原告と結びつけられて、 取引者・需要者の間で周知となっていると主張する。 しかしながら、上記のとおり、「絵手紙」が一般用語として広く用いられていることに照らすと、上記2(1)の認定事実により、原告が「絵手紙」の創始者であり、現在も日本絵手紙協会の会長を務め、同協会により「絵手紙」の雑誌を発行し、「絵手紙」講座の講師を務める等して、「絵手紙」に関する活動をしていることが一般に知られているとはいえても、逆の方向の認識、すなわち、「絵手紙」といえば原告の標章であるとの認識が取引者・需要者において形成されたとまでは認めることができない。したがって、「絵手紙」が原告の使用する商標として、取引者・需要者の間で周知であるとはいえない。 5 以上によれば、本願商標は、自他商品識別機能を有せず、これを絵手紙を作成する用具に使用するときは、その商品の用途を表示するものといわざるを得ず、 商標法3条1項3号に該当し、かつ同法同条2項に該当しないことが明らかである。原告主張の審決取消事由はいずれも理由がなく、その他審決にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。 |
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よって、本訴請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟
法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 山下和明 |
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裁判官 | 山田知司 |
裁判官 | 阿部正幸 |