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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成17行ケ10618審決取消請求事件 判例 商標
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昭和55行ケ9 判例 商標
平成15行ケ371審決取消請求事件 判例 商標
平成18行ケ10280審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  出所表示機能 /  普通名称(3条1項1号) /  記述的商標(3条1項3号) /  ただ乗り(フリーライド) /  類似性(類否判断) /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  離隔的 /  全体観察 /  差止 /  継続 /  ハウスマーク / 
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事件 平成 16年 (ネ) 4212号 商標権侵害差止等請求控訴事件
控訴人(原告) 株式会社ウイルソン
訴訟代理人弁護士 片岡義夫
被控訴人(被告) 株式会社竹原
訴訟代理人弁護士 神戸正雄,補佐人弁理士 服部素明
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2005/02/10
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
控訴人の求めた裁判
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,原判決別紙目録(1)ないし(3)の容器に収納された自動車用つや出し剤を製造又は販売してはならない。
3 被控訴人は,その本社及び営業所に存する原判決別紙目録(1)ないし(3)の容器を廃棄せよ。
4 被控訴人は,控訴人に対し,552万8250円を支払え。
事案の概要
本判決においては,原判決と同様の意味において「原告商標権」,「原告商標」,「原告製品」,「被告製品」,「被告製品1,2,3」,「被告標章」,「被告標章1,2」,「原告表示@,A,B,C」,「形状等」との略称を用いる。
1 本件は,原告商標権(原判決別紙目録(4)記載のもの)を有し,原告製品(原判決別紙目録(5)ないし(7)の容器に収納された自動車用つや出し剤)を販売している控訴人(原告)が,被控訴人(被告)に対し,被控訴人が被告製品(原判決別紙目録(1)ないし(3)の容器に収納された自動車用つや出し剤)を製造販売する行為が,原告商標権を侵害し,不正競争防止法2条1項1号及び13号に該当すると主張して,上記被告製品の製造及び販売の差止め並びに廃棄を求めるとともに,552万円余の損害賠償を請求した事案である。
原判決は,(1)原告商標と被告標章1及び2とは類似しないので,被告(被控訴人)が被告標章1及び2を使用する行為は,原告商標権を侵害せず,商標権侵害を理由とする請求は理由がない,(2)原告製品の原告表示@ないしCはいずれも商品等表示とはいえず,また,原告製品の容器の形状等と被告製品1ないし3の容器の形状とは,全体としてみても類似しないので,不正競争防止法2条1項1号に基づく請求は理由がない,(3)被告製品において用いられている「鏡面」との表示が,同法2条1項13号にいう商品の品質を誤認させるような表示であると認めることはできないので,同条項に基づく請求は理由がないなどとして,原告(控訴人)の請求をいずれも棄却した。
本件における「争いのない事実等」,「争点」及び「争点に関する当事者の主張」は,次のとおり,「当審における控訴人の主張の要点」を付加するほか,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」のとおりであるから,これを引用する。
2 当審における控訴人の主張の要点(控訴理由の要点) (1) 原判決の事実認定の誤り 控訴審においては,不正競争防止法2条1項1号該当性に焦点を絞り,原判決の事実認定の誤りを指摘する。
(1-1) 認定方法について 商品の容器が商品標識の1つであって,商品等表示たり得ることは明らかであるところ,原判決のように,原告製品,被告製品の容器を@外形,A大きさ,B本体外周面の表示,C蓋の表示等の各要素に分断し,個々の要素につき個別化機能ないし出所表示機能を問い,各要素がその要件を満たさなければ切り捨てるという事実認定の方法は,失当である。
商品等表示の類似性の有無は,各表示を全体として観察する全体観察によりなされなければならない。容器の外形,大きさ,缶本体外周の表示,蓋の外周の表示,それぞれ一つ一つ採り上げれば,強い商品識別力を有しないかもしれないが,各商品表示を全体として観察すると,原告製品の容器は,商品等表示として商品識別力があり,被告製品の容器の表示と全体として比較すると,相互に類似しており,その結果混同を生じさせる。
(1-2) 被告製品1及び2について (a) 原告製品の容器と被告製品1及び2の各容器につき,以下の諸点を総合しつつ,容器の外観を全体的に観察すれば,それらは相互に類似し,その結果商品の混同を生じさせるものである。
(a-1) 双方の容器の外観は,背の低い円筒形であり,容器の大きさについても,原告製品の容器は,直径12.5cm,高さ8cmであり,被告製品の容器も12cm,高さ8.5cmであって,両者は,ほぼ等しい。また,双方の容器の蓋と本体の高さの割合が1対2とほぼ同一である。
(a-2) 被告容器本体に付された表示「鏡面ツヤ出しワックス」は,控訴人(原告)の標章である「鏡面Wax」を包含しており,漢字の「鏡面」は,一見して観念を把握し得るため,全体として原告製品の表示と類似している。また,表示方法も缶本体の側面に表示している。
(a-3) 容器の蓋の表示についても,原告製品の「輝く!!」と被告製品の「輝き!!」は,双方ともやや斜めに同じ活字体で表示され,双方とも「!!」が付されている点で同一であり,色は金又は黄色であって,極めて近い色である。さらに,装飾については,蓋の円周部において「輝く!!」,「輝き!!」の文字が同一の雲型の枠で囲まれている。
(a-4) 特に,控訴人が強調したい点は,被告製品1,2の缶本体の「鏡面」なる表示,及び蓋部分の「輝き!!」なる表示がそれぞれ顕著であって,原告製品の表示と共通しているため,缶全体の表示としては相互に類似しており,その結果,混同を生じさせるということである。
(b) 上記諸点に関し,原判決の下記の認定は,失当である。
(b-1) 原判決は,上記(a-2)の点に関し,原判決22頁25行〜23頁6行のように判示する。
しかし,「鏡面」なる商品表示は,控訴人が永年にわたり当該表示を用いた品質の優良な製品を自動車用ワックス業界に提供し続けてきた(甲35〜40)結果,控訴人の製品を示す商品表示として需要者の間に広く識られるに至った標章であり,原告製品を示す標章として使用による識別性を具備するに至っている。
控訴人が「鏡面」なる表示を採用したのは,平成12年2月に「鏡面コンパウンド」なる製品を製造販売した際(甲41),「鏡面」のように輝く車のボディをイメージして独自にネーミングしたものである。被控訴人の「鏡面仕上げクリーナーキット」が販売されていた期間は,比較的短い期間であり,販売量も他社の同種製品に比較すると極めて少なかった。これに比して,原告製品の「鏡面Wax」は,平成13年9月の発売以来継続的に大きな販売シェアを確保して来たため(甲42〜44),「鏡面」なる商品表示は,使用による識別力を獲得したものである。かつ,原告製品が雑誌等で紹介され(甲4-3,22〜28),控訴人も自ら宣伝広告したため(甲3,4-1・2),「鏡面Wax」は,控訴人の商品表示として周知となった。被控訴人は,原告製品の高い評価に「フリーライド」せんとして類似した商品表示の被告製品を製造販売したものである。
(b-2) 原判決は,上記(a-3)の点に関し,原判決23頁9〜11行のとおり,原告製品の容器の蓋にある「輝く」との部分は,その性質を示すありふれた表現であり,「!!」の部分も,これが付された文字を強調する表現であると認識されると判示する。
しかしながら,「光る」とか「ツヤの出る」とか同一の意味を有する様々の他の表現があるにもかかわらず,被控訴人は,あえて競業他社である控訴人の容器の表示を用いていること,「輝き!!」を控訴人と同様に蓋の部分に表示していること,控訴人と同様に「!!」を付していることは,発売後好評を博して高い販売量を挙げた原告製品の高い評価にフリーライドせんとした不正競争の意図以外考えられない。
(b-3) 原判決は,その25頁7〜14行において,原告製品においては,全体として「小キズが消え,輝く!!」との印象を与えているのに対して,被告製品1及び2においては,全体として「新車時のような輝き!!」との印象を与えている点で,異なっていると認定する。
しかしながら,大量に消費される低廉な商品であって購入者が一般消費者である場合には,商品表示についてあまり厳密な注意を払わないと考えられるから,一見して誤認されやすい印象を与える場合,両者は類似すると解すべきである。その際には,二つの商品が並べられ細部についてまで比較し得る状態で販売されるわけでは必ずしもないことを斟酌して,離隔的に考察しなければならない。被告製品1,2の「新車時のような」という文字や青い自動車図の付加は,缶全体を一体としてみれば,原告製品の商品等表示に類似しているという印象を否定するということはできない。
(b-4) 当業界では,大小会社併せて8社程度の製造業者が激しい販売競争を行っており,控訴人と被控訴人は,全くの競業関係にある(もっとも,自動車用ワックス等の販売額では被控訴人は控訴人の10分の1程度であるが。)。
(b-5) 以上(b-1)ないし(b-3)で主張したような商品等表示の類似点を総合し,(b-4)のような競業関係にあることを勘案すると,原告製品と被告製品は,混同の可能性が高いと認定すべきである。
(c) 原判決は,「原告が,原告製品と被告製品とは容器の形状等が全体として類似する旨主張していることに鑑み,念のため,この点についても,補足して判断する。」として,24頁12行〜25頁14行のとおり判示している。しかし,この認定判断も誤りである。
(c-1) 原告製品の缶本体の表示の「鏡面Wax」と被告製品の「鏡面ツヤ出しワックス」の表示とは,被告製品の「ツヤ出し」の部分を除き,称呼観念も相互に同一である。また,「鏡面」の表示に関し,明朝体様の文字とゴシック体様の文字という差があっても,双方共に角張った漢字であり,外観上大きな差異はない。
なお,前記のとおり,控訴人は,「鏡面」なる表示を用いた高品質の製品を永年にわたり製造,販売してきており,その結果,需要者に「鏡面」といえば原告製品が想起されるほどの使用による識別性を獲得するに至っている。
(c-2) 特に蓋に表示された原告製品の「輝く!!」と被告製品の「輝き!!」の表示は,「く」と「き」が異るのみである。また,双方共にゴシック体であり,色も黄色と金色で酷似している。さらに,やや斜めに表示されている点まで同一である。
原判決は,被控訴人が「輝き!!」という表示を用いている点に関し,「その性質を示すありふれた表現」であると評価しているが,同じ性質を表す用語としては,「光る」,「艶のある」等,多くの他の用語の可能性があるにもかかわらず,ことさらに競業他社の同種製品の表示を使用した点に不正競争の意図が現れた表示であると解すべきである。
さらに,上記「輝く!!」と「輝き!!」という文字を囲繞している枠も双方とも雲型である。
原判決は,原告製品の場合は「小キズが消え」という表示があり,被告製品の場合は「新車時のような」という文字と青い自動車のマークが付されていることを類似性を否定する点として指摘するが,付加表示が付されているだけで直ちに混同のおそれが否定されるということにはならない。むしろ,被控訴人の場合,かかる付加表示を付すことにより,デッドコピーとしての追及を回避せんとの狡猾な意図さえうかがえるものである。
(c-3) 被告製品の表示中に,「PROSTAFF」なる被控訴人のハウスマークが表示されていることも,何ら両者の混同可能性を否定する根拠となり得るものではない。
(1-3) 被告製品3について 原判決は,26頁6行〜27頁6行のように認定したが,誤りである。
(a) 原告製品の表示の「鏡面Wax」と被告製品3の表示の「キズ消し鏡面耐久ワックス」とを比較すると,原告製品の「鏡面Wax」と被告製品の「鏡面ワックス」は,称呼観念も同一である。
(b) 被告製品の表示中「キズ消し」なる部分は,原告製品の蓋の表示の「小キズが消え」と観念,外観が酷似している。
(c) 蓋に関しては,被告製品は,原告製品と同じく,雲型の枠を表示している。
(d) 原告製品の「WILLSON」なる表示と被告製品の「PROSTAFF」なる表示は,両者の混同可能性を否定する根拠となり得ない。
(2) 審理方法の不公正 原審の結審の前に和解手続が行われ,裁判長は,控訴人代理人や控訴人の取締役に対し,「被告(被控訴人)に対して,容器のデザインを変えるよう強く説得しました。」と述べた。しかし,被控訴人が和解に応じない場合に対応するため,判決期日も別途設けられていた。控訴人は,裁判所による和解勧試に対する被控訴人の対応に関して当然何らかの連絡があるものと考えていたが,何らの連絡もなく判決期日となり,控訴人敗訴の判決となった。裁判長から前記の発言があれば,控訴人は,本件に関する裁判所の心証につき当然有利な期待を抱くものであるところ,その後何らの連絡もなく,原審のような判決が下されるのは,控訴人に対する裁判所による予期せざる不意打ちと評価せざるを得ない。
当裁判所の判断
1 当裁判所も,控訴人の本訴請求は理由がなく,これを棄却すべきものと判断するが,その理由は,下記のとおり付加するほかは,原判決が「第3 当裁判所の判断」として説示するとおりであるので,これを引用する。
2 控訴人は,当審においては,不正競争防止法2条1項1号該当性に焦点を絞って,原判決の誤りを主張するので,以下検討する。
(1) 原判決の認定方法について 控訴人は,原告製品の特徴部分として,原告表示@ないしCを主張し,原判決は,これらが不正競争防止法2条1項1号所定の「商品等表示」となるか否かなどについてそれぞれ認定判断している(原判決22頁10行〜23頁17行)ところ,この認定判断は,相当として是認し得るものである。
このように,原告表示@ないしCがそれぞれ商品識別力ないし出所表示機能を有せず,「商品等表示」とはいえない以上,これらの各要素を集めたからといって,商品等表示性を獲得することにはならないのが通常である上,原判決は,類否判断の一環としてではあるが,原告製品及び被告製品について,全体としてとらえた上での判示をしており,全体として観察した商品識別力ないし出所表示機能についても実質的な検討がされているものと解し得るのであって,原判決の認定方法についての控訴人主張の非難は,当たらない。
また,上記特徴部分が「商品等表示」といえるか否かについての原判決の認定判断をふまえ,原判決別紙目録(5)ないし(7)に示されたような原告製品の表示を全体的に観察しつつ,改めて検討しても,商品等表示性を否定した原判決の結論を変更すべき点は存しない。
(2) 被告製品1及び2について 控訴人は,前記第2,2(1)(1-2)のとおり主張し,具体的には,(1-2)の(b),(c)のとおり,原判決の認定判断を非難する。しかし,原判決の認定判断(上記22頁10行〜23頁17行のほか,23頁18行〜25頁18行)は,相当として是認し得るものであり,控訴人の非難は当たらない。以下,補足して説明する。
(a) 控訴人は,控訴人の永年にわたる使用などにより,「鏡面Wax」という表示が控訴人の商品表示として周知となり,原告製品を示す標章として識別性を具備するに至っていると主張する。
証拠(甲3,4,35〜44〔枝番号を含む〕)によれば,控訴人は,「鏡面」との表示を平成12年2月ころから商品に表示しており,特に,「鏡面Wax」と表示した原告製品は,平成13年9月から販売され,平成16年7月まで合計103万個余販売されたこと,控訴人自ら宣伝広告をしたり,雑誌等で原告製品が紹介されたことなどが認められる。
しかしながら,そもそも,「鏡面Wax」との表示のうち「鏡面」の部分は,「鏡の面のような光沢・輝きを出すことができる」という製品の品質ないし効用を認識させるものにすぎないことは,原判決が判示するとおりである。そして,原告製品のような自動車用つや出し剤に「鏡面」という表示を用いても,製品の品質ないし効能を表示するものにすぎないのであって,この表示が自他商品識別力を欠くことは明らかである(商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのも同様の趣旨であると解されるところ〔最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁〕,「鏡面」との商標又は「鏡面」を含む商標の「鏡面」部分について,特許庁も同旨の判断をしている〔乙7,10〕。)。また,「Wax」の部分は,「ワックス」を指す英単語と容易に認識され,製品の種類を示す語であると認識されることも,原判決が判示するとおりであり,原告製品の普通名称というべき「Wax」の部分が自他商品識別力を欠くことは明らかである。そして,これらが一体とされて「鏡面Wax」と表示されても,自他商品識別力を欠くことに変わりはない。
また,「鏡面」との表示は,控訴人以外の会社が製造するワックス,つや出し剤などにも多数使用されていること,被控訴人は,控訴人が初めて使用したという平成12年2月よりも前の平成8年8月ころには,クリーナーキットについて,既に「鏡面」を含む表示を使用していることなどは,原判決の認定(15頁16行〜19頁10行)のとおりである。
以上のような事情を総合すれば,「鏡面Wax」という表示が原告製品を示す標章として識別性を具備するに至っているものとは到底いうことができない。よって,この点に関する控訴人の主張は,採用することができない。
(b) 控訴人は,容器の蓋の表示において,原告製品が「輝く!!」とされ,被告製品が「輝き!!」とされている点につき,前記のとおり主張し,原判決が,「輝く!!」との表示がありふれた表現であるなどとした判示を非難する。
しかし,つや出し剤である原告製品に「輝く!!」と表示することは,性質ないし効能を示すありふれた表現であり,その表示に自他商品識別力がないことは明らかである。控訴人の主張は,採用することができない。
(c) 控訴人は,原告製品と被告製品との類似性に関する原判決の認定判断につても誤りであると主張する。
原告製品における表示と被告製品1及び2における表示との共通点及び相違点に関する原判決の認定(23頁24行〜25頁14行)並びにこれらをふまえた類似性についての原判決の認定判断(25頁15〜18行)は,いずれも相当として是認し得る。
確かに,原告製品における表示と被告製品1及び2における表示には,共通する点もあるが,それらは,いずれも,自他商品識別力を欠くか極めて弱い表示部分において共通しているにすぎないのであって(控訴人は,「鏡面Wax」及び「輝く!!」との表示を特に強調するが,これらについては前判示のとおりである。),両者の相違点にも照らしつつ,原判決別紙目録(5)ないし(7)に示された原告製品の表示と同(1),(2)に示された被告製品1及び2の表示とを検討すると,両者は,全体的に観察しても,類似するものとは認められない。
(d) 控訴人は,被告製品1及び2について,前記のとおり種々主張するところ,これらをすべて考慮しつつ精査しても,原判決の認定判断に変更すべき点は存しない。
(3) 被告製品3について 既に判示したところをふまえ,原判決別紙目録(5)ないし(7)に示された原告製品の表示と同(3)に示された被告製品3の表示とを検討すると,両者は,全体的に観察しても,類似するものとは認められない。
その他,控訴人の前記主張を考慮しつつ精査しても,被告製品3に関する原判決の認定判断は相当であって,これを変更すべきものはない。
3 控訴人は,原審における審理方法の不公正を主張する。
控訴人の主張は,和解手続における裁判長の発言から,控訴人が有利な期待を抱いていたのに,何らの連絡もなく敗訴の判決がされたのが予想外であったというに帰するものと解される。仮に,控訴人の主張を前提としても,原判決を取り消すべき事由となるものとは解されないのであって,主張自体失当というべきである。
4 結論 以上によれば,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないので,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 田中昌利
裁判官 佐藤達文