関連審決 | 無効2006-89028 |
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関連ワード | 指定商品 / 指定役務 / 公序良俗(4条1項7号) / 4条1項19号 / 立体的形状 / 先使用(32条) / 観念(観念類似) / 国内 / 補正 / 無効審判 / 外国 / |
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事件 |
平成
19年
(行ケ)
10303号
審決取消請求事件
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原告X 被告株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 訴訟代理人弁護 士大野聖二 訴訟代理人弁理 士中村仁 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2008/01/31 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1原告の請求を棄却する。 2訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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請求
特許庁が無効2006-89028号事件について平成19年7月24日にした審決を取り消す。 |
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前提事実(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実である。)
1 特許庁における手続の経緯等(1) 特許庁における手続の経緯ア被告は,平成13年9月17日,商標登録出願(商願2001-83974号)をし,平成14年9月6日,「iモード」の標準文字の商標につき,指定役務を第38類「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」として,特許庁から,商標権の設定登録(商標登録第4602351号)を受けた(甲3。以下,この登録商標を「本件商標」という。)。 イこれに対し原告は,平成18年3月13日,本件商標に係る指定商品中,第38類「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」についての商標登録(以下「本件商標登録」という。)の無効審判請求(無効2006-89028号事件)をし,特許庁は,平成19年7月24日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「審決」という。)をし,その謄本は同年8月2日原告に送達された。 (2) 原告の有する特許権ところで,原告は,発明の名称を「数字キーのみを用いて総ての文字・記号を入力することが可能な入力装置とそれを用いたフィルム描写装置」とする特許(特許第3611580号)についての特許権(出願日・平成8年2月26日,優先日・平成7年4月21日,登録日・平成16年10月29日。甲1の1)及び発明の名称を「INPUT DEVICE TOINPUTCHARACTERS AND SYMBOLS FOR RECORDING CHARACTERS AND SYMBOLS ON A FILM」とする米国特許(米国特許第6,097,990号)についての特許権(出願日・1996年(平成8年)2月26日,優先日・1995年(平成7年)4月21日,登録日・2000年(平成12年)8月1日。甲10,11)を有している(以下,これらの特許権を併せて「本件各特許権」という。)。 2 審決の理由別紙審決書の写し記載のとおりである。すなわち,本件商標は,第38類「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」を指定役務として,「iモード」の文字を標準文字で表してなる商標であるとした上で,?@本件商標を付した携帯電話の構成要素及び実施形態は,原告の有する本件各特許権を侵害しているので,商標法29条1項(判決注・「商標法29条」の趣旨)に該当するとの無効理由による本件審判請求は,商標法46条1項各号に列挙された事由以外の事由による不適法な請求であって,補正することができないので,却下すべきである,?A本件商標は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)には該当しない,?B本件商標は商標法4条1項19号に該当するとの原告の主張は,新たに無効理由を追加し,請求の理由の要旨を変更するものであるから,商標法56条1項で準用する特許法131条の2第1項により認められないので,本件商標登録は,商標法46条1項の規定により無効とすることはできない,というものである。 |
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当事者の主張
原告主張の審決の取消事由は,訴状の「請求の原因」の3の(8)(8頁末行〜10頁末行)に記載されているとおりである(該当部分を判決末尾に別紙「原告の主張」として添付する。)。 これに対し,被告は,本件商標が商標法4条1項7号に該当するかどうかは,本件商標が使用される対象の移動体電話(「iモード対応」端末)により判断されるべきでなく,本件商標の構成のみによって判断されるべきであるから,審決に誤りはないとして,原告の主張を否認した。 |
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当裁判所の判断
1 審決の取消事由の有無別紙「原告の主張」によれば,原告は,審決には,本件商標の商標法4条1項7号該当性等の判断の誤りがあることなどを取消事由として主張しているものと解される。しかし,当裁判所は,以下のとおりの理由により,原告主張に係る取消事由はいずれも失当であると判断する。 (1) 商標法4条1項7号該当性について原告の主張は必ずしも明らかではないが,原告は,「iモード」の標章を使用して,対応端末「デジタル・ムーバーF501iHYPER」を発売したり,同対応端末の画面操作やインターネットを介してメールの交換等をさせたりする被告の行為が原告の有する本件各特許権を侵害することになるので,本件商標は,「他の法律によって,その使用等が禁止されている商標」,「一般に国際信義に反する商標」,「構成自体に問題がなくても,指定商品について使用することが社会公共の利益や一般的道徳観念に反することとなる商標」として,商標法4条1項7号に規定する「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するから,本件商標登録には無効理由があると主張しているものと解される。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 すなわち,商標が商標法4条1項7号に該当するかどうかは,特段の事情のない限り,当該商標の構成を基礎として判断されるべきものであり,指定商品又は指定役務についての当該商標の使用態様が他人の権利を侵害するか否かを含めて判断されるべきものではない(立体的形状の商標の使用が他人の物の発明に係る特許権や他人の意匠権に抵触する場合などにおいても,立体的形状自体が商標を構成するから,商標の構成のみによって判断されるべき場合の例外には該当しない。)。特に,商標法29条において,商標権者による登録商標の使用が,その使用の態様により出願日前の出願に係る他人の特許権等と抵触するときには,指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができないと定められ,知的財産権相互の調整が図られていること等に照らすならば,指定商品又は指定役務についての商標の使用態様によって他人の特許権等を侵害することがあったとしても,すなわち,そのような使用がされたり,あるいはそのような使用がされる事態が想定される状況等があったとしても,そのことから直ちに当該商標が,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するものと判断すべきではないといえる。 本件においてこれをみると,本件商標は,「iモード」を標準文字で表す構成からなる典型的な文字商標であって,本件商標の構成・内容から,他人の特許権等を侵害するものということはできない。そうすると,原告主張に係る本件商標の使用が原告の有する本件各特許権に抵触するという理由をもって,本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するということはできず,この点の原告の主張は失当である。 (2) 原告のその他の主張についてア 商標法4条1項19号に該当するとの取消事由について審決は,原告が弁駁書で,本件商標は,商標法4条1項19号に該当する無効理由があると主張した点が,新たな無効理由の追加であり,請求の要旨の変更に当たるとして,商標法56条1項で準用する特許法131条の2第1項に違反すると判断した。しかし,本件のように,その主張に係る基礎的事実を何ら変更,追加することなく,単にその無効理由の根拠条項を明らかした場合にも,新たな無効理由の追加であるとして,審判の対象を細分化し,原告の主張の当否に関する判断を行わなかった審理運営のあり方に妥当を欠く点がなかったかについては疑問がある(このような審理は,審決により確定する効力の範囲を著しく狭くする結果を招く。)。 しかし,その点はさておくとして,別紙「原告の主張」を勘案しても,原告は,「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標」(商標法4条1項19号)が存在する事実を何ら主張,立証していないから,同号の取消事由に係る原告の主張はそれ自体失当であることは明らかである。 イ 本件商標の構成要素の認定の誤りについて原告は,本件商標の構成要素は,「iモード」の標準文字そのもののみではなく,移動体電話(「iモード」対応端末。例えば,デジタル・ムーバーF501iHYPER)から直接インターネットに接続してメールのやり取り等ができることをも含めて構成として認定すべきであるにもかかわらず,審決が,「本件商標は,「iモード」の文字を標準文字で表してなる」と認定したのは誤りである旨主張する。 原告の主張は,審決の取消理由との関係が必ずしも明らかではないが,商標とは,「文字,図形,記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」(商標法2条1項柱書)であって,その使用態様を含めて商標の構成要素ないし内容を判断すべきでないことは規定上明らかである(なお,この点は,商標の登録要件の有無の判断において,指定商品又は指定役務との関係が考慮されるべきであることを否定するものではない。)。 そして,前記第2の1(1)アによれば,本件商標は,「iモード」の標準文字で構成されるから,審決の本件商標の構成要素の認定の誤りをいう原告の主張は,理由がない。 (3) 小括その他,原告は縷々取消事由を主張するがいずれも理由がなく,原告の主張は失当である。 2 結論以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。よって,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 |
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追加 | |
(別紙)「原告の主張」(1)取消理由1「まず,当事者間で請求の利益について争いがあるも,一概に請求の利益がないとも断定できないので,以下,本案に入って審理する。」について一部認め,他は否認する。 甲第1号証から甲第108号証の提出した書類を審理して頂きたい,商標法第29条(他人の特許権等との関係)(先使用による商標の使用をする権利),特許権侵害(米国及び日本国),商標法第4条第1項第7号(他の法律によって,その使用等が禁止されている商標,一般に国際信義に反する商標),商標法第4条第1項第19号について争う。 (2)取消理由2「商標登録無効審判における無効理由は,商標法第46条で規定されているとおり,原則として法廷列挙主義をとっている。すなわち,第46条の規定で列挙された事由以外の事由によっては無効審判を請求することができないものである。 そうとすれば,商標法第29条第1項に該当するとした無効理由による本件審判請求は,不適法な請求であり,補正することができないものであるから,却下すべきものである。」について否認する。認定の誤りである。 商標法第29条(他人の特許権等との関係)(先使用による商標の使用をする権利)特許権侵害(米国及び日本国),商標法第4条第1項第7号(他の法律によって,その使用等が禁止されている商標,一般に国際信義に反する商標),商標法第4条第1項第19号について争う。 (3)取消理由3「本件商標は,上記第1のとおりの構成よりなるものであるから,上述したように商標に当たらないことは明らかである。」について否認する。認定の誤りである。 本件商標である「iモード」の構成要素とは,「iモード」の標準文字そのものではなく,移動体電話(「iモード」対応端末)例えば「iモード」対応初号機デジタル・ムーバーF501iHYPERから直接,インターネットに接続してメールのやり取り等ができる構成の事であって,「iモード」の標準文字のみの意味ではない。したがって移動体電話(「iモード」対応端末)が無ければ成り立たない。 原告は,本件商標である「iモード」の文字を付した携帯電話の構成要素及び実施形態の解釈の相違について争う。 甲第4号証及び甲第7号証,1999年1月22日「iモード」のサービス開始及び対応端末「デジタル・ムーバーF501iHYPER」の発売。NTTドコモ製品「iモード」対応初号「iモード」対応端末「デジタル・ムーバーF501iHYPER」の画面操作で直接,インターネットに接続してメールのやり取り等ができる構成要素及び実施形態の事である。 特許権侵害(米国及び日本国),商標法第4条第1項第7号(他の法律によって,その使用等が禁止されている商標,一般に国際信義に反する商標,構成自体に問題がなくても,指定商品について使用することが社会公共の利益や一般的道徳観念に反することとなる商標,)商標法第4条第1項第19号について争う。 (4)取消理由4「請求人は,弁駁書において,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当すると主張しているが,これは新たに無効理由を追加し,請求の理由の要旨を変更するものであるから,商標法第56条第1項で準用する特許法第131条の2第1項により認められない。」について否認する。認定の誤りである。 特許権侵害(米国及び日本国),商標法第4条第1項第7号(他の法律によって,その使用等が禁止されている商標,一般に国際信義に反する商標)商標法第4条第1項第19号について争う。 |
裁判長裁判官 | 飯村敏明 |
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裁判官 | 大鷹一郎 |
裁判官 | 嶋末和秀 |