関連審決 | 審判1997-16497 |
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関連ワード | 流通性 / 指定商品 / 類似性(類否判断) / 不使用 / 通常使用権 / 国内 / 使用許諾 / 更新登録 / |
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元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
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事件 |
平成
12年
(行ケ)
109号
審決取消請求事件
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原告 ディルカーネギー アンド アソシエイ ツ インコーポレーテッド代表者 【A】 訴訟代理人弁護士 森内憲隆 同 左高健一 同 弁理士 小沢 慶之輔 被告 株式会社エス・エス・アイ代表者代表取締役 【B】 訴訟代理人弁護士 井上定明 同 弁理士 稲垣仁義 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2001/02/28 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 |
事実及び理由 | |
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当事者の求めた裁判
1 原告 特許庁が平成9年審判第16497号事件について平成11年11月11日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告 主文第1、2項と同旨 |
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当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告は、「DALE CARNEGIE」の欧文字を横書きして成り、平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表の区分による第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品、ただし、この商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く」を指定商品とする登録第673178号商標(昭和38年2月4日登録出願、昭和40年4月12日設定登録、平成8年3月28日に3回目の更新登録、以下「本件商標」という。)の商標権者である。 被告は、平成9年9月29日、原告を被請求人として、本件商標の指定商品中「印刷物」について不使用に基づく登録取消しの審判の請求をし、その予告登録が同年10月29日にされた。 特許庁は、同請求を平成9年審判第16497号事件として審理した上、平成11年11月11日に「商標法50条の規定により、登録第673178号商標の指定商品中『印刷物』についてはその登録は、取り消す。」との審決をし、その謄本は同年12月8日原告に送達された。 2 審決の理由 審決は、別添審決書写し記載のとおり、被請求人(原告)の提出に係る証拠によっては、本件商標が、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において取消請求に係る指定商品「印刷物」についての使用をされていたものと認めることはできないから、本件商標の指定商品中「印刷物」についての登録は商標法50条の規定により取り消すべきものとした。 |
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原告主張の審決取消事由
1 本件商標は、以下のとおり、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により、その指定商品「印刷物」についての使用をされていたから、この使用の事実を認めなかった審決の認定は誤りであり、違法として取り消されるべきである。 2 本件商標の使用 (1) 原告は、世界的に著名な文筆家、講演家である故【C】により設立されたアメリカ合衆国法人であって、故【C】が創案した人間能力の開発方法に基づく教室教育事業を自ら行い、又はライセンシーを通じて行っている。 (2) パンポテンシア株式会社(以下「パンポテンシア」という。)は、平成6年以降、原告からライセンスを受け、日本国内において「デール・カーネギー・トレーニング」の名称により上記教室教育事業を行っており、本件商標についても使用許諾を受けている通常使用権者である。同社の本社営業所が存する東京都渋谷区神宮前の常設教室では、デール・カーネギー・コース、デール・カーネギー・セールス・コース、デール・カーネギー・マネージメント・セミナー、デール・カーネギー・カストマー・リレーションズ/エンプロイ・デベロプメント・コース、デール・カーネギー・上級コース経営戦略プレゼンテーション・ワークショップ、デール・カーネギー・リーダー・イン・ユー・コース等の各種講座を開設している。 (3) パンポテンシアは、上記教室教育事業の講座(以下「本件講座」という。)に使用する教材として、「The DALE CARNEGIE Course Participant Manual」と題する印刷物(甲第6号証)及び「Remember Names」と題する印刷物(甲第7号証)を有償で受講生に提供している。甲第6号証の印刷物は、その表紙に「The DALE CARNEGIE Course」の文字が付されており、特に「DALE CARNEGIE」の文字は他の文字とは切り離して記載され、登録商標であることを示す「 審決は、これらはそれ自体商取引の目的物として流通性のある商標法上の商品とはいえないとするが、パンポテンシアは、広く一般に本件講座の内容と印刷物の提供を宣伝し、これに興味を持つ者が受講生となって本件講座を受講し、上記印刷物の提供を受けるのであり、これらの印刷物はいずれも一般書店において販売されているものではないが、受講生に提供される教材として有償(ただし、受講料に含まれる。)で配付されているものであって、取引市場を流通しているということができる。 (4) パンポテンシアは、常設の講座以外に不定期の講演会、研修会等を行ってきたところ、平成7年9月13日に日刊工業新聞社を顧客として本社営業所で開催した講演会を始め、平成9年9月までに開かれた計15回のこうした講演会会場で、 希望者に対し、「THE LITTLE GOLDEN BOOK OF RULES」と題する印刷物(甲第8号証)を1冊100円で販売したが、この印刷物の表紙には、「Dale Carnegie (5) パンポテンシアは、平成8年12月10日、原告に対し、「Dale Carnegie’s Golden Book」(甲第13号証の1)、「Remember Names」(同号の2)及び「Speak More Effectively」(同号証の3)の英文印刷物を含む教材を発注し、平成9年2月24日ころこれを輸入した(甲第12号証の1〜5)。これらの印刷物は、いずれも表紙の左下部に「DALE CARNEGIE |
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被告の反論
1 審決の認定判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。 2 本件商標の使用について (1) 原告は、パンポテンシアは広く一般に講座内容と印刷物の提供を宣伝している旨主張するが、同社が一般市場で宣伝しているのは、「デール・カーネギー・トレーニング」等の名称を付した教育事業講座であり、甲第6、第7号証の印刷物を宣伝しているわけではない。これらの印刷物は、同講座の受講生全員に無償で配布され、受講者以外の者が入手することはできないものであり、同講座を離れて一般市場において商取引の対象となることはないから、商標法上の商品とはいえない。 (2) 甲第6、第7号証の印刷物は、それぞれ「デール・カーネギー・コース」、「デール・カーネギー・トレーニング」との名称の講座の受講者だけに配布される教材であるから、それぞれ「The/DALE CARNEGIE/Course」、「DALE CARNEGIE/TRAINING」と三段又は二段に表示されていても、一体に認識するはずであり、これらの記載は、社会通念上、本件商標と同一の商標を使用しているとはいえないというべきである。また、「 (3) 本件商標は、「ただし、この商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く」として登録されているところ、原告主張の印刷物における「The/DALE CARNEGIE/Course」等は表題を付したものであって、本件商標を使用するものとはいえない。 (4) 甲第8号証の印刷物は、B5判用紙の約4分の1の大きさで6頁から成り、内容は教えや技法を項目で並べたもので、価格の記載もないから、このような体裁及び内容からみても、一般市場で流通に供されるものとはいえず、商標法上の商品には当たらない。 (5) 原告は、甲第13号証の1〜3の印刷物の輸入をしたことをもって、本件商標の使用に当たる旨主張するが、その輸入部数は極めて少なく、その体裁及び内容に照らして、一般市場で流通に供されることを目的として輸入されたとは考えられない。 |
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当裁判所の判断
1 本件商標の使用について (1) 本件商標の通常使用権者 甲第5、第6、第9、第15号証及び弁論の全趣旨によれば、パンポテンシアは、原告の許諾を得て「デール・カーネギー・トレーニング」との名称の下に、 「デール・カーネギー・コース」、「デール・カーネギー・セールス・コース」、 「デール・カーネギー・マネージメント・セミナー」等を含む本件講座を主宰しており、本件商標についても、平成6年以降その使用許諾を受けた通常使用権者であること、同社は、本件審判請求の予告登録前3年以内である平成6年10月29日から平成9年10月28日までの間、甲第6〜第8号証及び第13号証の1〜3の各印刷物に「DALE CARNEGIE」との表示を付して、これを本件講座に使用するなどしてきたことが認められる。 原告は、パンポテンシアのこうした行為は、本件商標を、その指定商品「印刷物」について使用をするものである旨主張するが、商標法50条の適用上、「商品」というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならず、また、「商品についての登録商標の使用」があったというためには、当該商品の識別表示として同法2条3項、4項所定の行為がされることを要するものというべきであるから、この点について以下具体的に検討する。 (2) 甲第6、第7号証の印刷物について 甲第6、第7、第9、第10、第15号証及び弁論の全趣旨によれば、甲第6、第7号証の印刷物は、本件講座(甲第6号証の印刷物については、本件講座のコースの一つである「デール・カーネギー・コース」)の教材として用いられているものであり、その受講生には配布されるが、同印刷物のみが販売されることはなく、そのため定価も定められておらず、また、奥書もないこと、甲第6号証の印刷物は、ビニール貼りの3穴バインダーに、加除可能なように本文が編綴されているものであり、バインダーの表紙には、中央部に大きく三段にわたって「The/DALE CARNEGIE 「名前を憶える法」を具体例を挙げながら説明するものであることが認められる。 以上の事実に照らすと、甲第6、第7号証の印刷物は、専ら「デール・カーネギー・コース」等の本件講座の教材としてのみ用いられることを予定したものであり、本件講座を離れ独立して取引の対象とされているものではないというほかなく、したがって、これらを商標法上の商品ということはできない。また、その表紙に付された「DALE CARNEGIE」の記載については、それぞれ「デール・カーネギー・コース」ないし「デール・カーネギー・トレーニング」との名称の講座の教材であることを示す「The/DALE CARNEGIE 当該印刷物自体の識別表示と解することはできないから、当該印刷物について本件商標の使用がされたということもできない。なお、「 (3) 甲第8号証の印刷物について 甲第8、第15号証及び弁論の全趣旨によれば、甲第8号証の印刷物は、 B7判程度の大きさで本文6頁のごく薄い小冊子であり、「『人を動かす』による法則」と「『道は開ける』による法則」との各見出しの下に、「人間関係を伸ばす法/1.批判も非難もしない。苦情もいわない。/2.率直で、誠実な評価を与える。3.強い欲求を起こさせる。/4.誠実な関心を寄せる。」等の簡潔な教えが箇条書きで記され、それ以上に特段の記載のないものであること、その表紙には、 上部に「THE LITTLE GOLDEN BOOK OF RULES」、中段に【C】の肖像写真、その右下に「Dale Carnegie 以上の事実によれば、甲第8号証の印刷物は、上記のような抽象的一般的で簡潔にすぎる記載内容や、その体裁等からすると、本件講座を受講することを前提に、その講義内容の理解を助けるためにポイントとなる点を列挙したにすぎないものと認められ、独立した読み物としての内容を有していないものであって、本件講座を離れて市場において独立して商取引の対象となるものとは認められないから、同印刷物についても、これを商標法上の商品ということはできない。また、「Dale Carnegie (4) 甲第13号証の1〜3の印刷物について 甲第12号証の1〜5、第13号証の1〜3、第14、第15号証及び弁論の全趣旨によれば、パンポテンシアは、平成7年12月ころと平成9年2月ころ、それぞれ原告から、「Dale Carnegie’s Golden Book」と題する英文印刷物(甲第13号証の1)を114冊及び57冊、「Remember Names」と題する英文印刷物(同号の2)を91冊及び68冊、「Speak More Effectively」と題する英文印刷物(同号証の3)を112冊及び56冊輸入したこと、これらの印刷物は、表紙の左下部に「DALE CARNEGIE そして、原告は、パンポテンシアによる上記各印刷物の輸入により、本件商標がこれら印刷物について使用された旨主張するが、パンポテンシアにおいて、 これらの印刷物を一般市場で流通に供することを目的として輸入したものであると認めるに足りる証拠はなく、むしろ、これらの印刷物と甲第7号証の印刷物との類似性に照らすと、甲第13号証の1〜3の印刷物についても、甲第7号証の印刷物と同様、専ら本件講座の教材として使用するために輸入されたことが認められる。 そうすると、甲第13号証の1〜3の印刷物が原告とパンポテンシア間での取引の対象となったからといっても、我が国の市場において独立して商取引の対象として流通に供されたわけではなく、これを商標法上の商品ということはできない。また、これらの印刷物に付されている「DALE CARNEGIE」の記載も、「デール・カーネギー・トレーニング」との名称の講座に使用される教材であることを示す「DALE CARNEGIE 2 以上のとおり、原告主張の審決取消事由は理由がなく、他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。 よって、原告の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担並びに上告及び上告受理申立てのための付加期間の指定につき行政事件訴訟法7条、 民事訴訟法61条、96条2項を適用して、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 篠原勝美 |
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裁判官 | 長沢幸男 |
裁判官 | 宮坂昌利 |