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関連審決 審判1975-6089
関連ワード 指定商品 /  称呼(称呼類似) /  商標権の移転 /  連合商標 / 
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事件 昭和 53年 (行ケ) 125号
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 1979/12/24
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は、原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求める裁判
原告は、「特許庁が昭和五〇年審判第六〇八九号事件について昭和五三年六月一二日にした審決を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、被告は、主文と同旨の判決を求めた。
当事者の主張
(原告)請求原因一 特許庁における手続の経緯 原告は、昭和四六年八月三日、特許庁に対し別紙(一)に示すとおりの構成から成る商標(以下「本願商標」という。指定商品、第一七類「被服(運動用特殊被服を除く。)布製身回品(他の類に属するものを除く。)寝具類(寝台を除く。)」)について商標登録出願(昭和四六年商標登録願第八三七五二号)をしたところ、昭和五〇年六月六日拒絶の査定を受けたので、同年七月四日審判を請求した。この請求は昭和五〇年審判第六〇八九号事件として審理され、昭和五三年六月一二日「本件審判の請求は成り立たない。」との審決があり、その謄本は同月二二日原告に送達された。
二 本件審決の理由の要点 本願商標は、その登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標たる登録第八八九〇〇四号商標(昭和四四年二月一七日商標登録出願、昭和四六年二月一三日設定の登録、指定商品第一七類「被服、布製身回品、寝具類」、その構成は別紙(二)に示すとおりのもの。以下、「引用商標」という。)と称呼において類似する類似の商標であり、指定商品も同一であるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するもので、商標登録を受けることができない。
三 本件審決の取消事由 本願商標が引用商標と類似の商標であることは争わないが、本件審決は、つぎの点において違法であるから、取消さるべきである。
商標法第4条第1項第11号規定が適用されるのは、当該登録出願人の商標が他人の登録商標と同一又は類似する場合である。ところが、原告は、昭和五三年一一月一日、引用商標の商標権者・旭化成工業株式会社からその商標権を譲受け、昭和五四年三月一九日その旨の移転登録を経由して、引用商標の商標権者となつている。これにより、本願商標の登録出願人と引用商標の商標権者は同一人となつたため、引用商標は前記法条に規定する「他人」の登録商標又はこれに類似する商標に該当しなくなり、「他人」の関係は解消された。したがつて、本願商標を前記法条に該当するとした本件審決の判断は誤りであり、違法として取消さるべきものである。
(被告)請求原因事実の認否と主張一 請求原因一、二の事実は認める。
二 同三の主張は争う。
登録出願商標が商標法第4条第1項第11号の規定に該当するか否かの判断は、
これについての特許庁における最終審理の時点、すなわち審決時が基準となるべきものである。
本件審決時(昭和五三年六月一二日)において、引用商標は本願商標登録出願の日前の出願に係る他人の登録商標として存続していたものであり、これを引用し、
本願商標が商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものとした審決は正当であつて、何ら違法の点はない。
原告は、昭和五四年三月一九日付をもつて引用商標は原告が商標権者となつたものであるから、本願商標の商標登録出願について拒絶の理由は解消したと主張するけれども、この商標権の移転は登録をまつて初めてその効力を生ずるものであるし、本件審理の対象たる昭和四六年商標登録願第八三七五二号の内容について変動を生じたものではない。
原告の主張は、本願商標の審理とはかかわりのない、単に審決後に発生した事情を述べるにとどまり、本件審決に何らの影響を及ぼすものではない。
(原告)被告の主張に対する反論 審決取消訴訟、すなわち行政事件訴訟の本質は、行政庁の第一次判断を媒介として生じた違法状態の排除にあることを考えれば、本件のように、事実状態の変動により特許庁の審決事由が何人も疑う余地がなく解消された場合には、その違法状態を排除しなければならないのであり、したがつて、本件の場合、審決違法性の判断時点は判決時にあるとするのが妥当である。しかも、本件のように、連合商標の商標登録出願に出願を変更することができる場合には、判決時とすることにより直接第三者の権利、利益を害するものではないため、そのように解する合理的な理由がある。逆に、審決時を基準として審決を維持することは、事実に反する審決を残存させることになり、矛盾が生じ、具体的妥当性を欠くことになる。
また、取消訴訟が裁判所に係属していて、審決が未確定の状態にある場合で、かつ、本件のように、権利者の名義人が変更した事実の認定のみで、裁判所が実質的に行政的裁量処分を行わないことが明らかな場合で、しかも、行政処分取消による直接第三者の権利、利益に関係のない場合には、裁判所の行政庁に対する行政的裁量権の侵害にもなりえないものであるから、審決の違法性判断時を判決時とすべきである。
さらに、商標法第4条第3項の規定から明らかなように、同条第一項第一一号に該当するか否かの判断時は査定時であり、この査定時は最終の査定時を意味するのであるから、取消訴訟が裁判所に係属中で審決が未確定の状態にある場合には、その審決時における査定は最終の査定ではないのである。したがつて、審決の違法性判断の基準時を判決時とすることには何らの問題もなく、むしろ、判決時とし、事実審である東京高等裁判所の審理内に属せしめることが、具体的妥当性に合致する。
以上のように、審決取消訴訟における違法性の判断時点は、本件のように具体的妥当性に沿う合理的な理由が見い出せる場合には判決時にあるとすべきである。
証拠関係(省略)
理 由一 請求原因一、二の事実は当事者間に争いがない。本願商標が引用商標と類似の商標であること、引用商標の商標権者が本件審決のされた時点においては旭化成工業株式会社であつたことは原告の自認するところであり、引用商標が本願商標登録出願の日前の商標登録出願に係る登録商標であること、本願商標の指定商品が引用商標のそれと同一であることは原告において明らかに争わないところである。
二 原告は、本件審決後に引用商標の商標権者は原告となつているから、本願商標の登録出願人と引用商標の商標権者との「他人」の関係は解消されており、本願商標が商標法第4条第1項第11号の規定に該当するとした本件審決は違法であると主張する。
原告の主張は、審決取消訴訟における違法性判断の基準時を判決時とすることを前提とするものであるが、審決取消訴訟は、すでにされた審決が違法であるとしてその取消を求めるものであり、この訴訟において裁判所の判断すべきことは当該審決が違法に行われたかどうかの点であつて、その判断は、審決がある特定の時点において、当時の法及び事実状態に基づいてされるのに対応して、少なくとも審決によるべきものとされた事項については、その審決のされた当時(処分時)の法及び事実状態にてらしてさるべきものであり(最高裁昭和二七年一月二五日判決・民集六巻一号二二頁その他参照)、その時点の後に生じた事実その他に応ずる右審決の結果の救済については、法の定めるところに従い、別に解決を得べきものである(本件については、たとえば、商標法第11条第2項、第三項の規定により、当初の出願を連合商標の商標登録出願に変更するなど。なお、自己の登録商標に類似する商標の独立の商標登録出願については、もともと、連合商標の商標登録出願をしない限り、同法第7条第1項第15条第1項第1号の規定により、拒絶の査定を受けることになる。)から、結局、原告の主張は採用できない。
さらに、原告は、本件においては右基準時を判決時とすることに具体的妥当性があるから判決時とすべきであると主張するけれども、その主張する事由をもつてしても、前示判断を左右すべきものとは認められない。
三 そうすれば、原告の主張は理由がなく、本件審決は適法であるから、これが取消を求める本訴請求は失当として棄却することとし、訴訟費用の負担については行政事件訴訟法第7条、民事訴訟法第89条の各規定を適用して、主文のとおり判決する。
裁判官 荒木秀一
裁判官 藤井俊彦
裁判官 杉山伸顕
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