関連ワード | 独占的使用 / 識別力 / 包装 / 普通に用いられる方法 / 国内 / |
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事件 |
昭和
42年
(ネ)
2373号
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 1970/04/28 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 民事仮処分 |
主文 |
本件控訴は、棄却する。 控訴費用は、控訴人の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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当事者の求めた裁判
控訴人訴訟代理人は、「原判決を取り消す。原判決主文第一項記載の仮処分決定のうち控訴人に関する部分を取り消す。本件仮処分申請は、却下する。訴訟費用は第一、二審とも、被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人訴訟代理人は、主文第一項同旨の判決を求めた。 |
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当事者の主張
当事者双方の事実上の陳述は、控訴人訴訟代理人及び被控訴人訴訟代理人において、それぞれ次のとおり附加陳述したほか、原判決事実摘示と同一であるから、ここに、これを引用する。 一 控訴人訴訟代理人の陳述(一) 不正競争防止法第1条第1項第1号にいう商標は、商標法第3条第一、二項の規定により商標登録を受けうべきものでなければならないところ、被控訴人の商標「長崎タンメン」は、商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示したにすぎない標章であり、かつ、使用による特別顕著性を有するものでもないから、前記不正競争防止法の規定により保護されるべきものではない。何故ならば、 商標法により独占権を与えることができない商標について不正競争防止法によつて独占使用権を与えるべき必要はないからである。被控訴人の商標「長崎タンメン」における「長崎」は、被控訴人の主張するように、「ただ漠然とした異国情緒を示している」にとどまるものではなく、客観的に見て、明らかに、商品の産地ないしは販売地を直感連想させるものである。しかも、使用による特別顕著性のためには、長年の独占的使用が要件であるところ、被控訴人が即席タンメンに「長崎タンメン」なる商標を使用したのは、他のメーカーに先がけること僅々六か月にしかすぎない。この程度の使用により、商標の自他商品の識別力プラス独占適応性によつて始めて可能となる使用による特別著性が生ずる筈はない。 (二) 控訴人の商標「ゴールド長崎タンメン」は控訴人において、独自のパッケージを考案して宣伝に努めた結果、遅くも、本件仮処分命令発令の直前である昭和四十一年三月頃には、控訴人の商品表示として、関西地方を中心として、ほぼ全国的に周知されていたものであるから、これを使用することにより被控訴人の商品との混同を生ぜしめることはない。 二 被控訴人訴訟代理人の陳述 控訴人の右主張事実は争う。控訴人が「ゴールド長崎タンメン」の商標を使用し始めた当時、「長崎タンメン」が被控訴人の商品の表示としてすでに周知の状態にあつたものである。控訴人の主張は、この事実を忘れたものである。 |
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疎明関係(省略)
理 由当裁判所が本件仮処分申請を理由があるものと認める理由は、次に附加するもののほか、原審がその判決理由において判示するところと同一であるから、ここに、これを引用する。 当裁判所の附加する判断一 控訴人は、本件商標は、商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示したにすぎない標章であり、しかも、使用による特別顕著性を有するものでもないから、不正競争防止法第1条第1項第1号にいう商標に当らないものである旨主張するが、この主張は理由がないものである。けだし、本件商標が不正競争防止法第1条第1項の規定により保護せられるためには、それが被控訴人の商品の表示として、わが国内において広く認識されていることを必要とするとともに、それをもつて足り、必ずしも商標法第3条の商標登録の要件を具備することを要するものでないことは、これら二つの法律が支配する対象を異にすることから、きわめて明白なことであり、本件において、被控訴人の商標が商標法第3条第一、二項の登録要件を具備するかどうかなどということを論ずべき余地は全く存しないからである。 二 控訴人は、控訴人の商標は遅くも昭和四十一年三月項までには控訴人の商品の表示として周知となつていたから、これを使用することにより被控訴人の商品と混同を生ずることはない旨主張し、当審証人富越桂治の証言によれば、控訴人の商標「ゴールド長崎タンメン」は昭和四十一年三月頃までは関西方面を中心として各地において相当宣伝せられ、したがつて、相当程度一般に認識されるに至つたことを認めえないではないが、前判示(原審判決参照)のとおり、被控訴人の商標が遅くも昭和四十年四月当時、その製造販売する即席タソメンを表示する標章として、ほぼ全国において広く認識されるに至つた事実及び控訴人が「ゴールド長崎タンメン」の商標の印刷された包装を使用して即席タソメンの販売拡布を開始したのは、 被控訴人が「長崎タンメン」の商標を使用して即席タンメンの製造販売を開始した約一年後である事実並びに「ゴールド長崎タンメン」という標章が、一般にある商標に、「ゴールド」とかあるいは、「スーパー」「デラツクス」という文字を冠した場合そうであるように、品質のより上等な、あるいは豪華な、「長崎タンメン」という印象を一般に与えるという事実(この種の文字の、このような用法がこのような印象を与えることは、一般社会通念に照らして明らかなことである。)を併せ考えると、「ゴールド長崎タンメン」という商標が、宣伝により相当広く認識されるに至つたとしても、それがそのまま、控訴人の商品としての即席タンメンの表示として認識されたものと断ずることはできないから、控訴人の前示主張も採用することはできない。 以上説示したとおりであるから、被控訴人の本件仮処分申請を理由があるものとした原判決は正当であり、本件控訴は理由がないものというほかはない。よつて、 本件控訴は、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第八十9条を適用し、主文のとおり判決する。 |
裁判官 | 服部高顕 |
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裁判官 | 三宅正雄 |
裁判官 | 石沢健 |