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事件 昭和 55年 (ネ) 2053号
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裁判所 大阪高等裁判所
判決言渡日 1985/12/20
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 一審被告株式会社トロイの本件控訴ならびに一審原告の本件控訴および当審で追加した予備的請求をいずれも棄却する。
二 一審原告の当審における訴えの変更に基づき、原判決主文二項を次のとおり変更する。
一審被告株式会社トロイは、一審原告に対し、別紙商標目録(三)の商標権の移転登録手続をせよ。
三 第二〇五三号事件の控訴費用は一審被告株式会社トロイの負担とし、第二〇八一号事件の当審における訴訟費用は一審原告の負担とする。
四 原判決主文五項を「原告の被告株式会社トロイに対するその余の請求および被告【A】に対する請求を棄却する。」と、同六項を「訴訟費用中、原告と被告株式会社トロイとの間に生じた分はこれを四分し、その一を原告の、その余を被告株式会社トロイの各負担とし、原告と被告【A】との間に生じた分は原告の負担とする。」とそれぞれ更正する。
事実及び理由
全容
一 当事者の求めた裁判(一審原告)1 第二〇五三号事件(一) 一審被告株式会社トロイの控訴を棄却する。
(二) 控訴費用は一審被告株式会社トロイの負担とする。
2 第二〇八一号事件(一) 原判決を次のとおり変更する。
(1) 一審被告株式会社トロイは、一審原告に対し、別紙商標目録(一)、
(三)および(四)の商標権の移転登録手続をせよ。
(2) (主位的)一審被告【A】は、一審原告に対し、同目録(二)の商標権の移転登録手続をせよ。
(予備的) 一審被告【A】および一審被告株式会社トロイは、一審原告に対し、同目録(二)の商標につき、一審被告【A】から一審被告株式会社トロイへ商標権移転登録手続をせよ。
一審被告株式会社トロイは、一審原告に対し、同目録(二)の商標権につき商標権移転登録手続をせよ。
(3) 一審被告株式会社トロイおよび一審被告【A】は、一審原告に対し、同目録(二)の商標権について特許庁昭和五二年五月三〇日受付第五七三五号の専用使用権設定登録の抹消登録手続をせよ。
(4) 一審被告株式会社トロイは、ズボン、スーツ、セーター、カーデイガン、
チヨツキ、ワイシヤツ、開きんシヤツ、ブラウス、スポーツシヤツ、ポロシヤツ、
くつ下、帽子およびタオルならびにそれらの包装に同目録(一)ないし(四)の各商標を付してはならない。
(5) 一審被告株式会社トロイは、(4)項の製品ならびにその包装に同目録(一)ないし(四)の各商標を付したものを譲渡もしくは引渡し、または譲渡もしくは引渡しのために展示してはならない。
(6) 一審被告株式会社トロイは、(4)項の製品に関する広告、カタログ、定価表、注文書、注文受書、納品書、請求書および領収書に同目録(一)ないし(四)の各商標を付して展示もしくは交付し、または頒布してはならない。
(7) 一審被告株式会社トロイは、その所持する同目録(一)ないし(四)の各商標を付した下げ札、包装、台紙、ネーム、洗濯ネーム、広告、カタログ、定価表、注文書、注文受書、納品書、請求書および領収書を廃棄せよ。
(二) 訴訟費用は、第一、二審とも一審被告らの連帯負担とする。
(三) 仮執行の宣言((一)の(4)ないし(7)項につき)(一審被告ら)第二〇八一号事件1 一審原告の控訴を棄却する。
2 一審原告が当審で追加した予備的請求を却下する。
3 控訴費用は一審原告の負担とする。
(一審被告株式会社トロイ)第二〇五三号事件1 原判決中一審被告株式会社トロイ敗訴部分を取消す。
2 一審原告の請求(当審で訴えの変更をした請求を含む。)を棄却する。
3 訴訟費用は、第一、二審とも一審原告の負担とする。
二 当事者双方の主張および証拠の関係は、次に付加、訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。
1 原判決の付加、訂正(一) 原判決四枚目表三行目の「契約(」の次に「甲第一号証」を加え、同五行目の「被告会社」から同一一行目から一二行目にかけての「返還する」までを「一審原告が一審被告会社に一審原告の社名、商号、商標等を商品やカタログ等に付して使用することを許諾し(商標等の使用許諾契約)、かつ、一審被告会社は使用を許諾された一審原告の商標等につき、他に利用され侵害されないように自己の名で日本国内の権利取得手続(所定の登録手続)をするなどしてこれを管理する義務を負い、かつ、契約が終了した際は右の使用を中止し、登録名義を一審原告に移転返還する(商標等の管理委託契約」と訂正し、同裏一行目の「別紙」の次に「商標」を加え、「(二)」を削除し、「および」の次に「同目録(二)記載の」を加え、
同三行目に「要部である「トロイ」と」とあるのを「要部であり、かつ、一審原告の使用していた「トロイ」なる商標に」と、同六行目の「ワンポイント」から同七行目の「使用する」までを「主たる文字商標にワンポイント・マークを付して文字商標と一体的に使用することが流行していたことから、「トロイ・ブロス」のワンポイント・マークとして一審原告により採用され使用される」と、同一二行目に「管理委託」とあるのを「商標等の管理委託契約」とそれぞれ訂正し、同五枚目裏一一行目から同六枚目表二行目までを削除する。
(二) 原判決六枚目表五行目の「契約(」の次に「甲第二号証」を加え、同六行目に「一部の変更」とあるのを「内容に一部変更」と訂正し、同一〇行目の「会社に対し」の次に「、その要請に従い、」を加え、同行の「別の商標」から同裏二行目の「一六日)」までを「別紙商標目録(三)記載の「サン・フエア」および同目録(四)記載の「キヤスタウエイ」の両商標を追加提供し使用を許諾した。そしてこれらについても、右商標等の管理委託契約の趣旨に従い、「サン・フエア」は昭和五〇年五月一三日、「キヤスタウエイ」は同月一六日」と、同裏一二行目の「いずれも」から同末行の「属する」までを「すべて一審被告会社の」とそれぞれ訂正し、同七枚目表六行目の「約定」の次に「、無理由解約権」を加える。
(三) 原判決八枚目裏一行目の「五項」の次に(前記一2の(一)の(4)ないし(7)項)を、同一一行目の「原告」の次に「主張」を、同一二枚目裏八行目の「第一期」、同一一行目の「第二期」の次にそれぞれ「ライセンス」を、同一三枚目表末行の「舶来」の次に「品」をそれぞれ加え、同裏一行目に「則つとり」とあるのを「則り」と訂正し、同一五枚目表八行目の「商事」の次に「株式会社」を加え、「同商事」とあるのを「村上商事」と、同一一行目に「同社」とあるのを「エース・メンズ・ウエア」とそれぞれ訂正する。
(四) 原判決二〇枚目表四行目の「甲第一号証」、同五行目の「甲第二号証」の次にそれぞれ「の契約書」と、同裏一一行目の「業者」の次に「である」と、同二四枚目裏六行目の「決定」の次に「を」をそれぞれ加え、同二五枚目裏九行目に「云々」とあるのを「問題と」と、同二六枚目表一〇行目から一一行目にかけて「おこなわれ」とあるのを「行われ」と、同裏九行目に「則つとつて」とあるのを「則つて」と、同二七枚目表八行目に「右」とあるのを「ザ・」と、同裏一二行目に「下札」とあるのを「下げ札」とそれぞれ訂正し、同三〇枚目裏一〇行目の「マーク」の次に「の」を加え、同三一枚目裏八行目に「%」とあるのを「パーセント」と訂正する。
2 一審原告の主張(一) 本件商標の帰属について(1) 本件ライセンス契約の締結の過程においてあらわれた各事実を総合し、合理的に検討すれば、一審被告会社は、一審原告の商標のみを使用するというのが、
代表取締役【B】のそもそもの意図であり、一審原告による使用許諾の対象となる商標等は、すべて一審原告のものであるというのが本件ライセンス契約における当事者の意思であつた。別紙商標目録(一)記載の「トロイ・ブロス」および同目録(二)記載のパイプ・マークの二つの商標は、いずれも第一期ライセンス契約締結時に存在している。
(2) とりわけ、パイプ・マークについては、その生成、確定の経緯、すなわち、パイプ・マークは一審原告の商標たる「トロイ・ブロス」のワンポイント・マークとして「トロイ・ブロス」と不可分一体に用いられるために採用されたものであること、ワンポイント・マークの選択については【C】と【B】との間で検討がなされ、【C】が提案したサンフランシスコのケーブルカー、西洋かぶと、剣と楯等に対し、【B】が他社がすでに登録しているが、登録切れになつているパイプ・マークを提案したものであること、右の各候補の中でパイプ・マークは登録可能であり、しかも早く決めねばならないという理由のために、【C】が同マークの採用を決定したものであることなどの各事実によれば、パイプ・マークは一審原告のものであるとの【C】と【B】との了解を当然の前提として【C】がパイプ・マークの採用を決定したものである。
(二) 【D】書簡(乙第一二号証)について(1) 一審被告らは、一審原告はパイプ・マークを自己のものと思つておらず、
一審原告の代理人千里貿易の代表取締役【D】は、一審被告会社宛の手紙(乙第一二号証、以下「【D】書簡」という。)において、パイプ・マークは一審原告のものではないと明言していると述べる。しかしながら、【D】書簡は、一審原告と一審被告会社との間の本件商標の帰属をめぐる紛争(以下「本件紛争」という。)の発生前に本件紛争とは無関係に作成され、その内容も商標の帰属に関する【D】の意見表明ではないのであつて、パイプ・マークが一審原告の所有に属するものでないことを認めているものではない。
(2) 一審被告らは、本件紛争が昭和五一年八月九日東洋ホテルにおいて、一審被告【A】が「トロイ・ブロス」とパイプ・マークはそれぞれ一審被告会社と一審被告【A】のものであると発言したことにより発生したと主張しているが、本件紛争は後述するように、昭和五一年一〇月まではその片鱗さえもなかつたのであつて、実際に本件紛争が発生したのは昭和五二年一月である。
(ア) 【D】は昭和五一年一〇月頃兼松江商の【E】から、一審被告会社の【F】が右【E】に「トロイ・ブロス」ブランドはみな一審被告会社の所有であるといわれた旨聞かされた。事の意外に愕然とした【D】は、【B】の長男の結婚式に出席するため同月来日した【G】に、本件商標等がすべて一審原告のものである旨の確認を一審被告会社から得るよう進言した。そこで、【G】は帰国後、弁護士を介して、一審被告会社に対し、昭和五一年一一月九日付(甲第五二号証の一)および同年一二月三日付(同号証の二)の各書簡をもつて本件商標等がすべて一審原告のものである旨の確認を求めた。これに対し一審被告会社は、弁護士を介して、
同五二年一月一九日書簡(同号証の三)をもつて、本件商標等はすべて一審被告会社のものである旨回答した。本件紛争はここにおいて発生した。
(イ) しかし、【G】は一審被告会社からの右書簡の末尾に紳士的平和的に解決する方法を望む旨の記載があるところから、一審被告会社の真意は一審原告と対決することにはないと解し、【D】に対し話合いで解決するよう指示した。ところが、一審被告会社は、話合いは互に弁護士を通じてやつてくれといつて直接の話合いを拒否した。しかし、【D】が色々と努力した結果、【B】、【D】および株式会社東京トロイの代表取締役【H】の三人が【G】に会いに渡米することになつた。しかるに【B】は、出発間際になつて渡米しないといつてきたので、【D】は代りに本件商標等が一審原告のものである旨確認する文書をくれるよう【B】に要請した。しかし、【B】が同年四月二三日持参した文書(甲第三九号証)は本件商標等が一審原告のものであることを暗に示すものの、それが明確に記載されていなかつたので、【D】はこれでは不満足であるとして、右文書を【B】につき返した。
(ウ) このようにして平和的解決への【D】の努力も徒労に帰し、【D】は、ついに同月二六日一審被告会社に対し第二期ライセンス契約を解約する旨の通知(甲第三号証の一)を出すに至つた。
(3) 【D】書簡の作成時期および内容について(ア) 【D】書簡は昭和五一年七月二五、六日頃から同年八月四日までの間(すなわち、昭和五一年八月九日の東洋ホテルにおける会合の前)に、【D】が作成したものであつて、東洋ホテルの会合とは全く関係がなく、しかも本件紛争もいまだ発生していない時期に作成されたものである。
(イ) 【D】書簡は、商標の帰属に関する【D】の意見表明をその内容とするものではない。右書簡に「本商標はTroy of Ca-lifの権利所有ではありません。」との記載があるのは、パイプ・マークが一審原告のものではないとの【D】の主観を表現したものではない。【D】はパイプ・マークが一審被告【A】の名義で所有登録がなされており、一審被告会社の【I】から、一審被告【A】が一審被告会社にその使用料を支払つてくれといつている旨聞き及んでおり、当時一審被告【A】が経済的に困窮しており、それに同情していたところから、一審被告【A】が一審被告会社から幾許かでも金員を貰い易くする趣旨で、右の表現を採つたのである。
(三) 「トロイ・ブロス」とパイプ・マークの不可分性について(1) 第二期ライセンス契約を解約する旨の通知(甲第三号証の一)には、「トロイ・ブロス」の記載はあるが、パイプ・マークの記載がないため、【D】がパイプ・マークの返還を求めていないと思われるかもしれないが、右通知の「トロイ・ブロス」はパイプ・マークを含むものとして用いられているのであり、【D】は右通知においてパイプ・マークの返還をも求めているのであつて、一審被告会社も【D】がパイプ・マークの返還を求めたと理解していたのである。
(2) パイプ・マークは、もともと「トロイ・ブロス」のためのワンポイント・マークとして誕生したものであるから、同マークは「トロイ・ブロス」と一体として使用されるべく運命づけられ、また、実際に「トロイ・ブロス」と常に一体として使用されていたものである。そのため、【G】や【D】をはじめ、【B】、一審被告【A】その他本件ライセンス契約に関連する人達はみな、さらにひいては一般においても、「トロイ・ブロス」とパイプ・マークを合わせて「トロイ・ブロス」と総称していたのであり、「トロイ・ブロス」といえば当然にパイプ・マークを含むものと認識されていたのである。パイプ・マークを除いてTroy Brosだけを指す「トロイ・ブロス」という表現は、観念的にはあり得ても、現実には、特にパイプ・マークを除いて表現したい場合を除き、用いられたことがなかつたのである。
(3) 以上のとおり、パイプ・マークはそれ自体独立の商標として扱われたことはなく、常に「トロイ・ブロス」と一体として用いられ、「トロイ・ブロス」とパイプ・マークは一つの「トロイ・ブロス」という商標として単一の所有者(一審原告)のものと本件ライセンス契約の関係者のみならず、業界において認識されていたのである。
(四) パイプ・マークの登録名義変更の経過と移転登録義務について(1) 「トロイ・ブロス」は当初一審被告【A】名義で登録出願されたが最終的には、一審被告会社名義に登録され、前記商標等の管理委託契約の本旨に副うものとなつた。しかし、パイプ・マークについては、同管理委託契約に従い、本来の名義人である一審被告会社の名義で登録出願されたにもかかわらず、一審被告会社は昭和五〇年三月一日に一審被告【A】にパイプ・マークの管理を再委託したため、
その名義が一審被告会社から一審被告【A】に変更され、同名義で所有登録されるに至つたものである。
仮に一審被告会社と一審被告【A】との間に右再委託契約が存在しないとすれば、一審被告会社はその取締役である一審被告【A】と相謀り、右管理委託契約の本旨に反して、同商標の出願による権利を、真実は一審被告【A】に移転する意思はないのに、その登録出願人名義を一審被告会社から一審被告【A】へ変更してしまつたものである。
なお、一審被告らは、パイプ・マークの右名義変更につきパイプ・マークは一審被告【A】が考案したから同一審被告のものであるが、すでにパイプ・マークの商標登録権者であつた大信貿易株式会社との同マークの譲受交渉を有利に運ぶために、将来名義を一審被告【A】にもどすとの約束のもとに、便宜上一審被告会社名義で登録出願され、その後右契約に基づき名義が一審被告【A】にもどされた旨主張する。しかし、これは事実に反する主張であり、パイプ・マークの右名義変更は豊田通商が昭和五〇年四月に一審被告会社に資本参加することが同年二月に決定したため、【B】が自己保身の一策として腹心の部下であつた一審被告【A】と相謀つてなしたものなのである。
(2) 一審被告【A】は、右のとおり、一審被告会社との再委託契約により、本件(二)の商標の所有登録名義人になつているにすぎないから、第二期ライセンス契約における前記商標等の管理委託契約および信託法26条3項またはその類推適用により、一審原告に対し、同商標の所有登録名義の移転登録手続をなす義務および専用使用権設定登録の抹消登録をなすべき義務がある。
仮に、一審被告【A】と一審被告会社との間に、右の再委託契約が認められないとしても、本件(二)の商標の所有登録名義が一審被告【A】になつているのは、
一審被告会社と一審被告【A】が通謀してなした虚偽の譲渡契約によるものであつて、これは一審被告会社による前記商標等の管理委託契約違反行為および一審被告会社の取締役である一審被告【A】がそれに関与したことによるものである。しかるに、一審被告【A】と一審被告会社は同名義を一審被告会社にもどすことを拒否している。したがつて、一審被告【A】は一審原告に対し、信託法27条34条またはその類推適用および民法423条により、また、民法94条1項または商法265条、民法703条および民法423条により、同名義の移転登録手続をなす義務がある。
仮に一審被告【A】から一審原告へのパイプ・マークの所有登録名義の直接移転が認められないとしても、一審被告【A】は同登録名義を一審被告会社にもどす義務を一審原告に対して負つており、一審被告会社は同登録名義の移転を一審被告【A】から受けたうえ、一審原告に移転登録手続をなす義務を一審原告に対して負つているのである。
よつて、一審原告は、予備的請求として、一審被告らに対し、一審被告【A】から一審被告会社への移転登録手続を求めるとともに、一審被告会社に対し一審原告への移転登録手続を求める。
(五) 当審における訴えの変更 別紙商標目録(三)記載の「サン・フエア」については一審被告会社を出願人として商標登録出願されたが登録されていなかつたため、一審原告はこれに関する登録出願によつて生じた権利が一審原告に帰属することの確認を求めていたところ、
「サン・フエア」について昭和五五年六月二七日付で一審被告会社を権利者として商標登録された。よつて、一審原告は、訴えを変更し、一審被告会社に対し、本件(三)の商標権の移転登録手続を求める。
(六) 一審被告らの本件ライセンス契約の法律上無効性の主張についての反論 本件ライセンス契約は、外国法人である一審原告の一審被告会社に対する本件(一)の商標「トロイ・ブロス」、(二)の商標パイプ・マークについての使用許諾契約であるが、第一期ライセンス契約締結時においては、右各商標はいずれも商標登録出願すらなされていないし、また、第二期ライセンス契約時においては、本件(二)の商標「トロイ・ブロス」につき商標権の設定登録がされていたが、右は一審原告名義ではなく、一審被告会社名義であるから、たとえ第二期ライセンス契約に基づき一審原告が一審被告会社に「トロイ・ブロス」商標の使用を許諾し、契約終了時における商標権の返還を合意していたとしても、右は外資に関する法律(昭和二五年法律第一六三号以下「旧外資法」という。)3条1項3号所定の「工業所有権の使用権の設定に関する契約」にはあたらず、本件ライセンス契約については、旧外資法上の「甲種技術援助契約」に必要とされる認可を要しない。
仮に、本件ライセンス契約が旧外資法10条所定の「甲種技術援助契約」にあたり、同法上の認可を要したとしても、本件ライセンス契約につき右認可を得なかつたことは、次に述べる理由により同契約を無効とするものではない。
(1) 旧外資法2条の規定によれば、同法は本来自由であるべき外国資本の日本に対する投資を、右投資のため健全な基礎造りをするという見地から過渡的に制限する法律であることが明らかである。「甲種技術援助契約」の認可については、第一期ライセンス契約締結前の昭和四三年五月一〇日の閣議決定により、第一次技術導入の自由化が同年六月一日から実施され、第二期ライセンス契約締結前の昭和四七年六月三〇日の閣議決定により、第二次技術導入の自由化が決定、実施されている。右の技術導入の自由化により緩和された基準によれば、第一、二期ライセンス契約のいずれも、旧外資法上の認可の申請さえすれば、日本銀行において自動的に認可された筈のものであり、遅くとも第一期ライセンス契約締結時においては、右自由化により、同法違反の契約の私法的効力を無効と解すべき社会的要請、社会倫理的非難は存しなくなつていた。
(2) 外国為替及び外国貿易管理法(昭和二四年一二月一日法律第二二八号、昭和五四年一二月一八日法律第六五号により廃止、以下「旧外為法」という。)は、
本来自由であるべき行為を過渡的に制限する法律であるから、単なる取締法規であると解されているが、旧外資法は旧外為法と同じであり、とくに昭和三六年以降は許認可の基準において両者間に差異はなく、外資の導入についても旧外為法適用のものと、旧外資法適用のものとがあるが、右両者間でその効力を別異に解する理由はない。
(3) 本件ライセンス契約は継続的契約であり、一審被告会社は約八年間にわたり、同契約が有効に存在することを認め、同契約に基づくロイヤルテイ支払等の義務を履行し、同契約より受ける利益を享受してきたのであるから、旧外資法が廃止され、新しい外国為替および外国貿易管理法(昭和五四年一二月一八日法律第六五号)のもとに技術援助契約には事前の届出のみを要するとされた現在において、永年継続した契約関係を過去に遡つて無効とすべき必要性も社会的要請も存しない。
(4) 旧外資法の目的の一つは、同法1条に規定されているように外国投資家に対し、投資元本、収益の回収を保証することにあるが、本件ライセンス契約において同法上の認可を欠くことを理由に同契約を無効とし、一審被告会社の一審原告に対する商標権の返還義務を否定することは同法の右目的にも反する。
3 一審被告らの主張(一) 予備的請求について(1) 一審原告の予備的請求は、いずれも時機に後れた攻撃防禦方法であるから民訴法139条の規定により却下されるべきである。
(2) 仮にそうでないとしても、予備的請求原因事実中、一審原告と一審被告会社との間に本件(二)の商標パイプ・マークについて、その登録名義を返還するとの信託的契約があつたとの点および一審被告【A】が悪意で名義変更登録をしたとの点は争う。一審原告の予備的請求は全く根拠がなく、棄却されるべきである。
(二) 当審における訴えの変更について本件(三)の商標「サン・フエア」について、昭和五五年六月二七日商標登録がなされたことは認めるが、その余は争う。
(三) 本件ライセンス契約の法律的無効性について 第一、二期ライセンス契約は旧外資法10条所定の「甲種技術援助契約」にあたるが、同条所定の主務大臣の認可を得ていないので無効であり、一審被告会社につき、商標権の返還義務は生じない。すなわち、
(1) 旧外資法による認可を得ないでなされた「技術援助契約」の効力は、私法上無効と解するのが一般である。旧外資法上の認可は行政行為としては、一般的禁止を解除するものではなく、私契約の法律上の効力を完成せしめるものとみるべく、旧外資法の前身たる「外国人の財産取得に関する政令4条が認可を受けない行為が無効である旨の明文を置いていることも、これを裏付けるものである。したがつて、当事者間で調印を終えた契約であつても、認可があるまでは何らの効力を有しない。
(2) 一審被告会社と一審原告間の昭和四三年一二月一日付契約(甲第一号証)および昭和四八年(一九七三年)一二月一七日付契約(甲第二号証)が一審原告の主張するごとく、「商標ライセンス契約」であつて、旧外資法3条3号に定義する「技術援助契約」に該当するものであれば、これらの契約については、その期間の定めからして、同法10条による主務大臣の認可を受けなければならないところ、
外国投資家(一審原告)およびその相手方(一審被告会社)は、これらの認可を受けていない。
(3) 一審原告は、一審被告会社と一審被告との間の右契約は、本件商標等についての使用許諾契約であるとし、この契約(甲第二号証)により、一審原告から使用許諾された一審被告会社名義または一審被告【A】名義で登録されている本件商標につき、一審被告会社は一審原告へ即時移転登録手続をなすべき義務を負うに至つたと主張するが、右契約が商標等についての使用許諾契約であるとすれば、旧外資法に定める「技術援助契約」に該当し、主務大臣の認可を必要としたのであり、
これを得ていない以上、右契約は私法上も無効である。
(四) 一審原告のその余の主張中、一審被告らの従前の主張に反する部分は、すべて争う。
4 証拠関係(省略) 理 由一 一審被告会社がスポーツウエア等の販売を目的として昭和四三年一二月に設立された会社であり、一審被告【A】がその取締役であること、一審原告と一審被告会社との間で、第一、二期ライセンス契約が締結されたこと、本件商標について一審原告主張のごとき各登録がなされており、現在本件(一)の商標「トロイ・ブロス」、(三)の商標「サン・フエア」および(四)の商標「キヤスタウエイ」は一審被告会社が、(二)の商標パイプ・マークは一審被告【A】がそれぞれ登録名義人となつていること、一審原告が一審被告会社に対して遅くとも昭和五二年七月五日一審被告会社に到達の内容証明郵便により第二期ライセンス契約を解除する旨の意思表示をしたことは当事者間に争いがない。
二 一審原告が本訴で主張するところは、要するに、本件商標はいずれも一審原告のものであつて、これらについて一審被告会社(またはその取締役一審被告【A】)が前記のとおり日本国における商標登録名義を有し、かつ、これらを使用してきたのは、一審原告がライセンサーとして一審被告会社との間でライセンス契約を締結し、一審被告会社に日本国における右各商標の管理を委託し、かつ、その使用を許諾していたからであるというのである(もつとも、ここに「本件商標は一審原告のもの」という趣旨は、わが国の商標法が米国のようにその権利の発生と帰属について、使用主義をとらず登録主義を採用している点に照らすと、正確には、
本件(一)ないし(四)の登録商標権について、本来、一審原告がその権利帰属者(登録名義人)たるべきものであるというにあると解さなければならない。)。
三 そこで、本件ライセンス契約締結に至る経緯、契約内容、本件商標の生成、使用およびその帰属をめぐる本件紛争の経過等の事実関係全般について検討するに、
いずれも成立に争いのない甲第一、第二号証(第二号証については原本の存在についても争いがない。)、第六ないし第一〇号証、第一四ないし第一七号証、第一八号証の一ないし三、第一九ないし第二四号証、第二六号証の一、二、第二七号証、
第二九号証、第三一号証の一ないし八、第三二号証の一ないに一〇、第三三号証の一ないし三、第三四、第三五号証、第三九号証、第四八号証の一、二(一部)、第五二号証の三、第五三号証の一、二(いずれも一部、第五三号証の一は原本の存在についても争いがない。)、第五四号証の一、乙第三号証の一、二、第四号証の一ないし五、第五号証の一ないし八、第六号証、第七号証の一、二、第八号証、第九号証の一、二、第一〇ないし第一三号、第一四号証の一ないし三、第一六号証の一ないし四、第一七号証の一ないし九、第一八号証の一、二、第一九号証、第二〇号証の一、二、第二二号証の一ないし三、第二四、第二五号証、第二七号証の一ないし三(一部)、第二八号証の一ないし六(いずれも一部、原本の存在についても争いがない。)、第二九号証、第三〇号証の一ないし三、第三四号証の一ないし四、
第三五号証の一ないし八、第三六号証の一、二、第四〇号証、第五七号証の一ないし五、原審証人【D】の証言により成立を認めうる甲第一一号証の一ないし三、第一二号証の一、二、第一三号証、弁論の全趣旨により成立を認めうる甲第三六、第三七号証、当審証人【D】の証言により成立を認めうる甲第三八号証、前掲甲第四八号証の一(東京地裁における第一二回期日の【D】証人調書)により成立を認めうる甲第四〇ないし第四七号証、当審証人【D】の証言により成立を認めうる甲第五一号証、第五四号証の二、前掲乙第二七号証の二(神戸地裁における第八回期日の【A】証人調書)により成立を認めうる乙第二一号証の一、二、原審証人【F】の証言により成立を認めうる乙第二六号証の一、二、前掲乙第二八号証の四(東京地裁における第一一回期日の【A】証人調書)により成立を認めうる乙第三一号証、第三七号証、第三八号証の一ないし五、第三九号証の一、二、一審原告主張のものであることに争いがない検甲第一ないし第三号証、第四号証の一、二、第五号証、第六ないし第八号証の各一、二、原審および当審証人【D】(一部)、原審証人【J】、"同【K】(一部)、同【F】の各証言、原審における一審被告会社代表者【B】、
当審における一審被告【A】(いずれも一部)各本人尋問の結果を総合すると、次の事実を認めることができる。
1 一審原告は、もとTroy Sportswear Company Inc.と称したアメリカ合衆国カリフオルニア州法人で、スポーツウエア等繊維製品の製造販売を業とする会社であり、その製品を自ら製造するほか、昭和三二年頃以降は、日本、韓国、台湾等の製造業者にも、その製造を下請発注していた。そして、その日本における製造業者の中に、一審被告会社の代表者【B】の経営する株式会社村江洋行(昭和三七年四月設立)があり、その輸出業務を担当していたものに東洋模範物産株式会社(実際の担当者は【D】)があつた。
右【D】は、やがて右東洋模範物産を退職し、昭和四三年一月六日一審原告の資金援助のもとに千里貿易有限会社を設立し、自らその代表者となり、以後一審原告の極東地区代理店となつた。
ところが、右村江洋行は、やがて韓国、台湾等の業者との価格競争に負け、一審原告との取引関係中断のやむなきに至り、その後は国内向けの製品の製造に転換していたのであるが、昭和四二年頃になり、その代表者【B】は製品の販路を従前のように多くのデイーラーにまかせるよりも(その取引先は豊田通商株式会社ほか問屋約二七社があつた。)、自ら販売会社を設立し販路を確立した方が得策であると考えるようになり、さらにその場合には外国会社と提携してその名前を利用するのが、日本人の好みにも合い有利であると判断した。
そこで、【B】は、昭和四三年頃外国企業からライセンスを受けて衣料品を販売する新会社を設立することを企画したが、新会社がライセンスを受ける企業として従前取引関係があつた一審原告が適当と判断し、同年九月頃から一審原告の日本における代理人である千里貿易の【D】を介して、一審原告の代表者【C】(同年一二月末死亡)と交渉を開始し、数度の交渉を経たうえ、同年一一月二〇日一審原告との間で、【B】が設立する新会社の商号として「トロイ」を用いること、右新会社が一審原告から商標、営業表示および販売技術等につきライセンスを受けて衣料品を販売すること、新会社が一審原告に対しロイヤルテイを支払うこと等を骨子とする最終的な合意が成立した。しかし、新会社で使用する商標について、【C】から第三者に使用されるのを防ぐため新会社の名で登録するよう要望が出されたが、
具体的にどのような商標を使用するかについての合意はなかつた。
右合意に従い、同年一二月三日には、新会社(一審被告会社)が設立され、
【D】は、その後一審原告の代理人として、一審原告と【B】との右合意に基づき、また、【C】の意向をも参酌したうえ、契約書(甲第一号証)二通を作成し、
同年一二月中旬頃これに記名押印して一審被告会社宛に郵送し、一審被告会社の代表取締役【B】が翌四四年一月これに記名押印してその一通を返送する形で、一審被告会社と一審原告との間に別紙契約書(一)のとおりの第一期ライセンス契約が締結された。
右契約書には、「千里貿易は、一審原告の委任の下に、一審被告会社が日本国内において一審被告会社の社名、販売商品に対して、一審原告の社名、商号、商標ならびにそれらに類似する商号、商標を貸用する。」(1条)、「一審被告会社は商号権、意匠権、商標権は他に侵害されざるための日本国内において所定の法的登録手続をとらなければならない。」(3条)、「一審被告会社は使用せんとする商号、商標は、事前事後を問わず、千里貿易に提示し、一審原告の同意を必要とする。」(6条)、「本契約期間中一審被告会社による契約違反、破棄または第二期以降契約不能の場合は、一審被告会社は社名、商号、商標の使用は即時中止するものとする。」(7条後段)との記載があるが、右以外には、具体的にいかなる商標が一審原告から一審被告会社に対しライセンスされたか否かの記載はない(なお、
契約書の日付は、昭和四三年一二月一日とされた。)。
2 一審被告【A】は、昭和三二年から数年間、【B】経営の村上商事株式会社に勤務していたことがあり、その後訴外エース・メンズウエア株式会社に仕入課長として勤務したが、昭和四三年七月頃【B】から右新会社設立の企画に誘われ、主体的に販売面を担当してほしいといわれてこれに応じ、同年八月二〇日頃右エース・メンズウエアに辞表を提出し、同年一〇月同社を退職して、その頃から【B】とともに新会社設立の準備に本格的に取りかかつていた。
当時、新会社(一審被告会社)の商品に付する商標については、一審被告【A】を中心に検討が進められていたところ、【B】は前記【C】との交渉の過程で同人から一審原告でかねてから使用していたTroy Spor-tswear Company Inc.の表示のある注文書(乙第九号証の二、甲第一三号証参照)や右表示のほかTroy of California Internationalなる表示や地球儀マークを付したパターン・シートや下げ札(乙第一九号証、
第二二号証の二の裏面参照)あるいはTroy of Californiaなる表示を付した封筒や便箋(乙第二〇号証の一、二)を示され、一審原告が米国で所有ないし使用している商標(ブランド)には、「ケント」、「デユーク」、「サン・バレイ」等があることを紹介されるとともに、直接あるいは【D】を通じて一審原告の商品見本、デザイン、パンフレツト等の資料の提供を受けていたので、一審被告【A】にこれらの検討を指示した。
一審被告【A】は、一審被告会社で使用する商標については、わが国における登録要件を具備していることが先決であると考え、その時期は必ずしも明らかでないが、前記最終的合意が成立した昭和四三年一一月二〇日前後頃、かねて知つていた中島特許法律事務所(【L】)に相談に行き、その意見を聞いたところ、「トロイ」なる商標は被服類に関してすでに帝国人造絹絲株式会社名義で登録されており、そのままの形では使用できないことが判明し、「ケント」、「デユーク」、
「サン・バレイ」等の商標についても、第三者による先願の登録商標がある等の理由で、一審被告会社の商標として使用するには不適当であると判断された。その結果、一審被告会社においてそのままの形で使用できる商標はなくTroy Sportswear,Troy of California Internationalなる表示や地球儀マークは新会社用に使用できるので、一審被告会社は遅くとも昭和四三年一二月三日頃までに、とりあえずこれらを使用した新会社の註文書、売上伝票等(乙第五号証の一ないし八)および封筒(乙第六号証)等の印刷を業者に依頼した。
そこで、一審被告【A】は、同年一一月下旬頃から一二月初頃までの間に、一審被告会社の社員数名とともに、「トロイ」という表示を失わず登録が可能な商標を考えているうち、一審被告【A】宅にあつたコーヒー茶碗の受皿の裏面(乙第一五号証)をヒントに、兄弟会社の意味を有するBrothersの略語であるBrosをTroyの文字の後に続けて、Troy Bros「トロイ・ブロス」とする本件(一)の商標を考えつき、また、当時スポーツウエア等に付することで流行しつつあつたワンポイント・マークについては、一審原告から示された商標とは関係なく、一審被告【A】が図案集中の図柄をヒントに「パイプに煙」のマークを創案した。そして、一審被告【A】は、同年一二月六日には、本件(一)および(二)の商標につき、グラフ印刷株式会社(営業責任者【J】)にそのデザイン化および清刷の作成を依頼し、同社ではデザイナーの【M】にそのデザインを依頼し、同人のデザインのもとに翌四四年一月下旬には、本件(一)の商標については、TroyとBrosのrosについては、一審原告から交付された資料中の「トロイ・スポーツウエア」なる表示と同じ字体を用い、残りのBについては、右の字体に合うようにデザインして、別紙商標目録(一)の形状の「トロイ・ブロス」の商標のデザインおよび清刷を完成し、また、本件(二)の商標についても、一審被告【A】から渡された手書きの図案「パイプに煙」を参考に、同じく同目録(二)の形状のパイプ・マークの商標のデザインおよび清刷を完成させた。
一審被告会社は、同年三月下旬頃から本件(一)および(二)の商標を付した商品の販売を開始し、同年四月二三、二四日の両日大阪南で展示会を開いたが、これに招待された一審原告代表者【G】は、展示品が優秀であると賞讃したが、これに付された右各商標について異議を述べたようなことは全くなく、一審原告は、一審被告会社がトロイ・ライセンス表示のもとに本件(一)および(二)の商標を使用するについては、【D】を通じて事前に連絡を受け、遅くとも右展示会の頃にはこれを了知していた。
3 一審被告会社は、それ以外トロイ・ライセンス表示のものとにその商品に本件(一)および(二)の商標を使用したが、その商品の宣伝については、外国企業からライセンスを受けた商品であることを強調するために、その商品カタログを作成する場合にも外国人モデルを使い、アメリカ西海岸に似た風景の場所を捜して、そこで撮影する等の工夫を凝らし、また、外国企業との提携関係の存否について疑問をもつ者もいたため、昭和四八年三月には、創立五周年ゴルフコンペを催し、その際に一審原告代表者【G】を招待して、同コンペに招かれた一審被告会社の取引先に対して一審原告を代表して【G】に挨拶させ、また、同年秋には一審被告会社の顧客に示すために、一審被告会社が一審原告から正式にライセンスを受けていることを証明する一審原告代表者【G】の署名入りの昭和四四年八月二〇日付の証明書を一審原告から送付してもらい、これを一審被告会社の事務所に飾つて、一審被告会社の一審原告との提携関係を明瞭に公示し、さらに、昭和四八年暮には、一審被告会社がその顧客宛のクリスマスカードを一審原告へ送付し、一審原告からアメリカの切手を貼つて直接一審被告会社の顧客へ発送してもらう等、顧客、取引先に対しては、外国企業からのライセンス商品であるとして舶来品のイメージを強調する形で、きめ細かくその宣伝、広告に努めた。その結果、一審被告会社の設立当初は、一審原告の社名、営業表示も含め、本件(一)および(二)の商標も、日本ではほとんど無名であつたため、一審被告会社の営業成績は低迷し、苦しい経営が続いていたものの、外国企業からのライセンス商品が流行していた当時の風潮にのつて、昭和四六年頃から売上も次第に伸びはじめ、同四八年頃には、比較的順調にその売上を伸ばし(昭和四七年六月の決算期には売上額は一〇億円にも達した。)、
その後石油シヨツクで一時経営が悪化したものの、本件(一)および(二)の商標は一審被告会社の営業努力もあつて、一般需要者間に次第に浸透し、その商標としての価値を増大していつた。
一審被告会社と一審原告との間で締結されていた第一期ライセンス契約は、昭和四八年にはその期間が満了したため、同年一二月一七日別紙契約書(二)のとおり、第二期ライセンス契約が締結され、契約の期間がさらに五年間延長された。
右契約書には、「一審原告は一審被告会社に対して、日本において、その販売および製造組織ならびに最終製品たる衣服に、一審原告の社名、住所、商標、ラベル、コピーライト等またはそれらの変形物を使用することを許諾する。」(2条)、「日本において一審原告から一審被告会社に提供される社名、商標、ラベル、コピーライト等に関し、一審原告の権限を守り、他の者がこれを侵害することから守られることとする。」(3条)、「一審被告会社は、トロイ・オブ・カリフオルニアの名の付されたすべての種類の商標、ラベル、包装等を使用することについて、一審原告または千里貿易の承認を得ねばならない。一審原告はこれらを全体的もしくは部分的に修正する権利を有し、一審被告会社は一審原告の修正に従わねばならない。」(8条)、「一審被告会社が違反または侵害を犯した場合には、一審原告はこの契約を解除する権利を有し、一審被告会社は一審原告から一審被告会社に通告された解除の日後一〇日以内にトロイ・オブ・カリフオルニアおよび一審原告により与えられたものすべての使用を停止する。」(13条)との記載があるが、第一期ライセンス契約同様、右以外には、具体的にいかなる商標が一審原告から一審被告会社に対しライセンスされたか否かの記載はない。右第一、二期ライセンス契約の条項、文言はかなり違う点もあるが、実質的にはロイヤルテイの金額が改訂されたほかは、その内容にさしたる相異はない。
4 本件(一)の商標は、昭和四四年二月一一日一審被告【A】名義で商標登録出願がされ、同四五年一〇月二六日の登録査定の後、商標登録出願によつて生じた権利の同年一二月一五日付の譲渡を理由に同月一七日一審被告会社に出願人の名義を変更する旨の届がされ、翌四六年四月二日一審被告会社名義で商標権の設定の登録がされ、本件(二)の商標は、昭和四五年一二月二一日一審被告会社名義で商標登録出願がなされ(出願が遅れたのは、大信貿易株式会社による既存の類似の登録商標が存在していたので、その対策を講じていたからであるが、右出願商標は昭和四九年六月期間徒過により消滅した。)、商標登録出願により生じた権利の同五〇年三月一日付の譲渡を理由に同年五月二日一審被告【A】に出願人の名義を変更する旨の届がされ、翌五一年四月一六日登録査定がされ、同年一一月一日一審被告【A】名義で商標権の設定の登録がされた。また、昭和五二年二月一日付で一審被告【A】から一審被告会社に対し本件専用使用権が設定され、右は同年七月二〇日登録された(各商標についての各登録手続関係については当事者間に争いがない。)。
なお、本件(一)および(二)の商標の出願名義が一審被告会社で一貫していない理由は必ずしも明らかでなく、一審被告【A】の名義が使われていることは、一審原告側も、後記のとおり、一審原告と一審被告らとの間の本件商標の帰属をめぐる紛争が生ずる頃まで、関知しないところであつた。
5 ところで、一般にこの種商品のブランドは一定の期間使用すると、さらに、別のブランドを追加または交替させ、もつて新しいイメージを常に維持し顧客を吸引し続けることが重要であり、一審被告会社においても、その販売店が百貨店、洋品専門店、スポーツ用品店ないしは量販店等と多様化し、これら各販売店の性格に応じた、あるいは一般成人用品と若手向商品等、商品の性質に応じた別々の商標が必要になつてきていた。そこで、一審被告会社でも第二期ライセンス契約締結後間もなく、一審原告に対し新商標等の提供を依頼していたところ、昭和五〇年三月二五日頃一審原告から千里貿易を通じて一審被告会社に対して、「キヤメル」、「サン・フエア」、「ザ・アウト・ロウ」、「キヤリイジ・ハウス」その他の商標や織札等をデツサンした資料が送られてきた。
そこで、一審被告会社は、その中から右掲記の四つの商標を採用することにし、
ただ、そのうちの「ザ・アウト・ロウ」については、調査の結果類似の登録商標があることが判つたので、これと同旨の意味をもつ「キヤスタウエイ」なる商標を考え出し、これを使用することにしてその旨一審原告の代理人千里貿易代表者【D】に申入れ、その承諾を得た。この「サン・フエア」および「キヤスタウエイ」なる商標が本件(三)および(四)の商標にほかならない。
本件(三)の商標は、昭和五〇年五月一三日一審被告会社名義で商標登録出願がなされ、原審口頭弁論終結当時いまだ登録されていなかつたが、同五五年六月二七日一審被告会社名義で商標権の設定の登録がされ、本件(四)の商標は、昭和五〇年五月一六日一審被告会社名義で商標登録出願がなされ、同五四年一二月二七日一審被告会社名義で商標権の設定の登録がされた(各商標についての各登録手続関係については当事者間に争いがない。)。
6 一審被告会社は、昭和五〇年頃繊維業界の不況の影響を受けて経営不振となり、同年四月頃豊田通商株式会社の五〇パーセントの資本参加を認めることになり、【B】の一審被告会社における立場も微妙となつていた。また、一審被告会社は東京方面での一審被告会社の販売代理店であつた株式会社東京トロイ(前身は有限会社マキシム)に対し多額の売掛代金債権を有していた(昭和五〇年六月時点で約六億三〇〇〇万円に達していた。)ので、その回収手段として同年七月二一日東京トロイとの間で本件トロイ・ブランド等に関するサブ・ライセンス契約を締結していたが、一審被告会社代表者【B】としては、債権回収ができれば東京トロイとの取引関係をただちに打切りたい意向であつた折から、東京トロイは一審被告会社に対し販売テリトリー違反の行為を敢えてする等【B】の意に沿わぬことが多かつた。これに対し、千里貿易の【D】はむしろ兼松江商株式会社をバツクとしている東京トロイとは今後とも積極的に取引関係を維持するのが得策であると考えていた。このような状況から一審被告会社は昭和五一年六月一六日東京トロイに対し前記サブ・ライセンス契約の更新を拒絶し解約を申入れたため両者間で紛争を生じたが、その頃から一審被告会社と一審原告代理人千里貿易代表者【D】との間に、東京トロイの処遇その他に関して意見の食い違いが生じた。
たとえば、東京トロイの処遇については、昭和五一年八月四日開催された一審被告会社と東京トロイのスポンサーである兼松江商との会合において、一審被告会社と東京トロイとの間で再契約はしないが、代理店契約を後日取決めることを前提として、従来どおりテリトリーは原則として崩さずに、村江洋行、豊田通商、兼松江商、東京トロイの経路で、本件(一)、(二)の商標が付された商品を継続して供給するということで暫定的な決着がついたので、前記資本参加により一審被告会社の取締役会長となつた豊田通商の専務取締役【N】の呼びかけで、関係各社の融和をはかる意味で、同月九日大阪市淀川区所在の東洋ホテルにおいて会合がもたれ、
千里貿易から【D】ら、村江洋行から【O】副社長(【B】社長の長男)ら一審被告会社から一審被告【A】、【I】常務ら(【B】社長は病気のため出席せず。)、豊田通商から【F】専務、【P】繊維部長ら関係各社の幹部十数名が集つたが、その席上、話題が東京トロイの問題に及ぶと、【D】はサブ・ライセンス契約が一審原告の意向であるから再契約はしないというのは事実に反するし、テリトリーに例外を設けるのはアン・フエアであると反対したうえ、一審被告会社が東京トロイに対する六億円余の債権の回収ができないのは【B】社長の責任であり、商売は東京トロイの【H】社長の方が一枚上であるといつて東京トロイの販売能力を高く評価し、一審被告会社は潰れてしまつたらよいときめつけ、東日本での販売は東京トロイにまかせるべきであるとの意見を述べ、その際興奮のあまり、もし自分のいうことを聞かなければ、一審原告としてはいつでも一審被告会社との間の本件ライセンス契約そのものを打切ることができる立場にあるというような強硬な発言をし、これに反発した一審被告【A】が、本件(一)の商標「トロイ・ブロス」、
同(二)の商標パイプ・マークはいずれも登録名義どおりそれぞれ一審被告会社と一審被告【A】個人のものであつて、一審原告とのライセンス契約が打切られても、ライセンス表示さえはずせばよいのであるから、十分商売はやつていける旨発言するというような場面もあつた。
そして、千里貿易の【D】は右東洋ホテルの会合の数日後、一審原告の代理人として一審被告会社に対し本件商標の帰属に関する意見表明の手紙(【D】書簡、乙第一二号証)を出している(その時期は必ずしも明確でないが、昭和五一年八月九日の会合以前ではない。)が【D】書簡では、「トロイブロス」については、一審原告の所有するものであり、一審被告会社は単に代理登録しているにすぎないとの見解を明らかにしているものの、パイプ・マークについては、一審原告の権利所有でないことを認めている(近い将来にパイプ・マークの使用を中止することを公表する意向とは将来の志向を示したにすぎず、一方的に中止させる権利があること、
一審原告の所有に属することを宣言するものとはいえない。)。
しかし、【D】は一審原告の社長【G】が昭和五一年一〇月には【B】の長男【O】の結婚式に招待されて来日することが予定されていたため、本件商標の帰属をめぐり本件紛争が生じていることについてはこれを内密にし、右結婚式が終了するのを待つてこのことを【G】に報告して、一審被告会社に対し本件商標がすべて一審原告のものであることの確認を得ておくよう進言した。そこで、一審原告は、
同年一一月から一二月にかけて二回にわたり米国の代理人であるクイーン弁護士から一審被告会社に対しその確認を求めたが、一審被告会社は、その代理人竹内澄夫弁護士を通じて、昭和五二年一月一九日付書面で一審原告に対し、パイプ・マークのみならず本件商標はすべて一審被告らのものであるとの意向を表明するに及び、
両者間で深刻な対立が生じた。
7 その後一審被告会社は、同年二月トロイ・ブロスのジユニア商品を発売するに際に、本件(一)および(二)の商標に「ジユニア」の文字を付した商標の使用許諾を求めるなどしたが、一審原告としては、前記書面の記載からなお話合いの可能性があるとみて取引関係は従前どおりとし、【D】に交渉に当らせたが、一審被告会社側は弁護士を通じてほしいといつて直接の話合を拒否したため、【D】は同年四月【B】に対し最終的に本件商標の帰属について見解を求めたところ、【B】からは、「ライセンス契約は従来どおり継続することを希望する。「トロイ・ブロス」商標は日本国内において他の何人にも侵害されないよう大切に我々の手で保存する。」との返答がきただけであつたので、【D】は右返答では不十分であるとして、同月二七日一審被告会社に対し内容証明郵便をもつて本件第二期ライセンス契約を解除する旨の意思表示をした(この点は当事者間に争いがない。)。そして、
【D】は右書面でも、一審被告会社に対して、本件(一)の商標「トロイ・ブロス」、同(三)の商標「サン・フエア」、同(四)の商標「キヤスタウエイ」のほか「キヤメル」、「キヤリイジ・ハウス」の五商標の返還は求めているが、同(二)の商標パイプ・マークについては何ら触れていない。
なお、その後一審原告代理人森本脩弁護士はさらに同年七月五日一審被告会社に対し、内容証明郵便をもつて、重ねて前記ライセンス契約およびこれとともになされた商標管理委託契約を解除する旨の意思表示をした(この点も当事理間に争いがない。)。そして、一審原告は東京トロイとの間で同月八日までにライセンス契約を締結し、同年八月一三日本訴が提起された。
以上のとおり認めることができ、右認定に反する前掲甲第四八号証の一、二、第五三号証の一、二、乙第二七号証の一、二、第二八号証の一ないし六の各証言記載、原審および当審証人【D】、原審証人【K】の各証言、原審における一審被告会社代表者および当審における一審被告【A】各本人尋問の結果のうち右認定に反する部分は、にわかに採用することができない。
もつとも、一審原告は、【C】と【B】および【D】との昭和四三年一一月二〇日の三者会談までに、ワンポイントマークの選択について、【B】と【C】との間で検討がなされ、【B】が他社がすでに登録しているが登録切れになつており、登録可能なパイプマークを提案し、【C】がその採用を決定した旨及び一審原告と一審被告会社との間で、一審被告会社で使用する商標は「トロイ・ブロス」とパイプマークとし、これを一審原告の商標としてライセンスする旨の明確な合意があつた旨主張し、前記証人【D】の証言および前掲甲第四八号証の一、二、第五三号証の一、二(【D】の証人調書)中の証言記載はこれに副うものである。しかしながら、【B】と【C】との間でワンポイントマークの選択について検討がなされたとしても、パイプマークという説明だけで、その図形も示されていない段階で、
【C】がその採用を決定したとは考えられないばかりでなく、【B】がパイプマークについて、他社ですでに登録しているが登録切れになつていると説明し、しかも、登録可能であるといつて提案したことについては、他にこれを裏付ける的確な証拠はなく(現に前掲乙第一八号証の一、二、第三一号証によれば、パイプマークが登録できる見通しになつたのは、その後約七年余を経過した昭和五〇年一二月である。)、当審における一審被告【A】本人尋問の結果により成立を認めうる乙第六六号証の一、二の各一、二によると、一審被告会社ではワンポイントマークを考案するため、昭和四三年一一月二六日および同年一二月四日に動物図案辞典などを購入していることが認められるところ、すでにその以前にパイプマークの採用が決まつていたとすれば、全く不要な支出をしたこととなつて不自然であり、また、同年一一月二〇日までに「トロイ・ブロス」とパイプマークを新会社(一審被告会社)の商標とすることで真実明確な合意ができていたとすれば、万事につけ筆忠実な【D】がいかに法律的素養に乏しかつたにせよ、仮契約書、覚書などの草案やメモを作成するなり録音するなりして記録にとどめていないのはきわめて不自然であるうえ、一審被告会社がグラフ印刷株式会社の【J】に本件(一)および(二)の商標のデザインおよび清刷の作成を依頼したのは同年一二月六日であつたことは前認定のとおりであつて、字体や図形を決めるだけなら数日間少なくとも一週間あれば充分できる筈であるから、一審被告会社または一審被告【A】らは、新会社の新商標のデザインおよび清刷の作成の依頼を同年一二月六日まで特段の理由もなく遅滞したということになり、右は新会社の設立前後において、一審被告【A】らが多忙であつたことを考慮しても、新会社の新商標の作成、決定が新会社にとつて緊急かつ重要な仕事であることにかんがみれば、きわめて不合理であり、しかも、一審被告会社が一審原告から提供を受けた資料から使用できる表示として、TroySportswear地球儀マークなどを使用した新会社用の註文書、売上伝票等の印刷を依頼したのは遅くとも同年一二月三日頃までであることも前認定のとおりであつて、その際に本件(一)および(二)の商標のデザインと清刷の作成を依頼する機会が十分あつたのに依頼していないのも疑問である。前記証人【D】の証言および証言記載は右の理由により、また、原審証人【K】の証言、原審における一審被告会社代表者、当審における一審被告【A】各本人尋問の結果に照らし、にわかに信用することができない。したがつて、【B】が同年一一月二〇日【C】にパイプマークの使用を提案し、【C】がその採用を決定したことはなく、一審被告会社または一審被告【A】においては、同月下旬頃から同年一二月初頃までの間に本件(一)および(二)の商標を考案したものであり、同年一一月二〇日はもちろん、
同年一二月三日の段階においても、右各商標を新会社の商標とすることおよびそのため右各商標のデザインおよび清刷の作成をグラフ印刷に依頼することが明白には決定されていなかつたと認めるのが相当である。
また、一審原告は、昭和五一年八月九日の東洋ホテルにおける会合で、一審被告【A】が「トロイ・ブロス」とパイプマークはそれぞれ一審被告会社と一審被告【A】個人のものであると発言したことは全くなく、本件商標の帰属をめぐる紛争(本件紛争)が発生したのは昭和五二年一月であり、【D】書簡は昭和五一年七月二五、二六日頃から同年八月四日までの間に、東洋ホテルにおける会合や本件紛争の発生前にこれらとは無関係に作成されたものであり、作成の動機としては、当時一審被告【A】が、パイプマークが自己名義となつていることを奇貨として一審被告会社に使用料を請求してきたため、これに困惑した一審被告会社からこれについての一審原告の見解を求められたためであると主張し、前掲【D】証言および証言記載はこれに副うためのものである。しかしながら、東洋ホテルの会合において一審被告【A】から「トロイ・ブロス」およびパイプ・マークの帰属についての発言があつたこと、【D】書簡が右会合の数日後に作成、送付されたことは前認定のとおりであつて、【D】書簡の文面全体を考察すれば、商標の帰属について何も争いを生じていない段階でかかる一審原告の見解が表明されたとみることはできず、まして、一審被告【A】の一審被告会社に対するパイプマークの使用料請求についての見解を求められたとすれば、「トロイ・ブロス」商標についてまで言及して見解を表明する必要はなくきわめて不自然である。前記【D】証言および証言記載は、
原審証人【F】の証言および当審における一審被告【A】本人尋問の結果に照らし措信できない。もつとも、昭和五一年八月四日の一審被告会社と兼松江商との会合において、東京トロイの処遇について暫定的な決着がついたことは前認定のとおりであり、前掲甲第二九号証によると、一審被告会社が同年七月二六、二七日に東京で開いた展示会の挨拶状を撤回する意味で、あらためて得意先に対して挨拶状を発送することも右会合において合意されたことが認められ、【D】書簡のBにおいて展示会の挨拶状の撤回等然るべき処置をとるよう要求しているところからすると、
【D】書簡の作成日時は同年八月四日以前であるとみられないではないが、右合意による挨拶状の発送が現実になされたことを、同月九日の東洋ホテルの会合の数日後までに、【D】において認識していたことについては、これを認めるに足りる的確な証拠はないから、重ねて挨拶状の撤回を要求してもあながち不自然でなく、叙上認定の妨げとはならない。
次に、一審原告は、【D】書簡の内容も商標の帰属に関する【D】の真の意思表明ではなく、パイプ・マークが一審原告の権利所有でないと述べたのは、一審被告【A】の一審被告会社に対する前記使用料請求の動きに対抗するための対策として、一応一審原告のものでなく、一審被告会社のものであることを表明したにすぎないとか、経済的に困窮していた一審被告【A】に同情し、一審被告会社から金を貰い易くする趣旨で右の表現を採つたとか主張するが、これに副う前記【D】証言および証言記載は、きわめて迂遠であるうえ、前後矛盾する点が多く合理性がなく、他にこれを裏付けるに足りる証拠はなく、当審における一審被告【A】本人尋問の結果に照らしてもにわかに信用しがたく、採用することができない。
さらに、一審原告は、パイプ・マークは「トロイ・ブロス」商標のワンポイント・マークとして、これと一体として使用されてきたものであり、本件ライセンス契約の関係者はもとより、一般も、業界も「トロイ・ブロス」とパイプ・マークを合わせて「トロイ・ブロス」と総称し、「トロイ・ブロス」には当然にパイプ・マークを含むものと認識されており、第二期ライセンス契約の解約通知にはパイプ・マークの記載はないが、「トロイ・ブロス」に当然含まれるものとしてその返還をも求めているのであると主張する。しかしながら、「トロイ・ブロス」とパイプ・マークとが商標としては全く別個のものであることは、前認定のとおり各別に商標登録出願がなされ、商標権の設定が登録されていることから明らかであるばかりでなく、パイプ・マークが一審被告会社の広告、カタログ、便箋などに「トロイ・ブロス」と一緒に使用されてきたことは否定できないとしても、それは常にではなく、一審被告会社の販売商品であるスポーツシヤツ、スエーターなどの左胸の部分に単独で使用されている(甲第六号証、第一九、第二〇号証参照)ことも明らかであり、「トロイ・ブロス」に当然パイプ・マークを含むものと右契約関係者、業界において認識されていたとは、到底認めることができない。
四 以上に認定した事実によれば、
1 まず、本件商標が一審原告、一審被告会社ないしは一審被告【A】個人のいずれに帰属すべきものであるかを判断するに当つて、本件ライセンス契約条項を無視できないことはいうまでもない。
一審被告会社は、本件ライセンス契約がいわゆるライセンス表示の許諾のみに主眼をおき、商標については特段拘束力を有しないかのごとく主張するが、右は著しく契約条項に反し契約の趣旨にもとるものであつて採用することができない。
ところで、本件ライセンス契約においては、一審原告は一審被告会社に対し一審被告会社が日本国内において販売する商品について、一審原告の商標、それに類似するものないしはその変形物を貸用するとか、使用することを許諾するとかの条項(第一期契約1条、第二期契約2条)があり、ここにいう「一審原告の商標」がいかなる商標を指称するかは条項上明らかでなく、本件ライセンス契約の全体の趣旨、契約締結に至る経緯、契約当事者双方の言動その他本件にあらわれた一切の事情を総合して合理的に決するほかはないが、「一審原告の商標」とは、端的に一審原告が現在および将来、自社固有のものとして使用しまたは使用するため考案した商標そのものをいい、「これに類似するものないしはその変形物」とは、一審原告の商標を一部に利用したり、その文字、活字、形状を変えるなどして生成した観念的、イメージ的に同種または類似の商標をいうものであり、それ以外のものは、たとえ一審原告がその使用について許諾しているかどうかとは関係なく、これに該当しないものと解するのが相当である。
この点に関し、一審原告は、一審被告会社の代表者【B】は、もともと一審原告の商標のみを使用する意図であり、本件ライセンス契約の当事者は誰しも一審原告による使用許諾の対象となる商標等はすべて一審原告のものとする意思であり、とりわけパイプ・マークについては、【B】から他社がすでに登録しているが登録切れになつていて登録可能であり、しかも展示会に間に合うよう早く決めねばならないとの申入れがあり、【C】がこの提案を受入れ、パイプ・マークが一審原告のものであるとの【B】との了解を当然の前提として、その採用を決定したものであると主張する。しかしながら、一審原告は一審被告会社に対して使用を許諾する商標を「一審原告の商標」としただけでは、日本国内での所定の登録手続をすることができない場合を生ずるので、「これに類似するものないしはその変形物」を付加して枠を拡げているのであつて、一審原告による使用許諾の対象となる商標はすべて一審原告のものであるとする了解がついていれば、契約条項に、「これに類似するものないしはその変形物」を付加することは全く無意味なものとなる。この点の主張は採用できない。
2 そこで、以下、本件商標について個別的に検討する。
(一) 本件(一)の商標「トロイ・ブロス」は、「トロイ」なる商標について、
第三者の登録商標がすでに存在していたため、これをそのままの形では使用することができずに、その変形として一審被告【A】らによつて創案されたものであり、
その字体も「トロイ・スポーツウエア」なる表示の字体に類似していること、一審被告会社は、昭和四四年以来トロイ・ライセンス表示により一審原告からライセンスを受けていることを公然と明示して、本件(一)の商標をその商品に断続して使用し、所定のロイヤルテイを一審原告に支払い、その商品の宣伝においても、外国企業からライセンスされた商品であることを強調してきたのであり、一審原告も一審被告会社が本件(一)の商標をライセンス表示のもとに使用していることを承認していたこと、一審被告会社は本件(一)の商標を一審原告からライセンスを受けている商標と認定して、これを東京トロイに対しサブ・ライセンス契約という形で使用させたとみるのが合理的であること、さらに、一審被告会社と一審原告との間で商標権の帰属につき本件紛争が生じ、第二期ライセンス契約について最初に解約通知が出された昭和五二年四月二七日の直前に、一審被告会社の代表者【B】が【D】の求めに応じて、本件ライセンス契約の継続と本件(一)の商標を一審被告会社の手で大切に保存する旨返答していることは前認定のとおりであつて、これに第一、二期ライセンス契約の各条項を考え合わせると、本件(一)の商標は、本件ライセンス契約に基づき、一審原告の商標に類似するものないしはその変形物として、一審原告から一審被告会社に対しライセンスされたもので、一審原告に帰属するものと認めるのが相当である。
(二) 本件(二)の商標パイプ・マークについては、一審被告会社がトロイ・ライセンス表示のもとに本件(二)の商標をワンポイント・マークとして、本件(一)の商標「トロイ・ブロス」と一緒にその商品について使用し、その商品宣伝の際も外国企業からのライセンス商品であることを強調し、また、一審原告に対しても本件(二)の商標の使用を報告し、さらに一審被告会社と東京トロイ間の契約(ただし、「トロイ・ブロス」商標についてのサブ・ライセンスの合意と附随併行するもの)に基づき、東京トロイが一審被告会社の許諾を得て本件(二)の商標を使用した商品を販売したとの事実関係については、本件(一)の商標と同じであるが、商標について使用主義をとり、商標の通商上の使用を基礎として商標権の登録を認めているアメリカ合衆国において、一審原告は本件(二)の商標およびこれに類似するものないしはその変形物は一切使用していないこと、一審原告は一審被告会社が本件(二)の商標を使用することに批判的であり、かつ、一審原告の代理人である千里貿易の【D】は一審被告会社宛に出した【D】書簡において、本件(一)の商標は一審原告が本件ライセンス契約により、一審被告会社に対し使用許諾したものであるが、本件(二)の商標については一審原告の権利所有ではない旨、本件(一)の商標と本件(二)の商標を明確に区別してその見解を表明しており、【D】書簡が本件紛争の発生後、しかも東京トロイの処遇などに関し【D】と一審被告会社との間で意見の対立のあつた時期に、当時すでにワンポイント・マークとして重要であつた本件(二)の商標について、故意に真意でない虚偽の見解を陳述したとは到底考えられないこと、わが国においては商標は特許権や著作権と異なり、創案者が権利者となるものでないことはいうまでもないが、本件(二)の商標は本件(一)の商標とは異なり一審原告の商標とは全く関係なく、一審被告【A】らによつて独自に創案されたものであり、また、同商標は、もともと日本では全く無名の商標であつたが、次第に有名になり、その商標としての価値を増大していつたのは、一審被告会社の営業努力に負うところが大きかつたことは前認定のとおりであつて、これに第一、二期ライセンス契約の各条項、とりわけ一審被告会社が独自の商標をもつことを制限していないことを考え合わせると、本件(二)の商標は、一審被告会社が一審原告のライセンス商品に使用するため、一審原告に報告しその一応の了解を得て日本でのみ使用した一審被告会社(ないしは一審被告【A】個人)の独自の商標とみるのが相当であり、一審原告が本件ライセンス契約によつて一審原告の商標、これに類似するものないしはその変形物として一審被告会社に対しライセンスした商標であると認めることはできない。
一審原告は、この点に関し、不可分的に使用されてきた本件(一)の商標と本件(二)の商標とを一審原告と一審被告会社に分断して所有させるのは、商標の出所表示力を信ずる一般公衆の立場を考慮すれば妥当性を欠くので、本件(二)の商標も本件(一)の商標とともに一審原告のものとすべきであると主張するごとくであるが、そもそも一審原告と一審被告会社との間で締結された本件ライセンス契約は、一審被告会社が一審原告の商標、これに類似するものないしはその変形物を使用し、一審原告の許諾を得ているという文言を付することにより舶来品のイメージを持たせて一審被告会社の商品を有利に販売することを目的としたものであるから、公衆に対する欺瞞性は避けられず、したがつてライセンス契約の文言を厳格に解釈して商標の帰属を決定すべきであつて、本件(一)、(二)の商標を分断して所有させる結果となつてもやむを得ないものというべきである。
(三) 本件(三)の商標「サン・フエア」は、一審原告が一審原告の商標自体を一審被告会社に呈示し、その使用を許諾したものであることが明らかであるから、
本件ライセンス契約により一審原告が一審被告会社に対してライセンスした商標と解すべきであり、一審原告に帰属するものと認めるのが相当である。
(四) 本件(四)の商標「キヤスタウエイ」は、本件(三)の商標と同様、一審原告が一審被告会社に呈示しその使用をすすめた一審原告の商標「ザ・アウト・ロウ」に端を発したもので、ただ、一審被告会社で調査したところ、そのわが国における商標登録要件に疑義の存することがわかつたので、一審被告会社側でこれと観念上同一かつ同じ英語である「キヤスタウエイ」なる語を思いつき創出したものにほかならないのであるから、その間に商標としての同一性がないけれども、一審原告の商標「ザ・アウト・ロウ」に類似するものないしはその変形物として、一審原告から一審被告会社に対しライセンスされたもので、一審原告に帰属するものと認めるのが相当である。
五 一審被告会社は、本件ライセンス契約は、旧外資法上の「甲種技術援助契約」につき必要とされる認可を得ていないから無効であり、一審被告会社に商標権の返還義務は生じない旨主張するが、仮に本件ライセンス契約について同法上の認可が必要であつたとしても、本件ライセンス契約は断続的契約として八年以上の長期間断続してきたものであり、同契約解約後さらに数年間経過した現在において、同契約を過去に遡つて無効であるとすることが、契約当事者のみならず広く取引関係者にも大きな混乱を惹き起こすことは明らかであり、とくに一審被告会社は一審原告と同契約を締結して以来解約まで、八年以上の長期間にわたつて、同契約が有効であることを前提として、同契約所定のロイヤルテイを支払い、一審原告からライセンスを受けていることをその商品の宣伝、販売に積極的に利用して、その営業を営み、同契約により受ける利益を十分に享受してきたのであるから、ここに至つて、
同契約を過去に遡つて一切無効とし、一審原告から一審被告会社に対しライセンスされ、一審被告会社名義で登録されている商標権につき一審被告会社に返還義務が生じないとすることが、本件において不当な結果を生じさせることは明らかである。
さらに、旧外資法2条は、「わが国に対する外国資本の投下は、できる限り自由に認められるべきものとし、この法律に基づく届出または認可の制度は、その必要の減少に伴い、逐次緩和または廃止されるものとする。」と規定しており、同法は本来自由であるべき外国資本の日本に対する投資を、右投資のため健全な基礎作りをする見地から、過渡的に制限する法律であるところ、少くとも技術援助契約については、第一期ライセンス契約締結前の昭和四三年五月一〇日閣議決定による同年六月一〇日以降実施の第一次技術導入の自由化により、甲種技術援助契約に対する規制が実質的にかなり緩和され、航空機、武器、火薬、原子力、宇宙開発、電子計算機、石油化学に関する個別審査対象七技術を除き、わが国の経済に重大な悪影響を及ぼすおそれのある場合に限り行ないうる主務大臣からの別段の指示が、申請後一か月以内にない限り、日本銀行において自動的に認可されることになつていたのであり、したがつて、右当時においてはすでに右七技術を除く甲種技術援助契約につき旧外資法による規制を強行すべき社会的要請、同法違反に対する社会倫理的非難が軽微なものであつたことが認められる。
以上によれば、本件において本件ライセンス契約につき旧外資法上の認可がないとの一事をもつて、本件ライセンス契約が無効であり、一審被告会社において、一審原告からライセンスを受けた商標権を一審原告に返還すべき義務が生じないとする理由は全く見出すことができない。この点の一審被告会社の主張は採用できない。
六 果してそうだとすれば、本件ライセンス契約が有効に解除され、すでに一〇日を経過したことも明白である(第二期契約一三項参照)ところ、本件(一)の「トロイ・ブロス」、(三)の「サン・フエア」および(四)の「キヤスタウエイ」の各商標は、一審原告が本件ライセンス契約に基づき一審被告会社に対し、ライセンスした商標であつて、右各商標にかかる商標権は本来一審原告に帰属すべきものであると認められるが、本件(二)のパイプ・マークの商標は、一審原告が本件ライセンス契約に基づき一審被告会社に対しライセンスした商標ではなく、右商標にかかる商標権は本来一審原告に帰属すべきものであるとは認められないから、一審原告の本訴請求および当審における訴えの変更による新請求は、一審被告会社に対し、本件ライセンス契約の終了に基づき、本件(一)、(三)および(四)の商標につきその所有登録名義の移転登録手続を求め(なお、一審被告らは、本件ライセンス契約には、契約終了に伴うライセンスされた商標の使用中止の約が定められているけれども、その返還の約は定められていないと主張するが、本件ライセンス契約解除に伴う原状回復義務として、ライセンスされた商標の返還義務があることは当然である。)、かつ、右(一)、(三)および(四)の商標につき原判決主文三、四項(一審原告の第二〇八一号事件の控訴の趣旨(4)ないし(6)項)記載の態様による使用の差止め(不作為請求、なお、一審被告会社は右(一)および(四)の商標を右の態様で使用しており、また、(三)の商標を同様の態様でかつて使用していたことを自認している。)を求める限度で理由があるから正当としてこれを認容すべきであるが、一審被告会社に対するその余の請求、すなわち、請求の趣旨五項(一審原告の第二〇八一号事件の控訴の趣旨(7)項)記載の態様による物の廃棄を求める請求(この請求は、一審原告がいまだ登録を経由した商標権者ではないから、商標法36条2項に基づくものと解する余地はなく、契約終了に基づく債権的請求と解するほかないところ、本件ライセンス契約によれば、一審原告は、右契約終了の際、一審被告会社に対し原判決主文三、四項記載の態様の使用中止請求はこれを当然なしうるものと解されるところであるが、右契約が具体的に請求の趣旨五項記載のような廃棄請求まで約していると解するのは、その文言に照らし困難である。廃棄請求は、原判決主文三、四項を債務名義とする不作為請求の強制執行として民事執行法171条に基づきなされるべきものと解する。)、一審被告【A】または一審被告らに対する請求、すなわち、本件(二)の商標について、
これが一審原告のライセンスした商標であることを理由として、その商標権の移転登録を求める主位的および当審における予備的請求(予備的請求は訴訟の完結を遅延させるものではないから、民訴法139条により却下すべきではない。)およびその専門使用権設定登録の抹消登録を求める請求は、いずれも理由がないから失当として棄却すべきである。
七 よつて、一審原告の本訴請求を右認定の限度(当審における訴えの変更部分を除く。)で正当として認容しその余を失当として棄却した原判決は相当であつて、
一審原告および一審被告会社の本件各控訴はいずれも理由がないからこれを棄却するとともに、一審原告の当審における予備的請求を棄却し、一審原告の当審における訴えの変更に基づき原判決主文二項を主文のとおり変更することとし、なお、原判決に明白な誤謬がある(原判決は一審原告の一審被告【A】に対する請求を棄却しながら同一審被告にも訴訟費用を負担させている。)ので、原判決主文五、六項を主文のとおり更正し、訴訟費用の負担につき民訴法95条89条を適用して主文のとおり判決する。
追加
商標目録<12591-001><12591-002><12591-003>契約書(一)甲大阪市<以下略>千里貿易有限会社代表取締役【D】乙大阪市<以下略>株式会社トロイ代表取締役【B】1甲はTROYSPORTSWEARCo,INC.783MISSIONSTREETSANFRANCISCOCALIF.V.S.A.社長【C】氏の(MR.【C】)委任の下に乙が日本国内に於て、乙の社名販売商品に対してTROYSPORTSWEARCo,INC.の社名商号商標並びにそれ等に類似せる商号商標を貸用します。
2乙は甲に対して上記の社名商号商標及びTROYSPORTSWEARCo,INC.の商品のスタイル商品名色彩デザインパンフレツト印刷物等の使用料として下記の経費保証金使用料を支払うものとする。
(以下省略)3乙は商号権意匠権商標権は他に侵害されざるための日本国内に於て所定の法的登録手続をとらなければならない。
6乙は使用せんとする商号商標は事前事後を問わず甲に提示しTROYSPORTSWEARCo,INCの同意を必要とする。
7本契約は5ケ年間を第1期とし第2期以後の継続的使用は改めて契約をとりかわすものとす。本契約期間中乙に依る契約違反、破棄、又は第2期以降契約不能の場合は乙は社名、商号、商標の使用は即時中止するものとす。
(4、5、8項省略)以上契約書(二)ライセンサー原告会社ライセンシー被告会社コントローラー千里貿易有限会社2ライセンサーはライセンシーに対して、日本において、その販売及び製造組織、並びに最終製品たる衣服に、ライセンサーの会社名、住所、商標、ラベル、コピーライト等又はそれらの変形物を使用することを許諾する。
3日本においてライセンサーよりライセンシーに提供される会社名、商標、ラベル、コピーライト等に関し、ライセンサーの権限を守り、他の者がこれを侵害することから守られることとする。
6ロイヤリテイは株式会社トロイ(日本)による販売額が一、七〇〇、〇〇〇、
〇〇〇円を超えた場合には、その販総額の一・二%1(2/10)とする。(以下、省略)13ライセンシーが違反または侵害を犯した場合には、ライセンサーはこの契約を解除する権利を有し、ライセンシーは、ライセンサーよりライセンシーに通告された解除の日後10日以内に、″トロイオブカリフオルニア″及びライセンサーにより与えられたもの全ての使用を停止せねばならない。
(前文、1、4、5、7、8、9、10、11、12、14、15項省略)以上
裁判官 田坂友男
裁判官 阪井c朗
裁判官 島田清次郎
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