• この表をプリントする
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 取消2004-30164
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成17行ケ10527審決取消請求事件 判例 商標
平成18行ケ10043審決取消請求事件 判例 商標
平成17行ケ10246審決取消請求事件 判例 商標
平成14行ケ500審決取消請求事件 判例 商標
平成18行ケ10555審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  包装 /  商標的使用 /  出所表示機能 /  識別機能 /  指定商品 /  不使用 /  通常使用権 /  国内 /  補正 /  商標権の移転 /  継続 /  商号 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 17年 (行ケ) 10504号 審決取消請求事件
原告 株式会社マリー・クレールインフオメーション 代表者代表取締役
訴訟代理人弁護士 佐藤雅巳
同 古木睦美
被告 シネマボーテ インコーポ レイテッド 代表者
訴訟代理人弁理士 志賀正武
同 高橋詔男
同渡邊隆
同 村山靖彦
同 高柴忠夫
同 実広信哉
同 鈴木博久
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2006/03/16
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が取消2004-30164号事件について平成17年4月19日にした審決を取消す。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯被告は,「CINEMA」の欧文字を横書きしてなり,指定商品を第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,染み抜きベンジン,つや出し剤,研磨紙,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」,及び,第21類「なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),アイスペール,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),シェーカー,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,食品保存用ガラス瓶,水筒,栓抜き,なべ敷き,はし,はし箱,魔法瓶,ようじ,レモン絞り器,清掃用具及び洗濯用具,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。),洋服ブラシ,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,小鳥かご,小鳥用水盤,じょうろ,せっけん用ディスペンサー,貯金箱(金属製のものを除く。),トイレットペーパーホルダー,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(金属製のものを除く。),花瓶(貴金属製のものを除く。),香炉,水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴」とする登録第4306123号商標(平成10年5月1日登録出願,平成11年8月13日設定登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。
原告は,平成16年2月6日,被告を被請求人として,本件商標の指定商品中,第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,染み抜きベンジン,つや出し剤,研磨紙,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」について,本件商標の商標登録を取り消すことについて審判を請求し,同年3月3日,その予告登録がされた。特許庁は,同請求を取消2004-30164号事件として審理をした結果,平成17年4月19日に「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,同年5月2日,その謄本を原告に送達した。
2 審決の理由審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,被告は,本件審判の請求の予告登録前3年以内に,日本国内において,被告の通常使用権者である株式会社ヴィーナスフォート(以下「ヴィーナスフォート」という。)によって本件商標を第3類の指定商品中の「アイシャドウ」について使用していたから,本件商標の指定商品中,原告請求に係る商品についての登録は,商標法50条の規定により取り消すことはできないとした。
原告主張の審決取消事由
審決は,被告とヴィーナスフォート間に独占販売代理店契約が締結されていると誤認し,また,ヴィーナスフォートが同契約に基づく本件商標の通常使用権者であると誤認し,さらに,予告登録前3年以内にヴィーナスフォートが本件商標を使用していたと誤認し,その結果,原告請求の商品に係る本件商標につき,商標法50条に基づきその登録を取り消すことはできないとの誤った結論を導いたものであるから,違法として取り消されるべきである。
1 独占販売代理店契約成立の誤認( ) 審決は,「被請求人(注,被告)は,乙第2号証(注,本訴の甲1及び乙 11)及び乙第4号証(注,本訴の甲2及び乙2)の契約により,2000年(平成12年)7月31日に,株式会社ヴィーナスフォート(VenusFort,Inc.)との間で,被請求人の製品の日本における独占販売代理店契約を結んでいたことが認められ」(審決謄本9頁最終段落)ると認定したが,誤りである。
( ) 甲1(乙1はその原本である。以下,同契約書を「甲1契約書」といい, 2これに係る契約を「甲1契約」という。)及び甲2(乙2はその原本である。
以下,同契約書を「甲2契約書」といい,これに係る契約を「甲2契約」という。)は,被告の社長と表示されている「α」(α)という人物によって署名されたものとはいえないから,被告は,甲1契約及び甲2契約の当事者ではない。
すなわち,甲1契約書の「α 」と記載された署名欄の署名の筆 President跡は,甲2契約書の署名欄の「α」の署名と比べて,筆跡が明らかに異なっているから,仮に,αが被告の社長であったとしても,同人が甲1契約及び甲2契約のいずれにも署名しなかったものというべきである。
September 8thNovember 2nd, また,甲2契約書の「 」という記載を「」という記載に訂正していることに関して,欄外に「MS」及び「N 1999N」の各イニシャルが記載されているが,「NN」なるイニシャルの人物が甲2契約書の署名者のいずれでもないことが明らかである。
したがって,甲1契約書は,被告が米国法人であるNatural Victory nc.(以下「ナチュラルビクトリー」という。)を被告の I製造,販売に係る商品(以下「被告商品」という。)の独占販売代理店としたことを証明するものとはいえず,また,甲2契約書は,ヴィーナスフォートが上記ナチュラルビクトリーの独占販売代理店の地位を承継したことを証明するものともいえないから,被告が,平成12年7月31日,ヴィーナスフォートとの間において,被告商品の日本国内における独占販売代理店契約を結んでいたとの審決の認定は,誤りである。
2 本件商標の通常使用権者の誤認( ) 審決は,「乙第2号証及び乙第4号証の契約により,被請求人は,株式会 1社ヴィーナスフォートとの間で,被請求人の製品の日本における独占販売代理店契約を締結しており,2003年(平成15年)11月7日には本商標権の移転登録がなされている。そして,被請求人は,本件答弁書において,株式会社ヴィーナスフォートは被請求人の通常使用権者である旨述べているのであるから,通常使用権の許諾は口頭ないしは黙示の意思表示でも足りるものと解されていることからすれば,本商標権の移転登録がなされた以降においては,株式会社ヴィーナスフォートは,本商標権についての被請求人の通常使用権者とみるのが相当である。」(審決謄本10頁最終段落〜11頁第1段落)と認定したが,誤りである。
( ) 審決は,上記のとおり,「被請求人(注,被告)は,本件答弁書において, 2株式会社ヴィーナスフォートは被請求人の通常使用権者である旨述べているのであるから,通常使用権の許諾は口頭ないしは黙示の意思表示でも足りるものと解されている」(審決謄本11頁第1段落)と説示するが,文書でした合意を変更する合意をするときは,文書で行うことが常識であり,法人同士が,文書でした合意を口頭で変更するなどということはあり得ないことである。文書で合意した内容に反する合意を口頭又は黙示でしたとする審決の上記認定は,証拠法則に反するものであって失当である。
( ) 甲1契約書の作成日付である1999年(平成11年)11月2日当時, 3本件商標に係る商標権者は,株式会社バネット(以下「バネット」という。)であったのであり,甲1契約書の第4条(生産者の義務)には,「製品は特許権や商標権の侵害無しに販売されることを信じて,生産された製造である」,「販売店がUSAのCinema Beaute’以外から購入した製品やいかなる製品にもCinema Beaute’の商号を使用することを承諾しない。」との記載があるから,甲1契約の対象となっていた被告商品に付されるべき商標が「Cinema Beaute’」であったことは明白であり,したがって,甲1契約は,被告の略称である「Cinema Beaute’」に係る使用権を付与する契約ではあり得ても,本件商標に係る商標権について使用権を付与する契約ではあり得ない。
( ) ヴィーナスフォートは,平成11年3月以前から,被告商品を販売してい 4たところ,その段階では,本件商標はいまだ登録されていなかったから,ヴィーナスフォートが被告から本件商標の通常使用権の付与を受けていたということはあり得ない。ところで,仮に,甲1契約及び甲2契約がいずれも有効に成立しているとしても,甲1契約は,独占販売代理店契約であるから,当時既に被告商品を販売していたヴィーナスフォートにとっては,単に仕入経路の変更にすぎず,また,甲2契約も,同様にヴィーナスフォートにとって単に被告商品の仕入経路の変更にすぎないから,仕入経路の変更によって,それ以前から継続して被告商品を販売していたヴィーナスフォートが,突然に通常使用権者に変わることはあり得ない。
( ) 仮に,甲1契約が被告とナチュラルビクトリーとの間に成立しているとし 5ても,この契約は独占「卸」販売店契約であるから,ヴィーナスフォートは,被告商品を卸売する独占販売代理店の地位を承継したにすぎず,契約上,小売をすることはできないところ,甲3によれば,「CINEMA」なる標章を付した商品の販売態様は小売であって卸売りではあるとはいえない。したがって,ヴィーナスフォートの販売は,甲1契約に違反するものである。他人の商品を仕入れて販売する者が自動的にその商品に付された商標の通常使用権者になるものではないことは,自明である。さもなければ,その商品を仕入れる輸入業者,問屋又は小売店はすべて通常使用権者になってしまう。
3 予告登録前3年以内における本件商標の不使用( ) 審決は,甲3を根拠に,「被請求人は,本件審判の請求の登録日(平成1 16年3月3日)前3年以内である2003年(平成15年)11月7日(本商標権の移転登録日)以降,被請求人の通常使用権者と認められる株式会社ヴィーナスフォートにより,インターネット上の化粧品店『OTIMO VIVO』において,『CINEMA』の商標を表示した商品『アイシャドウ』の宣伝広告をしていたことが認められ,該商品を販売していたものと推認することができる。そして,使用に係る『CINEMA』の商標は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。」(審決謄本10頁第2段落)と認定するが,誤りである。
( ) ヴィーナスフォートは,上記2( )及び( )のとおり,「Cinema B 234eaute’」という商標についての通常使用権を有するにとどまり,本件商標について通常使用権を有するものではないから,甲3あるいは乙6の1,2に示された容器入りアイシャドウ「シネマスパークル アイズ」(以下「被告化粧品」という。)に付された「CINEMA」の標章が本件商標の使用であると仮定しても,ヴィーナスフォートによる「CINEMA」の使用は,通常使用権者としての使用とはいえない。
また,そもそも,同号証に示された「CINEMA」の使用態様は,被告化粧品の蓋全面にわたるように欧文字「CINEMA」を配したものであり,意匠としての使用であって,商標としての使用ではない。
( ) 甲3に示された商品が被告の製造販売に係る商品であるとの証拠はないば 3かりでなく,むしろ,被告の製造販売に係る商品でないことは,上記のとおり,被告商品に付すべき商標は「Cinema Beaute’」であって本件商標ではないことからも明らかである。
( ) 甲3のウェブページは,その日付が2004年(平成16年)3月8日で 4あって,本件審判請求の登録の日である同年3月3日の後に作成されたものであり,ヴィーナスフォートのウェブページであるから,虚偽の記載をしようと思えば,「( 更新)」,「 」などと記載す 6/2 Last Updated on 2004/1/19ることも可能であった。したがって,甲3に上記日付の記載があるからといって,それのみを根拠として,このような記載が真実であると認定することはできない。
被告の反論
審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
1 独占販売代理店契約成立の誤認について( ) 原告は,甲1契約書及び甲2契約書は,は,被告代表者αによって署名さ 1れたものとはいえないから,被告は甲1契約及び甲2契約の当事者ではない旨主張する。
しかし,甲1契約書も甲2契約書も,被告の代表者であったαが署名していることは,両契約書の原本の署名欄の記載から明らかであり,審決においても,「乙第2号証の署名欄における被請求人の代表者の署名は,かすれていて読みずらいが,乙第4号証の署名欄の署名と字形が極めて近似しているものと認められる」(審決謄本10頁下から第4段落)と認定されているのである。
原告は,甲2契約書の訂正に関し,欄外に「MS」及び「NN」の各イニシャルが記載されているが,「NN」なるイニシャルの人物が甲2契約書の署名者のいずれでもないことを理由に,被告が甲1契約及び甲2契約の当事者ではない旨主張する。
甲2契約書には,手書きによる誤記の訂正があり,イニシャル「NN」の人物によりされているところ,確かに,そのような人物は被告代表者αではないが,上記訂正は,単に誤記を修正したにすぎないのであって,これにイニシャルを入れるかどうかは,任意の事柄であり,甲2契約書には,被告の代表者が署名している以上,何らの問題もないはずである。
2 本件商標の通常使用権者の誤認について( ) 原告は,甲1契約は,被告の商号の略称「Cinema Beaute 1’」に係る使用権を付与する契約ではあり得ても,本件商標に係る商標権について使用権を付与する契約ではあり得ないと主張する。
しかし,甲1契約書の第5条(販売店の義務)には,「・販売店は,指定地域内において商品の販売及び販売促進に努めなければならない。販売店は指定地域内において,生産者の商標,商号の保護に努めなければならず,生産者による強制執行のため,その販売区域内におけるこれらの侵害について生産者に通知しなければならない。・販売店は,生産者の商品の需要と販売の促進に努めなければならず,その目的のため,適切な施設,販売,人員を維持しなければならない。」と規定されているから,実質的な意味で,被告が,販売店であるヴィーナスフォートに対し,被告商品を販売するために必要な範囲内において,本件商標も含めて通常使用権を付与していたと解すべきであり,現に,ヴィーナスフォートは,甲1契約書に基づき,自己の店舗及びいわゆるインターネットショップ「OTIMO VIVO」のウェブサイトにおいて,被告商品の宣伝・広告のために,本件商標「CINEMA」を使用して販売活動を継続しており,被告は,それを承認していたのである。
なお,確かに,被告が本件商標の権利者となったのは,移転登録日である平成15年11月7日であるが,同日以降は,被告において日本国内で被告商品を販売するために,ヴィーナスフォートに対し,被告の有する被告標章,ひいては,本件商標の使用をさせていたのである。
したがって,原告の上記主張は,失当である。
( ) 原告は,甲1契約は独占「卸」販売店契約であるから,ヴィーナスフォー 2トは,被告商品を卸売する独占販売代理店の地位を承継したにすぎず,契約上,小売をすることはできないところ,甲3によれば,「CINEMA」なる標章を付した商品の販売態様は小売であり卸売ではないから,ヴィーナスフォートの販売は甲1契約に違反するものであって,被告から付与された通常使用権に基づく使用とはいえない旨主張する。
しかしながら,甲2契約書の第2条(受託)に「販売店は,指定地域内で需要を開発し,生産品を販売する事を受諾し,本契約書に従って全ての販売を行う。」と規定されていることに,第5条(販売店の義務)の条項を併せて解釈すると,被告製品の販売促進が最も重要な事項とされているから,被告製品の販売促進に資する小売りは,契約当事者間での許容範囲内の事項と考えられる。そして,ヴィーナスフォートがインターネットを通じて被告化粧品について本件商標を使用した販売活動を継続し,被告は,これを容認していたのであるから,ヴィーナスフォートが本件商標の通常使用権に基づく使用をしていないとはいえない。
したがって,原告の上記主張も,失当である。
3 予告登録前3年以内における本件商標の不使用について( ) 原告は,ヴィーナスフォートは「Cinema Beaute’」という 1商標についての通常使用権を有するのみであり,本件商標について通常使用権を有するのではないから,甲3ないし乙6の1,2に示された商品に付された「CINEMA」なる標章が本件商標の使用であると仮定しても,ヴィーナスフォートによる「CINEMA」の使用は,本件商標の通常使用権者としての使用とはいえないと主張する。
しかしながら,ヴィーナスフォートが「CINEMA」の商標についての通常使用権を有することは上記2のとおりである。原告の主張は,被告商品には「CINEMA」の商標しか表示されていないという誤った前提に基づくものであって,失当である。
( ) 原告は,甲3に示された「CINEMA」の使用態様は,商品の蓋全面に 2わたるように欧文字「CINEMA」を配したものであり,意匠としての使用であり,商標としての使用ではないと主張する。
しかし,化粧品の場合,特に被告商品のように浅目の容器の蓋全面に文字を配したとしても,特に他人に見せるといった要素はないし,「CINEMA」の文字自体に十分識別力があるので装飾性を意図した意匠的使用とみるより単純に出所表示を意図した商標的使用と考えるのが自然である。
ちなみに,被告化粧品は,中央に大きく表示された「CINEMA」の右横に円周に沿って小さく「Beaute’」と記載されており,その使用態様からもうかがわれるように,「CINEMA」が大きく目立つように記載され,実質的に「CINEMA」の部分が単独で出所表示機能を果たしていることが明らかである。
( ) 原告は,甲3の記載から,本件審判請求の登録の日である平成16年3月 33日前にそのウェブページが掲載されたかどうか疑わしい旨主張する。
しかし,被告は,原告が疑いを持つような改ざんはまったく行っていないし,ヴィーナスフォートが被告商品の販売を然るべき時期に実際に行っていたことは,乙6及び7の各1,2の投稿からも明らかである。
当裁判所の判断
1 独占販売代理店契約成立の誤認について( ) 甲1契約書には,その前文に「『販売店』 本社 1 NATURAL VICTORY,INC.,2016 Broadway,Santa Monica,California 90404 CINEMA 所在地 と『生産者』BEAUTE' INC., 600 Village Trace Building 23,Marietta,Georgia 30067 本社所在地は1999年11月2日付にて契約を締結する。」と記載され,当該契約の詳細として,「・生産者は,化粧品(以下「製品」という)の製造ビジネスを行っている。
・販売店は,生産者の製品の日本(以下「指定地域」という)での独占販売権の取得を望んでいる。
・販売店は,製品の販売や使用を促進する技術的設備や能力を持つ事を表明している。また,以下に記載されているように指定地域で独占的に製品の需要喚起や販売を望んでいる。そして・生産者は,本書に文書化されている条件で,指定地域で販売店が製品の需要喚起や販売を望んでいる。
以上の理由により,ここに,本書に述べる相互の約束を考慮して,両者は以下の条項に合意する。
第1条(販売店契約)独占権の指定・生産者は,販売店を指定地域における製品の卸売りでの独占販売店に指定する。・・・第2条(受諾)販売店は,指定地域内で需要を開発し,生産品を販売する事を受諾し,本契約書に従って全ての販売を行う。
・・・第4条(生産者の義務)・生産者は,販売店の注文を出来るだけ早く実行するために最前の努力をする。・・・第5条(販売店の義務)・販売店は,指定地域内において商品の販売及び販売促進に努めなければならない。販売店は指定地域内において,生産者の商標,商号の保護に努めなければならず,生産者による強制執行のため,その販売区域内におけるこれらの権利の侵害について生産者に通知しなければならない。
・販売店は,生産者の商品の需要と販売の促進に努めなければならず,その目的のため,適切な施設,販売,人員を維持しなければならない。」等の記載があり,末尾の販売店欄に,ナチュラルビクトリーの会社の記名と代表者の署名があり,生産者欄に,被告の会社の記名と代表者の署名がある。
( ) 甲2契約書には,「1999年11月2日付の独占販売代理店契約の初回 2補正」との見出しの下に,「1999年11月2日付で締結された『販売店』Natural Victory nc.・・・と『生産者』Cin Iema Beaute’ nc.との間の販売代理店契約の初回補正は,販 I売店と生産者,及び日本国東京都港区赤坂1-12-32アーク森ビル33Fに事務所を有したVenus Fort, nc.の間において2000 I年7月31日付けで承認された。販売店が,契約書(注,甲1契約書)の第13条( )に準拠して,この契約をVenus Fort, nc.へ譲渡 eIすることを望んでおり,また,生産者がこの契約のVenus Fort,nc.への譲渡に同意したが故に,ここに,各当事者は以下のように契約 II 書を補正することを承認し同意する。Natural Victorync.・・・とCinema Beaute’ nc.との間で1999年 I11月2日に締結された契約(注,甲1契約)は,Natural Victory nc.・・・をVenus Fort,Inc.に置き換える Iように修正される。Venus Fort,Inc.は,ここに契約の全ての条文によって規定されている全ての条件と取決めを引き受ける。いかなる点においても,契約は同一性と有効性と効果を存続させる。 2000年7月31日作成」との記載があり,末尾の販売店欄にナチュラルビクトリーの会社の記名と代表者の署名,生産者欄に被告の会社の記名と代表者の署名,販売店の権利と義務の譲受人欄にヴィーナスフォート会社の記名と代表者の署名がある。
( ) 上記( )及び( )によれば,甲1契約書及び甲2契約書は,いずれも,その 312原本に契約当事者の代表者の署名があることが認められるから,真正に成立したものと推定される。
( ) 原告は,甲1契約書及び甲2契約書の被告代表者の署名の筆跡が異なって 4いること,甲2契約書の訂正部分について,欄外の「NN」のイニシャルの人物が甲2契約書の署名者でないことを理由に,甲1契約書及び甲2契約書は,被告代表者αによって署名されたものとはいえない旨主張する。
しかし,同一人であっても,寸分違わない筆跡で署名することは困難であり,かつ,決まった筆跡で署名するとは限らないところ,甲1契約書及び甲2契約書の被告代表者欄の署名の筆跡は,字形が類似しており,被告代表者αによって署名されたとの認定を左右するするに足りるようなものとはいえない。
September 8th また,甲2契約書には,甲1契約の締結日について「」とされていたのを「 」に訂正し,欄外に,「M 1998 November 2nd, 1999S」,「NN」のイニシャルによる署名がある。被告代表者として同契約書に署名した「α」のイニシャルは,「MS」でも「NN」でもないから,被告代表者によって上記訂正されたものでないことは,明らかである。
しかし,上記「 」から「 」への訂正 September 8th 1998November 2nd, 1999は,甲1契約の日付が誤っていたのを直しているのであって,甲2契約の内容に影響を与えるようなものではない。したがって,上記訂正が被告代表者によってされたものでないとしても,甲1契約及び甲2契約の成立の真正を左右する根拠にはなり得ない。
その他,本件全証拠を検討しても,甲1契約書及び甲2契約書が真正に成立したものであるとの推定を覆すに足りる証拠を見いだすことはできないから,原告の主張は,採用することができない。
( ) したがって,「被請求人は,乙第2号証(本訴の甲1及び乙1)及び乙第 54号証(本訴の甲2及び乙2)の契約により,2000年(平成12年)7月31日に,株式会社ヴィーナスフォート(Venus Fort,Inc.)との間で,被請求人の製品の日本における独占販売代理店契約を結んでいたことが認められ」(審決謄本9頁最終段落)るとした審決の認定に誤りはない。
2 本件商標の通常使用権者の誤認について( ) 上記1( )ないし( )によれば,被告は,1999年(平成11年)11月 1132日,カリフォルニア州法人であるナチュラルビクトリーとの間で,被告がナチュラルビクトリーを日本国内における製品の卸売りでの独占販売店に指定し,ナチュラルビクトリーが日本国内で需要を開発し,生産品についてのすべての販売を行う旨の独占販売代理店契約を締結したこと(甲1契約),その後の2000年(平成12年)7月31日,被告,ナチュラルビクトリー及びヴィーナスフォートは,ナチュラルビクトリーに代わってヴィーナスフォートを販売店とし,上記独占販売代理店の地位を引き継ぐことに契約内容を変更する旨の上記独占販売代理店契約を補正する契約を締結したこと(甲2契約)が認められる。
( ) 証拠(甲3,乙5,乙6の1,検乙1,2)及び弁論の全趣旨によれば, 2被告は,被告の商号の略称である「CINEMA BEAUT 」を図案化Eしたロゴタイプ(以下「被告標章」という。)を被告商品に付し,また,宣伝広告にも使用していたこと,被告標章は,中央に大きく「CINEMA」と欧文字を横書きし,「C」文字の上端を星印とし,「A」文字の右に,「BEAUT 」の著しく小さい欧文字を下から上に向かって横書きしてな Eるものであるところ,「C」文字の上端の星印は,図案化された「C」文字の一部であること,「BEAUT 」の欧文字は,「CINEMA」の欧文 E字に比べて圧倒的に小さいため,一見すると「CINEMA」の右端に点模様があると誤解するほどのものであって,厳密にいえば,「CINEMA」と「BEAUT 」とが結合したものといえないこともないが,「CINE EMA」のみが突出して顕著な印象を与え,需要者において,「CINEMA」の欧文字を要部とする商標として認識することが認められる。
そうすると,被告標章は,社会通念上,「CINEMA」の欧文字を横書きしてなる本件商標と同一というべきである。
( ) また,甲3は,平成16年3月8日,ヴィーナスフォートのいわゆるイン 3ターネットショップ「OTIMO VIVO」のウェブサイトから内容を印刷したものであるところ,同サイトには,ヴィーナスフォートが取り扱っている複数の海外ブランドの商品の紹介欄があり,その中に,被告も紹介されていること,被告の紹介欄には,まず,被告標章が左上に大きく表示され,その右に,「1990年誕生の鮮やかでユニークなカラーとパッケージが人気のコスメ」という見出しがあり,その下に,「1990年誕生の鮮やかでユニークなカラーとパッケージが人気のコスメ,現在アメリカを中心に,フランス,イギリス,香港そしてここOTIMO VIVOまでワールドワイドに広がっています。」などと記載され,被告標章の付された被告商品は,1990年(平成12年)から海外で広く販売されていることが認められる。
ヴィーナスフォートは,甲1契約及び甲2契約に基づいて,被告の独占販売代理店として,被告から被告標章の付された被告商品を輸入,販売していたのであるから,上記各契約において明記されていないとしても,その輸入,販売の前提として,当然に,被告標章を使用する権限を付与されていたものといわなければならない。
( ) ところで,証拠(乙3,4)及び弁論の全趣旨によれば,バネットは,平 4成10年5月1日,本件商標の登録出願をし,平成11年8月13日に設定登録を受けたこと,被告は,平成15年10月24日ころ,バネットから,本件商標権を譲り受け(同年11月7日移転登録),商標権者となったことが認められる。
そして,バネットによる本件商標の設定登録より以前に,上記( )のとお3り,被告が被告標章を商標として使用していたこと,甲1契約書の第4条(生産者の義務)の「生産者(注,被告)は,商号Cinema Beaute’と全ての特許権が生産者に属し,製品は特許権や商標権の侵害無しに販売されることを信頼して,生産された製品であることを言明する。」との記載にかんがみれば,被告は,被告標章の使用の妨げとなることを避けるために,バネットから本件商標を譲り受けたものと推認される。
以上の事情を総合考慮すると,元来,被告が「CINEMA」の欧文字を要部とする被告標章を使用していたところ,バネットが被告標章と社会通念上同一と認められる本件商標の設定登録を受けるに及んで,被告標章の使用の妨げとなることを避けるために,平成15年11月7日被告がバネットから本件商標権を譲り受け,その前後を通じ,ヴィーナスフォートが被告の独占販売代理店として被告標章を使用しているのであるから,被告は,ヴィーナスフォートに対し,同日より前には,被告標章の使用を許諾し,同日以後は,被告標章のみならず本件商標の使用をも許諾し,ヴィーナスフォートは本件商標の通常使用権者であったものと認めるのが相当である。
( ) 原告は,甲1契約及び甲2契約が,ヴィーナスフォートにとって単に被告 5商品の仕入経路の変更にすぎないから,仕入経路の変更によって,それ以前から継続して被告商品を販売していたヴィーナスフォートが,突然に本件商標の通常使用権者に変わることはあり得ない,ヴィーナスフォートは「Cinema Beaute’」という商標についての通常使用権を有するのみであり,本件商標について通常使用権を有するのではない旨主張する。
しかしながら,原告の上記主張は,甲1契約及び甲2契約による効果の一面のみを強調し,それを根拠に,甲1契約及び甲2契約の内容を恣意的に解釈しようとするものである。甲1契約及び甲2契約は,その契約内容から明らかなとおり,被告とヴィーナスフォートとの間の独占販売代理店契約を規定するものであって,単に被告商品の仕入経路の変更にすぎないものではない。そして,ヴィーナスフォートは,被告の日本国内における独占販売代理店として,被告から,被告標章の付された被告商品を輸入,販売しているのであるから,このような場合,あえて甲1契約及び甲2契約を変更するまでもなく,前示のとおり,被告標章と社会通念上同一と認められる本件商標の使用をも許諾されていたものと認めるのが相当である。
原告の上記主張は失当というほかない。
( ) 原告は,甲1契約は独占「卸」販売店契約であるから,ヴィーナスフォー 6トは,被告商品を卸売する独占販売代理店の地位を承継したにすぎず,契約上,小売をすることはできないところ,甲3によれば,「CINEMA」という標章を付した商品の販売態様は小売であって卸売りではあるとはいえない旨主張する。
しかしながら,上記1( )のとおり,甲1契約書には,「生産者は,販売 1店を指定地域における製品の卸売りでの独占販売店に指定する。」との記載があるが,一方で,「販売店は,製品の販売や使用を促進する技術的設備や能力を持つ事を表明している。」,「生産者は,本書に文書化されている条件で,指定地域で販売店が製品の需要喚起や販売を望んでいる。」,「販売店は,指定地域内において商品の販売及び販売促進に努めなければならない。」,「販売店は,生産者の商品の需要と販売の促進に努めなければならず,その目的のため,適切な施設,販売,人員を維持しなければならない。」との記載があって,「販売」を卸売りに限定するような記載はない。
そして,全体としては,被告は,ヴィーナスフォートに対して,日本国内での被告商品の販売に関するすべての権限を付与しているものというべきである。
したがって,原告の主張は,採用することができない。
( ) 原告は,甲1契約書には,「製品は特許権や商標権の侵害無しに販売され 7ることを信じて,生産された製造である」,「販売店がUSAのCinema Beaute’以外から購入した製品やいかなる製品にもCinemaBeaute’の商号を使用することを承諾しない。」との記載があるから,甲1契約の対象となっていた被告商品に付されるべき商標が「Cinema Beaute’」であったことは明白であると主張する。
甲1契約書の第4条(生産者の義務)には,「・生産者は,販売店の注文を出来るだけ早く実行するために最善の努力をする。ただし,政府命令や要求により運送状況,労働力や物資不足,ストライキ,暴動,火災など生産者の責に帰さない事由により遅滞する場合止むを得ないものとする。全てのケースにおいて,販売店が以前に注文した生産品の十分でタイムリーな配達が不可能なケースには,前もって通知すべく最善の努力をする。・生産者は,商号Cinema Beaute’と全ての特許権が生産者に属し,製品は特許権や商標権の侵害無しに販売されることを信頼して,生産された製品であることを言明する。・生産者は,本契約の有効期間中に,契約によってカバーされるいかなる製品(類似品)も指定地域で,販売店以外によって販売されることを承諾しない。・生産者は,販売店の全ての要求や,指定地域からの質問やコミュニケーション,注文や船積みに素早く対応する。販売店がUSAのCinema Beaute’以外から購入した製品やいかなる製品にもCinema Beaute’の商号を使用することを承諾しない。
・生産者は,販売店,その役員,社員,雇用者,代理店を特許,商号またはデザインされたラベルに対する侵害の申し立てに基づく訴訟,その他の訴訟訴訟手続き,全てのクレームから補償し固守する。」との記載がある。
上記「生産者は,商号CinemaBeaute’と全ての特許権が生産者に属し,製品は特許権や商標権の侵害無しに販売されることを信頼して,生産された製品であることを言明する。」との記載は,被告商品が特許権の面でも商標権の面でも権利侵害となるようなものではないと信じて販売されていることを述べているのであり,被告の独占販売代理店に本件商標の使用を許諾しないことは何ら言及していないばかりでなく,かえって,被告が,上記条項により,バネットから商標権を取得し,紛争の原因となる状態を除去すべき義務を負っているということも可能である。
また,上記「販売店がUSAのCinema Beaute’以外から購入した製品やいかなる製品にもCinema Beaute’の商号を使用することを承諾しない。」との記載は,被告商品の販売,宣伝,広告のために,被告の商号及びその略称以外のものを使用してはならないと述べているのであって,これを被告の商号の略称である「Cinema Beaute’」のみに限定する趣旨でないことは,前後の文章から明らかである。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
( ) 以上のとおりであるから,「本商標権の移転登録がなされた以降において 8は,株式会社ヴィーナスフォートは,本商標権についての被請求人の通常使用権者とみるのが相当である。」(審決謄本11頁第1段落)とした審決の認定に誤りはない。
3 予告登録前3年以内の本件商標の不使用について( ) 証拠(甲3,乙6の1,2)及び弁論の全趣旨によれば,ヴィーナスフォ 1ートは,平成12年7月31日に甲2契約を締結するととともに,そのころより,被告から,被告製造に係る化粧品を輸入し,これを,店頭販売,あるいは,いわゆるインターネットショップとして通信販売により販売するようになり,被告が本件商標の商標権の商標権者となった平成15年11月7日より後である平成16年1月19日には,本件商標と社会通念上同一と認められる被告標章を付した被告商品の一つである容器入りアイシャドウ「シネマ スパークル アイズ」(被告化粧品)を販売していたことが認められる。
したがって,被告は,本件審判の請求の予告登録前3年以内に,日本国内において,その独占販売代理店であり通常使用権者であるヴィーナスフォートを介して,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたというべきである。
( ) 原告は,甲3は,ヴィーナスフォートのウェブページであるから,虚偽の 2記載をしようと思えば,どのような虚偽の記載でもすることができたとし,甲3に「( 更新)」,「 」という日付の記載が 6/2 Last Updated on 2004/1/19あるからといって,それのみを根拠として,このような記載が真実であると認定することはできない旨主張する。
しかしながら,甲3の「お知らせ」欄には,「ヴィーナスフォートOTIMO VIVO店は,2004年1月25日をもちまして移転することになりました。新しい出店場所は近日お知らせいたします。」との記載があり,同記載によれば,甲3がウェブサイトに掲載されたのは平成16年1月25日以前であったことになるのであって,このようなウェブページの一般読者に対する告知において,日付を偽るとは考え難い。
また,乙6の1,2は,ウェブサイトの「みんなのクチコミサイト@(アットコスメ)」で化粧品の「口コミ」情報が投稿されているウェ cosmeブページであるところ,乙6の1によれば,「商品名:スパークルアイズ,メーカー名:シネマボーデ,ブランド名:シネマ,アイテム:アイシャドウ」について寄せられた口コミ情報の中に,21歳の女性の投稿があり,その日時は,「2005年11月2日,20時52分03秒」であり,内容は,「高校生の頃,お台場のヴィーナスフォートで買いました。」との記載がある。上記記載によれば,同女性が通常高等学校を卒業するのが19歳とすると,遅くとも平成15年ころ,被告化粧品を購入していたことになる。
さらに,乙6の2によれば,上記と同じサイトに,「2004年2月22日,19時35分19秒」の投稿で,「色は『 』。青みをおび ROSE BLUEた偏光パールが効いた,ピンクのパウダーアイシャドウです。シネマの製品はこれしか持っていないのですが,とても優秀です。・・・ケースのロゴも可愛いし。買って良かったです。」との記載があり,平成16年2月22日より以前に,被告化粧品を購入していたことが認められる。
そうすると,甲3の記載の信用性を否定すべきことをいう原告の上記主張は,採用の限りでない。
( ) 原告は,甲3に示された「CINEMA」の使用態様は,被告化粧品の蓋 3全面にわたるように欧文字「CINEMA」を配したものであり,意匠としての使用であって,商標としての使用ではないと主張する。
しかしながら,ある標章が意匠的な効果を有すると同時に,商標としての機能を有することは,往々にしてあり得ることであり,一般論として,意匠としての使用であるから商標としての使用ではないとする原告の主張は,独自の見解というほかなない。しかも,本件についてみると,被告標章が元来被告の商号を図案化したロゴタイプであり,意匠的な要素を包むものであるとしても,被告化粧品の蓋に付されて流通に置かれるならば,商品識別機能あるいは出所表示機能を果たすことになるのは明らかであって,商標としての使用であるというべきである。
原告は,被告商品に付すべき商標は「Cinema Beaute’」であって本件商標ではないとの前提で,甲3に示された商品が被告の製造販売に係る商品ではないとも主張するが,その前提において失当であることは上記のとおりである。
( ) したがって,「被請求人は,被請求人の通常使用権者と認められる株式会 4社ヴィーナスフォートにより,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,本件商標を本件審判の請求に係る第3類の指定商品中の『アイシャドウ』(注,被告化粧品)について使用していたものといわなければならない。」(審決謄本11頁第3段落)との審決の判断に誤りはない。
4 以上によれば,原告主張の取消事由は理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 宍戸充
裁判官 柴田義明
  • この表をプリントする