関連ワード | 差止 / |
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事件 |
平成
16年
(ネ)
3655号
損害賠償等請求控訴事件
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控訴人 キタムラ機械株式会社 訴訟代理人弁護士 升永英俊 訴訟復代理人弁護士 野木正彦 被控訴人 株式会社北村製作所 訴訟代理人弁護士 木下健治 補佐人弁理士 唐木浄治 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2004/12/15 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
本件控訴を棄却する。 当審における控訴人の追加請求を棄却する。 控訴費用(当審における追加請求につき生じたものを含む。)は控訴人の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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控訴人の求めた裁判
1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人に対し,3億9300万円及びこれに対する平成15年5月23日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え(当審における追加請求を含む。)。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 4 2,3につき仮執行の宣言 |
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事案の概要
1 手続の経緯 (1) 控訴人は,原審において,被控訴人が被控訴人標章(原判決別紙「被告標章目録」1ないし6記載の各標章)を使用したことについて,(ア) 主位的に,本件合意(原判決別紙「本件合意内容」)に違反すると主張して,「乙(被控訴人)は,本件商標(商標「KITAMURA」)及びこれに類似する標章を,日本国その他一切の国及び地域において,今後一切使用しない。」(2条),「乙(被控訴人)は,本合意に反して,乙(被控訴人)の取り扱い製品について本件標章又はこれに類似する標章を使用した場合(乙(被控訴人)の製品を販売する業者が使用した場合を含む。),甲(控訴人)に対して違反行為ごとに違約金100万円を支払う。」(7条)との合意に基づき,被控訴人標章の使用の差止め,違約金9億8400万円のうち3億6000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成15年5月23日)から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,(イ) 予備的に,不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為に当たると主張して,同法3条,5条に基づき,被控訴人標章の使用の差止め,損害として2億5766万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成15年5月23日)から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (2) 原判決は,(ア) 主位的請求について,被控訴人標章1,3ないし6は本件合意の「本件標章又はこれに類似する標章」に該当しない,被控訴人標章2は本件合意の「本件標章又はこれに類似する標章」に該当するが,被控訴人が本件合意締結後にこれを使用したことは認められないと判示し,また,(イ) 予備的請求について,被控訴人標章1,3,4及び6は周知の控訴人使用標章(原判決別紙「原告商標目録」3記載の標章)に類似しない,被控訴人標章2及び5は周知の控訴人使用標章に類似するが,被控訴人が本件合意締結後にこれを使用したことは認められないと判示して,控訴人の請求をいずれも棄却した。 (3) 控訴人は,原判決が,主位的請求のうち被控訴人標章2に係る違約金支払請求を棄却したことを不服として控訴し,さらに,当審において,金額を3億9300万円に拡張するとともに,遅延損害金の割合を商事法定利率の年6分に拡張した。 2 争いのない事実,争点等 争いのない事実及び争点は,原判決の「第2 事案の概要等」の「1 争いのない事実」及び「3 本件の争点」に記載のとおりであり,また,争点に関する当事者の主張は,原判決の「第3 争点に関する当事者の主張」に記載のとおりであるから,これを引用する。 |
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当裁判所の判断(当審における控訴人の主張を含む。)
1 当裁判所も,被控訴人標章2に係る違約金の支払請求は,理由がないものと判断する。その理由は,2において,当審における控訴人の主張とこれに対する判断を付加するほかは,原判決の「第4 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 当審における控訴人の主張とこれに対する判断 (1) 控訴人は,平成15年7月に,被控訴人の販売代理店である株式会社兼松KGK金沢営業所が,控訴人の取引先である山崎機工株式会社の依頼に応じて,被控訴人製品のカタログ(総合カタログ(甲40),KNC-20F(甲41),KNC-30FA/30FP(甲42)及びTX80(甲43))を提供したことがあるから,このことに照らすと,被控訴人は,本件合意締結後の平成12年2月から平成15年3月までの間に,上記カタログに記載された被控訴人製品を,少なくとも393台販売した,と主張する。 (2) しかし,仮に被控訴人の販売代理店が控訴人の取引先に被控訴人製品のカタログを提供したことがあったと認められるとしても,このことから,直ちに,被控訴人が上記カタログに記載された被控訴人製品を少なくとも393台販売したことを認めるには足りない。 (3) また,甲103,乙23の1ないし3及び弁論の全趣旨によれば,(ア) 控訴人の取引先である山崎機工株式会社高岡営業所のAは,平成15年7月20日過ぎころ,控訴人の専務取締役であるBから,被控訴人のKNC-20G,KNC-30FA,TX70及びTX80のカタログと価格を提示してほしいと依頼され,その翌日,株式会社兼松KGK金沢営業所のCに電話して,上記4種類のカタログの送付と価格の見積もりを依頼した,(イ) Cは,自社にカタログがなかったので,直接被控訴人に電話して,カタログの送付を依頼し,その後,被控訴人から郵送されてきたカタログを,さらにAに郵送した,(ウ) Aは,同月末か翌月初めに,郵送されたカタログを受け取り,カタログが総合カタログとKNC-20F,KNC-30FA/30FP及びTX80の製品カタログであることを確認して,その翌日,これをBに手渡した,(エ) Cは,被控訴人に電話して,被控訴人のKNC-20G,KNC-30FA,TX80及びTX75の価格と仕切価格,納期等を教えてもらい,同年8月7日,ファクシミリ連絡書(甲47)を作成して,ファクシミリでこれをAに送付した,(オ) Aは,ファクシミリ連絡書の送付を受け取り,当日,ファクシミリにより,これをさらにBに送付した,との事実が認められる。 そして,控訴人は,上記カタログが,甲40ないし43であると主張する。しかし,上記カタログが甲40ないし43であることについては,Aの陳述書(甲103)のほかに,的確な証拠はなく,Aの陳述書の信憑性については慎重に検討せざるを得ない。まず,上記認定事実によれば,Aが依頼したのはKNC-20G,KNC-30FA,TX70及びTX80であるのに対し,郵送されたカタログは総合カタログとKNC-20F,KNC-30FA/30FP及びTX80の製品カタログであり,価格が提示されたのはKNC-20G,KNC-30FA,TX80及びTX75であって,いずれも齟齬しているのであるが,証拠上,AがこれについてCに疑義を質したり,依頼したカタログの再送付を依頼したりした形跡は認められない。また,乙23の4によれば,被控訴人は,平成15年3月にKNC-20Fの型式をKNC-20Gに変更したことが認められるところ,被控訴人が,KNC-20Gのカタログの送付を依頼されていながら,あえて変更前の型式のKNC-20Fのカタログを送付するとは通常考え難い(同様に,被控訴人が,TX70のカタログの送付を依頼されていながら,その送付をしないというのも考え難い。)。さらに,控訴人が本件訴えを提起したのは平成15年5月7日であり,BがAに被控訴人製品のカタログと価格の提示を依頼したのは,上記認定のとおり同年7月20日過ぎころというのであるから,取引の一環としてではなく,本訴の証拠の収集を目的としたものと疑われても仕方がないと考えられるところ,控訴人が当時このほかにも種々の手段を講じて被控訴人製品のカタログを入手しようとしていたであろうことも,当然に疑われることは避けられないのであるから,控訴人としては,甲40ないし43を可及的速やかに書証として提出するとともに,併せてその入手経路についても遅滞なく具体的に主張立証すべきものであった。しかるに,控訴人は,平成15年9月4日の原審における弁論準備手続期日に甲40ないし43を提出していながら(同号証を含む書証の証拠説明書の提出日は同年8月29日),「最近原告が新たに入手した」(同日付け原告準備書面(3)12頁)としただけで,その入手経路等について具体的で明確な釈明をせず,本件合意書7条に違反する事実があったことについて主張も立証もしなかったところ,当審に至ってようやく上記のような入手経路等を主張し,甲103を提出するようになったのである。以上のような事情を併せ考えると,Aの前記陳述書(甲103)は,にわかに採用することができない。 そうであってみれば,被控訴人あるいはその販売代理店である株式会社兼松KGKが,平成15年7月に,甲40ないし43を提供したとの控訴人の主張については,証拠上これを認めることはできないものといわざるを得ない。 (4) したがって,当審における控訴人の上記主張は,採用することができない。 |
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結論
以上のとおり,被控訴人標章2に係る違約金の支払請求は理由がなく,本件控訴は理由がないから,これを棄却すべきであり,また,当審における控訴人の追加請求は理由がないから,これを棄却すべきである。 |
裁判長裁判官 | 塚原朋一 |
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裁判官 | 塩月秀平 |
裁判官 | 野輝久 |