関連ワード | 指定商品 / 損害額 / 逸失利益 / 権利濫用(権利の濫用) / 外観(外観類似) / 称呼(称呼類似) / |
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事件 |
平成
10年
(ワ)
19442号
損害賠償請求事件
平成 12年 (ワ) 15613号 損害賠償請求事件 |
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甲・乙事件原告 株式会社スポーツザウルス 右代表者代表取締役 【A】 右訴訟代理人弁護士 西尾孝幸甲事件被告 【B】 甲事件被告 羽田クラフトこと【C】 乙事件被告 株式会社スプートニク 右代表者代表取締役 【B】 右三名訴訟代理人弁護士 牧野二郎 | |
裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2000/10/31 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
一 甲事件被告ら及び乙事件被告は、甲・乙事件原告に対し、各自金一七四万八五八四円及びこれに対する、甲事件被告らについては平成一〇年九月一二日から、乙事件被告については平成一二年八月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 二 甲・乙事件原告のその余の請求をいずれも棄却する。 三 訴訟費用は、甲・乙事件ともにこれを一〇分し、その一を甲事件被告ら及び乙事件被告の負担とし、その余を甲・乙事件原告の負担とする。 四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。 |
事実及び理由 | |
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請求
一 甲事件 被告【B】らは、原告に対し、各自金一七五〇万円及びこれに対する平成一〇年九月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 二 乙事件 被告会社は、原告に対し、金一七五〇万円及びこれに対する平成一二年八月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 |
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事案の概要
本件は、別紙商標目録記載の商標について商標権を有する原告が、被告【B】らに対しては、被告【B】らが右商標に類似する標章を付した釣り竿を販売するなどして原告の商標権を侵害したと主張し(甲事件)、被告会社に対しては、同社の代表者である被告【B】が同社の職務を行うにつき前記商標権侵害行為を行ったと主張し(乙事件)、それぞれ不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。 一 前提となる事実(認定事実には証拠を掲げる。) 1 原告は、釣り具等の製造販売等を業とする株式会社であり、被告会社は、 コンピューターシステムの企画開発、インターネットを利用した商取引、スポーツ用品、釣り具等の販売等を業とする株式会社である(乙第九号証)。 被告【B】は、被告会社の代表取締役であり(乙第九号証)、被告【C】は、東京都大田区<以下略>において、「羽田クラフト」名で釣り具店を経営し、 釣り具の販売をしている者である(甲第四、第一二、第一四号証)。 2 原告は、次の商標権(以下、「本件商標権」といい、この登録商標を「本件商標」という。)を有している(甲第一号証)。 登録番号 第四〇七四一三四号 出願日 平成八年二月九日 登録日 平成九年一〇月二四日 商品及び役務の区分 第二八類 指定商品 釣り具 商 標 別紙商標目録記載のとおり 二 争点 1 被告【B】らの行為が本件商標権を侵害するか。(甲事件) 2 被告会社は、本件商標権の侵害について責任を負うか。(乙事件) 3 損害の発生及び額(甲・乙事件) 三 争点に関する当事者の主張 1 争点1について 【原告の主張】 (一)(1) 被告【B】らは、平成九年一〇月から平成一〇年八月までの間、共謀の上、被告【B】において、別紙被告標章目録記載(1)及び(2)の標章(以下それぞれ「被告標章(1)」「被告標章(2)」といい、これらを併せて「被告標章」という。)を付した釣り竿を輸入し(商標法2条3項2号)、被告【C】において、右釣り竿の広告に被告標章(2)を付して頒布し(同項七号)、被告標章を付した釣り竿を販売した(同項二号)。 (2) 被告標章は、いずれも本件商標を筆記体で表記したものであるから本件商標と類似する。 (3) 被告【B】らが輸入、販売した釣り竿は、本件商標権の指定商品である。 (4) したがって、被告【B】らの前記被告標章の使用行為は、いずれも本件商標権を侵害するものとみなされる行為である。 (二) 釣り竿に付された被告標章(1)は、商品名の表示であるから、商標としての使用に当たる。 【被告【B】らの主張】 (一) 被告標章は、本件商標と類似していない。 (二) 被告【B】らが輸入した釣り竿に付された被告標章(1)は、製造者である【D】がフィリプソン・ロッド社の部品を使ってデンバーで製造した旨を証明の意味で記載した証明書の一部であって、商品名を表示しているものではないから、 商標としての使用に当たらない。 (三) 本件商標は、フィリプソン・ロッド社の釣り竿の商標として著名な「Phillipson」と同一又は類似の商標であり、原告は、これについて不正な取引を行う目的で登録を受けたのであるから、フィリプソン・ロッド社の部品を使用した釣り竿を輸入、販売した被告【B】らの行為は本件商標権を侵害しない。 2 争点2について 【原告の主張】 被告【B】は、前記一1記載のとおり、被告会社の代表取締役であり、その職務を行うについて、前記被告標章の使用行為を行い、本件商標権を侵害した。 よって、被告会社は、民法44条により、右商標権侵害によって生じた損害を賠償する責任を負う。 【被告会社の主張】 被告【B】の前記被告標章の使用行為は、被告会社とは関係なく、被告【B】らの計算において行われたものであり、代表取締役としての職務の執行についてされたものではないから、被告会社は損害賠償責任を負わない。 3 争点3について 【原告の主張】 被告【B】らは、平成九年一〇月から平成一〇年八月末までの間に、少なくとも一七五本の被告標章を付した釣り竿を輸入、販売しており、右釣り竿一本当たり一〇万円以上、合計で少なくとも一七五〇万円の利益を得たから、原告は右同額の損害を被ったものと推定される。 【被告らの主張】 (被告ら共通) 原告の主張を争う。 (被告【B】らの主張) 被告【B】らが前記輸入、販売行為によって得た利益は、専らフィリプソン・ロッド社の「Phillipson」の商標に起因して得られたものであり、本件商標の寄与はないというべきであるから、被告【B】らが得た利益の額をもって、原告が被った損害額を推定することはできない。 |
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当裁判所の判断
一 争点1について 1 証拠(甲第一三、第一四号証、乙第一、第二、第七号証)と弁論の全趣旨によると、以下の事実が認められる。 (一) 被告【B】は、被告【C】から依頼されて、本件商標の登録日である平成九年一〇月二四日から平成一〇年三月一三日までの間に、八回にわたり、アメリカ合衆国のリックス・ロッズ社から、被告標章(1)の付された釣り竿(以下「被告商品(1)」という。)を輸入した。 右釣り竿の曲面からなる表面には、筆記体で、「Original Phillipson ・・ blank made in Denver Co. U.S.A」(一部判読不能)等と記載され、その文中に被告標章(1)を含んでいる。 被告【C】は、前記輸入に係る被告商品(1)を、別紙「販売一覧表(一)」の「販売日」欄記載の日に、小売店である「プロショップ2&4」及び「スターダスト」に対し、小売価格の七〇パーセントの卸価格で卸売し、又は被告【C】が「羽田クラフト」名で経営する釣り具店において、小売価格で販売した(別紙「販売一覧表(一)」のうち、「卸」と記載されているものが右卸売であり、 「店頭」と記載されているものが右小売である。)。 平成一〇年四月二八日以降、被告商品(1)の輸入、販売は中止された。 (二) 被告【B】は、被告【C】から依頼されて、平成一〇年五月一九日、 アメリカのリックス・ロッズ社から、被告標章(2)の付された釣り竿(以下「被告商品(2)」という。)を輸入した。 被告【C】は、前記輸入に係る被告商品(2)を、別紙「販売一覧表(二)」の「販売日」欄記載の日に、小売店である「プロショップ2&4」に対し、 小売価格の七〇パーセントの卸価格で卸売し、又は前記「羽田クラフト」において、小売価格で販売した(別紙「販売一覧表(二)」のうち、「卸」と記載されているものが右卸売であり、「店頭」と記載されているものが右小売である。)。 平成一〇年六月二日を最後に、被告商品(2)は輸入、販売されていない。 (三) 平成一〇年五月ころ、羽田クラフトが取り扱う釣り竿の広告で、被告標章(2)を付したものが雑誌に掲載された(甲第一四号証)。 (四) 被告【B】は、被告【C】の依頼により、被告商品(1)及び(2)のほかに、被告標章を付さない釣り竿(以下「被告商品(3)」という。被告商品(1)ないし(3)を併せて「被告商品」という。)を、リックス・ロッズ社から輸入し、被告【C】は、これを販売した。 (五) 被告【B】は、被告商品の輸入に要する費用及び広告費をすべて支払い、被告【C】は、被告商品が売れた場合には、販売価格から、同人の取り分として約二割を差し引いた残額を被告【B】に支払っていた。 なお、乙第一、第二号証には、卸価格は小売価格の八〇パーセントであった旨の記載があり、七〇パーセントで計算している乙第三、第四号証との間に齟齬が認められるが、乙第一、第二号証における右記載は、証拠提出時に証拠説明として後から書き加えられたものであるから、取引当時に作成された乙第三、第四号証にしたがい、右認定のとおり七〇パーセントであったものと認める。 また、甲第一四号証の被告標章(2)を付した広告は、広告の記載内容(「今月よりオリジナルのロゴを入れたままで販売をいたします。」「【D】モデルは販売を終了しました。」)及び右(二)認定の被告商品(2)の販売時期からすると、右(三)認定のとおり平成一〇年五月ころの広告であると認められる。 2 右1認定の事実によると、被告【B】らは、共同して、本件商標の指定商品である釣り具に被告標章を付したものを、輸入し、販売したほか、本件商標の指定商品である釣り具の広告に被告標章(2)を付して頒布したものと認められる。 3(一) 本件商標は、「Phillipson」の綴りをアルファベットの活字体で横書きして構成した商標であり、「フィリプソン」又は「フィリップソン」の称呼を生じるものと認められる。 (二) 一方、被告標章(1)は、「Phillipson」の綴りをアルファベットの筆記体で横書きしたものであり、「フィリプソン」又は「フィリップソン」の称呼を生じるものと認められる。 被告標章(2)は、「Phillipson」の綴りをアルファベットの筆記体で横書きし、それに下線を付し、下線の途中に、地球を表すイラストを付し、それを覆うリボン上に小さく「WORLD’S FINEST」とアルファベットで二段に横書きしたものであり、「Phillipson」と筆記体で記した部分からは、「フィリプソン」又は「フィリップソン」の称呼を生じるものと認められる。 (三) 本件商標と被告標章(1)は、称呼を同一にし、外観も活字体と筆記体の差異があるのみであるから、本件商標と被告標章(1)は類似するものと認められる。 被告標章(2)の要部は「Phillipson」の綴りをアルファベットの筆記体で横書きした部分であると認められるところ、この部分は、本件商標と称呼を同一にし、外観も活字体と筆記体の差異があるのみであるから、本件商標と被告標章(2)は類似するものと認められる。 4 被告【B】らは、釣り竿に付された被告標章(1)は、製造者であるポールハイタワーが証明の意味で記載した証明書の一部であって、商品名を表示しているものではないから、商標としての使用に当たらない旨主張する。 確かに、被告標章(1)が付されている態様は、前記1(一)認定のとおりであって、文章の一部として用いられているが、証拠(甲第四、第一一号証)と弁論の全趣旨によると、被告【C】は、「ビンテージ・フィリップソン」として、被告商品(1)を広告していたものと認められること、右文章は曲面からなる釣り竿の表面に、英語の筆記体で書かれたもので、日本人にとって全体を判読することは必ずしも容易ではないから、日本人が見た場合には、「Phillipson」、「Denver」、「U.S.A」等の個々の言葉の集まりとして認識する可能性が高いと考えられること、釣り竿に、他に出所を表示する記載があることを認めるに足りる証拠がないことからすると、被告商品(1)において、被告標章(1)は、出所を識別する機能を有しているものと認められる。 そうすると、被告商品(1)における被告標章(1)は、商標としての使用に当たるというべきである。 5 以上によると、被告【B】らが、被告標章を付した釣り竿(被告商品(1)及び(2))を輸入、販売した行為及び釣り竿の広告に被告標章(2)を付して頒布した行為は、いずれも指定商品について登録商標に類似する商標を使用する行為(商標法37条1号)に該当する。 6 被告【B】らは、本件商標は、フィリプソン・ロッド社の釣り竿の商標として著名な「Phillipson」と同一又は類似の商標であり、原告は、これについて不正な取引を行う目的で登録を受けたのであるから、フィリプソン・ロッド社の部品を使用した釣り竿を輸入、販売した被告【B】らの行為は本件商標権を侵害しない旨を主張する。 証拠(甲第二、第四、第九、第一一、第一二、第一四、第一五号証、乙第六号証)と弁論の全趣旨によると、フィリプソン・ロッド社は、一九五〇年代から一九七〇年代の初めにかけて、アメリカ合衆国で釣り竿を製造販売していた会社であること、同社の製品は一九七二年以降製造されておらず、現存している製品は希少であること、原告は、自らが製造販売している釣り竿に本件商標を付していること、原告は、自ら製造販売している釣り竿をフィリプソン・ロッド社の製品の完全復刻であるとして広告していること、被告【C】は、被告商品について、長年にわたり保存されていたフィリプソン・ロッド社の部品を、補修、組み立てたものであるとして広告していること、以上の事実がそれぞれ認められる。 しかし、原告の本件商標権について無効事由又は取消事由がある旨の具体的な主張はなく、右認定の事実から直ちに、原告の本件商標権について無効事由又は取消事由があると認めることもできない。 一方、被告【B】らが輸入、販売した被告商品は、仮に、フィリプソン・ロッド社の部品を使ったとしても、同社の製品そのものでないことは明らかである。 そうすると、原告の被告【B】らに対する本件商標権の行使が権利の濫用に当たるとまでいうことはできない。 7 よって、原告は被告【B】らに対し、後記の損害賠償を求めることができる。 二 争点2について 1 証拠(甲第三号証、乙第三ないし五号証、第七号証)と弁論の全趣旨によると、リックス・ロッズ社に対する被告商品の取引に関する契約手付金の送金人は被告会社であること、被告【C】から被告【B】に宛てた被告商品の売上に関する報告書の宛先は、「スプートニク御中 【B】様」となっていること、雑誌に「羽田クラフト」の広告を掲載した広告料金に関する報告書面の宛先が「株式会社スプートニク【B】様」となっていること、以上の事実が認められ、一方、被告会社の代表取締役の地位を離れた被告【B】個人が被告商品の取引主体となっていたことを示す的確な証拠はない。 また、甲事件においては、被告【B】らは、被告【B】らが被告商品を輸入する際の窓口は被告会社であり、輸入に要した費用についても被告会社が全額立て替えた旨主張している。 2 したがって、被告【B】による前記一認定に係る被告標章の使用行為は、 被告会社の代表取締役としての職務の執行についてされたものと認められ、これに反する被告会社の主張は採用できない。 3 よって、被告会社は、民法44条により、被告【B】の前記商標権侵害行為によって原告に生じた損害を賠償する責任を負う。 以上によると、被告らは、いずれも原告の損害について賠償する責任を負い、右損害賠償債務は不真正連帯債務となる。 三 争点3について 1 前記一6認定のとおり、原告は、本件商標を付した釣り竿の販売をしていたから、被告らの本件商標権侵害行為によって、原告に、本件商標を付した釣り竿の販売に関して逸失利益が生じたものと認められ、そうである以上、被告らが得た利益の額をもって、原告が被った損害額と推定することができるというべきである。これに反する被告【B】らの主張(被告【B】らが被告商品の輸入、販売によって得た利益は、専らフィリプソン・ロッド社の「Phillipson」の商標に起因して得られたものであり、本件商標の寄与はないから、被告【B】らが得た利益の額をもって、原告が被った損害額を推定することはできない旨の主張)は採用できない。 そこで、被告らが得た利益の額について判断する。 2(一) 前記一1認定の事実に証拠(乙第一ないし第五号証)と弁論の全趣旨を総合すると、被告らは、本件商標権が登録された平成九年一〇月二四日以降、四六本の被告商品(1)を別紙「販売一覧表(一)」記載のとおりに販売し、その販売金額は合計五三三万三二〇〇円であったこと、被告らは、平成一〇年四月二八日以降は、三本の被告商品(2)を別紙「販売一覧表(二)」記載のとおりに販売し、その販売金額は合計二三万七六〇〇円であったこと、被告らは、平成一〇年五月ころ、羽田クラフトが取り扱う釣り竿に関する広告に、被告標章(2)を付して頒布したこと、被告らは、平成一〇年五月末までに、六本の被告商品(3)を別紙「販売一覧表(三)」記載のとおりに販売し(別紙「販売一覧表(三)」のうち、「卸」と記載されているものが卸売であり、「店頭」と記載されているものが小売である。)、その販売金額の合計は三七万四四〇〇円であったこと、以上の事実が認められる。 (二) 以上によると、被告らが被告商品(ただし、被告商品(3)については、 平成一〇年五月末までに販売したものに限る。)を販売したことによる販売金額の合計は、五九四万五二〇〇円となる。 3(一) 乙第六号証によると、被告らがリックス・ロッズ社から四本継ぎの釣り竿を一本当たり二七七・九五ドル、一ドルを一四三円に換算すると三万九七四七円(一円未満四捨五入とする。以下同じ。)で仕入れていたことが認められるから、四本継ぎの原価率(原価の店頭販売価格に対する割合)は約二七パーセントとなる。 この原価率を基に、各釣り竿の原価を算出すると、一本もの(ワンピース)の原価が四万八六〇〇円、二本継ぎ(ツーピース)の原価が三万四五六〇円、組立て式(キット)の原価が一万二九六〇円となる。 したがって、被告らが販売した全五五本の仕入価格の合計は、別紙「仕入価格表」記載のとおり、一九六万二八一六円となる。 (二) 証拠(乙第三ないし第五、第八号証)によると、被告らは、被告商品(ただし、被告商品(3)については、平成一〇年五月末までに販売したものに限る。)を輸入、販売するために、次の費用を要したことが認められる。 単 価 数 量 金 額 (1) 布袋代 五〇〇円 五四枚 二万七〇〇〇円 (2) アルミケース代 ワンピース用 五二〇〇円 三個 一万五六〇〇円 ツーピース用 四二〇〇円 四三個 一八万〇六〇〇円 4ピース用 四二〇〇円 八個 三万三六〇〇円 (3) 税金(除消費税)及び送料 少なくとも一四万二〇〇〇円 (4) 通訳費用 一五万円 (三) 乙第七号証によると、被告らが雑誌広告の費用として、平成九年一一月号から平成一〇年五月号まで、合計三三七万円を支出した事実が認められる。 被告商品の性質に鑑みると、その販売のためには広告が必要であったと認められるから、広告費用を経費として控除すること自体には合理性がある。 しかしながら、乙第七号証では、羽田クラフトの広告というだけで、広告内容が不明であること、甲第一四号証によると、右の時期の羽田クラフトの広告には、被告商品以外の商品の広告も混在していたことが認められることからすると、右広告費用のすべてが被告商品のために費やされたものと認めることはできない。 したがって、被告らが被告商品(ただし、被告商品(3)については、平成一〇年五月末までに販売したものに限る。)を販売するために要した広告費用としては、前記支出額の二分の一に相当する一六八万五〇〇〇円を控除するのが相当である。 (四) 以上のほかに、被告らが本件釣り竿を販売したことによって得た利益を算定するに当たり控除すべき経費が存することを認めるに足りる証拠はないから、控除すべき経費の合計は、四一九万六六一六円となる。 4 以上によると、被告らが被告商品(ただし、被告商品(3)については、平成一〇年五月末までに販売したものに限る。)を販売したことによって得た利益の額は、一七四万八五八四円となる。 したがって、原告の損害賠償請求は、一七四万八五八四円及びこれに対する被告【B】らについては平成一〇年九月一二日から、被告会社については平成一二年八月一九日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 四 以上の次第で、原告の本訴請求は、主文掲記の限度で理由があるから、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 森義之 |
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裁判官 | 岡口基一 |
裁判官 | 男澤聡子 |