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関連審決 取消2004-30728
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成18行ケ10043審決取消請求事件 判例 商標
平成17行ケ10504審決取消請求事件 判例 商標
平成21行ケ10104審決取消請求事件 判例 商標
平成17行ケ10246審決取消請求事件 判例 商標
平成14行ケ500審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  商標的使用 /  識別機能 /  指定商品 /  指定役務 /  顧客吸引力(グッドウィル) /  通常使用権 /  使用許諾 /  無効審判 /  継続 / 
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事件 平成 17年 (行ケ) 10527号 審決取消請求事件
原告X
訴訟代理人弁護士 寒河江孝允
同 矢野敏樹
被告 財団法人日本オリンピック委員会
訴訟代理人弁護士 辻居幸一
同 竹内麻子
訴訟代理人弁理士 加藤ちあき
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2006/01/31
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 原告 (1) 特許庁が取消2004-30728号事件について平成17年5月10日にした審決を取り消す。
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告 主文と同旨
争いのない事実等(証拠を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。)
1 特許庁における手続の経緯 被告は,「がんばれ!ニッポン!」の文字を書してなり,指定役務を第41類「オリンピック競技大会・オリンピック冬季競技大会・アジア競技大会・アジア冬季競技大会・ユニバーシアードその他これらに準ずる国際的総合競技大会の開催,スポーツに関する講演会の企画・運営又は開催,セミナーの企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付証票の発売,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与」とする,登録第4481000号の商標(平成10年8月13日登録出願(甲2,乙2),平成13年6月8日設定登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。
原告は,平成16年6月9日,本件商標についてその商標登録の取消を求める商標法50条に基づく審判を請求し(乙1),同請求は同月30日に登録された(乙2。以下「本件予告登録」という。)。特許庁は,この請求を取消2004-30728号事件(以下「本件審判」という。)として審理した結果,平成17年5月10日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし(以下「本件審決」という。),同月20日,その謄本を原告に送達した(甲6,弁論の全趣旨)。
なお,原告は,後記のとおり,本件審判の請求は,本件商標の指定役務中,「オリンピック競技大会・オリンピック冬季競技大会・アジア競技大会・アジア冬季競技大会・ユニバーシアードその他これらに準ずる国際的総合競技大会の開催」を除くその余の指定役務についてしたものである旨主張しているが,本件審判に係る原告の審判請求書(乙1)には,「請求の趣旨」として,「登録第4481000号商標の登録を取り消す」と明確に記載されているのであって,原告の本件審判の請求が本件商標の指定役務全部についてされたものであることは明らかである(上記審判請求書の「請求の理由」中には,指定役務のうち一部の役務について商標権者らが商標としての使用をしていない旨主張している部分もあるが,同時に,「従って本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。よって,請求の趣旨のとおりの審決を賜りたく請求いたします。」と記載されているのであり,審判請求書の「請求の理由」の記載を参酌しても,上記判断は何ら左右されるものではない。)。
2 審決の理由 別紙審決書の写しのとおりである。要するに,本件商標は,本件予告登録前3年以内に,通常使用権者と認められるコナミスポーツ株式会社(以下「コナミスポーツ」という。)により,請求に係る指定役務中の「スポーツクラブの提供」及び「スポーツクラブにおけるトレーニングの教授」について使用されていたから,本件商標の登録は商標法50条の規定により取り消すべきものではない,とするものである(なお,本件審決中,本件商標について,「平成12年4月5日に登録出願」とあるのは,「平成10年8月13日登録出願」の誤記と認められる(甲2,乙2)。)。
原告主張の取消事由の要点
本件商標は,コナミスポーツにより商標的使用の態様で使用されているとはいえないし,また,コナミスポーツが本件商標の通常使用権者とは認められないから,「本件商標は,本件審判請求の登録前3年以内に,通常使用権者により請求に係る指定役務中の『スポーツクラブの提供』及び『スポーツクラブにおけるトレーニングの教授』について使用されていた」との本件審決の認定判断は誤りであり,この誤りが本件審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであって,本件審決は取り消されるべきである。
1 自他識別標識としての使用について 商標法50条にいう「使用」があったというためには,当該商標が,各指定商品又は各指定役務についての識別標識として用いられている必要がある。
しかるに,被告はもとより,コナミスポーツも,「がんばれ!ニッポン!」と書してなる標章(以下「本件標章」という。)を識別性のある態様では使用していないから,本件商標について商標的使用がなされていたということはできない。
すなわち,コナミスポーツの広告に付された本件標章は,「JOCオフィシャルスポーツクラブパートナーとして日本代表選手団をサポート」し,「オリンピックにおいて日本人選手の活躍を願い,応援したい」という主張ないし考えを表し,スローガン(「ある団体・運動の主張を簡潔に表した標語」)として使用されているものにすぎず,消費者・需要者において,役務提供についての出所識別表示として認識されるものではない。コナミスポーツは,既に独自のブランドを確立してスポーツクラブを全国に展開していたものであり,上記広告において,役務の出所識別表示となるのは,同社のブランドとしての商標「コナミ スポーツクラブ」,同「エグザス」,同「運動塾」などであって,本件標章ではない。
したがって,上記広告に付された本件標章が,商標的使用の態様で使用されているということはできないから,本件審決が,「『がんばれ!ニッポン!』の文字が識別標識としての機能を果たさないとみなければならない格別の事由はない」として,「指定役務中の『スポーツクラブの提供』及び『スポーツクラブにおけるトレーニングの教授』について使用されていた」と認定判断したのは誤りである。
2 通常使用権設定契約について コナミスポーツと被告との間に本件商標についての通常使用権設定契約があったとは認められない。
前述のとおり,コナミスポーツは,本件標章を自社商標の出所識別表示としてではなく,スローガンとして広告や販促に用いているにすぎないのであって,スポーツ施設の提供等の役務につき,本件標章を商標として使用するという認識をそもそも有していなかったものと考えられる。
被告は,コナミスポーツ外1社との間で平成16年1月16日に締結したという「JOCオフィシャルパートナーシップ契約書」(乙11。以下,「本件契約書」といい,この契約書による契約を「パートナーシップ契約」という。)を提出するが,同契約書の内容からも,本件商標についての使用許諾がされていたと認めることはできない。すなわち,本件契約書第3条3.2項第2文(なお書き)によれば,「『パートナー』は,別途JOCとライセンシング契約を締結しない限り,自らの『商品』を含む商品又はサービスについて『JOCマーク』及び『公式呼称』を使用して製造も販売もすることはできない。」と規定されており,コナミスポーツは,「パートナー」であるものの,別途ライセンス契約(これが通常使用権設定契約を含むことは,明らかである。)を締結しない限り,本件商標(上記「JOCマーク」に含まれる。)を自らが提供する「スポーツクラブ及びその運営」の表示として用いてはならない,とされているのである。
したがって,コナミスポーツは,パートナーシップ契約を締結しただけでは,本件標章をスローガンとして用いることのみが許されたにすぎず,これをスポーツクラブ及びその運営について,その出所等の識別表示として用いてはならないのであるから,被告とコナミスポーツとの間には,法律上,本件商標の通常使用権設定契約は存在していないというべきであり,コナミスポーツを本件商標の通常使用権者であるとした本件審決の認定は誤りである。
3 被告の新たな主張について 被告は,本訴において新たに,財団法人日本自転車競技連盟(以下「日本自転車競技連盟」という。)が,その広告,チラシ,ポスターに本件商標を使用したこと,及び,日本自転車競技連盟が本件商標の通常使用権者であったことを主張する。
しかし,仮にそのような事実があったとしても,そこから認識される役務は,被告も自認するように,「オリンピック競技大会の開催に関する情報の提供」ということであり,上記「情報の提供」は本件商標の指定役務のいずれにも該当しない。
また,原告は,本件商標の指定役務中,「オリンピック競技大会・オリンピック冬季競技大会・アジア競技大会・アジア冬季競技大会・ユニバーシアードその他これらに準ずる国際的総合競技大会の開催」については,本件審判の請求に係る指定役務から除外している。
しかも,本件審決においては,本件商標が「『オリンピック競技大会の開催』に関する情報の提供」について使用されていたか否かは判断されていないから,本件審決の取消訴訟において,「『オリンピック競技大会の開催』に関する情報の提供」という役務が問題になる余地はなく,日本自転車競技連盟による本件商標の使用についての被告の主張は,失当である。
被告の反論の要点
本件審決の認定判断に誤りはなく,これを取り消すべき理由はない。
1 自他識別標識としての使用について (1) コナミスポーツは,平成16年3月1日から同年3月31日にかけて,各地において,「春のウェルカムキャンペーン」として,コナミスポーツクラブへの入会を呼びかける文言と共に,本件標章が付された広告チラシを,新聞の折り込みチラシとして頒布したほか(甲4の2,3,甲4の5〜7),同年5月には「有料体験キャンペーン」が(甲4の8〜10),同年6月には「夏休み短期教室」についての告知が行われ,それぞれの広告に本件標章が付されて全国各地で頒布された(甲4の11,12)。さらに,コナミスポーツが宣伝用に頒布している冊子でも,本件標章は「スポーツクラブの提供」に関する広告について使用されている(甲4の13,14)。
コナミスポーツの上記行為は,商標法2条3項8号に規定する「使用」にほかならない。
(2) 原告は,本件標章はスローガンとして使用されたものにすぎず,また,コナミスポーツは「コナミ スポーツクラブ」等の独自のブランドとしての識別表示を有しているから,コナミスポーツの前記広告に付された本件標章は商標的使用の態様で使用されているといえない旨主張する。
しかし,本件商標が自他商品・役務の識別機能を有することは,本件商標について原告が請求した別件無効審判の審決において,「『がんばれ!ニッポン!』の語は,・・・需要者及び一般国民は被請求人の事業を表す標章として,また,これを使用している企業はオリンピックに協賛しているものと認識するに至っていると認められ,役務に使用した場合,オリンピックに協賛している企業に係る役務を表す商標として,自他商品・役務の識別機能を有するものというべきである。」と判断され,本件商標が,スローガンであり,自他商品・役務の識別機能を有しないとの原告の主張が斥けられていることや(乙9),特許庁において,本件標章が被告の標章として著名ないし周知であることを認めて,「がんばれニッポン」の文字を構成要素とする第三者の商標登録を無効としたり,出願を拒絶したりする審決をしていること(乙12,乙13〜16)に照らし,明らかである。
商標を構成する語が,たとえ当初は「ある団体・運動の主張を簡潔に表した標語」であったとしても,そのことが直ちに当該標章の識別力の有無を左右するものではないし,スローガン的な要素のある標章が,当該権利者の有する他の商標とともに使用されるとしても,各々の標章の識別機能に何ら影響を与えるものではない。需要者,特に一般大衆は,本件標章の付された商品・役務を目にしたとき,被告のオリンピック関連事業に協賛している企業の商品・役務と認識するのであって,需要者は,まさしく,本件商標の出所表示力,品質保証力,宣伝広告力,顧客吸引力といった標識としての本質的機能に着目しているのであり,本件商標に識別力が備わっていることは明白である(乙10の4〜11)。
2 通常使用権設定契約について (1) 被告は,平成16年1月16日,コナミスポーツ外1社との間で,パートナーシップ契約を締結した(乙11)。この契約において,被告は,コナミスポーツに対し,被告が独占的権利を有する本件商標を含む「JOCマーク」を,コナミスポーツの「商品/サービス」すなわち「スポーツクラブ及びその運営」について,平成16年12月31日までの間,使用する権利を許諾した。コナミスポーツが使用許諾を受けた権利は,具体的には本件契約書添付付属書B記載の各権利であり,本件商標をコナミスポーツが「スポーツクラブ及びその運営」の広告,プロモーションに関連して使用する権利が含まれている。したがって,被告が,コナミスポーツに対し,「スポーツクラブ及びその運営」等に関し,本件商標の使用を許諾したことは明らかである。
(2) 原告は,本件契約書第3条3.2項第2文(なお書き)の記載を根拠に,被告とコナミスポーツとの間には本件商標の通常使用権設定契約は存在していない旨主張する。
しかし,本件契約書第3条3.2項第1文には,「JOCは,『パートナー』に対して,本契約に定める条項に従って,日本において『商品』について,付属書Bの1記載の『JOCマーク』及び『公式呼称』を使用する権利を許諾する。」と規定されており,上記「JOCマーク」は本件商標を含み,上記「商品」は「スポーツクラブ及びその運営」であるから,同第1文は,被告が,コナミスポーツに対し,「スポーツクラブ及びその運営」の宣伝広告に関して,本件商標を使用することを許諾することを内容としたものであることは明らかである。
本件契約書第3条3.2項第2文(なお書き)は,パートナーシップ契約によって,「ライセンシング」の権利を付与するものでないことを注記したものである。ここでいう「ライセンシング契約」とは,個々の商品(第1条(5)項の「商品」に限られない。)にマークを付し,これを販売する許諾を与える契約である。例えば,「商品」がスポーツ用品である場合,スポーツ用品の宣伝広告に「JOCマーク」を表示することは,「パートナーシップ契約」の対象であるが,スポーツ用品そのものに「JOCマーク」を表示して販売することは,「ライセンシング契約」の対象となる。
コナミスポーツによる本件標章の使用(甲4の2〜14)は,「ライセンシング契約」を必要とする個々の商品にマークを付するものではなく,本件契約書第3条3.2項第1文に基づく使用であって,本件商標の通常使用権に基づき使用されたことは明らかである。
(3) したがって,被告が,コナミスポーツに対し,パートナーシップ契約に基づき本件商標の通常使用権を許諾し,当該通常使用権に基づき,コナミスポーツによる本件標章の使用がなされたものというべきである。
3 日本自転車競技連盟による本件商標の使用について (1) 日本自転車競技連盟は,被告から本件商標の使用許諾を受け,平成16年6月23日開催の「サイクルスポーツフェスティバル2004」の広告宣伝のため,同月ころ,本件標章を付した広告チラシ,広告ポスター,新聞広告などを頒布,展示,掲載するなどした。この「サイクルスポーツフェスティバル2004」の開催は,「『オリンピック競技大会』に関する情報の提供」であり,これは,本件審判の請求に係る本件商標の指定役務に含まれる。したがって,本件商標は,その通常使用権者である日本自転車競技連盟により,指定役務である「『オリンピック競技大会』に関する情報の提供」について使用されていたものということができる。
(2) 原告は,本件商標の指定役務中,「オリンピック競技大会・オリンピック冬季競技大会・アジア競技大会・アジア冬季競技大会・ユニバーシアードその他これらに準ずる国際的総合競技大会の開催」は,本件審判の請求に係る役務から除外されている旨主張するが,本件審決が説示しているとおり,原告が,本件審判において,本件商標に係る指定役務全体の取消を請求していたことは,明らかである。
当裁判所の判断
1 自他識別標識としての使用について (1) 証拠(甲4の2,3,甲4の5〜14)及び弁論の全趣旨によれば,コナミスポーツは,平成16年3月,同社の経営する埼玉県狭山市所在の「コナミスポーツクラブ狭山」及び埼玉県川越市所在の「コナミスポーツクラブ川越」をはじめ各地に所在するコナミスポーツクラブへの入会を呼びかけるため,「春のウェルカムキャンペーン」と銘打った宣伝広告活動を行い,スイミングスクール,テニススクール等の紹介,入会の勧誘などを内容とする広告チラシを製作し,新聞の折り込みチラシとして頒布するなどしたこと,そのチラシの第1面には,本件標章が,被告の略称である「JOC」の表示や被告の保有する他の登録商標である第2エンブレム(本件契約書付属書A1及びA4)と共に,大きな文字で目立つように記載されていること,また,同社は,その経営するスポーツクラブの宣伝広告として,同年5月には「有料体験キャンペーン」を,同年6月には「夏休み短期教室」参加者募集をそれぞれ実施し,これらについても上記と同様に本件標章を付した広告チラシを各地で頒布したこと,さらに,同社は,同年3月及び6月に頒布した各宣伝用冊子でも,スポーツクラブの提供に関し,「コナミスポーツクラブは,JOCオフィシャルパートナーになりました。」との文言と共に,本件標章を表示していることが認められる。
上記事実によれば,コナミスポーツは,平成16年3月から6月にかけて,自社の経営するスポーツクラブや同クラブ施設を利用して行うスイミングスクールなどに関する宣伝広告のために,本件標章を表示したチラシ等を各地で頒布するなどしたものであるところ,上記広告が対象とする役務は,「スポーツクラブの提供」及び「スポーツクラブにおけるトレーニングの教授」であり,本件商標の指定役務中の「運動施設の提供」及び「スポーツ又は知識の教授」に含まれるものであるから,コナミスポーツによる上記広告チラシ等の頒布は,同社の役務に関する広告に本件商標と社会通念上同一と認められる本件標章を付して頒布する行為であって,本件商標の「使用」に該当するものというべきである(商標法2条3項8号参照)。
(2) 原告は,上記広告に付された本件標章は,スローガンとして使用されているものにすぎず,役務提供についての出所識別表示として認識されるものではなく,商標的使用の態様で使用されているとはいえない旨主張する。
しかし,証拠(乙10の2〜11)及び弁論の全趣旨によれば,本件標章は,被告が,昭和54年以来,「オリンピック・キャンペーン事業」,「選手強化キャンペーン事業」等について使用してきたものであり,また「オリンピック選手強化事業キャンペーン」を表す標章として,被告の許諾を受けた多数の協賛企業により,長年にわたり継続して全国的に使用されてきたものであって,平成16年当時,既に国民の間に広く周知されていたことが認められる。このような本件標章の長期にわたる継続的な使用の実績,その周知著名性からすれば,需要者ないし一般国民は,本件標章が被告の事業を表す標章であり,これを使用している企業はオリンピックに協賛しているものと認識するということができるから,本件標章は,オリンピックに協賛している企業に係る役務を表す商標として,出所識別機能を有するものというべきである。
そして,本件標章が,もともとは,いわゆるスローガンであったとしても,そのことから直ちに出所識別機能を有しないということはできないし,上記のとおり,本件標章が出所識別機能を有するものであって,コナミスポーツの前記広告において,大きな文字で目立つように記載されていることからすれば,この広告に接した需要者ないし一般国民は,同社の経営するスポーツクラブの役務が,被告のオリンピック関連事業に協賛している企業によって提供されていると認識するというべきであるから,本件標章が商標的使用の態様で使用されていないとはいえず,原告の主張は採用することができない。
なお,コナミスポーツが独自のブランドとして「コナミ スポーツクラブ」,「エグザス」,「運動塾」などの商標を有し,これを前記広告において使用しているとしても,本件標章が他の商標等と一緒に使用されていることは,本件標章の前記識別機能を否定することになるものでないことはいうまでもなく,そのことは上記判断を何ら左右するものではない。
(3) 以上のとおりであるから,本件商標は,本件予告登録前3年以内に,本件審判の請求に係る指定役務中の「運動施設の提供」及び「スポーツ又は知識の教授」について使用されていたとの本件審決の認定判断に誤りはない。
2 通常使用権設定契約について 乙11によれば,被告は,平成16年1月16日,コナミスポーツ外1社との間で,パートナーシップ契約を締結し,コナミスポーツに対し,平成16年12月31日までの間,本件商標を含む所定の「JOCマーク」及び「公式名称」を「スポーツクラブ及びその運営」の広告,プロモーションに関連して使用する権利を許諾したことが認められる。
これに対し,原告は,本件契約書第3条3.2項第2文(なお書き)によれば,コナミスポーツは,別途ライセンス契約を締結しない限り,本件標章を「スポーツクラブ及びその運営」の表示として用いてはならないとされているのであり,パートナーシップ契約を締結しただけでは,本件標章をスローガンとして用いることのみが許されるにすぎないから,被告とコナミスポーツとの間には,法律上,本件商標の通常使用権設定契約は存在していない旨主張する。
しかし,本件契約書(乙11)第3条3.2項は,まず第1文において,「JOCは,『パートナー』に対して,本契約に定める条項に従って,日本において,『商品』について,付属書Bの1記載の『JOCマーク』及び『公式呼称』を使用する権利を許諾する。」と規定しており,同契約書の付属書Bの1,付属書Cの記載等と合わせ読めば,これが,本件商標を「スポーツクラブ及びその運営」の広告,プロモーションに関連して使用する権利を許諾する趣旨であることは明らかである。原告が指摘するその第2文(なお書き)は,「なお,『パートナー』は,別途JOCとライセンシング契約を締結しない限り,自らの『商品』を含む商品又はサービスについて『JOCマーク』及び『公式呼称』を使用して製造も販売もすることはできない。」と規定するものであり,その文言及び乙27(JOCオフィシャルパートナーシッププログラムのご案内),28(JOCマーク商品化権利用のご案内)によれば,同規定は,パートナーシップ契約が,個々の商品にマークを付し,これを販売することについてまで許諾を与えることを含むものではなく,そのようなJOCマーク等を使用した商品化については別途ライセンシング契約の締結が必要であることを注記した趣旨のものであることは明らかであって,これをもって本件商標をコナミスポーツの役務に関する広告に使用することについての許諾がなされていないことを意味するものと解することはできない。原告の上記主張は採用の限りでない。
したがって,被告は,平成16年1月16日付けのパートナーシップ契約により,コナミスポーツに対し,「スポーツクラブ及びその運営」の広告,プロモーション関連という範囲で,本件商標の使用を許諾したものと認められ,コナミスポーツは本件商標についての通常使用権者であったということができ,この点に関する本件審決の認定に誤りはない。
3 以上のとおりであるから,本件商標は,本件予告登録前3年以内に,本件商標の通常使用権者であるコナミスポーツにより,本件審判の請求に係る指定役務中の「スポーツクラブの提供」及び「スポーツクラブにおけるトレーニングの教授」について使用されていたものというべきであり,被告が主張する日本自転車競技連盟による本件商標の使用の点について判断するまでもなく,原告主張の取消事由には理由がなく,本件審決にこれを取り消すべき誤りは認められない。
よって,原告の本訴請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 佐藤久夫
裁判官 嶋末和秀
裁判官 沖中康人
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