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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成19ネ3057商標権侵害差止等請求控訴事件 平成20ネ420同附帯控訴事件 判例 商標
平成10ワ16262不正競争行為差止等請求事件 判例 商標
昭和58ワ27 判例 商標
昭和54ワ988 判例 商標
平成9ワ10409 判例 商標
関連ワード 包装 /  出所表示機能 /  識別機能 /  指定商品 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  類似性(類否判断) /  不使用 /  損害額 /  逸失利益 /  使用料相当額 /  権利濫用(権利の濫用) /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  取引の実情 /  国内 /  差止 /  混同防止 /  同一の商品 /  類似商標 /  非類似 /  利益額 / 
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事件 昭和 53年 (ワ) 2295号
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裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 1979/09/14
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告は、
1 別紙(五)認定(イ)号標章一覧表(6)ないし(12)記載の各標章をその製造にかかる天井材、天井中心飾、内装用壁材またはその包装箱に附し、
2 天井材、天井中心飾、内装用壁材の包装箱に前記各標章を附したものを販売し、
3 天井材、天井中心飾、内装用壁材に関する宣伝用カタログに前記各章を附して頒布し、
てはならない。
二 被告は、別紙(五)認定(イ)号標章一覧表(6)ないし(12)記載の各標章を附した天井材、天井中心飾、内装用壁材およびその包装箱、宣伝用カタログを廃棄せよ。
三 被告は、原告に対し金二三六九万九〇〇〇円およびこれに対する昭和五三年五月一一日から支払いずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
四 原告のその余の請求を棄却する。
五 訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の、その余を被告の負担とする。
六 この判決の第一ないし三項は仮に執行することができる。
事実及び理由
申立
(原告)一 被告は、別紙(二)(イ)号標章目録記載の各標章を、その製造販売にかかる天井材、天井中心飾、壁材の包装、シール、宣伝用カタログに使用しまたは右標章を附した天井材、天井中心飾、壁材を販売しもしくは販売のため展示してはならない。
二 被告は別紙(二)(イ)号標章目録記載の各標章を附した天井材、天井中心飾、壁材およびその包装、シール、宣伝用カタログを廃棄せよ。
三 被告は、原告に対し金七〇五三万円およびこれに対する昭和五三年五月一一日から支払いずみに至るまで年六分の割合による金員を支払え。
四 訴訟費用は被告の負担とする。
五 仮執行宣言(被告)一 原告の請求を棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
主張
一 原告の請求原因(一) 原告は、別紙(一)登録商標目録記載の各登録商標(以下、本件各登録商標または本件登録商標(1)ないし(12)という)の商標権者である。
(二) 被告は、建築資材の製造販売を業とするものであるが、本件各登録商標の各指定商品に該当または類似する天井材、天井中心飾、内装用壁材を販売するに際し別紙(二)(イ)号標章目録記載の各標章(以下、本件各(イ)号標章または本件(イ)号標章(1)ないし(12)という)を使用している。そして、その具体的使用態様は請求の趣旨一項のとおりであり(商標法2条3項一ないし三号参照)、またその使用対象商品および使用期間は同目録の該当欄記載のとおりである。
なお、原告は本件登録商標一二件のうち(1)ないし(5)の商標については現にこれを別紙(一)登録商標目録「使用対象商品」欄記載の商品を販売するに際して使用しているが、その使用開始日時は同目録の該当欄記載のとおりである。
(三) しかるところ、本件(イ)号標章(1)ないし(12)は、いずれも番号順に対応する本件登録商標(1)ないし(12)とそれぞれその称呼観念外観のいずれかの点において同一または類似しているから、各標章全体としても同一または類似するものである。
(四) したがつて、被告が本件各(イ)号標章を使用することはそれぞれ番号順に対応する原告の本件各登録商標の商標権を侵害するものである。
(五) そして、被告の右侵害行為は過失によつてなされたものと推定されるから(商標法39条、特許法103条)、原告は被告に対し右侵害行為によつて受けた損害の賠償を請求し得るものである。
しかるところ、被告は右侵害行為によつて左記の如き利益を得ており、右利益額は原告が受けた損害の額と推定されるので(商標法38条1項)、原告は被告に対し右利益相当額の損害賠償を請求する。
しかして、右利益額は別紙(三)損害算定表「販売利益欄」記載のとおりである。
(六) よつて、原告は、被告に対し、本件各登録商標の商標権に基づき請求の趣旨記載のとおりの差止請求と損害金合計七〇五三万円およびこれに対する本件訴状送達以後の日である昭和五三年五月一一日から支払いずみに至るまで商事法定利率年六分の割合の遅延損害金の支払いを求める。
二 被告の請求原因に対する答弁 請求原因(一)の事実および同(二)の事実のうち被告が原告主張の如き建築資材の製造販売を業とするものであることは認めるが、その余の請求原因事実は全て争う。
三 被告の主張および抗弁(一) 本件各登録商標と被告の使用する標章との間には類似性がない。
(1) そもそも、「商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによつて決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観観念称呼等によつて取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具休的な取引状況に基づいて判断」されるべきものである(最高裁昭和四三年二月二七日民集二二巻二号三九九頁参照)。
(2) しかるところ、原告と被告は、いずれも建築資材の製造販売を業とする合板メーカーであるが、国内における天井材、壁材の製造販売部門においては、原、
被告のほか訴外日本ハードボード株式会社を加えた三社が大手メーカーであり、生産業者の数も限られたものである。
また、その購買者である取引者も、右製品の用途からして明らかな如く、工務店、大工および建築職人等の建築事業に関係する専門家に限られており、かつ、その取引は全て特約販売店、代理店を通じて行われるものである。このように天井材、壁材の製造販売業界はいわば閉ざされた狭い特殊な業界であるから、当業界では、「東洋」「トーヨー」といえば被告を表示することは業界周知の事実になつている。
(3) したがつて、たとえ被告の使用する標章が原告の本件各登録商標と称呼
観念において類似しているとしても、総合的にみて外観が異なり、それに加えて「トーヨー」「東洋」等の表示があれぱ、取引者が被告の商品と原告の商品を誤認混同するようなことはあり得ない。
(4) 以上の如き観点から、被告の使用する標章と原告の本件各登録商標とを対比してみると、次にのべるとおり全く類似性がない。
(イ) 被告の使用標章「東洋ほんざね円舞」「ほんざね円舞」と本件登録商標(4)の「円舞」「えんぶ」について 被告の使用する右標章は、「ほんざね」の文字の部分が「円舞」部分に比較して格別に大きくかかれ、両者は離れて表示されている。すなわち、被告の右使用標章は、原告の右登録商標と全く異つた外観を呈しており、一般人の注意が大書された「ほんざね」の部分に向けられることは明らかである。したがつて、両者が取引上混同されるおそれは全くなく、類似性がない。
(ロ) 被告の使用標章「東洋レリーフ南国」と本件登録商標(2)の「なんごく」ついて 右両者は互に用途の異つた商品に使用されている。すなわち、被告の右使用標章が天井材としての製品に使用されているのに対し、右登録商標は樹脂シート、貼壁材としての製品に使用されている。このように使用される商品の用途が異つておれば、経験則上、商品の出所につき誤認混同を生ずることは通常あり得ない。しかも右両製品の外観が著しく異つていることは誰がみても一見して明白であるから、両者につき誤認混同を生ずる余地はない。
のみならず、被告の右使用標章では、「東洋レリーフ」と表示して、被告「東洋」の「南国」であることを明示し生産者を明らかにしているから、出所を混同するおそれは全くない。
(ハ) 被告の使用標章「東洋ほんざね西陣」「ほんざね西陣」と本件登録商標(1)の「にしじん」について (イ)において述べたのと全く同様の理由で、両者の外観は全く異なつており類似していない。
更に、この両者が使用される商品は、その大きさ、形状が著しく異つておりその外観が明らかに異なるから、混同のおそれは全くない。
(ニ) 被告の使用標章「東洋レリーフ箱根」「トーヨーレリーフ箱根」と本件登録商標(3)の「はこね」「箱根」について被告の右使用標章には、被告社名の一部を冠した「東洋レリーフ」「トーヨーレリーフ」との表示があり、これにより、
商品の出所を明らかにして自他商品の混同を防止している。そして、「東洋」「トーヨー」という表示が、当業界において被告を意味するものとして顕著な出所表示機能を有していることは前記のとおりである。したがつて、右使用標章を附された商品と本件登録商標(3)の商標を附された商品の間に、出所の誤認況同を生ずるおそれはなく、右両標章は類似していない。
(ホ) 被告の使用標章「東洋レリーフヴイーナス」「ヴイーナス」「ToyoRelief VENUS」と本件登録商標(5)の「ビーナス」について 被告の右使用標章は、いずれも一個の包装の正面、側面等に表記されており、
「東洋レリーフ」「ToyoRelief」の表示により包装全体として被告の商品であることを顕著に表示している。したがつて、前項(ニ)において述べたと同様、右被告使用標章を附した商品と右登録商標を附した商品とが混同されるおそれは全くなく、右両標章は類似していない。
(二) 原告の本件各登録商標は出所表示機能を有しないからその使用は何ら原告の商標権を侵害するものではない。
(1) 商標法が商標権者に登録商標使用の独占的権利を付与している趣旨は、当該商品の出所表示機能を保護することにある。したがつて、ある商標が登録されていてその商標が商品に表示されていたとしても、現実の取引界において登録商標本来の機能である出所表示機能がない商標については、仮に類似する標章が使用されたとしても実質的に商標権の侵害はないと解すべきである。けだし、このような場合についてまで権利侵害を認めることは、その実質的理由なく不必要に権利者を保護する幣害をもたらすとともに公正な競争秩序を乱すことになりかねないからである(大阪地裁昭和五一年二月二四月判決・-いわゆるポパイ事件判決-無体集八巻一号一〇二頁、判例時報八二八号六九頁参照)。
(2) しかるところ、原告はその製造販売にかかる全商品に別紙(四)記載のとおりの商標を必らず附して使用しており、これによつて自己の商品を他社の商品と区別している。そして、本件各登録商標は、原告がその製造販売する天井材、壁材に使用するために登録した数十の商標のうちの一部であつて、その現実の機能は自己の製造販売する多種多様の商品を区別し整理するため単に「目印」としての機能を果しているにすぎず、自社の商品と他社の商品を区別する機能は果していない。
すなわち、原告の使用する商標のうち出所表示機能をもつ商標として保護されるべきものは別紙(四)記載のそれであつて、本件各登録商標はかかる機能を有しない。
したがつて、被告の使用する標章が仮りに本件各登録商標に類似するとしても、
それは右登録商標の実質的な侵害行為とはならず、原告の請求は全て理由がない。
(三) 原告は被告の標章使用行為により何ら損害を受けておらず、このような場合には商標法38条1項の推定規定の適用は許されない。
(1) 元来、ある商標と類似標章との間に誤認混同の問題を生ずるのは、その商標が取引界の現実において出所表示機能を有している場合である。その商標に現実の出所表示機能がなければ、類似標章が使用されたとしても、誤認混同を生ずる余地はない。
(2) しかるところ、本件各登録商標が現実の取引において本来の出所表示機能を有していないことは前記のとおりである。したがつて、被告がこれらに類似した標章を使用したとしても、これにより原告の商品と被告の商品がが誤認混同されることはあり得ない。被告が類似標章を使用する行為は原告の営業利益に何らの影響を与えず、原告には何らの損害も生じない。
(3) また、被告は原告が主張する本件(イ)号標章に類似する標章を使用して商品を販売したことはあるが、それは被告自身の多種多様の商品を区別し整理するための「目印」として使用したものにすぎない。これらの標章を附した商品が売れたのは、その商品の品質、価格、意匠等が良かつたからであり、右標章を使用したからではない。被告が右商品販売によつて得た利益のうち、右標章使用の結果とみるべき部分は全く存しない。
(4) 以上のように、被告の標章使用行為によつて原告に何らの損害も発生しておらず、またこれと被告の得た販売利益との間には全く因果関係がないので、商標法38条1項により被告の得た利益を原因の損害と推定する合理的根拠はない。
(5) なお、以上の理は、原告が現実に使用したことのない本件登録商標(7)ないし(12)に関しては尚一層強くあてはまり、このようなものに関してまで、
被告の販売利益を原告の損害とすることは、原告に著しく不当な利益を与えることになろう。
(四) 原告は本件登録商標(6)ないし(12)の各商標を長期間使用しておらず、かかる権利に基づく本訴請求は権利の濫用であり、許されない。
四 原告の反論(一) 本件登録商標と本件(イ)号標章の類似性について(1) 天井材、壁材の製造販売部門においては原、被告および訴外日本ハードボードが三大メーカーでありその取引者も大工等の専門家に限られるとする被告の主張は事実に反し正確でない。右部門においては右三社のほか訴外松下電工、日東紡、吉野石膏等も大手業者といわれており、その取引者の中には注文住宅建築の施主等建築業者を通じて商品を購入する多数の一般市民が含まれている。
(2) しかして、右商品の取引において、需要者であり取引者である一般市民は自己が収集しあるいは大工、工務店から提示されたカタログ類を通じて好みの商品を選択し、大工、工務店を通じて特約販売店、代理店に発注する。そして大工、工務店等の建築業者が特約販売店、代理店等と取引する場合においても、店頭で売買されるのはむしろ例外で、その多くは電話、伝票等による大量取引である。
(3) しかるところ、原、被告ら生産業者が製造する天井材、壁材等の商品の種類は多種多様でありこれらの商品に「トーヨー」「東洋」等会社を表示する標章を附しただけでは商品を個別化し特定することはできない。そのためには、どうしても商品を個別化するための商標を附さざるを得ず、右商品の取引は右個別的商標を手懸りとして行われることになる。
(4) こうした取引形態の下において、カタログを通じて商品の個別的商標を手懸りに商品を選択する一般市民は「トーヨー」「東洋」といつてもそれが何を表示するかについては無頓着なのが普通であるから、右表示が被告を意味することが周知であるとはいえない。
(5) また、仮りに、右「トーヨー」「東洋」といえば被告を表示することが取引者らに周知であるとしても、前記の如きカタログを通じての商品の選択特定、電話伝票による取引での商品の指定は、個別的商標を通じておこなわれこれによつてはじめて商品の選択購入が可能になるのであるから、たとえ被告の商品に「トーヨー」「東洋」等の表示が附されていても、個別的商標が同一ないし類似であれば、
取引上被告の商品と原告の商品が誤認混同されるおそれは充分に存する。
(6) 被告は五件の標章についてのみ特にその非類似を主張するが以上の観点からするといずれも失当である。
(イ) 「東洋ほんざね円舞」「ほんざね円舞」について 被告は「ほんざね」の部分が大書されていることを理由に混同のおそれはないというが失当である。右「ほんざね」なる表示は、被告商品の梱包には附されているが取引者らに配付されているカタログには記載されていなかつたり、記載せられていても個別的商標たる「円舞」の文字よりも小さく表示されているものにすぎない。
しかも、右「ほんざね」なる表示は商品の一型式を示すものであり、十数種類の「ほんざね」製品が製造販売されている。したがつて、右表示自体は購入商品特定の手懸りにはならず、商品の選択は個別的商標「円舞」あるいは「えんぶ」によって行われざるを得ない。してみると、被告が使用する右標章の要部は「円舞」あるいは「えんぶ」の部分にあるというべきであり、右要部が原告の登録商標「円舞」「えんぶ」と同一である以上、原、被告の商品が誤認混同される危険性は大である。
(ロ) 「東洋レリーフ南国」について 被告は商品の用途が異なることを理由に商標の非類似をいうが、独自の見解である。指定商品の範囲内での商品用途の相違は商標の類似性を左右するものではない。また、商品の外観(梱包の大小)の相違があつても、商品を個別化するための個別的商標が類似する限り、商品混同の危険は避け難い。よつて、右標章は全体としてみても、原告の登録商標「なんごく」に類似することを免れない。
(ハ) 「東洋ほんざね西陣」「ほんざね西陣」について 「ほんざね」なる表示が存しても、それが本件登録商標「にしじん」との類似性を否定する理由となり得ないことは(イ)において述べたとおりである。また、商品の形状、大きさの相違がその理由とならないことも(ロ)において述べたとおりであり、被告の主張は失当である。
(ニ) 「東洋レリーフ箱根」「トーヨーレリーフ箱根」について 「東洋レリーフ」「トーヨーレリーフ」の表示は被告商品の一型式を示すものにすぎず、購入商品特定の機能を有しない。したがつて、専門取引業者であつても必ず「はこね」あるいは「箱根」という個別的商標を用いて取引しなければならず、
そうである以上、右の如き表示があつても混同防止の決め手にはならず、全休として原告の登録商標「はこね」「箱根」に類似することを免れない。
(ホ) 「東洋レリーフヴイーナス」等について 既に、繰り返えし述べた如く、購入商品を特定するための手懸りとなるのは個別的商標「ヴイーナス」あるいは「ビーナス」の部分であり、その余の部分の表示が混同防止の決め手にならないことは(ニ)について述べたとおりであり、被告の主張は理由がない。
(二) 商標権の侵害について 原告が被告主張の別紙(四)記載の如き商標を使用していることは事実である。
しかし、右商標は商品の製造者、販売者を示すためのいわゆる営業者標である。一方、本件各登録商標は個々の商品の愛称として取引者、需要者に愛顧されるよう用いられるいわゆる商品標であつて、標章の性質が互いに異なる。
しかして、個々の商品に営業者標としての商標と商品標としての商標が併用されることは、一般に行われることであり、併用されたからといつて商品標としての商標に出所表示機能がないとされるいわれはない。そして、商標法は営業商標たると商品標たるとを問わずその登録商標を保護し、商品標たる登録商標が現に使用されていない場合であつても将来使用されるときに本来の機能を発揮し得るよう保護している。
しかるに、被告は、原告の本件各登録商標と称呼観念において同一でありかつ外観においても同一ないし類似の各標章を、本件各登録商標の指定商品の範囲内の商品の包装、カタログ類に使用しているのであるから、それは原告の本件各登録商標の商標権を侵害するものにほかならない。
(三) 損害の発生について 本件各登録商標の出所表示機能がその現実の使用いかんにかかわらず否定さるべきものでないことは既述のとおりである。そして、被告において本件各登録商標と同一ないし類似の標章を原告商品と同種でかつ用途、販売経路が同一の商品について使用すれば商品の出所の誤認混同が生ずることも前述のとおりである。
しかも、商標権者たる原告は、多大の時間と費用を投じて獲得した商標権を被告によつて侵害されたため、今となつては当該登録商標を使用することは勿論、財産権として譲渡等の処分をすることも事実上不可能となり、多大の損害を蒙つているのが実情である。
したがつて、本件各登録商標と同一ないし類似の標章を右登録商標の指定商品内の商品に使用し続けている被告が、原告に対し商標権侵害に伴う損害賠償責任を負うのは当然である。
(四) 権利濫用の抗弁について 否認する。原告が現在本件登録商標(6)ないし(12)の商標を使用していないことは事実であるが、だからといつて本訴請求を権利の濫用といわれる理由はない。
証拠(省略)
理 由
差止請求について
一 請求原因一の事実(原告が本件各登録商標の商標権者であること)については当事者間に争いがない。
二 つぎに、被告が建築資材の製造、販売を業とするものであることも当事者間に争いがない。
また、いずれも成立につき争いのない甲第一三号証の一ないし四、同第一五号証の一、二、七、同第一六号証、同第一九号証の一ないし三二、乙第一、二号証、同第三号証の一、二、同第六号証、いずれも被告商品用の包装箱を写した写真であることにつき争いのない検甲第一ないし七号証の各一ないし三、同第八、九号証の各一、二、同第一〇、一一号証の各一ないし三、同第一二号証の一、二、証人【A】の証言および被告代表者本人尋問の結果によると、被告はかねてから(1)その製造にかかる天井材、天井中心飾、内装用壁材またはその包装箱に別紙(五)認定(イ)号標章一覧表記載の各標章を附し、(2)天井材、天井中心飾、内装用壁材の包装箱に右各標章を附したものを販売し、(3)天井材、天井中心飾、内装用壁材に関する宣伝用カタログに右各標章を附して頒布するなどして、右各標章を使用してきたこと、その具体的な使用態様は前記一覧表「使用態様」のとおりであり、
ただ(1)の、商品自体に標章を附する行為とは店頭に見本として置くものにかぎり標章を印刷したシールを貼ることを指すこと(なお、販売用商品自体には特段標章を附さず、また将来そのおそれもないこと)、右各標章の使用対象商品具体的には認定(イ)号標章(9)のそれが天井中心材、同(12)のそれが内装用壁材である以外は全て天井材であることが認められる。
また、右各標章の使用期間についてみるに、前掲各証拠と弁論の全趣旨に照らすと、右各認定(イ)号標章は昭利五二、三年中、正確にはそれぞれ左記期間中使用されていたことが認められ、それ以前の使用についてはこれを確定するに足る証拠はない((1)ないし(5)、(7)、(10)、(12)が原告主張どおりであり、他は原告主張の範囲内)。
標章 期間(自至昭和・年・月・日)(1) 認定(イ)号標章(1)西陣等 五二・八・一〜五三・四・三〇(2) 同標章(2)なんごく等 五〇・四・一〜五三・四・三〇(3) 同標章(3)はこね等 五一・四・一〜五三・四・三〇(4) 同標章(4)えんぶ等 五二・八・一〜五三・四・三〇(5) 同標章(5)ヴイーナス等 五二・一・一〜五三・四・三〇(6) 同標章(6)あじさい等 五二・一・一〜五二・六・三〇(7) 同標章(7)りんず等 五二・四・一〜五三・四・三〇(8) 同標章(8)うたげ等 五二・一〜五三・四・三〇(9) 同標章(9)ルーブル 五二・一・一〜五三・四・三〇(10) 同標章(10)きりしま等 五二・四・一〜五三・四・三〇(11) 同標章(11)ざおう等 五二・一・一〜五三・四・三〇(12) 同標章(12)はくほう等 五二・六・一一〜五三・五・一〇 しかして、前掲乙第一号証、同第三号証の二、被告代表者本人尋問の結果と弁論の全趣旨によると、被告は昭和五三年八月一五日ごろには右各標章のうち(1)ないし(5)の使用を一切とりやめこれを附した包装箱等を廃棄したうえ、取引先にも標章を変更した旨通知しており、今後右標章を再び使用する意思は有していないが、その余の標章は引続き使用していることが認められる。もつとも、右代表者本人尋問の結果によると、被告は昭和五四年六月一日現在(6)、(7)の各標章もすでに使用していないといい、(11)、(12)の各標章も使用していないように思うと述べている部分もあるが、その供述自体記憶にあいまいな点もあることが自認されており、他に右供述の真実性を裏付ける証拠もないからにわかにこれを採用することはできない。
なお、ここで、原告側の本件各登録商標の使用状況をみておくと、いずれも成立につき争いのない甲第一四号証の一ないし四と原告商品用の包装箱を写した写真であることにつき争いのない検甲一三号証の一、二、同第一四号証の一ないし三、同第一五ないし一七号証の各一、二および前掲【A】証人の証言と弁論の全趣旨によると、原告は、本件登録商標(1)ないし(5)の商標を少くとも前記認定(イ)号標章の使用期間以前の時期より引続き、その製造、販売する壁材、天井材の包装箱に附しあるいはこれを附した宣伝用カタログを頒布するなどして使用してきていることおよびその他の商標中(6)、(8)、(9)のものはかつて使用されたことはあるが、現在は使用されておらずその余のものは登録後使用されたことのないものであることが認められる。
三 そこで、本件登録商標(1)ないし(12)と右認定(イ)号標章(1)ないし(12)(いずれも番号順に対応する)を対比し、その類否につき検討する(なお、右認定の各(イ)号標章の中には、原告主張の(イ)号標章目録記載のそれと全く同一とはいえないものも存する。しかし、もともと原告の訴旨または弁論の全趣旨は右主張以外の分について一切その請求または主張をしない趣旨であるとは到底考えられず、かえつて、右認定分も当然これを含んだ趣旨であると解されるところであり、客観的にも原告の請求、主張標章と裁判所の右認定標章との相違は特段請求の対象物の同一性を失わせる程大きなものではなく、むしろ後者は前者をより正確に摘記したにすぎないとも解しうるので、以下右認定の各(イ)号標章を基にして原告の本訴請求の当否を検討する。)。
(一) (商品の類否) 前掲甲第一三号証の一ないし四、乙第二号証、同第三号証の一二と弁論の全趣旨によると、前記認定(イ)号標章の使用対象となる被告製造販売の天井材、天井中心飾、内装用壁材はいずれも木質の内装用新建材といわれる建築材料であつて、一般に材木店あるいは建材店と称される営業主の下で販売される性質のものであることが認められ、いずれも各対応登録商標の指定商品に該当することが明らかである(商標法施行令1条所定の別表第七類の欄および同法施行規則3条所定の別表の同欄参照)。
(二) (標章の類比) 前記各認定(イ)号標章中には各対応の本件登録商標とそのまま同一と認められるものはない。
そこで、その類似性の存否について検討するに、これらはすべて称呼に親しむ文字標章であつて、右各認定(イ)号標章はいずれも各対応登録商標の構成要素である名詞をそのままあるいは表記方法を別にして(漢宇、ローマ字、英語で表記するなどして)使用するかこれを含んだものであって、それぞれ前記認定(イ)号標章一覧表の「類似点」欄に記載したとおり、対応登録商標の称呼と全く同一であるか同一の称呼を含みかつそれが主要部をなしているものであり、またその観念においても同一または類似するものであることが認められる(なお、認定(イ)号標章(5)の「ヴイーナス」と本件登録商標(5)の「ビーナス」とは一般には特に区別して発音されることなく、また、右(イ)号標章(5)のうちの「Venus」「VENUS」の部分は、我が国の英語教育の普及度からみて、英語の発音に従いヴイーナス、ビーナス等と称呼されるのが通例と考えられる。)。
(三) 以上のとおり、前記各認定(イ)号標章は、いずれもその対応登録商標と称呼観念ともに同一であるが、その中に同じ称呼を合み、かつそれが主要部をなし、またさらに観念においても同一ないし類似するものであるから、そのような標章が各対応商標の指定商品同一の商品に使用された場合にはその商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれのあること明らかである。
そうすると、右各認定(イ)号標章はいずれもその対応登録商標に類似するというべきである。
(四) ところで、被告は、被告の使用する標章には業界において被告を意味することが周知されている「トーヨー」「東洋」等の表示がされていることや取引者が限られていることあるいは原、被告が製造販売する商品に形状、大きさの違いがあることを理由に両者か誤認混同されることはあり得ないと主帳し、このことを根拠として、被告の使用標章は本件各登録商標に類似しない旨主張している。
思うに、一般に商標の類否判断にさいしては、その外観観念称呼の三要素に分けて対比しその類否を判断し、その一つでも類似性が認められれば当該標章の類似性を肯認するという方法が採られている。しかし、右三点の基準はあくまで当該標章を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎないと解すベきである。したがつて、場合によってはたとえ右三要素の一において、類似する商標でも、具体的な取引の実情に照らしそれだけでは誤認混同を生じさせないようなものについてはこれを類似商標と解すべきではない。被告の前記主張は右の限度で主張自体は正当である(被告がその三(一)(1)で指摘する最高裁昭和四三年二月二七日判決参照。)。しかし、本件はいずれも少くとも称呼観念の二点にわたつて同一または類似している場合であつて、右二点にわたる同一性、類似性は一般にはそれ自体強く誤認混同のおそれを事実上推定するものであることにも留意すべきである。のみならず、前掲甲第一三号証、同第一四号証の各一ないし四、同検甲第一三号証の一、二、同第一四号証の一ないし三、同第一五ないし一七号証の各一、二、前掲【A】証人および被告代表者本人の各供述(一部)に弁論の全趣旨をあわせると、原、被告が製造販売する製品は等しく天井材、壁材といつても多種類に及び例えば被告製造の天井材の中にもレリーフ吸音板、ほんざね吸音板等各種のものがあつてその各種のものが更に多様な柄、模様のものにわけられていること、そして、前記各認定(イ)号標章またはその主要部や本件各登録商標はいずれも各種別の商品の巾の一つを特定するための品名(柄名)を示すいわば愛称として伍用されるものであること、ことに被告商品について電話取引等口頭で商品を特定するような場合には、被告使用標章中の「トーヨー」「レリーフ」「ホンザネ」等非主要部分の称呼は省略されることが多いこと等の事実が認められる。
すなわち、右認定(イ)号標章またはその主要部や本件登録商標はいずれも各種製品の中の品名(柄名)を表示するものであり、多種類の中から一つの商品を特定するための最も直接的な識別手段として使用されるものである。したがつて、対応する原告商品と被告商品との間に取引上誤認混同を生ずるおそれの存することは明らかである。
被告代表者本人の供述およびこれにより真正に成立したものと認むべき乙第五号証、同第八号証(いずれも販売業者の証明書の中には、前記認定(イ)号標章(1)ないし(5)の銘柄の被告商品と本件登録商標(1)ないし(5)の商標を附された原告の商品が誤認混同されて販売に支障をきたしたり、苦情を受けたことはない旨の記載があり、被告代表者本人もいまだかつて間違いが起つたことを聞いたことがない旨供述している。また、被告主張の写真であることにつき争いのない検乙第一、二号証の各一、二によれば、認定(イ)号標章(1)、(2)を附した被告商品の包装箱と本件登録商標(1)(2)を附した原告商品の包装箱との間には形状、大きさに相異のあることも肯認される。
しかし、前記の認定判断に照らすと、右の記載や供述は「誤認混同を生じない場合もある。」という以上のことを証明するものではないと考えられる。また、商品の形状、大きさの相違が直ちに誤認混同のおそれを解消するものとも考えられない。
結局、被告の前記主張は失当である。
四 以上のとおりであるから、被告は本件各登録商標の指定商品に右登録商標に類似する商標を使用することによつて、原告の本件各商標権をかつて侵害し、または現に侵害しているものとみなすべきである(商標法37条1号)。
被告は本件各登録商標は出所表示機能を有しないのでこれに類似する標章を使用しても右登録商標の商標権を侵害することにはならない旨主張しているが、右の所論は概括的にすぎ、なんらその具体的な法的根拠(商標法1条2条1項等の解釈に関する見解)を明らかにした主張ではないから主張自体にわかにこれを採用し難いところである。もつとも、その主張中、出所表示機能を有しない商標はこれを保護すべき実質的理由はないという部分は一般論としては首肯できる。しかし、上来説示の認定判断によると、本件の場合、原告の各商標はいずれも特定商品の愛称として商品の識別機能、品質表示機能を保有していることは明らかであり、これはひいては出所表示機能の存することでもある。被告は右の点について各種商品を区別する機能は出所表示機能でないかのようにいう部分もあるが採用できない。また、
原告が自社商品には別途別紙(四)記載のよりな商標をも使用していることは当事者間に争いなく、右商標が取引上出所表示の役割を果していることはいうまでもない。しかし、そのことのゆえに本件各商標の特定商品識別、出所表示の機能が失われていると解さなければならない合理的な理由はない。
被告の前記主張もまた失当である。
五 はたしてそうだとすると、原告の差止請求は被告の使用する別紙(五)認定(イ)号標章一覧表(6)ないし(12)記載の各標章について主文一、二項の限度で理由があるがその余は失当である。
損害賠償請求について
一 被告の前記侵害行為が不法行為法上の違法行為であることはいうまでもない。
また右違法行為は過失によつてなされたものと推定される(商標法39条、特許法103条)。したがつて、被告は右行為によつて原告の蒙つた損害を賠償すべき義務がある。
しかるところ、被告は本件各登録商標はいずれも出所表示機能を有せず、殊にその(7)ないし(12)の商標は原告により現実に使用されたこともないのであるから、原告には被告の前記標章使用行為によつて何らの損害も生じておらず、商標法38条1項適用の余地はない旨主張する。
まず、本件各登録商標が出所表示機能を有することは前示のとおりであるから、
被告の主張中右機能がないことを前提として原告には損害は発生していないとする部分は採用できない。また、本件の損害額算定にさいし商標法38条1項の推定規定を適用すべきではないとの主張も、原告が現に使用している本件登録商標権(1)ないし(5)の侵害分については理由がないが、現に使用していないその余の商標権の侵害分については理由があると考える。けだし、右規定は侵害行為により現実に損害が生じた場合における財産的損害の額に関する推定規定であると解されるが、さらにその規定内容をみるに、同規定は損害行為者の利益額を即権利者の受けた損害と推定するとしているのであつて、このことからすると、ここにいう損害とは権利者において侵害者が侵害行為により得ている利益と対比され得るような同種同質の利益を現実に失つた場合における損害、いいかえれば権利者が現に登録商標を使用して利益を享受している場合における財産上の逸失利益相当損害をいうものと解されるからである(なお、右推定規定が侵害行為により生じた全ての損害につき適用されるものでないことは、いわゆる慰謝料の対象となるような精神的損出についてはその性質上右規定を適用できないという一点からしても明らかである)。
二 そこで、以上の見解に従い損害額を検討する。
(1) まず、本件登録商標(1)ないし(5)のそれについてみるに、前掲甲第一九号証の一ないし三二と前掲【A】証人の証言および被告代表者本人尋問の結果に照らすと被告は前記認定(イ)号標章(1)ないし(5)を使用することにより、別紙(三)損害算定表の(1)ないし(5)欄「販売利益」欄記載のとおり合計二三六九万九〇〇〇円の利益を得たもの(その算定の基礎となる単価、月間売上数、対象販売期間-前記二で認定の使用期間に同じ、販売利益率はいずれも原告主張のとおり)と認めるのが相当である。よつて、原告は右利益相当額二三六九万九〇〇〇円を右登録商標を侵害されたことによる損害として被告に請求し得るというべきである。
(2) 次に、その余の登録商標分についてみるに、右損害額の算定については前示のとおり商標法38条1項の推定規定を適用できないわけであるが、ただ同法条二項(当該商標使用料相当額損害額とみる規定)はこれを適用することが可能であり、原告の弁論の全趣旨を善解すると原告は右法条項を適用すべきことをも当然主張していると考えられる。そして、前掲各証拠のほか前掲甲第一三号証の一ないし四や同第一五号証の二および証人【B】の証言を総合すると、その算定の基礎事実となる前記認定(イ)号標章使用対象商品の販売単価、使用料率(二パーセント)については原告主張のとおりであることを認め得ない訳ではなく、その販売期間も前記二で認定の使用期間と同じとみることができる。しかし、その販売数量に関してはこれを的確に認定するに足る証拠はない。前掲【A】証人の証言によると、原告が主張する右商品の月間売上数は同種製品のそれからの類推と取引界の状況からする全くの推量によるものであるにすぎないことが認められ、他に右数値が妥当なものであることについての具体的かつ客観点な裏付けはない。
そうすると、右その余の商標権侵害による損害額の立証はないというほかない。
原告の第一、第二の請求に対する被告の権利濫用の抗弁について
被告は、原告において長期間使用していない本件登録商標(6)ないし(12)に基づき本訴の如き請求をするのは権利の濫用であるというが、不使用商標権の行使が直ちに権利濫用となると解すべき理由はなく、その他本件に顕出された全証拠によつて認めうる諸般の事情を検討しても、原告の本訴請求を権利の濫用とすべき事情は認められない。被告の右主張は失当である。
結論
以上のとおりであるから、原告の差止請求は、第一において判示した限度において理由があり、損害金請求についても第二において判示したとおり本件登録商標(1)ないし(5)の侵害を理由とする損害金二三六九万九〇〇〇円およびこれに対する右損害発生以後の日である昭和五三年五月一一日から支払いずみに至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度において理由があるが、その余の部分の請求は理由がない(なお、原告は商事法定利率による年六分の割合の遅延損害金を請求するが、右損害賠償請求権の性質は一般民法上の不法行為を原因とするものと解せられるので、民法所定の法定利率によるのが相当である。)。
よつて、原告の本訴請求は右の限度でこれを認容し、その余を棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法92条、仮執行の宣言につき同法196条を適用して、主文のとおり判決する。
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