運営:アスタミューゼ株式会社
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 無効2004-89090
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成17行ケ10764審決取消請求事件 判例 商標
平成19行ケ10061審決取消請求事件 判例 商標
平成15ワ11661商標権侵害差止等請求事件 判例 商標
平成17ワ11663不正競争行為差止等請求事件 判例 商標
平成16行ケ341審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  識別機能 /  指定商品 /  普通名称(3条1項1号) /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  4条1項11号 /  類似性(類否判断) /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  取引の実情 /  無効審判 /  非類似 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 17年 (行ケ) 10763号 審決取消請求事件
原告 株式会社すこやか工房代表者代表取締役
訴訟代理人弁護士 八尋光良
被告 田辺製薬株式会社代表者代表取締役
訴訟代理人弁護士 阿部隆徳
同 弁理士 樋口豊治
同 寺田花子
同 石津義則
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2006/04/27
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が無効2004-89090号事件について平成17年9月21日にした審決を取り消す。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯原告は,「源気ウコン」の文字を標準文字により表してなり,指定商品を第29類「ウコンを主原料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」とする登録第4788761号商標(平成16年4月23日登録出願,同年7月23日設定登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。
被告は,平成16年10月25日,原告を被請求人として,本件商標の商標登録を無効とすることについて審判を請求した。特許庁は,同請求を無効2004-89090号事件として審理をした結果,平成17年9月21日に「登録第4788761号商標の登録を無効とする。」との審決をし,同年10月3日にその謄本を原告に送達した。
2 審決の理由審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,本件商標は,登録第4371626号商標(以下「引用商標」という。)との対比において,互いに相紛れるおそれのある類似する商標であり,その指定商品も類似するので,商標法4条1項11号に違反して登録されたものであるから,同法46条1項の規定により,その登録を無効とすべきであるとした。
3 引用商標引用商標は,「源気」の文字を大きく横書きし,その上段に「げんき」の文字を振り仮名風に小さく横書きした構成からなり,指定商品を第5類「薬剤」とするもので,平成10年8月6日に登録出願され,平成12年3月31日に設定登録を受けた。
原告主張の審決取消事由
審決は,本件商標と引用商標とが類似の商標であり,また,その指定商品も類似すると誤った判断をし,その結果,本件登録を無効にすべきであるとの誤った結論を導いたものであって,違法であるから,取り消されるべきである。
1 商標の類否判断の誤り( ) 審決は,「本件商標は,全体から『ゲンキウコン』の一連の称呼を生ずる 1ほか,『源気』の文字に照応する,単に『ゲンキ』の称呼をも生じ,『気の源(みなもと)』のごとき観念を生ずるものというのが相当である。」(審決謄本11頁第4段落)と認定したが,誤りである。
本件商標「源気ウコン」は,同書・同大・同間隔にて外観上まとまりよく一体的に構成され,「ゲンキウコン」という称呼も冗長ではなく滑らかに称呼できるので,本件商標からは,「ゲンキウコン」という不可分一体の称呼を生じ,全体として「気力の源となるウコン」という観念を生ずるものである。
また,審決は,「後半部分の『ウコン』の文字が,その指定商品との関係からして,商品の原材料ないしは品質を表示したものと認識されるというのが自然であって,自他商品の識別力がないか極めて弱いものというべきであるから,本件商標における自他商品の識別標識としての機能を果たす部分は,その余の『源気』の文字部分にあるといわなければならない。」(審決謄本11頁第3段落)と認定したが,誤りである。
原告は,本件商標「源気ウコン」について,商品の主原材料がウコンであることを,需要者に容易に理解してもらおうと考え,「ウコン」の文字を標章の構成として使用しているのであるから,商品の主原材料を示す「ウコン」の部分にも取引者・需要者の注意は集まるのである。一方,「源気」の部分には,それほど強い自他商品識別力がないので,本件商標の「源気」と「ウコン」の各構成部分の自他商品識別力に軽重の差はあるわけでなく,本件商標が,自他商品識別標識としての機能を果たすのである。
( ) 取引の実情についてみると,被告は,本件商標を,単独ではなく,「ナン 2パオ源気」という標章でのみ使用しており,また,この標章を付した商品を,薬局・コンビニエンスストア等の店頭でのみ販売しているものである。一方,原告は,「源気ウコン」の商標を付した商品の販売を,もっぱら,インターネットを通じた通信販売によって行っている。なお,鳥取県米子市の薬店主が,偶然,「源気ウコン」の商標を付した商品が気に入ってくれたために,数十個単位で約1年前に卸売りしたことがあったが,店頭販売は,この 件1だけである。
このように,審決は,本件商標と引用商標との間に出所誤認のおそれが生じるというが,実際には,被告商品に付した「ナンパオ源気」の標章と原告商品に付した「源気ウコン」の標章なのであって,非類似の商標であるばかりでなく,両商品が店頭で競合することもないのであるから,本件商標と引用商標とで商品の出所につき誤認混同のおそれが生ずる余地はない。
これらの取引の実情も併せ考えれば,本件商標と引用商標が類似していないことが明らかである。
( ) 原告は,審判段階で,「本件指定商品と同一又は類似する商品において, 3『Family/ファミリー』と『ファミリーうこん』・・・と,『てっぽう』と『てっぽうウコン』・・・等が,それぞれ別々に登録されている。同様に,『ドクター』の登録があるにもかかわらず,『ウコン』を含有する商品に『ドクターウコン』が登録されている・・・。これらも,全体で不可分一体の称呼観念を生じると判断された結果であると推察する。」(審決謄本9頁第1〜第2段落)等と述べたにもかかわらず,審決は,「なお,被請求人(注,原告)は,『○○ウコン』よりなる商標と『○○』よりなる商標の併存登録例を挙げて種々主張しているが,該登録例は,本件とは商標の構成を異にするものであるばかりでなく,商標の類否判断は,個別具体的になされるべきであるから,被請求人の主張は,採用することができない。 」(同11頁下から第4段落)とする。
しかし,審決が,原告の挙げる併存登録例について,本件とは事例を異にするというのであれば,異にする点を具体的に指摘して排斥しなければならないはずである。ところが,審決が相違点を具体的に指摘せずに抽象的に事案が異なるとして排斥したのは,実際には,審決が具体的な相違点を発見できなかったからであると考えざるを得ない。原告の主張するとおり,「○○ウコン」よりなる商標と「○○」よりなる商標が並存して登録されている例が多数見られることは,両商標が類似せず混同を生じないということが一般的に認められていることの表れにほかならない。
そうであるならば,本件商標と引用商標も,当然,類似しないものと取り扱われなければならない。
2 商品の類否判断の誤り審決は,「本件商標の指定商品と引用商標の指定商品中の滋養強壮変質剤とは,商品の内容,用途,販売店舗,販売方法,需要者層等を共通にする類似の商品といわざるを得ない。」(審決謄本12頁下から第3段落)と判断したが,誤りである。
いくら薬局で健康食品が売られている例があるとしても,「薬剤」は,治療を目的にする商品で,薬事法による許可を必要とし,医薬品メーカーによって製造され,薬局及び薬店でのみ販売される商品であり,商品には「医薬品」又は「医薬部外品」との明確な表示がされている。一方,「健康食品」は,飽くまでも食品であって,食品メーカー等により製造され,食料品店,健康用品店又は通信販売等によって販売される商品であり,商品には「食品」であることが明示されているのであって,商品の出所が誤認混同するおそれは大きいものとはいえない。
したがって,健康食品と滋養強壮変質剤が類似するとの審決の判断は誤りである。
3 引用商標の無効原告は,すでに,引用商標について,特許庁に商標登録無効審判を請求しており,特許庁から,「本件審判請求は,成り立たない。」との審決を受けたが,引用商標がそもそも商標法4条1項11号に違反して登録された無効な商標であることは明らかであって,この審決の取消しを求めて,当庁に訴えを提起し(平成17年(行ケ)第10764号),いずれ無効とされる見込みであり,そうなれば,商標法46条の2第1項本文及び同法46条1項1号により,引用商標に関する被告の商標権は初めから存在しなかったものとみなされる。
そうすると,本件商標の無効理由は,前提を欠き,成り立たなくなることが必定である。
被告の反論
審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は理由がない。
1 商標の類否判断の誤りについて本件商標中「源気」の部分と「ウコン」の部分は,それぞれ漢字と片仮名文字であることから,視覚上分離して看取され,また,本件商標の指定商品は「ウコンを原材料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」であって,本件商標中「ウコン」の部分は,単に商品の原材料を表すにすぎないから,自他商品識別能力がないか,極めて弱いというべきである。
また,簡易迅速を尊ぶ商品取引の場において,需要者が,商品に付された商標の自他商品識別機能を有する部分を適宜抽出して取引に資する場合があるという経験則に照らすと,本件商標が「ゲンキ」の略称で取引に資される可能性は十分にある。そうすると,本件においては,「源気」の部分が主となり「ウコン」の部分が従となる可能性が十分考えられ,本件商標の要部を「源気」としてとらえる取引者・需要者が存在するということができる。つまり,仮に,原告が主張するように,「ウコン」の部分に注意を集める取引者・需要者が存在するとしても,このことは,本件商標の要部を「源気」としてとらえる取引者・需要者の存在を否定するものとはなり得ないのである。
2 商品の類否判断の誤りについて原告は,「薬剤」と「健康食品」は販売経路が重複する例があるにしても,両者は生産部門や用途が異なり,また「医薬品」,「医薬部外品」か「食品」かの明確な表示があるために出所混同のおそれは大きくない旨主張する。
しかしながら,このような原告の主張は,例えば胃腸薬や風邪薬等,疾病の治療のために用いる薬を含めた「薬剤」全般と「健康食品」との比較に基づいたものである。
また,引用商標の指定商品に包含される「滋養強壮剤」と,本件商標の指定商品である「ウコンを含有する加工食料品」は,それぞれ「生薬」を原材料としているため両商品の内容は実質的には同一又はきわめて類似するものであり,相違するのは,厚生労働省による医薬品の承認を受けたか否かである。実質的に同様の商品について,医薬品の承認を受けないことで先行商標との抵触を避けられるという事態は妥当であるとはいえない。
結局,原告の主張は,「健康食品」と「薬剤」全般とが非類似であることを主張するにすぎないものである。「薬剤」全般についてはさておくとしても,少なくとも「薬剤」中の「ビタミン剤」,「滋養強壮剤」と,「健康食品」とが直ちに区別しえないとした審決の認定判断に対する反論とはなっていないものというべきである。
3 引用商標の無効について原告は,引用商標がそもそも商標法4条1項11号に違反して登録された無効な商標であることは明らかであって,いずれ無効とされる見込みであると主張するが,引用商標に無効理由はないから,原告の上記主張は,失当である。
当裁判所の判断
1 商標の類否判断の誤りについて( ) 本件商標が,「源気ウコン」の文字を標準文字により表してなり,指定商 1品を第29類「ウコンを主原料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」とする登録商標であることは,当事者間に争いがない。
本件商標「源気ウコン」は,「源気」の部分が漢字で表されているのに対し,「ウコン」の部分が片仮名文字で表されているものであり,このように,文字の種類の相違により視覚上分離して認識される構成となっているから,「源気」と「ウコン」の2語により構成されてなるものと容易に認識し得るものである。
次に,「源気」の部分は,「源(みなもと)」と「気(き)」を組み合わせた造語であり,組み合わせた上記2語に照応して,「気(き)の源(みなもと)」といった程度の観念を生ずるものということができる。
一方,「ウコン」の部分は,平成10年11月11日発行「広辞苑(第5版)」に,「うこん」の見出しの下に「ショウガ科の多年草。・・・根茎を止血薬・香料やカレー粉・沢庵漬の黄色染料とする。」と記載され,また,平成16年9月16日掲出のヤフー株式会社の健康食品通信販売ホームページ(甲19)に,「ウコン」の語を含む多数の商品名が記載されていることに照らすと,本件商標の登録査定時(登録出願時の平成16年4月23日より後で設定登録時の同年7月23日より少し前のころ。以下同じ。)には,「ウコン」の語がこれらの商品に用いられる同名の植物を表すものとして一般に知られていたものと認められる。本件商標の指定商品は,「ウコンを主原料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」であるから,この語を含む本件商標を指定商品に使用するとき,取引者・需要者は,本件商標中の「ウコン」の部分は,当該商品の普通名称を表示するものと認識するのが通常であるといわなければならない。
そうすると,本件商標に接する指定商品の取引者・需要者は,その構成中の「ウコン」の部分を,当該商品の普通名称を表示したものと理解するにとどまり,それ自体を自他商品の識別標識とは認識しない一方,これ以外の「源気」の部分に着目し,これを自他商品の識別標識として認識するものと認められるから,本件商標は,「ゲンキウコン」の一連の称呼のほか,「源気」の構成文字に照応して「ゲンキ」の称呼をも生じ,「気(き)の源(みなもと)」といった程度の観念を生ずるものということができる。
したがって,「本件商標は,全体から『ゲンキウコン』の一連の称呼を生ずるほか,『源気』の文字に照応する,単に『ゲンキ』の称呼をも生じ,『気の源(みなもと)』のごとき観念を生ずるものというのが相当である。」(審決謄本11頁第4段落)とした審決の認定に誤りはない。
( ) 原告は,本件商標「源気ウコン」は,同書・同大・同間隔にて外観上まと 2まりよく一体的に構成され,「ゲンキウコン」という称呼も冗長ではなく滑らかに称呼できるので,本件商標からは,「ゲンキウコン」という不可分一体の称呼を生じ,全体として「気力の源となるウコン」という観念を生ずると主張する。
しかし,本件商標が,同書・同大・同間隔にて外観上まとまりよく一体的に構成され,「ゲンキウコン」という称呼も冗長ではなく滑らかに称呼できるとしても,「源気」及び「ウコン」の部分が,上記のとおりのものであることからすれば,指定商品の取引者・需要者は,本件商標のうち「源気」の部分を,自他商品の識別標識として認識するものと認められるのであり,一方,本件全証拠によっても,本件商標「源気ウコン」について,取引者・需要者が一体不可分の語としてのみ把握するといった特段の事情を見いだすことはできないから,原告の上記主張は,採用できない。
また,原告は,本件商標「源気ウコン」について,商品の主原材料がウコンであることを,需要者に容易に理解してもらおうと考え,「ウコン」の文字を標章の構成として使用しているのであるから,商品の主原材料を示す「ウコン」の部分にも取引者・需要者の注意は集まるのであり,本件商標の「源気」と「ウコン」の各構成部分の自他商品識別力に軽重の差はない旨主張する。
しかし,上記のとおり,本件商標の「ウコン」の部分は,本件商標が指定商品に使用された場合に,これに接する取引者・需要者にとって,当該商品の普通名称を表示したものと容易に認識し得るものであり,命名者の主観的な意図によって,上記事実が左右されるものではない。また,本件のような場合に,「ウコン」の文字を用いたことによって需要者の注意が集まるとすれば,それは,商品がウコン関連のものであることによるものと考えられ,「ウコン」の語は,当該商品を表示する役割を果たしているにすぎないのであって,これを自他商品識別機能に結び付けるのは相当ではない。
( ) 他方,引用商標が,「源気」の文字を大きく横書きし,その上段に「げん 3き」の文字を振り仮名風に小さく横書きした構成からなり,指定商品を第5類「薬剤」とするものであることは,当事者間に争いがない。
引用商標は,本件商標の「源気」の部分と同様,その構成文字に照応して,「ゲンキ」の称呼を生じ,「気(き)の源(みなもと)」といった程度の観念を生ずるものというべきである。
そこで,本件商標と引用商標とを比較すると,上記認定のとおり,称呼及び観念において共通するものであり,外観において異なるところはあるが,その差異は,取引者・需要者に両商標の差異を特段印象付けるほどのものではないから,称呼及び観念の共通性をしのぐものではなく,また,両商標の類似を妨げるような取引の実情もうかがわれない。したがって,これらの事情を総合して全体的に観察すれば,両商標は互いに類似する商標であるといわざるを得ないから,「本件商標と引用商標とは,外観において異なるところがあるとしても,『ゲンキ』の称呼及び『気の源(みなもと)』のごとき観念を共通にする全体として類似する商標といわなければならない。」(審決謄本11頁第5段落)とした審決の判断に誤りはない。
( ) 原告は,実際に取引に使用されているのは,被告商品に付した「ナンパオ 4源気」の標章と原告商品に付した「源気ウコン」の標章なのであって,非類似の商標であるばかりでなく,両商品が店頭で競合することもないのであるから,本件商標と引用商標とで商品の出所につき誤認混同のおそれが生ずる余地はない旨主張し,原告代表者作成の陳述書(甲31)には,その旨の記載がある。
しかし,ここで取引の実情として考慮されるべきなのは,被告商品の「ナンパオ源気」標章ではなく,引用商標の「源気」標章であるから,被告が「ナンパオ源気」標章を使用していることが,本件商標と引用商標との間に商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かの判断を左右するものとはなり得ない。したがって,原告の上記主張は,前提において,すでに失当である。
( ) 原告は,審判段階で,「本件指定商品と同一又は類似する商品において, 5『Family/ファミリー』と『ファミリーうこん』・・・と,『てっぽう』と『てっぽうウコン』・・・等が,それぞれ別々に登録されている。同様に,『ドクター』の登録があるにもかかわらず,『ウコン』を含有する商品に『ドクターウコン』が登録されている・・・。これらも,全体で不可分一体の称呼観念を生じると判断された結果であると推察する。」(審決謄本9頁第1〜第2段落)等と述べたにもかかわらず,審決が,「なお,被請求人は,『○○ウコン』よりなる商標と『○○』よりなる商標の併存登録例を挙げて種々主張しているが,該登録例は,本件とは商標の構成を異にするものであるばかりでなく,商標の類否判断は,個別具体的になされるべきであるから,被請求人の主張は,採用することができない。 」(同11頁下から第4段落)と説示していることを論難し,審決が相違点を具体的に指摘せずに抽象的に事案が異なるとして排斥したのは,実際には,審決が具体的な相違点を発見できなかったからであると考えざるを得ない旨主張する。
しかし,原告主張の事例は,本件とは事案を異にしており,また,同事例における特許庁での扱いを一般原則とすべき根拠を認めることもできない。
したがって,原告の挙げた事例が本件と事案を異にすることを個別的に検討してみても,審決の結論には影響がないのであるから,原告の主張は失当というほかない。
2 商品の類否判断の誤りについて( ) 審決が,「本件商標の指定商品と引用商標の指定商品中の滋養強壮変質剤 1とは,商品の内容,用途,販売店舗,販売方法,需要者層等を共通にする類似の商品といわざるを得ない。」(審決謄本12頁下から第3段落)と説示するのに対し,原告は,「薬剤」と「健康食品」とでは表示が異なり,製造会社も,流通経路も異なるから,商品の出所が誤認混同するおそれは大きいものとはいえないと主張する。
( ) そこで,検討すると,本件商標は,指定商品を第29類「ウコンを主原料 2とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」とする登録商標であり,引用商標は,指定商品を第5類「薬剤」とするものである。
また,本件商標の指定商品である「ウコンを主原料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」は,その表示から明らかなとおり,健康食品,すなわち,「健康に関する効果や食品の機能等を表示して販売される食品(栄養補助食品,健康補助食品,サプリメントなど)」(平成17年2月1日付け厚生労働省医薬食品局長通知「『健康食品』に係る制度の見直しについて」,以下,この語義により「健康食品」という。)に属するものである。一方,商標法施行規則6条の別表によれば,引用商標の指定商品である「薬剤」には,肝油ドロップ,総合ビタミン剤等の「ビタミン剤」及び,王乳,カルシウム剤等の「滋養強壮変質剤」等が含まれている。
( ) さらに,証拠(甲6,24の1,2,甲25〜28)及び弁論の全趣旨に 3よれば,本件商標の登録査定時前の状況について,次の事実が認められる。
ア 近時,高齢化社会の到来,生活習慣病の急増がマスコミにしばしば登場するようになり,病気の治療のみならず,病気の予防,健康の維持に対する関心が高まり,それとともに,健康食品に対する関心が高まってきた。
イ 平成11年3月12日付け厚生省告示第31号により,「肉体疲労時,中高年期等のビタミン又はカルシウムの補給が目的とされている物」及び「滋養強壮,虚弱体質の改善及び栄養補給が目的とされている物」が医薬品から医薬部外品に指定され,ビタミン剤,滋養強壮変質剤の自由な販売が認められることとなった。
ウ 薬局,薬店は,主として医薬品を販売していたが,上記健康食品に関する関心の高まりに応じて,医薬品とともに健康食品を販売する薬局,薬店が増えてきた。
エ 首都圏の中小の薬局,薬店が加盟する団体である東京薬業協同組合連合会では,昭和40年代から,毎年,医薬品を中心に展示商談会を催していたところ,平成15年以前から,健康食品会社の出展が増えてきた。ドラッグストアでも,薬局,薬店と同様に,医薬品と健康食品を販売するようになった。
オ 多数の有力な製薬会社は,生活習慣病等の予防を目的とした健康食品の市場が急成長しているのを受けて,医薬品のみならず,健康食品の製造をするようになり,それと同時に,健康食品あるいは薬剤及び健康食品の両方を指定商品とする商標登録出願し,設定登録を受けている。
( ) 上記認定の事実によれば,遅くとも本件商標の登録査定時には,多数の有 4力な製薬会社が,健康食品の分野に進出し,それらの健康食品の多くが,薬局,薬店,ドラッグストア等で,ビタミン剤あるいは滋養強壮変質剤を含む医薬品と一緒に展示,販売されるようになっていたこと,そして,前者と後者は,その商品の内容,用途が類似しており,しかも,販売店舗ないし販売方法が類似していることから,一般の需要者にとってその区別が付きにくく,紛らわしい商品群になっていたことが認められる。
このように,本件商標の指定商品である第29類「加工食料品」に含まれる健康食品と,引用商標の指定商品である「薬剤」中のビタミン剤や滋養強壮変質剤とは,本件商標の登録査定時において,既に,その商品の内容,用途,及び,販売店舗,販売方法が共通しており,商品として類似しているものであったということができる。
( ) 原告は,いくら薬局で健康食品が売られる例があるとしても,「薬剤」は 5治療を目的にする商品で,薬事法による許可を必要とし,商品には「医薬品」又は「医薬部外品」との明確な表示がされているのに対し,「健康食品」は,飽くまでも食品であって,商品には「食品」であることが明示されているのであって,商品の出所が誤認混同するおそれは大きいものとはいえない旨主張する。
しかし,ここで問題としているのは,「薬剤」中のビタミン剤や滋養強壮変質剤と,健康食品であって,一般的な「薬剤」と「食品」との誤認混同を問題にしているのではない。そして,ビタミン剤や滋養強壮変質剤と,健康食品とが商品として類似していることは,上記のとおりである。
3 引用商標の無効について原告は,引用商標がそもそも商標法4条1項11号に違反して登録された無効な商標であることは明らかであって,いずれ無効とされる見込みであり,そうなれば,商標法46条の2第1項本文及び同法46条1項1号により,引用商標に関する被告の商標権は初めから存在しなかったものとみなされる旨主張する。
しかしながら,本件訴訟の口頭弁論終結時において,引用商標が有効に存在していることは,当裁判所に顕著であって,引用商標が無効になるとするのは原告の希望的観測にすぎないから,原告の上記主張は,失当というほかない。
4 以上のとおり,本件商標は,商標法4条1項11号に違反して登録されたものであるから,その商標登録を無効とすべきであるとした審決の判断に誤りはないというべきであり,原告主張の取消事由は理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 宍戸充
裁判官 柴田義明