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関連審決 訂正2007-390088 無効2004-35088 訂正2005-39227
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20行ケ10151審決取消請求事件 判例 特許
平成19行ケ10300審決取消請求事件 判例 特許
平成17ワ2649特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
平成22行ケ10221審決取消請求事件 判例 特許
平成15行ケ39審決取消請求参加事件 判例 特許
関連ワード 製造方法 /  容易に発明 /  周知技術 /  優先日 /  発明の要旨認定 /  均等 /  設定登録 /  訂正審判 /  新規事項追加(新規事項の追加) /  誤記の訂正 /  請求の範囲 /  減縮 /  拡張 /  変更 /  釈明 /  独立特許要件 /  訂正明細書 /  審決確定(審決が確定) / 
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事件 平成 19年 (行ケ) 10134号 審決取消請求事件
原告アボットカーディオヴァスキュラーシステムズインコーポレーテ ッド(審決上の表記:アドヴァンスドカーディオヴァスキュラーシステムズ インコーポレーテッド)
訴訟代理人弁護士片山英二,牧恵美子,長沢幸男
訴訟代理人弁理士小林純子,日野真美
被告株式会社グッドマン
訴訟代理人弁理士石田喜樹,園田清隆
訴訟復代理人弁護士高橋譲二
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2007/11/29
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1特許庁が無効2004−35088号事件について平成18年12月8日にした審決を取り消す。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1原告の求めた裁判主文第1項と同旨の判決第2事案の概要原告は,下記1(1)の特許(以下「本件特許」という。)の特許権者である。被告が請求項1〜3,6〜9及び23に係る特許について無効審判請求(無効2004-35088号事件)をしたところ,特許庁は「特許第2645203号の請求項1〜3,6〜9及び23に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(以下「前審決」という。)をしたので,原告が審決取消訴訟(以下「前訴」という。)を提起し,90日の期間内に訂正審判請求(以下「前訂正審判請求」という。)をしたところ,知的財産高等裁判所は審決を取り消す旨の決定をし,同決定の確定に伴って上記無効審判請求事件の審理が再開された。原告は,特許法134条の3第2項の指定期間内に訂正請求をしたため,同条4項により前訂正審判請求は取り下げられたものとみなされ,訂正請求に対して訂正拒絶理由が通知され,原告が意見書及び手続補正書を提出した後,特許庁は「特許第2645203号の請求項1ないし3,6ないし9及び23に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をした。本件は,原告が,本件審決の取消しを求める事案であるところ,原告が本訴提起後にした訂正審判請求(訂正2007-390088号。以下「本件訂正審判請求」といい,同請求に対する審決を「本件訂正審決」という。)について,特許庁は,同請求に係る訂正を認める旨の審決をし,同審決は確定した。
1特許庁等における手続の経緯(1)本件特許(甲第3号証の1)特許権者:原告(旧商号:アドヴァンスドカーディオヴァスキュラーシステムズインコーポレーテッド)出願日:平成4年10月23日優先日:1991(平成3)年10月28日(米国)発明の名称:「膨張可能なステント及びその製造方法」出願番号:特願平4-286331号設定登録日:平成9年5月2日特許番号:特許第2645203号(2)本件手続及び訂正審判手続等(甲第3号証の1,同第39号証,乙第1号証)無効審判請求日:平成16年2月12日(無効2004-35088号)前審決日:平成17年5月31日(「特許第2645203号の請求項1〜3,6〜9及び23に係る発明についての特許を無効とする。」との審決)前訴提起日:平成17年10月7日(平成17年(行ケ)第10727号)前訂正審判請求日:平成17年12月13日(訂正2005-39227号)前訴決定日:平成18年1月13日(審決を取り消す旨の決定)訂正請求日:平成18年2月16日本件審決日:平成18年12月8日(「特許第2645203号の請求項1ないし3,6ないし9及び23に係る発明についての特許を無効とする。」との審決)本件審決謄本送達日:平成18年12月20日(原告に対し)本訴提起日:平成19年4月17日本件訂正審判請求日:平成19年7月13日(訂正2007-390088号)本件訂正審決日:平成19年9月14日(「特許第2645203号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。」との審決)2特許請求の範囲の請求項1〜3,6〜9及び23の記載(1)本件訂正審決による訂正前のもの(本件審決が本件発明の要旨の認定の前提としたもの)【請求項1】「送出カテーテルからの半径方向外向きの力の適用により第1送出径から第2展開径へ独立に膨張可能でかつ塑性変形可能となっており,相互連結部を互い違いにすることによって共通の軸線に略整列するように,互いに連結された複数の円筒形状の要素を有し,該円筒形状の要素は,長手方向軸線に直交して,複数の山谷を含む略波状模様に形成され,前記円筒形状の要素の一端の各連結部は,前記円筒形状の要素の他端の連結部から円周方向にずれており,各円筒形状の要素はその直径より小さい長さを有する,ことを特徴とする長手方向に可撓性を有するステント。」【請求項2】「円筒形状部材が,膨張の際に第2展開径を維持するようになった請求項1の長手方向に可撓性を有するステント。」【請求項3】「膨張していない状態の前記半径方向に膨張可能な円筒要素は,その直径より小さい長さを有する請求項1の長手方向に可撓性を有するステント。」【請求項6】「相互連結部の円周方向の配置は,均等の大きさである請求項1の長手方向に可撓性を有するステント。」【請求項7】「隣接した円筒形状の要素の間に配置された4つまでの相互連結部がある請求項1の長手方向に可撓性を有するステント。」【請求項8】「前記円筒形状の要素と前記相互連結部は同じ材料で作られている請求項1の長手方向に可撓性を有するステント。」【請求項9】「前記長手方向に可撓性を有するステントは,管の単一片から形成されている請求項8の長手方向の可撓性を有するステント。」【請求項23】「(a)近位端及び遠位端と,該遠位端に膨張可能な部材とを有する細長いステント送出カテーテルと,(b)脈管構造の中の送出のために,前記カテーテルの膨張可能な部材に摺動可能に取り付けられるようになっており,送出カテーテルからの半径方向外向きの力の適用により第1送出径から第2展開径へ独立に膨張可能でかつ塑性変形可能となっており,相互連結部を互い違いにすることによって共通の軸線に略整列するように,互いに連結された複数の円筒形状の要素を有し,該円筒形状の要素は,長手方向軸線に直交して,複数の山谷を含む略波状模様に形成され,前記円筒形状の要素の一端の各連結部は,前記円筒形状の要素の他端の連結部から円周方向にずれており,各円筒形状の要素はその直径より小さい長さを有する,長手方向に可撓性を有するステントからなるステント送出装置。」(2)本件訂正審決による訂正後のもの(下線部分が訂正箇所である。)【請求項1】「送出カテーテルからの半径方向外向きの力の適用により第1送出径から第2展開径へ独立に膨張可能でかつ塑性変形可能となっており,相互連結部を互い違いにすることによって共通の軸線に略整列するように,互いに連結された複数の円筒形状の要素を有し,隣接した円筒形状の要素の間に配置された相互連結部は3つ以上であり,該円筒形状の要素は,長手方向軸線に直交して,複数の山谷を含む閉環状の滑らかな略波状模様に形成され,前記円筒形状の要素の一端の各連結部は,前記円筒形状の要素の他端の連結部から円周方向にずれており,各円筒形状の要素は第1送出径より小さい長さを有することを特徴とする,その長さに沿って,長手方向に可撓性を有するステント。」【請求項2】「円筒形状部材が,膨張の際に第2展開径を維持するようになった請求項1の長手方向に可撓性を有するステント。」【請求項3】削除【請求項6】「相互連結部の円周方向の配置は,均等の大きさである請求項1の長手方向に可撓性を有するステント。」【請求項7】「隣接した円筒形状の要素の間に配置された4つまでの相互連結部がある請求項1の長手方向に可撓性を有するステント。」【請求項8】「前記円筒形状の要素と前記相互連結部は同じ材料で作られている請求項1の長手方向に可撓性を有するステント。」【請求項9】「前記長手方向に可撓性を有するステントは,管の単一片から形成されている請求項8の長手方向の可撓性を有するステント。」【請求項23】「(a)近位端及び遠位端と,該遠位端に膨張可能な部材とを有する細長いステント送出カテーテルと,(b)脈管構造の中の送出のために,前記カテーテルの膨張可能な部材に摺動可能に取り付けられるようになっており,送出カテーテルからの半径方向外向きの力の適用により第1送出径から第2展開径へ独立に膨張可能でかつ塑性変形可能となっており,相互連結部を互い違いにすることによって共通の軸線に略整列するように,互いに連結された複数の円筒形状の要素を有し,隣接した円筒形状の要素の間に配置された相互連結部は3つ以上であり,該円筒形状の要素は,長手方向軸線に直交して,複数の山谷を含む閉環状の滑らかな略波状模様に形成され,前記円筒形状の要素の一端の各連結部は,前記円筒形状の要素の他端の連結部から円周方向にずれており,各円筒形状の要素は第1送出径より小さい長さを有する,その長さに沿って,長手方向に可撓性を有するステントからなるステント送出装置。」3本件審決の理由の要旨本件審決は,訂正請求に係る訂正事項のうち,訂正事項4について,特許請求の範囲の減縮を目的とするものではなく,また,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明を目的とするものではなく,かつ,実質上特許請求の範囲を変更するものであると判断して訂正を認めず,上記2(1)のとおりの特許請求の範囲の記載に基づいて,請求項の番号に従って本件発明1〜3,6〜9及び23を本件発明の要旨として認定した上,引用例記載の発明との対比を行い,本件発明はいずれも引用例記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとして,本件特許を無効とした。
第3原告主張の取消事由本件審決は,本件発明の要旨を上記第2の2(1)のとおり認定し,これに基づき,上記第2の3のとおり,本件特許を無効とすべきであると判断したが,本件訂正審決が確定したことによって,特許請求の範囲が第2の2(2)のように減縮されたから,本件審決は,結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったことになり,取消しを免れない。
第4被告の反論原告の主張は,要するに,平成5年法律第26号による改正前の特許法の下において,無効審決取消訴訟の係属中に当該特許権について特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審決が確定した場合には,当該無効審決は取り消されなければならないとした判例(最高裁第三小法廷判決平成11年3月9日民集53巻3号303頁。以下「平成11年判例」という。)に従い,本件審決は取り消されるべきであるというものである。
しかしながら,そもそも同判例には疑問があるほか,キルビー事件最高裁判決(第三小法廷平成12年4月11日民集54巻4号1368頁)後,特許法104条の3が新設され,特許の無効理由について裁判所で判断することができるようになったことから,平成11年判例の先例的な意義は限定的に解釈されるべきである。また,平成15年特許法改正により,無駄な事件の往復を防ぐために特許法181条2項が新設された後の事件である本件には,同判例の法理を適用すべきではない。さらに,弁論準備手続期日において,原告は訂正に関する主張をしなかったのであるから,原告主張の取消事由は,時機に遅れた攻撃防御方法として却下されるべきである。
第5当裁判所の判断甲第39号証によると,本件訂正審決は,本件訂正審判請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)は特許請求の範囲の減縮(訂正事項1,2,5及び6)又は明りょうでない記載の釈明(同3,4及び7。ただし,訂正事項7については,誤記の訂正を目的とするものでもある。)を目的とするものであるとし,新規事項の追加に該当せず,特許請求の範囲を拡張,変更するものでもないとした上,独立特許要件も満たすとして,本件訂正を認めたものである。
そして,訂正事項1及び2は特許請求の範囲の請求項1,12,17及び23についての訂正であり,上記のとおり,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとされるところ,上記第2の2(1)及び(2)のとおり,請求項2,3,6〜9はいずれも直接又は間接に請求項1の記載を引用するものであることから,請求項1及び23についての本件訂正審決が確定したことにより,本件特許に係る請求項の記載は上記第2の2(2)のとおりとなったのであるから,同第2の2(1)の記載を前提としてされた審決の本件発明の要旨認定は,結果的に誤ったものとなるというべきである。
そうすると,原告主張の取消事由は理由があるから,本件審決は取り消されるべきものであり,本訴請求は理由がある。
被告の主張のうち,平成11年判例に疑問があるとする点及びその先例的な意義を限定的に解釈すべきであるとの点については独自の見解であり,採用することはできない。また,特許法181条2項は,審決取消訴訟の提起後に特許権者が当該訴えに係る特許について訂正審判を請求し,又は請求しようとしていることにより,当該特許を無効にすることについて特許無効審判においてさらに審理させることが相当であると判断した場合に,決定をもって,事件を特許庁に差し戻すことができることを定めた規定であり,訂正が確定したことにより,結果的に審決の前提とする発明の要旨認定が誤りであることに帰した場合に,特許庁における手続を経ることなく,裁判所において,訂正後の特許請求の範囲の記載に基づいて発明の要旨を認定し,特許の無効理由の有無について審理すべきことを定めた規定ではないから,被告の主張を採用することはできない。さらに,被告は,取消事由の主張は時機に遅れた主張である旨主張するところ,本訴の弁論準備手続が平成19年9月11日の期日に終結したことは記録上明らかであり,そして,本件訂正審決が同月14日にされたことは前記第2の1(2)のとおりであるから,原告において上記弁論準備手続において取消事由の主張をすることは不可能であり,原告の取消事由の主張を,時機に遅れた攻撃防御方法として却下することはできない。
よって,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 田中信義
裁判官 石原直樹
裁判官 杜下弘記
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