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関連ワード 出所表示機能 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  損害額 /  使用料相当額 /  差止 /  利益額 / 
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事件 昭和 54年 (ネ) 1525号
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裁判所 大阪高等裁判所
判決言渡日 1981/02/19
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 本件控訴を棄却する。
二 附帯控訴に基づき、原判決主文中金員請求に関する部分を次のとおり変更する。
1 附帯被控訴人は、附帯控訴人に対し、金四一一五万九〇〇〇円及びこれに対する昭和五三年五月一一日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。
2 附帯控訴人のその余の請求を棄却する。
三 附帯控訴人の当審での拡張請求を棄却する。
四 訴訟費用は、第一・二審を通じてこれを三分し、その一を被控訴人(附帯控訴人)、その余を控訴人(附帯被控訴人)の各負担とする。
五 この判決は、第二項1に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 控訴人(附帯被控訴人、以下「控訴人」という。)(控訴事件について)「原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。被控訴人の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は第一・二審とも被控訴人の負担とする。」との判決(附帯控訴事件について)「本件附帯控訴を棄却する。附帯控訴費用は附帯控訴人の負担とする。」との判決二 被控訴人(附帯控訴人、以下「被控訴人」という。)(控訴事件について)「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決(附帯控訴事件について)1 原判決主文中金員請求に関する部分を次のとおり変更する。
控訴人は、被控訴人に対し、金七〇五六万九〇〇〇円(金七〇五三万円を超える部分は当審で拡張)及びこれに対する昭和五三年五月一一日から支払済まで年五分の割合(当審で右割合の限度に減縮)による金員を支払え。
2 訴訟費用は第一・二審とも控訴人の負担とする。
との判決及び第1項につき仮執行の宣言
当事者の主張及び証拠関係
次のとおり訂正・附加するほか、原判決事実摘示と同じである(ただし、同事実摘示中「原告」とあるのは「被控訴人」、「被告」とあるのは「控訴人」とそれぞれ読み替える。)から、これを引用する。
一 原判決別紙(三)損害算定表の(ニ)欄及び(注)の各「販売利益」をいずれも「販売利益もしくは使用料相当額」に改める。
二 原判決三枚目裏五行目の「別紙(二)(イ)号標章目録」を「別紙(五)認定(イ)号標章一覧表」に、同行目、同四枚目表八行目の各「本件各(イ)号」及び同三枚目裏六行目、同四枚目表三行目、同一〇枚目裏五行目、同一一枚目裏二行目の各「本件(イ)号」をいずれも「認定(イ)号」に、同三枚目裏七、八行目の「請求の趣旨一項」を「同一覧表の「使用態様」欄に記載」に、同裏九、一〇行目の「同目録の該当欄」を「別紙(二)(イ)号標章目録の「使用対象商品」欄および「請求対象使用期間」欄に」にそれぞれ改める。
三 原判決四枚目裏二行目の「右侵害行為」から同裏七行目の「である。」までを「本件登録商標(1)ないし(5)に対応する認定(イ)号標章(1)ないし(5)を使用したことによつて別紙(三)損害算定表(ニ)欄の(1)ないし(5)の販売利益を得ており(なお、本来の販売利益は販売金額の一五パーセントを下回るものではないようであるが、その中には被告の努力によつて附加されたものもあることを考慮して、本件ではその販売利益を販売金額の二パーセントという最低限度に抑えたもので、右割合は本件各登録商標の使用料に等しいものである。)、また、本件登録商標(6)ないし(12)に対応する認定(イ)号標章(6)ないし(12)を使用したことについて右登録商標の使用料相当額を計算すると、同表(ニ)欄の(6)ないし(12)のとおりになるのであつて、右の販売利益額及び使用料相当額が被告の前記侵害行為により原告の被つた損害の額と推定されるから(商標法38条一・二項)、原告は被告に対し右同額の損害賠償を請求する。」に、同裏一〇行目の「七〇五三万円」を「七〇五六万九〇〇〇円」に、同裏一二行目の「商事法定利率年六分」を「民法所定の年五分」にそれぞれ改める。
四 原判決九枚目裏二、三行目の「数十」を「数百」に訂正し、同裏一〇行目の「それであつて」の次に「(なお、当業界における現実の取引で別紙(四)記載の商標が省略されることは絶対にない。)」を、同一〇枚目裏一二、一三行目の「存しない」の次に「(仮に存するとしても右商品の販売金額の〇・一パーセントを超えるものではない。)」を、同一一枚目表五行目の「根拠はない」の次に「(もともと右条項による推定は、発生した損害の額に関するもので、損害の発生そのものまでを推定するものではない。また、同条項にいう「利益」についても、営業利益を意味するものではなく、当該商標の使用によつてのみ得られた利益に限られると解すべきである。)」をそれぞれ加え、同一〇枚目表四行目の「一項」を「一・二項」に、同一一枚目表六行目の「なお」から同表一〇行目の「なろう」までを「また、被告の標章使用行為が原告の商標権侵害にならない以上、商標法38条2項の規定についてもその適用がないことは当然であるが、仮に本件登録商標(6)ないし(12)に関して被告に同条項に基づく使用料相当額の損害賠償義務が認められるとしても、右使用料相当額は該当商品の販売金額の〇・一パーセントを超えるものではない」に、同一二枚目裏八行目の「商票」を「商標」にそれぞれ改める。
五 証拠(省略) 理 由一 当裁判所は、被控訴人の本訴請求(当審での拡張請求を含む。)中差止請求については原判決主文第一・二項の限度において、また、損害賠償請求については金四一一五万九〇〇〇円及びこれに対する昭和五三年五月一一日から支払済まで年五分の割合による金員の支払を求める限度において、いずれもこれを正当として認容し、その余はいずれも失当として棄却すべきであると判断するが、その理由は、次のとおり訂正・附加するほか、原判決理由第一ないし第三に説示されているところと同じである(ただし、同理由説示中「原告」とあるのは「被控訴人」、「被告」とあるのは「控訴人」とそれぞれ読み替える。)から、これを引用する。
1 原判決一八枚目表九行目の「三二、」の次に「同第二〇号証の一ないし三、同第二一号証、」を、同表一三行目の「証人」の前に「原審および当審での」をそれぞれ加え、同一九枚目表四、五行目の「昭和五二、三年中、正確には」を削り、同表五行目の「それぞれ」の次に「少なくとも」を、同表六行目の「認められ」の次に「((1)ないし(8)、(10)、(12)については被控訴人主張どおりであり、他は被控訴人主張の範囲内である。)」をそれぞれ加え、同行目の「それ以前の使用についてはこれを」を「(9)および(11)についてはそれ以前にも使用されていたとの事実を」に改め、同表七行目の「((1)ないし」から同表八行目の「範囲内)」までを削り、同一九枚目裏二行目及び同裏四行目の各「五二・一」をいずれも「五〇・五」に、同裏五行目の「五二・一」を「五一・二」に、同裏七行目の「五二・一」を「五一・一」に、同裏九行目の「しかして」を「もつとも」にそれぞれ訂正し、同二〇枚目表一行目の「有して」から同表八行目の「できない。」までを「有していないことが認められる。しかし、それ以外の標章については、控訴人においてその使用を取りやめたことを確認することができない(右代表者本人尋問の結果中には、それ以外の各標章もすでに使用していない旨述べている部分があるが、右供述の真実性を裏付ける証拠がないから、にわかに採用できない。)。」に改める。
2 原判決二〇枚目裏一一行目の「なお」から同二一枚目表八行目の「検討する。)」までを削り、同二一枚目表一〇行目の「一ないし四、」の次に「同第二〇号証の一ないし三、第二一号証、」を加え、同表一一行目の「一二」を「一、二」に訂正し、同二一枚目裏九行目の「検討するに、」の次に「認定(イ)号標章と各対応登録商標とを対比すると、」を、同二二枚目表三行目の「それが」の次に「当該商品を識別するために必要不可欠なものとして」をそれぞれ加え、同二二枚目裏三行目の「各対応商標」を「各対応登録商標」に訂正し、同裏四行目の「場合には」の次に「、特段の事情がない限り、」を加え、同裏五行目の「おそれ」から同表六行目の「そうすると」までを「おそれがあるものというべきであり、したがつて」に改める。
3 原判決二三枚目裏六、七行目の「甲第一三号証、同第一四号証」を「甲第一三、一四号証」に訂正し、同裏七行目の「一ないし四、」の次に「同第二〇号証の一ないし三、」を、同二四枚目表五行目の「あること、」の次に「控訴人や被控訴人のような製造業者から販売店への取引および販売店から需要者への取引は、注文書による場合のほか電話による取引も多いこと、」をそれぞれ加え、同表八行目の「ことが多い」を「こともある」に改め、同行目の「認められる」の次に「(控訴人は、右「トーヨー」等の表示が現実の取引において省略されることは全くない旨主張するが、本件全証拠によつてもこれを確認することができない。)」を加え、
同二四枚目裏一、二行目の「おそれの存することは明らかである。」を「おそれがあるものといわざるを得ない。」に改め、同裏三行目の「およびこれ」を削り、同裏三行目の「被告」の前に「前掲」を、同裏八行目の「被告」の前に「当審証人Aおよび前掲」を、同裏一〇行目の「また、」の次に「前掲証人Bの証言および控訴人代表者本人尋問の結果によると、控訴人や被控訴人において製造販売する天井材等の商品は、いずれもその代理店もしくは特約店に販売され、さらに同店から一般の販売店に販売されており、一般の販売店に対して買受注文をする需要者は主として工務店、大工等の建築業者であることが窺われ、さらにまた、」をそれぞれ加え、同二五枚目表二行目の「前記」から同表六行目の「考えられない。」までを「右B証言および控訴人代表者本人尋問の結果に弁論の全趣旨を合わせると、代理店もしくは特約店といつても控訴人の製品を扱う店は被控訴人の製品を全く扱わないというわけではなく、双方の製品を取り扱つているところもあるし、一般の販売店に至つては各社の製品を販売しているであろうし、また、需要者が主として建築業者であるといつても、必ずしも建築資材関係の専門家であるとは限らないことが推認できるのであつて、このことと前記のような電話取引等の取引状況に照らすと、右の記載や供述あるいは販売経路に関する認定事実があるからといつて、そのことから直ちに認定(イ)号標章を使用した控訴人の商品と本件各登録商標権者である被控訴人の商品との間に誤認混同を生ずるおそれが全くないものと速断することはできないのであり、他に右誤認混同の生ずるおそれがないことを確認できる証拠はない。」に改める。
4 原判決二五枚目表九行目の「商標」を「前記標章」に訂正し、同表一二行目の「本件各登録商標は」の次に「、被控訴人において有する数百の登録商標のうちのごく一部で、もともと自社商品を整理するための目印的機能しか有せず、」を加え、同二五枚目裏一行目の「右の所論」から同裏七行目の「しかし」までを「本件各登録商標は、登録を認められた商標であることからして商品の出所表示機能を有することが強く推認されるばかりでなく」に改め、同二六枚目表九行目の「主文」の前に「原判決」を加える。
5 原判決二六枚目裏二行目から同二七枚目裏四行目までの記載全部を「そしてまた、被控訴人は、特段の事情がない限り、控訴人の右侵害行為によつて財産的損害を蒙つたものと事実上推定するのが相当である。したがつて、右推定を妨げるような事情が認められない限り、控訴人は、右侵害行為によつて被控訴人の蒙つた損害を賠償すべき義務があり、右損害額の算定に際しては商標法38条一、二項の規定が適用される。
この点について控訴人は、本件各登録商標はいずれも出所表示機能を有せず、現実の取引において被控訴人の商品と控訴人の商品との間に誤認混同が生じたことは全くなかつたのであるから、被控訴人には控訴人の前記標章使用行為によつて何らの損害も生じておらず、また、前記標章を使用した控訴人の商品が売れたのは、その商品の品質、価格、意匠等が優れていたからであつて、右標章を使用したことによるものではないから、商標法38条一、二項の規定が適用される余地はない旨主張する。
しかし、本件各登録商標が出所表示機能を有していることは前示のとおりであるし、また、前記第一の二で認定した期間内における控訴人の商品の販売に関して、
当該商品が天井材等の建築資材であるという点で、当該商品に認定(イ)号標章が附されていたからといって、現実には被控訴人の商品との間に誤認混同を生じたことのない場合や、当該標章が使用されたためこのことだけから当該商品が売れたという関係が認められない場合もあり得ることはもとより考えられるところであるが、それ以上に、前記標章を使用した控訴人の商品の前記販売すべてについて、それが被控訴人の商品との誤認混同の結果によるものではない、あるいはまた、当該標章の使用とは全く無関係である、などということは、本件全証拠によつても確認することができない。したがつて、控訴人の右主張は採用することができない。」に改める。
6 原判決二七枚目裏五行目の「以上の見解に従い損害額を」を「被控訴人の蒙つた損害額についてさらに」に改め、同裏一〇行目の「記載のとおり」の次に「少なくとも」を加え、同裏一二行目の「前記二」を「前記第一、二」に改め、同二八枚目表三行目の「損害」の次に「(商標法38条1項の規定は、商標権の侵害行為によつて蒙る商標権者の損害額の証明が困難であることにかんがみ、商標権者の利益を保護するために設けられたものであるから、同条項にいう「侵害者の利益額」とは、侵害者が類似標章を附した商品を販売することによつて得た利益に当該商品の販売総数を乗ずる方法によつて算出される、いわゆる粗利益(営業利益)をいうものと解するのが相当であるところ、成立に争いのない甲第二六号証によると、被控訴人の昭和五四年四月一日から昭和五五年三月三一日までの事業年度における営業利益率は約六パーセントであることが認められ、これと弁論の全趣旨を総合すれば、前記認定(イ)号標章(1)ないし(5)を使用した商品を販売したことによつて控訴人が得た営業利益の率も右と同率以上は存在したものと推認することができるが、右商品の販売のうちには前記のとおり当該標章が使用されたことと全く無関係に控訴人の営業努力により、あるいはその他の要因によつてもたらされたものなどもあり得ることを考慮して、被控訴人主張の二パーセントの利益率をもつて算定された利益額を被控訴人の損害とするのが相当である。)」を加える。
7 原判決二八枚目表四行目の「右損害額」から同二八枚目裏一〇行目の「ほかない。」までを「控訴人が本件登録商標(6)ないし(12)に対応する認定(イ)号標章(6)ないし(12)を使用していた前記認定期間中は、被控訴人において右登録商標を使用していなかつたのであるから、右商標権の侵害による損害額の算定については商標法38条2項の規定が適用されるものと解すべきである。
ところで、控訴人が右認定(イ)号標章(6)ないし(12)を使用した期間は前記第一の二で認定したとおりであるから、右標章の附された控訴人の商品が販売された期間も右の標章使用期間と同じであると推認するのが相当である。また、被控訴人は、右標章の附された控訴人の商品が販売された期間中の当該各商品の月間販売数量につき別紙(三)損害算定表の(6)ないし(12)欄の「月間売上数」欄に記載のとおりである旨主張し、右主張事実を証明するために控訴人を提出義務者として当裁判所に右期間中の当該各商品別出荷統計表(甲第一九号証の一ないし三二と同種のもの)の提出命令申立てをし、当裁判所が昭和五五年一〇月一五日右申立てを理由があると認めて控訴人に対し右統計表の提出を命じたのにかかわらず、控訴人が右命令に従わなかつたことは、本件記録上明らかであるから、民事訴訟法316条の規定により月間販売数量に関する被控訴人の右主張を真実なものと認めざるをえない。さらに、前掲甲第一三号証の一ないし四、同第一九号証の一ないし三二、同第二〇号証の一ないし三、同第二一号証および弁論の全趣旨を総合すると、前記期間中認定(イ)号標章(6)ないし(12)が使用された控訴人の商品の販売単価は、別紙(三)損害算定表の(6)ないし(12)欄の「単価」欄に記載の各金額であることが推認される。そして、右のような販売単価、販売数量、
原審証人Cの証言によつて認められる、被控訴人が本件登録商標(6)ないし(12)を取得するのに要した諸費用、前掲B証人の証言および控訴人代表者本人尋問の結果と弁論の全趣旨によつて認められる。
被控訴人の右商標が当時被控訴人において同様に商品の愛称とする目的で登録した数百にものぼる商標のうちのごく一部にすぎないうえ、訴外日本ハードボード工業株式会社等の同種建材メーカーにおいても同様に商品の愛称とする目的で多数の登録商標を有していることなどを勘案すると、本件登録商標(6)ないし(12)の使用に対し通常受けるべき使用料相当額は、各対応認定(イ)号標章が附された控訴人の商品の販売金額の〇・八パーセントに当たる金額とするのが相当である(前掲証人CおよびBの各証言中の使用料に関する部分は採用しない。)。
そうすると、本件登録商標(6)ないし(12)の侵害による通常受けるべき使用料相当額の損害は、別紙(三)損害算定表(6)の「あじさい等」については三八二万七二〇〇円(九二〇円×二万坪×二六月×〇・〇〇八)、同表(7)の「りんず等」については三〇七万八四〇〇円(二〇〇〇円×一万四八〇〇坪×一三月×〇・〇〇八)、同表(8)の「うたげ等」については二七三万六〇〇〇円(一九〇〇円×五〇〇〇坪×三六月×〇・〇〇八)、同表(9)の「ルーブル」については一五一万二〇〇〇円(二万円×三五〇個×二七月×〇・〇〇八)、同表(10)の「きりしま等」については三〇七万八四〇〇円(二〇〇〇円×一万四八〇〇坪×一三月×〇・〇〇八)、同表(11)の「ざおう等」については二七四万四〇〇〇円(一二五〇円×九八〇〇坪×二八月×〇・〇〇八)、同表(12)の「はくほう等」については四八万四〇〇〇円(五五〇〇円×一〇〇〇枚×一一月×〇・〇〇八)、以上合計一七四六万円と算定される。よつて、被控訴人は、控訴人に対し、
本件登録商標(6)ないし(12)を侵害されたことによる損害として右使用料相当額一七四六万円の賠償を請求し得るものというべきである。」に改める。
二 以上の次第で、被控訴人の差止請求は前記引用の原判決理由第一において判示した限度で正当として認容すべきであり、また、損害賠償請求についても損害合計四一一五万九〇〇〇円及びこれに対する右損害発生以後の日で被控訴人請求の昭和五三年五月一一日から支払済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で正当として認容すべきであるが、その余の差止請求及び損害賠償請求はいずれも失当として棄却を免れない。
よつて、右の範囲内で被控訴人の請求を一部認容した原判決は相当であるから、
本件控訴を棄却し、被控訴人の附帯控訴に基づいて原判決主文中金員請求に関する部分を前記認容の限度で変更し、被控訴人の附帯控訴に基づく当審での拡張請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法96条89条92条、仮執行の宣言につき同法196条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
裁判官 唐松寛
裁判官 奥輝雄
裁判官 平手勇治