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関連ワード 包装 /  役務の提供 /  識別機能 /  指定商品 /  指定役務 /  顧客吸引力(グッドウィル) /  損害額 /  使用料相当額 /  出所の混同 /  差止 /  共有 / 
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事件 平成 11年 (ワ) 438号 商標権使用差止等請求事件
原告 住友不動産株式会社右代表者代表取締役 【A】 右訴訟代理人弁護士 鈴木修矢部耕三右補佐人弁理士 【B】
被告 株式会社プロパスト右代表者代表取締役 【C】 右訴訟代理人弁護士 羽野島裕二
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 1999/10/21
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告は、別紙「目録(三)」及び同「目録(四)」記載の標章、並びに、「ヴィラージュ」又は「VILLAGE」と同一の文字を書して成る部分と地域的名称とを組み合わせて成る標章を、建物の売買に当たり、建物に付してはならない。
二 被告は、前項記載の各標章を、定価表、取引書類、その他の印刷物、並びに、看板、のぼり、チラシ、新聞広告等の広告物に付して、展示し又は頒布してはならない。
三 被告は、原告に対し、五〇〇万円及びこれに対する平成一一年一月二六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
四 原告のその余の請求を棄却する。
五 訴訟費用は、これを四分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
六 この判決は、第一項ないし第三項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
原告の請求
一 主文第一項及び第二項同旨 二 被告は、原告に対し、一〇〇〇万円及びこれに対する平成一一年一月二六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
事案の概要
本件は、「土地の売買、建物の売買」を指定役務とする登録商標の商標権者である原告が、その登録商標と類似する名称を付したマンションを販売した被告に対し、商標権侵害を理由として、当該名称等の使用の差止め及び損害賠償を求めている事案である。
一 争いのない事実 1 原告は、「土地の売買、建物の売買」を指定役務とする別紙「目録(一)」(「ヴィラージュ」)及び同「目録(二)」(楕円の中に「Village」の語を配したもの)の各商標権(以下、これらを「本件商標権」と総称し、その登録商標を「本件登録商標一」「本件登録商標二」といい、これらを「本件登録商標」と総称する。)の商標権者である。
2 被告は、不動産の売買、賃貸、仲介、管理等を業とする株式会社であり、平成九年六月ころから、別紙「目録(三)」(「ヴィラージュ白山」)及び同「目録(四)」(「VILLAGE」)の各標章(以下、これらを「被告標章」と総称する。)を、東京都文京区<以下略>、同七及び同八所在のマンション(以下、この一棟の建物を「本件マンション」といい、その専有部分である各区分所有建物を「本件各住居」という。)の名称として使用し、これを分譲販売した。
3 被告標章は、本件登録標章一の「ヴィラージュ」を本件マンションの所在地の名称と組み合わせたもの(「ヴィラージュ白山」。別紙「目録(三)」)、及び、「Village」という本件登録標章二に含まれる単語の文字をすべてアルファベットの大文字で表記したもの(「VILLAGE」。同「目録(四)」)であって、いずれも本件登録商標と類似している。
二 争点及び当事者の主張 1 被告による被告標章の使用が、本件商標権の侵害に当たるか。
【原告の主張】 (一)(1) 被告は、次のとおり、本件登録商標に類似する被告標章を、本件登録商標の指定役務である「建物の売買」に使用した。
ア 本件マンションは、建物の売買という「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。)」であるから、これに被告標章を付する行為は、商標法2条3項3号所定の、標章を使用する行為に該当する。
イ 被告標章を付した本件マンションを販売する行為は、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」(同項四号)に該当する。
ウ 本件マンションは、建物の売買という「役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。)」であるから、これに被告標章を付したものを建物の販売という役務の提供のために展示する行為は、
同項五号所定の、標章を使用する行為に該当する。
エ 本件マンションの販売のために使われるチラシ、看板等の広告や、重要事項説明書等の取引書類に被告標章を付する行為は、「役務に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、又は頒布する行為」(同項七号)に該当する。
(2) 被告が右のとおり被告標章を使用した行為は、同法37条1号により、本件商標権を侵害する行為とみなされる。
(3) 被告が、被告標章を付した本件マンションを所持する行為は、同条三号の「指定役務・・の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持」する行為であるから、本件商標権を侵害する行為とみなされる。
(4) 被告が、被告標章を本件マンションに付して使用するために、被告標章を表示するチラシ、看板等を所持する行為は、同条五号の「指定役務・・について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持」する行為であるから、本件商標権を侵害する行為とみなされる。
(5) 右のとおり、被告は、本件登録商標に類似する被告標章を、本件商標権の指定役務である「建物の売買」という役務に使用したものであって、被告の行為は本件商標権を侵害するものである。
(二) 被告が被告標章を付した本件マンションは、建物であり不動産に属するが、
建物のうちでも建売住宅や分譲マンションは、現実に取引の対象とされ転売も盛んに行われているという事情にかんがみれば、社会通念上の「商品」であるということができるだけでなく、商標法上の保護の対象としての「商品」というべきである。したがって、被告は、「商品」である本件マンションに被告標章を付して、その販売を行ったということができる。
そして、建物という「商品」は、建物の売買という「役務」に極めて類似しているから、被告が本件マンションやその広告等に被告標章を付してこれを販売するなどした行為は、本件商標権を侵害するものというべきである。
(三) 被告は、「ヴィラージュ」又は「VILLAGE」の文字と地域的名称とを組み合わせた標章を、被告が将来販売するマンションに使用する意図を表明しているところ、これらの標章もまた本件登録商標と類似する。したがって、建物の売買に当たり、被告がこれらの標章を建物に付する行為も、本件商標権を侵害するものというべきである。
(四) よって、原告は被告に対し、商標権侵害に基づき、被告標章等の使用の差止め(商標法36条1項)及び後記の損害賠償を求める。
【被告の主張】 (一) 商標法2条3項3号の「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。)に標章を付する行為」とは、役務が「主」で、利用に供する物が「従」の関係にある場合をいうものである。ところが、建物の購入者にとっては、建物自体が「主」であり、その販売に関する役務は「従」である。そして、この点は、同条項四号、五号及び七号に関しても同様である。したがって、本件マンションや、その広告等に被告標章を付する行為や、これらを所持する行為は、被告標章を「建物の売買」という役務の提供につき使用する行為に当たらない。
(二) 不動産である土地・建物は、商標法が保護の対象とする「商品」とは考えられておらず、商品及び役務の区分を定める商標法施行令及び商標法施行規則の各別表にも掲げられていない。これは、不動産が一つとして同一のものがない個性の強いものであることから、販売業者が誰であるかという出所表示が需要者にとって意味がないからである。
本件マンションやその広告等に被告標章を付する行為が、建物の売買という役務について被告標章を使用したことになるという原告の解釈によれば、建物が指定商品に分類されたのと同一の法的効果を容認することになるのであって、原告の主張は商標法の趣旨を没却するものである。
さらに、建物が商標法上の「商品」に当たるという原告の主張は、現行の商標法の文理解釈の域を明らかに超えており、独自の立法論を展開しているというべきである。
(三) 被告は、本件マンションの名称として被告標章を使用しているのであり、被告の提供する役務を表示するものとして、これを他の業者の役務と識別するために用いているのではない。そして、自他役務識別機能を果たさない態様でされた標章の使用については、商標権侵害を否定すべきであるから、被告の行為は本件商標権を侵害するものではない。
(四) 原告が本件登録商標を用いているのはリゾートマンションであるのに対し、
本件マンションは都市型の居住用マンションであって、両者はその用途、立地、客層、価格が全く異なるから、需要者にとって誤認混同のおそれは極めて低い。
2 原告の損害額【原告の主張】 原告は、被告による本件商標権の侵害行為により、次の(一)又は(二)の損害を被った。
(一) 本件各住居の総売上金額一〇億七〇二〇万円に、被告の利益率七パーセントを乗じた七四九一万四〇〇〇円が、原告が受けた損害の額と推定される(商標法38条2項)。
(二) 右の総売上金額に、本件商標権につき原告の受けるべき相当実施料率八パーセントを乗じた八五六一万六〇〇〇円を、原告は自己が受けた損害の額としてその賠償を請求できる(同条三項)。
よって、原告は、被告に対し、選択的に、右(一)(二)のいずれかの内金一〇〇〇万円及びこれに対する不法行為の後である平成一一年一月二六日(訴状送達の日)から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
【被告の主張】 すべて争う。
争点に対する判断
一 争点1(商標権侵害の成否)について 1 後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(一) 被告は、本件マンションの階段入り口部分の表示板に被告標章を付するとともに、被告標章又は「ヴィラージュ白山」という文字から成る標章を付した立て看板、垂れ幕等を本件マンションの外壁又はその周辺地域に掲示したり、右各標章を付したチラシ、パンフレットを配布したりして、その宣伝広告を行い、本件各住居を販売した。(甲五、六) (二) 被告は、原告から再三抗議を受けたにもかかわらず、本件マンションの名称として被告標章を用いることをやめようとしなかった。また、「ヴィラージュ」という標章を今後もマンションの名称として用いるのかという原告からの問合せに対し、被告は、「ヴィラージュ」を使わないとの約束はできない旨を答えた。(甲五、七の1、2、八ないし一〇、乙二三) (三) 指定役務を「建物の売買、土地の売買」とする登録商標の中には、マンションの名称として用いられているもの(「パークホームズ」「パークシティ」「パークハウス」「アルス」「アールヴェール」「フォレストヒルズ」等。甲一四、一五、一六の1ないし7、一九ないし二四、二七、二八、二九の1ないし7、三四、
三五、三六の1ないし4)と、マンションの名称としては用いられていないもの(「リハウス」「ステップ」「そよかぜ」「パル」「赤い屋根」「生活散歩」「ヴェールファン」等。乙一ないし四、三二ないし四一)がある。
2 原告は、前記のとおり、被告が建物の販売という役務又は建物という商品に被告標章を使用したと主張するので、まず、被告が被告標章を右役務に使用したということができるかどうかを判断し、次いで、右商品に使用したということができるかどうかを判断する。
(一) まず、被告が被告標章を建物の販売という役務に使用したということができるかどうかを、判断する。
商標法2条3項3号、四号は、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。)」に標章を付する行為をもって、
役務についての標章の使用とするが、右各号にいう「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。)」とは、例えば、ホテル・旅館における寝具、洗面用具、浴衣、レストランにおける食器、ナプキン、タクシー会社における自動車、銀行における預金通帳など、役務提供の手段として用いられる物品であり、顧客に提供される役務との関係で付随的なものである。そして、顧客の支払う金銭との関係からいえば、これと対価関係に立つのは役務であり、右物品自体が対価関係に立つものではない。
これに対して、本件においては、本件マンションないし本件各住居は顧客が支払う金銭と直接の対価関係に立つものであって、本件各住居の所有権こそが被告と顧客との間の契約の対象であり、本件売買において、本件各住居の所有権移転の外に顧客に対して提供されるべき役務は存在しない。したがって、被告による被告標章の使用は、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、
又は貸し渡す物を含む。)」に標章を付する行為に該当するとはいえない。
また、前記認定事実によれば、被告標章は本件マンションという被告の販売する個別の建物に付されているものであって、被告の不動産売買の営業一般について付されたものと認めることもできない。
右によれば、本件マンションやその広告等に被告標章を付する行為や、これらを所持する行為をもって、「建物の売買」という役務の提供につき使用する行為に該当するということはできないから、被告の被告標章の使用について、本件登録商標の指定役務である「建物の売買」という役務に使用したものとして本件商標権の侵害をいう原告の主張は、採用することができない。
(二) そこで、次に、被告が被告標章を建物という商品に使用したということができるかどうかを、判断する。
商標法には、「商品」についての明確な定義規定はないが、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」という同法の目的(商標法1条)や、
「商標」が「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用するもの」と定義され(同法2条1項1号)、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」及び「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、
譲渡若しくは引渡しのために展示し、又は輸入する行為」が標章についての「使用」であると定義されている(同条三項一号及び二号)ことに照らすと、商標法によって保護される「商品」とは、譲渡、引渡し、展示又は輸入の対象となるもの、
すなわち、市場において流通に供されることを予定して生産され、又は市場において取引される有体物であり、これに標章が付されることによってその出所が表示されるという性質を有するものをいうと、解するのが相当である。
そして、不動産のうち、土地については、その存在する場所によって特定されるもので、同一の地番により表示される土地が複数存在することはあり得ないものではあるが、造成宅地等においては、立地条件、面積等のほぼ同等のものの間で代替性が認められる上、どの業者により宅地の造成工事が施工され販売されるかは、業者の設計施工能力、瑕疵修補能力、損害賠償能力等の点から購入者にとって重要な関心事であって、取引上、広告等において施工・販売業者が顧客に対して表示されるのが通常であるし、注文建築による住宅等についても、具体的な個別の住宅は注文主と施工業者との間の請負契約により建築されるものであるが、代替性が認められ、施工業者は建築材料、工法等においてそれぞれ特徴を備えており、いわゆるモデルハウスや広告等において施工業者が顧客に対して表示されているものであって、この点は仕立服等の場合と異なるところはない。また、分譲マンションや建売住宅は、地理的利便性、間取り等においてほぼ同等の条件を備えた、互いに競合するものが多数供給され得るものである。このように造成地、建物等の不動産であっても、市場における販売に供されることを予定して生産され、市場において取引される有体物であると認めることができるものであって、これに付された標章によってその出所が表示されるという性質を備えていると解することができるから、これらもまた商標法によって保護されるべき「商品」に該当するものと判断するのが相当である。
なお、土地・建物は、商標法施行令及び商標法施行規則の各別表に定められた商品の区分には掲げられていないが、右に判示したところに照らせば、このことは、
土地・建物が商標法上の「商品」であると解することの妨げとなるものではないというべきである。
右によれば、被告が販売した建物(本件各住居)は商標法上の「商品」ということができ、被告が本件マンションないし本件各住居及びその広告に被告標章を付した行為は、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、又は輸入する行為」及び「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、又は頒布する行為」(商標法2条3項1号、二号及び七号)に該当するものと認められる。
したがって、被告は、被告標章を建物という「商品」に使用したということができる。
3 本件商標権は、「建物の売買、土地の売買」という役務について登録されたものであるが、商標法上、「役務」と「商品」とは、互いに類似することがあるものとされている(商標法2条5項)。そこで、本件商標権の指定役務である「建物の売買」という役務と、被告が被告標章を使用した「建物」という商品とが類似するものであるかどうかにつき検討する。
役務と商品とが類似するかどうかに関しては、前述の商標法の目的や商標の定義に照らし、役務又は商品についての出所の混同を招くおそれがあるかどうかを基準にして判断すべきであり、商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか、商品と役務の用途が一致するかどうか、商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか、需要者の範囲が一致するかどうかなどの事情を総合的に考慮した上で、個別具体的に判断するのが相当である。
そして、商品の販売という役務に用いられるべき標章と同一又はこれに類似する標章を、当該商品の名称として使用した場合には、当該役務の提供者と当該商品の出所とが同一であるとの印象を需要者・取引者に与えると解される。
これを本件についてみるに、「建物の売買」という役務と「建物」という商品との間では、一般的に右役務提供の主体たる事業者は「建物」という商品の販売主体となるものであり、需要者も一致するから、役務と商品との間において出所の混同を招くおそれがあるものと認められる。したがって、「建物」という商品は、「建物の売買」という役務に類似するというべきである。
4 以上によれば、被告の前記行為は、指定役務に類似する商品について登録商標に類似する商標を使用する行為(商標法37条1号)に該当するものであって、
本件商標権を侵害するとみなされるから、原告は被告に対し、被告標章の使用の差止め及び後記の損害賠償を求めることができる。
また、被告は、「ヴィラージュ」又は「VILLAGE」の文字と地域的名称とを組み合わせた標章を、被告が将来販売するマンションに使用する意図を表明しているところ、これらの標章もまた本件登録商標と類似するものと認められるから、
これらを建物に付して販売した場合には、登録商標の指定役務に類似する商品について登録商標に類似する商標を使用する行為として、本件商標権を侵害することとなるので、原告は、その予防としてこれらの標章の使用の差止めを求めることができる。
二 争点2(損害の額)について 1 証拠(甲六、一三)によれば、本件マンションは総戸数二七戸の分譲マンションであり、本件各住居の販売価格は、合計一〇億七〇二〇万円であると認められる。
したがって、被告は本件商標権の侵害行為により、右金額の売上を得たものと認めることができる。
2 原告は、右金額に相当使用料率又は被告の利益率を乗じた金額のいずれかが、被告による本件商標権の侵害行為により被った損害であり、その内金として一〇〇〇万円を請求すると主張している。
そこで、本件商標権の使用に対して原告が受けるべき金銭の額に相当する額(商標法38条3項)について検討すると、本件各住居の販売価格のうちの相当部分は土地(敷地の共有持分)の対価であると考えられること、宅地建物取引業者が建物の売買の媒介に関して依頼者から受け取ることのできる報酬の額は、一般に建物の価格の三パーセント程度とされていること(宅地建物取引業法46条1項、昭和四五年建設省告示第一五五二号参照)、一般に建物の需要者は、これに付された標章によって表示される出所を考慮するにしても、むしろ、その立地、床面積、間取り、設備、価格、周辺環境等の事情を重視して、当該建物を購入するかどうかを判断するのが通常であること、現在までに原告が本件登録商標を使用して販売した物件は山梨県八ヶ岳山麓にあるリゾートマンションのみであり(甲五)、本件登録商標の顧客吸引力はさほど大きなものとはいえないこと、他方、本件マンションは都市型の居住用マンションであること、その他本件における諸事情を総合考慮すると、本件各住居の販売価格の合計額の約〇・五パーセントに当たる五〇〇万円をもって、本件における使用料相当額と認めることができる。
また、被告が本件マンションの販売により得た利益のうち、被告標章の使用の寄与に係る部分が右金額を上回ることを、認めるに足りる証拠はない。
3 したがって、原告の損害賠償請求は、五〇〇万円及びこれに対する不法行為の後である平成一一年一月二六日(訴状送達の日)から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
三 よって、主文のとおり判決する。
(口頭弁論の終結の日 平成一一年八月三一日)
裁判長裁判官 三村量一
裁判官 中吉徹郎
裁判官 長谷川浩二
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