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関連審決 取消2006-31210
関連ワード 独占的使用 /  包装 /  指定商品 /  商標の同一性 /  通常使用権 /  国内 /  共有 / 
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事件 平成 19年 (行ケ) 10394号 審決取消請求事件
原告株 式会社ワンズハート
被告Y
訴訟代理人弁理 士高良尚志
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2008/06/24
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が取消2006-31210号事件について平成19年10月15日にした審決を取り消す。
第2争いのない事実等(証拠を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。)1 特許庁における手続の経緯(1)原告及び訴外K(以下「K」という。)は,「マイクロクロス」の文字を標準文字で書してなり,指定商品を第24類「織物(畳べり地を除く。),畳べり地,メリヤス生地,フェルト及び不織布,タオルその他の布製身の回り品,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,布製ラベル」とする,登録第4706725号の商標(平成14年10月30日登録出願,平成15年9月5日設定登録。以下「本件商標」という。)に係る商標権(以下「本件商標権」という。)の共有者であった(甲20,21)。
(2)被告は,平成18年9月26日,本件商標の指定商品中「ふきん」について登録の取消しを求める商標法50条に基づく審判を請求し(取消2006-31210号事件,以下「本件審判」という。),同請求は,同年10月18日,登録された(以下「本件予告登録」という。甲20)。
(3)その後,平成19年2月6日に,本件商標権中,Kの持分が原告に移転された旨の登録がされた(甲20)。
(4)特許庁は,平成19年10月15日,「登録第4706725号商標の指定商品中『ふきん』については,その登録は取り消す。」との審決(以下「審決」という。)をし,同月25日,その謄本を原告に送達した。
2 審決の理由別紙審決書写しのとおりである。要するに,審決は,以下のとおり,本件商標の通常使用権者である訴外株式会社マイクロクロス社(以下「マイクロクロス社」という。)が使用したと主張する商品(以下「使用商品」という。)は,指定商品「ふきん」に該当するとはいえないと判断した。
(1)原告(被請求人)がマイクロクロス社の業務に係るものと主張する使用商品(甲10〔審決における乙5〕,枝番号の表記は省略する,以下同じ。)の包装袋(以下「本件包装袋」という。甲9〔審決における乙4〕)の表面には,看者の注意を強く引く態様で「食器類のふきんに最適」などと記載されているものの,本件包装袋の裏面の「ご使用用途」にふきんについての記載がないことからすると,本件包装袋の表面の上記記載は極めて不自然である。
本件包装袋の裏面には,「洗剤いらず水でサッと拭くだけ」と記載されているが,一般に,ふきんは,洗剤も水もつけず,乾いた状態で食器類を拭くものであって,食器類の汚れを落とすものではないこと,ふきんの材質は,吸水性があり,手や器になじむしなやかさのあるものが使いやすさの点から求められるところ,使用商品の材質は,ポリエステル70%,ナイロン30%であって,吸水性があり,手や器になじむしなやかさのある材質とは言い難いこと,及び,本件包装袋の裏面のその余の記載に照らし,使用商品はふきんに最適であるとは到底認められない。
したがって,本件包装袋の表面に「ふきん」の文字が表示されているとしても,これのみをもってしては,使用商品が本件審判請求に係る指定商品に該当するということはできない。
(2)甲9〔審決における乙4〕には,発行年月日の記載がなく,いつ使用されたのか不明である。また,甲8,11,13〔審決における乙3,6,8〕は,マイクロクロス社に対する依頼書,発注書であるが,作成者が明示されておらず,また,甲12,14〔審決における乙7,9〕は,マイクロクロス社の納品書であるが,納品先が明示されていない上,これらの書証には,本件審判請求に係る指定商品についての記載が一切ない。
当事者の主張
1 取消事由についての原告の主張本件商標は,本件予告登録前3年以内に日本国内において,本件審判請求に係る指定商品「ふきん」について,通常使用権者及び商標権者が,その使用をしていた。したがって,指定商品「ふきん」に使用した事実が証明されていないとした審決は誤りであり,取り消されるべきである。
(1) 取消事由1(マイクロクロス社による使用)ア審決は,「ふきん」の一般的な用途,性質,大きさ,材料などと対比して,使用商品が,指定商品「ふきん」に用いられているとの原告の主張は不自然であると判断した。すなわち,「ふきん」は,一般に,「食器をふいたり,食物を濾(こ)したり,あるいは蒸すときなどに用いる布。普通食卓や調理台をふく台ぶきんとは区別している」,「洗剤も水もつけず,乾いた状態で食器類を拭くものであるし,食器類の汚れを落とすものではない。」,「大きさは35センチ×45センチのものが一般的で,材質には木綿のほかに麻,混紡(綿と麻,綿とレーヨン,綿とポリージック),不織布,使い捨てのペーパータオルなどもある。吸水性があってけば立たず,手や器によくなじむしなやかさのあるもの,また乾きやすくてじょうぶなもの」,「材質は,吸水性があり,手や器になじむしなやかさのあるものが使いやすさの点から求められる」などの特徴を有しているから,使用商品が「ふきん」に該当するとはいえないと判断した。
しかし,審決の上記判断は,以下のとおり誤りである。
すなわち,?@食物を濾すという行為は調理の際に行う動作であり,これに用いる布は,主に「ガーゼ」,「さらし」,「麻」と表記されており,また,今日では濾し器も販売されているから,食物を濾す際にふきんを使用するというのは,一般的ではない,?A「ふきん」の大きさについて規格があるわけではなく,どのような大きさの商品を製造販売するかは,当該製造者の判断によるものであって,市場では様々な製造者により多種多様な大きさのふきんが販売されている,?B「ふきん」の材料としては,「綿と麻」,「綿とレーヨン」,「綿とポリージック」などの混紡に限られず,使用商品に用いられているマイクロファイバーも用いられ,また,市場で販売されている「ふきん」の素材には,ポリエステル70%,ナイロン30%のものや,ポリエステル80%,ナイロン20%のものがある。
これに対して,使用商品は,ポリエステル70%,ナイロン30%という素材で単純に構成されているものではなく,超極細繊維(マイクロファイバー,1本の太さが1デニール以下〔髪の毛の100分の1〕)からなるものであって,従来の製品と比べ,水分を数倍以上吸収するものであるから(甲19),食器類をから拭きする場合により高い効果を発揮するものであり,しなやかで,速乾性に優れ,超極細繊維(マイクロファイバー)を用いているため,原糸が切れにくく,食器等をから拭きする場合,けば立たず,きれいに拭くことができるし,洗剤を使用せず,クスミや曇りを取り除くことができ,環境にやさしいという特徴がある。
したがって,「ふきん」の一般的な用途,性質等から,使用商品が「ふきん」に含まれないとした審決には誤りがある。
イ審決は,使用商品において,その包装袋の裏面の「ご使用用途」にふきんについての記載がないにもかかわらず,表面には,看者の注意を強く引く態様で「食器類のふきんに最適」などと記載されている点において不自然であると判断している。
しかし,審決の上記判断は,以下のとおり誤りである。
(ア)台所,窓ガラス,家具,浴室,床,網戸等の汚れを拭き取るための「雑巾」として用いられる商品について,食器類の「ふきん」にも最適であると表示することが,不自然であるとはいえない。
また,使用商品において,本件包装袋の表面に貼り付けられた赤地楕円片の「食器類のふきん」との記載も,以下の事情に照らすならば,何ら不自然な点はない。すなわち,使用商品の納品先は住宅販売の大手企業であり,マイクロクロス社は,住宅全般(キッチン周りを含む。)に使用できるような説明表記とすることを求められたことから,その意向に添って本件包装袋の表記・図案を作成した。その後,上記納品先が,その顧客から,グラスを拭くととてもきれいになるという指摘を受けたことから,食器拭きであることをわかりやすくするために,赤地楕円片を貼付し,納品するようにしたとの事情がある。
なお,本件包装袋の裏面に,「漆製品等にはご使用にならないで下さい。表面にキズが付く場合があります。」という記載があるのは,食器を拭く「ふきん」として使用することを想定したものである。
(イ)被告は,甲4に,「ハイテク繊維の力で水拭きだけで汚れを落とす便利なダスターです。カラ拭きでも使えます。洗って繰り返し使えます。」と記載されていることから,本件商品は,ダスター,すなわち「雑巾」であり,「ふきん」ではないと主張する。しかし,甲4は,使用商品の納品先が作成したものであって,マイクロクロス社が作成したものではない。甲9には,「ダスター」あるいは「雑巾」の文字は記載されていない。
ウ審決は,甲9〔審決における乙4〕には,発行年月日の記載がなく,いつ使用されたのか不明であり,また,甲8,11,13〔審決における乙3,6,8〕は,マイクロクロス社に対する依頼書,発注書であるが,作成者が明示されておらず,また,甲12,14〔審決における乙7,9〕は,マイクロクロス社の納品書であるが,納品先が明示されていない上,これらの書証には,本件審判請求に係る指定商品についての記載が一切ないことを,指摘する。
しかし,市場で販売されているキッチン用品及び日用雑貨品のパッケージに製造年月日や発行年月日を記載した商品はなく,そのような記載をする義務はない。また,発注書・納品書における取引先の名称をマスキングしたのは,マスキングした提出も可能であるとの審判官の回答に従って提出したためである。
(2) 取消事由2(原告による使用)原告は,以下のとおり,原告の業務に係る商品(キッチン用ふきん,以下「原告商品」という。)を訴外株式会社創和(以下「創和」という。)及び訴外朝日エムイー株式会社(以下「朝日エムイー」という。)に販売するに際し,原告商品の包装袋(以下,創和に対し納品したとされるものを「原告(創和)包装袋」,朝日エムイーに対し納品したとされるものを「原告(朝日エムイー)包装袋」とそれぞれいい,これを併せて「原告包装袋」という。)等に本件商標を付し,これ販売することにより,指定商品「ふきん」について本件商標を使用した。
ア 原告商品原告商品は,サイズが30cm×30cm,カラーがホワイトである(甲30〜36)。原告包装袋には,表面には,「マイクロクロス」,「キッチン用ふきん」と表示され,裏面には,「ふきんの特長」として,「キッチンでお使いのグラス・お皿などを拭くのに最適です」,「マイクロクロスは,けば立ちなくガラス等の食器を拭き取ります」,「マイクロクロスは吸水性に優れており,従来の綿素材と比べ,水分を素早く吸収します」などと記載され,また,「ご使用用途」として,「グラス・食器・調理器具等のから拭き」などと記載されている(甲30,33)。
イ 創和に対する原告商品の販売原告は,平成15年10月9日,創和に対し,本件商標を付した原告商品(数量5万個)を納品するとともに,代金1250万円を請求し(甲31,32),その際,創和から上記代金のうち,715万1250円の支払を現金で受け,同年11月20日,約束手形(振出人:創和,支払日:平成16年3月31日)により,600万円の支払を受けたが,上記約束手形は不渡りとなって,平成16年3月31日に返還された(甲37)。
ウ 朝日エムイーに対する原告商品の販売原告は,平成16年9月25日,朝日エムイーに対し,本件商標を付した原告商品(数量2万個)を納品するとともに,代金532万8750円を請求し(甲34,35),その際,朝日エムイーから上記代金のうち,232万8750円の支払を現金で受け,同年10月20日,約束手形(振出人:朝日エムイー,支払日:平成17年4月25日)により,300万円の支払を受けたが,上記約束手形は不渡りとなって,平成17年4月26日に返還された(甲38)。
2 被告の反論(1) 取消事由1(マイクロクロス社による使用)に対し以下のとおり,使用商品が指定商品「ふきん」に該当しないとした審決の認定判断に誤りはなく,マイクロクロス社が使用商品を販売することにより,本件審判における被告請求に係る指定商品「ふきん」について本件商標を使用したということはできない。
ア原告は,審決が「ふきん」の一般的な用途,性質,大きさ,材料などと対比して,使用商品が指定商品「ふきん」に該当しないとした判断に誤りがあると主張する。
しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。
(ア)審決は,使用商品が「ふきん」に該当しないと認定した理由として,?@本件包装袋の表面に「食器類のふきんに最適」などと記載された赤地楕円片が貼付されている点が,本件包装袋の裏面における用途の記載に照らし,極めて不自然であること,?A本件包装袋の裏面に記載された「洗剤いらず水でサッと拭くだけ」等の文言からみても,使用商品が「ふきん」に最適であるとは認められないことを挙げており,上記?@及び?Aの理由は,使用商品の材質自体が「ふきん」として使用可能なものであるか否かに左右されるものではない。
また,使用商品が水分を3倍以上吸収するものであり,しなやかであるなどの特徴を有していたとしても,使用商品が,「ふきん」(すなわち,「食器をふいたり,食物を濾(こ)したり,あるいは蒸すときなどに用いる布」)として,最適であるか否かは明らかでない。
(イ)なお,商品及び役務の区分における各区分に属する商品又は役務は,標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する1957年6月15日のニース協定第1条に規定する国際分類に即して(商標法施行令〔平成18年政令第342号による改正前のもの。以下,単に「商標法施行令」という。〕1条),商標法施行規則(平成18年経済産業省令第95号による改正前のもの。以下,単に「商標法施行規則」という。)別表に定められており(商標法施行規則6条),国際分類(第8版)の第21類に属する「清浄用具」は,商品及び役務の区分第21類の「清掃用具及び洗濯用具」に対応し,同区分第24類の「ふきん」は,上記国際分類の第24類の商品中,「織物及び織物製品であって他の類に属しないもの」に対応する(乙1)。
本件審判請求に係る指定商品「ふきん」についても,上記と同趣旨に理解すべきである。
イ原告は,本件包装袋の図案・表記は住宅販売の大手企業である納品先の意向に沿ったものであり,その後,納品先の顧客から評価された食器拭きとしてわかりやすくするために赤地楕円片を包装袋表面に貼り付け納品したのであり,赤地楕円片を貼り付けたのは納品先の依頼に基づくものであると主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
(ア)使用商品の納品先と思われるダイワハウスグループのロイヤルホームセンター株式会社(以下「ロイヤルホームセンター」という。)の取り扱いに係る住宅用清掃用具セット「ハウスキーピングセット」に関する,次の事実とも整合しない。
「ハウスキーピングセット」は,平成19年2月22日の時点では,甲3の包装袋(以下「他社包装袋」という。)に包装された布製品(以下「他社商品」という。)を蓋の前部に青字で「ダイワハウス」と記載されたバケツ(甲17)に収容していたが,同日より前は,他社商品を蓋の前部に赤字でダイワハウスと記載されたバケツ(甲2)に収容しており,それよりさらに前には,使用商品を収容していた。その当時,マイクロクロス社から納品された使用商品の包装袋は,本件包装袋から赤地楕円片を除去したものであり,他社包装袋とは,「ROYALCLOTH」ではなく「MICROCLOTH」と,「ロイヤルクロス」ではなく「マイクロクロス」と記載されている点,「DaiwaHouseGroup」の表示がなかった点で相違する。また,使用商品は,他社商品とは,タグに「ROYALCLOTH」ではなく「MICROCLOTH」と記載されている点,「DaiwaHouseGroup」の表示がなかった点で相違する。
原告の主張によれば,納品先の意向に沿って作成された上記包装袋(本件包装袋から赤地楕円片を除去したもの)に,納品先の依頼により,「食器類のふきんに最適」との記載のある赤地楕円片を貼り付けたことになるが,他社包装袋に「食器類のふきんに最適」であるとの表示がなされていないことと整合しない。
(イ)原告は,本件包装袋の裏面に「漆製品等にはご使用にならないで下さい。表面にキズが付く場合があります。」と記載されているのは,使用商品について,食器を拭く「ふきん」として使用することを想定していたからであると主張する。
しかし,漆製品としては,椀等の食器の他に「家具」があり,本件包装袋の裏面の用途として,「家具」は明記されているが,食器はどこにも記載されていないこと,本件包装袋の裏面の記載は,一貫して,台所,家具,窓ガラス,床,浴槽等の汚れを落とすことが目的とされていることからすれば,原告の上記主張は失当である。
(2) 取消事由2(原告による使用)に対し原告は,本件商標の商標権者である原告が,原告商品を創和及び朝日エムイーに販売することにより,本件商標を使用した旨主張し,当該事実を証明するものとして,甲30ないし36を挙げる。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は,本訴の第2回口頭弁論において突如なされたものであって,従前の主張と整合しない不自然な主張であること,甲30ないし36は,原告が作成したものか,原告商品に係る取引との関連性が明らかでないものであって,いずれも客観性を欠く証拠であることからすれば,本件予告登録前3年以内に日本国内で商標権者により本件商標の使用がなされていたことは,証明されていない。
ア 主張時期等の不自然さについて(ア)原告は,原告商品の写真や同商品に関する取引書類等について,いつでも書証として提出することができたはずである。しかるに,原告は,本件商標の使用に関し,審判手続の段階から本訴の第1回口頭弁論に至るまで,専らマイクロクロス社の業務に係る使用商品について主張し,原告商品の存在を主張していなかったにもかかわらず,本訴の第2回口頭弁論において,原告自らの業務に係る原告商品が存在する旨を主張した。同主張は,その主張内容及び時期において極めて不自然である。
(イ)原告が本件審判の手続においてした主張及び提出した書証によれば,平成15年6月24日以降,使用商品に関する業務は,原告ではなく,マイクロクロス社が行うようになり(乙2),原告は,平成15年11月14日には,本件商標の使用について,マイクロクロス社に独占的な権限を付与したものであって(甲6,15),使用表品に関する取引書類(甲8,11〜14)にも,原告の名称は記載されておらず,専らマイクロクロス社が記載されている。
イ 原告商品の包装形態,取引態様の不自然さについて(ア) 原告商品の包装形態についてa被告は,本件審判の手続において,使用商品について,次の3点を指摘した。すなわち,?@使用商品のタグ及び本件包装袋に表示された「MICROCLOTH」の商標(以下「使用商標」という。)と本件商標とは同一でないこと,また,本件包装袋の裏面の「マイクロクロス」の文字は,商標として使用されているものではないこと,?A本件包装袋には,表面に貼り付けられた赤地楕円片を除き,ふきんに関する記載は一切ないこと,また,本件包装袋の裏面には,台所,窓ガラス,家具,浴室,床,網戸等の汚れを拭き取るための雑巾類としての記載があるのみであること,?B使用商品の色は汚れが目立ちにくいブルーであり,衛生面が重視される「ふきん」の色として不自然であると主張した。
bこれに対し,原告は,審判手続の段階から本訴の第1回口頭弁論に至るまで,本件商標の使用の事実に関して,使用商品以外の商品については何ら主張することなく,専ら,使用商標と本件商標の同一性,使用商品の用途,使用商品の色について,次のとおり,反論した。すなわち,?@使用商標は「マイクロクロス」と読むものであり,また,本件包装袋の裏面には「マイクロクロス」との表記が2ヶ所あること,?A使用商品を入手した消費者は,本件包装袋の裏面の「ご使用用途」を参考に,当該消費者個人の選択において使用するものであり,マイクロクロス社は,使用商品を「ふきん」として製造し,納品しているのであって,雑巾類として納品しているのではなく,本件包装袋の裏面の「漆製品等にはご使用にならないで下さい。表面にキズが付く場合があります。」という記載は,食器を拭く「ふきん」として使用することを想定したものであること,?B「ふきん」は,白色でなければならないという一般常識があるわけではなく,「白色」以外の「ふきん」を販売することが禁止されているものではない。カラフルなふきんも好まれているのであって,使用商品だけが「ふきん」として大きく逸脱しているとはいえないことなどを反論した。
cしかし,本訴の第2回口頭弁論において,原告が新たに主張した原告商品は,白色であって,その原告包装袋には,本件商標が大きく表示され,裏面の「ふきんの特長」欄に「キッチンでお使いのグラス・お皿などを拭くのに最適です。」などと,「ご使用用途」の欄に「グラス・食器・調理器具等のから拭き従来お使いの,ふきんと同様にご使用ください」などと記載され,被告が使用商品について指摘した前記aの問題点のすべてを回避した態様であって,極めて不自然である。
(イ) 取引態様について創和及び朝日エムイーは,それぞれ平成16年3月31日又は平成17年4月26日までに銀行取引停止処分を受け,事実上倒産した会社であり(甲37,38),いずれの住所地について調査しても,当該会社や電話番号の該当者は発見できなかった(乙3)。
(ウ)以上によれば,原告が,平成15年10月9日(創和に対し)及び平成16年9月25日(朝日エムイーに対し)に,原告商標包装袋に本件商標を表示して,原告商品を販売したというのは,極めて不自然というべきである。
ウ 創和に対する原告商品の販売の主張に対し(ア)本件予告登録の日は,平成18年10月18日であるところ(甲20),原告が,創和に対し,原告商品を販売したとされる日は,平成15年10月9日であって(甲31,32),本件予告登録よりも3年以上前であるから,仮に原告が主張するような原告商品の販売の事実があったとしても,指定商品「ふきん」についての本件商標の登録の取消しを免れることはできない。
(イ)原告(創和)包装袋(甲30)の記載によれば,原告商品は,会員を募集する入会キャンペーンの会場への来場者に配布する来場記念品として用いられたもののようであるが,原告(創和)包装袋には,その会の名称や内容に関する記載がなく,不自然である。
(ウ)原告は,創和から現金及び約束手形による支払を受けた旨主張する。しかし,当該現金の支払があったこと,約束手形(甲37)による支払が,創和に対する請求書(甲32)に係る原告商品の販売に対するものであったことを示す証拠は存在しない。原告の主張は,客観的根拠を欠くものである。
エ 朝日エムイーに対する原告商品の販売の主張に対し(ア)原告(朝日エムイー)包装袋(甲33)の記載によれば,原告商品は,歳末大売り出しの来場の際の入場整理券として用いられたもののようであるが,原告(朝日エムイー)包装袋には,歳末大売り出しの内容や会場に関する記載がなく,不自然である。
(イ)原告は,朝日エムイーから現金及び約束手形による支払を受けた旨主張する。しかし,当該現金の支払があったこと,約束手形(甲38)による支払が,朝日エムイーに対する請求書(甲35)に係る原告商品の販売に対するものであったことを示す証拠は存在しない。原告の主張は,客観的根拠を欠くものである。
当裁判所の判断
1 取消事由1(マイクロクロス社による使用)について原告は,本件商標の通常使用権者であるマイクロクロス社は,使用商品を販売することにより,指定商品「ふきん」について本件商標を使用したものであると主張する。
しかし,以下のとおり,原告の主張は失当である。
(1) 本件審判における被告請求に係る指定商品「ふきん」の意義についてア本件商標は,前記第2,1(1)のとおり,指定商品を第24類「織物(畳べり地を除く。),畳べり地,メリヤス生地,フェルト及び不織布,タオルその他の布製身の回り品,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,布製ラベル」とするものであり,前記前記第2,1(2)のとおり,被告は,本件審判において,本件商標の指定商品中「ふきん」について登録の取消しを求めたものである。
そこで,本件審判請求に係る指定商品である第24類「ふきん」について,検討する。
イ商品及び役務の区分を定める商標法施行令の別表は,第24類として「織物及び家庭用の織物製カバー」を,第21類として「家庭用又は台所用の手動式の器具,化粧用具,ガラス製品及び磁器製品」を定めている。また,商標法施行規則の別表は,第24類に属するものとして,「六織物製テーブルナプキンふきん」を,第21類に属するものとして,「六清掃用具及び洗濯用具」(これらに属するものとして,「くまで洗濯板洗濯挟み洗濯ブラシ洗面器雑巾(きん)たらいたわしちりかごちり取りバケツはたき張り板ほうき モップ 物干しざお 物干し用ハンガー」)を定めている。
特許庁商標課編集に係る「商品及び役務区分解説」(改訂第3版)は,第24類「織物及び家庭用の織物製カバー」につき,「織物及び織物製品であって他の類に属しないもの」と説明していることは,当裁判所に顕著である。
これらの規定及び解説を参酌すると,第24類「ふきん」(以下,単に「ふきん」というときは,第24類「ふきん」をいう。)の概念には,第21類に属する「雑巾(きん)」その他の「清掃用具」は含まれないと解される(なお,当裁判所は,「ふきん」と,「雑巾(きん)」などの「清掃用具」とが,互いに類似する商品であるか否かについて判断するものではない〔商標法6条3項参照〕。)。
したがって,被告が本件審判において請求した指定商品「ふきん」は,別異の意義に解する特段の事情の存しない本件では,上記の意義に理解すべきであるから,「雑巾(きん)」その他の「清掃用具」を含まないものと解するのが相当である。
(2) 使用商品について上記を前提として,原告がマイクロクロス社によって販売されたと主張する使用商品が「ふきん」に属するか否かについて,以下,検討する。
ア 事実認定後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(ア)マイクロクロス社は,ダイワハウスグループのロイヤルホームセンターとの取引に関して,平成16年8月から平成17年1月にかけて,使用商品の発注を受け,平成16年8月から平成17年1月にかけてこれを納品した(甲4,5,8,11〜14,弁論の全趣旨)。
使用商品は,青色であり,「MICROCLOTH」の文字が表示されたタグが縫いつけられている(甲10)。
(イ)本件包装袋の表面には,上段に大きな文字で「MICROCLOTH」と表示され,その下に,小さな文字で「...Makeitclean.」と記載され,これらの文字の左下に,赤地の横長楕円図形内に,「キッチンの」,「油汚れや食器類の」,「ふきんに最適」の各文字を三段に横書きした標章が配され,上記「食器類」と「ふきん」の文字部分が,黄色で縁取りされ,裏面には,表面と同様に,上段に大きな文字で「MICROCLOTH」と表示され,その下に,小さな文字で「...Makeitclean.」と記載され,これらの文字の下の「洗剤いらず水でサッと拭くだけ」の箇所には,「髪の毛の100分の1の超極細繊維マイクロクロスがお家の中のさまざまな場所の汚れを簡単に取り除きます。」,「マイクロクロスは表面と裏面の毛足の長さを変える事により,あらゆる場所の汚れに対応出来ます。」などと記載され,中段の「ご使用用途」には,「キッチンまわりの油汚れ」,「鏡・窓ガラスのくもり」,「たたみ・家具類等のほこり」,「お風呂の湯あか」,「フローリング・網戸の汚れ」と記載され,その下の「ご使用上の注意」には,「漆製品等にはご使用にならないで下さい。表面にキズが付く場合があります。」,「拭き取り面を傷付けないために,砂やほこり等は払ってからご使用下さい。無理にこすると表面に傷が付くおそれがあります。」などと記載され,最下段に「サイズ/21cm×35cm」,「材質/ポリエステル70%ナイロン30%」と記載されている(甲9)。
なお,「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」と記載された赤地楕円片は,本件包装袋に印刷されたものではなく,後から表面に貼り付けられたものである(甲9,弁論の全趣旨)。
(ウ)ロイヤルホームセンターは,大和ハウス工業株式会社が顧客に提供している住宅用清掃用具セット(「ハウスキーピングセット」)を取り扱っており,従前は,「ハウスキーピングセット」に,マイクロクロス社から納品された使用商品を同梱していたが,現在は,タグ及び包装袋における「MICROCLOTH」の文字を「ROYALCLOTH」の文字に変更するなどした他社商品(仕入れ先は,従前どおり,マイクロクロス社である。)を同梱している(甲2〜5,16,17,弁論の全趣旨)。
(エ)他社商品は青色であり,これに縫いつけられたタグには,表側に,「ROYALCLOTH」の文字,裏側に,2段にわたって,「DaiwaHouse」,「Group」の文字が表示されている(甲3)。
他社包装袋は,他社商品を収納するものであり,その表面には,下段に大きな文字で「DaiwaHouseGroup」と表示され,上段に大きな文字で「ROYALCLOTH」と表示され,その下に,小さな文字で「...Makeitclean.」と書され,左上には,2段にわたって,「DaiwaHouse」,「Group」と記載されるとともに,図形標章が配され,裏面には,表面と同様に,上段に大きな文字で「ROYALCLOTH」と表示され,その下に,小さな文字で「...Makeitclean.」と記載され,これらの文字の下の「洗剤いらず水でサッと拭くだけ」の箇所には,「髪の毛の100分の1の超極細繊維ロイヤルクロスがお家の中のさまざまな場所の汚れを簡単に取り除きます。」,「ロイヤルクロスは表面と裏面の毛足の長さを変える事により,あらゆる場所の汚れに対応出来ます。」などと記載され,中段の「ご使用用途」には,「キッチンまわりの油汚れ」,「鏡・窓ガラスのくもり」,「たたみ・家具類等のほこり」,「お風呂の湯あか」,「フローリング・網戸の汚れ」と記載され,その下の「ご使用上の注意」には,「漆製品等にはご使用にならないで下さい。表面にキズが付く場合があります。」,「拭き取り面を傷付けないために,砂やほこり等は払ってからご使用下さい。無理にこすると表面に傷が付くおそれがあります。」などと記載され,最下段に「サイズ/21cm×35cm」,「材質/ポリエステル70%ナイロン30%」と記載されている(甲3)。
イ 判断(ア)前記アの各事実及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実を推認することができる。すなわち,a使用商品と他社商品とは,いずれもマイクロクロス社が納品した商品であって,他社商品は,タグにおける「MICROCLOTH」の文字に代えて,「ROYALCLOTH」の文字,2段にわたって「DaiwaHouse」,「Group」と記載された文字が用いられているほかは,使用商品と同一の布である。
b他社包装袋の記載事項は,「MICROCLOTH」又は「マイクロクロス」の文字に代えて,「ROYALCLOTH」又は「ロイヤルクロス」の文字が用いられ,他社包装袋には,「DaiwaHouseGroup」の標章等が記載されていること,本件包装袋の表面に貼り付けられた「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」と記載された赤地楕円片がないことのほかは,本件包装袋の記載事項と同一である。
cそして,他社商品は,「ハウスキーピングセット」に同梱されているという点からも,他社包装袋の記載事項からも,第21類「清掃用具」に含まれる「雑巾(きん)」である。
(イ)上記の事実を総合すれば,本件包装袋の表面に貼付された赤地楕円片における「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」と記載は,本件包装袋の裏面に記載された事項と整合しないこと,他社包装袋に上記赤地楕円片と同様の記載がないことに照らせば,本件包装袋における表面の赤地楕円片部分は,本件予告登録後に作成されたものと判断するのが相当である。
この点について,原告は,本件包装袋の赤地楕円片を除く部分が納品先の意向に添って作成された後,納品先の顧客から評価された食器拭きとしての用途をわかりやすく表示するため,「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」との記載を含む赤地楕円片が,納品先の依頼に基づき包装袋の表面に貼付された旨主張する。しかし,原告の主張を裏付ける証拠は本件記録を検討してもこれを見出すことができないこと,他社包装袋に上記赤地楕円片と同様の記載がないことに照らせば,原告主張の事実はこれを認めることができない。
以上のとおり,使用商品も,他社商品と同様に,第21類「清掃用具」に含まれる「雑巾(きん)」であって,本件審判請求に係る指定商品「ふきん」には該当しない。
(3) 小括原告主張の取消事由1は理由がない。
2 取消事由2(原告による使用)について(1) 創和に対する原告商品の販売について原告は,平成15年10月9日,創和に対し,本件商標を付した原告商品を納品するとともに,代金を請求し,同日,その一部の支払を現金で受け,さらに,同年11月20日,約束手形により,残額の支払を受けたと主張する。
しかし,仮に原告の主張するとおりの事実があったとしても,原告が創和に原告商品を納品した日であると主張する平成15年10月9日は,本件予告登録の日(平成18年10月18日)よりも3年以上前である(なお,原告が約束手形を受領する行為が本件商標の使用に該当するものではない。)から,原告の上記主張は,主張自体失当である。
(2) 朝日エムイーに対する原告商品の販売について原告は,平成16年9月25日,朝日エムイーに対し,本件商標を付した原告商品を納品するとともに,代金を請求し,同日,その一部の支払を現金で受け,さらに,同年10月20日,約束手形により,残額の支払を受けたと主張する。
しかし,以下のとおり,原告の提出に係る証拠によっては上記事実を認定することはできないから,本件予告登録前3年以内に日本国内において,本件商標の商標権者が,本件審判請求に係る指定商品「ふきん」について,本件商標の使用をしていたとは認められない。
ア 事実認定(ア) 甲33ないし36,38について原告は,朝日エムイーに対する原告商品の販売の事実を示すものとして,甲33ないし36,38を挙げるので,これらの書証について検討する。
a甲33は,原告(朝日エムイー)包装袋の写真とされるものであり,これによれば,原告(朝日エムイー)包装袋は,色がホワイト(白)の原告商品を収納しており,その表面には,上部に,「歳末大売り出し」,「15%〜70%Off」,「入場整理券」,「12月18日〜26日」,「ご来場の際には必ずご持参下さい」,「朝日エムイー株式会社」との記載が,下部には,「ご来場の際には入場整理券が必要です」,「マイクロクロス」,「キッチン用ふきん」との記載があり,裏面には,上方から,「ご来場の際には必ずご持参下さい」,「マイクロクロス」,「ふきんの特長」,「マイクロクロスはキッチンでお使いのグラス・お皿などを拭くのに最適です」,「髪の毛の100分の1の超極細繊維がグラス・食器・調理器具等に付着したくすみを優しく取り除き,本来の輝きを取り戻します」,「マイクロクロスは,けば立ちなくガラス等の食器を拭き取ります」,「マイクロクロスは吸水性に優れており,従来の綿素材と比べ,水分を素早く吸収します」,「マイクロクロスは速乾性に優れていて,衛生的です」,「ご使用用途」,「グラス・食器・調理器具等のから拭き」,「従来お使いの,ふきんと同様にご使用ください」,「ご使用上の注意」,「火のそばや高温でのご使用はしないで下さい」,「汚れた場合は,台所用中性洗剤で手洗いして下さい」,「漆器や金箔等には,ご使用に成らないで下さい」,「サイズ/30cm×30cm」,「材質/ポリエステル70%」,「ナイロン30%」,「発売元株式会社ワンズハート」,「非売品」などの記載がある。
しかし,原告(朝日エムイー)包装袋の写真は,原告が平成20年2月12日に作成(撮影)したものとされているから(平成20年2月18日付け証拠説明書),平成16年9月25日の時点において,原告(朝日エムイー)包装袋が存在したか否か,また,原告が,平成16年9月25日に,原告(朝日エムイー)包装袋及びこれに収納した原告商品を朝日エムイーに対し納品したか否かは,甲33からは明らかでない(仮に,朝日エムイーに対して平成16年9月25日に納品したものであるとすれば,平成20年2月12日の時点で,原告がこれを保有していることは不自然である。)。そして,原告(朝日エムイー)包装袋が,いつ,どこで,誰によって作製されたものであるかについて,原告は具体的な主張をしておらず,その点に関する証拠も提出されていない。
b甲34は,原告が朝日エムイーに対し納品したと主張する原告商品に係る納品書,甲35は,上記原告商品に係る請求書とされるものであり,いずれにも,原告の名称,住所,電話番号,FAX番号などのほか,「日付」として,「2004/09/25」,伝票番号として,「6828」,宛先として,「浜松市植松町268番地の1」,「朝日エムイー株式会社御中」,品名として,「70016マイクロクロス」,「キッチン用ふきん」,「ホワイト30cm×30cm」,「配送料」などの記載がある。
しかし,上記納品書及び請求書は,原告が作成したものであって,実際に,日付(作成日)として表示されている平成16年9月25日に作成されたことを客観的に裏付ける証拠(たとえば,朝日エムイーからの発注書や,原告製品の配送についての運送業者の引受書など)は一切提出されていない。また,同じ書式の納品書や請求書をバックデートで作成することが,特に困難であるような事情も認められない。
c甲36は,原告商品の写真とされるものであり,原告(朝日エムイー)包装袋(甲33)に収納された原告商品と同様に,色がホワイト(白)であることがうかがわれる。
しかし,上記原告商品の写真は,原告が平成20年2月12日に作成(撮影)したものとされているから(平成20年2月18日付け証拠説明書),平成16年9月25日に,原告(朝日エムイー)包装袋に収納され,朝日エムイーに対し納品されたとされる原告商品と同じものであるか否かは,甲36からは明らかでない。また,甲36からは,本件商標が使用されているか否か,原告商品が本件審判請求に係る指定商品「ふきん」の範疇に含まれるものであるか否かは,いずれも明らかでない。
d甲38は,朝日エムイーの振り出しに係る約束手形であり,平成16年9月25日に原告が納品した原告商品の代金の残額の支払のため,朝日エムイーが原告に交付したとされるものである。
しかし,上記約束手形の交付が,朝日エムイーに対する請求書(甲35)に係る原告商品の販売に対するものであったことを客観的に裏付ける証拠は存在しない。
e甲33ないし36,38を総合しても,原告が,平成16年9月25日,朝日エムイーに対し,本件商標を付した原告商品(数量2万個)を納品するとともに,代金等532万875円を請求し,その際,朝日エムイーから上記代金等のうち,232万8750円の支払を現金で受け,同年10月20日,約束手形により,300万円の支払を受けたという,原告主張の事実は,これを認めることができない。
(イ) 原告の新たな主張の時期及び内容についてa原告は,本件審判の手続において,従来,原告の社内に専門の部署を設けて使用商品に関する業務を行っていたが,業務拡張のため,上記部署を分社化する形で,平成15年6月24日にマイクロクロス社を設立し,それ以降は,使用商品に関する業務をマイクロクロス社が行うようになったものであり,マイクロクロス社は,本件商標の使用を一任され,本件商標について,専使用契約をしているものであって,この点については,本件商標権の共有者であったKも同意している旨主張し,当該主張を裏付ける書証として,商標使用契約書(甲6〔審決における乙1〕)及び同意追認書(甲15〔審決における乙10〕)を提出した(乙2,審決書6頁26行〜29行及び7頁14行〜20行)。
また,上記商標使用契約書には,前文として,「株式会社ワンズハート(甲)の取得している下記記載の商標の使用を株式会社マイクロクロス社(乙)と専属的に契約を結び,全ての権利を株式会社マイクロクロス社に一任します。」と記載され,その下に,本件商標の登録番号,商品区分などとともに,契約の締結日として,「平成15年11月14日」が記載され,さらに,「(甲)」として,原告の名称,代表取締役の氏名及び所在地,並びに,「(乙)」として,マイクロクロス社の名称,代表取締役の氏名及び所在地が記載されている。
さらに,上記同意追認書には,原告の所在地,名称,代表取締役の氏名,本件商標の登録番号などが記載され,その下に,本件商標権について,「平成15年11月当時,貴社と私との共有であったところ,貴社が平成15年11月14日付けの商標使用契約書に基づいてマイクロクロス社に範囲を全部とする独占的使用権を許諾したことに関し,同許諾に同意していたことに相違なく,ここに追認いたします。」との文言が記載され,作成日として,「平成19年2月10日」が記載され,さらに,Kの住所及び氏名が記載されている。
b原告は,本件審判の手続において,マイクロクロス社が,本件審判請求に係る指定商品「ふきん」について,本件商標を使用していた旨主張し,当該主張を裏付ける書証として,甲8〜14(審決における乙3〜9)を提出した(審決書6頁30行〜7頁12行)。
また,被告から,使用商標と本件商標の同一性,使用商品の用途,使用商品の色などにつき,反論されたことに対して,審判手続の段階から本訴の第1回口頭弁論に至るまで,使用商品以外の商品については何ら主張することなく,専ら上記の指摘に対する再反論を行ったにとどまっていた(審決書7頁21行〜9頁38行,当裁判所に顕著な事実)。
イ 判断原告包装袋は,その表面に,「マイクロクロス」,「キッチン用ふきん」との記載があり,裏面に,「ふきんの特長」として,「キッチンでお使いのグラス・お皿などを拭くのに最適です。」などの記載,「ご使用用途」として,「グラス・食器・調理器具等のから拭き従来お使いの,ふきんと同様にご使用ください」などと記載されていること,原告商品は白色であること等の点を検討すると,原告が使用していると主張する原告商品の形態は,被告が使用商品について,使用商標と本件商標の同一性,使用商品の用途,使用商品の色などについて指摘した問題点のすべてを,結果として解消する形態とされており,極めて不自然なものといえる。
また,前記ア(イ)のとおり,原告は,本件審判の手続において,使用商品に係る業務を取り扱う部署を分社化する形で,平成15年6月24日にマイクロクロス社を設立し,それ以降は,使用商品に関する業務をマイクロクロス社が行うようになったものであることを主張し,本訴においても同趣旨の主張を繰り返してきたこと,そして,同年11月14日には,商標使用契約書(甲6)が締結されていたことに照らすと,平成16年9月25日の時点において,原告が,マイクロクロス社を介さず,直接,朝日エムイーと原告商品の取引をしたとすることは,極めて不自然であるといえる。
原告と朝日エムイーとの間で実際に取引が行われていたのであれば,原告は,本訴の第1回口頭弁論はもとより,それ以前の本件審判の手続においても,当該取引を主張するのが自然であり,本件において,そのような主張をするに当たって,何ら困難な事情はなかったというべきである。
このように,原告の主張に係る朝日エムイーに対する原告商品の販売には不自然な点が多いことに照らすならば,甲33ないし36は本訴提起後に作成されたものと認定するのが相当であり,甲38は原告商品の販売との関連性が認められないから,結局,朝日エムイーに対する原告商品の販売については立証がないというべきである。
(3) 小括原告主張の取消事由2は理由がない。
3 結論原告は,その他縷々主張するが,いずれも理由がない。
以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,また,審決に,これを取り消すべきそのほかの誤りがあるとも認められない。よって,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 齊木教朗
裁判官 嶋末和秀
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