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事件 平成 8年 (ワ) 14026号 商標権侵害差止等請求事件
原 告東洋エンタープライズ株式会社
訴訟代理人弁護士伊藤真
補佐人弁理士野原利雄
被 告株式会社サンライズ社
被 告株式会社インディアンモトサイクルカンパニージャパン
被 告西澤株式会社
被告三名訴訟代理人弁護士佐藤雅巳
同 古木睦美
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2002/08/22
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1別紙被告標章目録1ないし7記載の各標章は,いずれも別紙原告商標目録記載の商標に類似する。
2別紙被告標章目録4記載の標章は,被告の商標権(登録第2710099号)の専用権の範囲に属するが,同目録5ないし7記載の各標章は,いずれも同商標権の専用権の範囲に属さない。
事実及び理由
全容
第1原告の請求1被告西澤株式会社(以下「被告西澤」という )は,。
(1)ジャケット,ジャンパー,ベルト及びズボンについて,別紙被告標章目録1ないし7記載の各標章を使用してはならない。
(2)その本店,工場又は営業所に存する前記目録1ないし7記載の各標章を付したジャケット,ジャンパー,ベルト及びズボンを廃棄せよ。
2被告株式会社サンライズ社(以下「被告サンライズ」という )及び被。
告株式会社インディアンモトサイクルカンパニージャパン(以下「被告インディアン」という )は,それぞれ,ジャケット,ジャンパー,ベスト及びズボ 。
ンについて,前記目録1ないし7記載の各標章の使用を許諾し,又は,第三者に再許諾する契約を第三者と締結してはならない。
3被告西澤,被告サンライズ及び被告株式会社インディアンは,原告に対し,連帯して,1億円及びこれに対する被告西澤については平成8年8月31(), () 日 訴状送達の日の翌日 から 被告サンライズについては同月30日 前同から,被告インディアンについては同月20日(前同)から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要1当事者原告は,繊維製品,化学製衣料品,雑貨類等の国内販売及び輸出入等を目的とする株式会社である。
他方,被告サンライズは,著作権の取得,譲渡,貸与,管理等を,被告,,,, , インディアンは 皮革製品 衣料品 袋物 洋品雑貨等の輸出入及び販売等を被告西澤は,各種繊維原料及び繊維製品等の輸出入,卸売,仲介,代理を,それぞれ目的とする株式会社である。
2訴えの要旨本件は,1950年代以前にアメリカ合衆国で人気を博したオートバイのメーカーに由来する 「インディアン」という名称のブランドの使用を巡る ,紛争である。
原告は,被告らに対し,被告らが別紙被告標章目録1ないし7記載の各標章(以下,これらをその番号に応じて「標章1」のように表記し,すべてを総称して「被告標章」という )をジャケット等に付して使用する行為は,原 。
告の有する後記商標権の侵害に当たると主張して,被告標章の使用等の差止め及び損害賠償を求めている。
3前提となる事実関係(1)原告は,下記の商標権(以下「本件商標権」といい,その登録商標を「本件登録商標」という )を有している。。
出願年月日平成3年11月5日登録年月日平成6年3月31日登録番号第2634277号商品区分平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表の商品区分第17類指定商品被服,その他本類に属する商品登録商標別紙原告商標目録記載のとおり(2)本件登録商標に対しては,訴外A(以下「訴外A」という )が無効。
審判を請求したが,平成9年9月30日に特許庁により請求不成立の審決がされた。
また,被告インディアンが登録取消の審判を請求したが,平成11年10月13日に特許庁により請求不成立の審決がされた。同審決に対しては,取消訴訟が提起されたが,平成12年11月29日に,取消請求を棄却して,同審決を維持する旨の判決がされた。
(3)他方,標章1ないし5及び7は,衣料品等を販売する被告西澤により実際に使用されていた。これら標章の具体的な使用態様は,以下のとおりである(なお,使用態様等につき争いがあるが,末尾に掲げる各証拠及び弁論の全趣旨により各事実を認める。。)ア標章1,2については,被告西澤が輸入又は製造し,販売するジャンパー,ズボンの下げ札に付して使用していた(検甲3ないし甲6,甲8,10,12,15及び22 。)イ標章3については,被告西澤が輸入又は製造し,販売するジャンパ, (, ー ズボンの衿ネーム及び下げ札に付して使用していた 検甲1ないし検甲7甲4,6,8,10,12,15,17及び22 。)ウ標章4,5については,被告西澤が輸入又は製造し,販売するジャケットを広告するパンフレットに付して使用していた(甲34 。)エ標章7については,被告西澤がジャンパー,ベスト及びズボンの衿ネーム等に付して使用していた(甲34 。)オ標章6については,訴外プラニングジャパンがシャツに付して使用した事実が認められる(甲28ないし31 。なお,原告は,同訴外会社によ )る標章6の使用は,被告インディアン及び被告サンライズが許諾したものであるから,同被告らは,標章6の上記使用について責任を負うと主張している。
被告西澤が標章1ないし5及び7を付して使用した上記ジャケット,ジャンパー,ベスト及びズボン,並びに,訴外プラニングジャパンが標章6を付して使用したシャツは,いずれも本件登録商標の指定商品に該当する。
,,(「」 (4)ところで 被告インディアンは 下記の商標権 以下 被告商標権といい,その登録商標を「被告商標」という )を有している。。
出願年月日平成4年2月6日登録年月日平成7年9月29日登録番号第2710099号商品区分平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表の商品区分第17類指定商品被服(運動用特殊被服を除く,布製身回品(他。)の類に属するものを除く,寝具類(寝台を除く ) 。)。
登録商標別紙被告商標目録記載のとおり被告商標は,上記目録記載のとおり,@羽根飾りを冠した右向きのイ, 「」, ンディアンの横顔の図形 Aその中に配した特徴ある筆記体欧文字 Indian及び,Bその下部に小書して配された特徴ある筆記体欧文字「Indian Motocycle Co.,Inc.」から構成されている(以下,便宜上,上記@の図形を「インディアン図形」と,同Aの筆記体欧文字を「インディアンロゴ」と,同Bの筆記体欧文字を「モトサイクルロゴ」といい,インディアンロゴを図の中に配したインディアン図形を「ロゴ入りインディアン図形」という。。)(5)被告商標は,訴外Aが平成4年2月6日に出願し,平成7年9月29日に登録されたものである。
被告インディアンは,同年10月16日に訴外Aから被告商標権の譲渡を受け,平成8年5月27日にその旨の移転登録がされた。
被告インディアンは,出願の後,商標権譲渡を受けるまで訴外Aから被告商標につき再許諾権限付きでの使用許諾を受けており,同許諾に基づき,被告サンライズとの間で,同商標の使用を第三者に再許諾する権限を与える旨の契約を締結していた。さらに,同契約に基づき,被告サンライズは,被告西澤との間で,同商標をジャケット等の商品に付して使用することを許諾する旨の契約を締結していた。
したがって,少なくとも被告商標の使用については,被告インディアンがライセンサー,被告サンライズがマスターライセンシー,被告西澤がサブライセンシーという関係にあった(なお,別紙被告標章目録記載の各標章の使用についても,被告らが同様の関係にあったかどうかについては,後記のとおり争いがある。。)(6)被告商標に対しては,原告が無効審判を請求し,平成10年4月10日に,同商標の登録を無効とする審決がされたが,同審決に対しては,取消訴訟が提起され,平成11年4月14日に,同審決を取り消す判決がされた。
, ,, 同判決に対しては 原告が上告受理を申し立てたが 平成13年11月21日上告不受理の決定がされ,同判決は確定した。
これを受けて,特許庁においてさらに上記無効審判請求事件の審理がされ,平成14年2月28日付けで,被告商標は,先願の原告商標と同一又は類似のものと認められ,商標法4条1項11号違反事由が存在することを理由として,その登録を無効とする旨の審決がされた。同審決に対しては,被告インディアンが取消訴訟を提起した。
(7)なお,被告インディアンは,前記インディアンロゴを文字商標として商標登録出願し,平成9年7月4日に登録を受けた(登録第4022987号 。)また,前記インディアン図形についても,図形商標として商標登録出願し,平成10年2月20日に登録を受けた(登録第4116047号 。)(8)一方,原告は,羽根飾りが前方に突き出た左向きのインディアンの横顔図を商標として登録出願し,平成10年5月15日に登録を受けた(登録第4145016号 。)また,活字体の欧文字「INDIAN MOTOR CYCLE」を横一列に配してなる商標を登録出願したが,平成11年4月23日に拒絶査定を受けた。
原告は,拒絶査定不服の審判を請求したが,平成12年6月7日に請求不成立の審決がされた。同審決に対しては取消訴訟が提起されたが,平成12年12月21日,取消請求を棄却し,同審決の結論を維持する旨の判決がされた。
4争点(1)標章1ないし7が,本件登録商標と類似するか(争点(1) 。), ()。 (2)標章4ないし7が 被告商標権の専用権の範囲内にあるか 争点(2)(3)被告商標には明らかな無効事由があり,被告らが,被告標章の使用は被告商標権の専用権の範囲内であると主張することは,権利の濫用にあたり許されないか(争点(3) 。)(4)被告インディアンは,被告商標の使用を第三者に許諾する権限を与える旨の契約を被告サンライズと締結し,さらに,被告サンライズは,同商標をジャケット等に付して使用することを許諾する旨の契約を被告西澤と締結しているところ(前記第2の3(5) ,これにより,被告インディアン及び被告サ )ンライズは,被告西澤による被告標章の使用行為について共同不法行為者として責任を負うか。被告インディアン及び被告サンライズは,訴外プラニングジャパンに対しても,被告商標の使用を許諾し,これにより同訴外会社による被告標章の使用行為につき共同不法行為者として責任を負うか(争点(4) 。)(5)被告標章についても,被告商標と同様に,被告インディアンがその使用を第三者に許諾する権限を与える旨の契約を被告サンライズと締結し,さらに,被告サンライズがこれらをジャケット等に付して使用することを許諾する旨の契約を被告西澤と締結した事実が認められるか。被告インディアン及び被告サンライズは,被告標章の使用を訴外プラニングジャパンに対して許諾したか(争点(5)ア 。)また,仮に上記各事実が認められる場合,これにより,被告インディアン及び被告サンライズは,被告西澤及び訴外プラニングジャパンによる被告標章の使用行為につき,共同不法行為者として責任を負うか(争点(5)イ 。)(6)被告インディアン及び被告サンライズが,今後も第三者と共同して本件商標権を侵害するおそれがあるか(争点(6) 。)(7)原告の損害額(争点(7) 。)第3争点(1)ないし(3)に関する当事者の主張1争点(1)(標章1ないし7が,本件登録商標と類似するか)について(原告の主張)(1)本件登録商標は,片仮名で「インディアンモーターサイクル」と横,,「 」 一連に記した構成からなり 同商標からはインディアンモーターサイクルの称呼を生ずるとともに 「インディアン(北米原住民)+モーターサイクル ,(自動二輪車 」の観念を生ずるところ,英文字で「INDIAN MOTORCYCLE」と表 )記した商標につき,本件登録商標と同一の範囲にあることを結果として是認する旨判示した前記東京高等裁判所平成12年12月21日判決(甲40。平成12年(行ケ)第253号審決取消請求事件)に照らせば,本件登録商標から生ずる称呼「インディアンモーターサイクル」と共通の称呼を生ずる標章は,たとえ外観及び観念において相違し,あるいはその他の称呼を生ずることがあっても,本件登録商標に類似するというべきである。
(2)ところで,被告標章1ないし7の各構成及びそこから生ずる称呼観念等は,以下のとおりである。
ア標章1は,北米原住民を模した顔の髪飾り部分に「Indian」の英文字が配され,下段に「MOTORCYCLE」の英文字が,さらにその下段に非常に小さな文字で「Established 1901」の文字が,それぞれ配された構成からなる。
@「Indian」の文字が大きく明瞭に記載されていること,A図柄字体が大きな髪飾りを付けた北米原住民を模したものであり,そこからは前記文字部分「Indian」と全く同じ「インディアン」の称呼及び観念を生ずること,さらに,B「Indian」の文字を配した図柄と「MOTORCYCLE」の文字は極めて近接して上下に配されており,横の長さもほぼ同じで,その下の小さな「Established」の文字とともに,一体としてまとまりのよい1つの商標を構成していることを併せ考えると,同標章からは,全体として 「インディアンモーター ,サイクル」の称呼を生ずるというべきである。
また 「Indian」も「MOTORCYCLE」も平易な英単語であることから ,すると 同標章からはインディアン 北米原住民 +モーターサイクル 自 ,,「()(動二輪車 」を容易に観念することができる。 )イ標章2は,大きく「Indian」の英文字が配され,その下段に幾分小さく細い字で「MOTORCYCLE」の英文字を配した構成からなる。
これらの文字は極めて近接して上下に配され,横の長さもほぼ同じ, ,, で 一体としてまとまりのよい1つの商標を構成しているから 同標章からは「インディアンモーターサイクル」の称呼を生ずるとともに 「インディアン,(北米原住民)+モーターサイクル(自動二輪車 」が容易に観念される。 )ウ標章3は,大きな英文字筆記体「Indian」の下に,小さな英文字筆記体で「Indian Motorcycle Co.,Inc.」を配した構成からなる。
一般に 「Co.,Inc.」の英文字が法人を示す略号として用いられる ,ことは公知の事実であるから,下段の主要部は「Indian Motorcycle」の英文字部分というべきである。そうすると,同標章からは,全体として 「インデ,ィアンモーターサイクル」の称呼を生ずるとともに 「インディアン(北米原 ,住民)+モーターサイクル(自動二輪車 」が容易に観念される。 )エ標章4は,北米原住民を模した顔の髪飾り部分に「Indian」の英文字が配され,下段に「Indian Motocycle Co.,Inc.」の英文字が配された構成からなる。
前記ウ記載と同様の理由で,下段の主要部は「Indian Motocycle」の英文字部分と認められるが,簡易迅速を旨とする取引界の実情に照らせば,取引者や需要者は「r」1文字の有無をいちいち確認するものではないし,仮に確認したとしても 「Motocross(モトクロス 」などの用語例からわかると , )おり 「Moto」は「Motor」の簡略語として広く認識されている外来語であるか ,ら 「Motocycle」の部分は「Motorcycle」と同様に認識・理解されるというこ ,とができる。
以上によれば,同標章からは 「インディアンモーターサイクル」 ,の称呼を生ずるとともに 「インディアン(北米原住民)+モーターサイクル ,(自動二輪車 」が容易に観念されるというべきである。 )オ標章5は 「Indian Motocycle Co.,Inc.」が英文字筆記体で横一列 ,に配された構成からなる。
,「」 前記ウ記載と同様の理由で 同標章の主要部は Indian Motocycleの部分であり,さらに,前記エで述べたのと同様の理由により 「Motocycle」,は「Motorcycle」と同視し得ることになる。
そうすると,同標章からも 「インディアンモーターサイクル」の ,称呼を生ずるとともにインディアン 北米原住民 +モーターサイクル 自 ,「()(動二輪車 」が容易に観念されることになる。 )カ標章6は,大きく書かれた英文字筆記体「Indian」の下段に幾分小さく書かれた「Indian Motocycle Co.,Inc.」の英文字を,さらにその下段にやはり幾分小さく書かれた「SPRINGFIELD.MASS./EST.1901」の英文字を,それぞれ配した構成からなる。
前記ウ記載と同様の理由で,上記「Indian Motocycle Co.,Inc.」部分の主要部分は「Indian Motocycle」であり,同部分からは,前記エで述べのと同様の理由により 「インディアンモーターサイクル」の称呼を生ずると ,ともに 「インディアン(北米原住民)+モーターサイクル(自動二輪車 」が , )観念されることになる。
キ標章7は,大きく英文字筆記体の「Indian」が配され,その下段に幾分小さな書体で「Indian Motocycle Co.,Inc.」を配した構成からなる。
前記ウ記載と同様の理由で 「Indian Motocycle Co.,Inc.」部分の ,主要部分は「Indian Motocycle」であり,そこからは,前記エ記載と同様の理由により 「インディアンモーターサイクル」の称呼を生ずるとともに 「イン , ,ディアン(北米原住民)+モーターサイクル(自動二輪車 」が観念されるこ)とになる。
(3)前記(2)記載のとおり,標章1ないし7は,たとえ外観及び観念において本件登録商標と相違し,あるいはその他の称呼を生ずることがあっても,これらの標章のすべてから,本件登録商標から生ずるのと同一の称呼「インディアンモーターサイクル」を生ずるとともに,同商標から生ずるのと同一の観念「インディアン(北米原住民)+モーターサイクル(自動二輪車 」を生じ)ている。
したがって,これらは,すべて本件登録商標と類似するというべきである。
(4)仮に,標章4ないし7から 「インディアンモトサイクル」なる称呼 ,を生ずることがあったとしても この称呼は 本件登録商標から生ずる称呼 イ ,, 「ンディアンモーターサイクル」と,長音附の有無及び「ト」と「タ」という同音行に属する一音において相違するにすぎず,長音附を除く音数はいずれも12音で同じであり,音の調子それ自体や,極めて冗長な称呼構成からなることが共通しているから,称呼において,本件登録商標と類似するということができる。そのことは,前記「INDIAN MOTOR CYCLE」なる商標と本件登録商標の各称呼を対比して 「相違する称呼のうち『モー』と『モ』の音は,単に長音を ,伴っているかどうかで相違するにすぎず 『タ』と『ト』の音は,長音を伴っ ,ているかどうかで相違するものの,いずれもタ行に属する同質音で他に相違はなく「それぞれ一連に称呼するとき,両者は,全体の音感,音調が近似し ,」,た紛らわしいものになることが明らかである 」と判示した前記東京高裁平成 。
12年12月21日判決(甲40)に照らしても,明らかというべきである。
したがって,いずれにせよ,被告標章は本件登録商標に類似するものと認められる。
(被告らの主張)(1)本件登録商標の商品区分である旧17類の登録例を見ると,@英文字「INDIAN ,Aインディアンを模した図形,B「文字+INDIAN(又はインデ 」ィアン 」あるいは「INDIAN(又はインディアン)+文字」などの各種パター )ンのものが並存しており 「INDIAN(又はインディアン 」の前又は後に,これ , )と同一の字体,同一の大きさで,これと一連ないし一体に横一列に他の語を配した商標は 「INDIAN(又はインディアン 」又はインディアン図形と非類似と , )して扱われていることがわかる。換言すれば,上記のような横一列の商標は,称呼についても,観念についても,横一列に並んだ複数の言葉を一連一体に把握したもののみを生ずると理解されているのである。
そうすると,片仮名を横一列に配した原告商標の同一性の範囲は,片仮名「インディアンモーターサイクル」を同一の書体・同大の文字で一連に配した標章に限定されるとともに,禁止権の範囲は,片仮名「インディアンモーターサイクル」ないし平仮名「いんでぃあんもーたーさいくる」を同一の書体・同大の文字で一連に配した標章,及び,欧文字「INDIANMOTORCYCLE」を同一の書体・同大の文字で一連又は一体に(すなわち,通常語間に置く間隔を置いて)配した標章に限定されるというべきである。
以上によれば,本件登録商標と類似するのは 「インディアンモータ ,ーサイクル」の称呼のみ及びこれに対応する観念のみを生ずる標章に限られるのであり,本件登録商標から生ずる称呼「インディアンモーターサイクル」と共通の称呼を生ずる標章は,たとえ外観及び観念において相違し,あるいはその他の称呼を生ずることがあっても,本件登録商標に類似する旨の原告の前記主張は,この点においてすでに誤りである。
上記の観点から被告標章をみると,構成中に「Motocycle」なる表記を含む標章4ないし7については 「インディアンモーターサイクル」の称呼 ,のみ及びこれに対応する観念のみを生ずるといえないことは明らかである。また,標章1についてみると,大書したロゴ入りインディアン図形,その下段のありふれた活字体欧文字「MOTORCYCLE ,さらにその下段の非常に小さな書体 」の欧文字 Established 1901 からなるその構成に照らし 同標章からはイ 「」 ,,「ンディアン」の呼称及びこれに対応する観念並びに「モーターサイクル」の称呼及びこれに対応する観念を生じ得る。また,標章2についてみると,大書したインディアンロゴ,その下段のありふれた活字体欧文字「MOTORCYCLE」からなるその構成に照らし,同標章からも 「インディアン」の呼称及びこれに対 ,応する観念並びに「モーターサイクル」の称呼及びこれに対応する観念を生じ得る。さらに,標章3についてみても,大書したインディアンロゴ,その下段の小書した筆記体欧文字「Indian Motorcycle Co.,Inc.」からなるその構成に照らし,同標章からは 「インディアン」の称呼及びこれに対応する観念並び ,に「インディアンモーターサイクルカンパニーインク」の称呼及びこれに対応する観念を生じ得る。したがって,これら標章1ないし3も 「インディアン,モーターサイクル」の称呼のみ及びこれに対応する観念のみを生ずる標章であるとはいえず,結局,被告標章は,いずれも本件登録商標と類似しないことになる。
(2)仮に 「インディアンモーターサイクル」の称呼のみ及びこれに対応 ,する観念のみを生ずる標章だけでなく 「インディアン」の称呼及びこれに対 ,応する観念や 「モーターサイクル」の称呼及びこれに対応する観念も生じ得 ,る標章も含めて,本件登録商標の類似の範囲にあると解したとしても,以下に述べるとおり,やはり,被告標章は本件登録商標と類似しないというべきである。
そもそも,商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合,その出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきところ,その判断にあたっては,使用された商標の称呼,外観,観念によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して,全体的に考察すべきであり,かつ,その商品の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的状況に基づいて判断すべきものである。その場合,通常は,対比される商標の称呼,外観,観念のうちの1つが類似するならば,それらの商標が用いられた商品の出所につき,誤認混同のおそれを生ずるものと認めて差し支えないが,その一方で,これら称呼,外観,観念が類似するか否かは,あくまでも,誤認混同のおそれを推測させる一応の基準に過ぎないから,これら3点のうち1つが類似する場合であっても,他の2点が著しく相違したり,その他取引の実情の如何によって,商品の出所に誤認混同をきたすおそれがあるとは認め難い場合には,これらを類似商標と解すべきではないと考えられる。以上のような観点から,被告各標章と本件登録商標を対比すると,アロゴ入りインディアン図形を主体とする標章1は,外観において本件登録商標と全く異なるとともに,要部である同ロゴは,被告らの使用に係る被告商標として周知であり,強い識別力を有している。他方,原告商標は実際に商品に付して使用されておらず,それどころか,原告は,被告商標の構成要素であるインディアンロゴ等を用いている。したがって,同ロゴからは,被告らの使用に係る商標との観念が生じ,取引者に被告インディアンが出所の商品であるとの印象を与える。
以上を総合し,標章1と本件登録商標とを全体的に対比して考察した場合,同標章を付した商品に接した取引者・需要者は,その出所として被告インディアンを認識することはあっても,原告を認識することはない。したがって,出所について誤認混同のおそれはなく,同標章は原告商標と類似しないというべきである。
イ標章2においては,周知のインディアンロゴが,標章1におけるロゴ入りインディアン図形よりも強調されて太字で中央に配されており,前記アで述べたところが,より一層強くあてはまる。
, , よって 同標章を付した商品につき出所の誤認混同のおそれはなく同標章は原告商標と類似しない。
ウ標章3においては,周知のインディアンロゴが,標章2におけるそれより大書されて一層強調されており,前記ア及びイで述べたところが,さらに強くあてはまる。
よって,同標章は原告商標と類似しない。
エロゴ入りインディアン図形を主体とする標章4が,外観において本件登録商標と全く異なることは明らかである。
また,同ロゴからは「インディアン」の称呼を,筆記体欧文字を横一列に一体かつ一連に並べたモトサイクルロゴからは 「インディアンモトサ ,イクルカンパニーインク」の称呼のみをそれぞれ生ずるところ,これらは,いずれも,本件登録商標から生ずる「インディアンモーターサイクル」の称呼と異なっている。仮に,原告が主張するように,モトサイクルロゴから「インディアンモトサイクル」の称呼が生じ得たとしても,@「モーター」と「モト」という称呼の相違部分があること,A全体としても 「インディアンモーター ,サイクル」は音節が多い上に「モー」と「ター」という2つの長音を含み,冗長な語感である一方で 「インディアンモトサイクル」はきびきびした語感で ,あること,B「モトサイクル」は日常使用されない言葉であり,その分,聴く者の注意をひくこと,Cモトサイクルロゴは,被告商標の一部である上に,同商標の中で最も強い識別力を持つインディアンロゴと同一の書体であり,したがって,取引者・需要者は,モトサイクルロゴからも,被告インディアンを想起すること,以上の事情を併せ考えると 「インディアンモーターサイクル」 ,と「インディアンモトサイクル」は称呼において識別可能,すなわち相違するというべきである。
さらに,標章4のインディアン図形及びインディアンロゴからは,「インディアン(北米原住民 」の観念が,モトサイクルロゴからは,被告イ )ンディアンの観念がそれぞれ生ずる一方で,通常 「モーター」は「電動機」 ,の意味で 「サイクル」は「循環」の意味でそれぞれ用いられており 「北米原 , ,住民 (インディアン)の「原動機 (モーター)の「循環 (サイクル)では 」 」」意味不明というほかないから,本件登録商標からは,何ら具体的な観念を生じないというべきである。したがって,同標章と本件登録商標とは観念において類似しない。
以上に加え,原告が,自ら登録する本件登録商標を使用しない一方で,被告商標の構成要素の1つで強い識別力を有するインディアンロゴを冒用し続けているという取引の実情をも考慮すれば,標章4を付した商品に接した取引者・需要者が,その出所を片仮名の「インディアンモーターサイクル」を付した商品の出所(すなわち原告)と誤認混同するおそれは皆無であり,同標章は本件登録商標と類似しないというべきである。
オ標章5が,外観において本件登録商標と相違することは明らかであり,前記エにおいてモトサイクルロゴにつき述べたところによれば,称呼及び観念においても同商標と相違すると認められる。
それに加え,標章5が,被告西澤が作成したカタログ(甲34)表紙の右下に表示されている一方で,裏表紙の背面には被告商標が2か所に表示され,かつ,カタログの各頁には識別力の中心であるインディアンロゴが目立つように配置されているなどの取引の実情に照らせば,取引者・需要者は,被告商標やインディアンロゴの存在によって,商品の出所として被告を認識するはずであり,上記のような態様で被告標章5を使用したからといって,そのことにより,商品の出所を誤認混同するおそれはないというべきである。
したがって,同標章は本件登録商標と類似しない。
カ標章6が,外観において本件登録商標と相違することは明らかであり,識別力の中心であるインディアンロゴが,モトサイクルロゴ等に比してかなり大きく(寸法比約5対1)中央に配されていることからすれば,同標章の識別力の中心をなすのはインディアンロゴというべきである。そして,同ロゴから生ずる称呼及び観念は,原告商標の称呼及び観念と相違する。
以上によれば,同標章は本件登録商標と類似しないものと認められる。
キ標章7は,標章6の最下段に配された小さな書体の「SPRIGFIELD.M」, 。, ASS./EST.1901 が存しないほかは 同標章と同じ構成を有する したがって前記カで同標章について述べたところがそのままあてはまり,本件登録商標とは類似しないものと認められる。
2争点(2)(標章4ないし7は,被告商標権の専用権の範囲内にあるか)について(被告らの主張)標章4ないし7は,以下に詳述するとおり,被告商標と同一の範囲内にある。そして,被告らは,前記第2の3(5)記載のとおり,平成7年9月の登録後のみならず,平成4年2月の出願当時から,一貫して,被告商標の使用に関する正当な権限を有していたものである。したがって,被告らによる被告標章の使用は,登録された自己の商標(本件では被告商標)の使用と同一に取り扱われるべきものであり,本件商標権の侵害を構成しない。
ア標章4は,インディアン図形の顔及び羽根飾りの各部分に彩色した点において被告商標と相違するにすぎないから,同商標と実質的に同一であることは明らかである。
イ標章5は,甲34のパンフレットの表紙右下に配されているところ,その書体は,モトサイクルロゴと同一である。そして,同パンフレット裏表紙の中央には,枠で囲われた被告商標が配され,その下に被告西澤の社名及び住所が配されているばかりか,左下にも同商標が配されている。さらに,甲34の各頁には,インディアンの羽根飾りの部分に書かれたインディアンロゴが配されている。そして,被告商標の商標権者が被告インディアンであり,同商標は,同被告がライセンスビジネスに使用する商標であること,及び,被告西澤が皮革製ジャケット等に関する同商標のライセンシーであることは,裁判所に顕著な事実である。したがって,このような態様での標章5の使用は,被告商標の持つ独自の自他商品識別機能及び出所表示機能をそのまま持つものといえるから,同商標の使用と社会通念上同一のものと認識される。したがって,標章5は被告商標と同一の範囲に属するというべきである。
ウ標章6及び7については,これらの要部であるインディアンロゴは,被告商標中のそれと同一であり,同一の外観,称呼,観念を生ずる。
ところで,衣料品製造業者は,一般消費者や衣料品取扱業者の目にとまりあるいは記憶に残るように,自己の製造販売に係る衣料品の銘柄(ブランド)やそのロゴタイプに創意工夫を凝らして差別化を図るのであり,ブランド名とそのロゴタイプが同一であれば商品の出所が同一であると認識するから,上記各標章が,被告標章からインディアン図形を除いたものであるとはいえ,とりわけ識別力の強いインディアンロゴを図形に代替して大きく配していることからすれば,これらが被告商標の商標権者に由来する標章であることが容易に認識されるというべきである。しかも,被告西澤は,随所に被告商標を記載したパンフレットを配布している上に,商品の下げ札にも同商標を記載し,標章6及び7と同商標の出所が同一であることを表示しているのであるから,取, 。 引者や需要者が これら標章と被告商標の出所が異なると認識する余地はない以上を総合して考えると,被告商標が,図形部分が相当程度を占める,,, 図形と文字の結合商標であることを考慮しても 標章6及び7は 社会通念上被告商標と同一の範囲内にあるというべきである。
(原告の主張)被告の前記主張は争う。標章4ないし7は,いずれも被告商標と同一ないし実質的同一であるとは認められず,その専用権の範囲内にあるものではない。
3争点(3)(被告商標には明らかな無効事由があり,被告らが,被告標章の使用は被告商標権の専用権の範囲内であると主張することは,権利の濫用にあたり許されないか)について(原告の主張)被告商標には,下記のとおり,明らかな無効事由が存在する。したがって,被告らが,被告標章の使用は被告商標権の専用権の範囲内にあり,本件商標権の侵害にあたらないと主張することは,そもそも,権利の濫用にあたるものとして許されない。
ア商標法4条1項7号該当事由被告商標は,その下段に「Indian Motorcycle Co,.Inc. (モトサイ」クルロゴ)なる英文字表記を配しているところ,この表記中の「Co,.」が法人を表すことは明らかであるにもかかわらず,自然人である訴外Aが出願し,登録されている。このような商標の使用が商法18条1項等の法令に違反することは明らかであるから,被告商標には,商標法4条1項7号該当事由が存在する。
イ商標法4条1項11号該当事由前記東京高等裁判所平成12年12月21日判決(前記第2の3(8)記載。甲40)は,原告が出願し,登録されなかった英文字「INDIAN MOTOR CYCLE」からなる商標と,被告商標との対比において 「称呼において相紛らわ ,しい」との特許庁審決における表現を引用している。このことは,上記「INDIAN MOTOR CYCLE」が被告商標と類似することを明確に示している。しかるところ,片仮名表記からなる原告商標「インディアンモーターサイクル」は,この「INDIAN MOTOR CYCLE」と同一の範囲にあるから,原告商標と被告商標は類似するというべきである。
そうすると,被告商標は,先願の原告商標と類似するにもかかわらず, 。 登録されたものであり 商標法4条1項11号該当事由が存在することになる(被告らの主張)ア商標法4条1項7号該当の主張に対する反論被告商標に上記無効事由が存在するというのは,原告独自の見解であり,失当である。このことは,前記第2の3(6)記載の東京高等裁判所平成11年4月14日判決及び最高裁の平成13年11月21日付け上告不受理決定の存在に照らして明らかである。
イ商標法4条1項11号該当の主張に対する反論被告商標からは 「インディアンモトサイクルカンパニーインク」な ,る一体の称呼及びこれに相応する観念を生ずるから 「インディアンモーター ,」 。 サイクル なる称呼及びこれに相応する観念を生ずる原告商標とは類似しない仮に,被告商標から 「インディアンモトサイクル」なる称呼が生じ ,得るとしても 「モーター」と「モト」という相違部分があること,全体とし ,,「 」「」 「」 てもインディアンモーターサイクル は音節が多い上に モー と ターという2つの長音を含み,冗長な語感である一方で 「インディアンモトサイ ,クル」はきびきびした語感であることなどからして,称呼が相違するというべきであり,被告商標が原告商標に類似するとは認められない。
第4争点(1)及び(2)に対する当裁判所の判断1争点(1)(標章1ないし7が,本件登録商標に類似するか)について, ,, (1)商標の類否は 同一又は類似の商品に使用された商標が外観 観念称呼等によって取引者,需要者等に与える印象,記憶,連想等を総合して全体として考察すべきものである。
本件登録商標は,片仮名文字「インディアンモーターサイクル」を横一列に並べた構成からなっており 「インディアンモーターサイクル」の称呼 ,及びこれに対応する観念 インディアン 北米原住民 +モーターサイクル 自 「()(動二輪車 」を生ずる。)(2)そこで,以下,本件登録商標と標章1ないし7との類否を,順次検討する。被告標章のなかには,いわゆる結合商標に該当するものもある。
類否の検討に当たっては,基本的には商標を全体的に観察して対比判断すべきであるが,商標の特定の部分が見る者の注意をひき,その部分が存在することによって商標の識別機能が認められるときには,全体的観察と並行して商標を機能的に観察し,その中心的な識別力を有する部分,すなわち要部を抽出して対比判断することも必要となる。そして,結合商標類否判断に当たっても,全体的観察が基本となるが,結合した各構成部分の大きさや体裁あるいは相互の結合の強弱等により,一部の構成部分が要部となったり,各構成部分が格別に要部となることもあり,これらの場合には要部を抽出しての対比判断を行うこととなる。
ア標章1は,別紙被告標章目録1記載のとおり,北米原住民の横顔を模した図の髪飾り部分に筆記体欧文字「Indian」が配され,同図の下段に大きめの活字体欧文字「MOTORCYCLE」を,さらにその下段に非常に小さな活字体欧文字「Established 1901」を,それぞれ配した構成からなる。
このうち,最下段の活字体欧文字「Established 1901」は目をひき難い配置となっている上 「1901年に設立された」との意味を表すもので ,あって,独立して自他識別力を有するものではないことが明らかである。北米原住民を模した上記図及びその中に配された「Indian」の文字は,中心部分に大きく配置され,見る者の目をひく部分であるが,同図の下にこれとほぼ同じ,「」,「」 横幅をもって かなり大きな字体で MOTORCYCLE が配されておりIndian,, と結びついて識別力を有することがあり得ると考えられるから 同標章からは「インディアン」の称呼及び「北米原住民」の観念のほか 「インディアンモ,ーターサイクル」の称呼及び「インディアン(北米原住民)+モーターサイクル(自動二輪車 」の観念をも生ずるというべきである。 )しかるところ,上記「インディアンモーターサイクル」の称呼及び「()()」, インディアン 北米原住民 +モーターサイクル 自動二輪車の観念は本件登録商標から生ずる称呼及び観念と同一であるから,標章1は,本件登録商標と類似するものと認められる。
イ標章2は,別紙被告標章目録2記載のとおり,大きく太い字体の筆記体欧文字「Indian」の下に,小さく細い字体の活字体欧文字「MOTORCYCLE」を配した構成からなる。
これらの文字は近接して上下に配され,文字列の幅もほぼ同じであるから,両者が結びついて識別力を有することがあり得ると考えられる。したがって,同標章からは 「インディアン」の称呼及び「北米原住民」の観念の ,みならず 「インディアンモーターサイクル」の称呼及び「インディアン(北 ,米原住民)+モーターサイクル(自動二輪車 」の観念をも生ずるというべき )である。
しかるところ,上記「インディアンモーターサイクル」の称呼及び「()()」, インディアン 北米原住民 +モーターサイクル 自動二輪車の観念は本件登録商標から生ずる称呼及び観念と同一であるから,標章2は,本件登録商標と類似するものと認められる。
ウ標章3は,別紙被告標章目録3記載のとおり,中央に特徴ある字体の筆記体欧文字「Indian」が大書され,その下段に,筆記体欧文字「Indian Motorcycle Co.,Inc.」が「Indian」に比して小さな字体で配された構成からなる。
中央に大書された「Indian」の部分は,全体に占める割合,文字の太さ等に照らして,もっとも見る者の目をひくものであり,この部分が要部として抽出されるのは明らかである。下段の「Indian Motorcycle Co.,Inc.」についても,上段の「Indian」部分とは視覚上分離して見られるばかりでなく,これと常に不可分一体としてのみ認識されるべき格別の理由もなく,その構成から見ても上段の付加的部分にとどまるとはいえないから,上段の「Indian」の部分から独立して自他識別機能を発揮することがあり得るものである。そして,このうち「Co.,Inc.」の部分は,一般に会社(法人)組織を表す英語表記の略記として知られ,かつ,しばしば用いられるから,この部分を除いた「Indian Motorcycle」の部分を1つのまとまりとして把握・認識することも十分あり得ると認められる。そうすると,同標章からは 「インディアン「イン ,」,ディアンモーターサイクルシーオーインク「インディアンモーターサイクル 」,カンパニーインク」の称呼のほか 「インディアンモーターサイクル」の称呼 ,を生じ,また 「北米原住民「 インディアンモーターサイクル』なる名称の ,」,『自動二輪車を扱う会社」の観念のほか 「インディアン(北米原住民)のモー ,ターサイクル(自動二輪車 」の観念を生ずるというべきである。そして,上 )「 」「() 記 インディアンモーターサイクル の称呼及び インディアン 北米原住民のモーターサイクル(自動二輪車 」の観念は,本件登録商標から生ずる称呼 )及び観念と同一である。
以上によれば,標章3は,本件登録商標に類似するものと認められる。
エ標章4は,別紙被告標章目録4記載のとおり,@羽根飾りと地肌部分が着色された,羽根飾りを冠した右向きのインディアンの横顔の図形,Aその中に配した特徴ある筆記体欧文字「Indian ,及び,Bその下部に小書して 」配された特徴ある筆記体欧文字「Indian Motocycle Co.,Inc.」から構成されている(したがって,上記のインディアン横顔図形の着色の点以外は,被告商標と同一の構成と認められる。。)同標章は,@上記着色の点以外はインディアン図形と同一の図形,Aインディアンロゴ及びBモトサイクルロゴから構成される結合商標であるが,外観上は,一見して見る者の目をひく上記@,及び,これに特徴ある字体で中央に配された同Aを組み合わせた部分(ロゴ入りインディアン図形)が,識別力の高い要部であると考えられるところ,この部分からは 「インディア,ン」の称呼及び「北米原住民」の観念を生ずる。また,上記B(モトサイクルロゴ)については,上段のロゴ入りインディアン図形と視覚上分離して見て取ることができる上に,その構成に照らし,前者が後者の付記的部分にとどまるとはいえず,両者を常に一体不可分に認識すべき格別の理由もないから,この部分も独立して自他識別機能を果たし得るものと考えられる。しかるところ,「Co.,Inc.」の部分は,一般に株式会社等の法人組織を指す英文表記「Company Incorporated」の略語として知られ,かつ,しばしば用いられるものであるから,モトサイクルロゴは,全体として会社名を表したものと認識でき,このような場合 「Co.,Inc.」を除いた「Indian Motocycle」の部分だけが認識・ ,把握され,取引上通用することも十分あり得るというべきである。
以上を総合すれば,同標章からは 「インディアン」はもちろんの ,こと 「インディアンモトサイクルシーオーインク「インディアンモトサイ , 」,クルカンパニーインク」の称呼のほか 「インディアンモトサイクル」の称呼 ,を生ずるとともに,オートバイで山道や原野を走る競技が「モトクロス」ないし「モトクロスレース」と一般に称されるなど 「モト/Moto」が「モーター ,/Motor」の簡略語として通用している実情にかんがみれば 「北米原住民」の,観念のほか 「 インディアンモトサイクル』という名称のオートバイ(自動二 ,『輪車)を扱う会社」及び「インディアン(北米原住民)のオートバイ(自動二輪車 」の各観念を生ずるというべきである。 )しかるところ 上記 インディアン 北米原住民 のオートバイ 自 ,「()(動二輪車 」の観念は,本件登録商標から生ずる観念と同一である。さらに, )上記「インディアンモトサイクル」の称呼は,本件登録商標から生ずる「インディアンモーターサイクル」の称呼と一部相違するものの 「インディアン」,と「サイクル」の各部分は共通し,相違部分についても 「モ」と「モー」は,長音を伴っているか否かの違いにすぎず,また 「ト」と「ター」も長音の有 ,無の差はあるものの,同じタ行に属する音であるから,相違点はそれほど大きいものとはいえず,むしろ,一連に称呼するときは,全体の音感・音調が近似するものと認められる。したがって,上記2つの称呼は互いに類似するものというべきである。
以上によれば,標章4は,本件登録商標に類似するものと認められる。
オ標章5は,別紙被告標章目録5記載のとおり,黒地の背景に特徴ある筆記体欧文字「Indian Motocycle Co.,Inc.」を白抜きした構成からなり,黒地を白抜きした点以外は,モトサイクルロゴと同一と認められる。
「Indian Motocycle Co.,Inc.」については,上記エに記載した理由により 「Co.,Inc.」を除いた「Indian Motocycle」の部分だけが認識・把 ,握され,取引上通用することも十分あり得るというべきである。そうすると,同標章からは 「インディアンモトサイクルシーオーインク「インディアン , 」,」,「 」 モトサイクルカンパニーインク の称呼のほかインディアンモトサイクルの称呼を生ずるとともに,上記エに記載したとおり「モト/Moto」が「モーター/Motor」の簡略語として通用している実情にかんがみれば 「 インディア,『ンモトサイクル という名称のオートバイ 自動二輪車 を扱う会社 及び イ 』()」「ンディアン(北米原住民)のオートバイ(自動二輪車 」の各観念を生ずると )いうべきである。
しかるところ 上記 インディアン 北米原住民 のオートバイ 自 ,「()(動二輪車 」の観念は,本件登録商標から生ずる観念と同一である。さらに, )上記「インディアンモトサイクル」の称呼は,本件登録商標から生ずる「インディアンモーターサイクル」の称呼と一部相違するものの,上記エに記載した理由により,一連に称呼するときは,全体の音感・音調が近似するものと認め。, 。 られる したがって 上記2つの称呼は互いに類似するものというべきである以上によれば,標章5は,本件登録商標に類似するものと認められる。
カ標章6は,別紙被告標章目録6記載のとおり,中央に特徴ある筆記体欧文字「Indian」が大書され,その下の段(中段)に筆記体欧文字「IndianMotocycle Co.,Inc.」が小さく細い字体で配され,さらにその下の段(最下段)に活字体欧文字「SPRINGFIELD.MASS./EST.1901」が小さく細い字体で配された構成からなる。
前記ウで述べたのと同様の理由で,まず,中央に大書された「Indian」が要部として抽出されるものと認められる。他方,最下段の「SPRINGFIELD.MASS./EST.1901」は見る者の目をひき難い位置に配されている上,このうち 「SPRINGFIELD,MASS. (マサチューセッツ州スプリングフィールド)の部 ,」分は,単なる地名であって,商品の産地,販売地又はその上段の「Indian Motocycle Co.,Inc.」と表示された会社の所在地と解される可能性もあるものであって,識別力が薄弱であるし 「EST.1901」の部分も 「Established 1901」 ,,の略記であり 「1901年に設立された」との意味を表すものであって,上 ,記会社の設立年度と解される可能性もあるもので,いずれも独立して自他識別力を有するものではない。もっとも,中段の「Indian Motocycle Co.,Inc.」については,最下段の「SPRINGFIELD.MASS./EST.1901」のような付加的・説明的な内容とはいえず,独立して自他識別力を発揮することがあり得るもので。,, ,「」 ある そして この部分については 上記エに記載した理由によりCo.,Inc.を除いた「Indian Motocycle」の部分だけが認識・把握され,取引上通用することも十分あり得るというべきである。そうすると,同標章からは 「インデ,ィアン「インディアンモトサイクルシーオーインク「インディアンモトサ 」, 」,イクルカンパニーインク」の称呼のほか 「インディアンモトサイクル」の称 ,呼を生ずるものである。また 「北米原住民」の観念とともに,上記エに記載 ,したとおり「モト/Moto」が「モーター/Motor」の簡略語として通用している実情にかんがみれば 「 インディアンモトサイクル』なる名称の自動二輪車 ,『」「()()」 を扱う会社 及び インディアン 北米原住民 のモトサイクル 自動二輪車の各観念を生ずるというべきであり,上記「インディアン(北米原住民)のモトサイクル(自動二輪車 」の観念は,本件登録商標から生ずる観念と同一で )ある。さらに,上記「インディアンモトサイクル」の称呼は,本件登録商標から生ずる「インディアンモーターサイクル」の称呼と一部相違するものの,上記エに記載した理由により,一連に称呼するときは,全体の音感・音調が近似するものと認められる。したがって,上記2つの称呼は互いに類似するものというべきである。
以上によれば,標章6は,本件登録商標に類似するものと認められる。
キ標章7は,別紙被告標章目録7記載のとおり,中央に特徴ある筆記体欧文字「Indian」が大書され,その下段に,筆記体欧文字「Indian Motocycle Co.,Inc.」が小さく細い字体で配された構成からなる。
前記ウで述べたのと同様の理由で,まず,中央に大書された「Indian」が要部として抽出されるものと認められる。他方,下段の「Indian Motocycle Co.,Inc.」についても,独立して自他識別力を発揮することがあり得るものである。そして,この部分については,上記エに記載した理由により 「C,o.,Inc.」を除いた「Indian Motocycle」の部分だけが認識・把握され,取引。,, 上通用することも十分あり得るというべきである そうすると 同標章からは「インディアン「インディアンモトサイクルシーオーインク「インディア 」, 」,ンモトサイクルカンパニーインク」の称呼のほか 「インディアンモトサイク ,ル」の称呼を生ずるものである。また 「北米原住民」の観念とともに,上記 ,エに記載したとおり「モト/Moto」が「モーター/Motor」の簡略語として通用している実情にかんがみれば 「 インディアンモトサイクル』なる名称の自 ,『動二輪車を扱う会社」及び「インディアン(北米原住民)のモトサイクル(自動二輪車 」の各観念を生ずるというべきであり,上記「インディアン(北米 )原住民)のモトサイクル(自動二輪車 」の観念は,本件登録商標から生ずる )観念と同一である。さらに,上記「インディアンモトサイクル」の称呼は,本件登録商標から生ずる「インディアンモーターサイクル」の称呼と一部相違するものの,上記エに記載した理由により,一連に称呼するときは,全体の音感・音調が近似するものと認められる。したがって,上記2つの称呼は互いに類似するものというべきである。
以上によれば,標章7は,本件登録商標に類似するものと認められる。
(3)小括以上のとおり,標章1ないし7は,すべて本件登録商標に類似するものと認められる。
2争点(2)(標章4ないし7は,被告商標権の専用権の範囲内にあるか)について(1)商標法36条,37条1項は,商標権に基づく禁止権は登録商標の類似範囲に及ぶ旨を規定している。他方,同法25条は 「商標権者は,指定,商品について登録商標の使用をする権利を専有する 」と規定するが,意匠法 。
23条が「意匠権者は,業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する 」と規定しているのと対比すれば,商標権者の使用権は登 。
録商標のみを対象とし,登録商標と類似する範囲に及ぶものではない。
(2)そこで,以下,標章4ないし7について,被告商標権の専用権の範囲にあるかどうかを,順次検討する。
ア標章4は,前記1(2)エ記載のとおり,着色の点以外はインディアン図形と同一の図形,インディアンロゴ及びモトサイクルロゴを組み合わせてなり,その構成はインディアン図形の着色の点以外は被告商標のそれと同一と認められる。
上記の構成からすれば,標章4から生ずる称呼及び観念は,被告商標から生ずる称呼及び観念と全く同一であり,外観は,上記着色の点だけが異なるものの,羽根飾りの部分と地肌の部分に着色したことが,見る者に異なる印象を与えるものとは認められないから,同標章は,被告商標と同一のものというべきである。
したがって,標章4は,被告商標権の専用権の範囲内にあるものと認められる。
イ標章5は,前記1(2)オ記載のとおり,黒地の背景に特徴ある筆記体欧文字「Indian Motocycle Co.,Inc.」を白抜きした構成からなり,黒地を白抜きした点以外は,モトサイクルロゴとほぼ同一のものである。
他方,被告商標は,インディアン図形,インディアンロゴ及びモトサイクルロゴから構成される結合商標であるところ,下段のモトサイクルロゴは,上段のインディアン図形とインディアンロゴを組み合わせた部分(すなわ, ) , ち ロゴ入りインディアン図形 と視覚上分離して見て取ることができる上にその構成に照らし,必ずしも前者が後者の付記的部分にとどまるとはいえず,両者を常に一体不可分に認識すべき格別の理由もないから,モトサイクルロゴの部分も,独立して商品の識別機能を果たし得るものと考えられる。しかると,, , ころ 上記のとおり 標章5はモトサイクルロゴと構成がほぼ同一であるから同標章は,被告商標の要部の1つと構成を同じくするということができる。しかしながら,そもそも,被告商標においては,各部分が商標全体に占める割合等に照らし,外観上,一見して見る者の目をひくインディアン図形,及び,同図形に特徴ある字体で中央に配されたインディアンロゴを組み合わせた部分(ロゴ入りインディアン図形)が,とりわけ識別力の高い要部であると認められる。しかるところ,標章5はこのような識別力の高い部分を伴っていない。
この結果,標章5は,見る者に外観上被告標章と異なる印象を与える。また,被告標章が インディアンインディアンモトサイクルシーオーインクイ 「」,「 」,「」「 」 ンディアンモトサイクルカンパニーインク 及び インディアンモトサイクルの各称呼を生じ 「北米原住民「 インディアンモトサイクル』という名称の ,」,『オートバイ(自動二輪車)を扱う会社」及び「インディアン(北米原住民)の()」 ,,, オートバイ 自動二輪車の各観念を生ずるのに対し 標章5は このうち「インディアン」の称呼及び「北米原住民」の観念を生じない。したがって,標章5が被告商標と同一と認めることは到底できない。
上記によれば,標章5が,被告商標権の専用権の範囲内にあるとは認められない。
ウ標章6は,前記1(2)カ記載のとおり,中央に特徴ある筆記体欧文字「Indian」が大書され,その下の段(中段)に筆記体欧文字「Indian Motocycle Co.,Inc.」が小さく細い字体で配され,さらにその下の段(最下段)に活字体欧文字「SPRINGFIELD.MASS./EST.1901」が小さく細い字体で配された構成からなる。
上記「Indian」は,被告商標の構成要素の1つであるインディアンロゴとほぼ同一であり 「Indian Motocycle Co.,Inc.」は,やはり同商標の構 ,成要素の1つであるモトサイクルロゴとほぼ同一である。しかしながら,上記イで述べたとおり,被告商標においては,各部分が商標全体に占める割合等に照らし,外観上,一見して見る者の目をひくインディアン図形,及び,同図形に特徴ある字体で中央に配されたインディアンロゴを組み合わせた部分(ロゴ入りインディアン図形)が,とりわけ識別力の高い要部であると認められる。
しかるところ,標章6はこのような識別力の高い部分を伴っておらず,その代わりに,上記のとおり中央部に筆記体欧文字「Indian」が大書されている。この結果,標章6は,見る者に外観上被告標章と異なる印象を与える。
上記によれば,標章6が,被告商標権の専用権の範囲内にあるとは認められない。
エ標章7は,前記1(2)キ記載のとおり,中央に特徴ある字体の筆記体欧文字「Indian」が大書され,その下段に,筆記体欧文字「Indian Motocyc」 「」 。 le Co.,Inc. が Indian に比して小さく細い字体で配された構成からなる上記「Indian」は,被告商標の構成要素の1つであるインディアンロゴとほぼ同一であり 「Indian Motocycle Co.,Inc.」は,やはり同商標の構 ,成要素の1つであるモトサイクルロゴとほぼ同一である。しかしながら,上記イで述べたとおり,被告商標においては,各部分が商標全体に占める割合等に照らし,外観上,一見して見る者の目をひくインディアン図形,及び,同図形に特徴ある字体で中央に配されたインディアンロゴを組み合わせた部分(ロゴ入りインディアン図形)が,とりわけ識別力の高い要部であると認められる。
しかるところ,標章7はこのような識別力の高い部分を伴っておらず,その代わりに,上記のとおり中央部に筆記体欧文字「Indian」が大書されている。この結果,標章7は,見る者に外観上被告標章と異なる印象を与える。したがって,標章7についても,被告商標と同一と認めることはできない。
上記によれば,標章7が,被告商標権の専用権の範囲内にあるとは認められない。
オなお,被告らは,被告商標において識別力の中心をなすのはインディアンロゴであるとした上で,とりわけ,標章7については,同ロゴとほぼ同一の筆記体欧文字「Indian」が,インディアン図形に代替するように中央に大きく配されており,一般の取引者及び需要者は,同ロゴから商品の出所は被告らであると認識するから,同標章は被告商標と社会通念上同一である旨を主張する。
しかしながら,前判示のとおり,商標権者の使用権は登録商標のみを対象とし,登録商標と類似する範囲に及ぶものではないところ,標章5ないし7は,上記イないしエに記載したとおり,被告商標と外観,称呼及び観念において相違する部分を有するのであるから,これらをもって,被告商標権の専用権の範囲内にあるものということはできない。
(3)以上のとおり,標章4は,被告商標権の専用権の範囲内にあると認められるが,標章5ないし7については,いずれも同範囲内にあるとは認められない。したがって,標章5ないし7に関する被告の登録商標使用の抗弁には理由がない。
3結論以上のとおり,別紙被告標章目録1ないし7記載の各標章は,いずれも原告商標と類似すると認められる。また,同目録4記載の標章は,被告商標権の専用権の範囲に属すると認められるが,同目録5ないし7記載の各標章については,いずれも被告商標権の専用権の範囲に属しないものと認められる。
もっとも,本件商標権の侵害を理由とする差止請求及び損害賠償請求について,これらの請求権の存否及びその内容を最終的に確定するためには,なお,引き続き,争点(3)ないし(7)についての審理を行う必要がある。
よって,主文のとおり中間判決する。
裁判長裁判官 三村量一
裁判官 村越啓悦
裁判官 青木孝之
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