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関連審決 審判1998-19751
関連ワード 指定商品 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  4条1項15号 /  顧客吸引力(グッドウィル) /  結合商標 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  出所の混同 /  国内 /  使用許諾 /  登録異議申立 /  継続 /  非類似 /  商号 /  同業者 / 
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事件 平成 12年 (行ケ) 5号 審決取消請求事件
原告 株式会社八木商店代表者代表取締役 【A】
訴訟代理人弁理士 【B】、【C】
被告 特許庁長官【D】
指定代理人 【E】、【F】、【G】
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2000/09/28
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
「特許庁が平成10年審判第19751号事件について平成11年11月16日にした審決を取り消す。」との判決。
事案の概要
1 特許庁における手続の経緯 原告は、平成4年12月8日、「POLO LEAGUE」の文字と図形とを組み合わせた別紙(1)の本願商標のとおりの構成から成る商標(本願商標)につき、第25類「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽、
和服、エプロン、えり巻き、靴下、ゲートル、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、足袋、足袋カバー、手袋、布製幼児用おしめ、ネクタイ、ネッカチーフ、マフラー、耳覆い、ずきん、すげがさ、ナイトキャップ、ヘルメット、帽子、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、靴類(「靴合わせくぎ、靴くぎ、靴の引き手、靴びょう、靴保護金具」を除く。)、靴合わせくぎ、靴くぎ、靴の引き手、靴びょう、靴保護金具、げた、草履類、運動用特殊衣服、運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)、乗馬靴」を指定商品として商標登録出願をしたが(平成4年商標登録願第321964号)、平成10年11月13日拒絶査定があったので、同年12月11日審判を請求し、平成10年審判第19751号事件として審理されたが、平成11年11月16日、「本件審判請求は、成り立たない。」との審決があり、その謄本は同年12月13日原告に送達された。
2 審決の理由の要点 (1) 原査定の拒絶の理由 原査定は、「この商標登録出願に係る商標(本願商標)は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の「ザ ポロ ローレン カンパニー」が商品「被服、ネクタイ」に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標「POLO」の文字を有してなるものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社あるいはこれとなんらかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は商標法4条1項15号に該当する。」旨認定して、本件出願を拒絶した。
(2) 原告(請求人)の審判における主張 本願商標は、その構成中に「POLO」の文字を含むものであるが、本類を始め用品雑貨の業界においては、「POLO」あるいはその音訳である「ポロ」の文字を含む結合商標がいずれも非類似の商標として多数別個に登録されている事実があり、その登録に基づき「POLO」又は「ポロ」の文字を含む結合商標が競合する同業者間で並存して大々的に使用されている事実が存在する。
これらの事実は、もはや「POLO」及び「ポロ」そのものの語に特別強い顕著性がないことを意味しており、「POLO」又は「ポロ」の前後に何らかの語を組み合わせて、一連でひとつの熟語を形成するか、何らかの観念が生じる場合、並びに「POLO」又は「ポロ」の前後に何らかの語を組み合わせることによって「POLO」又は「ポロ」の観念が埋没してしまった場合は、結合前の各語とは非類似のものと判断されていることを意味しているとともに、「POLO」又は「ポロ」を含む数多くの結合商標を付した商品が実際取引市場において併存しているところから、取引者、需要者においても、もはや出所が異なる商品であることを充分認識するに至っているものといえる。
このように、「POLO」又は「ポロ」の語を含む結合商標が、おのおの非類似として、競合する同業者間で並存して登録され用いられた結果、もはや需要者は、これら「POLO」又は「ポロ」の語を含む結合商標から形式的に「POLO」又は「ポロ」のみの文字を抽出し、取引のよすがとすることはあり得ないことであり、それら商標の全体からみて、不可分一体に結合して観念称呼され、取引されているのが現状である。このような事実よりみて、「POLO」と「LEAGUE」が組み合わされることにより、「4人一組で馬に乗って棒でボールを打ち、相手のゴールに入れて得点を争う競技の連盟」すなわち「ポロの競技連盟」との特定の観念を有し、単なる「POLO」又は「ポロ」とはまた異なった熟語を形成して不可分一体の語と理解、
認識され得る本願商標「POLO LEAGUE」は、引用の「POLO」とはもはや非類似の商標であるといわざるを得ない。
ザ ポロ ローレン カンパニーは、単に「POLO」又は「ポロ」のみの登録を得ているわけではなく、「POLO」又は「ポロ」のみの態様で使用しているわけでもない。
すなわち、ザ ポロ ローレン カンパニーは、各商品群において「POLO BY RALPH LAUREN」(旧第17類・登録第2049413号商標、旧第21類・登録第2622079号商標)、「ポロバイラルフローレン」(旧第21類・登録第2449369号商標)というように「POLO ポロ」の文字を含んだ結合商標の登録を得ているものであって、その実際の使用態様も「POLO」又は「ポロ」単独での使用は見当たらず、それは絶えず「マレットを持った人と馬の図形」の左右に「POLO」と「RALPH LAUREN」の文字を不可分一体的に書した態様か、あるいは「POLO」の文字を長方形の枠で囲み、その下に「by Ralph Lauren」の文字を配した態様で使用されているものである。
仮に、「POLO」が商標及び商号の略称として著名であったとしても、それは例えば旧第17類では他人が保有する「POLO」商標が存在するにもかかわらず、使用がなされたものであって、『違法な使用』に基づくものといわざるを得ない。かかる『違法な使用』に基づき『著名』に至ったとしても、それは法律の保護を受けるに値しないことはいうまでもない。
ましてや、上述したように、ザ ポロ ローレン カンパニーは「POLO」単独ではなく、「POLO」と少なくとも「RALPH LAUREN」の文字との結合により使用されているものであり、これら商標とは全く異なった不可分一体で、一つの熟語を形成している本願商標「POLO LEAGUE」をその指定商品に使用しても、ザ ポロ ローレン カンパニーの「POLO」又は「ポロ」の文字を含む標章と混同を起こすおそれは全くない。
(3) 審決の判断 (3)-1 (株)講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典 '84 ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーである【H】は1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインを始め、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾界の名誉ある賞「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、
数々の賞を受賞。1974年に映画「華麗なるギャツビー」の主演俳優【I】の衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。そのころからその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、
そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各標章(別紙(2)引用標章。以下、一括して「引用標章」という。)が用いられ、これらの標章は「ポロ」と略称されている。
そして、(株)洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 '85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、
西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年から【H】のデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、【H】に係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen 男子専科」を始め、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑 '79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑 '80年版」、「男の一流品大図鑑 '81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑 '80年版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN'S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑 '81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典 '84 ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、眼鏡については、前出「世界の一流品大図鑑 '80年版」、同「ファッション・ブランド年鑑 '80年版」、同「男の一流品大図鑑 '81年版」、同「世界の一流品大図鑑 '81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」「ポロ」「Polo」「ポロ(アメリカ)」「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の標章の下に紹介されていることが認められる。
他に、これを覆すに足りる証拠はない。
なお、【H】の「POLO」「Polo」「ポロ」の標章について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(同裁判所平成2年(行ケ)第183号、平成3年7月11日言渡し)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用標章は、我が国においては、遅くとも本願出願時までには【H】のデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(3)-2 本願商標は、前記のとおり、馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形を表すとともに、その右に「POLO LEAGUE」の文字を横書きして成るものである。
そして、該構成中の文字部分についてみると、「POLO」の文字は「ポロ競技(馬に乗り、スティックでボールを打って相手のゴールに入れ、得点数を競うもの)」を、「LEAGUE」の文字は「連盟」をそれぞれ意味する英語であることから、これらの語の結合より成る構成文字全体をもって「ポロ競技連盟」の意味合いが認識される場合があるとしても、我が国においてポロ競技が盛んに行われて一般に親しまれているとはいえないばかりでなく、「POLO LEAGUE」の文字が、特定のポロ競技連盟などを表示するものとして具体的に知られているとの証左は認められない。
原告は、本願商標は「ポロの競技連盟」との特定の観念を有し、単なる「POLO」又は「ポロ」とは異なった熟語を形成して不可分一体の語と理解、認識され得るものである旨主張するが、原告のいう「ポロの競技連盟」なる観念の語句が我が国において通用している事実は認められず、一般に馴染まれたものとはいえないから、
たとえ上記観念が生じる場合があるとしても、その故をもって本願商標中の「POLO LEAGUE」の文字を常に不可分一体のものとして捉えられなければならないというものでもない。
また、図形部分についていえば、該図形と【H】のデザインに係る商品を表示するものとして広く知られている馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形とは、その両者を対比すると、全体の描き方、プレイヤーの姿勢、マレットの位置・角度等が相違するが、ともにマレットをもってポロ競技に興じているプレイヤーを表したものという共通した印象を受けるものである。
(3)-3 そうすると、本願商標をその指定商品である被服等のファッションに関連する商品に使用した場合には、前記実情からして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字と「馬に乗ったポロ競技のプレイヤー」の図形に着目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る引用標章を連想、想起し、
該商品が【H】又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく出所の混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
(3)-4 原告は特許庁における審査例、審判例を挙げて種々主張するが、過去にされた審査例等は具体的、個別的な判断が示されているのであって、必ずしも確立された統一的な基準によっているものとはいえず、仮にその中に矛盾や誤りがあるとしても、具体的事案の判断においては、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから、原告の主張は採用することができない。
(3)-5 以上のとおり、本願商標が商標法4条1項15号に該当するとして本件出願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
原告主張の審決取消事由
1 取消事由1(商標法56条1項で準用する特許法150条5項に違反) 特許庁審査官は、平成10年8月14日付け(発送日。起案日同年7月15日)で拒絶理由通知書を発し、
「この商標登録出願に係る商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の「ザ ポロ ローレン カンパニー」が商品「被服、ネクタイ」に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標「POLO」の文字を有してなるものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社或はこれと何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。
したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法4条1項15号に該当する。」と認定し、さらに平成10年11月13日付け(発送日)で拒絶査定の謄本を発し、
「この商標登録出願は、平成10年7月15日付けで通知した理由によって拒絶をすべきものと認める。なお、出願人は、意見書において種々述べているが、さきの認定を覆すにたりない。」との判断を下した。
これに対して、審決はその理由を基礎づける事実認定に当たり、次の証拠を採用した。
(a)株式会社講談社(昭和53年7 月20日)発行「男の一流品大図鑑」 (b)サンケイマーケティング(昭和58年9 月28日)発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」 (c)株式会社洋品界(昭和55年3月)発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」 (d)ボイス情報株式会社昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 ’85」 (e)昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事 (f)株式会社スタイル社(1971年7月)発行「dansen 男子専科」 (g)株式会社講談社(昭和54年5月)発行「世界の一流品大図鑑’79年版」 (h)株式会社チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑'80年版」 (i)株式会社講談社(昭和55年11月)発行「男の一流品大図鑑’81年版」 (j)同社(昭和55年5月)発行「世界の一流品大図鑑’80年版」 (k)婦人画報社(昭和55年12月)発行「MEN'S CLUB 1980,12」 (l)株式会社講談社(昭和56年5月)発行「世界の一流品大図鑑’81年版」 (m)同社(昭和60年5月)発行「流行ブランド図鑑」 (n)平成2年(行ケ)第183号、平成3年7月11日言渡の東京高等裁判所の判決 しかしながら、これらの証拠は、拒絶理由通知書にも、拒絶査定謄本にも何ら提示されておらず、さらには本審判手続の中でも、審決に至るまで原告には全く提示されていない。
これらの証拠は、特許庁が古く昭和37年から近時の平成10年6月まで行ってきた商標登録の判断と真っ向から相反する結論を導き出す証拠であることにかんがみると、審決前に原告に証拠調べの結果を通知し、意見を申し立てる機会を与えるべきであった。
商標法56条1項で準用する特許法150条5項は、「審判長は、第一項又は第二項の規定により職権で証拠調又は証拠保全をしたときは、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。」としている。
したがって、審決には、その結論に重大な影響を与える証拠調べの結果について当事者に通知して意見を申し立てる機会を与えなかったという点で手続上重大な瑕疵がある。
2 取消事由2(商標法第55条の2第1項の規定に違反) 審決を基礎づける認定は、「そうすると、本願商標をその指定商品である被服等のファッションに関連する商品に使用した場合には、前記事情からして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字と「馬に乗ったポロ競技のプレイヤー」の図形に着目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る引用標章を連想、想起し、該商品が【H】又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく出所の混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。」というものである。
ここで引用標章に関しては、「そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各標章が用いられ、これらの標章は「ポロ」と略称されている。」とある。また、ここで本願商標の図形部分に関しては、「また、図形部分についていえば、該図形と【H】のデザインに係る商品を表示するものとして広く知られている馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形とは、その両者を対比すると、全体の描き方、プレーヤーの姿勢、マレットの位置・角度等が相違するが、ともにマレットをもってポロ競技に興じているプレーヤーを表したものという共通した印象を受けるものである。」と認定している。
しかし、拒絶理由通知には、「この商標登録出願に係る商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の「ザ ポロ ローレン カンパニー」が商品「被服、ネクタイ」に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標「POLO」の文字を有してなるものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社或はこれと何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。」と記載されているにすぎない。また、拒絶査定には、「この商標登録出願は、平成10年7月15日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認める。なお、
出願人は、意見書において種々述べているが、さきの認定を覆すにたりない。」との記載があるにとどまる。
すなわち、拒絶理由通知は、商標法4条1項15号を適用する上に当たって、あくまで「本願の出願時には既に著名となっている商標「POLO」の文字を有してなる」といっているのであって、審決認定のように「その構成中の「POLO」の文字と「馬に乗ったポロ競技のプレイヤー」の図形に着目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る引用標章を連想、想起し」とはされていない。
したがって、本願商標を構成する文字部分を、本願商標中に含まれている図形部分と関係づけ、加えて、引用標章、すなわち「「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」と関係づけることによってされた審決の認定は、拒絶査定時の判断とは異なる認定事実に基づく判断であって、新たな拒絶理由を構成する。
しかるに、審判においては、上記のような新たな拒絶理由は通知されずに、原告(審判請求人)に不利益となる審決が不意打ち的にされた。よって、審決は、商標法55条の2第1項の規定に違反してなされたもので、手続上重大な瑕疵があり、
違法である。
3 取消事由3(商標法4条1項15号に規定する「混同のおそれがある」との判断の誤り) (1) 審決は、「そして、該構成中の文字部分についてみると、「POLO」の文字は「ポロ競技(馬に乗り、スティックでボールを打って相手のゴールに入れ、得点数を競うもの)」を、「LEAGUE」の文字は「連盟」をそれぞれ意味する英語であることから、これらの語の結合より成る構成文字全体をもって「ポロ競技連盟」の意味合いが認識される場合があるとしても、我が国においてポロ競技が盛んに行われていて一般的に親しまれているとはいえないばかりでなく、「POLO LEAGUE」の文字が特定のポロ競技連盟などを表示するものとして具体的に知られているとの証左は認められない。原告は本願商標は「ポロの競技連盟」との特定の観念を有し、単なる「POLO」又は「ポロ」とは異なった熟語を形成して不可分一体の語と理解、認識され得るものである旨主張するが、原告のいう「ポロの競技連盟」なる観念の語句が我が国において通用している事実は認められず、一般に馴染まれたとはいえないから、たとえ上記観念が生じる場合があるとしても、それ故をもって本願商標中の「POLO LEAGUE」の文字を常に不可分一体のものとして捉えなければならないというものでもない。」としている。
(2) しかし、まず、ラルフ・ローレンが使用する標章は、「Polo」、「ポロ」であって、本願商標のように「POLO LEAGUE」ではない。本願商標に含まれる「POLO LEAGUE」の文字は、同書同大で外観上もまとまりよく一体的に表示されていることから、文字どおり「ポロリーグ」と一連に称呼できる。すなわち、本願商標に含まれる「POLO LEAGUE」は、「ポロ」と「リーグ」と別々に分離称呼される商標ではない。しかも、「POLO LEAGUE」は、「ポロ競技リーグ戦」、「ポロ競技連盟」等の特定の観念を持つ商標である。ポロ競技が、4人一組の両チームで構成され、馬上から打球棒で木製のボールを打ってゴールに入れるホッケーに似た馬上競技であるとの競技内容までは詳細に日本国内において知られた馴染みのあるスポーツではないとしても、「LEAGUE」の意味が、サッカーや野球等のスポーツの「リーグ戦」を意味することぐらいは需要者、取引者は理解できるものであることから、さらに、この「LEAGUE」に「POLO」が結合することによって、需要者、取引者は、その具体的な詳細の競技内容は分からずとも、「ポロ競技」というスポーツの「リーグ戦」であるとの認識(観念)については十分得られるものである。すなわち、「POLO」、
「ポロ」という用語について馴染みの薄い日本国内の需要者、取引者であっても、
これが「LEAGUE」と結合することによって、ポロ競技(スポーツ)の「リーグ戦」であるとの認識(観念)を獲得するといわねばならない。
また、「POLO」が、野球やサッカーなどと比較すると、日本国内においては馴染みの薄いスポーツであったにせよ、「ポロ」は各種の辞典(刊行物)に記載されている事実がある。「ポロ」は元来馬上競技であるが、この競技を淵源としてウォーターポロ(水球)競技やカヌーポロ競技、サイクルサッカー競技などが我が国において十分定着されたスポーツであるといわねばならない。例えばウォーターポロ(水球)競技の場合、「関西ポロリーグ戦」と称する競技大会が行われており、カヌーポロもほぼ全国的に大会が行われており、サイクルサッカー競技も大会が行われている。
ここで重要なのは、これらのスポーツも「ポロ」と呼ばれていること(ウォーターポロ、カヌーポロ)、及び「ポロ」が馬上競技であるとの認識があるか否かは別としてそれは「スポーツ」であるとの認識は十分あること、さらにこれらのスポーツがもともと馬上競技の「ポロ」から派生してきたスポーツであって、そしてこれらのスポーツの淵源が馬上競技の「ポロ」であるということを、少なくともこれらのスポーツを行うプレーヤー(大人から子供まで)は十分認識しているということである。
(3) 審決は、本願商標の「POLO LEAGUE」の文字が、不可分一体の「特定観念」を獲得する条件として、
@「我が国においてポロ競技が盛んに行われていて一般的に親しまれている」こと、
A「「POLO LEAGUE」の文字が、特定のポロ競技連盟などを表示するものとして具体的に知られている」こと、
B「「ポロの競技連盟」なる観念の語句が我が国において通用している事実が認められ、一般に馴染まれ」ていること を挙げている。
しかし、本願商標の「POLO LEAGUE」の文字が、不可分一体の「特定観念」を獲得する条件として、上記3条件を必要としたゆえんは、審決は何ら述べていず明白でない。むしろ、我が国において馬上のポロ競技が盛んに行われず一般的に親しまれていなくても、そのことが直ちに、不可分一体の「特定観念」の獲得の有無と関連しているとみるべきではない。既述のとおり、需要者、取引者は、「POLO」がスポーツであること、ないし、馬上競技のスポーツであることくらいは、十分認識し得るものであるから、この程度の認識レベルによって、本願商標の「POLO LEAGUE」の文字が、不可分一体の「特定観念」を獲得しているとみるべきである。
よって、「我が国においてポロ競技が盛んに行われていて一般的に親しまれている」などの上記の点をもって、一体不可分の「特定観念」を成立させるべきものとした審決の判断は誤りである。
(4) しかもまた、本願商標に含まれる文字商標の「POLO LEAGUE」は、旧17類、旧21類及び旧22類の商品群において、ラルフ・ローレンからの登録異議申立てを受けたにもかかわらず、「POLO LEAGUE ポロリーグ」が適法に登録された事実がある。すなわち、旧17類の商品群では平成3年に登録、そして旧21類の商品群では平成3年に登録を得ており、これらの事実に基づき、上記商標の商標権者は、適法に「POLO LEAGUE ポロリーグ」を長年使用してきた。その間、ラルフ・ローレンの「POLO」はもちろんのこと、多数併存登録されている「POLO」(ポロ)の結合商標とも出所の混同が生じたという事例は一件も発生していない。
したがって、仮に「Polo」(ポロ)が著名であるとしても、本願商標の文字部分は、「POLO LEAGUE」として一つの特定観念を有する本願商標に係る文字商標であるから、殊更本願商標の「POLO LEAGUE」から「POLO」だけを取り出して考慮した審決の判断は誤りである。
(5) そもそも、ラルフ・ローレンが使用する標章が、総称して単に「Polo」、
「ポロ」として「略称される」ほどであるということは、ポロ競技が日本国内においてマイナーなスポーツであることにかんがみると、たとえ【H】が「Polo」の文字とともに「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」を併記して使用していたとしても、「Polo」、「ポロ」という標章自体は、日本国内における需要者、取引者にあっては、馬上競技である「ポロ競技」という意味を失って、造語に近い状態において【H】の「Polo」、「ポロ」として把握し著名になっているのが実情であるとみるべきである。
してみれば、たとえ「Polo」、「ポロ」がラルフ・ローレンの使用に係る著名標章であるとしても、それは日本国内においては「ポロ競技」という意味を失った、
造語に近い状態の2文字(4文字)に係る【H】の「Polo」、「ポロ」として著名なのであるから、本願商標に含まれる文字商標中に「Polo」を有するからといって、これが直ちに図形との関連において、需要者、取引者に混乱が生じるとした審決の帰結には誤りがある。
(6) さらに、審決は、「仮に、「POLO」が商標及び商号の略称として著名であったとしても、それは例えば旧第17類では他人が保有する「POLO」商標が存在するにもかかわらず、使用がなされたものであって、『違法な使用』に基づくものといわざるを得ない。かかる『違法な使用』に基づき『著名』に至ったとしても、それは法律の保護を受けるに値しないことはいうまでもない。」との審決摘示の原告の主張について判断をしなかった違法がある。
審決取消事由に対する被告の反論
1 取消事由1に対して (1) 審決において示した被服等ファッションに関連する雑誌類、新聞、高等裁判所の判決は、原告においても、十分に知り得た引用標章の著名性についてに関するものであり、審決は、顕著といえる事実を具体的に記載したものである。
【H】の「Polo」(ポロ)標章の著名性が顕著な事実であることからすると、審決で示した雑誌類、新聞、高等裁判所の判決の各証拠について、審判で原告に通知して意見を申し立てる機会を与えなかったとしても、審決の結論に影響を及ぼすものとはいえないから、審決は商標法56条1項で準用する特許法150条5項の規定に違反してなされた違法なものということはできない。
(2) 原告は、審決の結論は、特許庁が昭和37年から平成10年6月まで行ってきた商標登録の判断と相反するものである旨主張する。
【H】のデザインに係る商品に使用される「Polo」、「by RalphLauren」及び「ポロプレーヤーの図形」の各標章、並びにこれらを総称する「Polo」(ポロ)の標章は、昭和50年代後半には我が国においても取引者、需要者に広く認識されていたということができるところ、原告が指摘する特許庁の判断例には、【H】の「Polo」(ポロ)標章が、我が国で著名となる以前に出願されたものもあり、昭和56年ころから同60年ころにかけて出願された例は、その著名性が確立されるいわば初期の段階に出願されたものもある。さらに、【H】の関連会社による出願と認められるものもあり、商標登録異議の申し立てがあった結果、拒絶査定(又は拒絶審決)があったものもある。
一方で、【H】の「Polo」(ポロ)の標章が著名になるに従い、「Polo」、「POLO」などの文字、あるいは「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」を含む商標の出願が、特にファッション関連分野の商品区分において急増したこと、【H】のデザインに係る被服などに使用される「Polo」(ポロ)標章のブランドイメージが及ぼす顧客吸引力に只乗りをする意図を持った偽物ブランド商品の販売が跡を絶たない実情、及び著名標章に便乗した商標登録出願が多数に上る現状にあることにかんがみれば、「Polo」(ポロ)標章等の著名標章を使用する企業と経済的、資本的、組織的に何らの関係を有しない第三者が、著名標章と同一又は類似する商標若しくは著名標章を一部に有する商標等を、営業上の努力をせずに、
その業務に係る商品等に使用し、販売することは、取引者、需要者をして商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるし、企業の永年の努力により獲得した著名標章に化体された高い信用、評判及びこれに基づく顧客吸引力等を損なうといった、著名標章に係る営業主体の営業活動にも重大な支障を来すものであるから、著名標章の保護は、より一層の重要性を増しているというべきである。
したがって、過去において、「Polo」、「POLO」等の文字を含む商標、あるいは「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」を含む商標等が登録された事実が存在するとしても、本願商標のように、著名標章と同一綴り文字及び共通した印象の図形を含む商標を【H】及びその関連会社以外の者が使用した場合は、これに接する取引者、需要者をしてラルフ・ローレン及びその関連会社の取扱いに係る商品であるかのように商品の出所について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
2 取消事由2に対して 原告が、拒絶理由の「本願の出願時には既に著名となっている商標『POLO』の文字を有してなるものであるから・・・」と抽出した部分及び審決の「その構成中の『POLO』の文字と『馬に乗ったポロ競技のプレーヤー』の図形に着目し、前記周知になっている・・・」と抽出した部分は、いずれもその文脈から明らかなように、本願商標が引用標章との関係で、出所の混同のおそれに係る本願商標の構成上の要因として、本願商標の要旨を摘示した部分であって、引用標章には何らかかわらない部分であり、査定と異なる拒絶理由には該当しない。
仮に、原告主張のように解するとしても、審決は、原審の拒絶の理由の主旨である本願商標の商標法4条1項15号の該当性に関し、本願商標が他人の著名標章と印象が共通する図形部分を有していることのみをもって、商標法4条1項15号に該当するとしたものではなく、本願商標中の「POLO」文字部分をも合わせ考慮して、本願商標は、他人の業務に係る商品と出所の混同を生じさせるおそれがあるとしたものである。
3 取消事由3に対して (1) 【H】の「Polo」(ポロ)の標章が著名であることは、前述のとおりであるが、ポロ競技が我が国において馴染みの薄いスポーツであることを合わせて考えると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標中の「POLO」の文字部分に強く印象付けられるとともに、その図形部分にも着目して、本願商標を【H】、若しくはその関連会社の商標と誤認混同し、本願商標を使用した商品を、ラルフ・ローレン、若しくはその関連会社の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
原告は、各種辞典、インターネットホームページ、カヌー入門書等を挙げているが、これらはこのような競技に特別の関心を持った者であればともかく、そのようなことのない普通の者が日常一般に目にするようなものではないから、これらをもって「ポロ」が一般に馴染みのある競技ということはできない。
前記1の(2)で主張した取引社会の現状からすると、本願商標については、商標法4条1項15号に該当するという結論に達するものといわざるを得ない。
(2) 原告は、審決の判断遺脱を主張するが、拒絶査定に対する審判において審判請求人が挙げる主張につきそのすべてにわたって論じなければならないものではない。
拒絶査定に対する審判における請求事由は、当該拒絶査定の違法性をいうのであって、本件にあっては、本願商標が商標法4条1項15号に該当するとの拒絶理由に違法性があるというのがその主旨である。そして、審判で審理した結果、拒絶査定の処分は変わらないと判断し、審決においてその結論及び理由を明らかにしているのであるから、原告がいう手続的な違反はない。なお、審決が原告の引用標章に関しての「違法な使用」について特に言及しなかったのは、その必要性がないと考えただけのことである。
当裁判所の判断
1 取消事由1について 原告は、審判において、審決が支持すべきものとした拒絶査定のうちの「この商標登録出願に係る商標(本願商標)は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の「ザ ポロ ローレン カンパニー」が商品「被服、ネクタイ」に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標「POLO」の文字を有してなる」との事実認定について積極的に争っていないことは、審決摘示の原告の審判における主張に照らして明らかである。原告は、本訴においても、この事実自体については反対事実の存在を主張していないし、また独立の取消事由としておらず、その事実自体を積極的に否認していない。
このような拒絶査定に対する原告の主張内容にかんがみれば、審判手続において審判請求人が積極的に争っていない拒絶査定認定の事実関係についてそれを裏付ける公刊物等の証拠を調べたとき、審決前にその証拠調べの結果を通知しなかった点をもって、原告主張の手続上重大な瑕疵があるということはできず、審判手続に審決を取り消すべき瑕疵があるとする取消事由1は理由がない。
なお、原告は、審決の判断は、昭和37年から平成10年6月まで行ってきた商標登録の判断と真っ向から相反する結論であると主張するが、この点をもってしても、上記の本件の経緯からみて、原告主張の手続上重大な瑕疵があることの裏付けとすることはできない。
2 取消事由2について 拒絶査定で引用された拒絶理由通知で引用された標章、すなわち、「本願の出願時には既に著名となっている商標「POLO」」が、審決における引用標章を総称しているものであることは、拒絶理由通知の記載に照らして明らかであるところ、取消事由2において、原告が拒絶理由の認定と審決の認定の間で、引用標章につき異なるところがあると主張する点は、本願商標と引用標章との間に、出所の混同を生じさせるおそれがあることを認めるためにした分析のための、引用標章に関する客観的な構成事実ないし間接的な評価事実の摘示にすぎない。このような部分についてまで、拒絶理由の認定と審決の認定との間で一致した表現とする必要は全くなく、
また、審決のしたこの認定、判断が新たな拒絶理由を構成するものでないことも明らかである。
したがって、本件のような場合、審判官には、審決が認定しようとする引用標章に関する客観的な構成事実ないし間接的な評価事実まで、原告主張のように、あらかじめ出願人(原告)に通知すべき義務はない。
この義務があるとすることを前提にする取消事由2も理由がない。
3 取消事由3について (1) 前記審決の要点の項の「(3) 審決の判断」中、(3)-1の項で審決が認定した事実については、前記1で示したとおり、原告において積極的に否認していないところである。また、この事実を覆すべき証拠も提出されていない。
この事実関係の下においては、審決が認定したとおり、「引用標章は、我が国においては、遅くとも本件出願時までには【H】のデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものと認められ、その状態は現在においても継続している」ものと認めることができる。
これらの事実関係の下において、「(3) 審決の判断」中、(3)-2の項で示した審決の認定、判断を前提にすると、(3)-3の「本願商標をその指定商品である被服等のファッションに関連する商品に使用した場合には、前記実情からして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字と「馬に乗ったポロ競技のプレイヤー」の図形に着目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る引用標章を連想、想起し、該商品が【H】又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく出所の混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。」とした審決の判断も、優に支持することができる。
(2) なお、本件全証拠をもってしても、前記(3)-2の項中の審決の認定(例えば、「「POLO LEAGUE」の文字が、特定のポロ競技連盟などを表示するものとして具体的に知られているとの証左は認められない」との認定、あるいは、「原告のいう「ポロの競技連盟」なる観念の語句が我が国において通用している事実は認められず、一般に馴染まれたものとはいえない」との認定)に反して、審決が摘示し認められないとしたこれらの事実を認めるべき証拠はない。
また、原告は、審決には、「仮に、「POLO」が商標及び商号の略称として著名であったとしても、それは例えば旧第17類では他人が保有する「POLO」商標が存在するにもかかわらず、使用がなされたものであって、『違法な使用』に基づくものといわざるを得ない。かかる『違法な使用』に基づき『著名』に至ったとしても、
それは法律の保護を受けるに値しないことはいうまでもない。」との審決摘示の原告の主張について判断をしなかった違法があると主張する。
しかしながら、この原告主張は、引用標章との関係で、本願商標が商標法4条1項15号に該当しないことを裏付けるべき間接的な事情を述べたものであるということができ、この点につき、審決において独立して判断を加えなくても、判断遺脱の瑕疵があるとすることはできない。
結論
以上のとおり、原告主張の審決取消事由は理由がないので、原告の請求は棄却されるべきである。
(平成12年7月25日口頭弁論終結)
裁判長裁判官 永井紀昭
裁判官 塩月秀平
裁判官 橋本英史