審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成9ワ8480損害賠償請求事件 平成9ワ10564商標権侵害差止等請求事件 | 判例 | 商標 |
平成11ネ1464不正競争侵害差止等請求・商標権侵害差止請求・商標権侵害差止等請求各控訴事件 | 判例 | 商標 |
平成13ネ5605商標権侵害差止等請求控訴事件 平成14ネ5060同附帯控訴事件 | 判例 | 商標 |
平成14受1100損害賠償,商標権侵害差止等請求事件 | 判例 | 商標 |
平成15ワ11200商標権侵害差止等請求事件 | 判例 | 商標 |
関連ワード | 指定商品 / 損害額 / 逸失利益 / 国内 / 差止 / 並行輸入 / 使用許諾 / 同一の商品 / 国際登録 / 外国 / 商号 / |
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事件 |
平成
18年
(ワ)
20126号
損害賠償等請求事件
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グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国 ロンドン(以下略) 原告バ ーバリ ーリミテッド 同訴訟代理人弁護士松尾眞 同 兼松由理子 同 岩波修 同 鈴木毅 同 大堀徳人 同 森口倫 同 杉本亘雄 東京都新宿区(以下略) 被告STEILAR C.K.M株式会社 同訴訟代理人弁護士宮岡孝之 同 二宮麻里子 同 南淵聡 |
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裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2006/12/26 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1被告は,原告に対し,金47万3250円及びこれに対する平成18年9月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2被告は,別紙被告標章目録記載1又は2の標章を付したバッグを販売し,販売のために展示してはならない。 23被告は,別紙被告標章目録記載1又は2の標章を付したバッグを廃棄せよ。 4原告のその余の請求を棄却する。 5訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 6この判決第1項は,仮に執行することができる。 |
事実及び理由 | |
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全容
第1請求1被告は,原告に対し,金550万円及びこれに対する平成18年9月20日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2主文2項及び3項と同旨第2事案の概要等1争いのない事実(1)当事者原告は,英国法人であり,「バーバリー」の呼称によるトータルファッションブランドとして,我が国を含む全世界で周知著名である。 被告は,カタログ通信販売及び生活情報の収集,提供に関する業務等を業とする株式会社である。 (2)原告の権利原告は,次の各商標権を有している(以下,各商標権を「本件商標権1」,各登録商標を「本件商標1」などという。また,各商標権を併せて「本件各商標権」といい,各登録商標を併せて「本件各商標」という。)。 ア本件商標権1商 標 登 録第1524062号出願年月日昭和53年2月10日商品の区分第14類,第18類,第21類,第25類及び第26類3指 定 商 品カフスボタン,その他の身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト〔以上,第14類〕,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ〔以上,第18類〕,化粧用具(電気式歯ブラシを除く。)〔以上,第21類〕,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト〔以上,第25類〕,腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花(造花の花輪を除く。),つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)〔以上,第26類〕登録年月日昭和57年6月29日登 録 商 標BURBERRY(別紙商標目録記載1のとおり)イ本件商標権2商 標 登 録第2147311号出願年月日昭和61年2月14日商品の区分(昭和34年法区分)第21類指 定 商 品装身具,ボタン類,かばん類,袋物,宝玉およびその模造品,造花,化粧用具登録年月日平成元年6月23日登 録 商 標別紙商標目録記載2のとおりウ本件商標権3国 際 登 録第732879号出願年月日平成12年3月15日(優先権主張国名連合王国)4商品の区分第3類,第18類,第25類指 定 商 品非薬用化粧品,香水,歯用及び毛髪用化粧品,せっけん,シャンプー,制汗用化粧品,オーデコロン及び化粧水,精油,ひげそり用剤,ポプリ〔以上,第3類〕,かばん類,スーツケース,かばん,旅行かばん,大型雑嚢,ハンドバッグ,札入れ,財布,ショルダーバッグ,携帯用化粧道具入れ,ブリーフケース,通学用かばん及び書類かばん,革製・レザーボード製又はそれらの代用品製の私物収納用ケース,日傘,傘,つえ,鍵用くさり及びキーホルダー,犬用コート〔以上,第18類〕,外衣,レインコート,ブルゾン,カジュアルコート,ポロシャツ,ブラウス,ドレス,パジャマ,ニット製被服,ショーツ,ズボン,スーツ,スカート,ジャケット,下着,メリヤス下着,メリヤス靴下,帽子,履物及び運動用特殊靴,運動に適した衣服,運動用特殊衣服,運動に適した履物,運動用特殊靴,トラックスーツ,既成裏地,ネクタイ,ベルト,ラップ,セラーペ,スカーフ,ショール及びストール,手袋〔以上,第25類〕登録年月日平成12年4月25日登 録 商 標別紙商標目録記載3のとおり(3)被告の行為被告は,平成17年春ころ,UFJニコス株式会社(当時の旧商号は「日本信販株式会社」)発行のカタログ「ニコスタイル2005春号」による通信販売の方法で,別紙被告標章目録記載1の標章(以下「被告標章1」という。)を付した織りネームを商品本体の内側に縫い付け,別紙被告標章目録記載2の標章(以下「被告標章2」といい,被告標章1と併せて「被告各標章」という。)を商品の下げ札に付したバーバリーバッグ(舟形・ベージュ5色。以下「被告商品」という。)を譲渡した。 なお,被告は,被告商品を,輸入業者から譲渡を受けた株式会社オーテックシー(以下「オーテックシー」という。)から仕入れたものである。 (4)被告各標章と本件各商標との同一性ア被告標章1は,「BURBERRY」の英文字を横書きしてなる標章であって,本件商標1と同一又は極めて類似している。 イ被告標章2は,キャメル色の下地に,黒色の線3本を水平方向及び垂直方向に均等の幅に並べて格子状に配し,当該黒線が交差してできた四角い部分を白色に配色し,さらに赤色の線1本を黒線とは互い違いの格子状に配したチェック柄からなる標章であって,本件商標2及び本件商標3と極めて類似している。 2事案の概要本件は,原告が被告に対し,被告各標章の付された被告商品の譲渡行為が本件各商標権を侵害すると主張して,民法709条に基づく損害賠償の支払を請求するとともに,商標法36条に基づく被告商品の販売等の差止め及び廃棄を請求する事案である。被告は,いわゆる並行輸入の抗弁を主張した。 3本件の争点(1)並行輸入の抗弁の成否(2)原告の損害額第3争点に関する当事者の主張1争点(1)(並行輸入の抗弁の成否)について〔被告の主張〕被告は,平成16年10月から平成17年3月までの間,オーテックシーから,被告商品を仕入れて販売した。 被告は,オーテックシーから商標権侵害等を行っていないことの確約をとった上で上記の取引を行ったが,本件の訴訟における原告の指摘を受けて,オー6テックシーの仕入先から遡り,輸入をした有限会社ブロンクスから,被告商品が真正品であることを確認するため,輸入許可通知書及びインボイスの提示を受けた。 被告は,バーバリーの表示があるタグにおいて,納入された被告商品の管理番号を確認し,その番号がインボイスの管理番号(「11177861」)と同一であることを確認した。 被告商品の標章(被告各標章)は,原告が付したものであり,当然に原告が被告商品の商品管理ができることから,並行輸入の抗弁が成立する。 〔原告の主張〕被告は,並行輸入の抗弁として,被告商品が真正品であることを主張するものと窺える。 しかしながら,被告は,最高裁平成14年(受)第1100号同15年2月27日第一小法廷判決・民集57巻2号125頁で示された要件に当てはめた主張をせず,立証もないから,並行輸入の抗弁として失当というほかない。 2争点(2)(原告の損害額)について〔原告の主張〕(1)逸失利益ア被告は被告商品を全部で41個納入して販売したが,実際には,販売したうちの16個が購入者からクーリングオフされて直接オーテックシーに戻されたため,被告商品の販売実数は25個である。その販売価格は1万9800円(税抜き),仕入価格は1万2870円(税抜き)である。 イよって,被告商品の販売による被告の利益は17万3250円であるから,商標法38条2項により,同額をもって原告が受けた損害の額と主張する。 (1万9800円-1万2870円)×25個=17万3250円(2)弁護士費用7原告は,被告の侵害行為により,本件訴訟の提起を余儀なくされた。弁護士費用相当の損害は,50万円を下らない。 〔被告の主張〕原告の主張(1)に係る事実は認め,同(2)は否認ないし争う。 第4当裁判所の判断1本件各商標権の侵害について前記第2の1(4)記載のとおり,被告標章1は,本件商標1と類似し,被告標章2は,本件商標2及び本件商標3と類似している。そして,被告各標章の付された被告商品は,かばん類であって本件各商標権の指定商品と同一である。 したがって,被告の行為は,指定商品について本件各商標と類似する標章を使用するものであって,本件各商標権を侵害するものとみなされる(商標法37条1号)。 2争点(1)(並行輸入の抗弁の成否)についてところで,被告による本件各商標権の侵害行為は,被告商品の輸入行為ではなく,国内における譲渡行為であるが,被告の主張は,輸入の時点で,前主による並行輸入として商標権侵害の実質的な違法性がない以上,それ以降の後主による譲渡行為は,違法性がないとの趣旨のものであると解される。 商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品につき,その登録商標と同一又は類似の商標を付したものを輸入する行為は,許諾を受けない限り,商標権を侵害する(商標法2条3項,25条,37条)。しかし,そのような商品の輸入であっても,(1)当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり,(2)当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより,当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するものであって,(3)我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあ8ることから,当該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価される場合には,いわゆる真正商品の並行輸入として,商標権侵害としての実質的違法性を欠くものである(最高裁平成14年(受)第1100号同15年2月27日第一小法廷判決・民集57巻2号125頁)。 上記(1)の要件は,真正商品の意義について商標を付す主体の観点から述べたものであり,商品の真正をいうものである。すなわち,@外国における商標権者自身が当該商標を付したこと,又はA当該商標が外国における商標権者自身によって付されたものでない場合には,当該商標権者から使用許諾を受けた者が適法に当該商標を付したことが必要である。また,上記(2)の要件は,内外権利者の実質的同一性を必要とし,上記(3)の要件は,我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあるという品質に対する商標権者のコントロールを重視するものである。これらの要件は,商標権侵害に対するいわば違法性阻却事由として,被告において主張立証すべき責任があり,いずれの国で当該商標が付されたかは,その前提として被告が主張立証すべきものである。 被告は,原告が被告各標章を付した旨主張するものの,本件第2回口頭弁論期日において,被告商品がイタリア共和国で製造されて香港経由で日本に輸入されたものであるが,どこの国で商標を付されたかは分からない旨を述べるにとどまり,このほかに,被告商品の商標が付された事実関係に係る的確な主張立証をしない。なお,被告は,輸入をした有限会社ブロンクスから,被告商品の輸入許可通知書及びインボイスの提示を受け,バーバリーの表示があるタグにおいて,納入された被告商品の管理番号を確認し,その番号がインボイスの管理番号と同一であることを確認した旨主張し,乙第2号証の1・2及び同第3号証を提出するが,被告商品の輸入許可があったことによって,これに付された被告各標章が上記(1)の要件のとおり適法に付されたものということには9ならない。そうすると,上記(1)の要件を認めるに足りない。 また,だれがいずれの国で商標を付したかが不明である以上,上記(2)及び(3)の要件も認めることはできず,被告商品の輸入行為につき商標権侵害としての実質的違法性を欠くものとはいえないことになる。なお,証拠(甲25〔枝番を含む。〕ないし28)及び弁論の全趣旨によると,イタリア共和国及び香港における本件各商標権に係る商標権者は,いずれも原告であるものと認められる。 したがって,被告の主張は,失当であるというほかない。 3争点(2)(原告の損害額)について(1)被告による本件各商標権の侵害行為については,過失があったものと推定される(商標法39条,特許法103条)。そして,これを覆すに足りる被告の反証はないから,被告は,商標権侵害により,原告の被った損害を賠償すべきことになる。なお,他人の商標を付した輸入商品を販売するに当たっては,当該商品が前記2の3要件を満たしていることを確認すべき注意義務があり,被告はこれを怠ったものである。 (2)逸失利益被告商品について,販売価格が1万9800円(税抜き),仕入価格が1万2870円(税抜き),販売個数が25個であって,その販売による被告の利益が17万3250円であることは,当事者間に争いがない。被告はその余の控除すべき変動経費を主張しないから,17万3250円が被告の受けた利益の額であり,この同額をもって,原告が受けた損害の額と推定される(商標法38条2項)。 (1万9800円-1万2870円)×25個=17万3250円(3)弁護士費用被告による本件各商標権侵害の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は,本件にあらわれた一切の事情を考慮して,これを30万円と認める。 10(4)小括以上のとおり,原告の損害額は,47万3250円となる。 17万3250円+30万円=47万3250円4結論したがって,原告の請求は,民法709条に基づく損害賠償金47万3250円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年9月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求並びに商標法36条に基づく被告商品の販売等の差止め及び廃棄請求の限度で理由がある。 よって,主文のとおり判決する。 |