審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成15行ヒ265 | 判例 | 商標 |
昭和33オ1104審決取消請求 | 判例 | 商標 |
平成14受1100損害賠償,商標権侵害差止等請求事件 | 判例 | 商標 |
昭和55行ツ30審決取消 | 判例 | 商標 |
昭和33オ766商標登録願拒絶査定抗告審判審決取消請求 | 判例 | 商標 |
関連ワード | 指定商品 / 取引の実情 / 判定 / |
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元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
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事件 |
昭和
37年
(オ)
955号
審決取消請求
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裁判所のデータが存在しません。 | |
裁判所 | 最高裁判所第三小法廷 |
判決言渡日 | 1964/06/16 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
上告人の上告理由第一点について。 論旨は、本願商標の指定商品は引用商標の指定商品を特に除外し、また両者は品質、形状、用途を異にしているにもかかわらず、原判決が引用商標と類似する本願商標をその指定商品に使用するにおいては商品の出所を誤認混同せしめる虞れがあるとなし、そのことから、本願商標の指定商品を引用商標のそれに類似すると認めたのは、商標法(大正一〇年法律九九号、以下同じ。)2条1項9号の規定を不当に解釈し、商品の類否判定に関する法則の適用を誤り、審理不尽、理由不備の違法をおかしたものである、という。 商標権者は指定商品のみにつきその商標を専用し得る権利を有するに過ぎないこと、正に、所論のとおりである。しかし、商標法2条1項9号は、商標の不登録事由を単に他人の登録商品と「同一ノ商品」に使用するものに限定することなく、一般公衆が不測の損害を蒙ることを防止し且つ不正競争を抑圧する目的で、 「類似ノ商品」に使用するものにまで拡大しているので、登録商標権者に対する保護の範囲は、当該指定商品のみならず、これと類似の商品にも及ぶもの、といわなければならない。そこで、商標の本質は、商品の出所の同一性を表彰することにもあるもの、と解するのが相当である。しかして、商標の本質が右のごときものである以上、商標の類否決定の一要素としての指定商品の類否を判定するにあたつては、所論のごとく商品の品質、形状、用途が同一であるかどうかを基準とするだけではなく、さらに、その用途において密接な関連を有するかどうかとか、同一の店舗で販売されるのが通常であるかどうかというような取引の実情をも考慮すべきことは、むしろ、当然であり、また、所論のごとく法2条1項9号は私益的規定であるのに対し同一一号は公益的規定であるとはいえ、両者は排他的関係にあるものと解すべきではなく(昭和三五年一二月二〇日第三小法廷判決、民集一四巻一四号三一〇三頁参照)、一一号の「商品ノ誤認又ハ混同ヲ生セシムルノ虞アルモノ」に該当する商標は、それが他人の登録商標と同一または類似である場合には、その指定商品と「同一又ハ類似ノ商品ニ使用スルモノ」と認め、九号の規定を適用してその登録を拒否することも違法ではない、といわなければならない。 いま本件についてこれをみるのに、上告人の登録出願にかかる商標は、「PEACOCK」なる文字より成り、 法施行規則15条第五一類文房具中万年筆、鉛筆、「クレオン」、鉛筆削、「ペン」先、「ペン」軸、「シヤープペンシル」「チョーク」、「インキ」、印刷「インキ」消、消「ゴム」、「ゴム」印、筆洗、文箱、筆立、紙挾、状差、「シース」、紙押「ピン」、「ホツチキス」、「バインダー」、文鎮をその指定商品とし、引用商標は、孔雀の図形と「諸星墨汁」なる文字より成り、第五一類文房具中墨汁をその指定商品とするものであるが、本願商標と引用商標とが商標自体において類似することは上告人の争わないところであること、記録上明らかであり、また、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とが必らずしも常にその製造発売元を異にするものでないことは、みやすいところである。 従つて、本願商標の指定商品には、引用商標の指定商品たる墨汁が特に除外されており、また、引用商標の指定商品とは品質、形状、用途の点において異なるものがあるとしても、右のごとき事実関係の下において、原判決が両者はともに第五一類文房具に属するものであつて、書写およびこれと密接に結合された用途に使用されるものであり、且つ、同一の店舗において公衆に販売されるのを常態とするものであるから、本願商標をその指定商品に使用して売り出せば一般世人に引用商標の商品と同一営業主の製造または販売にかかるものと誤認混同される虞れがあるとして、本願商標は法2条1項9号に該当すると判断したのは、正当であつて、所論の違法はない。 されば、論旨は、理由なきに帰し、採用できない。 第二点について。 論旨は、原審決の棄却理由に理由不備の違法がある、という。 しかし、原審決の所論棄却理由たる「本願の指定商品は、昭和三四年一一月一六日を以て上記の通り訂正した(指定商品から墨汁を除外したことを指す。)が、なお引用登録商標の指定商品と相類似するものが包含されているものと認められる。」というのは、表現方法としては完全であるとはいえないが、原審決理由全体の趣旨からみれば、本願商標の指定商品全部についての棄却理由を示しているものと認めることができないわけではない。 従つて、これと同趣旨に出た原審の判断は、正当である。 それ故、論旨は、理由がない。 よつて、民訴401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 柏原語六 |
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裁判官 | 石坂修一 |
裁判官 | 横田正俊 |